以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る車両Vの構成を示す図である。
車両Vは、走行するための駆動力を発生する内燃機関1(以下、「エンジン1」という)と、運転者によるシフト操作部21の操作に基づいて定められた態様で、エンジン1で発生した駆動力を図示しない駆動輪に伝達する自動変速機システム2と、バッテリ31を備えるバッテリユニット3と、先行車との間の車間距離制御や定速走行制御を行うアダプティブクルーズコントロールシステム4(以下、「ACC4」との略称を用いる)と、運転者によるブレーキペダル51の操作に応じて制動制御を行う制動システム5と、車室内の温度を制御する空調システム6と、運転席に設けられたシートベルトの装着の有無を検出するシートベルトスイッチ7と、エンジン1を制御する電子制御ユニット8(以下、「ECU8」との略称を用いる)と、を備える。
エンジン1には、その動力を利用して発電するオルタネータ11(以下、「ACG11」との略称を用いる)と、バッテリ31から供給される電力を用いてエンジン1を始動するスタータ12と、その冷却水の温度を検出する冷却水温度センサ13と、が設けられている。冷却水温度センサ13は、検出値に応じた冷却水温度信号をECU8へ送信する。
自動変速機システム2は、シフト操作を行う際に運転者が操作可能なシフト操作部21と、図示しないパーキングブレーキを作動又は解除させる際に運転者が操作可能なパーキングブレーキスイッチ22と、エンジン1で発生した駆動力を変速して駆動輪に伝達する自動変速機23と、シフト操作部21の位置であるシフト位置情報に基づいて自動変速機23を制御するトランスミッションコントロールユニット24(以下、「TCU」との略称を用いる)と、を備える。
運転者は、シフト操作部21を操作することによって、シフト位置を、車両Vを前進させるためのドライブ位置と、エンジン1と駆動輪との間の機械的な連結を切り離すためのニュートラル位置と、車軸に固定されているパーキングギヤにパーキングポールを噛合させることにより駆動輪をロック(所謂、パーキングロック)させるためのパーキング位置と、車両Vを後進させるためのリバース位置と、少なくとも4つで切り替えることができる。シフト操作部21は、運転者によって設定されたシフト位置に関する情報をTCU24へ送信する。
運転者によりパーキングブレーキスイッチ22がオンにされると、図示しないパーキングブレーキシステムは、ブレーキキャリパを駆動し、摩擦力によって車両Vの車輪の回転を規制する。また運転者によりパーキングブレーキスイッチ22がオフにされると、パーキングブレーキシステムは、ブレーキキャリパによる車輪の回転の規制を解除する。またパーキングブレーキスイッチ22は、運転者による操作に応じてパーキングブレーキの作動の有無を示すパーキングブレーキ信号をECU8へ送信する。
TCU24は、シフト操作部21から送信されるシフト位置に関する情報に基づいて、選択されているシフト位置に応じた機能が実現するように自動変速機23を制御する。またTCU24は、自動変速機油の温度に関する情報や、自動変速機23によって実現されているシフト位置に関する情報をECU8へ送信する。
バッテリユニット3は、電力を蓄えるバッテリ31と、バッテリ31の状態を検出するバッテリコントロールユニット32と、を備える。バッテリコントロールユニット32は、バッテリ31を流れる電流、端子電圧、及び温度等、バッテリ31の充電量と相関のあるパラメータの値を検出し、検出した値を用いてバッテリ31の充電量を算出する。バッテリコントロールユニット32は、算出したバッテリ31の充電量や温度等をECU8へ送信する。
ACC4は、自車の速度(以下、「車速」という)を検出する車速センサ41と、路面の勾配の値を算出する勾配算出ユニット42と、先行車の状態を取得するミリ波レーダ43と、車速センサ41、勾配算出ユニット42、及びミリ波レーダ43等で得られた情報を用いて車間距離制御や定速走行制御を行う電子制御ユニット45と、を備える。
勾配算出ユニット42は、例えば、図示しない加速度センサを用いることによって得られた加速度の値に基づいて、車両Vが走行又は駐車している路面の勾配の値を算出する。電子制御ユニット45は、上記のように車間距離制御や定速走行制御を行う他、車速センサ41によって得られた車速、勾配算出ユニット42によって得られた勾配の値、及びミリ波レーダ43によって得られた先行車の状態等の情報をECU8へ送信する。
制動システム5は、車両Vを制動させる際に運転者が踏込操作を行うブレーキペダル51と、ブレーキペダル51の踏込操作を検出するブレーキスイッチ52と、ブレーキペダル51と図示しないブレーキキャリパとを接続する液圧回路57に設けられたブレーキ倍力装置53と、ブレーキペダル51の踏込度合いの値を算出する踏込度合い算出ユニット54と、ブレーキペダル51の踏込速度の値を算出する踏込速度算出ユニット55と、ブレーキ倍力装置53の負圧を検出する負圧センサ56と、を備える。
ブレーキスイッチ52は、ブレーキペダル51の踏込操作を検出し、これに応じたブレーキSW信号をECU8へ送信する。より具体的には、ブレーキスイッチ52は、運転者によってブレーキペダル51が踏み込まれた場合にはONとなり、この踏み込みが解除された場合にはOFFとなるブレーキSW信号を生成し、これをECU8へ送信する。
ブレーキ倍力装置53は、稼動中のエンジン1の吸気系で発生する負圧を利用することにより、ブレーキペダル51に作用する踏込力を増大させてブレーキキャリパに伝達し、車両Vを制動させる。負圧センサ56は、ブレーキ倍力装置53のダイアフラム内の負圧を検出し、検出値に応じた負圧信号をECU8へ送信する。
ブレーキ踏込度合い算出ユニット54は、液圧回路57に設けられた液圧センサ58の検出値に基づいて、ブレーキペダル51の踏込度合いの値を算出し、算出した踏込度合いの値に関する情報をECU8へ送信する。ここでブレーキペダル51の踏込度合いとは、より具体的には、ブレーキペダル51の踏込量や踏込力をいう。
