JP6661740B2 - 冷凍サイクル装置及びこの冷凍サイクル装置を備えた電気機器 - Google Patents

冷凍サイクル装置及びこの冷凍サイクル装置を備えた電気機器 Download PDF

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Description

本発明は、膨張装置を備えた冷凍サイクル装置及びこの冷凍サイクル装置を備えた電気機器に関するものである。
例えば、特許文献1に記載されているように、膨張装置の一例である電子膨張弁においては、ニードル弁に対して直交する方向から流れ込む液冷媒によって、ニードル弁が振動し、大きな振動音が発生する。そこで、特許文献1に記載されている技術では、液冷媒の流入口を偏位配置することで、ニードル弁に直接的に液冷媒を衝突させないようにし、電子膨張弁で発生する振動を抑制するようにしている。
しかしながら、運転条件によっては、気液二相冷媒に含まれる気相冷媒が泡(非常に小さな形状のマイクロバブル)になっている場合があり、上記対策だけでは電子膨張弁で発生する振動を抑制することはできない。つまり、マイクロバブル状態となっている気相冷媒が、電子膨張弁の絞り部を通過する際に、絞り部及び構造体に衝突することで、破裂し、強力な破壊力が発生するからである。気相冷媒は、マイクロバブル特有の圧縮された空気の塊となっているため、破裂することで強力な破壊力が発生する。これは、公知のキャビテーション現象に関わるものである。
そこで、特許文献2においては、電子膨張弁を流出した直後の冷媒の急激な圧力変化を緩和させ、キャビテーションによる振動(以下、キャビテーションノイズと称する)を低減化させる技術が開示されている。さらに、特許文献2には、ゴム製の防振材を配管に巻き付けることで、電子膨張弁で発生する振動を抑制するようにもしている。
また、特許文献3においては、導管の一部または全部を音響透過性材料で形成し、音響透過性材料の外周部に吸音材料を設けることで、冷媒流動音を低減するようにした技術が開示されている。
特許第3533733号公報 特開平9−133434号公報 特開平6−194006号公報
特許文献2の技術のように、従来は、キャビテーションノイズが発生する特有の運転条件に対して、キャビテーションノイズを抑える対策を講ずることで、キャビテーションノイズの低減を図るようにしていた。
しかしながら、キャビテーションノイズを低減させても、冷凍サイクル装置の冷媒回路から発生する冷媒流動音が消滅しなかった。
その理由を検討した結果、冷媒回路から発生する冷媒流動音には、従来技術でも検討されているニードル弁などの振動による騒音及びキャビテーションノイズだけではなく、配管内部から配管外部に透過する音、つまり「音響現象」が関わっていることがわかった。つまり、従来技術のように、振動対策を講ずるだけでは、冷媒の流れに伴う全ての冷媒流動音に対する対策にはなっていなかった。
また、特許文献3の技術のように、意図的に導管の一部または全部を音響透過性材料で形成する場合、音響透過性材料が導管内の圧力に耐えられずに、導管が破損する可能性が高くなってしまう。そのため、特許文献3においては、冷媒の循環自体に問題を生じる結果を招いていた。
以上のように、冷凍サイクル装置の冷媒回路で発生する冷媒流動音には、配管内を流れる冷媒によって部材が振動することで発生する振動音の他に、配管内を流れる冷媒の状態に起因して配管の内部から配管の外部へと透過する透過音が含まれている。そのため、従来技術のような振動対策だけでは、振動の伝搬のみしか低減できず、全ての冷媒流動音を低減できなかった。
本発明は、上述の課題を背景になされたもので、配管内を流れる冷媒の状態に起因して配管の内部から配管の外部へと透過する透過音に対する対策を施し、全ての冷媒流動音を低減することを可能にした冷凍サイクル装置及びこの冷凍サイクル装置を備えた電気機器を提供することを目的としている。
本発明に係る冷凍サイクル装置は、冷媒流量を調整する弁体を有する膨張装置と、前記膨張装置冷媒流量を調整する際の前記弁体の先端の移動方向の延長上において、前記膨張装置に接続された直管部分を有し二相状態の冷媒が流通する配管と、前記直管部分外側の一部の領域のみに配置され、前記二相状態の冷媒から発生する透過音を抑制する透過音抑制部材と、を備え、前記配管は、前記直管部分で気柱共鳴しており、前記直管部分の外側の一部の領域は、前記先端を節として、前記配管の前記直管部分で気柱共鳴する共鳴音の定常波の腹部分を全て含んだ範囲であり、前記共鳴音の定常波の腹部分は、前記透過音を増幅させる部分である。
また、本発明に係る冷凍サイクル装置は、冷媒流量を調整する弁体を有する膨張装置と、前記膨張装置の冷媒流量を調整する際の前記弁体の先端の移動方向の延長線上において一端が前記膨張装置に接続された直管部と前記直管部の他の一端に設けられた屈曲部とを有し、二相状態の冷媒が流通する配管と、少なくとも前記先端を含んだ前記膨張装置の一部の外側である第1領域のみ、及び、前記第1領域に連続し、前記直管部の中央部分を含んだ前記直管部の一部の外側である第2領域のみに配置され、前記二相状態の冷媒から発生する透過音を抑制する透過音抑制部材と、を備え、前記配管は、前記直管部で気柱共鳴しており、前記中央部分は、前記先端を節として、前記直管部で気柱共鳴する共鳴音の定常波の腹部分を含んだ範囲であり、前記共鳴音の定常波の腹部分は、前記透過音を増幅させる部分である。
本発明に係る電気機器は、上記の冷凍サイクル装置を備える。
本発明に係る冷凍サイクル装置によれば、上述の透過音抑制部材を備えたので、透過音抑制部材によって冷媒配管内を流れる冷媒の状態に起因して冷媒配管の内部から冷媒配管の外部へと透過する透過音の抑制ができ、結果として冷媒流動音を低減することが可能になる。
