JP6673035B2 - 電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、2以上の電池セルを直列に接続して構成される電池モジュールを含む電池システムであって、特に、前記電池セルの抵抗異常を検査する機能を有した電池システムに関する。
従来から、充放電可能な二次電池、例えば、リチウムイオン二次電池等からなる電池セルを複数、直列に接続して構成される電池モジュールが知られている。かかる電池モジュールでは、経年変化等に起因して電池セルの内部抵抗が徐々に増加することが知られている。内部抵抗が大きくなると、電池セルに電流を流した際の電圧降下が大きくなり、電池セルが容易に下限電圧に達してしまう。その結果、電池セルの劣化が促進され、電池モジュールの性能を低下させてしまう。そこで、電池セルの内部抵抗が大幅に増加した、いわゆる、抵抗異常の有無を検査する技術が従来から提案されている。
特開2013−118757号公報 特開平11−259190号公報
例えば、特許文献1には、複数の単電池を含む組電池の制御装置であって、複数の単電池の電圧を所定の目標値に調整する調整手段を備え、この調整手段による調整時間に基づいて単電池の異常を判定する技術が開示されている。すなわち、単電池の電圧の調整は、単電池を放電させて電圧を所定の目標電圧まで降下させることにより行われる。単電池の内部抵抗が大きくなると、単電池の出力電流が小さくなるため、電圧降下のために要する放電時間が長くなる。したがって、調整に要する時間が長い場合には、単電池の内部抵抗が増加した抵抗異常が発生していると判断することができる。
しかしながら、特許文献1の技術では、抵抗異常の有無を判定するために、電圧調整の時間が必要であり、抵抗異常の判定を完了するまでに時間がかかるという問題があった。
そこで、本発明では、電池セルの内部抵抗異常の有無判定を、より短時間で行える電池システムを提供することを目的とする。
本発明の電池システムは、2以上の電池セルを直列接続した電池モジュールと、1以上の電池セルごとに設けられ、前記1以上の電池セルに対して並列に接続された検査用回路であって、それぞれが、互いに直列に接続された検査用スイッチと検査用抵抗とを含む検査用回路と、前記電池モジュール全体の電圧値をモジュール電圧値として検出する電圧検出手段と、全ての検査用回路の検査用スイッチをオフしたときの前記モジュール電圧値であるオフ電圧値と、1以上の検査用回路の検査用スイッチをオンしたときの前記モジュール電圧値であるオン電圧値と、の変化量が、予め規定された基準変化量超過の場合に、前記オンした検査用スイッチに対応する電池セルに抵抗異常が発生していると判定する制御装置と、を備えることを特徴とする。
好適な態様では、前記抵抗異常の判定処理は、前記電池モジュールに流れる電流がゼロのときに実施する。この場合、前記電池システムは、電動車両に搭載される車載の電池システムであって、前記制御装置は、前記電動車両の動作状態に基づいて、前記電池モジュールに流れる電流がゼロか否かを判定する、ことが望ましい。
他の好適な態様では、前記電池システムは、電動車両に搭載される車載の電池システムであり、前記抵抗異常の判定処理は、前記電池モジュールに流れる電流がゼロでないときにも実施しており、前記制御装置は、前記オフ電圧値を取得してから前記オン電圧値を取得するまでの時間を、前記電池モジュールに流れる電流値変化に起因する前記モジュール電圧値の変化量が、前記基準変化量未満となる時間する。
他の好適な態様では、前記制御装置は、前記オフ電圧値と複数の電池セルを同時にオンしたときのオン電圧値との変化量が前記基準変化量超過か否かを判定し、前記変化量が前記基準変化量超過の場合、さらに当該複数の電池セルを個々にオンしたときのオン電圧値と前記オフ電圧値との差分量が、前記基準変化量超過か否かを判定し、前記差分量が、前記基準変化量超過の場合に、前記個々にオンした電池セルに抵抗異常が発生している特定する。
