JP6663011B2 - 冗長セキュリティアーキテクチャを有するマルチロータ航空機 - Google Patents

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Description

本発明は、少なくとも2つの推力発生ユニットを備えるマルチロータ航空機、すなわち、例えば4つ、6つ、10、又はそれよりも多くの推力発生ユニットを有する回転翼航空機に関する。
例えば、欧州特許第2551190号明細書、欧州特許第2551193号明細書、欧州特許第2551198号明細書、欧州特許第2234883号明細書、国際公開第2015028627号、米国意匠特許第678169号、米国特許第6568630号明細書、米国特許第8393564号明細書、米国特許第7857253号明細書、米国特許第7946528号明細書、米国特許第8733690号明細書、米国特許出願公開第20070034738号明細書、米国特許出願公開第20130118856号明細書、独国特許出願公開第102013108207号明細書、英国特許出願公開第905911号明細書、及び中国特許第201306711号明細書といった文献から、様々な従来のマルチロータ航空機が公知である。例えばボーイングCH−47 タンデムロータ式ヘリコプタ、ベルXV−3 ティルトロータ式航空機、ベルXV−22 4発ティルトダクテッドロータ機、ならびに所謂ドローン、より詳細には、例えば米国特許出願公開第20150127209号明細書、独国特許出願公開第102005022706号明細書、及び韓国登録特許101451646号公報といった文献に記載されているような所謂クワッドドローンなど、技術水準から他のマルチロータ航空機も公知である。さらに、例えばSkyflyer Technology GmbH社のSkyflyer SF MK IIや、映画アバターに見られるマルチコプタなど、マルチロータ航空機の研究及びフィクションが存在している。しかしながら、こうした従来のマルチロータ航空機、研究、及びフィクションはいずれも、都市部での乗客の輸送には適合されておらず、したがって利用できない。
従来のマルチロータ構造は、航空機とは別の技術分野に存在している。例えば、欧州特許出願公開第2075459号明細書には、マルチプルロータ風車が記載されている。しかし、そのようなマルチロータ構造は、乗客の輸送にはまったく利用できるものではない。
米国特許出願公開第2006226281号明細書には、ダクテッドファン垂直離着陸機が記載されている。この垂直離着陸機は、4つの外付けスラスタを有する胴体を備える。4つのスラスタはダクテッドファンユニットである。スラスタは胴体の外周に配置されており、胴体の前側、右側、左側、及び後側に位置している。胴体の各側で最大で2つのスラスタが作動しない状態で機体がホバリングできるような冗長性を提供するために、スラスタはそれぞれ二重反転プロペラを有している。また、胴体内に位置している複数の電源が、2つ以上のモータ又はエンジンが各スラスタに動力を供給することを可能にする。前後のスラスタは、垂直離着陸機をその軸回りにスピンさせるべく、両方が左へ又は右へと連動して配向され得る。左側及び右側のスラスタは、前方又は後方に向くように配向可能であり、前進又は後進移動を生じる。
米国特許出願公開第2014034775号明細書には、クアッドロータ型無人航空機(UAV)が記載されている。機体の積荷支持構造が、例えばセンサ又は武器など、搭載されたペイロードの多軸回転を可能にする。
国際公開第2004065208号明細書には、本体に1つ又は複数のダクテッド磁気誘導エンジンが搭載されている有人又は無人垂直離着陸機が記載されている。機体の操縦の制御のために配向を変更する際には、エアベーンアセンブリが、発生した気流の一部を偏向させることができる。
他の文献、すなわち国際公開第2014195660号明細書、米国特許出願公開第2015012154号明細書、及び米国特許出願公開第2015060606号明細書が検討されている。
より一般的には、現在、複数の異なる輸送のシステム及びやり方が存在しており、これらはいずれも様々な手法で、様々な任務、例えば航空輸送、陸上輸送、水上輸送のために利用及び使用される。こうした複数の異なる輸送システムは、世界中の人々の増え続ける機動性の需要に直面しているが、既存のインフラ及び可能な用途によって制限されている。したがって、都市、そして特に世界中の所謂巨大都市は頻繁に、日々過密し、これは交通渋滞や、増加する大気及び水質汚染によって明確に認識され得る。これは、例えばタクシーによる個人の輸送の問題にもつながり、自動車やバス等による個人旅行の運航が制限される。
一般的に、個人が日常の業務や生活において自動車、タクシー、及び又はバスによって走行するのは、50km未満である。したがって、(巨大)都市又は他の非常に密集した地域の過密及び汚染はすべて、主に地上ベースの短距離輸送手段に起因するものである。これは自動車、バス、鉄道、及び地下鉄を含む。しかしながら、そのような地上ベースの短距離輸送手段の需要が増え続けるにつれて、(巨大)都市における騒音及び「汚染」は急速に増加する。
地上輸送とは対照的に、航空輸送は、例えばヘリコプタ、飛行機、ハイブリッド航空機、ロケットなど、選択される航空輸送機に関係なく、厳しく適用される当局の規則、許認可要件、及び安全要求を一般的に考慮しなくてはならない分野である。したがって、航空輸送の分野の比較的高い需要により、航空輸送機の複雑さ、対応する費用、ならびにそれぞれの操縦人員の所与の訓練努力は、概して非常に高い。このように、航空輸送は通常は高コストであり、複雑で、一般的に個人又は小さな会社では賄うことができない。
より具体的には、都市部における飛行に用いられる航空輸送手段は、当局の規則、許認可要件、及び安全要求の特に厳しい適用を基礎としている。その結果、航空輸送の分野における、そしてより一般的には都市部での飛行に用いられる航空輸送手段に関する航空宇宙部門における現在の技術選択は、10−9という最大故障確率を保証しなければならない。
現在のところ、この最大故障確率を達成するのに適した技術は、航空宇宙産業に一般に存在している。また、上述したように、マルチロータ構造の大体の思想も周知の概念であり、市場ではいくつかのレイアウト及び設計で利用可能である。しかしながら、過去から現在の設計に至るまで、公知の概念はいずれも乗客の輸送に必要な安全水準に達していないため、都市部での乗客の輸送のための技術的解決策、すなわちマルチロータアーキテクチャを備えた航空機は、現在のところまったく設計も、適応も、認可もされていない。よって、実際に乗客を輸送するマルチロータアーキテクチャを用いた航空機は市場には存在しない。
したがって、本発明の目的は、乗客の輸送用に設計され、特に都市部での運航の認可に適当で且つ適合された、マルチロータ航空機を提供することである。
この目的は特許請求の範囲に記載のマルチロータ航空機によって解決されるものであり、この航空機は、乗客の安全な輸送を可能にするために、様々な交差連結冗長性オプション(crosslink redundancies option)に適合されている。
より具体的には、少なくとも2つの推力発生ユニットを備えた請求項1によるマルチロータ航空機が提供される。このマルチロータ航空機は、乗客の輸送に適合されており、無故障運航モードでのマルチロータ航空機の運航に適合された航空機作動構造と、少なくとも運航時に航空機運航構造が故障した場合のマルチロータ航空機の運航に適合された冗長セキュリティアーキテクチャと、を備えている。冗長セキュリティアーキテクチャは、乗客の輸送に関して適用される当局の規則及び許認可要件に準拠するように提供される。
有利なことには、本発明によるマルチロータ航空機は、乗客の輸送用に設計され、特に都市部での運航を認可されるのに適当で且つ適合されている。このマルチロータ航空機は、飛行が容易で、複数の冗長構成を有し、当局の安全要求を満たし、設計のコスト効率がよく、比較的小さな騒音しか生じない。好適には、本発明によるマルチロータ航空機は、比較的小さなロータ径を有し、軽量設計で、入射角が固定されており、それでも緊急着陸の遂行に適合されているが、これらのロータ特性は、運航時の比較的低い慣性及び調整不可能なトルクをもたらす。
本発明の一態様によれば、マルチロータ航空機は、ホバリング可能であり、分散型推進システムを備えている。このマルチロータ航空機はさらに、自動回転能力を備えて設計されている。自動回転能力は、要件の中でも特に、例えばFAR及びEASA規則など、マルチロータ航空機全体について飛行時間あたりおよそ1×10−7までという安全性故障モードに関する当局の規則を満たすために必要である。航空部門においては、こうした安全水準が、典型的には所謂設計保証水準(DAL)AからDによって定義されている。
有利なことには、本発明によるマルチロータ航空機は、乗客の輸送に必要な当局の規則の安全水準を満たす。これは好適には、以下のものの組み合わせ及び相関関係によって達成される。
・少なくとも2つの個々のロータアセンブリ、
・冗長な隔離された(segregated)バッテリレイアウト、
・冗長な電力供給及びハーネスのレイアウト、
・基本的な電力管理の物理的分離及び隔離、
・冗長な隔離された電気エンジン、及び
・ロータアセンブリのピッチ制御及び/又はRPM制御。
好適な一実施形態によれば、マルチロータ航空機は、乗客の輸送に適合された内容積を定義する胴体を有する。このマルチロータ航空機は、胴体に構造的に接続された、例えば堅固に固定された、複数の推力発生ユニットも有する。
本発明の実施形態に応じて、マルチロータ航空機は、2つの推力発生ユニット、4つの推力発生ユニット、6つの推力発生ユニット、又は、8つ又は10以上の推力発生ユニットさえ備え、これらの推力発生ユニットは横向きの対で配置されている。
マルチロータ航空機は、無故障運航モードでのマルチロータ航空機の運航に適合された航空機作動構造と、少なくとも運航時に航空機運航構造が故障した場合のマルチロータ航空機の運航に適合された冗長セキュリティアーキテクチャと、を有する。
少なくとも2つの推力発生ユニットのうち少なくとも1つは、少なくとも2つのロータアセンブリを備えている。少なくとも2つのロータアセンブリの各々は関連するロータ平面を定義し、ここで、少なくとも2つのロータアセンブリのうちの第1のロータアセンブリは航空機運航構造と関連付けられており、少なくとも2つのロータアセンブリのうち第2のロータアセンブリは冗長セキュリティアーキテクチャと関連付けられている。
少なくとも2つの推力発生ユニットは、動作中の少なくとも2つのロータアセンブリのうちの第1のロータアセンブリを駆動するために設けられた少なくとも1つの第1のエンジンと、少なくとも動作中の少なくとも2つのロータアセンブリのうち第2のロータアセンブリを駆動するために設けられた少なくとも1つの第2のエンジンと、を有し、少なくとも1つの第1のエンジンは航空機運航構造と関連付けられており、少なくとも1つの第2のエンジンは冗長セキュリティアーキテクチャと関連付けられている。
マルチロータ航空機はエネルギ貯蔵システムを有する。エネルギ貯蔵システムは少なくとも2つのエネルギ提供ユニットを備えており、その少なくとも2つのエネルギ提供ユニットのうち少なくとも第1のエネルギ提供ユニットは、少なくとも動作中の第1のエンジンにエネルギを提供するために少なくとも1つの第1のエンジンに接続されている。
少なくとも2つのエネルギ提供ユニットのうち少なくとも第2のエネルギ提供ユニットは、少なくとも動作中の第2のエンジンにエネルギを提供するために少なくとも1つの第2のエンジンに接続されている。
例えば、少なくとも2つのエネルギ提供ユニットのうち少なくとも第1のエネルギ提供ユニットは航空機運航構造と関連付けられており、少なくとも2つのエネルギ提供ユニットのうち少なくとも第2のエネルギ提供ユニットは冗長セキュリティアーキテクチャと関連付けられている。
一実施形態においては、胴体は、胴体の前から機尾へと縦方向に沿って、及び、胴体の左側から右側へと横方向に沿って、延伸する。
マルチロータ航空機は、横向きの対になって配置された少なくとも4つの推力発生ユニットを有していて、各横向きの対は、横方向に沿って、横向きの対のうち1つの推力発生ユニットが胴体の左側に、横向きの対のうち別の1つの推力発生ユニットが右側に、それぞれ配置される。
したがって、(少なくとも2対のうち)少なくとも2つの推力発生ユニットが胴体の右側に配置され、少なくとも2つの別の推力発生ユニットが胴体の左側に配置される。実施形態においては、エネルギ提供ユニットのうち少なくとも2つは胴体内に収容されている。
別の言い方をすれば、エネルギ提供ユニットのうち少なくとも1つは、胴体の所与の(右/左)側で推力発生ユニットのエンジンと関連付けられている。この少なくとも1つのエネルギ提供ユニットは、胴体の反対側(左/右)で別の推力発生ユニットの別のエンジンとも関連付けられている。この反対側とは、胴体の縦方向について所与の側に対向している。
一実施形態においては、エネルギ提供ユニットのうち少なくとも1つは、推力発生ユニットの後方の横向きの対のうち少なくとも1つに関して推力発生ユニットの前方の横向きの対のうち胴体の左側の少なくとも1つの推力発生ユニットと関連付けられている。また、エネルギ提供ユニットは、推力発生ユニットの後方の横向きの対のうち胴体の右側の別の少なくとも1つの推力発生ユニットと関連付けられている。
エネルギ提供ユニットのうち別の少なくとも1つは、推力発生ユニットの後方の横向きの対に関して推力発生ユニットの前方の横向きの対のうち胴体の右側のさらなる少なくとも1つの推力発生ユニットと関連付けられており、別のエネルギ提供ユニットは、推力発生ユニットの後方の横向きの対のうち胴体の左側の推力発生ユニットとも関連付けられている。
したがって、推力発生ユニットはそれぞれ、胴体の縦方向に関して及び横方向に関して互いに対向するように関連付けられている。