本発明に係る電気機器によれば、上記の冷凍サイクル装置を備えたので、冷媒回路で発生する冷媒流動音が効果的に低減されている。
本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置の冷媒回路構成の一例を示す概略構成図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置が備える電子膨張弁の構成例を模式的に示す概略断面図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置の冷媒回路から発生する冷媒流動音を説明するための説明図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置が備える電子膨張弁及び第1配管に気液二相冷媒が流れている状態を模式的に示す概略部分断面図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置が備える電子膨張弁及び第1配管に液冷媒が流れている状態を模式的に示す概略部分断面図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置が備える電子膨張弁及び第1配管にガス冷媒が流れている状態を模式的に示す概略部分断面図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置が備える透過音抑制部材の設置例を模式的に示す概略断面図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置において透過音抑制部材を設置した場合の電子膨張弁から50mm以内の配管振動を測定した結果の一例を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置が備える透過音抑制部材の作用を説明するための説明図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置が備える透過音抑制部材の断面構成を概略的に示す概略断面図である。 本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置が備える透過音抑制部材の特性を説明するためのグラフである。
以下、図面に基づいてこの発明の実施の形態について説明する。なお、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、図1を含め、以下の図面において、同一の符号を付したものは、同一又はこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通することとする。さらに、明細書全文に表わされている構成要素の形態は、あくまでも例示であって、これらの記載に限定されるものではない。
図1は、本発明の実施の形態に係る冷凍サイクル装置100の冷媒回路構成の一例を示す概略構成図である。なお、図1では、冷凍サイクル装置100が電気機器の一例である空気調和装置に備えられた場合を例に示している。また、図1では、冷房運転時の冷媒の流れを実線矢印で示し、暖房運転時の冷媒の流れを破線矢印で示している。
<冷凍サイクル装置100の構成>
図1に示すように、冷凍サイクル装置100は、圧縮機1、流路切替装置2、第1熱交換器(熱源側熱交換器)3、電子膨張弁50、及び、第2熱交換器(負荷側熱交換器)5が冷媒配管15で接続された冷媒回路を備えている。
図1では、流路切替装置2を設け、流路切替装置2により冷房運転と暖房運転とを切り換えることができる冷凍サイクル装置100を例に図示しているが、流路切替装置2を設けずに冷媒の流れを一定としてもよい。
圧縮機1、流路切替装置2、第1熱交換器3、及び、電子膨張弁50は、例えば熱源側ユニット(室外ユニット)に搭載される。熱源側ユニットは、空調対象空間とは別空間(例えば屋外)に設置され、負荷側ユニットに冷熱又は温熱を供給する機能を有するものである。
第2熱交換器5は、例えば負荷側ユニット(利用側ユニット、室内ユニット)に搭載される。負荷側ユニットは、空調対象空間に冷熱又は温熱を供給する空間(例えば屋内)に設置され、熱源側ユニットから供給される冷熱又は温熱により空調対象空間を冷却又は加温する機能を有する。
圧縮機1は、冷媒を圧縮して吐出するものである。圧縮機1は、例えば、ロータリ圧縮機、スクロール圧縮機、スクリュー圧縮機、往復圧縮機等で構成することができる。第1熱交換器3が凝縮器として機能する場合、圧縮機1から吐出された冷媒は、冷媒配管15を通り、第1熱交換器3へ送られる。第1熱交換器3が蒸発器として機能する場合、圧縮機1から吐出された冷媒は、冷媒配管15を通り、第2熱交換器5へ送られる。
流路切替装置2は、圧縮機1の吐出側に設けられ、暖房運転と冷房運転とにおいて冷媒の流れを切り替えるものである。流路切替装置2は、例えば四方弁、三方弁、又は、二方弁の組み合わせにより構成することができる。
第1熱交換器3は、暖房運転時には蒸発器として機能し、冷房運転時には凝縮器として機能するものである。第1熱交換器3は、例えば、フィン・アンド・チューブ型熱交換器で構成することができる。
第1熱交換器3には、第1送風機6が付設されている。第1送風機6は、第1熱交換器3に熱交換流体である空気を供給するものである。第1送風機6は、例えば複数の翼を有するプロペラファンで構成することができる。
電子膨張弁50は、膨張装置の一例であって、第2熱交換器5又は第1熱交換器3を経由した冷媒を減圧するものである。なお、電子膨張弁50を、熱源側ユニットに搭載するのではなく、負荷側ユニットに搭載するようにしてもよい。なお、電子膨張弁50については、後段で具体的に説明する。また、膨張装置の一例として電子膨張弁50を挙げて説明するが、膨張装置を電子膨張弁50に限定するものではなく、冷媒流量を調整する弁体を有する膨張装置であればよく、特に種類を問わない。