他の好適な態様では、前記電圧検出手段は、フライングキャパシタ回路を含む。
本発明によれば、全ての検査用スイッチをオフしたときのモジュール電圧値と、一部の検査用スイッチをオンしたときのモジュール電圧値との変化量に基づいて抵抗異常の有無を判定している。そのため、電圧を所望の値に調整するための時間が不要となり、従来技術に比して、短時間で抵抗異常の有無を判定できる。
本発明の実施形態である電池システムの構成を示す図である。 ある電池セルと、検出用回路と、を示す模式図である。 モジュール電流値と、モジュール電圧値と、の関係を示す図である。 抵抗異常の有無検査の流れを示すフローチャートである。 抵抗異常の有無検査の流れを示すフローチャートである 他の電池システムの構成を示す図である。 抵抗異常の有無判定処理の他の例を示すイメージ図である。 図7の判定処理の流れを示すフローチャートである。 検査用スイッチのオン・オフの切り替え順序と、そのときの変化量と、の一例を示す表である。
以下、本発明の実施形態である電池システム10について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態である電池システム10の構成を示す図である。この電池システム10は、電動車両(例えばハイブリッド自動車や電気自動車等)に搭載されるもので、充放電可能な電池モジュール12を備えている。電池モジュール12は、充放電可能な電池セルCn(n=1,2,・・・,max)を複数、直列に接続して構成される。以下では、電池セルCnの個数を6個(すなわち、max=6)として説明しているが、電池セルCnの個数は、特に限定されず、6個未満でもよいし、6個超過でもよい。各電池セルCnは、充放電可能な二次電池で、例えば、リチウムイオン二次電池等である。各電池セルCnは、それぞれ固有の内部抵抗値rnを持っている。図1における抵抗Ernは、この内部抵抗値rnを示している。
各電池セルCnには、この電池セルCnの内部抵抗値rnを検査するための検査用回路TCnが接続されている。検査用回路TCnは、互いに直列に接続された検査用抵抗ERnと、検査用スイッチSWnと、を備えている。本実施形態では、この複数の検査用抵抗ERnおよび検査用スイッチSWnを、一つのIC14内に実装している。複数の検査用抵抗ERnの抵抗値Rnは、全て同じである。また、検査用スイッチSWnは、後述する制御装置16からの制御信号によりON/OFFされる。
電池モジュール12に流れる電流値Ibは、当該電池モジュール12に接続された電流センサ18で検出される。検出されたモジュール電流値Ibは、A/Dコンバータ20でデジタル信号に変換されたうえで、制御装置16に送られる。
電池モジュール12には、さらに、電圧検出回路22が並列に接続されている。電圧検出回路22は、電池モジュール12全体の電圧値、すなわち、モジュール電圧値Vmを検出する回路である。電圧検出回路22の構成は、種々考えられるが、本実施形態では、フライングキャパシタ回路24を用いて電圧検出回路22を構成している。フライングキャパシタ回路24は、コンデンサCの前後にスイッチSWf,SWrを設けた回路である。モジュール電圧値Vmを検出する際には、前段のスイッチSWfをオン、後段のスイッチSWrをオフにしてコンデンサCをチャージした後、前段のスイッチSWfをオフ、後段のスイッチSWrをオンにして、コンデンサCにチャージした電圧値をコンパレータ28を介してモジュール電圧値Vmとして出力する。A/Dコンバータ26は、コンパレータ28から出力されたモジュール電圧値Vmをデジタル信号に変換したうえで、制御装置16に送る。