一実施形態においては、エネルギ提供ユニットのうち少なくとも1つは胴体の所与の側で推力発生ユニットの第1のエンジンと関連付けられており、後のエネルギ提供ユニットは胴体の反対側で第2のエンジンとも関連付けられている。
一実施形態においては、マルチロータ航空機は、胴体の縦方向に沿って奇数の横向きの対を備える。
推力発生ユニットの少なくとも1つの中間の横向きの対は、推力発生ユニットの2つの別の横向きの対の間に配置される。2つの別の横向きの対はそれぞれ、中間の横向きの対に対して、縦方向に沿って前後方向に沿ってずれている。マルチロータ航空機は、少なくとも1つの所与のエネルギ提供ユニット及び別の1つのエネルギ提供ユニットも備えている。
所与のエネルギ提供ユニットは、中間の横向きの対の所与の一方の側で第1のエンジンと関連付けられており、別のエネルギ提供ユニットは、縦方向に関してこの所与の側とは反対側で中間の横向きの対の第1のエンジンと関連付けられている。
また、別のエネルギ提供ユニットは、中間の横向きの対の所与の側で第2のエンジンと関連付けられており、所与のエネルギ提供ユニットは、所与の側とは反対側で中間の横向きの対の第2のエンジンと関連付けられている。
さらなる好適な一実施形態によれば、少なくとも2つのロータアセンブリのうち第1のロータアセンブリは少なくとも2つのロータブレードを備えており、少なくとも2つのロータアセンブリのうち第2のロータアセンブリは少なくとも2つのロータブレードを備えている。
本発明の一態様によれば、推力発生ユニットのうち少なくとも1つは、ロータアセンブリを異物から保護するために、例えば格子に囲まれることによって、異物保護を備えることができる。そのような異物保護は、例えば個人が回転中の部品に手を巻き込まれるのを防止することによって、個人による誤使用及び個人の事故を有利に防止し、それによって向上された運航安全水準をもたらす。さらに、推力発生ユニットのうち少なくとも1つは傾斜させることができる。
さらなる好適な一実施形態によれば、少なくとも2つのロータアセンブリのうち第1のロータアセンブリは第1のロータ軸を定義し、少なくとも2つのロータアセンブリのうち第2のロータアセンブリは第2のロータ軸を定義する。第1及び第2のロータ軸は互いに離隔している。
さらなる好適な一実施形態によれば、少なくとも2つのロータアセンブリのうち第1のロータアセンブリは第1のロータ軸を定義し、少なくとも2つのロータアセンブリのうち第2のロータアセンブリは第2のロータ軸を定義する。第1及び第2のロータ軸は同軸に配置されている。
さらなる好適な一実施形態によれば、第1及び第2のロータ軸は、−60°から+60°の範囲内に含まれる関連する傾斜角だけ傾斜されており、この関連する傾斜角は好適には0°に等しい。
さらなる好適な一実施形態によれば、少なくとも2つの推力発生ユニットのうち少なくとも1つは、マルチロータ航空機の垂直基準線と第1及び第2のロータ軸との間に定義される関連する縦方向傾斜角だけ、マルチロータ航空機の縦方向に傾斜されている。この関連する縦方向傾斜角は、−45°から+80°の範囲内に含まれ、好適には7°に等しい。
さらなる好適な一実施形態によれば、垂直基準線と別の少なくとも1つの推力発生ユニットの第1及び第2のロータ軸との間に定義される別の縦方向傾斜角だけマルチロータ航空機の縦方向に傾斜されている、別の少なくとも1つの推力発生ユニットが提供される。この別の縦方向傾斜角は、−45°から+80°の範囲内に含まれ、好適には7°に等しい。
さらなる好適な一実施形態によれば、少なくとも2つの推力発生ユニットのうち少なくとも1つは、マルチロータ航空機の垂直基準線と第1及び第2のロータ軸との間に定義される関連する横方向傾斜角だけ、マルチロータ航空機の横方向に傾斜されている。この関連する横方向傾斜角は、−45°から+80°の範囲内に含まれ、好適には5°に等しい。
さらなる好適な一実施形態によれば、別の少なくとも1つの推力発生ユニットが提供され、この別の少なくとも1つの推力発生ユニットは、垂直基準線とこの別の少なくとも1つの推力発生ユニットの第1及び第2のロータ軸との間に定義される別の横方向傾斜角だけ、マルチロータ航空機の横方向に傾斜されている。この別の横方向傾斜角は、−45°から+80°の範囲内に含まれ、好適には5°に等しい。
さらなる好適な一実施形態によれば、少なくとも2つのロータアセンブリのうち第1のロータアセンブリは、動作時に第1の回転方向で回転するように適合されており、少なくとも2つのロータアセンブリのうち第2のロータアセンブリは、動作時に第2の回転方向で回転するように適合されている。第1の回転方向は第2の回転方向とは反対である。
一実施形態においては、エネルギ貯蔵システムは、エネルギ提供ユニットと推力発生ユニットとの間に動作可能に接続されたエネルギ配分デバイスを備えている。マルチロータ航空機は、少なくとも推力発生ユニットと同じくらい多くの、多数のエネルギ配分デバイスを有する。エネルギ配分デバイスの各々は単一の関連するエネルギ貯蔵伝達配置によって単独の各エネルギ提供ユニットに動作可能に接続されており、エネルギ配分デバイス同士は関連する分配伝達配置によって相互接続されている。
一実施形態においては、少なくとも1つの第1及び第2のエンジンは、少なくとも2つの別々の電気コイルを備える単一の隔離された電気エンジンを定義し、これらの少なくとも2つの別々の電気コイルは、動作時に互いに独立して電力を提供するように適合されている。少なくとも1つの第1の電気コイルは航空機運航構造と関連付けられており、少なくとも1つの第2の電気コイルは冗長セキュリティアーキテクチャと関連付けられている。
一実施形態においては、エネルギ貯蔵システムは、少なくともマルチロータ航空機が推力発生ユニットを有するのと同じくらい多くのエネルギ提供ユニットを備えていて、少なくとも2つのエネルギ提供ユニットのうち少なくとも第1のエネルギ提供ユニットは、動作中の少なくとも1つの第1のエンジンにエネルギを提供するためにこの少なくとも1つの第1のエンジンに接続されており、少なくとも2つのエネルギ提供ユニットのうち少なくとも第2のエネルギ提供ユニットは、動作中の少なくとも1つの第2のエンジンにエネルギを提供するためにこの少なくとも1つの第2のエンジンに接続されている。エネルギ提供ユニットのうち少なくとも第1のエネルギ提供ユニットは航空機運航構造と関連付けられており、少なくとも2つのエネルギ提供ユニットのうち少なくとも第2のエネルギ提供ユニットは冗長セキュリティアーキテクチャと関連付けられている。
一実施形態においては、エネルギ貯蔵システムはバッテリシステムを備えており、少なくとも2つのエネルギ提供ユニットは関連するバッテリユニットによって定義されている。
一実施形態においては、胴体は、マルチロータ航空機の縦方向の前後長に沿って、横方向の左右長に沿って、及び仰角方向の上下長に沿って延伸している。マルチロータ航空機は、交差推進容積(crossing propulsion volume)の重心を形成する重力の中心を有する。
交差推進容積は、縦方向に沿って胴体の前後長の0.01倍から0.9倍に延伸する前後寸法と、横方向に沿って胴体の左右長の0.01倍から0.9倍に延伸する左右寸法と、仰角方向に沿って上下長の−2倍から+2倍に延伸する上下寸法と、にわたって広がっている。したがって、交差推進容積は重力の中心を含んでいる。よって、交差推進容積の寸法は、所与の方向における対応する胴体長の値の範囲に及んでいる。
少なくとも2つの推力発生ユニットは、この少なくとも2つの推力発生ユニットのうち1つが別の1つに対して、各交差推進軸(crossing propulsion axis)上の交差連結対向位置(crosslink opposed position)で、交差した横向き、長さ向きの箇所にあるレイアウトで配置されており、すべての交差推進軸が交差推進容積の内部、例えば重力の中心の付近で交わる。
一実施形態においては、胴体の所与の側(左/右)の少なくとも2つの推力発生ユニットのうち1つの推力発生ユニットの少なくとも1つの第1のエンジンは、その所与の側に対向する他方の側(右/左)の少なくとも2つの推力発生ユニットのうち別の推力発生ユニット第2のエンジンに対して、冗長で隔離されたレイアウトで配置されている。少なくとも1つの第1のエンジン及び第2のエンジンは、各交差推進軸上の交差連結対向位置において上向き/下向きの箇所に配置されており、少なくとも1つの第1のエンジン及び第2のエンジンの各々は、交差推進容積の外部に配置されている。
有利なことには、上述したものとは異なるロータ平面を定義する少なくとも2つのロータアセンブリを提供することによって、ロータアセンブリは、互いに重なり合って位置するとともに反回転で回転することができるので、向上された安全水準を備え、本発明によるマルチロータ航空機の全体の寸法を縮小することを可能にする、推力発生ユニットがもたらされる。これにより、2つ以上のロータ平面を組み合わせて単一の推力発生ユニットにすることができるので、航空機は比較的小さくなる。さらに、各推力発生ユニットは、例えばヨーイングに関してマルチロータ航空機を操縦するために用いられ得る反回転するロータアセンブリの結果として、個々にトルクを提供するように適合される。
さらなる好適な一実施形態によれば、動作中の少なくとも2つのロータアセンブリのうち第1のロータアセンブリを駆動するための少なくとも1つの第1のエンジンが提供されるとともに、動作中の少なくとも2つのロータアセンブリのうち第2のロータアセンブリを駆動するための少なくとも1つの第2のエンジンが提供される。少なくとも1つの第1のエンジンは航空機運航構造と関連付けられており、少なくとも1つの第2のエンジンは冗長セキュリティアーキテクチャと関連付けられている。
複数の別々の推力発生ユニット内に複数の別個のロータアセンブリと関連するエンジンとを提供することによって、より多くの数量が提供されなければならないので、単価は引き下げられる。さらに、本発明によるマルチロータ航空機の機械的な複雑さは最小限に低減され得るので、特に各ロータアセンブリがRPM制御される固定ピッチのプロペラアセンブリによって実現される場合には、費用が削減されるとともに信頼線が向上する。また、例えばベアリング、結合金具、及びシャフトなどの一般的な標準部品の使用により、より多くの数量と、ひいては、やはり単価の引き下げとがもたらされる。
さらなる好適な一実施形態によれば、少なくとも1つの第1及び第2のエンジンは、少なくとも2つの別々の電気コイルを備える単一の隔離された電気エンジンを定義する。これらの少なくとも2つの別々の電気コイルは、動作時に互いに独立して電力を提供するように適合されている。少なくとも1つの第1の電気コイルは航空機運航構造と関連付けられており、少なくとも1つの第2の電気コイルは冗長セキュリティアーキテクチャと関連付けられている。
さらなる好適な一実施形態によれば、エネルギ貯蔵システムが提供される。エネルギ貯蔵システムは少なくとも2つのエネルギ提供ユニットを備えていて、この少なくとも2つのエネルギ提供ユニットのうち少なくとも第1のエネルギ提供ユニットは、動作中の少なくとも1つの第1のエンジンにエネルギを提供するためにこの少なくとも1つの第1のエンジンに接続されており、少なくとも2つのエネルギ提供ユニットのうち少なくとも第2のエネルギ提供ユニットは、動作中の少なくとも1つの第2のエンジンにエネルギを提供するためにこの少なくとも1つの第2のエンジンに接続されている。少なくとも2つのエネルギ提供ユニットのうち少なくとも第1のエネルギ提供ユニットは航空機運航構造と関連付けられており、少なくとも2つのエネルギ提供ユニットのうち少なくとも第2のエネルギ提供ユニットは冗長セキュリティアーキテクチャと関連付けられている。
さらなる好適な一実施形態によれば、所与の左/右側の推力発生ユニットの少なくとも1つの第1のエンジン及び第2のエンジンは、この少なくとも1つの第1のエンジン及び第2のエンジンの各々が交差推進容積の外部に配置されている、各交差推進軸上の交差連結対向位置で、交差した上向き/下向きの箇所に、別の推力発生ユニットに対して冗長な隔離されたレイアウトで配置されている。
一実施形態においては、エネルギ貯蔵システムはバッテリシステムを備えており、少なくとも2つのエネルギ提供ユニットは関連するバッテリユニットによって定義されている。
一実施形態においては、少なくとも2つの推力発生ユニットは各々がギアボックスフェアリングを有しており、各推力発生ユニットの第1及び第2のエンジンは、ギアボックスフェアリングによって囲まれるように、ギアボックスフェアリングの内部に配置されている。
さらなる好適な一実施形態によれば、エネルギ貯蔵システムが提供され、このエネルギ貯蔵システムは少なくとも2つのエネルギ提供ユニットを備えている。少なくとも2つのエネルギ提供ユニットのうち少なくとも第1のエネルギ提供ユニットは航空機運航構造と関連付けられており、少なくとも2つのエネルギ提供ユニットのうち少なくとも第2のエネルギ提供ユニットは冗長セキュリティアーキテクチャと関連付けられている。
さらなる好適な一実施形態によれば、少なくとも2つの推力発生ユニットのうち少なくとも1つは関連するシュラウドを備えており、少なくとも2つのロータアセンブリはその関連するシュラウド内に収容されている。
有利なことには、推力発生ユニットのシュラウドは、本発明によるマルチロータ航空機の全体の寸法を縮小することを可能にする。さらに、シュラウド付きの推力発生ユニットに接近する個人は負傷から保護され、動作中の推力発生ユニットの異物による損傷、例えばバードストライク又はワイヤストライクは安全に且つ確実に防止され、空気衝突の際のマルチロータ航空機の全体的な運航安全性が改善され得る。また、シュラウドによって、マルチロータ航空力学が改善され得るとともに、推力発生ユニットの基本的に必要な直径が縮小され得る。そして、シュラウド自体によってマルチロータ航空機の揚力が高められ、潜在的には航空機が必要とする全消費電力を低減させ得る。