第2熱交換器5は、暖房運転時には凝縮器として機能し、冷房運転時には蒸発器として機能するものである。第2熱交換器5は、例えば、フィン・アンド・チューブ型熱交換器で構成することができる。
第2熱交換器5には、第2送風機7が付設されている。第2送風機7は、第2熱交換器5に熱交換流体である空気を供給するものである。第2送風機7は、例えば複数の翼を有するプロペラファンで構成することができる。
<冷凍サイクル装置100の動作>
次に、冷凍サイクル装置100の動作について、冷媒の流れとともに説明する。ここでは、熱交換流体が空気であり、被熱交換流体が冷媒である場合を例に、冷凍サイクル装置100の動作について説明する。
まず、冷凍サイクル装置100が実行する冷房運転について説明する。
圧縮機1を駆動させることによって、圧縮機1から高温高圧のガス状態の冷媒が吐出する。以下、実線矢印にしたがって冷媒が流れる。圧縮機1から吐出した高温高圧のガス冷媒(単相)は、流路切替装置2を介して凝縮器として機能する第1熱交換器3に流れ込む。第1熱交換器3では、流れ込んだ高温高圧のガス冷媒と、第1送風機6によって供給される空気との間で熱交換が行われて、高温高圧のガス冷媒は、凝縮して高圧の液冷媒(単相)になる。
第1熱交換器3から送り出された高圧の液冷媒は、電子膨張弁50によって、低圧のガス冷媒と液冷媒との気液二相状態の冷媒になる。気液二相冷媒は、蒸発器として機能する第2熱交換器5に流れ込む。第2熱交換器5では、流れ込んだ気液二相冷媒と、第2送風機7によって供給される空気との間で熱交換が行われて、気液二相冷媒のうち液冷媒が蒸発して低圧のガス冷媒(単相)になる。この熱交換によって、空調対象空間が冷却されることになる。第2熱交換器5から送り出された低圧のガス冷媒は、流路切替装置2を介して圧縮機1に流れ込み、圧縮されて高温高圧のガス冷媒となって、再び圧縮機1から吐出する。以下、このサイクルが繰り返される。
次に、冷凍サイクル装置100が実行する暖房運転について説明する。
圧縮機1を駆動させることによって、圧縮機1から高温高圧のガス状態の冷媒が吐出する。以下、破線矢印にしたがって冷媒が流れる。圧縮機1から吐出した高温高圧のガス冷媒(単相)は、流路切替装置2を介して凝縮器として機能する第2熱交換器5に流れ込む。第2熱交換器5では、流れ込んだ高温高圧のガス冷媒と、第2送風機7によって供給される空気との間で熱交換が行われて、高温高圧のガス冷媒は、凝縮して高圧の液冷媒(単相)になる。この熱交換によって、空調対象空間が暖房されることになる。
第2熱交換器5から送り出された高圧の液冷媒は、電子膨張弁50によって、低圧のガス冷媒と液冷媒との気液二相状態の冷媒になる。気液二相冷媒は、蒸発器として機能する第1熱交換器3に流れ込む。第1熱交換器3では、流れ込んだ気液二相冷媒と、第1送風機6によって供給される空気との間で熱交換が行われて、気液二相冷媒のうち液冷媒が蒸発して低圧のガス冷媒(単相)になる。第1熱交換器3から送り出された低圧のガス冷媒は、流路切替装置2を介して圧縮機1に流れ込み、圧縮されて高温高圧のガス冷媒となって、再び圧縮機1から吐出する。以下、このサイクルが繰り返される。
<電子膨張弁50の構成>
図2は、冷凍サイクル装置100が備える電子膨張弁50の構成例を模式的に示す概略断面図である。図2に基づいて、電子膨張弁50の構成について説明する。なお、図2では、電子膨張弁50に接続されている冷媒配管15のうち、電子膨張弁50の弁体52の冷媒流量を調整する際の移動方向の延長上に接続された冷媒配管15を第1配管15Aとして図示し、電子膨張弁50の弁体52の移動方向と直交するように接続された冷媒配管15を第2配管15Bとして図示している。
電子膨張弁50は、本体51と、本体51の内部に移動可能に設けられた弁体52と、弁体52を駆動する駆動装置59と、を有している。
本体51は、例えば真鍮製の鋳造品を切削加工して形成される。本体51の内部には、弁体52が進退自在に設けられている弁室55が形成されている。弁室55には、冷媒が流入する。本体51の側面(弁体52の移動方向と直交する位置にある壁部)には、第2配管15Bが接続される。第2配管15Bは、本体51の側面に形成されている貫通穴57によって弁室55と連通する。つまり、貫通穴57は冷媒の流出入口として機能する。
本体51の底部(弁体52の移動方向の延長上にある壁部)には、第1配管15Aが接続される。第1配管15Aは、本体51の底部に形成されている貫通穴56によって弁室55と連通する。つまり、貫通穴56は冷媒の流出入口として機能する。貫通穴56の弁室55側の周縁部が、弁座53として機能する。
弁体52は、円柱状部52aと円錐状部52bとが一体に形成され、貫通穴56に向かって進退自在に設けられている。円柱状部52aが弁体52の軸部を構成し、駆動装置59に連結される。円錐状部52bの先端部が貫通穴56に挿抜されることにより、円錐状部52bと弁座53とにより円環状の絞り部54を形成する。つまり、弁体52を進退させることで、絞り部54の開口面積を変化させ、冷媒流量が調整可能になっている。なお、円錐状部52bは、厳密に円錐形状である必要はなく、先細りする形状(第1配管15Aに向かって縮径する形状)であればよい。
駆動装置59は、本体51の第1配管15Aとは反対側に設けられている。駆動装置59により、弁体52が弁室55で紙面左右方向に移動する。そして、弁体52の位置により、弁座53と弁体52とで形成される円環状の微少通路である絞り部54の通路面積(通路の断面積)が変化する。つまり、弁体52の位置によって、貫通穴56の開度が調節される。
