JP6662247B2 - 破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼 - Google Patents

破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼 Download PDF

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本発明は、破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼に関するものである。
自動車エンジン用部品および足廻り用部品では、熱間鍛造で成形を行い、次いで焼入れ焼戻しといった熱処理を行い(以降、熱処理が行われる部品を調質部品と称する)、または、熱処理を適用することなく(以降、熱処理が行われない部品を非調質部品と称する)、適用する部品に必要な機械特性を確保する。最近は製造工程における経済効率性の観点から、調質を省略して製造された部品、すなわち、非調質部品が多く普及している。
自動車エンジン用部品の事例としてコネクティングロッド(以降、コンロッドと称する)が挙げられる。この部品は、エンジン内でピストンの往復運動をクランクシャフトによる回転運動に変換する際に、動力を伝達する部品である。コンロッドは、クランクシャフトのピン部と称される偏芯部位をコンロッドのキャップ部とロッド部とで挟み込んで締結し、ピン部とコンロッドの締結部とが回転摺動する機構によって動力を伝達する。このキャップ部とロッド部との締結を効率化するために、近年、破断分離型コンロッドが多く採用されている。
破断分離型コンロッドとは、熱間鍛造等でキャップ部とロッド部とが一体となった形状に鋼材を成形した後、キャップ部とロッド部との境界に相当する部分に切欠きを入れて、破断分離する工法を採用したものである。この工法では、キャップ部及びロッド部の合わせ面において破断分離した破面同士を嵌合させるので、合わせ面の機械加工が不要な上に、位置合わせのために施す加工も必要に応じて省略できる。これらから、部品の加工工程を大幅に削減でき、部品製造時の経済効率性は大幅に向上する。このような工法で製造される破断分離型コンロッドには、破断面の破壊形態が脆性的であり、破断分離による破面近傍の変形量が小さく、且つ破断分離による欠け発生量が小さいこと、すなわち破断分離性が良好であることが求められる。
破断分離型コンロッドに供する鋼材として、欧米で普及しているのは、DIN規格のC70S6である。これは0.7質量%のCを含む高炭素非調質鋼であり、破断分離時の寸法変化を抑えるために、その金属組織を延性及び靭性の低いパーライト組織としたものである。C70S6は、破断時の破断面近傍の塑性変形量が小さいので破断分離性に優れる一方、現行のコンロッド用鋼である中炭素非調質鋼のフェライト・パーライト組織に比べて組織が粗大であるので、降伏比(=降伏強さ/引張強さ)が低く、高い座屈強度が要求される高強度コンロッドには適用できないという問題がある。
鋼材の降伏比を高めるためには、炭素量を低減し、フェライト分率を増加させることが必要である。しかしながら、フェライト分率を増加させると鋼材の延性が向上して、破断分離時に塑性変形量が大きくなり、クランクシャフトのピン部に締結されるコンロッド摺動部の形状変形が増大し、コンロッド摺動部の真円度が低下するといった部品性能上の問題が発生する。
高強度の破断分離型コンロッドに好適な鋼材としては、いくつかの非調質鋼が提案されている。例えば、特許文献1および特許文献2には、鋼材にSiまたはPのような脆化元素を多量に添加し、材料自体の延性および靭性を低下させることによって破断分離性を改善する技術が記載されている。特許文献3および特許文献4には、第二相粒子による析出強化を利用してフェライトの延性および靭性を低下させることによって鋼材の破断分離性を改善する技術が記載されている。さらに、特許文献5〜7には、Mn硫化物の形態を制御することによって鋼材の破断分離性を改善する技術が記載されている。しかしながら、いずれの技術も破断分離性について十分満足しているとは言えないのが実情である。
特許第3637375号公報 特許第3756307号公報 特許第3355132号公報 特許第3988661号公報 特許第4314851号公報 特許第3671688号公報 特許第4268194号公報
本発明は上記の実情に鑑み、Vを含有することなく、優れた強度及び優れた降伏強さ、並びに優れた破断分離性の全てを有する破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するために、本発明者らは、Vを含有することなく、優れた強度及び優れた降伏強さ、並びに優れた破断分離性の全てを有する熱間鍛造用非調質鋼(以下の説明において、「熱間鍛造用非調質鋼」を単に「鋼」と記載する場合がある)を実現する方策について鋭意検討した。その結果、以下の(a)〜(c)の知見を得た。