なお、本発明による航空機は、上記では複数のロータアセンブリを備えたマルチロータ構造を参照して説明したが、複数のプロペラアセンブリを備えたマルチプロペラ構造として、又はマルチプロペラ及びマルチロータ構造としても同様に実現され得る。より具体的には、ロータは概して完全に関節型であるが、プロペラは概してまったく関節型ではない。しかしながら、いずれも推力の発生に用いることができ、ひいては本発明による推力発生ユニットの実現に用いることができる。したがって、本明細書においてロータ又はロータ構造を参照するときには、同様にプロペラ及びプロペラ構造も参照しているものと理解されなければならず、よって、本発明によるマルチロータ航空機は、マルチプロペラ航空機として及び/又はマルチプロペラ及びマルチロータ航空機としても同様に実現され得る。
換言すれば、本発明は主として、個々に重なり合って配置されるように選択可能なロータ/プロペラ平面を定義するロータ/プロペラと、任意の回転部品を囲む任意のロータシュラウドと、各ロータ/プロペラを駆動する少なくとも1つの電気エンジンと、を有する複数推力構成に関し、ここで、各エンジンは提供される安全水準を向上させるために隔離可能であり、バッテリと電気エンジンとの間には故障時の安全水準を向上させる冗長設計を備えた論理接続が存在し、故障時の適切な安全水準を有するバッテリ冗長性レイアウトが提供される。
以下の説明では、添付の図面を参照して、本発明の好適な実施形態を概説する。これらの添付図面において、同一の又は同一に機能するコンポーネント及び要素は同一の参照番号及び参照符号で標識されており、したがって以下の説明においては一度しか説明しない。
本発明の一実施形態による、複数の推力発生ユニットを備えたマルチロータ航空機の斜視図を示す。 図1のマルチロータ航空機の上面図を示す。 通常飛行モードにおける図1及び2のマルチロータ航空機の側面図を示す。 図3のマルチロータ航空機の正面図を示す。 図1から図4のマルチロータ航空機の推力発生ユニットの斜視図を示す。 図5の推力発生ユニットの部分透過側面図を示す。 本発明による図1から図4のマルチロータ航空機の概略図を示しており、故障時に安全水準を高める機首/機尾、上/下、及び左/右交差冗長設計を形成するように、4つの推力発生ユニットと、重なり合って配置された2つのロータ/プロペラ平面と、2つのロータ/プロペラ平面のうち所与の1つを駆動するための専用の1つの隔離された電気エンジンと、隔離された電気エンジンとエネルギ提供システムの複数のユニット(例えばバッテリ)の各々との間の接続と、を備えている。 本発明の一実施形態による、図5及び図6の推力発生ユニットの隔離されたエンジンを示す。 本発明の代替的な一実施形態による推力発生ユニットの部分透過側面図を示す。 本発明のさらに別の代替的な一実施形態による推力発生ユニットの概略図を示す。 本発明の一実施形態による図4のマルチロータ航空機の概略図を示しており、推力及びエネルギの実時間急送により故障時の安全性を向上させるべく、各推力発生ユニットにつき少なくとも1つのエネルギ配分デバイスと、推力及びエネルギの能動的に可変の(機首/機尾、及び/又は上/下、及び/又は左/右)交差冗長急送を提供するように適合された冗長接続と、を提供する。 図1のものに類似しているが4つよりも多くの推力発生ユニットを有するマルチロータ航空機の上面図を示す。 マルチロータ航空機と、周りに交差推進容積が広がって/内接している重力の中心位置と、の斜視側面図を示す。 胴体から外側に延伸する4つの推力発生ユニットを有するマルチロータ航空機の一実施形態を示しており、胴体には4つのエネルギ提供ユニットが収容され、4つの推力発生ユニット及び4つのエネルギ提供ユニットは冗長交差スキーム(redundancy crossed scheme)を介して接続されている。 胴体の側面から外側に延伸する、各々が冗長交差スキームに対応するそれぞれ2対、3対、4対、5対の推力発生ユニットを有するマルチロータ航空機の実施形態を示す。
図1は、本発明による航空機機体2を備えたマルチロータ航空機1を示す。航空機機体2は、以下ではマルチロータ航空機1の胴体とも称される支持構造を定義する。
胴体2は、縦方向1aの前後長と、横方向1bの左右長と、を有する。マルチロータ航空機1の構造の機首(図2では左に示される)/機尾(図2では右に示される)の位置は、縦方向1aに沿って横平面に関して定義されている。
マルチロータ航空機1の構造の左側(図2では下向きに示される)/右側(図2では上向きに示される)の位置は、横方向1bに沿って縦平面に関して及び航空機1の機尾から定義される。
胴体2は、仰角方向1cの上下長も有している(図13に示される)。マルチロータ航空機1の構造の上部/下部の位置は、仰角方向1cに沿って縦平面及び横平面に関して定義される。
胴体2は、好適には、マルチロータ航空機1が全体として乗客の輸送に適するように、少なくとも乗客の輸送に適合された内容積2aを定義する。この内容積2aは、好適にはさらに、例えばマルチロータ航空機1の運航に必要なエネルギ貯蔵システム(図7の24)のような操作及び電気機器の収容に適合されている。
なお、乗客の輸送ならびに操作及び電気機器の収容に適した内容積2aの例示的な構成は、当業者には容易に利用可能であり、乗客の輸送に関して適用される当局の規則及び許認可要件に準拠するべく一般的に実施されている。したがって、こうした内容積2aの構成は本発明の一部ではないので、簡単及び簡潔のために詳細には説明しない。
いくつかの実施形態においては、本発明は、例えば図2のマルチロータ航空機1の右側に3a,3b、マルチロータ航空機1の左側に3c,3dという、少なくとも2つの推力発生ユニットを備えている。いくつかの実施形態においては、推力発生ユニットは、横向きに対になって、すなわち横方向1bに沿って隣り合った構成で、配置されすなわち位置している。
例えば、図2は、推力発生ユニットの機首(前方)の1つの横向きの対3a−3cと、推力発生ユニットの機尾/後方の別の1つの横向きの対3b−3dと、を示している。各横向きの対3a−3c,3b−3dは、横方向1bに沿って、横向きの対のうち1つの推力発生ユニット(3a,3b)が胴体2の左側に、横向きの対のうち別の1つの推力発生ユニット(3c,3d)が右側に、それぞれ配置される。
図1では、マルチロータ航空機1は、推力発生ユニットの2つの横向きの対、すなわち、右側の推力発生ユニット3aと左側の推力発生ユニット3cとによって形成される機首の横方向の対と、右側の推力発生ユニット3bと左側の推力発生ユニット3dとによって形成される機尾の横方向の対(3b−3d)と、を含む。
いくつかの実施形態はそのような横向きの対を備えない。例えば、マルチロータ航空機1の推力発生ユニットはどの横向きの対にも属さず、例えば単離した推力発生ユニットが、胴体2の機首端及び/又は機尾端に位置する。
推力発生ユニットの横向きの対を備える場合には、これを少なくとも2つ有することによって、本発明は、以降でより詳細に明らかにされるように、故障時に複数航空機1の安全性を高める左/右交差冗長設計(crossed redundant design)を提供することが可能になる。
本発明のいくつかの実施形態は、例えば図12のマルチロータ航空機1の右側のユニット3a,3x,3b及び左側のユニット3c,3y,3dのように、少なくとも2つの推力発生ユニットを備える。これらのユニット3a,3x,3b及び3c,3y,3dは、胴体2の所与の側で縦方向1aに沿って縦の列にすなわち前後に概ね直線状の構成で配置されすなわち位置している。
特徴的なことには、図15の下の実施形態においては、左側のユニット3a,3g,3x,3e,3b及び右側のユニット3c,3h,3y,3f,3dは、直線状ではなく、外に湾曲する曲線に沿って配設されていて、その曲線の最高点は、一番前の推力ユニット(3a,3c)と一番後ろのユニット(3b、3d)との間にあり、例えば縦方向1aに沿った航空機1の重力の中心CoGPの位置に近接している。
図1のマルチロータ航空機1は、推力発生ユニットの2つの縦の列、すなわち、胴体2の前右の推力発生ユニット3aと胴体2の後右の推力発生ユニット3bとによって形成される右側の縦の列を含む。左側の縦の列は、胴体の前左の推力発生ユニット3cと胴体2の後左の推力発生ユニット3dとによって形成されている。
そのような推力発生ユニットの縦の列を有することによって、以降でより詳細に明らかにされるように、本発明が、故障時に複数航空機1の安全性を高める機首/機尾交差冗長設計を提供することが可能になる。
また、いくつかの実施形態においては、2つ、3つ、4つ、5つ又はそれ以上の推力発生ユニットの線形又は非線形の側面配置は、胴体2に沿って規則的に、すなわち縦方向で略等間隔に配分される。他の実施形態においては、推力発生ユニットの線形又は非線形の側面配置は、胴体2に沿って不規則的に、すなわち縦方向でかなり不等間隔に配分される。
図2又は12によれば、本発明の実施形態は、2つ以上の推力発生ユニット(例えば3a,3x,3b)が右側で側面に配置され、3つ以上の別の推力発生ユニット(例えば3c,3y,3d)が胴体2の対向する左側で側面に位置することを定める。そのような実施形態においては、2つ又は2つ以上の推力発生ユニットは胴体2の各側にあり、賢明には縦方向1aに沿って配設される。
図15の実施形態は、2つ、3つ、4つ、5つの推力発生ユニット3a,3g,3x,3e,3b及び3c,3h,3y,3f,3dの線形又は非線形の側面配置を提供する。他の実施形態は10よりも多くの推力発生ユニットを備える。
本発明の一態様によれば、マルチロータ航空機1は回転翼航空機であり、複数の推力発生ユニット3を備えている。好適には、複数の推力発生ユニット3は、少なくとも2つ、優先的には4つの推力発生ユニット3a,3b,3c,3dを備える。推力発生ユニット3a,3b,3c,3dは動作時に推力(図3の9)を発生させるように具現化されており、したがってマルチロータ航空機1は、空気中でホバリングすることができ、ならびに任意の前又は後ろの方向に飛行できる。
力発生ユニット3a,3b,3c,3dは胴体2に構造的に接続されている。例えば、これは複数の構造的支持体4によって達成される。より具体的には、好適には推力発生ユニット3aは構造的支持体4aを介して、推力発生ユニット3bは構造的支持体4bを介して、推力発生ユニット3cは構造的支持体4cを介して、及び推力発生ユニット3dは構造的支持体4dを介して、胴体2に接続されており、これらの構造的支持体4a,4b,4c,4dが複数の構造的支持体4を定義する。
好適には、推力発生ユニット3a,3b,3c,3dのうち少なくとも1つは、基本的な航空力学を改善するため及び運航安全性を高めるために、関連付けられたシュラウドを備えている。例えば、複数のシュラウドユニット6が4つの別々のシュラウド6a,6b,6c,6dで示されている。例示的には、シュラウド6aは推力発生ユニット3aと、シュラウド6bは推力発生ユニット3bと、シュラウド6cは推力発生ユニット3cと、そしてシュラウド6dは推力発生ユニット3dと、関連付けられている。
「関連」という用語は、第1の構造的要素が第2の構造的要素と関連付けられているとき、関連付けられている構造的要素すなわち第1の構造的要素が第2の構造的要素の一部であることを意味している。
シュラウド6a,6x,6b,6c,6y,6dは、単純な板金で作製可能である。あるいは、例えば図5又は12を参照して後述するように、複雑なジオメトリを有していてもよい。
さらに、シュラウド6a,6x,6b,6c,6y,6dは、推力発生ユニット3a,3b,3c,3dと胴体2との接続を強化するために、構造的支持体4a,4b,4c,4dと一緒に胴体2に接続されることが可能である。代替的には、シュラウド6a,6x,6b,6c,6y,6dのみが胴体2に接続されてもよい。
もっとも、シュラウド6a,6b,6c,6dは任意選択的なものに過ぎず、動作上の理由では必ずしも必要ではない点に注意すべきである。したがって、シュラウド6a,6b,6c,6dは省略可能であり、推力発生ユニット3a,3b,3c,3dは、上述のように構造的支持体4a,4b,4c,4dのみによって胴体2に接続される。あるいは、推力発生ユニット3a,3b,3c,3dは、相互接続フレームのような任意の適当な相互接続手段によって相互接続可能であり、この相互接続手段が胴体2に接続される。
本発明の一態様によれば、推力発生ユニット3a,3b,3c,3dのうち少なくとも1つ、好適には各々は、少なくとも2つのロータアセンブリを装備している。例えば、推力発生ユニット3aは2つのロータアセンブリ7a,8aを装備しており、推力発生ユニット3bは2つのロータアセンブリ7b,8bを装備しており、推力発生ユニット3cは2つのロータアセンブリ7c,8cを装備しており、推力発生ユニット3dは2つのロータアセンブリ7d,8dを装備している。ロータアセンブリ7a,7b,7c,7dは例示的には複数の上部ロータアセンブリ7を定義し、ロータアセンブリ8a,8b,8c,8dは例示的には複数の下部ロータアセンブリ8を定義する。
複数の上部及び下部ロータアセンブリ7,8は、好適には、複数のギアボックスフェアリング5によって複数の構造的支持体4に接続されている。例示的には、上部及び下部ロータアセンブリ7a,8aはギアボックスフェアリング5aによって構造的支持体4aに接続されており、上部及び下部ロータアセンブリ7b,8bはギアボックスフェアリング5bによって構造的支持体4bに接続されており、上部及び下部ロータアセンブリ7c,8cはギアボックスフェアリング5cによって構造的支持体4cに接続されており、上部及び下部ロータアセンブリ7d,8dはギアボックスフェアリング5dによって構造的支持体4dに接続されている。図12はギアボックスフェアリング5x及び5yも示している。
好適には、上部ロータアセンブリ7a,7b,7c,7dの各々は関連する上部ロータ平面(図6の21)を定義し、下部ロータアセンブリ8a,8b,8c,8dの各々は関連する下部ロータ平面(図6の22)を定義する。好適には、関連する上部及び下部ロータ平面(図6の21,22)がマルチロータ航空機1の任意のシュラウド6a,6b,6c,6dの内部に位置するように、上部及び下部ロータアセンブリ7a,7b,7c,7d,8a,8b,8c,8dは、任意のシュラウド6a,6b,6c,6dにそれぞれ収容される上部及び下部ロータアセンブリの対7a,8a;7b,8b;7c,8c;7d,8dを定義する。
