JP6667651B2 - 分散物の製造方法、及びインクジェット記録方法 - Google Patents

分散物の製造方法、及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Description

本開示は、分散物の製造方法、及びインクジェット記録方法に関する。
近年、分散物の製造方法において、分散物の高濃度化への要求が高まっている。
分散物の高濃度化においては、さらに、分散物中に含まれる粒子の微粒化、粒子量(P)に対する分散剤量(D)の比率の低下、使用する分散プロセスにおける粒子解砕(破砕)エネルギーの増大、粒子解砕の長時間処理等によって、粒子表面の分散剤被覆不良が生じて、良好な立体障壁を形成できず、粒子凝集が生じるという課題がある。
この課題に対して、一般的に、ビーズミル等の分散プロセスにおいて、ビ−ズ径を小さくしたり、周速を遅くしたりする等によるビーズ運動エネルギーを低減する手法、分散機内でのビーズ運動エネルギー分布を狭くする手法、及び分散途中に分散剤を追加する手法等により、粒子解砕(破砕)条件のマイルド化、及び粒子表面への分散剤による良好な被膜の形成を図り、所望の粒子径の達成、及び粒子の分散安定性の付与が図られている。
近年、粒子の分散技術に関する分野では、より粒子径の小さい粒子、例えば、粒子径が数十ナノメーターから数ナノメーターの高機能性粒子を高粒子濃度で含む分散物を作製するニーズがある。さらに、原料粉がサブミクロンからミクロンサイズの粒子を、例えば、インクジェット用分散インクに含有させる目的で、粒子径を均一に破砕し、かつ、粒子表面に分散剤の均一な被膜を形成させ、粒子の沈降、液粘度上昇(ゲル化)等が抑制された分散安定性の高い分散液を作るニーズがある。しかし、既述のビーズミル分散のマイルド化、分散剤の後添加等の公知の手段によっては、所望の性能が得られない場合がある。
ビーズミル分散以外の分散プロセスの例として、湿式キャビテーションミル、超音波分散手法等を用いるプロセスがあるが、粒子破砕が必要な分散系では、これらの手段は有効性が低く、かつ、高粒子濃度ではハンドリングできない課題が生じるため、ビーズミルに代わる有効な微分散処理が求められている状況である。
サブミクロンからミクロンサイズの粒子を分散の対象とする場合には、微分散処理の前に、混練等の粗分散処理を実施することで、粒子の二次凝集を解砕させて一次粒子として、解砕させて得た一次粒子等に分散剤の被膜を形成することを図ることが重要である。しかし、混練初期における圧縮により、凝集した粒子が強く固まるため、軽度の分散処理では凝集体を解砕させることができないという課題が生じる。
したがって、粒子量(P)に対する分散剤量(D)の比率が低い分散系の場合、及び分散剤の粒子への吸着が弱い場合において、従来の混練手段を適用することができない。つまり、従来公知の粗分散処理では、粒子の2次凝集を解砕しつつ、解砕された粒子と分散剤とを均一に接触させ得る良好な粗分散処理が困難であったため、粒子の破砕を伴う分散を達成できる粒子分散到達レベル、または分散安定性のレベルを上げることができない状況にあった。
インクジェット記録用分散物は印字時の識別性向上、所望の色濃度再現要求、及びインクの塗布量低減等の要求から、分散物の高濃度化要求が高まっている。例えば、錠剤印刷用インクジェット記録用分散物においては、口腔内崩壊錠への印字用途等で、上記要求が高まっている。
インクジェット記録用分散物の製造には、ビーズミル、ロールミル、サンドミル、高圧ホモジナイザー等の装置が一般的に用いられている。
インクジェット記録用途の分野において、インクに使用される色材は、例えば、染料及び顔料が挙げられる。
印刷用途としては、食品、医薬品等を内包する包装体に印刷することの他、食品、医薬品等に直接印字もしくは印画することも行われる。
食品、医薬品に直接印刷する目的においては、印字等に用いられるインク等も経口摂取可能なものでなければならない。例えば医薬品には、医薬品添加物として経口摂取可能な認定材料を使用する必要があるため、使用可能な色材の種類は限られている。また、色材として染料を用いる場合、水溶性を有する点で水系インクの調製が容易である。一方で、染料は、光及び湿度等の影響を受けて褪色又は変色し易く、堅牢性の点で改良の余地がある。
特に、医薬品分野では、製造直後に経口摂取されず、数年経過した後に経口摂取されることが想定され、医薬品用途における認定材料であって堅牢性がより良好な顔料を選択することが望ましいとされている。医薬品のほか、保存食品などについても、堅牢性が良好な色材が所望される点は同様である。
しかし、堅牢性が良好な顔料を色材として用いた場合、既述の如く分散物に含まれる固形分である顔料の分散媒に対する含有比率を増加させると、分散物の濃度が上昇するにつれて粘度が上昇するという問題がある。
分散物の製造方法としては、例えば、ベンガラなどの顔料をインクジェット記録方法にて用いるインク組成物に含有させるための顔料分散方法として、超音波分散を行った後、メディアを用いない高圧ホモジナイザーなどで分散させる方法が提案されている(特開平10−265710号公報参照)。また、着色剤を水洗し、分散媒と混合して高濃度分散液を得て、得られた分散液を希釈液にて希釈した後、ガラスビーズ充填率70容積%の存在下、サンドミルで湿式粉砕し、5Hz〜30kHzの超音波を付与して顔料を分散させることで、高剪断力を付与しないマイルドな条件で分散物を製造するインク組成物の製造方法が提案されている(特開平11−228892号公報参照)。
さらに、特定構造のウレタン系高分子分散剤を用い、分散剤と顔料とをミキサー、ロールミル等で混練りした後、分散媒で希釈するインクジェット用インク及びその製造方法が提案されている(国際公開第2012/042968号)。
しかし、特開平10−265710号公報、特開平11−228892号公報、及び、国際公開第2012/042968号に記載の技術の如く、ビーズミル、ロールミル、サンドミル、高圧ホモジナイザー等の一般に用いられる高剪断力を付加する分散方法を用いて、固形分濃度のより高い分散物、具体的には、例えば、分散物全量に対する固形分の含有量が10質量%以上である分散物を作製した場合、本発明者らの検討によれば、分散媒に対する固形分である粒子の含有率が高くなるにつれ、ビーズミル、ロールミル等の分散手法を用いて分散処理を行った場合も、分散媒が少なく、混合物の流動性が低いために分散が充分に進行しないことが判明した。
よって、インクジェットノズルが詰まらない、所望の粒子径の粒子を含み、粗粒分の発生が抑制され、分散安定性に優れる分散物を作ることが困難であった。また、分散物の粘度上昇は、粗粒分の除去、具体的には、分級、ろ過等を困難にするため、高粒子濃度で液粘度が低い分散液、即ち、粒子粒度分布がシャープで、分散剤が均一被膜粒子の作製が求められていた。特に、インクジェット記録用分散に用いられる顔料は、0.5μmから数μm大の一次粒子からなるものが多いが、高比重であれば100nm前後、低比重であっても300nm以下の平均粒径で、かつ、1μm以上の粗粒分がないシャープな粒子分布に粒子破砕できない場合、インクジェット記録用分散物として適さない。
なかでも、錠剤印刷用インクジェット記録分散物は、可食性の制約から、使用可能な分散剤が制限され、かつ、使用可能な分散剤は粒子への吸着性が低いため、粒子凝集体の均一な破砕だけでなく、破砕された粒子の分散安定性を確保し、分散物の粘度を低くし、かつ、粘度の変化を抑制することが困難であった。
さらに、特開平10−265710号公報、特開平11−228892号公報、及び、国際公開第2012/042968号に記載の技術を適用した場合、粒子が分散剤に十分に被覆されないと、経時により分散物の粘度が増加する傾向が見られた。経時による分散物の粘度上昇は、例えば、分散物を、インクジェット記録方法に用いるインク組成物に適用した場合、吐出不良が懸念され、好ましくない。
本発明の一実施形態の課題は、被分散物である粒子の分散性が良好であり、かつ、経時による粘度の変動が抑制された分散物の製造方法を提供することである。
本発明の別の実施形態の課題は、被分散物である粒子を高濃度で含む場合でも、吐出性が良好であり、経時による吐出不良の発生が抑制されたインクジェット記録方法を提供することである。
上記の課題を解決するための手段は、以下の実施態様を含む。
<1> 無機粒子及び有機粒子から選ばれる少なくとも1種の粒子と、分散剤と、分散媒とを密閉容器内に充填し、密閉容器を振動させながら密閉容器内に充填された物質を混合して混合物を得る工程と、得られた混合物を、ビーズミル分散処理又はボールミル分散処理することで、混合物に含まれる上記粒子の少なくとも一部を粉砕し、かつ、粒子を分散して分散物を得る工程と、を含む分散物の製造方法であり、混合物を得る工程において密閉容器を振動させる際に、密閉容器に与える振動の周波数は50Hz〜70Hzであり、振動の加速度は98m/s以上1962m/s以下であり、かつ、密閉容器内に充填された粒子と分散剤との合計質量が、密閉容器内の充填物の全質量に対して、10質量%〜60質量%であり、分散物全量に対する分散媒の含有量が50質量%〜95質量%である分散物の製造方法。
<2> 上記密閉容器内に充填される上記粒子の量をAとし、上記分散剤の量をBとしたとき、B/Aが下記式1を満たす<1>に記載の分散物の製造方法。
0.05<B/A<1.12 式1
<3> 混合物を得る工程において、密閉容器に与える振動の加速度が294m/s以上である<1>又は<2>に記載の分散物の製造方法。
<4> 混合物を得る工程において、密閉容器に与える振動の加速度が490m/s以上である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の分散物の製造方法。
<5> 分散剤が粉体である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の分散物の製造方法。
<6> 密閉容器の容量が10ml以上500ml未満である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の分散物の製造方法。
<7> 分散物を得る工程におけるビーズミル分散処理又はボールミル分散処理は、分散メディアとしてジルコニアビーズを使用し、ジルコニアビーズ及び分散物が流動する条件で分散する分散処理である<1>〜<6>のいずれか1つに記載の分散物の製造方法。
<8> 分散物を得る工程により得られた分散物の液粘度が100mPa・s以下である<1>〜<7>のいずれか1つに記載の分散物の製造方法。
<9> 粒子の原料の1次粒径が0.3μmより大きく、分散物に含まれる粒子の平均粒径が0.3μm未満であり、かつ5μm以上の粗粒成分を含まない<1>〜<8>のいずれか1つに記載の分散物の製造方法。
<10> 粒子が、黒酸化鉄、赤酸化鉄、黄色酸化鉄、青色2号レーキ色素、酸化チタン、及びカーボンブラックからなる群より選択される少なくとも1種の顔料を含む<1>〜<9>のいずれか1つに記載の分散物の製造方法。
<11> 粒子が、黒酸化鉄、赤酸化鉄、及び黄色酸化鉄からなる群より選択される少なくとも1種の顔料を含み、さらに、分散物を高圧処理する工程を有する<1>〜<10>のいずれか1つに記載の分散物の製造方法。
<12> 分散剤が、医薬品添加物として経口投与可能な分散剤から選ばれる少なくとも1種ある<1>〜<11>のいずれか1つに記載の分散物の製造方法。
<13> 経口投与可能な分散剤が、オイドラギット類、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、及びポリビニルピロリドンから選ばれる少なくとも1種を含む<12>に記載の分散物の製造方法。
<14> 粒子が、無機粒子であるシリカ粒子を含む<1>〜<9>のいずれか1つに記載の分散物の製造方法。
15> 粒子が、無機粒子であるシングルナノ粒子を含む<1>〜<9>、及び<14>のいずれか1つに記載の分散物の製造方法。
16> <1>〜<15>のいずれか1つに記載の分散物の製造方法により分散物を得る工程と、分散物をインクジェット法により吐出して、被記録媒体に画像を形成する工程と、を含むインクジェット記録方法。
本発明の一実施形態によれば、被分散物の分散性が良好であり、かつ、経時による粘度の変動が抑制された分散物の製造方法を提供することができる。
本発明の別の実施形態によれば、顔料を高濃度で含む場合でも、吐出性が良好であり、経時による吐出不良の発生が抑制されたインクジェット記録方法を提供することができる。
以下、本開示における分散物の製造方法、及びインクジェット記録方法について、詳細に説明する。
本明細書において、「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載された数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本明細書において、組成物中の各成分の量は、各成分に該当する物質が組成物中に複数存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
また、本明細書中において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの少なくとも一方を意味し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。
なお、本明細書において被記録媒体に形成される「画像」の語は、既述の分散物により被記録媒体上に形成される記録物を指し、人物、建物、模様、マーク等の絵柄のほか、文字及び数字も包含する意味で用いられる。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