ブレーキ踏込速度算出ユニット54は、液圧センサ58の検出値に基づいて、ブレーキペダル51の踏込速度の値を算出し、算出した踏込速度の値に関する情報をECU8へ送信する。ここでブレーキペダル51の踏込速度とは、より具体的には、ブレーキペダル51の踏込量や踏込力の変化の速度をいう。
空調システム6は、バッテリ31から供給される電力等を利用することによって図示しないエアコンを駆動することにより、車室内の温度を制御する。空調システム6は、エアコンの使用状況に関する情報、例えばエアコンの消費電力に関する情報をECU8へ送信する。
シートベルトスイッチ7は、運転席に設けられているシートベルトが装着されているか否かを検出し、このシートベルトの装着の有無に応じてON/OFFとなるシートベルト信号をECU8へ送信する。
ECU8は、センサの検出信号をA/D変換するI/Oインターフェース、各種制御プログラムやデータ等を記憶するRAMやROM、上記プログラムに従って各種演算処理を実行するCPU、及びCPUの演算処理結果に応じてエンジン1、ACG11、及びスタータ12等を駆動する駆動回路等で構成される。
次に、図2〜図16Cを参照しながらECU8によるエンジン1の自動停止始動制御の具体的な手順について説明する。ここで自動停止始動制御とは、エンジン1が稼動している間に所定の初期停止条件が成立するとエンジン1を初期自動停止させ、その後所定の再始動条件が成立するとエンジン1を自動再始動させ、その後さらに所定の再停止条件が成立するとエンジン1を自動再停止させることをいう。
なお以下では、走行中の車両Vが停止した後、この車両Vが再び発進するまでを一周期を停止サイクルと定義する。また以下では、この停止サイクルの間において初めてECU8における自動停止始動制御によってエンジン1を停止させることを初期自動停止という。またこの停止サイクルの間において、エンジン1が初期自動停止された後に、ECU8における自動停止制御によって停止されているエンジン1を始動させることを自動再始動という。またこの停止サイクルの間において、エンジン1が初期自動停止された後に、ECU8における自動停止制御によって始動しているエンジン1を停止させることを自動再停止という。従ってこの停止サイクルの間では、ECU8における自動停止始動制御の下で、エンジン1は、初期自動停止→自動再始動→自動再停止→自動再始動→自動再停止…を繰り返す。
図2は、ECU8において実現される機能のうち、上記自動停止始動制御の実現に係る部分の構成を示す機能ブロック図である。ECU8は、初期停止条件が成立したか否かを判定する初期自動停止判定部81と、再始動条件が成立したか否かを判定する自動再始動判定部82と、再停止条件が成立したか否かを判定する自動再停止判定部86と、所定の自動停止禁止条件が成立したか否かを判定する自動停止禁止判定部87と、これら判定部81,82,86,87における判定結果に基づいてエンジン1を自動的に始動したり停止したりする停止始動制御部88と、を備える。
初期自動停止判定部81は、後述の初期停止条件が成立したか否かを判定し、初期停止条件が成立した場合にはフラグF1を“0”から“1”に変更する。このフラグF1は、初期自動停止判定部81における判定結果を明示するフラグであり、初期停止条件が成立していない場合には“0”となり、初期停止条件が成立した場合には“1”となる。このフラグF1は、上記停止サイクルが終了した場合、すなわち車両Vが発進した場合に“0”にリセットされる。
自動再始動判定部82は、フラグF1が“1”である間又は後述のフラグF3が“1”である間、換言すれば停止サイクルの間においてエンジン1が初期自動停止されている間又はエンジン1が自動再停止されている間において、再始動条件が成立したか否かを判定し、この再始動条件が成立した場合にはフラグF2を“0”から“1”に変更する。このフラグF2は、自動再始動判定部82における判定結果を明示するフラグであり、再始動条件が成立していない場合には“0”となり、再始動条件が成立した場合には“1”となる。このフラグF2は、上記停止サイクルが終了した場合又は後述の自動再停止判定部86における判定結果に基づいてエンジン1が自動再停止された場合に“0”にリセットされる。
自動再停止判定部86は、フラグF2が“1”である間、換言すれば停止サイクルの間においてエンジン1が自動再始動されている間において、再停止条件が成立したか否かを判定し、この再停止条件が成立した場合にはフラグF3を“0”から“1”に変更する。このフラグF3は、自動再停止判定部86における判定結果を明示するフラグであり、再停止条件が成立していない場合には“0”となり、再停止条件が成立した場合には“1”となる。このフラグF3は、上記停止サイクルが終了した場合又は自動再始動判定部82における判定結果に基づいてエンジン1が自動再始動された場合に“0”にリセットされる。
自動停止禁止判定部87は、自動停止禁止条件が成立したか否かを判定し、この判定結果に応じて自動停止禁止フラグFngを“0”又は“1”で切り替える。より具体的には、自動停止禁止判定部87は、自動停止禁止条件が成立していないと判定した場合には、停止始動制御部88によるエンジン1の初期自動停止及び自動再停止を許可するべく自動停止禁止フラグFngを“0”にする。また自動停止禁止判定部87は、自動停止禁止条件が成立したと判定した場合には、停止始動制御部88によるエンジン1の初期自動停止及び自動再停止を禁止するべく自動停止禁止フラグFngを“0”から“1”に変更する。
