JP6662247B2 - 破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼 - Google Patents
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Description
(1)本発明の一態様に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼は、化学成分が、単位質量%で、C:0.10〜0.25%、Si:0.60〜1.20%、Mn:0.60〜1.00%、P:0.040〜0.060%、S:0.060〜0.100%、Cr:0.05〜0.20%、N:0.0020〜0.0150%、Bi:0.00010〜0.00500%に加えて、Ti:0.005〜0.100%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる。
(2)本発明において、さらに、前記化学成分が、単位質量%で、Ca:0.005%以下、Zr:0.005%以下及びMg:0.005%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有することができる。
この例の破断分離型コンロッド1は、図1に示すように、上下に分割されたロッド付半円弧状のアッパ側半割体2と、半円弧状のロア側半割体3とから構成されている。
アッパ側半割体2の半円弧部2Aの両端側にはそれぞれ、ロア側半割体3に固定するためのねじ溝を有するねじ孔5が形成されている。ロア側半割体3の半円弧部3Aの両端側にはそれぞれ、アッパ側半割体2に固定するための挿通孔6が形成されている。
破断分離型コンロッド1は、一例として、化学成分が、単位質量%で、C:0.10〜0.25%、Si:0.60〜1.20%、Mn:0.60〜1.00%、P:0.040〜0.060%、S:0.060〜0.100%、Cr:0.05〜0.20%、N:0.0020〜0.0150%、Bi:0.00010〜0.00500%に加えて、Ti:0.005〜0.0100%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる熱間鍛造用非調質鋼からなる。
先ず本実施形態に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼の成分組成の限定理由について説明する。
Cは、熱間鍛造用非調質鋼の引張強さを確保する効果を有する。必要な強度を得るには、C含有量の下限を0.10%にする必要がある。一方、Cを過剰に含有すると破断面の欠けが発生する頻度が上昇するので、C含有量の上限を0.25%とする。C含有量の好ましい下限は、0.12%、0.13%、または0.15%である。C含有量の好ましい上限は、0.23%、0.20%、または0.18%である。
Siは、固溶強化によってフェライトを強化し、延性及び靭性を低下させるため破断分離性を向上させる。この効果を得るためには、Si含有量の下限を0.60%にする必要がある。一方、Siを過剰に含有すると破断面の欠けが発生する頻度が上昇するので、Si含有量の上限を1.20%とする。Si含有量の好ましい下限は、0.70%、0.80%、または0.85%である。Si含有量の好ましい上限は、1.00%、0.95%、または0.90である。
Mnは、固溶強化によってフェライトを強化し、鋼の延性及び靭性を低下させる。鋼の延性及び靭性の低下は、破断時の破断面近傍の塑性変形量を小さくし、破断分離性を向上させる。また、Mnは、Sと結合してMn硫化物を形成する。本実施形態に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼からなる鋼部品を破断分割させる際に圧延方向に伸長したMn硫化物に沿ってき裂が伝播するので、Mnの含有は破断面の凹凸を大きくして破断面を嵌合する際に位置ずれを防止する効果がある。一方、Mnを過剰に含有する場合、フェライトが硬くなりすぎて、破断時の欠けが発生する頻度が増加する。これらに鑑みて、Mn含有量の範囲は、0.60〜1.00%である。Mn含有量の好ましい下限は、0.70%、0.80%、または0.85%である。Mn含有量の好ましい上限は、0.95%、0.92%、または0.90%である。
Pは、フェライト及びパーライトの延性及び靭性を低下させる。延性及び靭性の低下は、鋼の破断時の破断面近傍の塑性変形量を小さくし、破断分離性を向上させる効果を有する。ただし、Pは上述の効果を生じさせると同時に、結晶粒界の脆化を引き起こし破断面の欠けを発生しやすくする効果も顕著に生じさせる。以上を考慮すれば、P含有量の範囲は、0.040〜0.060%である。P含有量の好ましい下限は、0.042%、0.045%、または0.048%である。P含有量の好ましい上限は、0.055%、0.053%、または0.050%である。
Sは、Mnと結合してMn硫化物を形成する。本実施形態に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼からなる鋼部品(破断分離型コンロッド1)を破断分割させる際に、圧延方向に伸長したMn硫化物に沿ってき裂が伝播するので、Sの含有は破断面の凹凸を大きくし破断面を嵌合する際に位置ずれを防止する効果がある。その効果を得るためには、S含有量の下限を0.060%にする必要がある。他方、Sを過剰に含有させると、破断分割時の破断面近傍の塑性変形量が増大し、破断分離性が低下する場合が発生することがある。これに加えて、Sを過剰に含有させると、破断面の欠けを助長することがある。以上から、S含有量の範囲を、0.060〜0.100%とする。S含有量の好ましい下限は、0.070%、0.072%、または0.075%である。S含有量の好ましい上限は、0.095%、0.090%、または0.085%である。
Crは、Mnと同様に固溶強化によってフェライトを強化し、延性及び靭性を低下させるため破断分離性を向上させる。しかし、Crを過剰に含有するとパーライトのラメラー間隔が小さくなり、かえってパーライトの延性及び靭性が高くなるため、破断分離性が低下する。さらに、Crを過剰に含有すると、ベイナイト組織が生成しやすくなり、降伏比の低下による降伏強さの低下や破断分離性の顕著な低下が見られる。従って、Cr含有量の範囲を0.05〜0.20%とする。上述の効果に鑑みた場合、Cr含有量の好ましい上限は、0.17%、0.15%、または0.13%である。また、Cr含有量の好ましい下限は、0.07%、0.08%、または0.10%である。
