JP6665333B1 - 洗浄料組成物 - Google Patents

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【課題】泡の持続性とクレンジング効果に優れた洗浄料組成物を提供する。【解決手段】次の成分A〜D、A成分:高級脂肪酸塩またはアシルアミノ酸塩から選ばれる1種以上、B成分:HLB8以上12以下の非イオン系界面活性剤から選ばれる1種以上、C成分:揮発性炭化水素を0.01重量%以上1重量%以下、D成分:水、を含む洗浄料組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、化粧料に関し、更に詳細には、高級脂肪酸塩やアシルアミノ酸塩特有の泡について破泡を抑えることにより泡の持続性(泡もち)を保ちながらも、高いクレンジング性能を有する洗浄料組成物に関する。
皮脂や皮膚の汚れ、メイク製品などの油性残留物が皮膚に蓄積すると、肌荒れなど皮膚のダメージにつながることが知られており、皮膚の洗浄および化粧落とし(クレンジング)を行うことは大変重要なことである。従来洗浄料として、高級脂肪酸塩やアシルアミノ酸塩が主体の洗浄剤は、泡立ちがよく洗浄力の高い長所を有することから非常に好まれている。特に泡立ちが良いことは、洗浄時に泡がクッションになり、優しく洗い上げることができたり、多量の泡で油性の汚れの再付着を防ぐといった長所がある。
高級脂肪酸塩やアシルアミノ酸塩は水溶性の洗浄成分であることから、メイク品など油分を多く含む化粧料とは親和性が低く、化粧落とし性能は低い傾向がある。そこでクレンジング性能を付与する目的で、多価アルコール、非イオン性界面活性剤、油剤などが配合されてきた。
しかし高いクレンジング性能を得るために非イオン性界面活性剤や油剤を多量に配合すると、それらの破泡効果により高級脂肪酸塩やアシルアミノ酸塩の長所である良質な泡が破泡され消滅してしまうこと(泡の持続性低下)が問題であった。特許文献1には、カルボベタイン型両性界面活性剤と高級脂肪酸塩、アニオン性界面活性剤を組み合わせたクリーム状洗顔料、特許文献2にはアシルアミノ酸塩とエーテルカルボン酸塩を組み合わせた洗浄剤組成物が開示されている。しかしこれらの組成物はまだ泡の持続性が十分でなく、あるいは製剤が経時的に軟らかくなること等、安定性の問題があった。特許文献3にはアミノ酸系界面活性剤を含有するエアゾール型皮膚洗浄料が開示されているが、泡の持続性は不十分であった。
以上のことから、破泡を抑えることで高級脂肪酸塩やアシルアミノ酸塩特有の良好な泡の持続性を維持しながらも、高いクレンジング性能を有する洗浄料組成物が求められてきた。
特開2011−213693号公報 特開平6−40850号公報 特開2012−240985号広報
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであって、高級脂肪酸塩やアシルアミノ酸塩特有の泡について破泡を抑えることにより泡の持続性を維持しながらも、高いクレンジング性能を有する洗浄料組成物を提供することを課題とする。
上記課題を達成するため、本発明者が、鋭意研究した結果、成分A〜Dを同時に配合することにより、上記課題を洗浄料組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、
次の成分A〜Dを含む洗浄料組成物である。
A成分:高級脂肪酸塩またはアシルアミノ酸塩から選ばれる1種以上
B成分:HLB8以上12以下の非イオン系界面活性剤から選ばれる1種以上
C成分:揮発性炭化水素を0.01重量%以上1重量%以下
D成分:水
本発明の洗浄料組成物は、高級脂肪酸塩やアシルアミノ酸塩特有の泡について破泡を抑えることにより泡の持続性を維持しながらも、高いクレンジング性能を有するものである。
以下、本発明について更に詳しく説明する。なお、特段注釈のない限り、以下で成分の配合量を「%」で表示する場合は重量%を意味する。