ここで自動停止禁止判定部87において規定されている自動停止禁止条件の具体的な内容について説明する。例えばバッテリ31の充電量が少ない場合、エアコンの消費電力が大きい場合、エンジン1の冷却水の温度、自動変速機油の温度、及びバッテリ31の温度が過剰に低い場合、並びにブレーキ倍力装置53の負圧が十分でない場合、これらデバイスの機能を確保するため、エンジン1を自動停止させることが好ましくない場合がある。そこで自動停止禁止判定部87は、バッテリ31の充電量、エアコンの消費電力、エンジン1の冷却水の温度、自動変速機油の温度、バッテリ31の温度、及びブレーキ倍力装置53の負圧に関する情報を取得し、これら取得した複数の情報のうちの少なくとも何れかに基づいて自動再停止禁止条件が成立したか否かを判定する。より具体的には、自動停止禁止判定部87は、バッテリ31の充電量が所定値以下であること、エアコンの消費電力が所定値より大きいこと、エンジン1の冷却水の温度が所定値以下であること、自動変速機油の温度が所定値以下であること、バッテリ31の温度が所定値以下であること、及びブレーキ倍力装置53の負圧が所定値以下であること、の少なくとも何れかの条件が成立した場合には、自動停止禁止条件が成立したと判定し、自動停止禁止フラグFngを“0”から“1”に変更する。
また上述のように1つの停止サイクルの間では、エンジン1は、自動再始動と自動再停止とを複数回にわたり繰り返し得る。しかしながら複数回にわたり自動再始動と自動再停止とを繰り返すと、商品性が悪化するおそれがある。そこで自動停止禁止判定部87は、1つの停止サイクルの間でエンジン1を自動再停止させた回数である自動停止回数を計数するとともに、この自動停止回数が所定の制限回数(例えば、1回)を超えた場合には、自動停止禁止条件が成立したと判定し、それ以降のエンジン1の自動再停止を禁止するべく自動停止禁止フラグFngを“0”から“1”に変更する。
停止始動制御部88は、初期自動停止判定部81、自動再始動判定部82、自動再停止判定部86、及び自動停止禁止判定部87における判定結果を示すフラグF1,F2,F3,Fngの値に基づいてエンジン1を自動停止又は自動始動させる。
より具体的には、停止始動制御部88は、自動停止禁止フラグFngが“0”である状態でフラグF1が“0”から“1”に変更された場合には、これに応じてエンジン1における燃料噴射を停止させることにより、エンジン1を直ちに初期自動停止させる。また停止始動制御部88は、自動停止禁止フラグFngが“1”である場合には、フラグF1が“0”から“1”に変更された場合であってもエンジン1を初期自動停止させない。
停止始動制御部88は、自動禁止フラグFngが“0”である状態でフラグF3が“0”から“1”に変更された場合には、これに応じてエンジン1における燃料噴射を停止させることにより、エンジン1を直ちに自動再停止させる。また停止始動制御部88は、自動停止禁止フラグFngが“1”である場合には、フラグF3が“0”から“1”に変更された場合であってもエンジン1を自動再停止させない。
停止始動制御部88は、フラグF2が“0”から“1”に変更された場合には、これに応じてスタータ12を駆動するとともにエンジン1における燃料噴射を開始させることにより、エンジン1を直ちに自動再始動させる。
以上のように停止始動制御部88は、フラグF1,F2,F3が“0”から“1”に変更されたタイミングでエンジン1を自動的に停止させたり始動させたりする。したがって、エンジン1を初期自動停止させる時期である初期自動停止実行時期は、初期自動停止判定部81によってフラグF1が“0”から“1”に変更された時期とほぼ等しい。エンジン1を自動再停止させる時期である自動再停止実行時期は、自動再停止判定部86によってフラグF3が“0”から“1”に変更された時期とほぼ等しい。またエンジン1を自動再始動させる時期である自動再始動実行時期は、自動再始動判定部82によってフラグF2が“0”から“1”に変更された時期とほぼ等しい。
次に、初期自動停止判定部81、自動再始動判定部82、及び自動再停止判定部86における判定手順について具体的に説明する。
初期自動停止判定部81は、フラグF1が“0”である場合に作動する。より具体的には、初期自動停止判定部81は、フラグF1が“0”である間において、下記に示す条件(a)〜(c)の全てが成立した場合に、初期停止条件が成立したと判定し、エンジン1を初期自動停止させるべく、フラグF1を“0”から“1”に変更する。また初期自動停止判定部81は、下記条件(a)〜(c)の何れかが成立していない場合には、初期停止条件が成立していないと判定し、フラグF1を“0”で維持する。
(a)車速が0よりも僅かに大きく設定された開始速度以下であること。
(b)アクセルペダルの開度がほぼ0であること。
(c)ブレーキペダルの踏込操作が検出されていること。
図3は、自動再始動判定部82の機能ブロック図である。
自動再始動判定部82はフラグF1が“1”である間又はフラグF3が“1”である場合に作動する。自動再始動判定部82は、通常始動判定部83と、予測始動判定部84と、予測始動検証部851と、ブレーキオフ時間算出部852と、継続時間算出部853と、を備え、フラグF1,F2の何れかが“1”である間において、これらを用いることによって再始動条件が成立したか否かを判定するとともに、この判定結果に応じてフラグF2の値を“0”又は“1”で切り替える。
以下で説明するように、自動再始動判定部82において規定されている再始動条件は、通常始動判定条件と、予測始動判定条件と、に分けられる。通常始動判定条件は、運転者によって車両Vを発進させるための所定の第1予備操作が行われた場合に成立する条件であり、予測始動判定条件は、運転者によって車両Vを発進させるための所定の第2予備操作が行われた場合に成立する条件である。
ここで第1予備操作とは、例えば、運転者が、シフト位置をドライブ位置又はリバース位置に設定した状態で、ブレーキペダル51の踏み込みを解除する操作をいう。また第2予備操作とは、例えば、運転者が、シフト位置をパーキング位置に設定した状態で、ブレーキペダル51を踏み込む操作をいう。これら第1予備操作及び第2予備操作は、何れも運転者がその後車両Vを発進させる可能性がある場合に行われる予備的な操作であるが、第1予備操作は第2予備操作よりも、その後車両Vを発進させる可能性が高い点で異なる。