(a)本発明者らは、鋼中に微量Biを含有させることにより、著しく靭性を低下することを見出した。これは鋼中に固溶したBiがフェライトを顕著に脆化させたからである。この効果により破断分離性が劣る低炭素組成の鋼材も破断分離用非調質鋼として使用可能となる。
(b)本発明者らは、鋼中に微量Biを含有させることにより、Vを含有させなくても低靭性であることを見出した。これはフェライトを脆化させる効果はVCによる析出強化よりも固溶Biの方が著しく大きいからである。
(c)本発明者らは、微量Biに加えて、鋼中に微量Tiを含有させることにより、顕著な低靭性となることを見出した。これは固溶BiおよびTiNによるフェライト脆化効果の相乗効果である。
以上のような(a)〜(c)の知見に基づき、Vを含有することなく、微量BiとTiを含有させることにより、低炭素組成の鋼材も破断分離性を十分に向上させ得ることを見出し、本発明をなすに至った。
その発明の要旨とするところは、次の通りである。
(1)本発明の一態様に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼は、化学成分が、単位質量%で、C:0.10〜0.25%、Si:0.60〜1.20%、Mn:0.60〜1.00%、P:0.040〜0.060%、S:0.060〜0.100%、Cr:0.05〜0.20%、N:0.0020〜0.0150%、Bi:0.00010〜0.00500%に加えて、Ti:0.005〜0.100%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる。
(2)本発明において、さらに、前記化学成分が、単位質量%で、Ca:0.005%以下、Zr:0.005%以下及びMg:0.005%以下からなる群から選択される1種または2種以上を含有することができる。
本発明によれば、Vを含有することなく、優れた強度及び優れた降伏強さ、並びに優れた破断分離性の全てを有する破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼を提供できる。
本実施形に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼により形成される鋼部品の一例である破断分離型コンロッドを示す分解斜視図である。
図1は、本発明に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼により形成される鋼部品からなる破断分離型コンロッドの一例を示す分解斜視図である。
この例の破断分離型コンロッド1は、図1に示すように、上下に分割されたロッド付半円弧状のアッパ側半割体2と、半円弧状のロア側半割体3とから構成されている。
アッパ側半割体2の半円弧部2Aの両端側にはそれぞれ、ロア側半割体3に固定するためのねじ溝を有するねじ孔5が形成されている。ロア側半割体3の半円弧部3Aの両端側にはそれぞれ、アッパ側半割体2に固定するための挿通孔6が形成されている。
アッパ側半割体2の半円弧部2Aとロア側半割体3の半円弧部3Aとを円環状に合わせて、相互の両端側の挿通孔6とねじ孔5に結合ボルト7を挿通し、螺合することで円環状のビッグエンド部8が構成されている。アッパ側半割体2のロッド部2Bの上端側には、円環状のスモールエンド部9が形成されている。
図1に示す構造の破断分離型コンロッド1は、自動車エンジン等の内燃機関のピストンの往復運動を回転運動に変換するために内燃機関に組み込まれる。スモールエンド部9が図示略のピストンに接続され、ビッグエンド部8が内燃機関のコネクティングロッドジャーナル(図示略)に接続される。
本実施形態の破断分離型コンロッド1は、以下に説明する成分、組織、及びMn硫化物分散状態を備える熱間鍛造用非調質鋼から形成され、アッパ側半割体2の半円弧部2Aとロア側半割体3の半円弧部3Aとは、元々1つの円環状部品であった部分を脆性破断して形成される。破断分離型コンロッド1の製造方法の一例として、熱間鍛造品の一部に切欠きを設けてその切欠きを起点として脆性的に破断分離して、アッパ側半割体2の半円弧部2Aの突き合わせ面2aと、ロア側半割体3の半円弧部3Aの突き合わせ面3aとを形成する方法が挙げられる。これらの突き合わせ面2a、3aは、元々1つの部材を破断分離して形成しているので、良好な位置合わせ精度で突合せが可能となる。
この構造の破断分離型コンロッド1は、突き合わせ面の新たな加工や位置決めピンが不要となり、大幅な製造工程の簡略化がなされる。
以下、破断分離型コンロッド1を構成する熱間鍛造用非調質鋼について説明する。