以上のように構成された電子膨張弁50の作用について説明する。図1に示したように、電子膨張弁50は、冷凍サイクル装置100の一構成要素として、第1熱交換器3と第2熱交換器5との間に設置される。そのため、電子膨張弁50の設置によって、気液二相冷媒は、第1配管15A又は第2配管15Bから流入することになる。
まず、第1配管15Aから気液二相冷媒が流入する場合の電子膨張弁50の作用について説明する。つまり、図2において、紙面右側から紙面左側に冷媒が流れる場合を例に電子膨張弁50の作用を説明する。
電子膨張弁50の本体51に、第1配管15Aから気液二相冷媒が流入する。第1配管15Aから本体51に流入した気液二相冷媒は、弁体52に衝突する。気液二相冷媒が衝突した弁体52は、振動し、振動音が発生することになる。
また、第2配管15Bから気液二相冷媒が流入する場合は、電子膨張弁50の本体51に、第2配管15Bから気液二相冷媒が流入する。第2配管15Bから本体51に流入した気液二相冷媒は、弁体52に衝突する。気液二相冷媒が衝突した弁体52は、振動し、振動音が発生することになる。第2配管15Bの接続位置を偏位配置することで、弁体52に直接的に気液二相冷媒を衝突させないようにできる。ただし、キャビテーションノイズの対策とはならない。
第2配管15Bから流入した冷媒は、弁室55内で、弁体52を中心とした旋回流となる。そのため、液冷媒が外周側、ガス冷媒が内周側に偏在しようとする。その後、短い距離を経て絞り部54に冷媒が流入する。
一般的に、気液二相冷媒が第2配管15Bより電子膨張弁50に流入する場合、弁室55内に流入して絞り部54に至るまでには距離があり、冷媒流れが乱れる。
次に、第1配管15Aから液冷媒が流入する場合の電子膨張弁50の作用について説明する。
電子膨張弁50の本体51に、第1配管15Aから液冷媒が流入する。弁室55内は、液冷媒のみであるので、絞り部54で冷媒流動音が発生しにくい。しかしながら、絞り部54を通過した後に、キャビテーション等により非平衡状態でガス冷媒(気泡)が発生する場合がある。つまり、液冷媒ではなく気液二相冷媒となることで、キャビテーションノイズが発生してしまうことになる。その後、弁室55内で流れ方向を変化させ、第2配管15Bから冷媒が排出される。
なお、第2配管15Bから液冷媒が流入した場合も同様である。
以上のように、電子膨張弁50においては、第1配管15Aから冷媒が流入したとしても、第2配管15Bから冷媒が流入したとしても、いずれの場合においても、振動及び騒音が発生してしまう。
<冷媒回路から発生する冷媒流動音について>
図3は、冷凍サイクル装置100の冷媒回路から発生する冷媒流動音を説明するための説明図である。図4は、冷凍サイクル装置100が備える電子膨張弁50及び第1配管15Aに気液二相冷媒が流れている状態を模式的に示す概略部分断面図である。図5は、冷凍サイクル装置100が備える電子膨張弁50及び第1配管15Aに液冷媒が流れている状態を模式的に示す概略部分断面図である。図6は、冷凍サイクル装置100が備える電子膨張弁50及び第1配管15Aにガス冷媒が流れている状態を模式的に示す概略部分断面図である。図3〜図6に基づいて、冷凍サイクル装置100の冷媒回路から発生する冷媒流動音について説明する。
なお、図3では、冷凍サイクル装置100の冷媒回路から発生する冷媒流動音の周波数特性の一例をグラフとして示している。また、図3では、縦軸が音圧レベル(dB)を示し、横軸が周波数(Hz)を示している。
冷凍サイクル装置100の冷媒回路から発生する冷媒流動音には、電子膨張弁50の冷媒通過時に発生する衝撃性の振動音、冷媒配管15を冷媒が流れる際に、冷媒配管15と気柱共鳴した共鳴音、冷媒中に泡などが発生している場合は、その泡の径及び量などに応じた衝撃性の振動音(いわゆるキャビテーション現象に伴う音)等がある。
これらの音の中には、冷媒配管15又は構成部品そのものを振動させることで放射する振動音もあれば、冷媒配管15の内部から外部へ透過して放射する透過音もある。
透過音については、一般的に波長の1/4波長の厚みがあれば、材料面を通過するときに音響減衰効果を得られるということが知られている。しかしながら、透過音の音響エネルギが何らかの影響で大きくなる場合は、波長の1/4波長の厚みでも透過音を減衰しきれない場合がある。例えば、音の疎密波の影響付加などによって、透過音の音響エネルギが大きくなる場合が考えられる。径が小さく、かつ、長い距離となっている冷媒配管15に至っては、冷媒配管15内に必然的に音の疎密波が存在する。そして、疎密波と透過音の密部分が一致した場合、音の増幅によって音響エネルギが増大する。これにより、薄い肉厚の冷媒配管15では、音が冷媒配管15の外部に透過してしまう可能性が高くなる。
冷凍サイクル装置100の運転条件に応じて、冷媒回路内の冷媒は、気相→気液二相→液相の順に流れている。また、冷媒回路内の冷媒は、液相→気液二相→気相の順に流れている場合もある。これら相条件では、異なる冷媒流動音が発生する。つまり、気液二相冷媒から発生する冷媒流動音(図4参照)と、液相冷媒から発生する冷媒流動音(図5参照)と、気相冷媒から発生する冷媒流動音(図6参照)とが、異なっている。これは、音を発生させる冷媒の条件に起因するからである。相条件が異なる冷媒が絞り部54を通過又は絞り部54に衝突することで、冷媒流動音を発生させる。
特に変動的な音の条件を作るのは、冷媒が気液二相状態の場合である。気液二相状態の気相は、様々な寸法径で構成された「泡」状態の集合体とも表現できる。そして、泡径が非常に細かい泡は、マイクロクラスであり、いわゆるマイクロバブルと言われ状態となっている。また、冷媒回路を形成している冷媒配管15の内部は、冷媒を循環させるために高圧力状態となっており、冷媒には加速度が発生している。高速で流れる気液二相状態の冷媒で、マイクロクラスの泡が発生しているとき、圧力がかかった加速度状態で泡が冷媒配管15を進行していることになる。このとき、泡内は空気が押しつぶされた状態になっている。