本発明の一態様によれば、マルチロータ航空機1は、航空機運航構造と冗長セキュリティアーキテクチャとを備えている。航空機運航構造は好適には無故障運航モードでのマルチロータ航空機1の運航に適合されており、冗長セキュリティアーキテクチャは好適には少なくとも航空機運航構造の故障時のマルチロータ航空機1の運航に適合されている。特に、冗長セキュリティアーキテクチャは、乗客の輸送に関して適用される当局の規則及び許認可要件に優先的に準拠するように提供される。
好適には、航空機運航構造は上部及び下部ロータアセンブリ7a,7b,7c,7d,8a,8b,8c,8dの少なくとも第1の部分を備えており、冗長セキュリティアーキテクチャは上部及び下部ロータアセンブリ7a,7b,7c,7d,8a,8b,8c,8dの少なくとも第2の部分を備えている。優先的には、各推力発生ユニット3a,3b,3c,3dの上部及び下部ロータアセンブリ7a,7b,7c,7d,8a,8b,8c,8dのうち第1のロータアセンブリは航空機運航構造と関連付けられており、その一方で第2のロータアセンブリは冗長セキュリティアーキテクチャと関連付けられている。例えば、上部ロータアセンブリ7a,7b,7c,7dは航空機運航構造と関連付けられており、下部ロータアセンブリ8a,8b,8c,8dは冗長セキュリティアーキテクチャと関連付けられている。したがって、少なくとも上部ロータアセンブリ7a,7b,7c,7dが故障した場合には、例えば航空機の墜落を回避するために、下部ロータアセンブリ8a,8b,8c,8dがマルチロータ航空機1を運航させる。
本発明の実施形態によれば、少なくとも1つの第2のエネルギ提供ユニット(例えば25a,25b,25c,25d)は、冗長セキュリティアーキテクチャの少なくとも1つの推力ユニットと関連付けられる。航空機運航構造と関連付けられた別の少なくとも1つの推力ユニットは、マルチロータ航空機1の右側で側面に配置され、第1のエネルギ提供ユニットと関連付けられる。
本発明の、所謂隔離された実施形態に関しては、少なくとも対応するマルチロータ航空機1が有する別個の推力発生ユニット(例えば3a,3g,3x,3e,3b,3c,3h,3y,3f,3d)と同じくらい多くのエネルギ提供ユニット(25a,25b,25c,25d又はそれ以上)が設けられる。典型的には、本発明は4つ、6つ、8つ、10又はそれ以上のエネルギ提供ユニットを提供する。本発明によれば、いくつかのエネルギ提供ユニットが胴体2に機内搭載され、及び/又は、いくつかのエネルギ提供ユニットが胴体に、例えば関連する推力ユニット、例えば3a,3g,3x,3e,3b,3c,3h,3y,3f,3dに、機外搭載される。
もっとも、上記の構成、又は、上部ロータアセンブリ、例えば7a,7x,7b,7c,7y,7dが航空機運航構造と関連付けられており、下部ロータアセンブリ8a,8x,8b,8c,8y,8dが冗長セキュリティアーキテクチャと関連付けられている図12の構成は、例示的に説明されているに過ぎず、本発明をこれに限定するものではないことに注意されたい。そうではなく、代替的な関連付けが同様に可能であり予想される。例えば、ロータアセンブリ7a,7c,8b,8dが航空機運航構造と関連付けられてもよく、その一方でロータアセンブリ8a,8c,7b,7dが冗長セキュリティアーキテクチャと関連付けられる、などである。そのような代替的な関連付けは当業者には容易に利用可能であるから、同様に予想されるとともに本発明の一部であると見なされる。
図2又は12は、胴体2に推力発生ユニット(それぞれ3a,3b,3c,3d又は3a,3x,3b,3c,3y,3d)を接続された図1のマルチロータ航空機1を示す。図2は、上部及び下部ロータアセンブリ7a,7b;7b,8b;7c,8c;7d,8dをそれぞれ備えた推力発生ユニット3a,3b,3c,3dを示しており、これらの上部及び下部ロータアセンブリは、好適には一致したロータ軸(図3及び図4の12)を有する隣り合った構成で配置されている。もっとも、例えば図10又は12を参照して以下で説明するような代替的な構成も同様に予想される。
図2からさらにわかるように、推力発生ユニット3a,3b,3c,3dはすべて、例示として胴体2について側面に、すなわち胴体2の縦方向1aで見て左側又は右側に配置されている。例示的には、左側は図2に示される胴体2の下部側に対応し、右側は上部側に対応する。さらに、胴体2は、例示的には、側面に配置された推力発生ユニット3a,3b,3c,3dが少なくとも概ね台形の形状を定義するように具現化される。
もっとも、この例示的な配置は例として説明しているに過ぎず、本発明をこれに限定するものではないことに注意されたい。そうではなく、他の配置も可能であり、同様に予想される。例えば、推力発生ユニット3a,3b,3c,3dがそれぞれ胴体2の前部分及び後部分に配置されてもよい、などである。
図3は、例示的な無故障運航モードにおける図1及び図2のマルチロータ航空機1を示す。この例示的な無故障運航モードにおいて、複数の推力発生ユニット3は、複数の上部及び/又は下部ロータアセンブリ7,8によって、マルチロータ航空機1を地面10から離陸させるのに適した推力9を発生させる。
複数の上部ロータアセンブリ7の各々は第1のロータ軸を定義し、複数の下部ロータアセンブリ8の各々は第2のロータ軸を定義する。好適には、第1及び第2のロータ軸はそれぞれ一致しており、すなわち同軸に配置されている。したがって、複数の上部及び下部ロータアセンブリ7,8は、複数の同軸に配置されたロータ軸12を定義する。例示的には、上部及び下部ロータアセンブリ7c,8cは、共通してロータ軸12cと称される第1及び第2の一致したロータ軸を定義し、上部及び下部ロータアセンブリ7d,8dは、共通してロータ軸12dと称される第1及び第2の一致したロータ軸を定義する。
好適には、複数の推力発生ユニット3は、マルチロータ航空機1の操縦性を高めるため、及び前進飛行時のマルチロータ航空機1の縦方向1aの全体的な傾斜を減少させるために、複数の縦方向傾斜角だけマルチロータ航空機1の縦方向1aに傾斜される。複数の縦方向傾斜角11は、例示的にはマルチロータ航空機1の垂直基準線10aと複数の同軸に配置されたロータ軸12との間に定義される。好適には、複数の縦方向傾斜角11の可能な及び実現される数は、提供される推力発生ユニットの基本的な数に依存する。
より具体的には、本発明の一態様によれば、複数の推力発生ユニット3のうち少なくとも1つは、マルチロータ航空機1の垂直基準線10aと複数の推力発生ユニット3のうちこの少なくとも1つの推力発生ユニットの第1及び第2の一致したロータ軸との間に定義される第1の縦方向傾斜角だけ、マルチロータ航空機1の縦方向1aに傾斜されている。第1の縦方向傾斜角は、好適には−45°から+80°の範囲内に含まれ、優先的には7°に等しい。
例示的には、複数の推力発生ユニット3のうち推力発生ユニット3cは、垂直基準線10aとロータ軸12cとの間に定義される第1の縦方向傾斜角11aだけ傾斜され、ここで、この第1の縦方向傾斜角11aは、好適には−45°から+80°の範囲内に含まれ、優先的には7°に等しい。もっとも、図1及び図2の複数の推力発生ユニット3のうち推力発生ユニット3aも、好適には第1の縦方向傾斜角11aだけ傾斜されることに注意されたい。
本発明の一態様によれば、複数の推力発生ユニット3のうち少なくとも1つは、垂直基準線10aと複数の推力発生ユニット3のうちこの少なくとも1つの推力発生ユニットの第1及び第2の一致したロータ軸との間に定義される第2の縦方向傾斜角だけ、マルチロータ航空機1の縦方向1aに傾斜されている。第2の縦方向傾斜角も、好適には−45°から+80°の範囲内に含まれ、優先的には7°に等しい。
例示的には、複数の推力発生ユニット3のうち推力発生ユニット3dは、垂直基準線10aとロータ軸12dとの間に定義される第2の縦方向傾斜角11bだけ傾斜され、ここで、この第2の縦方向傾斜角11bは、好適には−45°から+80°の範囲内に含まれ、優先的には7°に等しい。もっとも、図1及び図2の複数の推力発生ユニット3のうち推力発生ユニット3bも、好適には第2の縦方向傾斜角11bだけ傾斜されることに注意されたい。
図4は、例示的に幅2bを有する、図3の胴体2を備えたマルチロータ航空機1を示す。この幅は、胴体2の左の最も外側と右の最も外側との間でマルチロータ航空機1の縦方向1aに直交して測定される最大距離として定義される。
図3によれば、例示的な無故障運航モードにおけるマルチロータ航空機1が示され、ここで、複数の推力発生ユニット3は、複数の上部及び下部ロータアセンブリ7,8によって推力9を発生させる。上部及び下部ロータアセンブリ7c,8cはロータ軸12cを定義し、上部及び下部ロータアセンブリ7d,8dはロータ軸12dを定義する。
さらに、上部及び下部ロータアセンブリ7a,8aは、共通してロータ軸12aと称される第1及び第2の一致したロータ軸を例示的に定義し、上部及び下部ロータアセンブリ7b,8bは、共通してロータ軸12bと称される第1及び第2の一致したロータ軸を定義する。なお、ロータ軸12a,12b,12c,12dは、マルチロータ航空機1の全体の複雑さ、システム重量、ならびに幾何学的寸法を低減するために、好適には説明される通りに実現される。
好適には、複数の推力発生ユニット3は、低減された突風感受性を提供するため、及びマルチロータ航空機1の操縦性を高めるために、複数の横方向傾斜角13だけマルチロータ航空機1の横方向1bに傾斜される。複数の横方向傾斜角13は、例示的にはマルチロータ航空機1の垂直基準線10aと複数の同軸に配置されたロータ軸12との間に定義される。好適には、複数の横方向傾斜角13の可能な及び実現される数は、提供される推力発生ユニットの基本的な数に依存する。
より具体的には、本発明の一態様によれば、複数の推力発生ユニット3のうち少なくとも1つは、マルチロータ航空機1の垂直基準線10aと複数の推力発生ユニット3のうちこの少なくとも1つの推力発生ユニットの第1及び第2の一致したロータ軸との間に定義される第1の横方向傾斜角だけ、マルチロータ航空機1の横方向1bに傾斜されている。第1の横方向傾斜角は、好適には−45°から+80°の範囲内に含まれ、優先的には5°に等しい。
例示的には、複数の推力発生ユニット3のうち推力発生ユニット3aは、垂直基準線10aとロータ軸12aとの間に定義される第1の横方向傾斜角13aだけ傾斜され、ここで、この第1の横方向傾斜角13aは、好適には−45°から+80°の範囲内に含まれ、優先的には5°に等しい。もっとも、図1及び図2の複数の推力発生ユニット3のうち推力発生ユニット3cも、好適には第1の横方向傾斜角13aだけ傾斜されることに注意されたい。
本発明の一態様によれば、複数の推力発生ユニット3のうち少なくとも1つは、マルチロータ航空機1の垂直基準線10aと複数の推力発生ユニット3のうちこの少なくとも1つの推力発生ユニットの第1及び第2の一致したロータ軸との間に定義される第2の横方向傾斜角だけ、マルチロータ航空機1の横方向1bに傾斜されている。第2の横方向傾斜角は、好適には−45°から+80°の範囲内に含まれ、優先的には5°に等しい。
例示的には、複数の推力発生ユニット3のうち推力発生ユニット3bは、垂直基準線10aとロータ軸12bとの間に定義される第2の横方向傾斜角13bだけ傾斜され、ここで、この第2の横方向傾斜角13bは、好適には−45°から+80°の範囲内に含まれ、優先的には5°に等しい。もっとも、図1及び図2の複数の推力発生ユニット3のうち推力発生ユニット3dも、好適には第2の横方向傾斜角13bだけ傾斜されることに注意されたい。
図5は、前の各図の推力発生ユニット3dを、その例示的な構成をさらに説明するために、上部ロータアセンブリ7d、下部ロータアセンブリ8d、ギアボックスフェアリング5d、及び任意のシュラウド6dとともに示している。なお、前の各図の推力発生ユニット3a,3b,3cは好適には類似の構成を備えており、したがって、推力発生ユニット3dは、簡単及び簡潔のために、すべての推力発生ユニット3a,3b,3c,3dを代表するものとしてのみ記載されていることに注意されたい。
本発明の一態様によれば、上部ロータアセンブリ7dは、動作時に推力を発生させるために、少なくとも2つ、例示的には3つのロータブレード18a,18b,18cを備えている。同様に、好適には下部ロータアセンブリ8dも、動作時に推力を発生させるために、少なくとも2つ、例示的には3つのロータブレード19a,19b,19cを備えている。
さらに、好適には、動作時にロータブレード18a,18b,18c、すなわち上部ロータアセンブリ7dを駆動するための少なくとも1つの第1のエンジン14aが設けられるとともに、動作時にロータブレード19a,19b,19c、すなわち下部ロータアセンブリ8dを駆動するための少なくとも1つの第2のエンジン14bが設けられる。少なくとも1つの第1のエンジン14aは、好適には図1を参照して上述した航空機運航構造と関連付けられており、少なくとも1つの第2のエンジン14bは好適には図1を参照して上述した冗長セキュリティアーキテクチャと関連付けられている。
例えば図5に図示されるように、本発明の実施形態は、所与の推力発生ユニット3dにおいて仰角方向1cに沿った上部位置を有する1つの第1のエンジン14aと、推力発生ユニット3dにおいて仰角方向1cに沿った下部位置を有する1つの第2のエンジン14bと、を備える。同じ推力発生ユニットの上部の第1のエンジン14a及び下部の第1のエンジン14bは、推力発生ユニット3dの直立二重運動源(upright dual motion source)を形成する。
複数航空機1の推力発生ユニット3a,3b,3c,3d,3x,3yのうち少なくともいくつか又はすべてにそのような直立二重運動源を有することによって、本発明が、推力発生ユニットのうち1つ又は複数におけるエンジン故障時の複数航空機1の安全性を高める運動源冗長設計を提供することが可能になる。