[分散物の製造方法]
本開示における分散物の製造方法は、無機粒子及び有機粒子から選ばれる少なくとも1種の粒子と、分散剤と、分散媒とを密閉容器内に充填し、密閉容器を振動させながら密閉容器内に充填された物質を混合して混合物を得る工程(以下、工程(A)と称することがある)と、得られた混合物に含まれる粒子の少なくとも一部を粉砕し、かつ、粒子を分散して分散物を得る工程(以下、工程(B)と称することがある)と、を含む分散物の製造方法であり、工程(A)において密閉容器を振動させる際に、密閉容器に与える振動の周波数は50Hz〜70Hzであり、振動の加速度(以下、単に加速度と称することがある)は98m/s以上1962m/s以下であり、かつ、密閉容器内に充填された粒子と分散剤との合計質量が、密閉容器内の充填物の全質量に対して、10質量%〜60質量%である。
既述の製造方法により得られる分散物は、被分散物として粒子を含み、粒子が分散剤により分散媒に分散されたものであり、工程(B)において粒子を分散するに先立って、工程(A)において、粒子と分散剤と分散媒とを低周波数であり、かつ、高加速度で振動させながら、密閉容器内の充填物に振動波を伝播させて十分に混合して混合物を作製することで、固形分である粒子の含有量を多くした場合においても、粒子表面に分散剤が均一に付着することになり、引き続き行われる分散処理により得られる分散物の分散性、及び分散の経時安定性が良好となり、経時による分散物の粘度上昇が抑制されると考えられる。
工程(A)において、粗分散処理として密閉容器に粒子と混合物とを投入し、特定の振動の周波数と振動の加速度にて振動を与える。この操作を低周波音響共振エネルギー混合処理と称することがある。本発明者らが鋭意検討した結果、低周波音響共振エネルギー混合処理を、その後の分散処理、好ましくはバレル式ボールミルによる分散処理と組み合わせることで、粒子の含有量が高濃度でも粘度の低い分散物を作製することが可能となった。また、工程(A)により、原料粒子が分散剤により均一に被膜されるため、工程(B)にて行われる、粒子を粉砕する処理に際して発生する粒子破片による凝集体の形成も抑制でき、所望の粒子径までの粒子分散ができ、かつ、得られた分散物は分散安定性の優れるものとなる。
低周波音響共振エネルギー混合処理は、例えば、Resodyn社が開発した混合装置で、周波数60Hz前後の振動を容器毎、上下に高加速力で振動させ、容器内の粉末の固有振動数(60Hz付近)を使い、共振により粒子に高エネルギーを伝搬し、粒子/粒子や粒子/容器の衝突により、混合する処理である。
既述の混合装置は、比重やサイズの互いに異なる粉体同士の混合用に開発された装置であり、粒子と高粘度樹脂の混合用途に展開されてきた経緯がある。鋭意検討した結果、この混合処理を、粒子分散における粗分散処理に適用することで、粒子の2次凝集の解砕及び粒子への分散剤の均一被膜形成が、数分という短時間で可能になり、ナノ粒子や粒子破砕系分散物における高粒子濃度分散、即ち、分散液の低液粘度化及び分散された粒子の凝集抑制が可能になった。振動方式を用いた従来の混合装置として、ペイントシェーカー、振とう器等があるが、これらの混合装置を用いた場合、容器内の粒子へのエネルギー伝搬効率が低く、従って、従来はメディアを介して粒子分散する手法を適用していた。
他方、本開示における低周波音響共振エネルギー混合処理は、粒子そのもの、或いは粒子の凝集体に振動エネルギーを与え、衝突、引きちぎれによる2次凝集解砕、数分〜数十分という短時間での分散剤と粒子との混合、及び分散剤による粒子表面の被膜形成を可能にする手法であり、従来手法と原理も異なる。
また、従来から超音波を用いた分散手法も知られているが、超音波処理は、液体内に気泡を発生させ、その気泡の破裂によって生じる衝撃波によって粒子を破砕させるという手法であり、高周波であるがゆえに、波の減衰により混合の有効性は低く、デリケートな粒子、特に、ダメージを受けると機能性が低下する原料を対象とした場合、分散剤被膜ができていない状況で粒子にダメージを与えてしまう課題があった。
しかし、本開示における低周波音響共振エネルギー混合処理では、条件、例えば、加速度、粒子濃度、処理時間等を最適化することで、デリケートな粒子でもダメージを与えず、分散剤と均一混合することができる点が、超音波処理、或いは、ビーズ入れ振動方式混合機を用いる処理とは異なる。
また、工程(B)における分散処理、好ましくは、ボールミル分散処理は、従来、ボール(大きなビーズ)を用いて、低い回転数で容器を回転させることで、ビーズの容器の壁面からの落下を使い、粒子粉砕を行う手法である。これに対して、本開示における低周波音響エネルギー混合処理による粗分散処理を行うことで、高粒子濃度で、沈降がなく、低粘度な分散物を作ることができ、ボールミル分散に使用するビーズの粒子径を小さくし、衝撃力を低下させ、回転数を調整し、ビーズを容器の壁面に貼りつけながら、容器、例えば、外壁の段差、回転軸等を選択することにより、容器毎、微振動させ、ビーズの微振動のよる流動により、市販されているビーズミル分散機よりマイルドなビーズ分散の実施を可能とした。
さらに、分散に使用する容器内の分散物の量、メディアとしてのビーズ量、回転数等を適宜、選定することで、粒子を破砕しつつ、その粒子破砕した破片からなる造粒体を形成し、分散剤による被膜形成が不十分な微粒成分の生成を抑制し、粒度分布がシャープで、分散安定性の優れる分散物を得ることができたと考えている。
本開示の製造方法において、粒子として可食顔料を使用し、可食顔料の分散に、本発明の一実施形態の分散物の製造方法を適用することにより、食品、医薬品等の経口摂取が可能な物質に文字、画像を記録するためのインクジェット記録方法を実施することができる。
なお、上記本開示の分散物の製造方法は、インクジェット記録方法のみならず、粒子を安定的に分散することを必要とする各種の用途に適用することができる。
公知の分散物の製造方法では、粒子の分散に高剪断力を付与すること、例えば、ジルコニアビーズを用いてシリカ粒子を分散しようとする場合、シリカ粒子がビーズ分散処理により破砕されることがある。
他方、本開示の分散物の製造方法によれば、シリカ粒子を被分散物として用いた場合でも好適に分散物を製造することができる。このため、分散物の製造方法は、例えば、反射防止膜の製造にも有用である。
以下、本発明の一実施形態の分散物の製造方法に用い得る各成分について詳細に説明する。
−無機粒子及び有機粒子から選ばれる少なくとも1種の粒子−
分散物の製造方法における被分散物として、無機粒子及び有機粒子から選ばれる少なくとも1種の粒子(以下、単に「粒子」と称することがある)を用いる。
被分散物としての粒子には特に制限はなく、分散物の目的に応じて適宜選択することができる。
例えば、可食インク等に用いる分散物を製造する場合には、粒子として可食顔料を用いることができる。
本明細書における「粒子」は、一次粒子であってもよく、2以上の粒子の集合体である二次粒子であってもよい。いずれの粒子であっても、以下に詳述する本開示における分散物の製造方法に適用することができる。
(無機粒子)
無機粒子としては、公知の無機粒子であれば特に制限なく用いることができる。
例えば、無機粒子としては、カーボンブラックなどの無機顔料、バリウムフェライトなどの金属粒子、酸化チタン、酸化銅、酸化ケイ素(シリカ)、酸化鉄などの金属酸化物粒子等が好ましく挙げられる。
無機顔料としては、黒酸化鉄、赤酸化鉄、黄色酸化鉄、酸化チタン、及びカーボンブラックからなる群より選択される少なくとも1種の顔料を含むことが好ましく、黒酸化鉄、赤酸化鉄、及び黄色酸化鉄からなる群より選択される少なくとも1種の顔料を含むことがより好ましい。
その他の無機粒子としては、シリカ(酸化ケイ素)、炭酸カルシウム、タルク、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カオリナイト等が挙げられる。
なかでも、シリカ粒子は例えば、防汚膜、反射防止膜などの製造に有用な粒子であるが、分散時にジルコニアビーズによるビーズミル、2本ロール或は3本ロールなどのロールミルにて分散すると、応力により粒子が破砕されることがある。シリカ粒子が破砕された場合、所望されない破砕微粒子の凝集が生じ、破砕微粒子の凝集体に起因して分散物を用いて得られる膜の透明性が低下することがある。
本開示における分散物の製造方法によれば、シリカ粒子を破砕することなく分散し得るという利点を有する。特に、分散が困難なナノシリカ粒子に適用した場合、本開示における分散物の製造方法の効果が著しい。
このため、分散物に含まれる粒子が、無機粒子であるシリカ粒子を含むことが好ましい。
また、粒子が、無機粒子であるシングルナノ粒子を含むことが好ましい。
なお、本明細書において「シングルナノ粒子」とは、平均粒子径が10nm未満の粒子を指す。
(有機粒子)
有機粒子には特に制限はなく、公知の有機粒子を適宜使用することができる。
有機粒子としては、例えば、有機フィラーとして有用な、合成樹脂粒子、天然高分子粒子等、有機顔料などが挙げられる。
有機粒子としては、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリウレア、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、デンプン、キチン、キトサン等の樹脂の粒子が挙げられ、好ましくはアクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の樹脂の粒子が挙げられる。
また、強度を必要とする場合には、有機樹脂粒子は、架橋された樹脂の粒子であることが好ましい。架橋された有機樹脂粒子としては、例えば、架橋されたアクリル樹脂粒子、架橋されたメタクリル樹脂粒子、架橋されたポリスチレン樹脂粒子等が挙げられる。
有機顔料としては、フタロシアニン顔料、ピロロピロール顔料、キナクリドン顔料等が挙げられる。
(可食顔料)
可食顔料としては、黒酸化鉄、赤酸化鉄、黄色酸化鉄、食用赤色2号アルミニウム(AL)レーキ、食用赤色3号アルミニウムレーキ、食用赤色40号アルミニウムレーキ、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用黄色5号アルミニウムレーキ、食用緑色3号アルミニウムレーキ、食用青色1号アルミニウムレーキ、食用青色2号アルミニウムレーキ、酸化チタン、竹炭、備長炭などの顔料が挙げられる。
例えば、黒酸化鉄は、乾燥粉の状態で黒色の鉄の酸化物であり、四酸化三鉄(Fe)を主成分とする。医薬品用として上市されている黒酸化鉄を用いてもよい。
さらに、可食顔料としては、それぞれ適切な粒径を有する市販品を用いてもよい。
市販品としては、三二酸化鉄(赤酸化鉄、Fe;癸巳化成(株)、薬添規)、黄色三二酸化鉄(Fe・HO;癸巳化成(株)、薬添規)、(青色2号ALレーキ(ダイワ化成(株)、食品添加物)、赤色3号ALレーキ(ダイワ化成(株)、食品添加物)、酸化チタン(和光純薬工業(株)、医薬品グレード)、竹炭末(ブラックB、ブラックBS、癸巳化成(株)、食品加工用途)等が挙げられる。
分散物中の粒子の粒径には特に制限はないが、例えば、散乱光により測定した平均粒子径で5nm以上400nm以下の範囲の平均粒子径を有している粒子を用いることができる。
平均粒子径が上記範囲であることで、分散性、分散の経時安定性及びインクジェット法で吐出する場合の吐出性が良好な分散物を得ることができる。
なお、本明細書における平均粒径は、分散物に含まれる粒子の粒子径に基づき、後述する分散剤が粒子表面の少なくとも一部に付着した状態の粒子の粒子径に基づく平均粒径を指す。
可食顔料をインクジェット用分散物に用いる場合における可食顔料粒子の平均粒子径は、80nm以上280nm以下の範囲が好ましく、100nm以上200nmの範囲がより好ましい。
上記の平均粒子径は、表面の少なくとも一部が分散剤で被覆された状態の粒子の平均粒子径であり、以下の方法で求めることができる。
本明細書における粒子の平均粒子径は、粒子と分散剤と分散媒とを少なくとも含有する分散物を後述の方法により調製し、調製された分散物をイオン交換水で100倍に希釈した希釈液に対して、ゼータサイザーナノZS(スペクトリス社製)を用い、動的光散乱法により求めた粒子径を用いて、キュムラント法で解析された流体力学的直径である平均粒子径(Z−Average.(d.nm);キュムラント平均径ともいう。)を採用している。
また、分散物の調製前の粒子としては、原料粉を粉砕処理などにより破砕して、予め定めた粒子径分布を持つ粒子を用いることもできる。
分散物の調製前の粒子の平均粒子径としては、特に制限はなく、平均1次粒子径で例えば、10μm以下の範囲で選択することができ、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは500nm以下である。また、粒子の平均1次粒子径は、2nm以上が好ましく、より好ましくは50nm以上である。
平均1次粒子径が上記範囲において、分散物中における分散粒子の平均粒子径が既述の好ましい範囲である平均粒子径80nm〜400nmの範囲を満たすのに適している。また、平均1次粒子径が10nm以上、好ましくは50nm以上であると、分散物を調製する際の粒子の取扱い性に優れる。
本明細書において原料となる粒子の平均1次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察又は走査型電子顕微鏡(SEM)観察により400個以上の粒子の円相当径を測定し、測定値を算術平均(数平均)して求められる。円相当径とは、観察される酸化鉄粒子の2次元形状の面積と同一面積に相当する円の直径をいう。
粒子は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