このような高圧状態の泡が、電子膨張弁50に流入し、電子膨張弁50の絞り部54に衝突すると、絞り部54で破裂することになる。このときに、キャビテーション現象に伴うバブルパルスと呼ばれる「音=騒音」が発生する。この音は、図3に示すように、周波数が15kHz以上の高周波帯域=超音波帯域になっていることが音響特性により周波数分析できた。
泡の径、泡の衝突、及び、泡の絞り部54の通過状態によって、超音波帯域の音は、変動を繰り返し、様々な周波数が発生することになる。この周波数は配管振動として発生し、その振動は透過音として冷媒配管15の外部に伝搬する。冷媒配管15の外部に伝搬した透過音は、音として聴感的に聞こえる帯域として生活者に不快な音として届くことになる。つまり、複数のピーク状態の超音波の近接した周波数が発生することになる。ピーク性の超音波帯域の成分は非線形領域の音波であり、近接した周波数間で公知であるパラメトリック現象による差分と和分の周波数成分として発生する。
特に差分の周波数成分は可聴周波数帯域に新たな周波数を発生させる。つまり、差分の周波数成分が冷媒配管15を流れる液相冷媒又は気相冷媒に伝搬し、振動発生箇所とは異なる冷媒回路の部位から音が発生することになる。これが音(騒音)として放射され、生活者への不快音として提供されることになる。そして、この現象が、振動対策を講ずるだけでは、全ての冷媒流動音に対する対策にはならなかった理由の一つである。
また、図3に示すように、キャビテーションによる周波数は、15kHz以上の超音波帯域において複数発生する。この差分成分が、1kHzから8kHzの可聴帯域において発生することになる。15kHzの波長は、冷媒配管15内温度が20度状態の場合、C(音速)=f(周波数)*λ(波長)の関係から、0.023m(一波長)となる。
15kHz以上の帯域では、上記数値より波長が短くなる(C=335+0.6t(m/S))。
4kHzの波長は、波長λ=0.087mとなる。
上記の現象により、冷媒流動音は、液相状態及び気相状態においても不快音として発生する。液相状態で発生しやすい周波数成分は、1kHz前後の帯域である。この場合の周波数成分は、液相状態の冷媒が絞り部54を通過するときの渦流とその剥離流に伴う周波数成分である。また、気相状態で発生しやすい周波数成分は、5kHz〜8kHzの周波数帯域である。この場合の周波数成分は、気相状態の冷媒が絞り部54を通過するときの流体音成分であり、非常に狭い空間を通過するときの通過音の周波数成分が基本となっている。いずれの相においても、超音波帯域はほとんど発生せず、可聴帯域成分が主体的になっている。
また、発生する音には、冷媒配管15と冷媒との摺動音も含まれている。この摺動音には、振動成分も含まれる。そのために、従来例のような振動対策で振動に対する対策とはなっているが、冷媒配管15の内部から外部へと透過し空間に伝搬する音の周波数成分に対しては、振動対策だけでは不可能である。つまり、一旦、冷媒配管15の外部へと透過した音放射への対策としては、何らかのエネルギ変換処理を行う外部からの処理が必要である。
二相状態の冷媒流動音は、配管共鳴と一致して、冷媒配管15内の音の疎密波の密部分で増幅現象を発生させる。冷媒配管15は、一般に折り曲げられて冷凍サイクル装置100に搭載されているために、曲げ部分に至るまでの冷媒配管15の両端部は「閉ざされた空間」と想定できる。この場合の疎密波は、f=nC/2Lで定義される。Cは音速、nは次数、L=空間寸法(m)である。
二相状態を想定すると、L=nC/2fから、4kHzの場合は、L=0.044m(約4cm)程となる。電子膨張弁50に直結する冷媒配管15(第1配管15A)は、直管部分は一般的に5cm前後であり、この直管部分に音の密部分があり、その部分との一致により、音の増幅が行われてしまう。これにより、電子膨張弁50に直結する冷媒配管15(第1配管15A)の5cm以内で音の増幅が行われていることとなり、電子膨張弁50だけに対策を施しても、劇的な対策効果は得られない。
よって、冷媒流動音に対して確実な対策とするためには、電子膨張弁50だけでなく、電子膨張弁50に直結する冷媒配管15(第1配管15A)に対しても施すことが必要となる。
<冷媒回路から発生する冷媒流動音の対策>
図7は、冷凍サイクル装置100が備える透過音抑制部材60の設置例を模式的に示す概略断面図である。図8は、冷凍サイクル装置100において透過音抑制部材60を設置した場合の電子膨張弁50から50mm以内の配管振動を測定した結果の一例を示すグラフである。図7及び図8に基づいて、冷凍サイクル装置100における冷媒流動音の対策ついて説明する。なお、図7では、図2に図示した内容を基本として、冷媒配管15の内部の冷媒の状態と、透過音抑制部材60の設置例と、を併せて図示している。また、図8では、縦軸が振動加速度特性(G)を示し、横軸が周波数(Hz)を示している。
上述したように、一旦、冷媒配管15の外部へと透過した音放射に対しては、何らかのエネルギ変換処理を行う外部からの処理が必要である。熱変換を効率的に行う手段としては、空気室を含む材料で音放射源を覆うことが有効である。また、音放射を効率的に対策するためには、吸音層(吸音材)、遮音層(遮音材(制振材))、又は、吸音層と遮音層とを組み合わせた吸遮音層(吸遮音材)で、電子膨張弁50に直結する冷媒配管15(第1配管15A)の周囲を覆うことが有効である。こうすることで、吸音層での可聴帯域に対する対策と、遮音層での超音波帯域に対する対策と、の両方を同時に行うことができる。