制御装置16は、スイッチSWn,SWf,SWrやA/Dコンバータ20,26に駆動信号を出力し、これらの駆動を制御する。この制御装置16は、例えば、CPUとメモリとを備えている。CPUは、各種演算を行う。メモリには、制御プログラムや、各種制御パラメータが予め記憶されている。また、メモリには、検出された電流値や電圧値が一時記憶される。メモリに記憶される制御パラメータの中には、後述する基準変化量ΔVref等がある。こうした制御装置16は、単一の装置として構成されてもよいし、互いに通信可能な複数の装置で構成されてもよい。
制御装置16は、また、A/Dコンバータ26から送られたモジュール電圧値Vmに基づいて電池セルCnの抵抗異常の有無判定も行う。すなわち、電池セルCnは、それぞれ固有の内部抵抗値rnを持っている。この内部抵抗値rnは、電池セルCnの経年劣化等に起因して増加する。そして、内部抵抗値rnが、過度に大きくなると、電池セルCnに電流を流した際の電圧降下が大きくなり、電池セルCnが容易に下限電圧に達してしまう。かかる問題を避けるためには、内部抵抗値rnが、過度に大きくなった状態、いわゆる抵抗異常の有無を判定し、必要に応じて、充放電電力Win,Woutを制限したり、電池セルCnの交換を行ったりする必要がある。そこで、制御装置16は、モジュール電圧値Vmに基づいて、各電池セルCnごとに抵抗異常の有無を判定する。以下、この抵抗異常の有無判定について説明する。
モジュール全体の電圧値、すなわち、モジュール電圧値Vmは、各電池セルCnの両端の電圧値Vcn(以下「端子間電圧Vcn」と呼ぶ)の合計値となる。すなわち、図1の例では、Vm=Vc1+Vc2+・・・+Vc6となる。ここで、各端子間電圧Vcnは、対応する検査用回路TCnの検査用スイッチSWnをオフからオンに切り替えると、低下する。そして、端子間電圧Vcnが低下すると、モジュール電圧値Vmも低下する。この低下量(変化量ΔV)は、複数の検査用抵抗ERnの抵抗値Rnが互いに等しい場合、内部抵抗値rnが大きい程大きくなる。
これについて図2を参照して説明する。図2は、ある電池セルCnと、当該電池セルCnに並列接続された検査用回路TCnを示す模式図である。検査用スイッチSWnをオフからオンに切り替えると、電池セルCnに流れる電流が増減し、端子間電圧VcnがΔV変化する。この変化量ΔVは、電池セルCnの内部抵抗値rnと検査用抵抗ERnの抵抗値Rnの分圧値で決まる。すなわち、電池セルCnの電位差をVOnとした場合、検査用スイッチSWnがオフのときは、端子間電圧Vcn=VOnとなる。一方、検査用スイッチSWnがオンのときは、端子間電圧Vcn=VOn・Rn/(rn+Rn)となる。したがって、検査用スイッチSWnをオフからオンに切り替えたときの端子間電圧Vcnの変化量ΔVは、ΔV=VOn・rn(rn+Rn)となり、内部抵抗値rnが大きくなるほど、変化量ΔVも大きくなる。
図3は、モジュール電流値Ibと、モジュール電圧値Vmと、の関係を示す図である。図3において、実線は、検査用スイッチSWnを全てオフにしたときのモジュール電圧値(以下「オフ電圧値Vm_off」と呼ぶ)、破線は、一部の検査用スイッチSWnをオンにしたときのモジュール電圧値(以下「オン電圧値Vm_on」と呼ぶ)、を示している。また、太線は、内部抵抗異常が無い場合の、細線は、内部抵抗異常がある場合の、モジュール電圧値を示している。
図3から明らかな通り、モジュール電圧値Vmは、モジュール電流値Ibが増加するにつれて、低下する。また、抵抗異常の有無に関わらず、検査用スイッチSWnをオンすると、モジュール電圧値Vmが低下する。ただし、抵抗異常が存在する場合の低下量(変化量ΔV2)は、抵抗異常が存在しない場合の低下量(変化量ΔV1)よりも大きくなる。本実施形態では、この原理を利用して、内部抵抗の有無判定を行っている。