以降でさらなる詳細が明らかになるように、推力発生ユニット3a,3b,3c,3d,3x,3yの所与のそのような直立二重運動源において上部の第1のエンジン14a又は下部の第1のエンジン14bのうち一方が故障した場合には、他方の故障していないエンジン14a又は14bが、推力発生ユニット3a,3b,3c,3d,3x,3yを有効に維持し、ひいては複数航空機1の飛行継続を保証するために用いられる。
例示的には、少なくとも1つの第1及び第2のエンジン14a,14bはギアボックスフェアリング5dの内部に配置されており、したがってギアボックスフェアリングによって囲まれている。
なお、任意選択的には、少なくとも1つの第1及び第2のエンジン14a,14bとロータブレード18a,18b,18cもしくは19a,19b,19cとの間に、1つ以上のギアボックス(図8の28)が導入可能である。1つ以上のギアボックスをそのように任意選択的に導入することによって、少なくとも1つの第1及び第2のエンジン14a,14bは、動作効率が高められ得る。なぜなら、回転速度が高められるからである。
また、少なくとも1つの第1及び第2のエンジン14a,14bは、例えばタービン、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン、電気エンジンなど、動作時にトルクを発生させることができ、且つ、動作時にロータブレード18a,18b,18cもしくは19a,19b,19c、すなわち上部及び下部ロータアセンブリ7dもしくは8dを回転させるためにロータブレード18a,18b,18cもしくは19a,19b,19cに接続可能な、任意の適当なエンジンによって実現可能であることに注意されたい。もっとも、そのようなエンジンは、当業者には周知であるし、本発明の一部ではないから、簡単及び簡潔のためにこれ以上詳細には説明しない。
好適には、上部ロータアセンブリ7dは、動作時に第1の回転方向15で回転するように適合される。同様に、下部ロータアセンブリ8dは、動作時に第2の回転方向16で回転するように適合される。例示的には、第1及び第2の回転方向15,16は互いに反対である。
本発明の一態様によれば、少なくとも上部ロータアセンブリ7d、及び、より詳細にはそのロータブレード18a,18b,18cは、任意のピッチ変化17を有する。同様に、下部ロータアセンブリ8dのロータブレード19a,19b,19cもまた、好適にはそのような任意のピッチ変化を有する。その場合、図3及び図4の発生した推力9の制御は、動作時にピッチ変化によって、RPM変化によって、又はピッチ変化とRPM変化との組み合わせによって、達成され得る。
これに対し、上部及び下部ロータアセンブリ7d,8dがそのような任意のピッチ変化を有さない場合、例えば、ロータブレード18a,18b,18cもしくは19a,19b,19cが固定ピッチブレードとして実現されている場合には、図3及び図4の発生した推力9の動作時のピッチ変化による制御は実施され得ない。その場合、動作時に上部及び下部ロータアセンブリ7d,8dによって発生された図3及び図4の推力9の制御に用いることができるのは、RPM変化のみである。
本発明の一態様によれば、上部及び下部ロータアセンブリ7d,8dの各々は、個々に寸法決めされており、図4の胴体幅2bの0.05倍から6倍に及ぶ直径20fを有する。これは以降では単純化のためWと示される。換言すれば、図4の直径20fは好適には0.05×Wから6×Wに及び、優先的には1.5×Wに等しい。
例示的には、直径20fは、任意のシュラウド6dの内面20aの直径によって定義される。シュラウドは、例示的にはさらに外面20bを備え、前縁20d及び後縁20eを定義する。好適には、内面20aと、外面20bと、前縁20dと、後縁20eとの間には内容積20cが定義される。この内部容積20cは、例えば、前の各図のマルチロータ航空機1のバッテリシステム(図7の25)のための収容容積として用いられ得る。
図6は、要求される安全水準に到達するとともに飛行の機械的挙動を満足するために好適には別々のロータ平面21,22を定義する上部及び下部ロータアセンブリ7d,8dを備えた、図5の推力発生ユニット3dの概略図を示す。例示的には、ロータ平面21,22は、重なり合って配置される。
上部及び下部ロータアセンブリ7d,8dは、動作時には、ギアボックスフェアリング5d内に配置された少なくとも1つの第1及び第2のエンジン14a,14bによってそれぞれ駆動される。上述のように、上部及び下部ロータアセンブリ7d,8dは、好適には、上部ロータアセンブリ7dに関連付けられた第1のロータ軸と下部ロータアセンブリ8dに関連付けられた第2のロータ軸8dとによって共通に定義されるロータ軸12dまわりに回転する。
本発明の一態様によれば、これらの第1及び第2のロータ軸は、関連する傾斜角21a,22aだけ傾斜され得る。これらの傾斜角は、好適には−60°から+60°の範囲内に含まれ、優先的には0°に等しい。
しかしながら、関連する傾斜角21a,22aが、ロータ平面21,22が交差するように選択される場合には、上部及び下部ロータアセンブリ7d,8dは動作時には相互に噛み合っている。これは、図3及び図4に従って発生される推力9の基本的な方向すなわちベクトルを変化させるべく、少なくとも1つの第1及び第2のエンジン14a,14bを、対応するロータ平面21,22を中心として積極的に回転させるためには、差し支えないであろう。代替的には、そのようなロータ軸12dは、関連する傾斜角21a,22aのうち一方の分だけ傾斜され得る。
図7は、例示的なエネルギ貯蔵部及びその配分システムを説明するために、前の各図のマルチロータ航空機1を、簡単にした概略図で示す。上述のように、マルチロータ航空機1は、胴体2と、上部及び下部ロータアセンブリ7a,8a;7b,8b;7c,8c;7d,8dを有する推力発生ユニット3a,3b,3c,3dと、を備えていて、上部及び下部ロータアセンブリはそれぞれ上部及び下部ロータ平面21,22を定義し、動作時には各エンジン14a,14bによって、例示的には関連するエンジンシャフト23を介して駆動される。
図7では、マルチロータ航空機1は少なくとも2つ、つまり4つの推力発生ユニット3a,3x,3c,3dを有しており、これらは様々なロータアセンブリ、例えば7a,7b,7c及び7dを含む航空機運航構造を形成する。
そのような推力発生ユニットは、無故障運航モードでのマルチロータ航空機1の運航に適合されている。様々なロータアセンブリ、例えば8a,8b,8c,8dを含む冗長セキュリティアーキテクチャは、少なくとも、様々なロータアセンブリ、例えば7a,7b,7c,7dを含む航空機運航構造における運航不良時のマルチロータ航空機1の運航に適合されている。
4つの推力発生ユニット3a,3b,3c,3dはそれぞれ、動作時に4つのロータアセンブリ7a,7b,7c,7dのうち第1のロータアセンブリを駆動するために設けられた少なくとも1つの第1のエンジン14aを有する。第2のエンジン14bは、動作時にロータアセンブリ8a,8b,8c,8dのうち第2のロータアセンブリをそれぞれ駆動するために設けられている。このように、各第1のエンジン14aはロータアセンブリ7a,7b,7c,7dを含む航空機運航構造と関連付けられており、各第2のエンジン14bはロータアセンブリ8a,8b,8c,8dを含む冗長セキュリティアーキテクチャと関連付けられている。
さらに、マルチロータ航空機1は、少なくとも2つのエネルギ提供ユニット25a,25b,25c,25dを備えたエネルギ貯蔵システム24を有する。図7においては、少なくともマルチロータ航空機1が推力発生ユニット3a,3b,3c,3dを有するのと同じくらい多くのエネルギ提供ユニットが存在する。しかし、エネルギ提供ユニット25a,25b,25c及び25dの各々は、1つの所与の推力発生ユニット3a,3b,3c,3dに専用ではない。
実際には、航空機運航構造の少なくとも1つの推力発生ユニット3a,3b,3c,3dは、少なくとも2つのエネルギ提供ユニット25a,25b,25c,25dと関連付けられている。ユニット25a,25b,25c,25dのうち別の1つのエネルギ提供ユニットは、冗長セキュリティアーキテクチャの少なくとも2つの推力発生ユニット3a,3b,3c,3dと関連付けられている。
図7のマルチロータ航空機1は、エンジンエネルギ伝達配置26を備えたエネルギ貯蔵システム24を有する。例えば図11では、エネルギ貯蔵システム24は、1つのエンジンエネルギ伝達配置26と、配分デバイス36と、を備えている。
エンジンエネルギ伝達配置26及び配分デバイス36は、時には並行して、各推力発生ユニットとエネルギ提供ユニットとの機能連携を処理している。したがって、例えば故障の場合には、エネルギ提供ユニットのうち別の少なくとも1つは所与の側の1つの第1のエンジンにエネルギを提供するようにおそらくは配分デバイス36と機能連携しており、さらに別のエネルギ提供ユニットも胴体の反対側の1つの第2のエンジンにエネルギを提供するようにおそらくは配分デバイス36と機能連携している。
本発明の一態様によれば、マルチロータ航空機1はエネルギ貯蔵システム24を備えており、このエネルギ貯蔵システムは、セキュリティ及び冗長性のために、少なくとも2つ、例示的には4つのエネルギ提供ユニット25a,25b,25c,25dを備える。より具体的には、エネルギ貯蔵システム24は優先的にはバッテリシステム25を備えており、エネルギ提供ユニット25a,25b,25c,25dは関連するバッテリユニットによって定義される。
なお、エネルギ貯蔵システム24は概して、動作時に推力発生ユニット3a,3b,3c,3dのうち少なくとも1つの第1及び第2のエンジン14a,14bにエネルギを供給するために設けられている。したがって、エネルギ貯蔵システム24は、バッテリユニットだけでなく、例えば燃料タンクなども含むどんな種類のエネルギ供給手段を備えていてもよい。
エネルギ貯蔵システム24は、好適に及び例示的には胴体2に収容される。しかしながら、代替的には、例えば分割されて図1の複数の任意のシュラウドユニット6に収容されてもよい。
好適には、エネルギ提供ユニット25a,25b,25c,25dのうち少なくとも第1のエネルギ提供ユニットは、動作時に少なくとも1つの第1のエンジン14aにエネルギを提供するために、推力発生ユニット3a,3b,3c,3dのうち少なくとも1つの推力発生ユニットのこの少なくとも1つの第1のエンジン14aに接続されている。その一方で、エネルギ提供ユニット25a,25b,25c,25dのうち少なくとも第2のエネルギ提供ユニットは、動作時にこの少なくとも1つの第2のエンジン14bにエネルギを提供するために、推力発生ユニット3a,3b,3c,3dのうち少なくとも1つの推力発生ユニットのこの少なくとも1つの第2のエンジン14bに接続されている。この構成において、エネルギ提供ユニット25a,25b,25c,25dのうち少なくとも第1のエネルギ提供ユニットは図1を参照して上述した航空機運航構造と関連付けられており、エネルギ提供ユニット25a,25b,25c,25dのうち少なくとも第2のエネルギ提供ユニットは図1を参照して上述した冗長セキュリティアーキテクチャと関連付けられている。
より具体的には、エネルギ提供ユニット25aは、破線で示されているように、好適には関連するエンジンエネルギ伝達配置26(例えば導電性配線、光パワートランスポンダなど)を介して、推力発生ユニット3b及び3cの少なくとも1つの第1のエンジン14aに接続されている。同様に、エネルギ提供ユニット25bは、やはり破線で示されているように、好適には関連するエンジンエネルギ伝達配置26を介して、推力発生ユニット3a及び3dの少なくとも1つの第1のエンジン14aに接続されている。エネルギ提供ユニット25cは、やはり破線で示されているように、好適には関連するエンジンエネルギ伝達配置26を介して、推力発生ユニット3b及び3cの少なくとも1つの第2のエンジン14bに接続されている。そして、エネルギ提供ユニット25dは、やはり破線で示されているように、好適には関連するエンジンエネルギ伝達配置26を介して、推力発生ユニット3a及び3dの少なくとも1つの第2のエンジン14bに接続されている。
このように、本発明の一態様によれば、マルチロータ航空機1の無故障運航モードにおいては、推力発生ユニット3a,3b,3c,3dの上部ロータアセンブリ7a,7b,7c,7dのみが、航空機運航構造による無故障運航モードに対応するエネルギ提供ユニット25a,25bによって動力供給される。よって、この場合、航空機運航構造は、それぞれ少なくとも1つの第1のエンジン14aを有する推力発生ユニット3a,3b,3c,3dの上部ロータアセンブリ7a,7b,7c,7dとエネルギ提供ユニット25a,25bとによって定義される。
しかしながら、上部ロータアセンブリ7a,7b,7c,7d及び/又はエネルギ提供ユニット25a,25bが故障した場合、すなわち航空機運航構造の故障の場合には、例えばマルチロータ航空機1の墜落を回避するために、推力発生ユニット3a,3b,3c,3dの下部ロータアセンブリ8a,8b,8c,8dが、冗長セキュリティアーキテクチャによる故障運航モードに対応するエネルギ提供ユニット25c,25dによって動力供給され得る。よって、この場合、冗長セキュリティアーキテクチャは、それぞれ少なくとも1つの第2のエンジン14bを有する推力発生ユニット3a,3b,3c,3dの下部ロータアセンブリ8a,8b,8c,8dとエネルギ提供ユニット25c,25dとによって定義される。
もっとも、上記の構成は例として説明されているに過ぎず、それによって本発明を限定するものではないことに注意されたい。そうではなく、本発明による航空機運航構造及び冗長セキュリティアーキテクチャを実現するのに適した様々な別の構成が実施可能である。しかしながら、そのような構成のいずれにおいても、エネルギ提供ユニット25a,25b,25c,25dの各々は、好適には推力発生ユニット3a,3b,3c,3dのうち胴体2の対向する側に配置されている少なくとも2つの異なる推力発生ユニットに動力供給するために用いられる。