分散物中における粒子の含有量は、分散物の使用目的に応じて適宜選択される。例えば、インクジェット記録方法に適用する分散物である場合には、分散物の総量に対する粒子の含有量は、2質量%〜40質量%が好ましく、5質量%〜20質量%がより好ましく、5質量%〜15質量%がさらに好ましい。
粒子の含有量が上記範囲において、画像の形成に適した着色濃度が得られやすく、分散の経時安定性がより良好となり、インクジェット記録方法に適用した場合のインク吐出性に適した粘度に調製しやすい。
−分散剤−
分散物の製造に用いる分散剤には特に制限はなく、公知の分散剤、例えば、界面活性剤、高分子分散剤などから適宜選択して用いることができる。
分散剤としては、分散安定性の観点から、高分子分散剤が好ましく、工程(A)にて混合物を調製する際に粒子に付着しやすく、工程(B)における分散処理にて粒子より脱離し難く、分散安定性がより良好になるという観点から、分散剤が粉体であることが好ましい。
また、可食顔料を用いて、経口可能な食品及び医薬品等に適用可能な分散物を得る場合には、分散剤としては、医薬品添加物として経口投与可能な分散剤から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
医薬品添加物として経口可能な分散剤としては、例えば、「医薬品添加物事典2007」(編集:日本医薬品添加剤協会、2007年7月25日第1刷発行)及び「医薬品添加物事典2016」(編集:日本医薬品添加剤協会、2016年2月第1刷発行)等において経口投与可能と記載されている分散剤が挙げられる。
経口投与可能な分散剤としては、具体的には、例えば、以下に詳述するオイドラギット類(アンモニオアルキルメタクリレートコポリマー、メタクリル酸コポリマー等)、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等が好ましく挙げられる。
以下、分散物の製造方法に好適に用いることができ、経口投与可能な高分子分散剤の例を挙げて詳細に説明するが、分散剤は以下に記載の化合物に限定されない。
黒酸化鉄、赤酸化鉄、及び黄色酸化鉄に好適な分散剤としては、アミノ基及び第4級アンモニウム基の少なくとも一方を有する高分子分散剤が好ましい。
分散物に含まれる粒子は、アミノ基及び第4級アンモニウム基の少なくとも一方を有する高分子分散剤(以下、特定高分子分散剤と称することがある)によって表面の少なくとも一部が被覆されることにより、粒子の分散安定性がより良好となり、分散物をインクジェット記録方法に適用するインク組成物として用いた場合の吐出時の吐出性及び吐出安定性がより向上する。この効果は、粒子として金属粒子、金属酸化物粒子など無機粒子、或は、分子内に、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基等のイオン性極性基、含窒素官能基等の官能基を有する樹脂で形成された有機粒子に適用したときにより顕著となる。
これは、高分子分散剤が有するアミノ基及び第4級アンモニウム基が、無機粒子と静電的な相互作用を形成したり、金属酸化物粒子又は有機粒子に含まれる官能基と水素結合性の相互作用を形成したりすることで、高分子分散剤が粒子表面により吸着し易くなるためと考えられる。
特に、第4級アンモニウム基は、金属酸化物粒子の表面との静電的な相互作用による吸着力が強く、さらに第4級アンモニウム基を含む高分子分散剤により表面の少なくとも一部が被覆された粒子間には荷電反発作用が働き、分散を安定化させる効果がより高くなると考えられる。金属酸化物粒子の分散の安定化効果は、無機粒子として酸化鉄粒子を用いた場合に、より顕著となる。
特定高分子分散剤は、アミノ基及び第4級アンモニウム基の少なくとも一方を有する高分子化合物の中から粒子の分散に適した化合物より選択すればよい。本明細書における特定高分子分散剤は、一般的な高分子分散剤として知られているもののみならず、例えば、医薬品のコーティング剤として用いられる高分子化合物から適切な化合物を選択して用いることもできる。
特定高分子分散剤が含むことができるアミノ基は、アンモニア、1級アミン、又は2級アミンから水素原子を除去した1価の官能基を意味し、これらのいずれであってもよい。
特定高分子分散剤が含むことができる第4級アンモニウム基は、第4級アンモニウムカチオン又は第4級アンモニウム塩由来の基であることが好ましい。
特定高分子分散剤は、複数のモノマーの共重合体であってもよい。即ち、特定高分子分散剤は、アミノ基及び第4級アンモニウム基の少なくとも一方を有するモノマーと、アミノ基及び第4級アンモニウム基のいずれも含まないモノマーとの共重合体とすることができる。この場合、共重合成分であるアミノ基及び第4級アンモニウム基のいずれをも含まないモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル等を挙げることができ、これらのモノマーを共重合成分として含む共重合体であってもよい。
以下に、特定高分子分散剤に含まれ得るモノマーの具体例を挙げるが、特定高分子分散剤に含まれ得るモノマーは、以下の記載に限定されない。
アミノ基及び第4級アンモニウム基の少なくとも一方を有するモノマーとしては、アクリル酸トリメチルアンモニウムエチル又はメタクリル酸トリメチルアンモニウムエチルの塩、アクリル酸トリエチルアンモニウムエチル又はメタクリル酸トリエチルアンモニウムエチルの塩、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等が挙げられる。
アミノ基及び第4級アンモニウム基のいずれをも含まないモノマーとしては、アクリル酸コポリマー(オイドラギットL100、オイドラギットS100)、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
以下に、アミノ基及び第4級アンモニウム基の少なくとも一方を有する特定高分子分散剤の具体例を挙げるが、特定高分子分散剤は、以下の記載に限定されない。
アミノ基を有する高分子分散剤の例としては、アミノアルキルメタクリレート共重合体、ゼラチン等が挙げられる。
アミノアルキルメタクリレート共重合体としては、市販品を用いることができる。市販品としては、エボニック ジャパン(株)のオイドラギット(登録商標)E100、オイドラギットEPO(メタクリル酸メチル/メタクリル酸ブチル/メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体)等を挙げることができる。
ゼラチンには、酸処理ゼラチン及びアルカリ処理ゼラチン等が挙げられるが、粒子の分散に用い得るゼラチンとしては、アルカリ処理ゼラチンが好ましい。アルカリ処理ゼラチンは、市販品を用いてもよい。市販品の例としては、新田ゼラチン(株)のアルカリ処理ゼラチン等を挙げることができる。
第4級アンモニウム基を有する高分子分散剤としては、第4級アンモニウム基を含む(メタ)アクリル系共重合体が好ましく、第4級アンモニウム基を含むアルキル(メタ)アクリレート共重合体(アンモニオアルキル(メタ)アクリレートコポリマー)がより好ましい。
第4級アンモニウム基を含むアルキル(メタ)アクリレート共重合体(アンモニオアルキル(メタ)アクリレートコポリマー)としては、少なくとも、(メタ)アクリル酸アルキルエステルに由来の構造単位と(メタ)アクリル酸アルキルアンモニウム塩に由来の構造単位とを含む共重合体が好適であり、更には、(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸エチルから選ばれる少なくとも一つのモノマーに由来の構造単位と(メタ)アクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルに由来の構造単位とを含む共重合体がより好ましい。
第4級アンモニウム基を含むアルキル(メタ)アクリレート共重合体の具体例としては、アクリル酸エチル/メタクリル酸メチル/メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体等を挙げることができる。
第4級アンモニウム基を有する高分子分散剤は市販品を用いてもよい。市販品としては、エボニックジャパン(株)のオイドラギット(登録商標)RLPO、オイドラギットRSPO、オイドラギットRL100、オイドラギットRL30D、オイドラギットRS100、オイドラギットRS30D等を挙げることができる。
第4級アンモニウム基を有する高分子分散剤の中でも、アクリル酸エチル/メタクリル酸メチル/メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体は特に好ましい。
特定高分子分散剤は、常温(25℃)で固体であることが好ましく、40℃、100gの水に対する溶解度が3g以下であることが好ましい。粒子を分散処理する際に、特定高分子分散剤が粒子の表面に吸着することによって粒子の分散性、及び分散安定性が得られる。特定高分子分散剤の水への溶解性が低いことにより、分散媒中において、特定高分子分散剤が粒子から水を含む分散媒へ脱離することを抑制し易くなる。このため、分散された粒子の再凝集を起こし難く、分散安定性がより向上する。特定高分子分散剤は、水への溶解性が低いことが好ましいが、水膨潤性を有し、水に膨潤するものであってもよい。
粒子と分散剤との含有比率は、粒子の含有量をAとし、分散剤の含有量をBとしたとき、粒子の含有量に対する分散剤の含有量(B/A:質量比)は、下記式1を満たす範囲にあることが好ましい。
即ち、以下に詳述する工程(A)において、密閉容器内に充填される粒子の量をAとし、分散剤の量をBとしたとき、粒子の量に対する分散剤の量(B/A:質量比)は下記式1を満たすことが好ましい。
0.05<〔B/A〕<1.12 式1
工程(A)における各成分の充填については以下に詳述する。
−分散媒−
分散物は、分散媒を含有する。
分散媒としては、水、有機溶剤、光重合性モノマー等の重合性化合物が挙げられ、特に制約はない。
分散媒として使用し得る重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物であっても、カチオン重合性化合物であってもよいが、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。
カチオン重合性化合物としては、特に制限はなく、公知のカチオン重合性化合物を用いることができる。なかでも、硬化性及び耐擦過性の観点から、エポキシ環を有する化合物、オキセタン環を有する化合物及びビニルエーテル化合物が好ましく挙げられ、エポキシ環を有する化合物及びオキセタン環を有する化合物がより好ましく挙げられる。
ラジカル重合性化合物としては、特に制限はなく、公知のエチレン性不飽和化合物を用いることができる。なかでも、(メタ)アクリレート化合物、ビニルエーテル化合物、アリル化合物、N−ビニル化合物、不飽和カルボン酸類等が例示できる。
分散媒として使用し得る重合性化合物の具体例としては、例えば、特開2009−221414号公報に記載のラジカル重合性モノマー、特開2009−209289号公報に記載の重合性化合物、特開2009−191183号公報に記載のエチレン性不飽和化合物が挙げられる。
分散物を可食用途に使用する場合には、分散媒が水を含むことが好ましい。水としては、不純物が少ないという観点から、イオン交換水、純水、超純水などを用いることができる。なお、イオン交換水と同等の純度を有する水であれば上記の例に限定されない。
可食のインクジェット用分散物において、分散媒としての水の含有量には特に制限はないが、分散物の保存安定性がより良好となるという観点から、分散物の全質量に対して、15質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上95質量%以下がより好ましく、70質量%以上95質量%以下がさらに好ましい。
分散媒に用い得る水溶性有機溶剤としては、プロピレングリコール、グリセリン等の可食性アルコールが挙げられる。なかでも、水性有機溶媒としては、入手が容易で、インクなどに適用した場合の分散物の保湿性が良好である点で、プロピレングリコール又はグリセリンが好ましい。
分散媒として水性有機溶媒を用いる場合の含有量としては、分散物の全質量に対して、0.5質量%以上40質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
分散物は、分散媒を1種のみ含んでもよく、2種以上を含んでもよい。
分散媒の総含有量としては、分散物の全質量に対して、50質量%以上95質量%以下が好ましく、60質量%以上95質量%以下がより好ましく、70質量%以上95質量%以下がさらに好ましい。
分散物は、粒子、分散剤及び分散媒に加え、効果を損なわない範囲において、分散物の用途に応じて種々の添加剤(以下、他の成分と称することがある)を含むことができる。
他の成分として、例えば、粒子以外の色材、分散剤以外の高分子成分及び界面活性剤、キレート剤、防黴剤、乳化安定剤、褪色防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤等が挙げられる。
なお、分散物を経口投与する成分として用いる場合には、他の成分は、経口投与が可能な化合物から選択することが好ましい。
既述の粒子以外の色材としては、特に制限はなく、従来公知の合成食用色素、天然食用色素から適宜選択することができる。分散物を経口投与可能なものとするためには、可食性の色材を用いればよい。
粒子以外の色材である合成食用色素及び天然食用色素としては、特開2015−3883号公報の段落番号[0013]〜[0014]に記載の色材のうち、無機粒子及び有機粒子に包含されない色材を適宜選択して用いることができる。