図4、図5は、抵抗異常の有無検査の流れを示すフローチャートである。本実施形態では、抵抗異常の有無検査は、原則として、モジュール電流値Ibがゼロのとき、すなわち、電池システム10が使用されていない場合に行う。これは、図3に示す通り、モジュール電圧値Vmが、モジュール電流値Ibに応じて変化するためである。抵抗異常の有無を正確に判定するためには、モジュール電流値Ibの変化に起因するモジュール電圧値Vmの変化が生じていない状態で、変化量ΔVを取得する必要がある。そこで、制御装置16は、モジュール電流値Ibをモニタリングし(S10)、モジュール電流値Ibがゼロか否かを判断する(S12)。判断の結果、モジュール電流値Ibが、ゼロ超過の場合、制御装置16は、抵抗異常の有無判定を行うことなく、待機する。一方、モジュール電流値Ibがゼロの場合、制御装置16は、抵抗異常判定処理を実行する(S14)。
抵抗異常判定処理において、制御装置16は、まず、全ての検査用スイッチSWnをオフにする(S20)。そして、その状態で、電圧検出回路22から出力されたモジュール電圧値をオフ電圧値Vm_offとして取得する(S22)。次に、制御装置16は、セル番号nを初期化、すなわち、n=1に設定する(S24)。続いて、制御装置16は、IC14に、n番目の検査用スイッチSWnをオンにする制御信号を出力する(S26)。n番目の検査用スイッチSWnがオンとなれば、制御装置16は、その状態で、電圧検出回路22から出力されたモジュール電圧値Vmを、オン電圧値Vm_onとして取得する(S28)。
次に、制御装置16は、オフ電圧値Vm_offとオン電圧値Vm_onとの差分値(Vm_off−Vm_on)を、変化量ΔVとして算出する(S30)。変化量ΔVが算出できれば、続いて、この変化量ΔVを、メモリに予め記憶されている基準変化量ΔVrefと比較する(S32)。基準変化量ΔVrefは、予め実験やシミュレータにより求められる値である。基準変化量ΔVrefは、電池セルCnの内部抵抗値rnが正常値である場合に、検査用スイッチSWnをオフ/オン切り替えた場合に生じ得る電圧変化量に、若干の許容誤差量を付加した値である。この基準変化量ΔVrefは、固定値でもよいし、温度や電池モジュール12の状態(例えば使用開始してからの経過時間や、想定される電池セルCnの材料劣化度等)に応じて変化する可変値でもよい。
比較の結果、変化量ΔVが、基準変化量ΔVref以下の場合、制御装置16は、n番目の電池セルCnの内部抵抗値rnは、正常であると判定する(S34)。一方、変化量ΔVが、基準変化量ΔVrefより大きい(超過)場合、制御装置16は、n番目の電池セルCnの内部抵抗値rnは、異常であると判定する(S36)。この場合、制御装置16は、その旨を示すフラグをメモリに記憶する。そして、必要に応じて、ユーザに警告を通知したり、電池モジュール12の充放電電力を制限したりする。
一つの電池セルCnについて抵抗異常の有無が判定できれば、制御装置16は、セル番号nが、最大値maxに達したか否かを判断する(S38)。判断の結果、セル番号nが最大値max未満の場合には、セル番号nをインクリメントしたうえで(S39)、ステップS26〜S38を繰り返す。セル番号nが最大値maxに達した場合には、異常判定処理は、終了となる。
以上の説明から明らかな通り、本実施形態では、検査用スイッチSWnをオフからオンに切り替えた際のモジュール電圧値Vmの変化量ΔVに基づいて、抵抗異常の有無を判定している。換言すれば、電池セルCnの電圧値の調整等が不要であるため、特許文献1等の従来技術に比して、抵抗異常の有無判定に要する時間を低減できる。
また、本実施形態では、各電池セルCnの端子間電圧Vcnの変化量では無く、モジュール電圧値Vmの変化量に基づいて抵抗異常の有無を判定している。そのため、特許文献2のように、各電池セルCnごとに電圧検出回路22を設ける必要がなく、回路構成を簡易化、ひいては、コストを低減することができる。また、特許文献2のように、各電池セルCnの端子間電圧Vcnの変化量に基づいて、抵抗異常の有無を判定する場合には、各電池セルCnごとに、検査用スイッチSWnをオフしたときのモジュール電圧値Vmと、オンしたときのモジュール電圧値Vmと、を取得する必要がある。換言すれば、この場合、max個の電池セルCnの抵抗異常を判定するために、(2×max)回、電圧値の検出を行う必要がある。一方、本実施形態では、上述の説明から明らかな通り、検査用スイッチSWnをオフしたときのモジュール電圧値Vm(オフ電圧値Vm_off)は、1回取得するだけでよいため、(1+max)回だけ電圧値を検出すればよい。したがって、本実施形態によれば、各電池セルCnの端子間電圧Vcnの変化量に基づいて抵抗異常の有無を判定する場合に比して、短時間で抵抗異常の有無を判定することができる。