すなわち、通常始動判定条件が成立した場合、運転者はその後車両Vを発進させる操作を行う可能性が高いため、直ちにエンジン1を直ちに自動再始動させることが好ましいと言える。これに対し予測始動判定条件が成立した場合、運転者はその後車両Vを発進させる操作を行う可能性があるものの、上記第2予備操作は、運転者の誤操作に起因するものである可能性もあるため、運転者がその後車両Vを発進させるか否かを改めて検証してからエンジン1を自動再始動させることが好ましいと言える。そこで自動再始動判定部82では、通常始動判定部83において通常始動判定条件の成否に基づいてフラグF2の値を変更し、予測始動判定部84、予測始動検証部851、ブレーキオフ時間算出部852、及び継続時間算出部853では予測始動判定条件の成否に基づいてフラグF2の値を変更する。
通常始動判定部83は、通常始動判定条件が成立したか否かを判定するとともにこの判定結果に応じてフラグF2の値を“0”又は“1”で切り替える。より具体的には、通常始動判定部83は、第1予備操作を検出した場合、すなわちエンジン1が自動停止している状態でシフト位置がドライブ位置又はリバース位置でありかつブレーキペダル51の踏込操作が解除されたことを検出した場合に、通常始動判定条件が成立したと判定し、フラグF2の値を“0”から“1”に変更する。またこのようにフラグF2の値が“0”から“1”に変更されたことに応じて、停止始動制御部88は、エンジン1を直ちに自動再始動させる。また通常始動判定部83は、第1予備操作を検出できなかった場合、すなわちシフト位置がドライブ位置又はリバース位置でない場合や、シフト位置がドライブ位置又はリバース位置であってもブレーキペダル51の踏込操作が検出されている場合等には、フラグF2の値を“0”に維持する。
予測始動判定部84は、予測始動判定条件が成立したか否かを判定する。より具体的には、予測始動判定部84は、第2予備操作を検出した場合、すなわちエンジン1が自動停止している状態でシフト位置がパーキング位置でありかつブレーキペダル51の踏込操作を検出した場合に、予測始動判定条件が成立し、エンジン1を自動再始動させる必要があると判定する。また予測始動判定部84は、第2予備操作を検出できなかった場合、すなわちシフト位置がパーキング位置でない場合や、シフト位置がパーキング位置であってもブレーキペダル51の踏込操作が検出されなかった場合等には、予測始動判定条件が成立したと判定しない。予測始動判定部84は、上記のように予測始動判定条件の成否を判定するとともに、判定結果を予測始動検証部851へ送信する。
予測始動検証部851は、運転者によって第2予備操作が行われたことによって予測始動判定部84において予測始動判定条件が成立したと判定された場合に、運転者の発進意思の有無又はこの第2予備操作が運転者の誤操作に起因するものであるか否かを検証(推定)する。また予測始動検証部851は、この検証結果に応じてフラグF2の値を“0”から“1”に変更する時期、すなわちエンジン1の自動再始動実行時期を早めたり遅らせたりする。
ブレーキオフ時間算出部852は、ブレーキペダル51が踏み込まれながらシフト位置がパーキング位置に設定された後、このブレーキペダル51の踏み込みが解除されてから再び踏み込まれるまでに経過した時間であるブレーキオフ時間を算出し、算出した時間を予測始動検証部851へ送信する。上述のようにシフト位置がパーキング位置に設定された状態でブレーキペダル51を踏み込むと、予測始動判定部84によって予測始動判定条件が成立したと判定されることから、このブレーキオフ時間は、ブレーキペダル51の踏み込みが解除されてから予測始動判定条件が成立したと判定されるまでにかかった時間とほぼ等しい。
継続時間算出部853は、シフト位置がパーキング位置に設定されてから、予測始動判定部84において予測始動判定条件が成立したと判定される契機となったブレーキペダル51の踏込操作が検出されるまでの間に経過した時間であるパーキング継続時間を算出し、算出した時間を予測始動検証部851へ送信する。すなわち、このパーキング継続時間は、パーキング位置に設定されてから予測始動判定条件が成立したと判定されるまでにかかった時間とほぼ等しい。
図4は、予測始動検証部851において、フラグF2の値を決定する具体的な手順を示すフローチャートである。図4に示す処理は、所定の制御周期の下で予測始動検証部851において繰り返し実行される。
図4に示すように、予測始動検証部851では、検出された第2予備操作が運転者の誤操作に起因するものであるか否かを、複数(図4の例では、7つ)の観点で検証する。より具体的には、予測始動検証部851では、パーキングブレーキの作動状態に基づく検証処理(S2参照)と、ブレーキペダル51の踏込度合いに基づく検証処理(S3参照)と、ブレーキペダル51の踏込速度に基づく検証処理(S4参照)と、シートベルトの装着状態に基づく検証処理(S5参照)と、ブレーキオフ時間に基づく検証処理(S6参照)と、パーキング継続時間に基づく検証処理(S7参照)と、先行車の状態に基づく検証処理(S8参照)と、の7つの観点で検証処理を実行した後、これらの検証結果に基づいて定められたタイミングでフラグF2を“0”から“1”に変更し、エンジン1を自動再始動させる。