例えば、本発明の例示的で代替的な一態様によれば、実線で示されるように、エネルギ提供ユニット25aは、関連するエンジンエネルギ伝達配置26を介して、推力発生ユニット3bの少なくとも1つの第1のエンジン14aと、推力発生ユニット3cの少なくとも1つの第2のエンジン14bと、に接続され得る。同様に、エネルギ提供ユニット25bは、関連するエンジンエネルギ伝達配置26を介して、推力発生ユニット3cの少なくとも1つの第1のエンジン14aと、推力発生ユニット3bの少なくとも1つの第2のエンジン14bと、に接続され得る。また、エネルギ提供ユニット25cは、関連するエンジンエネルギ伝達配置26を介して、推力発生ユニット3aの少なくとも1つの第1のエンジン14aと、推力発生ユニット3dの少なくとも1つの第2のエンジン14bと、に接続され得る。
そして、エネルギ提供ユニット25dは、関連するエンジンエネルギ伝達配置26を介して、推力発生ユニット3dの少なくとも1つの第1のエンジン14aと、推力発生ユニット3aの少なくとも1つの第2のエンジン14bと、に接続され得る。この場合、エネルギ提供ユニット25a,25bは推力発生ユニット3b,3dに動力供給するために用いられ、エネルギ提供ユニット25c,25dは推力発生ユニット3a,3cに動力供給するために用いられる。したがって、エネルギ提供ユニット25c,25dは推力発生ユニット3a,3cとともに航空機運航構造を定義するであろうし、エネルギ提供ユニット25a,25bは推力発生ユニット3b,3dとともに冗長セキュリティアーキテクチャを定義するであろう。
図8は前の各図の少なくとも1つの第1のエンジン14aを示す。この第1のエンジンは、前の各図の上部ロータアセンブリ7dをロータ軸12dまわりに回転させるために設けられている。本発明の一態様によれば、この少なくとも1つの第1のエンジン14aは、少なくとも2つの別々の電気コイル27を備える単一の隔離された電気エンジンを定義する。
これらの少なくとも2つの別々の電気コイル27は、好適には動作時に互いに独立して電力を提供するように適合されている。ここでは、電気コイル27のうち少なくとも第1の電気コイルは、図1を参照して上述した航空機運航構造と関連付けられるとともに無故障運航モードにおいてエネルギを提供するように適合されており、電気コイル27のうち少なくとも第2の電気コイルは、図1を参照して上述した冗長セキュリティアーキテクチャと関連付けられるとともに電気コイル27のうち少なくとも第1の電気コイルが故障した場合にエネルギを提供するように適合されている。
本発明の一態様によれば、上部ロータアセンブリ7dは、エンジンシャフト23と減速ギアボックス28とを介して少なくとも1つの第1のエンジン14aに接続されている。減速ギアボックスは、動作時の上部ロータアセンブリ7dの回転速度を増加するのに適している。
図9は、図6の推力発生ユニット3dを、上部及び下部ロータアセンブリ7d,8dとともに示す。しかしながら、図6とは対照的に、上部ロータアセンブリ7dはここでは好適には少なくとも1つの第1の及び1つの第2の上部ロータアセンブリ29a,29bを備えており、下部ロータアセンブリ8dは好適には少なくとも1つの第1の及び1つの第2の下部ロータアセンブリ30a,30bを備えている。
少なくとも1つの第1及び第2の上部ロータアセンブリ29a,29bは、好適にはそれぞれ第1及び第2の上部ロータ平面31a,31bを定義し、少なくとも1つの第1及び第2の下部ロータアセンブリ30a,30bは、好適にはそれぞれ第1及び第2の下部ロータ平面32a,32bを定義する。したがって、この場合、少なくとも4つの別々のロータ平面31a,31b,32a,32bが提供される。これによって、提供される安全水準及び満足のいく飛行の機械的挙動をさらに向上させることが可能になる。
図10は、図5の推力発生ユニット3dの概略図を、好適には別々のロータ平面21,22を定義する上部及び下部ロータアセンブリ7d,8dとともに示す。上部及び下部ロータアセンブリ7d,8dは、動作時には、少なくとも1つの第1及び第2のエンジン14a,14bによって駆動される。少なくとも1つの第1のエンジン14aは、好適には上部ロータアセンブリ7dを第1の上部ロータ軸33まわりに回転させるように適合されており、少なくとも1つの第2のエンジン14bは、好適には下部ロータアセンブリ8dを第2の下部ロータ軸34まわりに回転させるように適合されている。
しかしながら、図5とは対照的に、第1及び第2のロータ軸33,34は、所定のロータ軸変位35だけ離隔しており、すなわち互いに距離を置いている。この変位35は、前の各図のマルチロータ航空機1の縦方向1a及び/又は横方向1bに配向され得る。
図11は、前の各図のマルチロータ航空機1を、図7のエネルギ貯蔵システム24とともに、簡単にした概略図で示す。図7で提供されているものに加え、マルチロータ航空機1の基本的なセキュリティ水準をさらに高めるために、エネルギ提供ユニット25a,25b,25c,25dと推力発生ユニット3a,3b,3c,3dとの間にエネルギ配分デバイス36が導入されている。
本発明の実施形態は、図11のエネルギ配分デバイス36を図7のエネルギ伝達配置26と併合する。
図11を参照すると、エネルギ提供ユニット25a,25b,25c,25dのうち少なくとも2つが、例えば胴体2内に収容されている。他の実施形態は、エネルギユニットを、1つ又は複数の推力ユニット内に、及び/又は、胴体2に取り外し可能に取り付けられているが胴体の中に含まれてはいない付属システム内に、設けている。エネルギ貯蔵システム24は、エネルギ提供ユニット25a,25b,25c,25dのうち1つと推力発生ユニット3a,3b,3c,3dのうち1つとの間に接続されたエネルギ配分デバイス36を備えている。
図11においては、マルチロータ航空機1は、マルチロータ航空機1が対応する推力発生ユニット3a,3b,3c,3dを有するのと同じくらい多くの、すなわち少なくとも4つの、エネルギ提供ユニット25a,25b,25c,25dを有している。また、図11のマルチロータ航空機1は、対応するエネルギ貯蔵システム24内に、エネルギ配分デバイス36が存在しているのと同じくらい多くのエネルギ提供ユニットを有している。
エネルギ配分デバイス36は、関連するエネルギ貯蔵伝達配置38によってエネルギ提供ユニット25a,25b,25c,25dの各々に接続されるとともに、関連する配分エネルギ伝達配置37(例えば配線、光パワートランスポンダなど)によって相互接続されている。本発明の一態様によれば、配分デバイス36の各々は、推力発生ユニット3a,3b,3c,3dのうち少なくとも2つの対向する推力発生ユニットにエネルギを提供する。
エネルギ配分デバイス36は、例えばエンジン又はエネルギ源が故障した場合に、マルチロータ航空機1の推力又はエネルギの、左側/右側、前向き/後向き、及び上向き/下向きのうち少なくとも1つの交差冗長急送(crossed redundant dispatching)をするように適合されている。
図7又は11のエネルギ提供ユニットのうち少なくとも1つ、例えば25aは、推力発生ユニットの後方の横向きの対3b−3dのうち少なくとも1つに関して推力発生ユニットの前方の横向きの対3a−3cのうち胴体2の左側の少なくとも1つの推力発生ユニット、例えば3cと関連付けられている。このエネルギ提供ユニット、例えば25aは、推力発生ユニットの後方の横向きの対のうち胴体2の右側の別の少なくとも1つの推力発生ユニットとも関連付けられている。
エネルギ提供ユニットのうち別の少なくとも1つ、例えば25bは、推力発生ユニットの少なくとも1つの後方の横向きの対3x−3y,3b−3dに関して推力発生ユニットの前方の横向きの対のうち胴体2の右側の別の少なくとも1つの推力発生ユニット、例えば3aと関連付けられている。この別のエネルギ提供ユニット、例えば25bは、推力発生ユニットの少なくとも1つの後方の横向きの対のうち胴体2の左側の別の少なくとも1つの推力発生ユニット、例えば3dとも関連付けられている。このように、推力発生ユニット3a,3b,3c,3dはここではそれぞれ、胴体2の縦方向1a及び横方向1bに関して互いに対向するように関連付けられている。
図7又は11のマルチロータ航空機1においては、エネルギ提供ユニット25a,25b,25c,25dのうち少なくとも1つが、胴体2の所与の側で、推力発生ユニット3a,3b,3c,3dの第1のエンジン14aと関連付けられている。この少なくとも1つのエネルギ提供ユニット25a,25b,25c,25dは、胴体2の反対側、すなわち胴体2の縦方向1aに関して所与の側に対向する側で、別の推力発生ユニット3a,3b,3c,3dの第2のエンジン14bとも関連付けられている。エネルギ提供ユニット25a,25b,25c,25dのうち別の少なくとも1つは所与の側で第1のエンジン14aと関連付けられており、さらなるエネルギ提供ユニット25a,25b,25c,25dも胴体2の反対側で第2のエンジン14bと関連付けられている。
図7又は11のマルチロータ航空機1では、胴体2の所与の側の推力発生ユニット3a,3b,3c,3dは、推力発生ユニットの1つの所与の横向きの対に含まれている。この所与の横向きの対は、推力発生ユニット3a,3b,3c,3dの別の1つの横向きの対とは異なる。別の横向きの対は、所与の横向きの対に対して、胴体2の縦方向1aに沿って前後にずれている。
図12のマルチロータ航空機1では、マルチロータ航空機1は胴体2の縦方向1aに沿って奇数の横向きの対を備えている。
図12も、図1のものに類似しているが4つよりも多くの推力発生ユニット3を有するマルチロータ航空機1の上面図を示す。図12のマルチロータ航空機1の機首端は左手にあり、マルチロータ航空機の機尾端は右手にある。したがって、マルチロータ航空機1の右側は図12の上部に図示されており、マルチロータ航空機1の左側は下部に図示されている。
図12のマルチロータ航空機1においては、推力発生ユニットの少なくとも1つの中間の横向きの対3x−3yが推力発生ユニットの別の2つの横向きの対3a−3c,3b−3dの間に配置されており、これらの2対は中間の横向きの対3x−3yに対して縦方向1aに沿ってそれぞれ前後にずれている。
様々なユニットのうち所与の1つのエネルギ提供ユニットは、中間の横向きの対の所与の一方の側で第1のエンジン14aと関連付けられており、様々なユニットのうち別の1つのエネルギ提供ユニットは、縦方向1aに関してこの所与の側とは反対側で中間の横向きの対の第1のエンジン14aと関連付けられている。様々なユニットのうちこの別の1つのエネルギ提供ユニットは、中間の横向きの対の所与の側で第2のエンジン14bと関連付けられており、様々なユニットのうちこの所与の1つのエネルギ提供ユニットは、所与の側とは反対側で中間の横向きの対の第2のエンジン14bと関連付けられている。
図12では、航空機1は、胴体2に接続された推力発生ユニット3a,3x,3b及び3c,3y,3dを含む。推力発生ユニット3a,3x,3b及び3c,3y,3dはそれぞれ上部ロータアセンブリ7a,7x,7b,7c,7y,7dと下部ロータアセンブリ8a,8x,8b,8c,8y,8dとを備えており、これらもまた、図3及び図4の軸12の例のように、一致したロータ軸を有する隣り合った構成で配置されている。
図12の例のように、推力発生ユニット3a,3x,3b,3c,3y,3dはいずれも、胴体2について側面に、すなわち胴体2の縦方向1aで後ろから見て胴体の左側又は右側に配置されている。
図12の例によれば、航空機1は、他の実施形態のシステム24と均等なエネルギ貯蔵システムを備えている。セキュリティ及び冗長性のため、図12のエネルギ貯蔵システムは、他の実施形態のものと均等なエネルギ提供ユニットを備える。例えば、図12のエネルギ貯蔵システムは、少なくとも6つのエネルギ提供ユニットを備えている。
図12の例は、エネルギ貯蔵システムが、優先的には例えばバッテリのような電源システムを備えることを規定している。エネルギ提供ユニットは関連する電源ユニットによって定義される。このような場合、そうしたエネルギ貯蔵システムは、例えば、動作中の推力発生ユニット3a,3x,3b,3c,3y,3dのうち少なくとも1つの第1及び第2のエンジンにエネルギを供給するために提供される。他の実施形態においては、図12のエネルギ貯蔵システムは、バッテリユニットだけでなく、例えば燃料タンク、発電機、又は航空学の要件に準拠する他の電源を含む様々な種類のエネルギ供給手段を備える。
エネルギ貯蔵システム24は、例示的には胴体2に収容される。しかしながら、代替的には、例えば分割されて図1の複数の任意のシュラウドユニット6に収容されてもよい。
前述の実施形態と同様に、本発明による関連付けは、無故障運航モード(通常運航)において、及び航空機運航構造が故障した場合には冗長的に、図12の実施形態の推力発生ユニット3a,3x,3b,3c,3y,3dにエネルギを供給する。
例えばある所与の構造における故障の際に即座に起動され且つおそらくは交換自在に動作することが可能な複数の電源と、推力源と、運動源(例えばエンジン)と、を有することは、少なくとも2つの個々のロータアセンブリと、冗長な隔離された電源レイアウトと、冗長な電力供給及びハーネスのレイアウトと、基本的な電力管理の物理的分離及び隔離と、冗長な隔離された電気エンジンと、場合によってはロータアセンブリ7及び8のピッチ制御及び/又はRPM制御と、の本発明による組み合わせ/相関を可能にする。
図13の例においては、航空機運航構造は、無故障運航モードでの航空機1の運航に適合されている。冗長セキュリティアーキテクチャは、少なくとも、運航時に航空機運航構造が故障した場合のマルチロータ航空機1の運航に適応されている。したがって、前述の例と同様に、冗長セキュリティアーキテクチャは、乗客の輸送に関して適用される当局の規則及び許認可要件に準拠するように提供される。