また、図8に示すように、6kHz付近の周波数帯域に関しては、冷媒配管15内の疎密波による音響加振が一要因となった振動成分も存在するが、それ以上の高い周波数帯域には突出するような振動周波数成分は非常に小さなレスポンスとなっている。このことから、14kHz以上の周波数は、電子膨張弁50で破裂した泡のキャビテーションに伴う振動が冷媒配管15を揺らして振動音として発生しているよりも、冷媒配管15内の気柱共鳴と一致して発生している可能性が高いということがわかる。
そこで、冷凍サイクル装置100では、透過音抑制部材60を設けるようにした。透過音抑制部材60は、電子膨張弁50の弁体52の先端を含んだ第1配管15A側の外側である第1領域R1、及び、第1領域R1に連続し、第1配管15Aの電子膨張弁50との接続部分を含んだ第1配管15Aの外側である第2領域R2に配置されている。上述したように、第1配管15Aの5cm以内で音の増幅が行われているため、第2領域R2は、第1配管15Aの電子膨張弁50との接続部分から5cm以内の範囲としている。
また、透過音抑制部材60は、第1領域R1及び第2領域R2の全周を覆うように配置されている。こうすることで、第1領域R1及び第2領域R2の全周から外部に伝搬してしまう音放射を抑制することが可能になる。
透過音抑制部材60は、空気室を含んだ吸音材で構成することができる。吸音材は、可聴帯域の周波数成分を熱エネルギに変換して、可聴帯域の音成分を消耗する役割を果たす。吸音材は、例えばパルプ系繊維を基材として形成されている。具体的には、パルプ系繊維であるバイオプラスチック等を圧縮成形することで形成することができる。そのため、従来のガラス繊維などによる吸音材に比べ、材料から飛散した繊維による中皮腫問題などを起こす心配がない。
パルプ系繊維は、繊維の断面に空気孔が複数形成されており、他の繊維で成形したものよりも空気室を多く含み、高い吸音率を得られる。また、吸音材の表面に撥水性能を付随させてもよい。こうすれば、冷媒配管15で発生する水分を吸収しにくく、吸音性能の低下を抑制できる。さらに、吸音材の内部に抗カビ材を含ませてもよい。こうすれば、万が一水分を吸収しても、カビ等の発生を抑制することが可能になる。
また、透過音抑制部材60は、振動を熱変換する誘電性材料を含んだ制振材で構成することができる。制振材は、冷媒配管15の内部から外部へと透過する音響成分を熱エネルギとして消耗するものである。制振材は、音響エネルギを振動−熱変換することでエネルギを消耗させる役目を果たす。制振材は、可聴帯域から、特に超音波帯域の周波数成分を有効に減衰させる。制振材は、例えばカーボンなどの誘電性材料をポリエステル系樹脂等に混錬して形成されている。また、制振材に圧電性を有する材料等を混錬させてもよい。こうすれば、摩擦熱による熱変換もすることが可能になる。
また、透過音抑制部材60は、上記の吸音材と上記の制振材との2層で構成することもできる。この場合、吸音材を内側(冷媒配管15側)に設け、制振材を吸音材の外側に設けるようにする。こうすれば、第1領域R1及び第2領域R2において冷媒配管15の外部に透過した音響エネルギ成分を確実に減衰させることができる。そして、第1領域R1及び第2領域R2において発生する全ての冷媒流動音の対策となり、不快音による生活者の不快感を低減できる。
図9は、冷凍サイクル装置100が備える透過音抑制部材60の作用を説明するための説明図である。図10は、冷凍サイクル装置100が備える透過音抑制部材60の断面構成を概略的に示す概略断面図である。図9及び図10に基づいて、吸音材と制振材との2層で構成した透過音抑制部材60について説明する。
図9及び図10に示すように、透過音抑制部材60は、吸音材61と、制振材62と、が積層された2層構造となっている。
この場合、図9に示すように、吸音材61を内側(冷媒配管15側)に設け、制振材62を吸音材61の外側に設けるようにする。こうすれば、第1領域R1及び第2領域R2において冷媒配管15の外部に透過した音響エネルギ成分を確実に減衰させることができる。そして、第1領域R1及び第2領域R2において発生する全ての冷媒流動音の対策となり、不快音による生活者の不快感を低減できる。
また、図10に示すように、透過音抑制部材60は、第1領域R1及び第2領域R2の全周を覆うように配置する。こうすることで、第1領域R1及び第2領域R2の全周から外部に伝搬してしまう音放射を抑制することが可能になる。なお、吸音材61を冷媒配管15の外周面に貼り付ける必要はなく、吸音材61の配管側の面と冷媒配管15の外周面との間に空隙があってもよい。この空隙によって、更に吸音効果を向上させることが可能になる。
更に具体的に説明する。
図11は、冷凍サイクル装置100が備える透過音抑制部材60の特性を説明するためのグラフである。図11では、左側縦軸が吸音率(%)を示し、右側縦軸が遮音量(dB)を示し、横軸が周波数(Hz)を示している。
吸音材61及び制振材62の関係は以下のようになる。
吸音材61及び制振材62のいずれも、低減したい周波数帯域の波長と出力レベル(圧力=音圧レベル)に関係する。
吸音材61は、10kHz以下の可聴帯域に対応する。
制振材62は、10kHz以上の超音波帯域に対応する。
吸音材61は、以下のように構成する。
一波長λ=C/f(Cは音速(空気中では340m/S(大気温15度の場合))、fは周波数(Hz))。
例えば中心周波数5kHzとして、その周波数を低減することを想定すると、その時の波長は、略0.068m(約7cm)となる。吸音材61が、吸音したい周波数の波長の1/4波長以上の厚みを有することが望ましいということは公知である。つまり、上記の計算から、5kHz前後の周波数を低減したい場合、吸音材61の厚みを少なくとも1.75cmとする必要があることになる。
しかしながら、理想的な厚みと、現実の電気機器(特に小空間しかないような家電製品)では理想的な厚みを確保することが困難な場合が多い。そこで、吸音材61は吸音効果を高める(音→熱変換効率を高める)ために、吸音材61の内部に空気室を確保することが重要となる。