始めにS1では、予測始動検証部851は、予測始動判定部84において予測始動判定条件が成立したと判定されているか否かを判定する。S1の判定結果がYESである場合、すなわちシフト位置がパーキング位置でありかつブレーキペダル51の踏込操作が検出されている場合には、予測始動検証部851は、パーキングブレーキの作動状態に基づく検証処理(S2参照)と、ブレーキペダル51の踏込度合いに基づく検証処理(S3参照)と、ブレーキペダル51の踏込速度に基づく検証処理(S4参照)と、シートベルトの装着状態に基づく検証処理(S5参照)と、ブレーキオフ時間に基づく検証処理(S6参照)と、パーキング継続時間に基づく検証処理(S7参照)と、先行車の状態に基づく検証処理(S8参照)と、を実行する。これらS2〜S8の検証処理では、後に図5〜図14を参照して説明するように、7つの自動再始動許可フラグFa,Fb,Fc,Fd,Fe,Ff,Fgの値が設定される。これらフラグFa〜Fgは、各観点に基づいて、運転者の発進意思の有無又はブレーキペダル51の踏込操作が誤操作によるものであるか否かの検証結果を示すフラグであり、検証処理を行った結果、エンジン1の自動再始動を許可する場合に“1”となり、エンジン1の自動再始動を許可しない場合に“0”となる。
またS1の判定結果がNOである場合、予測始動検証部851は、上記7つのフラグFa〜Fgと、後述の検証処理において規定されている遅延フラグFb_d,Fc_d,Fe_d,Ff_dとを全て“0”にリセットした後(S9参照)、図4の処理を終了する。
S10では、予測始動検証部851は、7つの自動再始動許可フラグFa〜Fgに基づいてエンジン1を自動再始動してよいかどうかを判定する。予測始動検証部851は、エンジン1を自動再始動してよいと判定した場合には、フラグF2を“0”から“1”に変更した後(S11参照)、図4の処理を終了する。また予測始動検証部851は、エンジン1を自動再始動してよくないと判定した場合には、フラグF2を“0”で維持したまま図4の処理を終了する。なお、このS10における判定の具体的な手順については、S2〜S8の検証処理の具体的な手順について説明した後、詳細に説明する。
以下では、各検証処理の具体的な手順について、図5〜図14を参照しながら説明する。
図5は、パーキングブレーキに基づく検証処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
S21では、予測始動検証部851は、パーキングブレーキの作動が検出されているか否かを判定する。S21の判定結果がYESである場合、すなわち現在パーキングブレーキの作動が検出されている場合には、予測始動検証部851は、検出された第2予備操作は運転者の誤操作に基づくものであって、運転者には直ちに車両Vを発進させる意思はないと判断し、自動再始動許可フラグFaを“0”で維持したまま図4のS3に戻る。
またS21の判定結果がNOである場合、すなわち現在パーキングブレーキの作動が検出されていない場合には、予測始動検証部851は、エンジン1の自動再始動の実行を許可するべく、自動再始動許可フラグFaを“0”から“1”に変更し(S22参照)、図4のS3に戻る。
以上より、図5の検証処理では、予測始動判定条件が成立した時点でパーキングブレーキの作動が検出されていなかった場合には、直ちに自動再始動許可フラグFaが“0”から“1”に変更される。よってこの場合、自動再始動実行時期は、予測始動判定条件が成立する契機となったブレーキペダル51の踏込操作が検出された直後に設定される。また予測始動判定条件が成立した時点でパーキングブレーキの作動が検出されていた場合には、自動再始動実行時期は、S21の判定結果がNOとなるまで、すなわちパーキングブレーキの作動が検出されなくなるまで遅らせられる。すなわちこの場合、自動再始動実行時期は、パーキングブレーキの作動が解除された時期とほぼ等しい。
図6は、ブレーキペダル51の踏込度合いに基づく検証処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
S31では、予測始動検証部851は、ブレーキペダル51の踏込度合いの値を取得し、この踏込度合いの値が所定の踏込度合い閾値より大きいか否かを判定する。S31の判定結果がYESである場合、すなわちブレーキペダル51が運転者により強く(又は深く)踏み込まれていると判定される場合には、予測始動検証部851は、エンジン1の自動再始動の実行を許可するべく、自動再始動許可フラグFbを“0”から“1”に変更し(S32参照)、図4のS4に戻る。
またS31の判定結果がNOである場合、すなわちブレーキペダル51が運転者によりさほど強く(又は深く)踏み込まれていないと判定される場合には、予測始動検証部851は、後述の遅延フラグFb_dが“1”であるか否かを判定する(S33参照)。この遅延フラグFb_dは、エンジン1の自動再始動実行時期を、自動再始動判定条件が成立する契機となったブレーキペダルの踏込操作が検出された時期よりも遅らせる後述の遅延処理の実行中であることを明示するフラグである。
S33の判定結果がNOである場合、予測始動検証部851は、遅延処理の実行を開始するべく遅延タイマのカウントアップを開始し(S34参照)、さらに遅延フラグFb_dを“0”から“1”に変更し(S35参照)、図4のS4に戻る。
またS33の判定結果がYESである場合、すなわち現在遅延処理の実行中である場合には、予測始動検証部851は、遅延タイマの値Tbが所定の閾値(例えば、1秒程度)より大きいか否かを判定する(S36参照)。S36の判定結果がYESである場合、すなわち遅延タイマのカウントアップを開始してから閾値に相当する時間が経過した場合には、予測始動検証部851は、エンジン1の自動再始動の実行を許可するべく、S32に移り、自動再始動許可フラグFbを“0”から“1”に変更し、図4のS4に戻る。またS36の判定結果がNOである場合、自動再始動許可フラグFbを“0”で維持したまま、図4のS4に戻る。
以上より、図6の検証処理では、予測始動判定条件が成立する契機となったブレーキペダル51の踏込操作において、ブレーキペダル51が強く(又は深く)踏み込まれた場合には、直ちに自動再始動許可フラグFbが“0”から“1”に変更される。よってこの場合、自動再始動実行時期は、予測始動判定条件が成立する契機となったブレーキペダル51の踏込操作が検出された直後に設定される。また予測始動判定条件が成立する契機となったブレーキペダル51の踏込操作において、ブレーキペダル51がさほど強く(又は深く)踏み込まれなかった場合には、遅延処理により自動再始動実行時期は、上記踏込操作が検出された直後よりも遅らせられる。