なお、これまで説明した構成は、一例であり、全部の検査用スイッチSWnをオフしたときと、一部の検査用スイッチSWnをオンしたときとのモジュール電圧値の変化量ΔVに基づいて抵抗異常の有無を判定するのであれば、その他の構成は、適宜、変更されてもよい。例えば、本実施形態では、モジュール電圧値Vmを、フライングキャパシタ回路24を用いて検出していたが、電圧検出回路22は、適宜、変更されてもよい。例えば、図6に示すように、通常の作動増幅回路30で、モジュール電圧値Vmを検出するようにしてもよい。この場合、フライングキャパシタ回路24を用いた電圧検出回路22よりも、電圧検出時間を短縮できる。
また、これまでの説明では、一つの電池セルCnに対して、一つの検査用回路TCnを設けていたが、2以上の電池セルCnごとに、一つの検査用回路TCnを設けてもよい。例えば、図6に示すように、連続して並ぶ三つの電池セル(C1,C2,C3),(C4,C5,C6)に対して、一つの検査用回路TC1,TC2を並列に接続する構成としてもよい。この場合、抵抗異常のある電池セルCnの特定の範囲が広がる。すなわち、1番目の検査用スイッチSW1のオフ/オン切り替えの前後で、変化量ΔVが大きくなった場合、1〜3番の電池セルC1,C2,C3の中に抵抗異常であることは分かるが、1〜3番の電池セルC1,C2,C3のいずれに抵抗異常があるかは特定できない。しかし、この場合、検査用回路TCnを構成する素子をより低減できるため、コストをより低減できる。
また、図1の構成では、電流センサ18の検出値に基づいてモジュール電流値Ibを判定していた。しかし、電流センサ18の検出値に代えて、他の制御信号に基づいてモジュール電流値Ibを判定してもよい。例えば、車両に搭載される電池モジュール12の場合には、当該電池モジュール12と、外部回路との間に、システムメインリレーが設けられている。通常、このシステムメインリレーがオフの場合、電池モジュール12に流れる電流値Ibはゼロとなる。したがって、システムメインリレーを駆動する制御信号等、電動車両の動作状態を示す信号に基づいて、モジュール電流値Ibがゼロか否かを判定するようにしてもよい。
また、上述の実施形態では、モジュール電流値Ibの変動に起因するモジュール電圧値Vmの変動の影響を無くすために、Ib=0の場合にのみ、抵抗異常の有無判定を行っていた。しかし、モジュール電流値Ibが変化する時間よりも十分に短い間隔で、オフ電圧値Vm_offとオン電圧値Vm_onを取得できるのであれば、Ib≠0において、抵抗異常の有無判定を行ってもよい。図7は、この抵抗異常の有無判定処理を示すイメージ図である。図7において、上段は、モジュール電流値Ibを、中段は、検査用スイッチSWnの駆動タイミングを、下段は、モジュール電圧値Vmを、それぞれ示している。
図7に示す通り、この場合、オフ電圧値Vm_offを取得した直後に、オン電圧値Vm_onを取得する。したがって、上述の実施形態と異なり、この場合、各電池セルCnごとに、オフ電圧値Vm_offおよびオン電圧値Vm_onを取得する必要がある。かかる構成とすれば、オフ電圧値Vm_offを取得してからオン電圧値Vm_onを取得するまでの時間を、モジュール電流値Ibの変化速度に比して、十分に短くすることができる。その結果、変化量ΔVにおけるモジュール電流値Ibの変化の影響を小さくすることができ、Ib≠0において、抵抗異常の有無を判定できる。なお、図7の例では、モジュール電流値の変化量ΔVが大きい4番目の電池セルC4に抵抗異常があると判断できる。