破断分離型コンロッド1は、一例として、化学成分が、単位質量%で、C:0.10〜0.25%、Si:0.60〜1.20%、Mn:0.60〜1.00%、P:0.040〜0.060%、S:0.060〜0.100%、Cr:0.05〜0.20%、N:0.0020〜0.0150%、Bi:0.00010〜0.00500%に加えて、Ti:0.005〜0.0100%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる熱間鍛造用非調質鋼からなる。
<鋼成分>
先ず本実施形態に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼の成分組成の限定理由について説明する。
(C:0.10〜0.25%)
Cは、熱間鍛造用非調質鋼の引張強さを確保する効果を有する。必要な強度を得るには、C含有量の下限を0.10%にする必要がある。一方、Cを過剰に含有すると破断面の欠けが発生する頻度が上昇するので、C含有量の上限を0.25%とする。C含有量の好ましい下限は、0.12%、0.13%、または0.15%である。C含有量の好ましい上限は、0.23%、0.20%、または0.18%である。
なお、本実施形態において、元素の含有量に関し、0.10〜0.25%のように範囲を記載した場合、特に記載しない限り上限及び下限の数値を含む範囲とする。よって、0.10〜0.25%は0.10%以上、0.25%以下の範囲を意味する。
(Si:0.60〜1.20%)
Siは、固溶強化によってフェライトを強化し、延性及び靭性を低下させるため破断分離性を向上させる。この効果を得るためには、Si含有量の下限を0.60%にする必要がある。一方、Siを過剰に含有すると破断面の欠けが発生する頻度が上昇するので、Si含有量の上限を1.20%とする。Si含有量の好ましい下限は、0.70%、0.80%、または0.85%である。Si含有量の好ましい上限は、1.00%、0.95%、または0.90である。
(Mn:0.60〜1.00%)
Mnは、固溶強化によってフェライトを強化し、鋼の延性及び靭性を低下させる。鋼の延性及び靭性の低下は、破断時の破断面近傍の塑性変形量を小さくし、破断分離性を向上させる。また、Mnは、Sと結合してMn硫化物を形成する。本実施形態に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼からなる鋼部品を破断分割させる際に圧延方向に伸長したMn硫化物に沿ってき裂が伝播するので、Mnの含有は破断面の凹凸を大きくして破断面を嵌合する際に位置ずれを防止する効果がある。一方、Mnを過剰に含有する場合、フェライトが硬くなりすぎて、破断時の欠けが発生する頻度が増加する。これらに鑑みて、Mn含有量の範囲は、0.60〜1.00%である。Mn含有量の好ましい下限は、0.70%、0.80%、または0.85%である。Mn含有量の好ましい上限は、0.95%、0.92%、または0.90%である。
(P:0.040〜0.060%)
Pは、フェライト及びパーライトの延性及び靭性を低下させる。延性及び靭性の低下は、鋼の破断時の破断面近傍の塑性変形量を小さくし、破断分離性を向上させる効果を有する。ただし、Pは上述の効果を生じさせると同時に、結晶粒界の脆化を引き起こし破断面の欠けを発生しやすくする効果も顕著に生じさせる。以上を考慮すれば、P含有量の範囲は、0.040〜0.060%である。P含有量の好ましい下限は、0.042%、0.045%、または0.048%である。P含有量の好ましい上限は、0.055%、0.053%、または0.050%である。
(S:0.060〜0.100%)
Sは、Mnと結合してMn硫化物を形成する。本実施形態に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼からなる鋼部品(破断分離型コンロッド1)を破断分割させる際に、圧延方向に伸長したMn硫化物に沿ってき裂が伝播するので、Sの含有は破断面の凹凸を大きくし破断面を嵌合する際に位置ずれを防止する効果がある。その効果を得るためには、S含有量の下限を0.060%にする必要がある。他方、Sを過剰に含有させると、破断分割時の破断面近傍の塑性変形量が増大し、破断分離性が低下する場合が発生することがある。これに加えて、Sを過剰に含有させると、破断面の欠けを助長することがある。以上から、S含有量の範囲を、0.060〜0.100%とする。S含有量の好ましい下限は、0.070%、0.072%、または0.075%である。S含有量の好ましい上限は、0.095%、0.090%、または0.085%である。
(Cr:0.05〜0.20%)