本発明に用いる高級脂肪酸塩(成分A)は、通常化粧料に用いられるものを使用することができる。脂肪酸としては特に限定されないが、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ヤシ油脂肪酸などが挙げられる。また、高級脂肪酸塩対塩基は特に制限されないが、例えばアルカリ金属原子、アンモニウム、アミノ酸のカチオン性残基であり、ナトリウム、カリウム、トリエタノールアミン、およびアルギニンなどのカチオン性残基が挙げられる。特にナトリウムおよびカリウムが好ましい。
本発明に用いるアシルアミノ酸塩(成分A)は、通常化粧料に用いられるものを使用することができる。脂肪酸としては特に限定されないが、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ヤシ油脂肪酸などが挙げられる。アミノ酸としては特に限定されないが、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、アラニン、サルコシン等が挙げられ、D−体、L−体、及びDL−体の別を問わず使用できる。また、N−アシルアミノ酸塩の対塩基は特に制限されないが、例えばアルカリ金属原子、アンモニウム、アミノ酸のカチオン性残基であり、ナトリウム、カリウム、トリエタノールアミン、およびアルギニンなどのカチオン性残基が挙げられる。特にナトリウムおよびカリウムが好ましい。
成分Aの配合量としては、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限はないが、通常、化粧料用組成物全量に対し1.00〜50重量%、好ましくは10〜40重量%の範囲で用いられる。この範囲では洗浄料組成物の起泡性が非常に優れている。
成分Aは、これらのうち1種を単独で用いても、またはこれらを混合して用いても差支えない。
本発明に用いるHLB8〜12の非イオン系界面活性剤(成分B)は、特に制限はなく、通常化粧料に用いられるものを使用することができる。例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、またはそれら脂肪酸エステルのアルキレングリコール付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、グリセリンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。特に好ましい成分としてはモノイソステアリン酸PEG−8グリセリルやトリイソステアリン酸PEG−20グリセリルが挙げられる。
成分Bの配合量としては、本発明の効果が得られる範囲であれば特に制限はないが、通常、化粧料用組成物全量に対し0.01〜3重量%、好ましくは0.5〜2重量%の範囲で用いられる。この範囲では成分Cの安定配合とクレンジング性能が非常に優れている。
成分Bは、これらのうち1種を単独で用いても、またはこれらを混合して用いても差支えない。
本発明に用いる揮発性炭化水素(成分C)は、25℃1気圧で揮発する性質を有する炭化水素油であり、通常化粧料に用いられるものを使用することができる。揮発性炭化水素油としては、例えばn−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン等のパラフィン系炭化水素油、イソデカン、イソドデカン、水添ポリイソブテン等のイソパラフィン系炭化水素油、シクロデカン、シクロドデカン等の環状パラフィン炭化水素油を挙げることができる。これらの中でも、炭素数8〜12のイソパラフィン系炭化水素油が好ましい。特に好ましい成分としてはイソドデカンが挙げられる。市販品としてはIPソルベント 1620MU(出光興産社製)、マルカゾールR(丸善石油社製)等が挙げられる。
成分Cの配合量としては、少量の配合で非常に高いクレンジング効果を有することが本発明の特徴であり、洗浄料組成物全量に対し0.01〜1重量%、好ましくは0.1〜1重量%の範囲で用いられる。成分Cを配合しない場合クレンジング性能が格段に弱く、2%以上配合した場合には泡の持続性が大きく低下する問題が生じる。
成分Cは、これらのうち1種を単独で用いても、またはこれらを混合して用いても差支えない。