図8は、この場合における抵抗異常の有無判定処理の流れを示すフローチャートである。図8に示す通り、この場合、制御装置16は、まず、セル番号nを初期化(すなわち、n=1に設定)する(S40)。続いて、制御装置16は、検査用スイッチSWnを全てオフとし(S42)、その状態で検出されたモジュール電圧値Vmをオフ電圧値Vm_offとして取得する(S44)。オフ電圧値Vm_offが取得できれば、制御装置16は、モジュール電流値Ibが大きく変化するよりも前に、n番目の検査用スイッチSWnをオンにする(S46)。そして、その状態で検出されたモジュール電圧値Vmを、オン電圧値Vm_onとして取得する(S48)。オフ電圧値Vm_offおよびオン電圧値Vm_onが得られれば、制御装置16は、両者の差分値を変化量ΔVnとして算出する(S50)。そして、制御装置16は、得られた変化量ΔVnと、メモリに記憶されている基準変化量ΔVrefとを比較する(S52)。比較の結果、変化量ΔVnが、基準変化量ΔVref以下の場合、制御装置16は、n番目の電池セルCnの内部抵抗値rnは、正常であると判定する(S54)。一方、変化量ΔVnが、基準変化量ΔVref超過の場合、制御装置16は、n番目の電池セルCnの内部抵抗値rnは、異常であると判定する(S56)。
一つの電池セルCnについて抵抗異常の有無が判定できれば、制御装置16は、セル番号nが、最大値maxに達したか否かを判断する(S58)。判断の結果、セル番号nが最大値max未満の場合には、セル番号nをインクリメントしたうえで(S60)、ステップS42〜S58を再度繰り返す。セル番号nが最大値maxに達した場合には、異常判定処理は、終了となる。
以上の通り、オフ電圧値Vm_offの取得タイミングと、オン電圧値Vm_onの取得タイミングとの時間差を短くできるのであれば、Ib≠0でも、抵抗異常の有無を判定することができる。結果として、抵抗異常の有無判定の機会をより多く得ることができる。
また、これまでの説明は、検査用スイッチSWnを、1個ずつオンする例のみを挙げたが、検査用スイッチSWnは、複数個、同時にオンされてもよい。図9は、図1の構成における検査用スイッチSWnのオン・オフの切り替え順序と、そのときの変化量ΔVと、の一例を示す表である。図9に示すように、1回目においては、全ての検査用スイッチSWnをオフにして、オフ電圧値Vm_offを取得する。続いて、2回目においては、1,2番目の検査用スイッチSW1,SW2をオンにして、3回目においては、3,4番目の検査用スイッチSW3,SW4をオンにして、4回目においては、5,6番目の検査用スイッチSW5,SW6をオンにして、オン電圧値Vm_onを検出する。そして、1回目に得られたオフ電圧値Vm_offと、2〜4回目に得られたオン電圧値Vm_onとの差分値を変化量ΔVとして算出する。その結果、2回目、3回目に得られた変化量ΔVが基準変化量ΔVref以下で、4回目に得られた変化量ΔVが基準変化量ΔVrefより大きいとする。この場合、5番目の電池セルC5または6番目の電池セルC6に、抵抗異常があると判断することができる。したがって、この場合、制御装置16は、5番目の検査用スイッチSW5のみをオンにしたうえで、そのときのオン電圧値Vm_onを取得する。そして、得られたオン電圧値Vm_onと、1回目に得られたオフ電圧値Vm_offとの差分値を変化量ΔVとして算出する。図9に示すように、この5回目に得られる変化量ΔVが、基準変化量ΔVref以下の場合には、6番目の電池セルC6に抵抗異常があると判断できる。一方、5回目に得られる変化量ΔVが、基準変化量ΔVrefより大きい場合には、5番目の電池セルC5に抵抗異常があると判断できる。なお、この場合、5番目の電池セルC5に抵抗異常があることは分かるが、6番目の電池セルC6の抵抗異常の有無は、判断できない。したがって、5回目の変化量ΔVが、基準変化量ΔVrefより大きい場合には、さらに、6番目の検査用スイッチSW6をオンしたうえで6回目の電圧検出も行う。