Crは、Mnと同様に固溶強化によってフェライトを強化し、延性及び靭性を低下させるため破断分離性を向上させる。しかし、Crを過剰に含有するとパーライトのラメラー間隔が小さくなり、かえってパーライトの延性及び靭性が高くなるため、破断分離性が低下する。さらに、Crを過剰に含有すると、ベイナイト組織が生成しやすくなり、降伏比の低下による降伏強さの低下や破断分離性の顕著な低下が見られる。従って、Cr含有量の範囲を0.05〜0.20%とする。上述の効果に鑑みた場合、Cr含有量の好ましい上限は、0.17%、0.15%、または0.13%である。また、Cr含有量の好ましい下限は、0.07%、0.08%、または0.10%である。
(N:0.0020〜0.0150%)
Nは、熱間鍛造後の冷却時に主にV窒化物又はV炭窒化物を形成してフェライトの変態核として働くことによって、フェライト変態を促進する。これにより、Nには、熱間鍛造部品の破断分離性を大幅に損なうベイナイト組織の生成を抑制する効果がある。この効果を得るには、N含有量の下限を0.0020%とする。Nを過剰に含有すると熱間延性が低下し、熱間加工時に割れ又は疵が発生しやすくなる場合があるので、N含有量の上限を0.0150%とする。N含有量の下限値を0.0040%、0.0042%、または0.0045%としてもよい。N含有量の上限値を0.0145%、0.0140%、または0.0135%としてもよい。
(Bi:0.00010〜0.00500%)
Biは、本実施形態に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼において重要な元素である。微量のBiを含有することによって、固溶Biがフェライトを脆化させ、延性及び靭性を低下させるため、破断分離性を向上させる。その効果を得るには、Bi含有量を0.00010%以上にする必要がある。しかし、Bi含有量が0.00500%を超えると、Biによるフェライトの脆化効果が飽和し、かつ降伏強さの低下が見られる。これらのことから、本実施形態に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼では、Bi含有量を、0.00010%〜0.00500%とする。
(Ti:0.005〜0.100%)
Tiは、本実施形態に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼において重要な元素である。微量のTiを含有することによって、TiNがフェライトを脆化させ、延性及び靭性を低下させるため、破断分離性を向上させる。また、Tiと固溶Biと組み合わせることにより、フェライト脆化の相乗効果が得られる。この効果を得るには、Ti含有量を0.005%以上にする必要がある。しかし、Ti含有量が0.100%を超えると、BiとTiによるフェライトの脆化効果が飽和し、かつ降伏強さの低下が見られる。これらのことから、本実施形態に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼では、Ti含有量を0.005〜0.100%とする。
(Ca:0.005%以下、Zr:0.005%以下及びMg:0.005%以下からなる群から選択される1種または2種以上)
Ca、Zr及びMgはいずれも酸化物を形成し、Mn硫化物の晶出核となりMn硫化物を均一微細分散する効果がある。従って、Ca、Zr及びMgそれぞれの下限値を0.001%としてもよい。本実施形態に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼からなる鋼部品(破断分離型コンロッド1)を破断分割させる際に、圧延方向に伸長したMn硫化物に沿ってき裂が伝播するので、Mn硫化物が大きいほど破断面の凹凸が大きくなる一方で、延性及び靭性が高く破断分離性が低くなる。Mn硫化物を微細分散することにより、き裂が進展方向に伝播しやすくなり、破断分離性が向上する効果が得られる。一方、Ca、Zr及びMgのいずれの元素の含有量も0.005%を超えると、熱間加工性が劣化し、熱間圧延が困難となる。これらのことから、Ca、Zr及びMgそれぞれの含有量の上限を0.005%とする。
本実施形態に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼の化学成分の残部は、鉄(Fe)及び不可避的不純物を含む。不可避的不純物とは、鋼を工業的に製造する際に、鉱石若しくはスクラップ等のような原料、又は製造工程の種々の要因によって混入する成分であって、本実施形態に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