図13は、それぞれが2つのロータアセンブリを備えた少なくとも2つの推力発生ユニットのうち少なくとも一方を備えている。
既に明らかなように、少なくとも2つのロータアセンブリの各々は、図6及び10の平面21,22と同様、関連するロータ平面を定義する。これらのロータアセンブリのうち第1のロータアセンブリ(例えば7d)は航空機運航構造と関連付けられており、ロータアセンブリのうち第2のロータアセンブリは冗長セキュリティアーキテクチャと関連付けられている。
図13は、動作中の少なくとも2つのロータアセンブリのうち第1のロータアセンブリを駆動するために設けられた少なくとも1つの第1のエンジン、及び、動作中の少なくとも2つのロータアセンブリのうち第2のロータアセンブリを駆動するための少なくとも1つの第2のエンジンも備えている。少なくとも1つの第1のエンジンは航空機運航構造と関連付けられており、少なくとも1つの第2のエンジンは冗長セキュリティアーキテクチャと関連付けられている。
図示はしないが、図13の実施形態は、図7及び/又は図11のように関連付けをすること、接続すること、及びエネルギを供給すること、を含む。例えば、図11によれば、航空機1の基本的なセキュリティ水準をさらに高めるために、(例えばエンジン36に類似の)エネルギ配分デバイスがエネルギ提供ユニットと推力発生ユニット3a,3b,3c,3dとの間に導入される。
図13に示される胴体2は、仰角方向1cの上下長、及びマルチロータ航空機1全体の重力の中心CoGPも有している。
重力の中心CoGPは胴体2の内部に位置している。重力の中心CoGPはさらに、交差推進容積CPVの重心を形成する。
図13では、交差推進容積CPVは、縦方向1aに沿って延伸する前後寸法Rxと、横方向1bに沿って延伸する左右寸法Ryと、仰角方向(1b)に沿って延伸する上下寸法Rzと、にわたって広がっている。
図13の実施形態においては、前後寸法Rxは、前後寸法Lxの0.01倍から0.9倍の間に含まれる。左右長Ryは、左右長Wyの0.01倍から0.9倍の間に含まれる。上下寸法Rzは上下長Ezの−2倍から+2倍の間に含まれる。このように、交差推進容積CPVの寸法は、交差推進容積CPVが重力の中心CoGPを含んでいる状態での、胴体2の対応する長さの範囲である。
図13では、少なくとも2つの推力発生ユニット3a,3b,3c,3dが交差連結対向レイアウト(crosslink opposed layout)で配置されている。この少なくとも2つの推力発生ユニットのうち1つは、別の1つに対して、すべての交差推進軸が交差推進容積CPVの内部で交わるように、各交差推進軸AX,AX2,AY1,AY2,及びAZ1,AZ2上の交差連結対向位置で、交差した横向き、長さ向きの箇所に配置されている。したがって、交差推進軸AX1,AX2,AY1,AY2,及びAZ1,AZ2は、重力の中心CoGPに可能な限り接近した箇所で交わる。
次に図14を参照すると、胴体2の所与の側の少なくとも2つの推力発生ユニット3a,3b,3c,3dのうち1つの推力発生ユニットの少なくとも1つの第1のエンジン14aは、その所与の側に対向する他方の側の少なくとも2つの推力発生ユニット3a,3b,3c,3dのうち別の推力発生ユニットの第2のエンジン14bに対して、冗長で隔離されたレイアウトで配置されている。
これらの少なくとも1つの第1のエンジン14a及び第2のエンジン14bは、各交差推進軸AX1,AX2上の交差連結対向位置において上向き/下向きの箇所に配置されている。少なくとも1つの第1のエンジン14b及び第2のエンジン14aの各々は、交差推進容積CPVの外部に配置されている。
図14及び15の実施形態においては、少なくとも2つのエネルギ提供ユニット25a,25b,25c,25dのうち少なくともいくつかが、交差推進容積CPV内に配置される。他の実施形態は、交差推進容積CPVの外部に配置された少なくともいくつかの異なるエネルギ提供ユニット、例えば推力ユニットのうち少なくともいくつかの中に位置するユニットを提供する。
そのような実施形態においては、推力発生ユニット3a−3c,3h−3g,3x−3y,3f−3e,3b−3dは、各交差推進軸上の交差連結対向位置で、交差した横向き、長さ向きの箇所に、少なくとも2つの推力発生ユニットのうち1つが別の1つに対して冗長な隔離されたレイアウトで協働する対として配置されている。図13のように、すべての交差推進軸は交差推進容積CPVの内部で交わる。
したがって、所与の左/右側の推力発生ユニットの少なくとも1つの第1のエンジン14b及び第2のエンジン14aは、各交差推進軸上の交差連結対向位置で、交差した上向き/下向きの箇所に、別の推力発生ユニットの他の第1又は第2のエンジンに対して冗長な隔離されたレイアウトで協働する対として配置されている。
エネルギ配分デバイス36及び/又はエネルギ伝達デバイス26,37,38は、少なくとも2つのエネルギ提供ユニット25a,25b,25c,25dを少なくとも2つの推力発生ユニット3a,3x,3b,3c,3y,3dに接続する。これらの推力発生ユニットは、各交差推進軸AX01,AX02,AX03上の対向する位置によって定義される交差した横向き、長さ向き、及び場合によっては上下向きの箇所に、1つが別の1つに対して配置される。
図14は、内部に4つのエネルギ提供ユニット25a,25b,25c及び25dが収容されている胴体2から外側に延伸する4つの推力発生ユニット3a,3b,3c及び3dを有するマルチロータ航空機1の一実施形態を示す。
図14の4つの推力発生ユニット及び4つのエネルギ提供ユニットは、仰角方向1cに直交する平面内の仮想関連付け線AX1,AX2、横方向1bに直交する平面内のAY1,AY2、及び縦方向1aに直交する平面内のAZ1,AZ2の相互交差スキームと接続されており、したがって交差推進容積CPVの内部で重力の中心CoGPにかなり近接して互いに交差する。
図15はマルチロータ航空機1の様々な実施形態を示すもので、それぞれ(上から下、左手から右手に)推力発生ユニットの2つの横向きの対3a−c及び3b−3d、推力発生ユニットの3つの横向きの対3a−c,3x−3y,3x−y,3b−d、推力発生ユニットの4つの横向きの対3a−c,3g−3h,3x−y,3b−d、及び推力発生ユニットの5つの横向きの対3a−c,3g−3h,3x−y,3b−d,3e−fを有している。
ここでも、各横向きの対は、胴体2の一方の側面から反対の側へと、冗長な交差連結配置で外側に広がる。
図15の実施形態の各々に関して、交差推進容積の前後長、左右長、及び上下長は、交差仮想関連線AX1,AX2,AX3,AX4,AX5が交差推進容積の内部の重力の中心CoGPの近くで互いに交差する交差領域を定義する。
図15では、マルチロータ航空機1は、推力及びエネルギの、機首/機尾、及び/又は上/下、及び/又は左/右の交差冗長急送のために、安全急送中央パターンを提供する。
最後に、上述の本発明の態様を修正したものも、当業者の常識の範囲内にあり、したがって本発明の一部であると見なされることに注意されたい。
1 マルチロータ航空機
1a 航空機縦方向
1b 航空機横方向
2 航空機機体
2a 航空機機体内容積
2b 航空機機体幅
3 推力発生ユニット
3a,3x,3b,3c,3y,3d 推力発生ユニット
4 推力発生ユニット構造的支持体
4a,4x,4b,4c,4y,4d 推力発生ユニット構造的支持体
5 ギアボックスフェアリング
5a,5x,5b,5c,5y,5d ギアボックスフェアリング
6 シュラウドユニット
6a,6x,6b,6c,6y,6d シュラウド
7 上部ロータアセンブリ
7a,7x,7b,7c,7y,7d 上部ロータアセンブリ
8 下部ロータアセンブリ
8a,8x,8b,8c,8y,8d 下部ロータアセンブリ
9 推力
10 地面
10a 垂直resp.垂直の基準線
11 縦方向傾斜角
11a,11b 縦方向傾斜角
12 ロータ軸
12a,12b,12c,12d ロータ軸
13 横方向傾斜角
13a,13b 横方向傾斜角
14a 上部ロータアセンブリエンジン
14b 下部ロータアセンブリエンジン
15 上部ロータアセンブリ回転方向
16 下部ロータアセンブリ回転方向
17 ピッチ変化
18a,18b,18c 上部ロータアセンブリロータブレード
19a,19b,19c 下部ロータアセンブリロータブレード
20a シュラウド内面
20b シュラウド外面
20c シュラウド内容積
20d シュラウド前縁
20e シュラウド外縁
20f シュラウド内径resp.ロータアセンブリ直径
21 上部ロータアセンブリロータ平面
21a 上部平面傾斜角
22 下部ロータアセンブリロータ平面
22a 下部平面傾斜角
23 エンジンシャフト
24 エネルギ貯蔵システム
25 バッテリシステム
25a,25b,25c,25d バッテリユニット
26 エンジンエネルギ伝達配置(例えば配線、光パワートランスポンダなど)
27 電気コイル
28 減速ギアボックス
29a,29b 第1及び第2の上部ロータアセンブリ
30a,30b 第1及び第2の下部ロータアセンブリ
31a,31b 第1及び第2の上部ロータアセンブリロータ平面
32a,32b 第1及び第2の下部ロータアセンブリロータ平面
33 上部ロータアセンブリロータ軸
34 下部ロータアセンブリロータ軸
35 ロータ軸変位
36 エネルギ配分デバイス
37 配分エネルギ伝達配置(例えば配線、光パワートランスポンダなど)
38 エネルギ貯蔵エネルギ伝達配置(例えば配線、光パワートランスポンダなど)
AX1,AX2,AX3,AX4,AX5,AY1,AY2,A21,AZ2 交差推進軸
CoGP 重力の中心
CPV 交差推進容積
Lx 胴体の前後長
Rx CPVの前後寸法
Wy 胴体の左右長
Ry CPVの左右寸法
Ez 胴体の上下長
Rz CPVの上下寸法

Claims (21)

  1. 乗客の輸送に適合された内容積(2a)を定義する胴体(2)を有するマルチロータ航空機(1)であって、
    前記マルチロータ航空機(1)は、前記胴体(2)に構造的に接続された複数の推力発生ユニット(3a,3b,3c,3d)を有し、
    前記マルチロータ航空機(1)は、無故障運航モードでの前記マルチロータ航空機(1)の運航に適合された航空機作動構造(7a,8x,7b,7c,8y,7d,14a)と、少なくとも運航時に前記航空機運航構造(7a,8x,7b,7c,8y,7d,14a)が故障した場合の前記マルチロータ航空機(1)の運航に適合された冗長セキュリティアーキテクチャ(8a,7x,8b,8c,7y,8d,14b)と、を有し、
    少なくとも2つの推力発生ユニット(3d)は、少なくとも2つのロータアセンブリ(7d,8d)を備え、前記少なくとも2つのロータアセンブリ(7d,8d)の各々は、関連するロータ平面(21,22)を定義し、前記少なくとも2つのロータアセンブリのうちの第1のロータアセンブリ(7d)は、前記航空機運航構造(7a,8x,7b,7c,8y,7d,14a)と関連付けられており、前記少なくとも2つのロータアセンブリのうち第2のロータアセンブリ(8d)は、冗長セキュリティアーキテクチャ(8a,7x,8b,8c,7y,8d,14b)と関連付けられており、
    前記少なくとも2つの推力発生ユニット(3a,3x,3b,3c,3y,3d)は、動作中の少なくとも2つのロータアセンブリのうちの第1のロータアセンブリ(7d)を駆動するために設けられた少なくとも1つの第1のエンジン(14a)と、少なくとも動作中の前記少なくとも2つのロータアセンブリのうち第2のロータアセンブリ(8d)を駆動するために設けられた少なくとも1つの第2のエンジン(14b)と、を有し、前記少なくとも1つの第1のエンジン(14a)は、前記航空機運航構造(7a,7b,7c,7d,14a)と関連付けられており、前記少なくとも1つの第2のエンジン(14b)は、前記冗長セキュリティアーキテクチャ(8a,8b,8c,8d,14b)と関連付けられており、
    前記マルチロータ航空機(1)は、エネルギ貯蔵システム(24)を有しており、前記エネルギ貯蔵システム(24)は、少なくとも2つのエネルギ提供ユニット(25a,25b,25c,25d)を備え、
    前記少なくとも2つのエネルギ提供ユニットのうち少なくとも第1のエネルギ提供ユニット(25d)は、動作中の前記少なくとも1つの第1のエンジン(14a)にエネルギを提供するために前記少なくとも1つの第1のエンジン(14a)に接続されており、
    前記少なくとも2つのエネルギ提供ユニットのうち少なくとも第2のエネルギ提供ユニット(25c)は、動作中の前記少なくとも1つの第2のエンジン(14b)にエネルギを提供するために前記少なくとも1つの第2のエンジン(14b)に接続されていることを特徴とする、マルチロータ航空機。
  2. 前記胴体(2)は、前記胴体(2)の前から機尾へと縦方向(1a)に沿って、及び、前記胴体(2)の左側から右側へと横方向(1b)に沿って、延伸し、
    前記マルチロータ航空機(1)は、横向きの対になって配置された少なくとも4つの推力発生ユニット(3a,3b,3c,3d)を有し、各横向きの対は、横方向(1b)に沿って、1つの推力発生ユニット(3a,3b)が前記胴体(2)の前記左側に、及び、1つの推力発生ユニット(3c,3d)が前記右側に、それぞれ配置され、
    したがって、少なくとも2つの推力発生ユニット(3a,3b)が前記胴体(2)の前記右側に配置され、少なくとも2つの別の推力発生ユニット(3c,3d)が前記胴体(2)の前記左側に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のマルチロータ航空機(1)。