以上の説明から明らかな通り、図9の場合は、モジュール電圧値Vmを5回または6回検出することで、抵抗異常の電池セルCnを特定することができる。したがって、検査用スイッチSWnを一つずつオン/オフ切り替えする場合に比べて、電圧検出の回数を低減でき、抵抗異常の判定処理の時間をより短縮できる。
10 電池システム、12 電池モジュール、16 制御装置、18 電流センサ、20,26 A/Dコンバータ、22 電圧検出回路、24 フライングキャパシタ回路、28 コンパレータ、30 作動増幅回路、C コンデンサ、Cn 電池セル、ERn 検査用抵抗、Ern 内部抵抗、Ib モジュール電流値、SWn 検査用スイッチ、TCn 検査用回路。

Claims (6)

  1. 2以上の電池セルを直列接続した電池モジュールと、
    1以上の電池セルごとに設けられ、前記1以上の電池セルに対して並列に接続された検査用回路であって、それぞれが、互いに直列に接続された検査用スイッチと検査用抵抗とを含む検査用回路と、
    前記電池モジュール全体の電圧値をモジュール電圧値として検出する電圧検出手段と、
    全ての検査用回路の検査用スイッチをオフしたときの前記モジュール電圧値であるオフ電圧値と、1以上の検査用回路の検査用スイッチをオンしたときの前記モジュール電圧値であるオン電圧値と、の変化量が、予め規定された基準変化量超過の場合に、前記オンした検査用スイッチに対応する電池セルに抵抗異常が発生していると判定する制御装置と、
    を備えることを特徴とする電池システム。
  2. 請求項1に記載の電池システムであって、
    前記抵抗異常の判定処理は、前記電池モジュールに流れる電流がゼロのときに実施する、ことを特徴とする電池システム。
  3. 請求項2に記載の電池システムであって、
    前記電池システムは、電動車両に搭載される車載の電池システムであって、
    前記制御装置は、前記電動車両の動作状態に基づいて、前記電池モジュールに流れる電流がゼロか否かを判定する、ことを特徴とする電池システム。
  4. 請求項1に記載の電池システムであって、
    前記電池システムは、電動車両に搭載される車載の電池システムであり、
    前記抵抗異常の判定処理は、前記電池モジュールに流れる電流がゼロでないときにも実施しており、
    前記制御装置は、前記オフ電圧値を取得してから前記オン電圧値を取得するまでの時間を、前記電池モジュールに流れる電流値変化に起因する前記モジュール電圧値の変化量が、前記基準変化量未満となる時間する、
    ことを特徴とする電池システム。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の電池システムであって、
    前記制御装置は、前記オフ電圧値と複数の電池セルを同時にオンしたときのオン電圧値との変化量が前記基準変化量超過か否かを判定し、前記変化量が前記基準変化量超過の場合、さらに当該複数の電池セルを個々にオンしたときのオン電圧値と前記オフ電圧値との差分量が、前記基準変化量超過か否かを判定し、前記差分量が、前記基準変化量超過の場合に、前記個々にオンした電池セルに抵抗異常が発生している特定する、ことを特徴とする電池システム。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の電池システムであって、
    前記電圧検出手段は、フライングキャパシタ回路を含む、ことを特徴とする電池システム。
JP2016114147A 2016-06-08 2016-06-08 電池システム Active JP6673035B2 (ja)

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