JP6663573B2 - 車両用制御装置 - Google Patents
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Description
このような電子制御ブレーキシステムは、ブレーキ液圧を高めるポンプや、ブレーキ液の流れを調整する電磁弁等が用いられており、これらのポンプや電磁弁等は、バッテリを主電源として駆動される。それ故、何らかの理由によって、バッテリからの電力が途切れた場合、必要な制動力(減速度)を確保することができない。
そこで、予め装備されている主電源に加え、失陥時のバックアップ用補助電源を併設する技術が提案されている。
特許文献1の車両の制動力制御装置は、モータの駆動により車両を制動可能な電動ブレーキ手段と、この電動ブレーキ手段に電力を供給可能な主電源と、電動ブレーキ手段に電力を供給可能な補助電源である二次電池と、この二次電池の放電を制御可能な制御手段とを備えた車両用制御装置において、制御手段が、主電源失陥時、二次電池から放電させると共に、電動ブレーキ手段の出力を失陥前に比べて低下させるように構成されている。
また、充放電が、キャパシタの電極表面に対する電荷の付着及び離脱現象であるため、電極材料の劣化も殆ど生じない。
特許文献2の自動ブレーキ装置は、AEB(Autonomous Emergency Braking)システムと、減速エネルギー回生システムとを構成し、主電源と、補助電源としてのキャパシタと、発電用オルタネータとを備え、自車両の障害物に対する接触可能性がある場合、キャパシタの蓄電電圧が十分なとき、キャパシタを用いてブレーキ液圧を昇圧し、キャパシタの蓄電電圧が不足するとき、オルタネータを用いてブレーキ液圧を昇圧している。
それ故、リチウムイオン電池では、充放電行程において材料の化学変化を伴うことから、瞬時に充放電することが難しく、充放電効率、所謂応答性の面で改善の余地がある。
また、リチウムイオン電池の内部抵抗は、イオンの泳動過程による抵抗と拡散過程による抵抗とからなり、バッテリ内の絶対温度に依存しているため、バッテリ温度の影響を受け易く、電流の安定化の面でも課題が残る。
しかし、キャパシタは、電荷の蓄積が電極材料の表面に限られるため、その質量当りの蓄電容量が二次電池に比べて劣っている。
そこで、蓄電容量の増加を狙いとして、キャパシタの大型化や、キャパシタの電極材料内部に蓄電させることも考えられる。
しかし、キャパシタの大型化は、車体重量の増加や配置スペースの確保が懸念され、また、電極材料内部の蓄電は、コストアップが懸念されることから、具体化は容易ではない。
即ち、キャパシタの優位性を維持しつつ、限られた容量のキャパシタを車両用バックアップ電源として用いる具体的な技術の提案は現時点なされていない。
制御手段は、前記主電源の充電率に対応して前記電動ブレーキ手段に供給可能な主電源電力と、前記目標制動力設定手段によって設定された目標制動力相当の目標減速度と乗員が自己の踏力で発生可能な減速度との差分に相当する要求減速度を発生させるために必要な要求減速度電力と、前記要求減速度電力から前記主電源電力を差分した差分電力とを演算すると共に、前記差分電力が判定閾値未満のとき、前記主電源からのみ前記電動ブレーキ手段に前記主電源電力を供給し、前記差分電力が判定閾値以上のとき、前記主電源から前記電動ブレーキ手段に前記主電源電力を供給すると共に前記キャパシタから前記電動ブレーキ手段に前記差分電力を放電するため、乗員の踏力によって制動力を補填可能な状況においてキャパシタの使用を抑制することができ、限られた容量のキャパシタの使用頻度を最小限に留めることができる。
この構成によれば、乗員によるブレーキペダルの操作量をパラメータとして乗員が要求する目標制動力を設定することができ、乗員の制動要求に適合した制動特性を得ることができる。
この構成によれば、乗員の制動要求に応じてブレーキ液圧保持時間を確保することができる。
この構成によれば、主電源から電動ブレーキ手段に供給可能な電力を容易に検出することが出来る。
この構成によれば、キャパシタの充放電制御を簡単な回路構成で実行することができる。
以下の説明は、本発明をブレーキバイワイヤシステムを備えた車両に適用したものを例示したものであり、本発明、その適用物、或いは、その用途を制限するものではない。
図1に示すように、本実施例に係る車両は、車両電源1と、バックアップ電源ユニット2と、ブレーキバイワイヤシステム3と、空調装置や電子機器等の車両側負荷4等を備えている。この車両は、例えば、走行駆動源として電動モータと内燃機関(何れも図示略)とを備えたハイブリッド車両であり、車両の運動エネルギーを電気エネルギーに回生することによって車両を制動する回生制動と、ブレーキバイワイヤシステム3による液圧制動とを併用して所望の制動力を発生させるブレーキ回生協調制御を実行可能に構成されている。
車両電源1は、12Vの車両用バッテリからなる主電源11と、この主電源11に並列接続されると共に内燃機関の駆動により発電可能なオルタネータ12等を主要な構成としている。主電源11には、主電源11の充電率SOC(State Of Charge)を検出可能な充電率センサ13が装備されている。