またこのように遅延処理を実行している間において、閾値に相当する時間が経過する前に踏込度合いの値が踏込度合い閾値よりも大きくなる程度にブレーキペダル51が強く(又は深く)踏み込まれた場合には、S31の判定結果がYESとなり、直ちに自動再始動許可フラグFbが“0”から“1”に変更される、よってこの場合には、自動再始動実行時期は、踏込度合いの値が踏込度合い閾値より大きくなった時期の直後に変更される。また遅延処理を実行している間において、閾値が相当する時間が経過する前に運転者によるブレーキペダル51の踏み込みが解除された場合には、予測始動判定条件が不成立となるので(図4のS1参照)、その後閾値に相当する時間が経過しても、エンジン1を自動再始動させない。
ところで運転者がブレーキペダル51の踏込操作を行う際における、ブレーキペダル51の踏込度合いの大きさは、運転者によって異なる。そこで予測始動検証部851では、予測始動判定条件が成立する契機となったブレーキペダル51の踏込操作が検出された直後に自動再始動実行時期を設定した場合におけるブレーキペダル51の踏込度合いの値を記憶しておき、この記憶した踏込度合いの値を用いた図示しない学習処理を行うことによって、上記S31において規定されている踏込度合い閾値を決定する。すなわち、運転者がブレーキペダル51を強く(又は深く)踏み込む傾向が認められる場合には、これに合せて踏込度合い閾値を大きな値に変更し、運転者がブレーキペダル51を弱く(又は浅く)踏み込む傾向が認められる場合には、これに合せて踏込度合い閾値を小さな値に変更する。これにより、検証処理の精度を向上できる。
また図6には、踏込度合い値が踏込度合い閾値以下である場合には、遅延タイマTbを用いて自動再始動実行時期を踏込操作が検出された直後から遅らせた場合の例を示すが、本発明はこれに限らない。例えば、踏込度合い値が踏込度合い閾値以下である場合には、踏込度合い値が踏込度合い閾値より大きくなる操作が行われるまで、エンジンを自動再始動させないこととしてもよい。
図7は、ブレーキペダル51の踏込速度に基づく検証処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
S41では、予測始動検証部851は、ブレーキペダル51の踏込速度の値を取得し、この踏込速度の値が所定の踏込速度閾値より大きいか否かを判定する。S41の判定結果がYESである場合、すなわちブレーキペダル51が運転者により速く踏み込まれていると判定される場合には、予測始動検証部851は、エンジン1の自動再始動の実行を許可するべく、自動再始動許可フラグFcを“0”から“1”に変更し(S42参照)、図4のS5に戻る。
またS41の判定結果がNOである場合、すなわちブレーキペダル51が運転者によりさほど速く踏み込まれていないと判定される場合には、予測始動検証部851は、後述の遅延フラグFc_dが“1”であるか否かを判定する(S43参照)。この遅延フラグFc_dは、エンジン1の自動再始動実行時期を、自動再始動判定条件が成立する契機となったブレーキペダルの踏込操作が検出された時期よりも遅らせる後述の遅延処理の実行中であることを明示するフラグである。
S43の判定結果がNOである場合、予測始動検証部851は、遅延処理の実行を開始するべく遅延タイマのカウントアップを開始し(S44参照)、さらに遅延フラグFc_dを“0”から“1”に変更し(S45参照)、図4のS5に戻る。
またS43の判定結果がYESである場合、すなわち現在遅延処理の実行中である場合には、予測始動検証部851は、遅延タイマの値Tcが所定の閾値(例えば、1秒程度)より大きいか否かを判定する(S46参照)。S46の判定結果がYESである場合、すなわち遅延タイマのカウントアップを開始してから閾値に相当する時間が経過した場合には、予測始動検証部851は、エンジン1の自動再始動の実行を許可するべく、S42に移り、自動再始動許可フラグFcを“0”から“1”に変更し、図4のS5に戻る。またS46の判定結果がNOである場合、自動再始動許可フラグFcを“0”で維持したまま、図4のS5に戻る。
以上より、図7の検証処理では、予測始動判定条件が成立する契機となったブレーキペダル51の踏込操作において、ブレーキペダル51が速く踏み込まれた場合には、直ちに自動再始動許可フラグFcが“0”から“1”に変更される。よってこの場合、自動再始動実行時期は、予測始動判定条件が成立する契機となったブレーキペダル51の踏込操作が検出された直後に設定される。また予測始動判定条件が成立する契機となったブレーキペダル51の踏込操作において、ブレーキペダル51がさほど速く踏み込まれなかった場合には、遅延処理により自動再始動実行時期は、上記踏込操作が検出された直後よりも遅らせられる。
またこのように遅延処理を実行している間において、閾値に相当する時間が経過する前に踏込度合いの値が踏込度合い閾値よりも大きくなる程度にブレーキペダル51が速く踏み込まれた場合には、S41の判定結果がYESとなり、直ちに自動再始動許可フラグFcが“0”から“1”に変更される、よってこの場合には、自動再始動実行時期は、踏込度速度の値が踏込速度閾値より大きくなった時期の直後に変更される。また遅延処理を実行している間において、閾値が相当する時間が経過する前に運転者によるブレーキペダル51の踏み込みが解除された場合には、予測始動判定条件が不成立となるので(図4のS1参照)、その後閾値に相当する時間が経過しても、エンジン1を自動再始動させない。