分散剤以外の高分子成分には特に制限はない。高分子成分としては天然樹脂が好ましい。分散物を、経口投与可能なものとするためには、高分子成分として可食性の高分子成分を選択すればよい。天然樹脂としては、パームヤシ類等が挙げられる。他の樹脂成分として、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ビートサポニンシラノール等が挙げられる。分散剤以外の高分子成分は、例えば、分散物の粘度調整などに使用することができる。
分散物が、分散剤以外の高分子成分を含有する場合の含有量としては、分散物の全質量に対して、0.3質量%以上15質量%以下が好ましい。
分散剤以外の界面活性剤は、分散物の表面張力を適正な範囲に調整するために用いることができ、インクジェット法で吐出する際の分散物の吐出性をより向上させるために有用である。
分散剤以外の界面活性剤としては、コハク酸モノグリセリド、ダイズサポニン、エリスリトール、ポリグリセリン脂肪酸エステル、キラヤサポニン、バリウム塩化物水和物、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、酵素処理レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、等が挙げられる。
例えばソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタン脂肪酸エステルにエチレンオキシドが約20分子縮合したポリソルベート類(ソルビタン脂肪酸エステルのポリオキシエチレンエーテル)が挙げられる。ポリソルベート類の例としては、脂肪酸の違いから例えば、ポリソルベート20(ラウリン酸エステル)、ポリソルベート60(ステアリン酸エステル)、ポリソルベート80(オレイン酸エステル)、ポリソルベート65(ステアリン酸エステル)等が挙げられる。
分散物が、界面活性剤を含有する場合の含有量としては、分散物の全質量に対して、0.01質量%以上3.0質量%以下が好ましい。
また、分散物を可食用途に使用する場合には、さらに、以下の可食性添加剤を含んでもよい。
可食性添加剤の例として、フラボノイド類、ラウリン酸プロピレングリコール、ポリビニル、ローズマリー類、ジオレイン酸プロピレングリコール、グリセリン二酢酸エステル、アエロジル(登録商標:フュームドシリカ、エボニック社製)、リン酸水素二ナトリウム、ステアリルモノグリセリジル、クエン酸エステル、ピロリン酸四ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、グアーガム、アミロペクチン、ペクチン、クマリンドガム、キサンタンガム、メタリン酸カリウム、酵素処理大豆サポニン、動物性ステロール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、クエン酸等が挙げられる。
これらの添加剤は、単独で用いてもよいし複数種を併用してもよい。
分散物のpH(25℃)としては、特に制限はなく、各種の顔料の性質により、分散性に優れるpHに調整するのが好ましい。
本明細書における分散物のpHは、pHメーターWM−50EG(東亜DDK(株)製)を用いて25℃で測定される値である。
<分散物の製造方法>
以下、既述の成分を用いた分散物の製造方法いついて、工程別に詳細に説明する。
(無機粒子及び有機粒子から選ばれる少なくとも1種の粒子と、分散剤と、分散媒とを密閉容器内に充填し、密閉容器を振動させながら密閉容器内に充填された物質を混合して混合物を得る工程:工程(A))
工程(A)では、粒子と、分散剤と、分散媒とを密閉容器内に充填する。密閉容器内に充填された粒子と分散剤との合計質量は、密閉容器内に充填される物質の全質量に対して、10質量%〜60質量%であり、20質量%〜40質量%が好ましい。
密閉容器内の粒子と分散剤との合計含有量が上記範囲であることで、密閉容器内における固体と液体(分散媒)とのバランスが良好となり、分散処理前の混合物の調製において、粒子と分散物とが十分に混合され、密に接触することで、引き続き行われる分散処理において近傍に存在する分散剤が粒子表面に吸着しやすくなり、得られる分散物の分散性、分散安定性がより良好となる。
粒子、分散剤及び分散媒を充填した密閉容器は振動を与えられ、密閉容器内に充填された物質が混合されて混合物が調製される。
なお、密閉容器内に充填される各成分の詳細は既述の通りである。
密閉容器としては、粒子、分散剤、及び分散媒を充填し、振動を与えた場合に内容物が漏れたり、容器が破損したりしない密閉性、強度、耐久性等を有すれば特に制限はなく、公知の容器を適宜使用することができる。
容器の素材としては、合成樹脂、金属等から適宜選択できる。内容物の視認性の観点から合成樹脂が好ましい。合成樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル樹脂、ポリエチレン(PE)等が挙げられる。
密閉容器の容量は、取り扱い性が良好であり、より均一な混合物が容易に調製し得るという観点から、10ml以上500ml未満が好ましく、100ml以上500ml以下がより好ましい。
密閉容器は市販品を用いてもよく、市販品としては、ニッコー・ハンセン(株)のPPクリアジャー(容量:125ml、250ml、400ml)、などが挙げられる。PPクリアジャーは、PP製の容器と、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)製中栓と、既述のPP製容器をねじ込みにより密閉できるPP製ねじ式キャップと、を備える密閉容器である。
既述のように、工程(A)において、密閉容器内に充填される粒子の量をAとし、分散剤の量をBとしたとき、A/B、即ち、粒子の量に対する分散剤の量(B/A:質量比)は下記式1を満たすことが好ましい。
0.05<B/A<1.12 式1
なお、分散物に含まれる分散剤の含有量Bは、分散物中において、粒子を被覆している分散剤と、粒子に吸着せず分散媒中に遊離している分散剤との合計量を指す。
式1において、B/Aが0.05以上であると、粒子の量に対する分散剤の量が適切な範囲となり、混合物を調製した後、分散処理する際の分散性がより良好となる。分散剤の質量比が多くなると分散される粒子の粒子径を小さくし易いが、その一方で、粒子を分散し難くなる傾向がある。そのため、B/Aを1.12以下に抑えることが好ましい。上記範囲において、分散し易く、かつ、得られた分散物の分散性の経時安定性がより良好となる混合物が調製される。
なお、B/Aとしては、上記と同様の理由から、下記式2を満たす範囲がより好ましく、下記式3を満たす範囲が更に好ましい。
0.1≦B/A≦1 式2
0.1≦B/A≦0.7 式3
なお、容器に各成分を投入する順には特に制限はない。粒子と分散剤とを、より良好な条件で接触させ得るという観点からは、容器内にまず粒子を投入し、次に分散剤を投入し、その後、分散媒を投入することが好ましい。
粒子、分散剤、分散媒、及び所望により含有させるその他の成分を充填した密閉容器を振動させて、内容物の混合物を調製する。分散処理に先立ち、低周波であり、かつ、高加速度で各成分を充填した密閉容器を振動させることで、密閉容器内において粒子と分散剤とが均一に混合される。さらに、振動が付与されることにより、粒子と分散剤との接触がより密に頻度高く行われることで、得られた混合物中の粒子は、十分に分散剤と接触され、より分散性に優れると考えられる。
密閉容器を振動させる際に、密閉容器に与える振動の周波数は50Hz〜70Hzであり、55Hz〜65Hzが好ましい。
周波数が55Hz〜70Hzであることで、混合が十分に行なわれ、粒子と分散剤が十分に接触するため、好ましい。
また、振動の加速度は98m/s以上1962m/s以下であり、294m/s以上が好ましく、490m/s以上がより好ましく、784m/s以上がさらに好ましい。
加速度は1962m/s以下であり、1471.0m/s以下が好ましく、980.7m/s以下がより好ましい。
加速度が98m/s未満であると、混合が不十分となり、好ましくない。
また、得られる分散物における粒子の分散性がより良好となるという観点からは、加速度は294m/s〜1471.0m/sが好ましく、490m/s〜980.7m/sがより好ましい。
なお、既述の周波数、加速度、及び後述の処理時間等の各条件は、使用する粉体のサイズ、比重、硬さ及び分散剤の含有量、粒子と分散剤との含有比率(B/A:質量比)によって、適宜、検討し、調整することが好ましい。
例えば、粉体自体が、衝撃によりダメージを受けて、高機能性が損なわれるものについては、密閉容器に与える振動の加速度は294m/s〜784m/sの範囲に設定することが好ましい。さらに、より粒子が破砕されやすい粒子、例えば、ALレーキ顔料等を被分散物とする場合、当初の粒子の粒径がミクロンサイズであり、この場合には、密閉容器に充填する粒子濃度を下げることも併せて行うことが好ましい。既述の調整を行うことにより、引き続き行われる粒子を分散する処理において過分散等の好ましくない事態の発生を抑制することが可能となる。
粒子として、ナノ粒子、特に、シングルナノ粒子を用いる場合には、微細粒子の2次凝集体を解砕する目的で、密閉容器に与える振動の加速度は、高加速度、例えば、784m/s〜980.7m/sに設定することが好ましい。一方、加速度の付与により損傷を受けやすい粒子を用いる場合には、分散剤の含有量を相対的に増やすこと、振動を与える処理時間を短く設定すること、の少なくともいずれかを行うことが好ましい。
振動の付与は、公知の方法により行うことができる。例えば、低周波音響共振エネルギー混合装置RAM(Resodyn Acoustic Mixers, Inc.社製)を用いて、内容物が充填された密閉容器に振動を付与することができる。既述の装置によれば、加速度を、適宜調整することができる。
密閉容器を振動させる時間は、10秒間〜5分間が好ましく、1分間〜4分間がより好ましく、2分間〜3分間がさらに好ましい。
また、温度条件としては、処理開始前温度(室温、より具体的には23℃〜28℃)に対して、処理後の温度が40℃未満であることが好ましい。既述の好ましい温度条件で振動処理を実施することで、熱による内容物の変質も抑制することができる。
既述のように、工程(A)において、密閉容器内に充填され、特定の条件で振動処理されることで、粒子、分散剤、分散媒と、及び所望により含有されるその他の成分を含む均一な混合物が得られる。
なお、所望により含有されるその他の成分を含有させる時期は任意であり、工程(A)のみならず、後述する工程(B)において含有されてもよく、工程(B)の後で含有されてもよい。
(得られた混合物に含まれる上記粒子の少なくとも一部を粉砕し、かつ、上記粒子を分散して分散物を得る工程:工程(B))
既述のようにして得られた少なくとも、粒子、分散剤、及び分散媒を含む混合物は、工程(B)において、混合物中に含まれる粒子の少なくとも一部を粉砕し、かつ、粒子を分散して分散物を得る。
粒子の粉砕及び分散は、剪断力を付与し得る公知の装置を用いて行うことができる。剪断力を付与しうる装置としては、例えば、ボールミル、ロールミル、ビーズミル、撹拌翼を有する撹拌装置等が挙げられる。
なお、工程(B)における「粒子の少なくとも一部を粉砕し、かつ、粒子を分散する」とは、一次粒子の少なくとも一部を粉砕し、かつ、粉砕物を分散させること、二次粒子の凝集を分解させ、一次粒子として分散させることのいずれも含む。
なお、粒子の粉砕、分散処理に先立ち、混合物を水などの溶媒で希釈し、撹拌して粒子の含有量をより少なくした粗分散液を調製する工程を行ってもよい。
工程(A)の後に、溶媒を添加して粒子濃度を下げることにより、粒子間距離を所望の程度に拡げ、粒子への分散剤の吸着を促進することができる、液の流動性をより向上させ、液収率を上げることができる、また、容器内での乾燥(溶媒蒸発)による凝集物発生を抑制し、手振り程度の振とうにより、容易に分散物の分散性を良好な状態に戻すことができる、等の利点がある。このため、混合物を希釈すること、希釈した後に手振りなどにより低い圧力で振動を付与したり、低応力で撹拌したりして粗分散液を調製する工程を実施することが好ましい。
希釈は、例えば、分散媒として用いられる水などを添加して行うことができる。希釈後の粒子の含有量は、その後の分散処理方法に応じて適切な値とすることが好ましい。例えば、粒子をビーズミルなどで粉砕、分散処理する場合には、粗分散液における粒子の含有量を5質量%〜20質量%の範囲とすることができる。
工程(B)では、工程(A)を経て得られた混合物又は混合物を希釈した粗分散液を用いて、粒子を分散剤の存在下で分散媒中において、粉砕、分散処理を行ない、表面の少なくとも一部が分散剤により被覆された粒子の分散物を調製する。
分散の条件は、混合物又は分散物が含有する分散剤の種類及び量、分散方法により調製することができる。
本開示における分散物の製造方法では、十分に予備混合された混合物を用いて、分散剤の存在下で粒子が分散され、これにより、粒子の分散性、分散性の経時安定性が良好な分散物を得ることができる。既述の方法により得られた分散物は、粒子表面に分散剤が強固に付着しており、経時後も、分散剤が粒子より遊離して分散媒中に溶出することが抑制されるため、分散物、或は分散物を含有するインク組成物をインクジェット記録方法により吐出した場合の吐出性及び吐出の経時安定性がより良好となる。
工程(B)において分散剤の存在下、粒子を分散媒中に粉砕し、分散する。分散処理の条件を制御することによって、分散安定性がより良好な分散物が得られる。
分散は公知の方法で行うことができ、例えば、分散メディア(分散媒体)を用いて粒子を分散処理する方法が挙げられる。