透過音抑制部材60として用いる吸音材61は、厚みに対する空気室の吸音材重量比が50%前後を確保できる繊維線径及び製法で形成するとよい。例えば、繊維線径は100μ以下とし、繊維材の自然落下による積層を基本とした製法により、吸音材61を形成することができる。また、吸音材61の材料としては、繊維材そのものに空気層が確保されている自然素材のパルプ材を繊維状に抽出処理したパルプ繊維等を用いるとよい。
これにより、極小空間しか設けることができない電気機器の内部空間に、透過音抑制部材60を設置するための厚みを例えば5mm厚とし、5kHz前後帯域では90%以上の吸音効果を有することが可能になる(図11に示す線A)。
次に、制振材62は、以下のように構成する。
周波数が超音波帯域に近づき、かつ、その超音波帯域の音圧レベルが可聴周波数帯域と同等又は同等以上の音圧レベルを有する場合、複数の狭い指向角度を有する(指向)特性を有することは公知である。そのために、超音波帯域の音は直線性の鋭い(強い)音となっていることは周知の事実である。
よって、超音波帯域の音が同時に発生しているような音源に対しては、吸音材61だけでは音圧レベルを十分に低減できない場合がある。また、極小空間の電気機器内で広い周波数帯域全ての音の圧力(音圧レベル)を低減することは、厚みが薄い吸音材61のみでは困難である。そのために、透過音抑制部材60は、吸音材61の他に制振材62を用い、吸音材61と制振材62の二層構造としている。
制振材62を用いることで、吸音材61を通過し入射した、指向性の鋭い高周波帯域の音響エネルギを、材料での熱変換効果によって、音圧レベルの低減を更に行うことができる。この時に、特に12kHz以上の超音波帯域を対象とした場合、上述したよう波長は0.028m(3cm前後)で、1/4波長では0.007mで、相当厚み以上が有効となる。
しかしながら、上述したように有効な厚みは確保できないので、構成する材料内容で有効な遮音効果を得られるようにする必要がある。そのために、遮音材に入射する音の圧力を振動として捉え、その振動エネルギを効果的に熱エネルギに変化する材料で制振材62を構成して、遮音性能を確保するようにしている(図11に示す線B)。また、圧電効果等も利用すれば、熱変換効率を上げることができ、材料厚みが薄くても、厚みのあるゴム等の密度の高い材料(図11に示す線C)と同等以上の音の低減効果を得ることが可能になる。
以上のように、透過音抑制部材60は、製法手段及び材料選定により、従来の厚みよりも薄い厚み条件で、吸音及び遮音を図ることができ、設置する空間と層構成のための混錬する材料特性により、吸音材61及び制振材62の厚みは自由に構成することが可能になる。
また、冷凍サイクル装置100は、電子膨張弁を構成の1つとして有する冷媒回路を備えた電気機器、例えば空気調和装置、給湯装置、冷凍装置、除湿装置、又は、冷蔵庫に備えられる。
<冷凍サイクル装置100の奏する効果>
冷凍サイクル装置100は、弁体52を有する電子膨張弁50と、電子膨張弁50の弁体52の移動方向の延長上に接続された第1配管15Aと、少なくとも電子膨張弁50の弁体52の先端を含んだ第1配管15A側の外側である第1領域R1、及び、第1領域R1に連続し、第1配管15Aの電子膨張弁50との接続部分を含んだ第1配管15Aの外側である第2領域R2に配置された透過音抑制部材60と、を備えるものである。
そのため、冷凍サイクル装置100によれば、透過音抑制部材60を第1領域R1及び第2領域R2に配置しているので、第1領域R1及び第2領域R2の位置において冷媒配管15の内部から外部に透過してしまう透過音に対しての対策が可能になる。つまり、従来例のような振動対策では対策できなかった、冷媒配管15からの透過音の対策が実現でき、透過音を低減することができる。
冷凍サイクル装置100では、第2領域R2が、第1配管15Aの電子膨張弁50との接続部分から5cm以内の範囲である。
そのため、冷凍サイクル装置100によれば、冷媒配管15の全部を覆う必要がなく、手間及び費用をかけずに、透過音の対策ができる。
冷凍サイクル装置100では、透過音抑制部材60が、第1領域R1及び第2領域R2の全周を覆っている。
そのため、冷凍サイクル装置100によれば、第1領域R1及び第2領域R2の全周から外部に放射的に伝搬してしまう音放射を抑制することができる。
冷凍サイクル装置100では、透過音抑制部材60が、空気室を含んだ吸音材61で構成されており、吸音材61は、可聴帯域音及び超音波帯域音に対応している。
そのため、冷凍サイクル装置100によれば、吸音材61によって、可聴帯域の透過音及び超音波帯域の透過音の双方の対策ができる。
冷凍サイクル装置100では、透過音抑制部材60が、振動を熱変換する誘電性材料を含んだ制振材62で構成されている。
そのため、冷凍サイクル装置100によれば、指向性の鋭い高周波帯域の音響エネルギを、材料での熱変換効果によって、音圧レベルの低減を更に行うことができる。
冷凍サイクル装置100では、透過音抑制部材60が、空気室を含んだ吸音材61と、誘電性材料を含んだ制振材62と、の2層で構成されており、制振材62による層が透過音抑制部材60の最も外側を構成している。
そのため、冷凍サイクル装置100によれば、従来厚みよりも薄い厚み条件で、吸音及び遮音を図ることができる。
冷凍サイクル装置100では、吸音材61が、パルプ系繊維で形成されている。
そのため、冷凍サイクル装置100によれば、従来のガラス繊維などによるものに比べ、材料から飛散した繊維による中皮腫問題などを起こす心配がない。
冷凍サイクル装置100では、制振材62が、誘電性材料をポリエステル系樹脂に混錬して形成されている。