Nは、熱間鍛造後の冷却時に主にV窒化物又はV炭窒化物を形成してフェライトの変態核として働くことによって、フェライト変態を促進する。これにより、Nには、熱間鍛造部品の破断分離性を大幅に損なうベイナイト組織の生成を抑制する効果がある。この効果を得るには、N含有量の下限を0.0020%とする。Nを過剰に含有すると熱間延性が低下し、熱間加工時に割れ又は疵が発生しやすくなる場合があるので、N含有量の上限を0.0150%とする。N含有量の下限値を0.0040%、0.0042%、または0.0045%としてもよい。N含有量の上限値を0.0145%、0.0140%、または0.0135%としてもよい。
Biは、本実施形態に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼において重要な元素である。微量のBiを含有することによって、固溶Biがフェライトを脆化させ、延性及び靭性を低下させるため、破断分離性を向上させる。その効果を得るには、Bi含有量を0.00010%以上にする必要がある。しかし、Bi含有量が0.00500%を超えると、Biによるフェライトの脆化効果が飽和し、かつ降伏強さの低下が見られる。これらのことから、本実施形態に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼では、Bi含有量を、0.00010%〜0.00500%とする。
Tiは、本実施形態に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼において重要な元素である。微量のTiを含有することによって、TiNがフェライトを脆化させ、延性及び靭性を低下させるため、破断分離性を向上させる。また、Tiと固溶Biと組み合わせることにより、フェライト脆化の相乗効果が得られる。この効果を得るには、Ti含有量を0.005%以上にする必要がある。しかし、Ti含有量が0.100%を超えると、BiとTiによるフェライトの脆化効果が飽和し、かつ降伏強さの低下が見られる。これらのことから、本実施形態に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼では、Ti含有量を0.005〜0.100%とする。
Ca、Zr及びMgはいずれも酸化物を形成し、Mn硫化物の晶出核となりMn硫化物を均一微細分散する効果がある。従って、Ca、Zr及びMgそれぞれの下限値を0.001%としてもよい。本実施形態に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼からなる鋼部品(破断分離型コンロッド1)を破断分割させる際に、圧延方向に伸長したMn硫化物に沿ってき裂が伝播するので、Mn硫化物が大きいほど破断面の凹凸が大きくなる一方で、延性及び靭性が高く破断分離性が低くなる。Mn硫化物を微細分散することにより、き裂が進展方向に伝播しやすくなり、破断分離性が向上する効果が得られる。一方、Ca、Zr及びMgのいずれの元素の含有量も0.005%を超えると、熱間加工性が劣化し、熱間圧延が困難となる。これらのことから、Ca、Zr及びMgそれぞれの含有量の上限を0.005%とする。
このため、本実施形態に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼からなる鋼部品としての破断分離型コンロッド1であれば、突き合わせ面の新たな加工や位置決めピンが不要となり、大幅な製造工程の簡略化をなし得る。
次に、熱間圧延によって直径が45mmの棒鋼形状とした。
表1の下線部分は本発明の範囲外の例であることを示す。
冷却後の鍛造材から、JIS4号引張試験片、シャルピー衝撃試験片を加工した。シャルピー衝撃試験片は、深さ2mm、先端曲率0.25mmの45度のVノッチ加工を施した。
これに対して、比較例No.Wは、Cの含有量が少ないため、引張強さが低く、シャルピー衝撃値が高い。
比較例No.X〜Zは、Si、Mn又はPの含有量が少ないため、フェライトの脆化効果が小さく、シャルピー衝撃値が高い。
比較例No.AAは、Crの含有量が多いため、フェライト・パーライト組織に加えて一部でベイナイト組織が生成したため、シャルピー衝撃値が高い。
比較例No.AB、AF及びAGは、Bi、Tiを含有していないか、Bi又はTiの含有量が少ないため、フェライトの脆化効果がなく、シャルピー衝撃値が高い。
比較例No.AC、AD及びAEは、Biに加えてTiを含有しているため、フェライトの脆化効果が得られ、シャルピー衝撃値は低いが、BiおよびTiの少なくとも一方の含有量が多いため、降伏強さが低い。
Claims (2)
- 化学成分が、単位質量%で、
C:0.10〜0.25%、
Si:0.60〜1.20%、
Mn:0.60〜1.00%、
P:0.040〜0.060%、
S:0.060〜0.100%、
Cr:0.05〜0.20%、
N:0.0020〜0.0150%、
Bi:0.00010〜0.00500%に加えて、
Ti:0.005〜0.100%
を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とする破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼。 - さらに、前記化学成分が、単位質量%で、
Ca:0.005%以下、
Zr:0.005%以下及び
Mg:0.005%以下
からなる群から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼。
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JP2016170793A JP6662247B2 (ja) | 2016-09-01 | 2016-09-01 | 破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼 |
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JP2018035410A JP2018035410A (ja) | 2018-03-08 |
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