車両電源1は、途中部にバックアップ電源ユニット2が介装された第1回線L1と、この第1回路L1と並行配置された第2回線L2との2系統の回線によってブレーキバイワイヤシステム3に対して電気的に接続されている。
第2回線L2の途中部から分岐した第3回線L3は、車両側負荷4に接続されている。
バックアップ電源ユニット2は、車両電源1の異常時や主電源11の充電率SOCの低下時等、ブレーキバイワイヤシステム3の作動に電源上の支障が生じる可能性がある場合、ブレーキバイワイヤシステム3に対してバックアップ電力を供給するブレーキバイワイヤシステム3専用の補助電源ユニットである。
図1に示すように、バックアップ電源ユニット2は、補助電源としてのキャパシタ21と、充電回路部22と、第1制御部23(制御手段)等を備えている。
第1接点24と車両電源1との間に相当する第1回路L1の途中部には、電気的にオンオフ状態を切替可能な第2接点25が設置されている。
充電回路部22は、キャパシタ21を車両電源1により充電可能に構成されている。
充電回路部22の下流側端部は、キャパシタ21の充電側端部に接続され、上流側端部は、第1回路L1の第2接点25の上流側部分に接続されている。
この第1制御部23は、CPU(Central Processing Unit)と、ROMと、RAMと、イン側インタフェースと、アウト側インタフェース等によって構成されている。ROMには、充放電を制御するための種々のプログラムやデータが格納され、RAMには、CPUが一連の処理を行う際に使用される処理領域が設けられている。
D1=D−D0 …(1)
減速度D0は、乗員が発揮可能な最大踏力に基づいて予め実験等により求められている。
演算された要求減速度D1は、制動用目標トルクに換算され、この目標トルクに基づきブレーキバイワイヤシステム3の作動に必要な第1電力E1(要求減速度電力)が算出される。
そして、第1電力E1と第2電力E2が、次式(2)の条件を満たした場合、両者の差分に相当する差分電力ΔEをキャパシタ21からブレーキバイワイヤシステム3に対して供給している。
S≦E1−E2 …(2)
尚、Sは予め規定された判定閾値である。
主電源11の内部抵抗が主電源11の温度が低い程大きくなるため、判定閾値Sは、主電源11の温度が低い程小さくなるように設定される。
図2に示すように、キャパシタ21の放電特性は、ブレーキ液圧を昇圧するピーク電流、例えば、50Aを200msecの間出力する昇圧ステージと、ブレーキ液圧を保持する定常電流、例えば、2Aを12secの間出力する維持ステージとから構成されている。
そして、この維持ステージの継続時間TをストロークStに比例するように設定されている。
図1に示すように、バイワイヤシステム3は、第1,第2回路L1,L2から電力が供給される電源供給制御回路部31と、モータ32と、ブレーキ液流路を電気的に開閉可能な電磁弁33〜36と、第2制御部37等を主要構成としている。
電源供給制御回路部31は、供給された電力を所定の制御条件に基づきモータドライバ32a、電磁弁ドライバ33a〜36a及び第2制御部37に分配している。
具体的には、車両電源1からの電力をモータ32、電磁弁33〜36及び第2制御部37に分配し、バックアップ電源ユニット2からの電力をモータ32に分配している。
図3に示すように、ブレーキバイワイヤシステム3は、ブレーキペダル41のストロークStに応じたブレーキ液圧を生成可能なマスタシリンダ42と、モータ32とこのモータ32に駆動されるポンプ部とからなる電動ブレーキブースタ43(電動ブレーキ手段)と、反力発生機構44と、このマスタシリンダ42又は/及び電動ブレーキブースタ43により発生されたブレーキ液圧によって車両の前後左右輪FL,FR,RL,RRの回転を夫々制動するホイールシリンダ45a〜45dと、第2制御部37等を備えている。
第1圧力発生室42aは、開閉可能な電磁弁33を介してホイールシリンダ45a,45bに連通され、第2圧力発生室42bは、開閉可能な電磁弁36を介してホイールシリンダ45c,45dに連通されている。
反力発生機構44は、第1圧力発生室42aと電磁弁33とを連通する流路に接続され、例えば、シリンダと、このシリンダ内に摺動自在なピストンと、ピストンを付勢する付勢手段等によって形成されている。これにより、乗員がブレーキペダル41を踏込又は踏戻操作したとき、ブレーキペダル41を介して予め設定された特性を備えた反力(踏力)を乗員に対して作用させることができる。
図4に示すように、第2制御部37は、踏力特性マップM1を有している。
マップM1は、所定の関数、例えば、対数によって規定されている。
次式(3)に示すように、乗員の感覚の強さは刺激の強さの対数に比例している。
A=klogB+K …(3)
尚、Aは感覚量、Bは物理量、kはゲイン、Kは積分定数である。
第2制御部37は、ストロークセンサ47で検出されたストロークStと踏力特性マップM1とに基づき目標操作反力に相当する踏力Fを設定し、これに対応した作動指令信号を反力発生機構44に出力している。