ところで運転者がブレーキペダル51の踏込操作を行う際における、ブレーキペダル51の踏込速度の大きさは、運転者によって異なる。そこで予測始動検証部851では、予測始動判定条件が成立する契機となったブレーキペダル51の踏込操作が検出された直後に自動再始動実行時期を設定した場合におけるブレーキペダル51の踏込速度の値を記憶しておき、この記憶した踏込速度の値を用いた図示しない学習処理を行うことによって、上記S41において規定されている踏込速度閾値を決定する。すなわち、運転者がブレーキペダル51を速く踏み込む傾向が認められる場合には、これに合せて踏込速度閾値を大きな値に変更し、運転者がブレーキペダル51を遅く踏み込む傾向が認められる場合には、これに合せて踏込速度閾値を小さな値に変更する。これにより、検証処理の精度を向上できる。
また図7には、踏込速度の値が踏込速度閾値以下である場合には、遅延タイマTcを用いて自動再始動実行時期を踏込操作が検出された直後から遅らせた場合の例を示すが、本発明はこれに限らない。例えば、踏込速度の値が踏込速度閾値以下である場合には、踏込速度の値が踏込速度閾値より大きくなる操作が行われるまで、エンジンを自動再始動させないこととしてもよい。
図8A及び図8Bは、図7のブレーキペダル51の踏込速度に基づく検証処理の具体例を示すタイムチャートである。図8Aは、ブレーキペダル51が速く踏み込まれた場合(踏込速度の値が踏込速度閾値より大きい場合)のタイムチャートであり、図8Bは、ブレーキペダル51が遅く踏み込まれた場合(踏込速度の値が踏込速度閾値以下である場合)のタイムチャートである。なおこれら図8A及び図8Bには、運転者がブレーキペダル51を踏み込み、車両Vを停止させることによって時刻t0においてエンジン1が初期自動停止された後、時刻t1において運転者がブレーキペダル51を踏み続けたままシフト位置をドライブ位置からパーキング位置に変更した後、時刻t2においてブレーキペダル51の踏み込みを解除した場合を示す。
図8Aに示すように、時刻t3では、運転者がシフト位置をパーキング位置に設定した状態でブレーキペダル51の踏込操作を行うことにより、予測始動判定部84は、予測始動判定条件が成立したと判定する。その後予測始動検証部851は、予測始動判定条件が成立する契機となった時刻t3におけるブレーキペダル51の踏込操作の踏込速度の値をブレーキ液圧の上昇速度に基づいて取得し、この踏込速度の値が踏込速度閾値より大きいと判定し(図7のS41参照)、自動再始動許可フラグFcを“0”から“1”に変更し(図7のS42参照)、ひいてはフラグF2を“0”から“1”に変更し(図4のS11参照)、エンジン1を自動再始動させる。したがって図8Aの例では、自動再始動実行時期は、時刻t3においてブレーキペダル51の踏込操作が検出された直後に設定される。
これに対し図8Bの例では、予測始動検証部851は、ブレーキペダル51の踏込速度の値が踏込速度閾値以下であると判定し(図7のS41参照)、所定時間にわたり遅延処理(S43〜S46参照)を実行した後、時刻t4において自動再始動許可フラグFcを“0”から“1”に変更し(図7のS42参照)、ひいてはフラグF2を“0”から“1”に変更し(図4のS11参照)、エンジン1を自動再始動させる。したがって図8Bの例では、自動再始動実行時期は、時刻t3においてブレーキペダル51の踏込操作が検出された直後よりも後の時刻t4に設定される。
図9は、シートベルトの装着状態に基づく検証処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
S51では、予測始動検証部851は、シートベルトの装着が検出されているか否かを判定する。S51の判定結果がNOである場合、すなわち現在シートベルトの装着が検出されていない場合には、予測始動検証部851は、検出された第2予備操作は運転者の誤操作に基づくものであって、運転者には直ちに車両Vを発進させる意思はないと判断し、自動再始動許可フラグFdを“0”で維持したまま図4のS6に戻る。
またS51の判定結果がYESである場合、すなわち現在シートベルトの装着が検出されている場合には、予測始動検証部851は、エンジン1の自動再始動の実行を許可するべく、自動再始動許可フラグFdを“0”から“1”に変更し(S52参照)、図4のS6に戻る。
以上より、図9の検証処理では、予測始動判定条件が成立した時点でシートベルトの装着が検出されていた場合には、直ちに自動再始動許可フラグFdが“0”から“1”に変更される。よってこの場合、自動再始動実行時期は、予測始動判定条件が成立する契機となったブレーキペダル51の踏込操作が検出された直後に設定される。また予測始動判定条件が成立した時点でシートベルトの装着が検出されていなかった場合には、自動再始動実行時期は、S51の判定結果がYESとなるまで、すなわちシートベルトの装着が検出されるまで遅らせられる。すなわちこの場合、自動再始動実行時期は、シートベルトが装着された時期とほぼ等しい。
図10は、ブレーキオフ時間に基づく検証処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
図11は、図10の検証処理において想定される状況を説明するための図である。
図11に示すように、図10の検証処理は、車両Vが勾配路に駐車された場合を想定している。図11の(a)に示すように、車両Vを停止させ、シフト位置をパーキング位置に設定すると、パーキングポールが駆動輪に連結されている駆動軸に直結されているパーキングギヤに噛合することにより、駆動輪がロックされる(所謂、パーキングロック)。
しかしながら図11の(b)に示すように、パーキングポールとパーキングギヤとの間には僅かながらも隙間が存在する。このため、勾配路において車両を駐車させた場合、シフト位置をパーキング位置に設定した後も、この隙間に応じた分だけ車両が僅かに移動する。このため、図11の(c)に示すように、運転者は、ブレーキペダルを踏み込みながらシフト位置をパーキング位置に設定した後、このブレーキペダルの踏み込みを解除した後、意思に反して車両Vが僅かに移動したことに応じて再びブレーキペダルを踏み込む場合がある。以上のように、車両Vを勾配路に駐車する場合、運転者は、その意思に反して第2予備操作を行ってしまう場合がある。図10の検証処理は、このような勾配路に駐車した場合を想定した処理である。