即ち、工程(B)は、粒子の分散性により優れる観点から、メディアミルを用いて粒子の少なくとも一部を粉砕し、かつ、粒子を分散する工程を含むことが好ましい。
メディアミルを用いた方法としては、例えば、ビーズミル、ボールミル、タワーミル等を用いた方法が挙げられる。
これらの中でも、ボールミル、ビーズミル等を用いることが好ましく、循環型のビーズミル、又はボールミルを用いた方法がより好ましい。
メディアミルを用いる場合の分散の条件は、分散液とメディアとの体積比率、メディアの種類、メディアの粒径、分散時間等を調整すること、或は、後述するように、段階的に複数回の分散処理を行う複数段分散の場合の段数等を制御することで適宜、調節することができる。
分散メディアは、被分散体である粒子を分散させるために用いる分散媒体であり、0.03mm〜2.0mm程度の粒径の、いわゆるビーズと称される粒体をメディアとして用いることができる。メディアとしては、例えば、ガラスビーズ、ジルコニアビーズ等の公知の分散メディアを適宜選択することができる。なお、以下、分散メディアを「ビーズ」と称することがある。
なお、「メディア径(メディアの粒径)」とは、球状メディア(例えば球状ビーズ)の場合は、メディア(例えばビーズ)の直径を意味し、非球状メディア(非球状ビーズ)の場合は、透過型電子顕微鏡(TEM)又は走査型電子顕微鏡(SEM)の観察像から複数個のメディア(例えばビーズ)の円相当径を測定し、測定値を算術平均して求められる直径を指す。円相当径とは、観察される粒子の2次元形状の面積と同一面積に相当する円の直径をいう。
従来の分散方法である、既述の予備混合を行わず、ビーズを用いたボールミル分散のみを行なう場合は、低い回転数で容器を回転させることで、ビーズを容器の壁面から中心部へと移動させる際の衝撃を利用して顔料を粉砕していた。これに対して、本開示における分散処理では、後述する如き容器を比較的速い回転数で回転させることで、遠心場によりビーズを容器の壁面に貼り付かせた状態でビーズの微振動により顔料等の粒子をマイルドに粉砕させる手法を用いている。
本開示の上記手法を用いることにより、粒子同士の衝突による凝集を極力抑えた上で、分散剤を粒子表面に均一に被膜させながら粉砕させ、粗大粒子成分の少ない分散物の作製を可能としたと考えている。
ミルを用いて粒子の粉砕及び分散を行う場合の回転数は、使用する装置により適宜選択すればよい。例えば、ボールミルを用いる場合は、容器回転数を50rpm(回転/分)以上2000rpm以下とすることができ、100rpm以上400rpm以下とすることがより好ましく、100rpm以上250rpm以下とすることがさらに好ましい。なお、本明細書における容器回転数とは、容器外縁部の回転数を指す。
工程(B)では、1回の粉砕、分散処理のみならず、複数の分散段階を組み合わせた複数段分散を行ってもよい。複数段分散を行う場合、互いに異なる条件の分散を複数回行うことが、粒子を所望する平均粒径に調整し易いため好ましい。
複数段分散によって分散物を調製する場合、第1の分散メディアを用いて粒子を水中に分散させる第1の分散工程と、第1の分散メディアよりメディア径が小さい第2の分散メディアを用いて、第1の分散工程で分散された粒子をさらに分散させる第2の分散工程と、を含む態様が好ましい。例えば、最初の分散工程(第1の分散工程)では、比較的直径の大きいビーズを使用して分散を行ない、次いで行う第2の分散工程では、メディア径を第1の分散メディアよりも小さくすることができる。
工程(B)では、異なる複数の分散条件で複数回分散する複数段分散を行う場合、例えば、異なる2つの分散条件で2回分散させる2段分散、異なる3つの分散条件で3回分散させる三段分散を行う方法が好適である。
複数段分散による場合、最初の第1の分散工程において、大きめのビーズで被分散物である粒子の粒子径が著しく低下しない状態の分散物を形成し、次いで行う第2の分散工程では粒子径を制御しながら安定した分散状態の分散物を形成するといった方法をとることができる。
2段分散を行う場合、第2の分散工程で用いる第2の分散メディアのメディア径に対する、第1の分散工程で用いる第1の分散メディアのメディア径の比率は、5倍以上50倍以下であることが好ましい。ここでの比率が5倍以上であると、小径になり過ぎず、その後の第2の分散工程での分散作用が相俟って、分散性、及び分散の経時安定性が良好な分散物を得られる点で好ましい。また、比率が50倍以下であると、第1の分散メディアのメディア径が大き過ぎないため、最初の第1の分散工程での分散が良好に進みやすく、また第2の分散メディアのメディア径が小さ過ぎて小径化し過ぎることも抑え得る点で好ましい。
第2の分散メディアのメディア径に対する第1の分散メディアのメディア径の比率は、粒子を、分散安定性の良好な適当な粒子径に調節しやすい観点から、5倍以上20倍以下であることがより好ましく、5倍以上15倍以下であることが更に好ましい。
分散に用いる分散メディアのメディア径は、1段分散を行う場合、0.1mm以上2mm以下が好ましく、より好ましくは0.3mm以上1mm以下の範囲である。
2段分散を行う場合には、第1の分散工程での分散に用いる第1の分散メディアは、メディア径が0.5mm以上2mm以下であることが好ましく、0.5mm以上1.5mm以下であることがより好ましい。次いで行う第2の分散工程において分散に用いる第2の分散メディアは、メディア径が0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましい。
分散時間は、混合物又は粗分散液における粒子の含有量、分散剤の種類、メディア径等により最適な時間が異なるため一概に特定できないが、工程(B)における合計の分散時間として、5時間以上150時間以下が好ましい。分散時間が上記範囲であると、粒子の平均粒子径が250nm以下の小径になって分散安定性が確保され、生産性が低下する懸念がない。
2段分散を行う場合、第1の分散工程では、分散時間を5時間以上120時間以下として分散を行い、第2の分散工程では、分散時間を1時間以上20時間以下として分散を行うことが好ましい。第1の分散工程では、分散時間を10時間以上100時間以下として分散を行い、第2の分散工程では、分散時間を3時間以上15時間以下として分散を行うことが好ましく、2の分散工程における分散時間を5時間以上15時間以下として分散を行うことがより好ましい。
混合物又は粗分散液における粒子の含有量は、1段分散を行う場合は、分散物の全質量に対して、0.1質量%〜25質量%の範囲であることが好ましく、1質量%〜20質量%の範囲であることがより好ましい。
また、2段分散を行う場合の粒子の含有量は、第1の分散工程では、分散物の全質量に対して、0.1質量%以上40質量%以下の範囲が好ましく、3質量%以上25質量%以下がより好ましく、3質量%以上20質量%以下がさらに好ましい。第2の分散工程では、粒子の含有量は、分散物の全質量に対して、0.1質量%以上25質量%以下の範囲が好ましく、1質量%以上20質量%以下の範囲がより好ましく、1質量%以上15質量%以下がさらに好ましい。
2段分散を行う場合、既述のとおり、2段分散後の最終的な粒子の平均粒径は80nm以上400nm以下の範囲とされるが、1回目の分散終了後であり、かつ2回目の分散開始前における粒子の平均粒子径は、80nm以上400nm以下の範囲が好ましく、80nm以上250nm以下の範囲がより好ましい。
通常の分散手法、例えば、横型ビーズミルなどによる分散では、分散容器にステンレス鋼(SUS)等のステンレス製容器を使用している。そのため、SUSに含まれる成分であるクロムなどの分散物中への溶出により可食性に影響を与える懸念が生じる。
また、メディアとしてジルコニアボールを用いたボールミル、ビーズミル等で分散を行う際、一般的な条件では、ビーズが分散物に与える衝撃が強いため、ジルコニウムの液中への溶出も懸念点として挙げられる。
本開示の製造方法によれば、密閉容器、分散容器等にSUS系容器を一切使用せず、PP、ポリエチレンなどの樹脂容器を使用することによっても良好な分散物が得られる。このため、SUS成分の溶出リスクを低めるという利点をも有する。さらに、遠心場を利用したマイルドなボールミル分散を行うことにより、ビーズが分散物に与える衝撃力がより弱くなり、ジルコニウムの液中への溶出懸念を抑えることができた。
(その他の工程)
本開示における分散物の製造方法においては、既述の工程(A)、工程(B)、所望により行われる混合物を希釈する工程に加え、効果を損なわない範囲において、さらに、その他の工程を有していてもよい。
例えば、さらに、粒子と分散剤と分散媒とを含む混合物又は分散物を高圧処理する工程を有していてもよい、
高圧処理は、通常は、混合物又は分散物に高圧力を付与して、被処理物を殺菌させたり、反応させたりする処理であり、本明細書における高圧処理とは50MPa以上の圧力を付与する処理を指す。
高圧処理は、公知の方法で行うことができる。
高圧処理するには、容器内に混合物又は分散物を投入し、50MPa〜100MPaの静水圧を付加する高圧加工処理装置にて処理する。高圧処理は、好ましくは、液温50℃〜90℃の温度条件にて、10時間〜36時間かけて行うことが好ましい。
高圧加工処理装置としては、東洋高圧(株)製、超高圧加工処理装置(まるごとエキス)が挙げられる。本開示の製造方法においては、さらに、高圧処理を行うことにより、破砕され、微細化された粒子が凝集体を形成することが抑制されたり、遊離した分散剤の粒子への吸着促進による粒子表面への分散剤の被覆がより良好に行われたりすること等により、粒子の分散をより安定化する効果が得られる。
高圧処理の他の態様として、高圧ホモジナイザー等を用いる高圧処理が挙げられる。高圧ホモジナイザー等を用いる高圧処理は、混合物又は分散物に高圧力を付与して、粒子をさらに微細に粉砕し、分散させたり、分散をさらに進行させたりする処理である。
高圧ホモジナイザーは、撹拌方式と比べてより高い圧力を付与できるために、粒子のさらなる微細化が可能であり、種々の装置が市販されている。
高圧ホモジナイザーとしては、マイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社製)、ナノマイザー(吉田機械興業(株)製)、スターバースト((株)スギノマシン製)等のチャンバー型高圧ホモジナイザー、又は、ゴーリンタイプホモジナイザー(APV社製)、ラニエタイプホモジナイザー(ラニエ社製)、高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社製)、ホモゲナイザー(三和機械(株)製)、高圧ホモゲナイザー(イズミフードマシナリ(株)製)、超高圧ホモジナイザー(イカ社製)等の均質バルブ型高圧ホモジナイザーが挙げられる。
高圧ホモジナイザーを用いた分散条件としては、分散性の観点から、圧力は100MPa以上とし、より好ましくは150MPa以上であることが好ましい。高圧側の限界は市販の装置では耐圧性の観点から300MPa以下であることが好ましいが、温度上昇の観点からは、水性媒体中の粒子の分散においては400MPa以下にすることもできると推定される。
所望により実施される既述の各種高圧処理は1回のみ行なってもよく、2回以上の高圧処理を行ってもよい。
(分散物の用途)
本開示における分散物の製造方法により得られた分散物は、被分散物である粒子の分散性が良好であり、かつ、経時による粘度の変動が抑制された分散物であるため、分散性、分散の経時安定性を必要とする分散物の製造に好適に使用される。
なかでも、被分散物である粒子を顔料として高濃度で含む場合でも、分散安定性が良好で、粘度の経時による変化が抑制されることから、本開示における分散物の製造方法により得られた分散物は、吐出性が良好であることを求められるインクジェット記録方法に好適に適用される。
本開示における分散物の製造方法により得られた分散物は、経口摂取される食品又は医薬品(例えば、錠剤又はカプセル剤等の固体製剤)などの物品に対して画像を形成するためのインクジェット記録用インクとして好適である。画像の形成にインクジェット記録方法を利用する場合、インクジェット記録装置を用いて、例えば錠剤の表面に対して非接触で画像を形成できるので、錠剤の剤形又は形状に依らず、安定的に所望の画像を記録できる。
被記録媒体の例である固体製剤としては、例えば、素錠(裸錠)、糖衣錠、腸溶錠、口腔内崩壊錠などが挙げられる。さらに、錠剤の最表面に水溶性表面層が形成されているフィルムコーティング錠などの医薬品を挙げることができる。また、医薬品のみならず、動物薬、農薬、肥料、衛生用品等として、ある剤形に製せられた組成物も含まれる。
フィルムコーティング錠剤のコート層としては、ヒドロキシプロピルセルロースやヒドロキシプロピルメチルセルロース、高分子のポリエチレングリコールなどが挙げられる。
<インクジェット記録方法>
本開示におけるインクジェット記録方法は、既述の分散物の製造方法により分散物を得る工程と、得られた分散物を、インクジェット法により吐出して、被記録媒体に画像を形成する工程と、を含む。
既述の製造方法により分散物を得て、得られた分散物が使用されることで、粒子を高含有量で含む場合、例えば、色材としての顔料を高濃度で含む場合、であっても、吐出性及び吐出の安定性が良好であり、色材として顔料を用いることから形成された画像の堅牢性に優れるという利点も有するものであり、インクジェット記録方法を種々の目的で使用することができる。
インクジェット記録方法には、特に制限はなく、公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等のいずれであっても、本開示におけるインクジェット記録方法に使用することができる。