本発明の組成物には、上記の必須成分のほかに、必要に応じ一般的に化粧料などに用いられる成分を配合することも可能である。例えば、パール剤、保湿剤、増粘剤、水溶性高分子、香料、殺菌剤、防腐剤、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、紫外線吸収剤、抗炎症剤、抗酸化剤、清涼剤、生薬抽出物やビタミン類、の添加物を適時配合することができる。これら成分を含有させる場合の配合割合は、その種類や目的に応じて適宜選択することができ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組合せて用いることもできる。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に説明する。なお、これら実施例は本発明を何ら限定するものではない。
[揮発性炭化水素の可溶化]
洗顔料などの水を主体とした水系の剤型に揮発性炭化水素を安定に配合するためには、非イオン系界面活性剤を用いて揮発性炭化水素を製剤に可溶化する必要がある。もし非イオン系界面活性剤を用いずに揮発性炭化水素を洗顔料に配合すると、泡の持続性や弾力、高温の安定性が悪くなる。また揮発性炭化水素と相溶性の悪い非イオン系界面活性剤を用いた場合も同様のことが言える。そこで、様々なHLBの非イオン系界面活性剤を用いて、揮発性炭化水素を洗顔料に安定配合できるHLBの範囲を検討した。
<評価方法>
異なるHLBの非イオン系界面活性剤(B成分)をそれぞれ用いて、揮発性炭化水素(C成分)を配合した泡洗顔料をビーカーに調製し一晩静置した後、専門の担当技術者がバルクの透明性を目視で確認した。A成分としてはヤシ油脂肪酸K・ミリスチン酸K(高級脂肪酸塩)や、ココイルグリシンK(アミノ酸系界面活性剤)を用いた。B成分としてはHLB7.8〜15のグリセリン脂肪酸エステルを用いた。C成分としてはイソドデカンを用いた。
<評価基準>
○:透明に可溶化
×:白濁を生じ、製剤の品質上好ましくない。
[クレンジング効果]
揮発性炭化水素の配合量に対する洗顔料のクレンジング効果について評価した。
<評価方法>
異なる配合量の揮発性炭化水素(C成分)を配合した泡洗顔料をビーカーに調製し一晩静置した後、ポンプフォーマーに充填した。これを一般的な化粧下地に赤酸化鉄で色を付けたものを前腕の直径4cmの円の範囲に0.2g塗布し、30分間乾燥させた後、泡を0.3g乗せ50回優しくこすり、水で洗い流した後の様子を目視で評価した。A成分としてはヤシ油脂肪酸K・ミリスチン酸K(高級脂肪酸塩)や、ココイルグリシンK(アミノ酸系界面活性剤)を用いた。B成分としてはHLB10であるトリイソステアリン酸PEG−20グリセリルを用いた。C成分としては揮発性炭化水素であるイソドデカン、および不揮発性炭化水素である水添ポリイソブテンを用いた。20〜40代の女性パネラー計10名にサンプルをブラインドにて使用させ、下記評価基準にて評価した結果を、表2に示す。
<評価基準>
◎:「メイク落ちが良好」と評価した人が9名以上
○:「メイク落ちが良好」と評価した人が6〜8名
△:「メイク落ちが良好」と評価した人が3〜5名
×:「メイク落ちが良好」と評価した人が2名以下
[泡の持続性]
洗顔料において、クレンジング効果を付与するために疎水性の高い界面活性剤や油剤を配合することは既に知られているが、それらを配合することで破泡効果により泡の持続性が低下する。また持続性の無い泡は、メイク汚れに接触するとより破泡が進み、瞬く間に弾力の無い泡となってしまう。以下、揮発性炭化水素の配合量に対する泡の持続性について評価した。
<評価方法>
異なる配合量の揮発性炭化水素(C成分)を配合した泡洗顔料をビーカーに調製し一晩静置した後、ポンプフォーマーに充填して行った。一般的な化粧下地に赤酸化鉄で色を付けたものを前腕の直径4cmの円の範囲に0.2g塗布し、30分間乾燥させた後、泡を0.3 g乗せ、1分後の泡の様子を専門の担当技術者が目視で評価した。A成分としてはヤシ油脂肪酸K・ミリスチン酸K(高級脂肪酸塩)や、ココイルグリシンK(アミノ酸系界面活性剤)を用いた。B成分としてはHLB10であるトリイソステアリン酸PEG−20グリセリルを用いた。C成分としては揮発性炭化水素であるイソドデカン、および不揮発性炭化水素である水添ポリイソブテンを配合量0.01〜2%の範囲で用いた。下記評価基準にて評価した結果を、表1および表2に示す。