  3. 前記エネルギ提供ユニット(25a,25b,25c,25d)のうち少なくとも1つは、推力発生ユニットの後方の横向きの対(3x−3y,3b−3d)のうち少なくとも1つに関して推力発生ユニット(3a,3x,3b,3c,3y,3d)の前方の横向きの対のうち前記胴体(2)の左側の少なくとも1つの推力発生ユニット(3c、3y、3d)と関連付けられており、前記エネルギ提供ユニットは、推力発生ユニットの前記後方の横向きの対(3x−3y,3b−3d)のうち前記胴体(2)の右側の別の少なくとも1つの推力発生ユニット(3a,3x,3b)とも関連付けられており、
    前記エネルギ提供ユニット(25a,25b,25c,25d)のうち別の少なくとも1つは、推力発生ユニットの後方の横向きの対(3x−3y,3b−3d)に関して推力発生ユニット(3a,3x,3b,3c,3y,3d)の前記前方の横向きの対のうち前記胴体(2)の右側の少なくともさらに1つの推力発生ユニット(3a、3x、3b)と関連付けられており、前記別のエネルギ提供ユニットは、推力発生ユニットの前記後方の横向きの対(3x−3y,3b−3d)のうち前記胴体(2)の左側の前記推力発生ユニット(3c,3y,3d)とも関連付けられており、
    したがって、前記推力発生ユニット(3a,3x,3b,3c,3y,3d)は、それぞれ、前記胴体(2)の前記縦方向(1a)及び前記横方向(1b)に関して互いに対向するように関連付けられていることを特徴とする、請求項2に記載のマルチロータ航空機(1)。
  4. 前記エネルギ提供ユニット(25a,25b,25c,25d)のうち少なくとも1つは、前記胴体(2)の所与の側で推力発生ユニット(3a,3x,3b,3c,3y,3d)の第1のエンジン(14a)と関連付けられており、前記後のエネルギ提供ユニット(25a,25b,25c,25d)は、前記胴体(2)の反対側で前記第2のエンジン(14b)とも関連付けられていることを特徴とする、請求項2に記載のマルチロータ航空機(1)。
  5. 前記マルチロータ航空機(1)は、前記胴体(2)の縦方向(1a)に沿って奇数の横向きの対を備え、推力発生ユニット(3a−3c,3b−3d)の少なくとも1つの中間の横向きの対(3x−3y)が、前記中間の横向きの対(3x−3y)に対して縦方向(1a)に沿ってそれぞれ前後にずれている推力発生ユニットの別の2つの横向きの対(3a−3c,3b−3d)の間に配置されており、
    前記マルチロータ航空機(1)は、少なくとも1つの所与のエネルギ提供ユニット(25a,25b,25c,25d)及び別の1つのエネルギ提供ユニット(25a,25b,25c,25d)を備え、
    前記所与のエネルギ提供ユニット(25a,25b,25c,25d)は、前記中間の横向きの対(3x−3y)の所与の一方の側で前記第1のエンジン(14a)と関連付けられており、前記別の1つのエネルギ提供ユニット(25a,25b,25c,25d)は、前記縦方向(1a)に関して前記所与の側とは反対側で前記中間の横向きの対(3x−3y)の前記第1のエンジン(14a)と関連付けられており、
    前記別のエネルギ提供ユニット(25a,25b,25c,25d)は、前記中間の横向きの対(3x−3y)の所与の側で前記第2のエンジン(14b)と関連付けられており、前記所与のエネルギ提供ユニット(25a,25b,25c,25d)は、前記所与の側とは反対側で前記中間の横向きの対(3x−3y)の前記第2のエンジン(14b)と関連付けられていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のマルチロータ航空機(1)。
  6. 前記少なくとも2つのロータアセンブリのうち前記第1のロータアセンブリ(7d)は、第1のロータ軸(33)を定義し、前記少なくとも2つのロータアセンブリのうち前記第2のロータアセンブリ(8d)は、第2のロータ軸(34)を定義し、前記第1及び第2のロータ軸(33,34)は、互いに離隔していることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のマルチロータ航空機(1)。
  7. 前記少なくとも2つのロータアセンブリのうち前記第1のロータアセンブリ(7d)は、第1のロータ軸(12d)を定義し、前記少なくとも2つのロータアセンブリのうち前記第2のロータアセンブリ(8d)は、第2のロータ軸(12d)を定義し、前記第1及び第2のロータ軸(12d)は、同軸に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のマルチロータ航空機(1)。
  8. 前記第1及び第2のロータ軸(12d)は、−60°から+60°の範囲内に含まれる関連する傾斜角(21a,22a)だけ傾斜されており、前記関連する傾斜角(21a,22a)である、請求項7に記載のマルチロータ航空機(1)。
  9. 前記少なくとも2つの推力発生ユニットのうち前記少なくとも1つの推力発生ユニット(3d)は、前記マルチロータ航空機(1)の垂直基準線(10a)と前記第1及び第2のロータ軸(12d)との間に定義される関連する縦方向傾斜角(11a)だけ、前記マルチロータ航空機(1)の縦方向(1a)に傾斜されており、前記関連する縦方向傾斜角(11a)は−45°から+80°の範囲内に含まれることを特徴とする、請求項7に記載のマルチロータ航空機(1)。
  10. 前記垂直基準線(10a)と別の少なくとも1つの推力発生ユニット(3a,3c)の第1及び第2のロータ軸(12a,12c)との間に定義される別の縦方向傾斜角(11b)だけ前記マルチロータ航空機(1)の縦方向(1a)に傾斜されている、前記別の少なくとも1つの推力発生ユニット(3a,3c)が提供され、前記別の縦方向傾斜角(11b)は、−45°から+80°の範囲内に含まれることを特徴とする、請求項9に記載のマルチロータ航空機(1)。
  11. 前記少なくとも2つの推力発生ユニットのうち前記少なくとも1つの推力発生ユニット(3b)は、前記マルチロータ航空機(1)の垂直基準線(10a)と前記第1及び第2のロータ軸(12b)との間に定義される関連する横方向傾斜角(13b)だけ、前記マルチロータ航空機(1)の横方向(1b)に傾斜されており、前記関連する横方向傾斜角(13b)は、−45°から+80°の範囲内に含まれることを特徴とする、請求項10に記載のマルチロータ航空機(1)。
  12. 前記垂直基準線(10a)と別の少なくとも1つの推力発生ユニット(3a,3c)の第1及び第2のロータ軸(12a,12c)との間に定義される別の横方向傾斜角(13a)だけ前記マルチロータ航空機(1)の横方向(1b)に傾斜されている、前記別の少なくとも1つの推力発生ユニット(3a,3c)が提供され、前記別の横方向傾斜角(13a)は、−45°から+80°の範囲内に含まれることを特徴とする、請求項11に記載のマルチロータ航空機(1)。
  13. 前記少なくとも2つのロータアセンブリのうち前記第1のロータアセンブリ(7d)は、動作時に第1の回転方向(15)で回転するように適合されており、前記少なくとも2つのロータアセンブリのうち前記第2のロータアセンブリ(8d)は、動作時に第2の回転方向(16)で回転するように適合されており、前記第1の回転方向(15)は、前記第2の回転方向(16)とは反対であることを特徴とする、請求項1に記載のマルチロータ航空機(1)。
  14. 前記エネルギ貯蔵システム(24)は、前記エネルギ提供ユニット(25a,25b,25c,25d)と前記推力発生ユニット(3a,3x、3b,3y、3c,3d)との間に動作可能に接続されたエネルギ配分デバイス(36)を備えており、前記マルチロータ航空機(1)は、少なくとも前記推力発生ユニット(3a,3b,3c,3d)と同じくらい多くの、多数のエネルギ配分デバイス(36)を有し、
    前記エネルギ配分デバイス(36)の各々は、単一の関連するエネルギ貯蔵伝達配置(38)によって単独の各エネルギ提供ユニット(25a,25b,25c,25d)に動作可能に接続されており、前記エネルギ配分デバイス(36)同士は、関連する分配伝達配置(37)によって相互接続されていることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載のマルチロータ航空機(1)。
  15. 前記少なくとも1つの第1及び第2のエンジン(14a,14b)は、少なくとも2つの別々の電気コイル(27)を備える単一の隔離された電気エンジン(14a,14b)を定義し、前記少なくとも2つの別々の電気コイル(27)は、動作時に互いに独立して電力を提供するように適合されており、少なくとも1つの第1の電気コイル(27)は、前記航空機運航構造(7a,7b,7c,7d,14a)と関連付けられ、少なくとも1つの第2の電気コイル(27)は、冗長セキュリティアーキテクチャ(8a,8b,8c,8d,14b)と関連付けられていることを特徴とする、請求項14に記載のマルチロータ航空機(1)。
  16. 前記エネルギ貯蔵システム(24)は、少なくとも前記マルチロータ航空機(1)が推力発生ユニット(3a,3x,3b,3c,3y,3d)を有するのと同じくらい多くのエネルギ提供ユニット(25c,25d)を備えており、前記少なくとも2つのエネルギ提供ユニットのうち少なくとも第1のエネルギ提供ユニット(25d)は、動作時に少なくとも1つの第1のエンジン(14a)にエネルギを提供するために、前記少なくとも1つの第1のエンジン(14a)に接続されており、前記少なくとも2つのエネルギ提供ユニットのうち少なくとも第2のエネルギ提供ユニット(25c)は、動作時に少なくとも1つの第2のエンジン(14b)にエネルギを提供するために、前記少なくとも1つの第2のエンジン(14b)に接続されており、前記エネルギ提供ユニットのうち前記少なくとも第1のエネルギ提供ユニット(25d)は、前記航空機運航構造(7a,7b,7c,7d,14a)と関連付けられ、前記少なくとも2つのエネルギ提供ユニットのうち前記第2のエネルギ提供ユニット(25c)は、前記冗長セキュリティアーキテクチャ(8a,8b,8c,8d,14b)と関連付けられていることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載のマルチロータ航空機(1)。
  17. 前記エネルギ貯蔵システム(24)は、バッテリシステム(25)を備えており、前記少なくとも2つのエネルギ提供ユニット(25a,25b,25c,25d)は、関連するバッテリユニットによって定義されることを特徴とする、請求項16に記載のマルチロータ航空機(1)。
  18. 前記胴体(2)は、前記マルチロータ航空機(1)の前記縦方向(1a)の前後長(Lx)に沿って、前記横方向(1b)の左右長(Wy)に沿って、及び、仰角方向(1b)の上下長(Ez)に沿って、延伸しており、
    前記マルチロータ航空機(1)は、重力の中心(CoGP)を有し、前記重力の中心(CoGP)は、交差推進容積(CPV)の重心を形成し、
    前記交差推進容積(CPV)は、前記縦方向(1a)に沿って前記胴体(2)の前記前後長(Lx)の0.01倍から0.9倍に延伸する前後寸法(Rx)と、前記横方向(1b)に沿って前記胴体(2)の前記左右長(Wy)の0.01倍から0.9倍に延伸する左右寸法(Ry)と、前記仰角方向(1b)に沿って前記胴体(2)の前記上下長(Ez)の−2倍から+2倍に延伸する上下寸法(Rz)と、にわたって広がっており、前記交差推進容積(CPV)は、前記重力の中心(CoGP)を含み、
    少なくとも2つのエネルギ提供ユニット(25a,25b,25c,25d)が前記交差推進容積(CPV)内に配置されており、前記少なくとも2つの推力発生ユニット(3a,3x,3b,3c,3y,3d)は、前記少なくとも2つの推力発生ユニット(3a,3x,3b,3c,3y,3d)のうち1つが別の1つに対して、各前記交差推進軸(AX1,AX2,AX3,AX4,AX5)上の交差連結対向位置で、交差した横向き、長さ向きの箇所にあるレイアウトで配置されており、すべての交差推進軸(AX01,AX02,AX03)が前記交差推進容積(CPV)の内部で交わることを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載のマルチロータ航空機(1)。
  19. 前記胴体(2)の所与の側の前記少なくとも2つの推力発生ユニット(3a,3x,3b,3c,3y,3d)のうち1つの推力発生ユニットの前記少なくとも1つの第1のエンジン(14a)は、前記所与の側に対向する他方の側の前記少なくとも2つの推力発生ユニット(3a,3x,3b,3c,3y,3d)のうち別の推力発生ユニットの前記第2のエンジン(14b)に対して、冗長で隔離されたレイアウトで配置されており、
    前記少なくとも1つの第1のエンジン(14a)及び第2のエンジン(14b)は、各前記交差推進軸(AX1,AX2,AX3,AX4,AX5)上の交差連結対向位置において交差した上向き/下向きの箇所に配置されており、
    前記少なくとも1つの第1のエンジン(14b)及び第2のエンジン(14a)の各々は、前記交差推進容積(CPV)の外部に配置されていることを特徴とする、請求項18に記載のマルチロータ航空機(1)。
  20. 前記少なくとも2つの推力発生ユニットのうち前記少なくとも1つの推力発生ユニット(3d)は、関連するシュラウド(6d)を備えており、前記少なくとも2つのロータアセンブリ(7d、8d)は、前記関連するシュラウド(6d)内に収容されていることを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載のマルチロータ航空機(1)。
  21. 前記少なくとも2つの推力発生ユニット(3a,3b,3c,3d)は、各々がギアボックスフェアリング(5d)を有しており、前記推力発生ユニット(3a,3b,3c,3d)の各々の前記の第1及び第2のエンジン(14a,14b)は、前記ギアボックスフェアリング(5d)によって囲まれるように、前記ギアボックスフェアリング(5d)の内部に配置されていることを特徴とする、請求項1から20のいずれか一項に記載のマルチロータ航空機(1)。
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