既述の分散物をそのままインクジェット記録方法に適用してもよいが、吐出性、色相などを向上させるための種々の添加剤を含有させてインクジェット記録用インクを調製し、得られたインクをインクジェット記録方法に適用してもよい。
例えば、既述の本開示の製造方法で得られた分散物に、乾燥防止のためのプロピレングリコールなどを添加したり、水を加えて顔料濃度を吐出に好適な範囲に調製したりしてインクを調製することができる。
得られた分散物、又はインクジェット記録用インクは、所望によりフィルターにてろ過した後、インクジェット記録装置に適用され、画像を形成することができる。
インクジェット記録用の分散物又は分散物を含むインクジェット記録用インクの被対象物への吐出量は、特に制限はないが、2pl(ピコリットル;以下同様)以上100pl以下の範囲で必要に応じて適宜選択することができる。
画像を記録する被記録媒体としては、食品、又は医薬品(例えば、錠剤又はカプセル剤等の固体製剤)などの物品を挙げることができる。
画像を形成した後には、必要に応じて乾燥工程を設けてもよい。具体的には、被記録媒体の乾燥は、乾燥風、又は温風もしくは熱風を被記録媒体にあてて行うことができる。乾燥には、公知の加熱手段を用いることができる。
本開示のインクジェット記録方法では、インクジェット法を利用して既述の製造方法により得られた分散物を吐出し、被記録媒体に非接触で画像を記録できる形態であれば、記録形態に制限はなく、市販のインクジェット装置を適用する記録形態とすることができる。
インクジェット記録方法は、例えば、特開2013−121432号公報に記載の錠剤印刷装置を用いてインクジェット法で画像記録する態様であってもよい。
既述の製造方法により得られた分散物は、良好な分散性、及び分散の経時安定性を有するため、分散後に経時で分散物である粒子が凝集したり、粘度が上昇したりすることが抑制されており、インクジェット記録用途に適している。
よって、既述の製造方法により得られた分散物を用いた本開示におけるインクジェット記録方法によれば、顔料を高濃度で含む場合でも、吐出性が良好であり、経時による吐出不良の発生が抑制される。このため、少量のインクを使用して、高濃度であり、かつ、堅牢性に優れた画像を形成でき、食品及び医薬品への印刷用途に好適に使用し得る。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」及び「部」は質量基準である。
また、以下の実施例においては、分散メディアを「ビーズ」と称する。
<実施例1>
(混合物の調製)
ニッコーハンセン(株)のPPクリアジャー(密閉容器:容量250ml)に、粒子として粉末状の赤酸化鉄(Fe;癸巳化成社製、医薬品グレード:薬添規)60g、分散剤であるオイドラギット(登録商標)RLPO(第4級アンモニウム基を有する樹脂、エボニックジャパン(株)、アクリル酸エチル:メタクリル酸メチル:メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル=1:2:0.2[モル比])15g、及び分散媒としての超純水91.7gをこの順に投入した。投入物における粒子の含有量は36%である。
密閉容器を、低周波音響共振エネルギー混合装置RAM(Resodyn Acoustic Mixers, Inc.社製:以下、RAM装置と称することがある)にて、加速度980.7m/s、周波数60Hzにて2分間処理を行って混合物を得た。
その後、混合物に対し、超純水73.3gを添加して、容器を手振り撹拌して粗分散液を作製した。粗分散液中の粒子の含有量は25%であった。
(分散物の調製)
ポリプロピレン(PP)製の1L(リットル)容器(外壁に目盛による凸有り)に、得られた粗分散液150gと0.5mmφのジルコニアビーズ480gと添加し、ボールミル(BMU−100・伊藤製作所社製)にて容器回転数を200±10rpmに設定し、粒子の破砕と分散処理を48時間実施して、実施例1の分散物を得た。
<実施例2〜実施例4>
実施例1において、低周波音響共振エネルギー混合装置RAMにおける加速力を表1〜表2に記載の如く変更した以外は、実施例1と同様にして分散物を得た。
<実施例5〜実施例7>
実施例1において、低周波音響共振エネルギー混合装置RAM処理時する被処理物の粒子濃度を表1〜表2に記載の如く変更した以外は、実施例1と同様にして分散物を得た。
<比較例1>
PP製の1L容器に、粒子濃度25%、分散剤/粒子の含有量(B/A:質量比)が0.25になる量で粉末状の赤酸化鉄、オイドラギットRLPO(実施例1で使用した分散剤)、及び超純水を入れ、実施例1と同じ処方の液150gとし、RAM装置による混合物の調製処理を行わず、実施例1と同じ条件でボールミルによる分散処理を実施して分散物を得た。
(分散物の評価)
下記評価項目に従い、得られた分散物において、ボールミルによる分散時間を36時間と、48時間として調製した分散物を評価した。
結果を下記表1〜表2に記載する。
<動的光散乱法による粒度評価>
マルバーン社製ゼータサイザーNanoZS装置にて、分散物を超純水で100倍希釈した液を作り、散乱光モードによる平均粒径(表1〜表2には、「Z−AVE値」と記載)、粒度分布(表1〜表2には、「PdI値」と記載)、及び計測中における粒径1μm以上の粗粒分検出の有無を評価した。
<液粘度測定>
振動式粘度計VM−10A(CBC社製)を用いて、分散液を振動子に入れ、スタートから1分後及び4分後の液粘度(25℃)を測定し、以下の評価基準により評価した。
A:4分後の液粘度測定値が3.0mPa・s未満であり、1分後に測定した液粘度と4分後に測定した液粘度との変化率が±10%未満である。
B:4分後の液粘度測定値が3.0mPa・s以上6.0mPa・s未満もしくは1分後に測定した液粘度と4分後に測定した液粘度との変化率が30%未満である。
C:4分後の液粘度測定値が6.0mPa・s以上15.0mPa・s未満もしくは1分後に測定した液粘度と4分後に測定した液粘度との変化率が30%以上100%未満である。
D:液粘度測定値が15.0mPa・s以上、もしくは1分後に測定した液粘度と4分後に測定した液粘度との変化率は100%以上である。

表1〜表2の結果より、RAM装置による処理を行わなかった比較例1の分散物は、実施例1と同様に、ボールミルにて粒子の破砕と分散処理を48時間実施したが、得られた分散物を、評価のためにボールミルにより分散した場合、分散時間36時間以降、液粘度上昇(凝集発生)が発生することがわかる。また、ボールミルにより分散した分散物を100倍に希釈した希釈液における粒度計測において、粗粒分の存在が確認された。
一方、実施例1〜実施例7で得られた分散物は、比較例1に比べ、液粘度上昇が抑制され、ボールミルによる分散時間が36時間から48時間に至っても、一部に粒径の上昇、過分散傾向が見られるものの、低液粘度であり、粘度上昇が抑制されており、分散性の経時安定性に優れる分散物が得られることがわかる。また、ボールミルにより分散した分散物を100倍に希釈した希釈液における粒度計測において、粗粒分の存在は確認されなかった。なかでも、粒子の含有量を12%とした実施例7では、他の実施例より、得られた分散物に含まれる粒子の粒径がより小さく、低液粘度の分散物を作製可能であった。
粒子として赤酸化鉄を用いた場合、実施例2の結果より、RAM装置における加速度が588.4m/sであり、粒子の含有量を36%付近に設定することで、少ない分散剤量でも、粒子に均一に分散剤を被膜でき、微分散処理における分散安定性を向上できると思われる。加速度をより大きくした実施例1(加速度980.7m/s)、粒子濃度がより高い実施例5(粒子含有量45%)では、分散物として実用上問題のないレベルではあるが、実施例2、及び実施例6に比較すると、RAM装置による処理時に、分散剤が粒子に十分に吸着する前に、粒子破砕が生じていると思われる。
なお、実施例1において、RAM装置による処理及びボールミルによる分散処理した後の赤酸化鉄分散液のTEM像を確認した結果、10nm〜15nmの破片が集まった100nm径の赤酸化鉄の造粒体が観察されている。ボールミル処理時に、粒子の破砕が行われ、かつ、微破砕片が造粒されることで、シャープな粒度分布で、分散剤被膜不良の粒子が少ない粒子状態を作れることが、粒子を高濃度で含み、粒子間距離が狭い状況下においても、分散性及び分散の経時安定性を向上できている原因と推定される。
<実施例8>
(混合物の調製)
ニッコーハンセン(株)、PPクリアジャー(密閉容器:容量400ml)に、粒子として粉末状の青色2号ALレーキ(ダイワ化成(株)、食品添加物)30g、分散剤であるオイドラギットRLPO(第4級アンモニウム基を有する樹脂、エボニック社製、アクリル酸エチル:メタクリル酸メチル:メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル=1:2:0.2[モル比])30g、及び超純水190gをこの順に入れ、粒子の含有量を12%として、密閉容器をRAM装置にて、加速度588.4m/s、周波数60Hzにて2分間処理を行って混合物を得た。
その後、分散液に超純水125gを添加して、容器ごと手振り撹拌して粗分散液を作製した。粗分散液中の粒子の含有量は8%であった。
(分散物の調製)
PP製の1L容器(外壁に目盛による凸有り)に、得られた粗分散液375gと、0.1mmφのジルコニアビーズ480gとを添加し、ボールミル(BMU−100・伊藤製作所社製)にて容器回転数を100±5rpmに設定し、分散処理を12時間実施して分散物を得た。
<実施例9>
実施例8に対して、RAM装置による処理時の超純水の添加量を90gとし、密閉容器内の粒子の含有量を20%とし、RAM装置による処理後に超純水225gを添加して粗分散液を作製した以外は実施例8と同様にして分散物を得た。
<実施例10>
実施例8に対して、青色2号ALレーキ粒子60g、オイドラギットRLPO60g、超純水120gを投入し、青色2号ALレーキ粒子の含有量を25%とし、密閉容器を、RAM装置により、加速度980.6m/s、周波数60Hzで2分間処理し、その後、超純水250gを添加して粒子の含有量12%の粗分散液を作製した。
PP製1L容器に、粗分散液490gを移し、0.5mmφジルコニアビーズ600gを投入して、ボールミル分散機BMU100を使い、容器回転200rpmで12時間処理して分散物を得た。
<比較例2>
実施例10に対してRAM装置による処理を施すことなく、PP製1L容器に、青色2号ALレーキ60g、オイドラギットRLPO60g及び超純水380gを含む混合液500gを入れ、実施例10と同様のボールミル分散機を用い、同様の回転条件にて、分散処理時間を3時間として分散物を得た。
<比較例3>
実施例8に対して、RAM装置による処理を施すことなく、PP製1L容器に青色2号ALレーキ30g、オイドラギットRLPO30g及び超純水190gを含む混合液250g(粒子の含有量12質量%、粒子に対する分散剤の含有量B/A(質量比)1)を仕込み、0.1mmφジルコニアビーズ480gを投入して、ボールミル分散機により容器回転100rpmで分散処理を9時間実施して分散物を得た。
(分散物の評価)
下記評価項目に従い、得られた分散物を評価した。結果を下記表3に示す。
<動的光散乱法による粒度評価>
得られた分散物を、実施例1と同様にして、平均粒径Z−Ave値、分布PdI値、及び計測中での1μm以上の粗粒分検出の有無を評価した。
<液粘度>
1.液粘度測定
実施例1と同様にして、振動式粘度計VM−10A(CBC社製)を用いて、分散液を振動子に入れ、スタートから1分後及び4分後の液粘度(25℃)を測定した。結果を下記表3に示す。
2.液粘度評価
製造直後の分散物の液粘度を上記の如く測定し、製造から室温(25℃)下で静置保存24時間後、振動式粘度計VM−10A(CBC社製)を用いて、保存後の液粘度を測定し、24時間後の粘度測定値、及び24時間後の粘度の液粘度変化率を算出し、以下の基準で評価した。結果を下記表3に示す。
A:24時間後の液粘度測定値が3.0mPa・s未満であり、製造直後の液粘度と、24時間経過後に測定した液粘度との変化率が±10%未満である。
B:24時間後の液粘度測定値が3.0mPa・s以上6.0mPa・s未満もしくは製造直後に測定した液粘度と、24時間経過後に測定した液粘度との変化率が30%未満である。
C:24時間後の液粘度測定値が6.0mPa・s以上15.0mPa・s未満もしくは製造直後に測定した液粘度と、24時間経過後に測定した液粘度との変化率が30%以上〜100%未満である。
D:24時間後の液粘度測定値が15.0mPa・s以上、もしくは製造直後に測定した液粘度と、24時間経過後に測定した液粘度との変化率は100%以上である。
E:24時間経過後の分散物がゲル化して、粘度の計測ができなかった。(上限値が測定基準を超えたか、または、振動子が空回りして測定できず)
<静置保存液の状態確認>
作製から室温(25℃)下で静置保存24時間後における分散物の状態を観察し、以下の基準で評価した。
A:液の流動性があり、かつ、沈降発生なし。
B:液の流動性があるが沈降の発生有り、又は、静置液の粘度上昇が確認できるが、手振りで流動状態に戻し可能。
C:液がゲル化し、手振り(振とう)では流動状態に戻せない。
青色2号ALレーキ顔料は、ビーズ分散により容易に破砕し、通常のボールミル分散のみでは、分散安定性の低い分散物、即ち、静置保存でゲル化し易い分散物となることが知られており、粒子含有量の低下、ビーズサイズを小さくすること、分散時における回転数又は剪断力を低下させても分散安定性の向上は困難であった。しかし、実施例8〜実施例10の結果より、青色2号ALレーキ顔料を用いた場合でも、RAM装置による処理を施して、予め混合物を調製し、その後、分散処理を行うことで、流動性が高く、低液粘度であり、粘度の経時による変化が抑制され、分散粒径が0.3μm以下の分散物を作製できることがわかる。また、得られた分散物は経時後の安定性も良好であることがわかる。