以上説明した本実施形態に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼は、従来材料がVを含有することでフェライトの脆化を図って破断分離性を良好としていたのに対し、Vを含有することなく、微量のBiと微量のTiとを含有する効果によるフェライトの脆化をなしえて破断分離性を良好としている。
このため、本実施形態に係る破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼からなる鋼部品としての破断分離型コンロッド1であれば、突き合わせ面の新たな加工や位置決めピンが不要となり、大幅な製造工程の簡略化をなし得る。
以下、本発明を実施例によって以下に詳述する。なお、これら実施例は本発明の技術的意義、効果を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
以下の表1に示す組成を有する転炉溶製鋼を連続鋳造により製造し、必要に応じて、均熱拡散処理、分塊圧延工程を経て162mm角の圧延素材とした。
次に、熱間圧延によって直径が45mmの棒鋼形状とした。
表1の下線部分は本発明の範囲外の例であることを示す。
次に、破断分離性、機械的性質、組織を調べるため、鍛造コンロッド相当の試験片を熱間鍛造で作製した。具体的には、直径45mmの素材棒鋼を1150〜1280℃に加熱後、棒鋼の長さ方向と垂直に鍛造して厚さ20mmとし、衝風冷却装置による衝風冷によって室温まで冷却した。
冷却後の鍛造材から、JIS4号引張試験片、シャルピー衝撃試験片を加工した。シャルピー衝撃試験片は、深さ2mm、先端曲率0.25mmの45度のVノッチ加工を施した。
破断分離性の指標としてシャルピー衝撃値を採用した。シャルピー衝撃試験は、JIS Z 2242に基づいて室温で繰り返し5回実施し、その平均値をシャルピー衝撃値とした。シャルピー衝撃値が4J/cm以下であるものを破断分離性が良好と判断した。
引張試験は、JIS Z 2241に準拠して、常温で20mm/minの速度にて実施した。
上記シャルピー衝撃試験片や引張試験片と同一部位から10mm角サンプルを切り出し、ナイタール腐食を施し、組織観察を行った。
Figure 0006662247
表1において、鋼No.A〜Vの本発明例は、いずれも鋼化学成分が本発明の規定範囲内であって、シャルピー衝撃値を3J/cm以下にすることができ、破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼である。
これに対して、比較例No.Wは、Cの含有量が少ないため、引張強さが低く、シャルピー衝撃値が高い。
比較例No.X〜Zは、Si、Mn又はPの含有量が少ないため、フェライトの脆化効果が小さく、シャルピー衝撃値が高い。
比較例No.AAは、Crの含有量が多いため、フェライト・パーライト組織に加えて一部でベイナイト組織が生成したため、シャルピー衝撃値が高い。
比較例No.AB、AF及びAGは、Bi、Tiを含有していないか、Bi又はTiの含有量が少ないため、フェライトの脆化効果がなく、シャルピー衝撃値が高い。
比較例No.AC、AD及びAEは、Biに加えてTiを含有しているため、フェライトの脆化効果が得られ、シャルピー衝撃値は低いが、BiおよびTiの少なくとも一方の含有量が多いため、降伏強さが低い。
1・・・破断分離型コンロッド(鋼部品)、2・・・アッパ側半割体、2A・・・半円弧部、2a・・・突き合わせ面、3・・・ロア側半割体、3A・・・半円弧部、3a・・・突き合わせ面、5・・・ねじ孔、6・・・挿通孔、7・・・結合ボルト、8・・・ビッグエンド部、9・・・スモールエンド部。

Claims (2)

  1. 化学成分が、単位質量%で、
    C:0.10〜0.25%、
    Si:0.60〜1.20%、
    Mn:0.60〜1.00%、
    P:0.040〜0.060%、
    S:0.060〜0.100%、
    Cr:0.05〜0.20%、
    N:0.0020〜0.0150%、
    Bi:0.00010〜0.00500%に加えて、
    Ti:0.005〜0.100%
    を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなることを特徴とする破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼。
  2. さらに、前記化学成分が、単位質量%で、
    Ca:0.005%以下、
    Zr:0.005%以下及び
    Mg:0.005%以下
    からなる群から選択される1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の破断分離性に優れた熱間鍛造用非調質鋼。
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