そのため、冷凍サイクル装置100によれば、制振材62を特殊な材料で形成する必要がなく、安価及び簡易に制振材62を形成することが可能になる。
冷凍サイクル装置100では、吸音材61が、抗カビ材を含んで形成されている。
そのため、冷凍サイクル装置100によれば、吸音材61が水分を吸収しても、カビ等の発生を抑制できる。
冷凍サイクル装置100は、制振材62が、圧電性材料を含んで形成されている。
そのため、冷凍サイクル装置100によれば、摩擦熱による熱変換も可能になる。
また、本発明に係る電気機器によれば、上記の冷凍サイクル装置を備えているので、生活者の身近な電気機器から発生する不快音に対しての対策ができ、生活者の不快感を低減できる。
なお、電気機器としては、例えば、空気調和装置、給湯装置、冷凍装置、除湿装置、又は、冷蔵庫等が挙げられる。
1 圧縮機、2 流路切替装置、3 第1熱交換器、5 第2熱交換器、6 第1送風機、7 第2送風機、15 冷媒配管、15A 第1配管、15B 第2配管、50 電子膨張弁、51 本体、52 弁体、52a 円柱状部、52b 円錐状部、53 弁座、54 絞り部、55 弁室、56 貫通穴、57 貫通穴、59 駆動装置、60 透過音抑制部材、61 吸音材、62 制振材、100 冷凍サイクル装置、R1 第1領域、R2 第2領域。

Claims (16)

  1. 冷媒流量を調整する弁体を有する膨張装置と、
    前記膨張装置冷媒流量を調整する際の前記弁体の先端の移動方向の延長上において、前記膨張装置に接続された直管部分を有し二相状態の冷媒が流通する配管と、
    前記直管部分外側の一部の領域のみに配置され、前記二相状態の冷媒から発生する透過音を抑制する透過音抑制部材と、を備え
    前記配管は、前記直管部分で気柱共鳴しており、
    前記直管部分の外側の一部の領域は、前記先端を節として、前記配管の前記直管部分で気柱共鳴する共鳴音の定常波の腹部分を全て含んだ範囲であり、
    前記共鳴音の定常波の腹部分は、前記透過音を増幅させる部分であ
    冷凍サイクル装置。
  2. 前記領域は、
    前記配管の前記膨張装置との接続部分から5cm以内の範囲にある
    請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
  3. 前記透過音抑制部材は、
    前記領域の外側の全周を覆っている
    請求項1又は2に記載の冷凍サイクル装置。
  4. 冷媒流量を調整する弁体を有する膨張装置と、
    前記膨張装置の冷媒流量を調整する際の前記弁体の先端の移動方向の延長線上において一端が前記膨張装置に接続された直管部と前記直管部の他の一端に設けられた屈曲部とを有し、二相状態の冷媒が流通する配管と、
    少なくとも前記先端を含んだ前記膨張装置の一部の外側である第1領域のみ、及び、前記第1領域に連続し、前記直管部の中央部分を含んだ前記直管部の一部の外側である第2領域のみに配置され、前記二相状態の冷媒から発生する透過音を抑制する透過音抑制部材と、を備え
    前記配管は、前記直管部で気柱共鳴しており、
    前記中央部分は、前記先端を節として、前記直管部で気柱共鳴する共鳴音の定常波の腹部分を含んだ範囲であり、
    前記共鳴音の定常波の腹部分は、前記透過音を増幅させる部分であ
    冷凍サイクル装置。
  5. 前記第2領域は、
    前記配管の前記膨張装置との接続部分から5cm以内の範囲である
    請求項4に記載の冷凍サイクル装置。
  6. 前記透過音抑制部材は、
    前記第1領域、及び前記第2領域の全周を覆っている
    請求項4又は5に記載の冷凍サイクル装置。
  7. 前記透過音抑制部材は、
    可聴帯域音及び超音波帯域音を吸音する
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
  8. 前記膨張装置が電子膨張弁である
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
  9. 前記透過音抑制部材は、
    空気室を含んだ吸音材で構成されている
    請求項1〜8のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
  10. 前記透過音抑制部材は、
    振動を熱変換する誘電性材料を含んだ制振材で構成されている
    請求項1〜9のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
  11. 前記透過音抑制部材は、
    空気室を含んだ吸音材と、
    誘電性材料を含んだ制振材と、の2層で構成されており、
    前記制振材による層が前記透過音抑制部材の最も外側を構成している
    請求項1〜のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置。
  12. 前記吸音材は、
    パルプ系繊維で形成されている
    請求項9又は11に記載の冷凍サイクル装置。
  13. 前記制振材は、
    前記誘電性材料をポリエステル系樹脂に混錬して形成されている
    請求項10又は11に記載の冷凍サイクル装置。
  14. 前記吸音材は、
    抗カビ材を含んで形成されている
    請求項12に記載の冷凍サイクル装置。
  15. 前記制振材は、
    圧電性材料を含んで形成されている
    請求項13に記載の冷凍サイクル装置。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の冷凍サイクル装置を備えた
    電気機器。
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