このように、粒子として破砕しやすい原料を用いた場合には、RAM装置の夜処理時の加速力を588.4m/sに抑え、かつ、RAM装置の処理に供する混合液における粒子の含有量を12%に設定することで、マイルドな条件でのRAM装置による処理を施すことができ、その結果、ビーズミルによる分散によって、分散性及び分散の経時安定性が向上された分散物が得られた。
<実施例11>
(混合物の調製)
ニッコーハンセン(株)、PPクリアジャー(密閉容器:容量400ml)に、粒子として粉末状の青色2号ALレーキ(ダイワ化成社製・食品添加物)48g、分散剤であるオイドラギットRLPO(第4級アンモニウム基を有する樹脂、エボニック社製、アクリル酸エチル:メタクリル酸メチル:メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル=1:2:0.2[モル比])48g、及び実施例7で得た赤酸化鉄を含む分散物103gをこの順に投入した。投入物における粒子の含有量は30%である。
密閉容器を、実施例1で用いたRAM装置にて、加速度980.7m/s、周波数60Hzにて2分間処理を行って混合物を得た。
その後、混合物に対し、超純水301gを添加して、容器を手振り撹拌して粗分散液を作製した。粗分散液中の粒子の含有量は12%であった。
(分散物の調製)
PP製の1L容器(外壁に目盛による凸有り)に、得られた粗分散液500gと、0.5mmφのジルコニアビーズ600gとを添加し、ボールミル(BMU−100・伊藤製作所社製)にて、容器回転数を200±10rpmに設定し、分散処理を3時間実施して、濃茶〜黒色の色相を有する分散物を得た。
(インクの作製)
得られた分散物20.8g、プロピレングリコール10g、及び純水19.2gを混合し、混合物を目開き5μmのフィルターでろ過し、インクジェット記録用インクを作製した。
(インクジェット記録方法による画像の作製)
被記録媒体として、錠剤(素錠)を用い、得られたインクを用いて、インクジェット記録装置(ダイマティックス・マテリアルプリンター DMP−2831:商品名)を用いて、錠剤上に画像を形成した。
錠剤上には、目視にて濃茶〜黒色に視認される鮮明な画像が形成された。
<実施例12>
(混合物の調製)
ニッコーハンセン(株)、PPクリアジャー(密閉容器:容量400ml)に、粒子として粉末状の赤酸化鉄(Fe;癸巳化成(株)、医薬品グレード:薬添規)12g及び黄色酸化鉄(水和三二酸化鉄;癸巳化成社(株)、医薬品グレード:薬添規)48g、分散剤としてオイドラギットRLPO(第4級アンモニウム基を有する樹脂、エボニック社製、アクリル酸エチル:メタクリル酸メチル:メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル=1:2:0.2[モル比])36g、及び超純水115gをこの順に投入した。投入物における粒子の含有量は28.4%である。
密閉容器を、実施例1で用いたRAM装置にて、加速度980.7m/s、周波数60Hzにて2分間処理を行って混合物を得た。
その後、混合物に対し、超純水189gを添加して、容器を手振り撹拌して粗分散液を作製した。粗分散液中の粒子の含有量は15%であった。
(分散物の調製)
PP製の1L容器(外壁に目盛による凸有り)に、得られた粗分散液400gと、0.5mmφのジルコニアビーズ600gとを添加し、ボールミル(BMU−100・伊藤製作所社製)にて、容器回転数を200±10rpmに設定し、分散処理を12時間実施した。分散液をポリアミド製の目開き77μmのろ布によりビーズと分離し、その後、ビーズを除いた分散液に、超純水を追添加して、粒子濃度12%の分散液250gを得た。
得られた分散液250gを、新たなPP製の1L容器に入れ、0.1mmφジルコニアビーズ240gを入れ、ボールミル(BMU−100・伊藤製作所社製)にて、容器回転数を100±5rpmに設定し、分散をさらに6時間実施して、オレンジ色の分散物を得た。
(インクの作製)
得られた分散物16.7g、プロピレングリコール10g、及び純水23.3gを混合し、混合物を目開き5μmのフィルターでろ過し、インクジェット記録用インクを作製した。
(インクジェット記録方法による画像の作製)
被記録媒体として、錠剤(素錠)を用い、得られたインクを用いて、インクジェット記録装置(ダイマティックス・マテリアルプリンター DMP−2831:商品名)を用いて、錠剤上に画像を形成した。
錠剤上には、目視にてオレンジに視認される鮮明な画像が形成された。
<実施例13>
(混合物の調製)
ニッコーハンセン(株)、PPクリアジャー(密閉容器:容量250ml)に、粒子として粉末状の赤酸化鉄(Fe;癸巳化成(株)、医薬品グレード:薬添規)60g、分散剤としてオイドラギットRLPO(第4級アンモニウム基を有する樹脂、エボニック社製、アクリル酸エチル:メタクリル酸メチル:メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル=1:2:0.2[モル比])18g、及び超純水91.7gをこの順に投入した。投入物における粒子の含有量は36%である。
密閉容器を、実施例1で用いたRAM装置にて、加速度980.7m/s、周波数60Hzにて2分間処理を行って混合物を得た。
その後、混合物に対し、超純水330.3gを添加して、容器を手振り撹拌して粗分散液を作製した。粗分散液中の粒子の含有量は12%であった。
(分散物の調製)
PP製の1L容器(外壁に目盛による凸有り)に、得られた粗分散液500gと、0.5mmφのジルコニアビーズ700gとを添加し、ボールミル(BMU−100・伊藤製作所社製)にて、容器回転数を200±10rpmに設定し、分散処理を72時間実施して赤色の分散物を得た。
その後、得られた分散液260gを超高圧加工処理装置(まるごとエキス・(株)東洋高圧社製)を用いて液温度75℃、圧力100MPa、処理時間24時間の条件にて処理を行った。
上記処理した分散液250gと、0.1mmφのジルコニアビーズ200gとをPP製の1L容器に添加し、ボールミル(BMU−100・伊藤製作所社製)にて、容器回転数を100±10rpmに設定し、分散処理を6時間実施して赤色の分散物を得た。
得られた分散液における粒子の平均粒径を既述の方法にて測定したところ、散乱光モードによる平均粒径Z−Ave値は、145nmであり、分散度(PdI)は0.15であった。
(インクの作製)
得られた分散物25g、プロピレングリコール20g、及び純水5gを混合し、混合物を目開き5μmのフィルターでろ過し、インクジェット記録用インクを作製した。
(インクジェット記録方法による画像の作製)
被記録媒体として、錠剤(素錠)を用い、得られたインクを用いて、インクジェット記録装置(ダイマティックス・マテリアルプリンター DMP−2831:商品名)を用いて、錠剤上に画像を形成した。
錠剤上には、目視にて赤色に視認される鮮明な画像が形成された。
<実施例14>
(混合物の調製)
ニッコーハンセン(株)、PPクリアジャー(密閉容器:容量400ml)に、粒子として粉末状の赤色3号ALレーキ(ダイワ化成(株)、食品添加物)48g、青色2号ALレーキ(ダイワ化成(株)、食品添加物)6g、及び酸化チタン(和光純薬工業(株)、医薬品グレード:薬添規)6g、分散剤としてオイドラギットRLPO(第4級アンモニウム基を有する樹脂、エボニック社製、アクリル酸エチル:メタクリル酸メチル:メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル=1:2:0.2[モル比])60g、及び超純水130gをこの順に投入した。投入物における粒子の含有量は24%である。
密閉容器を、実施例1で用いたRAM装置にて、加速度980.7m/s、周波数60Hzにて2分間処理を行って混合物を得た。
その後、混合物に対し、超純水250gを添加して、容器を手振り撹拌して粗分散液を作製した。粗分散液中の粒子の含有量は12%であった。
(分散物の調製)
PP製の1L容器(外壁に目盛による凸有り)に、得られた粗分散液500gと、0.3mmφのジルコニアビーズ600gとを添加し、ボールミル(BMU−100・伊藤製作所社製)にて、容器回転数を200±10rpmに設定し、分散処理を18時間実施して、赤紫色の分散物を得た。
(インクの作製)
得られた分散物20.8g、プロピレングリコール10g、及び純水19.2gを混合し、混合物を目開き5μmのフィルターでろ過し、インクジェット記録用インクを作製した。
(インクジェット記録方法による画像の作製)
被記録媒体として、錠剤(素錠)を用い、得られたインクを用いて、インクジェット記録装置(ダイマティックス・マテリアルプリンター DMP−2831:商品名)を用いて、錠剤上に画像を形成した。
錠剤上には、目視にて赤紫色に視認される鮮明な画像が形成された。
<実施例15>
(混合物の調製)
ニッコーハンセン(株)、PPクリアジャー(密閉容器:容量400ml)に、粒子として粉末状の竹炭(ブラックBS、癸巳化成(株)、食品加工用)60g、分散剤としてPVPK30(コリドン(登録商標)30、可溶性ポリビニルピロリドン、BASFジャパン(株))9g、及び超純水51gをこの順に投入した。投入物における粒子の含有量は50%である。
密閉容器を、実施例1で用いたRAM装置にて、加速度980.7m/s、周波数60Hzにて2分間処理を行って混合物を得た。
その後、混合物に対し、超純水380gを添加して、容器を手振り撹拌して粗分散液を作製した。粗分散液中の粒子の含有量は12%であった。
(分散物の調製)
PP製の1L容器(外壁に目盛による凸有り)に、得られた粗分散液500gと、0.5mmφのジルコニアビーズ600gとを添加し、ボールミル(BMU−100・伊藤製作所社製)にて、容器回転数を200±10rpmに設定し、分散処理を16.5時間実施して、黒色の分散物を得た。
(インクの作製)
得られた分散物20.8g、プロピレングリコール10g、及び純水19.2gを混合し、混合物を目開き5μmのフィルターでろ過し、インクジェット記録用インクを作製した。
(インクジェット記録方法による画像の作製)
被記録媒体として、錠剤(素錠)を用い、得られたインクを用いて、インクジェット記録装置(ダイマティックス・マテリアルプリンター DMP−2831:商品名)を用いて、錠剤上に画像を形成した。
錠剤上には、目視にて黒色に視認される鮮明な画像が形成された。
(分散物の評価)
実施例11〜実施例15の製造方法により得られた分散物を、実施例1と同様にして評価した。即ち、動的光散乱法による粒度評価と分散物の粘度及び粘度の1分後と4分後の経時変化を、実施例1と同様の評価基準にて実施した。評価対象は、インクを調製する前の分散物とした。
結果を下記表4に記載した。
なお、表4には、得られた分散物を目視により観察した際の色を記載した。
実施例11〜12、及び14は、複数種の粒子(顔料)をRAM装置によって処理することで混合し、その後、ボールミルにてビーズ分散した実施例である。RAM装置により処理して混合物を調製した後、分散処理を行うことで、粒子を1種のみ含む実施例13と同様に、分散性が良好な分散物が得られた。これは、複数の粒子を予め混合して混合物を調製することで、分散処理する際に、シャープな単一ピークの粒子分布を有するためと考えられる。このため、分散性に優れ、低粘度で、粘度の経時変化の少ない分散物が作製できたものと考えている。
実施例1或は実施例13の如き赤酸化鉄のみを粒子として含む分散物と同様に、実施例11〜12、14の複数原料を混合する場合において、複数の粒子粉砕片からなるモザイク状の造粒体が形成できることが、シャープな粒度分布、分散安定性向上、低比重化による沈降抑制を可能にしていると推定される。
実施例15では、粒子としてカーボン(炭)を含有する分散物を調製した。カーボンを用いた場合でも、分散物における粒径は0.3μmを超え、1μm以上の粗粒分の存在は確認されたものの、少ない分散剤の含有量で、高濃度のカーボン粒子を分散安定性良好に分散させた分散物が作製できることがわかる。
実施例15においても、低粘度で、分散剤の均一被膜ができた粒子を含む分散物が得られるため、得られた分散物を用いて、分散物にプロピレングリコールを40%、純水を10%添加して、粒子の含有量が6%のインクを調製した場合、目開き1μmの精度のフィルターを通過することができるため、高精度ろ過が可能となり、1μm以上の粗粒分の存在しないインクジェット記録用インクが作製することもできる。
<実施例16>
(ナノシリカ粒子分散物の調製)
反射防止膜用等を形成するための分散物には、シリカ粒子が使われる場合がある。シリカ粒子はジルコニアビーズを用いたビーズ分散で粒子が破砕され、破砕された微粒子の凝集によるヘイズ低下を引き起こしたり、微粒化が困難であったりするという問題がある。
本開示の製造方法により、分散された粒子の粒径が小さく、凝集による粗粒分が少なく、分散安定性に優れる分散物が作製できることを以下に示す。
(混合物の調製)
ニッコーハンセン(株)、PPクリアジャー(密閉容器:容量250ml)に、粒子として粉末状のナノシリカ粒子(日本アエロジル社製・AEROSIL300)12g(体積240ml)、分散剤としてシャロールDC902(第一工業製薬製ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド主成分、カチオン性)の1.425%水溶液(超純水)48gをこの順に投入した。投入物における粒子の含有量は20%である。
密閉容器を、実施例1で用いたRAM装置にて、加速度980.7m/s、周波数60Hzにて5分間処理を行って混合物を得た。