第2制御部37は、検出されたストロークStを介して設定された踏力Fと制動特性マップM2とを用いて車両の目標減速度Dを設定し、目標減速度Dに対応した作動指令信号をモータ32(モータドライバ32a)に出力している。
これにより、各ホイールシリンダ45a〜45dが駆動され、制動特性マップM2に基づく減速度Dの制動が実行されている。
また、第2制御部37は、これと同時に、ストロークSt及び目標減速度Dに関する制御信号を第1制御部23に出力している。
尚、Si(i=1,2…)は、各処理のためのステップを示している。
S2では、乗員がブレーキペダル41を踏み込んだか否か判定する。
S2の判定の結果、乗員がブレーキペダル41を踏み込んだ場合、ブレーキペダル41のストロークStとマップM1,M2に基づき目標減速度Dを演算する(S3)。
S5では、演算された要求減速度D1を用いてブレーキバイワイヤシステム3の作動に必要な第1電力E1を演算する。
S6では、検出された主電源11の充電率SOCに基づき主電源11からブレーキバイワイヤシステム3に対して供給可能な第2電力E2を演算する。
S7では、第1電力E1から第2電力E2を差し引いた差分電力ΔEが判定閾値S以上か否か判定する。
S9では、キャパシタ21の放電を実行し、バックアップ電源ユニット2からブレーキバイワイヤシステム3に対して差分電力ΔEを供給した後、リターンする。
S7の判定の結果、差分電力ΔEが判定閾値S未満の場合、キャパシタ21の放電を実行することなくリターンする。
S10では、キャパシタ21が満充電か否か判定する。
S10の判定の結果、キャパシタ21が満充電の場合、リターンする。
S10の判定の結果、キャパシタ21が満充電ではない場合、キャパシタ21の充電を実行し(S11)、リターンする。
実施例1に係る車両用制御装置によれば、車両の目標減速度Dを設定する第2制御部37を有するため、乗員のブレーキ操作に基づく制動要求に対して十分な目標減速度Dを設定することができる。第1制御部23は、主電源11から電動ブレーキブースタ43(モータ32)に供給可能な第2電力E2に対して目標減速度Dに基づく要求減速度D1を発生させるために必要な第1電力E1が判定閾値S以上大きいとき、キャパシタ21から放電するため、乗員の踏力によって制動力を補填可能な状況においてキャパシタ21の使用を抑制することができ、限られた容量のキャパシタ21の使用頻度を最小限に留めることができる。
1〕前記実施形態においては、回生制動と液圧制動とを実行可能なハイブリッド車両の例を説明したが、少なくともブレーキバイワイヤシステムを備えていれば良く、電気自動車や内燃機関のみ備えた車両等に適用しても良い。
具体的には、進行方向前方の状況を検出可能な状況検出手段(例えば、カメラ等の撮像手段)を設け、乗員によるブレーキペダルの踏込操作を条件とした上で、状況検出手段による検出結果に基づき目標減速度を設定しても良い。この場合、撮像情報に基づき設定された目標減速度を要求減速度に設定することが好ましい。
21 キャパシタ
23 第1制御部
24 第1接点
25 第2接点
32 モータ
37 第2制御部
41 ブレーキペダル
Claims (5)
- モータの駆動により車両を制動可能な電動ブレーキ手段と、この電動ブレーキ手段に電力を供給可能な主電源と、前記電動ブレーキ手段に電力を供給可能な補助電源であるキャパシタと、このキャパシタの放電を制御可能な制御手段とを備えた車両用制御装置において、
車両の目標制動力を設定する目標制動力設定手段を有し、
前記制御手段は、前記主電源の充電率に対応して前記電動ブレーキ手段に供給可能な主電源電力と、前記目標制動力設定手段によって設定された目標制動力相当の目標減速度と乗員が自己の踏力で発生可能な減速度との差分に相当する要求減速度を発生させるために必要な要求減速度電力と、前記要求減速度電力から前記主電源電力を差分した差分電力とを演算すると共に、前記差分電力が判定閾値未満のとき、前記主電源からのみ前記電動ブレーキ手段に前記主電源電力を供給し、前記差分電力が判定閾値以上のとき、前記主電源から前記電動ブレーキ手段に前記主電源電力を供給すると共に前記キャパシタから前記電動ブレーキ手段に前記差分電力を放電することを特徴とする車両用制御装置。 - 前記目標制動力設定手段は、乗員によるブレーキペダルの操作量に基づき車両の 目標制動力を設定することを特徴とする請求項1に記載の車両用制御装置。
- 前記制御手段は、乗員によるブレーキペダルの操作量が大きい程、前記キャパシタの放電時間を長くすることを特徴とする請求項2に記載の車両用制御装置。
- 前記制御手段は、前記主電源電力を充電率に基づき検出することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両用制御装置。
- 前記キャパシタが前記主電源と電動ブレーキ手段との間に装備され、
前記キャパシタと電動ブレーキ手段とを電気的に切替可能な第1接点手段と、前記第1接点手段と主電源とを電気的に切替可能な第2接点手段とを設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の車両用制御装置。
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