<評価基準>
◎:全く泡が破泡しない
○:ほとんど泡が破泡しない
×:泡が破泡する
Figure 0006665333
Figure 0006665333
※1 パールリーム6(日油社製、イソブテン6量体の不揮発性炭化水素)
表1からわかるように、本発明の実施例1〜5はC成分を洗顔料の処方系に透明に可溶化でき、泡の持続性が高いことがわかる。しかし比較例1〜6からわかるように、C成分が可溶化されていない場合は泡の持続性が損なわれ、泡がメイク汚れと馴染んだ次の瞬間から泡が破泡していく様子が観察された。よってB成分としてHLB8〜12の範囲の非イオン系界面活性剤を用いることで、A成分の種類に関わらず、C成分を洗顔料に安定配合できることがわかった。
表2からわかるように、本発明の実施例6〜12を参照すると、C成分を0.1%以上配合すると非常に高いクレンジング効果を発揮することがわかり、また濃度依存的にクレンジング効果を発揮する傾向が認められた。しかし比較例7からわかるように、C成分を配合していない場合はほとんどクレンジング効果がないことから、陰イオン系界面活性剤や非イオン系界面活性剤だけでは十分なクレンジング効果が得られないことがわかる。また比較例11〜13からわかるように、C’成分である不揮発性炭化水素を用いた場合、揮発性炭化水素と比べメイク落ち効果に劣る結果となった。
表2からわかるように、本発明の実施例6〜12を参照すると、C成分を1%以下の配合では、用いるA成分の種類に関わらず、泡の持続性が損なわれないという効果が認められた。しかし比較例8、9、14のように、用いる炭化水素が揮発性、不揮発性に関わらず、1.5%以上配合すると泡の持続性が損なわれ、泡がメイク汚れと馴染んだ次の瞬間から泡が破泡していく様子が観察された。また比較例10からわかるように、A成分を配合しない場合は泡の持続性が全く無いことがわかる。
以上の結果から、B成分としてHLB8〜12の範囲の非イオン系界面活性剤を用いてC成分を可溶化した場合、C成分を1%以下の少量配合する場合に限り、A成分の種類に関わらず、クレンジング効果と泡の持続性を両立した洗顔料を提供できることが立証された。
常法にて、各処方の組成物を作製した。いずれの処方においても本発明の効果を奏することが確認された。
(1)<洗顔料>
配合成分 配合量(%)
ココイルグリシンK 6
ジイソステアリン酸ポリグリセリル−10 0.8
水添ポリイソブテン※2 0.35
ラウリルヒドロキシスルタイン 0.9
ラウラミドプロピルベタイン 3
DPG 3.5
グリセリン 20
PEG−75 5
キレート剤 適量
pH調整剤 適量
保存料 適量
水 残余
合計 100
※2 パールリーム3(日油社製、イソブテン3量体の揮発性炭化水素)
(2)<洗顔料>
配合成分 配合量(%)
ラウリン酸 6
ミリスチン酸 12
パルミチン酸 4
ステアリン酸 9.5
ステアリン酸スクロース 1.25
イソドデカン 0.5
グリセリン 15
DPG 5
ソルビトール 2.1
ラウリルヒドロキシスルタイン 2.1
PEG−9M 1
キレート剤 適量
pH調整剤 適量
保存料 適量
水 残余
合計 100

Claims (1)

  1. 次の成分A〜D
    A成分:脂肪酸の炭素数が8〜18の高級脂肪酸塩または脂肪酸の炭素数が8〜18のアシルアミノ酸塩から選ばれる1種以上を1重量%〜50重量%
    B成分:HLB8以上12以下の非イオン系界面活性剤から選ばれる1種以上を0.01重量%〜3重量%
    C成分:揮発性炭化水素(但しテルペン類を除く)0.1重量%以上1重量%以下
    D成分:水
    を含む洗浄料組成物。
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