その後、混合物に対し、超純水60gを添加して、容器を手振り撹拌して粗分散液を作製した。粗分散液中の粒子の含有量は10%であった。
(分散物の調製)
PP製の1L容器(外壁に目盛による凸有り)に、得られた粗分散液240g(粗分散処理2pot)と0.1mmφのジルコニアビーズを360g添加し、ボールミル(BMU−100、伊藤製作所社製)にて、容器回転数を100±5rpmに設定し、分散処理を60時間実施して分散物を得た。
得られた分散液をザルトリウス社製シリンジフィルター(酢酸セルロース)の5μm、1.2μm、0.45μmの3段フィルターを通して分散物を得た。
(膜形成用塗布液調製と膜の作製)
上得られたシリカ粒子を含む分散物に、テトラエチルシリケート(オルトケイ酸テトラエチル:TEOS)を4%添加して膜形成用の塗布液を作製した。塗布液をスピンコートによりガラス基板上に塗布して、塗膜を形成し、常温(25℃)常圧で乾燥して、ガラス基板上に膜を作製した。これにより、ガラス基板上に透明の膜が形成された。
<実施例17>
ニッコーハンセン(株)、PPクリアジャー(密閉容器:容量250ml)に、粒子として粉末状のナノシリカ粒子(日本アエロジル社製・AEROSIL300)12g(体積240ml)、分散剤としてシャロールDC902(第一工業製薬製ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド主成分、カチオン性)の2.85%水溶液(超純水)48gをこの順に投入した。投入物における粒子の含有量は20%である。
密閉容器を、実施例1で用いたRAM装置にて、加速度980.7m/s、周波数60Hzにて5分間処理を行って混合物を得た。
その後、混合物に対し、超純水60gを添加して、容器を手振り撹拌して粗分散液を作製した。粗分散液中の粒子の含有量は10%であった。
(分散物の調製)
PP製の1L容器(外壁に目盛による凸有り)に、得られた混合物240gと、0.1mmφのジルコニアビーズを360gとを添加し、ボールミル(BMU−100・伊藤製作所社製)にて、容器回転数を240rpmに設定し、分散処理を36時間実施した以外は実施例16と同様にして分散物を作製した。
得られた分散物について、実施例16と同様にして、膜形成用塗布液を調製し、得られた塗布液を用いて、ガラス基板上に膜を作製した。
<比較例4>
実施例16と同じ処方で、RAM装置による処理を施すことなく、ディゾルバー撹拌(周速4m/sにて15分間)して、粗分散液を作製した。
その後、得られた粗分散液を、高圧分散装置(フロー式湿式キャビテーションミル:250Mpa)を用いて分散処理し、分散物を得た。
得られた分散物について、実施例16と同様にして、膜形成用塗布液を調製し、得られた塗布液を用いて、ガラス基板上に膜を作製した。
<比較例5>
実施例16と同じ処方で、RAM処理を施さなかった以外は実施例16と同様にして分散物を作製した。
得られた分散物について、実施例16と同様にして、膜形成用塗布液を調製し、得られた塗布液を用いて、ガラス基板上に膜を作製した。
(分散物の評価)
動的光散乱法による粒度評価。分散物の粘度及び分散安定性については、実施例1と同様に評価した。なお、表5には、分散物の4分後の粘度と、粘度の1分後と4分後の経時変化のみを記載した。
<反射防止膜の評価>
シリカ粒子を含む分散物により得られた反射防止膜の屈折率及び散乱光強度(ヘイズ)を以下の方法で測定した。結果を下記表5に示す。
〔ヘイズの測定〕
膜を形成したガラス基板に対し、日本電色工業社製ヘイズメーターSH7000を用いて380nm〜780nmの波長範囲でヘイズを測定した。
RAM装置による処理で予め混合物を作製した後にボールミル分散を実施した実施例16及び17の分散物は、比較例4及び5により得られた分散物対して、分散粒径がより小さく、かつ、分散物の液粘度を低くすることができた。
また、シリカ粒子を含む塗膜による膜評価において、比較例4に比べて、実施例16及び17は、屈折率は同等であっても、ヘイズがより低い膜が形成された。このことから、実施例16及び17では、シリカ粒子の分散性が良好であり、シリカ粒子の凝集及び未解砕物が少ないことがわかる。
<インクジェット記録用顔料分散物>
<実施例18>
Ciba社製黄色顔料IRGALITE YELLOW GSを10.0部、分散剤としてBYKケミー社製BYK181を1.54部(固形分1.00部)、分散剤としてBASF社製EFKA4585を10.3部(固形分5.00部)、超純水3.8部を、プラスチック容器に投入した。
容器を、実施例1で用いたRAM装置にて、最大加速度108G、周波数61.85Hzの条件で2分間音響波処理し、混合物を調製した。粒子(顔料)の含有量が39%のペースト状の混合物を得た。
得られたペースト状の混合物25.64部、超純水19.9部、及び、メディアとしてニッカトー社製0.1mmφYTZボール159部をサンドグラインダーミルに入れ、2000rpmで60分間分散を行い、分散物を得た。分散物中の顔料の含有量は22%である。
ナノトラック粒度分布測定装置(UPA−EX150)で分散された粒子(顔料)の体積平均粒径(Mv)を測定したところ、90nmであった
得られた分散物(顔料の含有量20%)10部をマグネチックスターラーにより、400rpmで撹拌しながら超純水12部を添加し、さらに10分間混合し、顔料の含有量が10%の分散物を得た。
得られた10%の顔料を含む分散物において、後述の方法により粗大粒子を測定したところ粗大粒子の比率は8.1%であった。
<比較例6>
プラスチック容器に、粒子としてCiba社製黄色顔料IRGALITE YELLOW GSを10.0部、分散剤としてBYKケミー社製BYK181を1.54部(固形分1.00部)、分散剤としてBASF社製EFKA4585を10.3部(固形分5.00部)、超純水 3.8部をこの順で投入した。
容器内の投入物をマグネチックスターラーにより、300rpmで1時間撹拌し、黄色顔料の懸濁液を得た。
得られた懸濁液45.54部と、メディアであるニッカトー社製0.1mmφYTZボール159部とをサンドグラインダーミルに入れ、実施例18と同様の方法で、2000rpmで60分間分散を行い、分散物を得た。分散物中の顔料の含有量は22%である。
実施例18と同様の方法で分散粒子の体積平均粒径(Mv)を測定したところ、90nmであった。
得られた分散物(顔料の含有量20%)10部をマグネチックスターラーにより、400rpmで撹拌しながら超純水12部を添加し、さらに10分間混合し、顔料の含有量が10%の分散物を得た。
得られた10%の顔料を含む分散物において、後述の方法により粗大粒子を測定したところ粗大粒子の比率は24%であった。
実施例18と比較例6との対比より、RAM装置にて所定の加速度、周波数で予め混合物を作製した後、分散処理を行うことで、顔料粒子が分散剤に十分に被覆され、経時にて濃度を変えても良好な粒子の分散性、分散の経時安定性が得られることがわかる。
<高屈折材用シングルナノ粒子の樹脂混合物>
<実施例19>
堺化学(株)、シングルナノ粒子分散液SZR−K(粒子濃度30%、メチルエチルケトン(MEK)/メタノール混合溶剤:混合比90/10)を50g、容量50cmのガラスビンに入れ、加熱乾燥させて、固形分濃度を62%まで上げた。その後、光硬化樹脂PAK−WCL101(商品名:東洋合成(株)製)25gをガラス瓶に投入した。
ガラスビンを、実施例1で用いたRAM装置にて、加速度980.7m/s、周波数60Hzで5分間処理し、同様の操作を6回実施して混合物を得た。
その後、混合物が入った50ccガラス管瓶:径35mmφに、メディアとしてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製熱収縮チューブで被膜したピン(径:4.5mmφ、長:50mm)1本を入れ、卓上型ボールミルにて容器回転50rpmで、3時間回転させ、シングルナノ粒子と樹脂とを含む分散物を作製した。
得られた分散物の25℃における液粘度を測定した。また、実施例1におけるのと同様にして、分散物を希釈せず、DLS粒度計ゼータサイザーNanZSにて、直接、計測を実施し、計測した液粘度により補正して分散粒子の粒径及び分散度を求めた。結果を下記表6に示す。
同様の粘度と粒径の測定を、原料であるシングルナノ粒子分散液SZR−Kについても実施し、対照例として表6に併記する。
表6の結果より、RAM装置による処理を行うことで、分散が困難とされているシングルナノシリカ粒子を、光硬化性樹脂内に分散した、より高い粘度の分散物であっても、分散性が良好とされる原料分散液と同様に、微細な粒子の分散物が得られ、凝集体が発生し難いことがわかる。
2016年9月30日に出願された日本国特許出願2016−195145の開示は参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (16)

  1. 無機粒子及び有機粒子から選ばれる少なくとも1種の粒子と、分散剤と、分散媒とを密閉容器内に充填し、密閉容器を振動させながら密閉容器内に充填された物質を混合して混合物を得る工程と、
    得られた混合物を、ビーズミル分散処理又はボールミル分散処理することで、混合物に含まれる前記粒子の少なくとも一部を粉砕し、かつ、前記粒子を分散して分散物を得る工程と、を含む分散物の製造方法であり、
    前記混合物を得る工程において密閉容器を振動させる際に、密閉容器に与える振動の周波数は50Hz〜70Hzであり、振動の加速度は98m/s以上1962m/s以下であり、かつ、前記密閉容器内に充填された粒子と分散剤との合計質量が、前記密閉容器内の充填物の全質量に対して、10質量%〜60質量%であり、
    分散物全量に対する分散媒の含有量が50質量%〜95質量%である分散物の製造方法。
  2. 前記密閉容器内に充填される前記粒子の量をAとし、前記分散剤の量をBとしたとき、B/Aが下記式1を満たす請求項1に記載の分散物の製造方法。
    0.05<B/A<1.12 式1
  3. 前記混合物を得る工程において、前記密閉容器に与える振動の加速度が294m/s以上である請求項1又は請求項2に記載の分散物の製造方法。
  4. 前記混合物を得る工程において、前記密閉容器に与える振動の加速度が490m/s以上である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の分散物の製造方法。
  5. 前記分散剤が粉体である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の分散物の製造方法。
  6. 前記密閉容器の容量が10ml以上500ml未満である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の分散物の製造方法。
  7. 前記分散物を得る工程におけるビーズミル分散処理又はボールミル分散処理は、分散メディアとしてジルコニアビーズを使用し、前記ジルコニアビーズ及び分散物が流動する条件で分散する分散処理である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の分散物の製造方法。
  8. 前記分散物を得る工程により得られた分散物の液粘度が100mPa・s以下である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の分散物の製造方法。
  9. 前記粒子の原料の1次粒径が0.3μmより大きく、前記分散物に含まれる粒子の平均粒径が0.3μm未満であり、かつ5μm以上の粗粒成分を含まない請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の分散物の製造方法。
  10. 前記粒子が、黒酸化鉄、赤酸化鉄、黄色酸化鉄、青色2号レーキ色素、酸化チタン、及びカーボンブラックからなる群より選択される少なくとも1種の顔料を含む請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の分散物の製造方法。
  11. 前記粒子が、黒酸化鉄、赤酸化鉄、及び黄色酸化鉄からなる群より選択される少なくとも1種の顔料を含み、さらに、分散物を高圧処理する工程を有する請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の分散物の製造方法。
  12. 前記分散剤が、医薬品添加物として経口投与可能な分散剤から選ばれる少なくとも1種ある請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の分散物の製造方法。
  13. 前記経口投与可能な分散剤が、オイドラギット類、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、及びポリビニルピロリドンから選ばれる少なくとも1種を含む請求項12に記載の分散物の製造方法。
  14. 前記粒子が、無機粒子であるシリカ粒子を含む請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の分散物の製造方法。
  15. 前記粒子が、無機粒子であるシングルナノ粒子を含む請求項1〜請求項9、及び請求項14のいずれか1項に記載の分散物の製造方法。
  16. 請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載の分散物の製造方法により分散物を得る工程と、
    前記分散物をインクジェット法により吐出して、被記録媒体に画像を形成する工程と、を含むインクジェット記録方法。
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