始めにS61では、予測始動検証部851は、勾配算出ユニット42から路面の勾配の値を取得するとともに、この勾配の値が所定の勾配閾値以上であるか否かを判定する。S61の判定結果がNOである場合、すなわち勾配路でないと判定される場合には、予測始動検証部851は、以下の処理を行うことなく自動再始動許可フラグFeを“0”から“1”に変更し(S62参照)、図4のS7に戻る。
またS61における判定結果がYESである場合、すなわち勾配路であると判定される場合には、予測始動検証部851は、後述の遅延フラグFe_dが“1”であるか否かを判定する(S63参照)。この遅延フラグFe_dは、エンジン1の自動再始動実行時期を、自動再始動判定条件が成立する契機となったブレーキペダルの踏込操作が検出された時期よりも遅らせる後述の遅延処理の実行中であることを明示するフラグである。
S63の判定結果がNOである場合、予測始動検証部851は、ブレーキオフ時間算出部852によって算出されるブレーキオフ時間を取得し、このブレーキオフ時間が所定の判定時間(例えば、1秒程度)以下であるか否かを判定する(S64参照)。
S64の判定結果がNOである場合、予測始動検証部851は、予測始動判定条件が成立する契機となったブレーキペダル51の踏込操作は、図11を参照して説明したようにパーキングポールとパーキングギヤのバックラッシュに起因するものでないと判断し、S62に移り、自動再始動許可フラグFeを“0”から“1”に変更し、図4のS7に戻る。
またS64の判定結果がYESである場合、予測始動検証部851は、予測始動判定条件が成立する契機となったブレーキペダル51の踏込操作はパーキングポールとパーキングギヤのバックラッシュに起因するものであると判断し、遅延処理の実行を開始するべく遅延タイマのカウントアップを開始し(S65参照)、さらに遅延フラグFe_dを“0”から“1”に変更し(S66参照)、図4のS7に戻る。
またS63の判定結果がYESである場合、すなわち現在遅延処理の実行中である場合には、予測始動検証部851は、遅延タイマの値Teが所定の閾値(例えば、1秒程度)より大きいか否かを判定する(S67参照)。S67の判定結果がYESである場合、すなわち遅延タイマのカウントアップを開始してから閾値に相当する時間が経過した場合には、予測始動検証部851は、エンジン1の自動再始動の実行を許可するべく、S62に移り、自動再始動許可フラグFeを“0”から“1”に変更し、図4のS7に戻る。またS67の判定結果がNOである場合、自動再始動許可フラグFeを“0”で維持したまま、図4のS7に戻る。
以上より、図10の検証処理では、勾配路に駐車された場合でありかつ予測始動判定条件が成立する契機となったブレーキペダル51の踏込操作において、ブレーキオフ時間が判定時間より長い場合には、直ちに自動再始動許可フラグFeが“0”から“1”に変更される。よってこの場合、自動再始動実行時期は、予測始動判定条件が成立する契機となったブレーキペダル51の踏込操作が検出された直後に設定される。また予測始動判定条件が成立する契機となったブレーキペダル51の踏込操作において、ブレーキオフ時間が判定時間よりも短かった場合には、遅延処理により自動再始動実行時期は、上記踏込操作が検出された直後よりも遅らせられる。
また遅延処理を実行している間において、閾値が相当する時間が経過する前に運転者によるブレーキペダル51の踏み込みが解除された場合には、予測始動判定条件が不成立となるので(図4のS1参照)、その後閾値に相当する時間が経過しても、エンジン1を自動再始動させない。なお図11を参照して説明した状況下において、運転者によりブレーキオフ時間が判定時間よりも短くなるような踏込操作が行われた場合であっても、多くの場合、上記遅延処理を行っている間に運転者は直ちにブレーキペダル51の踏み込みを解除すると考えられる。
また図10には、ブレーキオフ時間が判定時間以下である場合には、遅延タイマTeを用いて自動再始動実行時期を踏込操作が検出された直後から遅らせた場合の例を示すが、本発明はこれに限らない。例えば、ブレーキオフ時間が判定時間以下である場合には、エンジンを自動再始動させないこととしてもよい。
図12は、パーキング継続時間に基づく検証処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
S71では、予測始動検証部851は、後述の遅延フラグFf_dが“1”であるか否かを判定する。この遅延フラグFf_dは、エンジン1の自動再始動実行時期を、自動再始動判定条件が成立する契機となったブレーキペダル51の踏込操作が検出された時期よりも遅らせる後述の遅延処理の実行中であることを明示するフラグである。
S71の判定結果がNOである場合、予測始動検証部851は、継続時間算出部853において算出されるパーキング継続時間を取得し、このパーキング継続時間が所定の第1判定時間(例えば、2分程度)よりも長いか否かを判定する(S72参照)。
S72の判定結果がNOである場合、予測始動検証部851は、上記パーキング継続時間が上記第1判定時間よりも短い第2判定時間(例えば、数秒程度)以下であるか否かを判定する(S73参照)。このS73の判定結果がNOである場合、すなわちパーキング継続時間が第1判定時間以下でありかつ第2判定時間より長い場合には、予測始動検証部851は、自動再始動許可フラグFfを“0”から“1”に変更し(S74参照)、図4のS8に戻る。
またS72の判定結果がYESである場合又はS73の判定結果がYESである場合、すなわち上記パーキング継続時間が第1判定時間よりも長い場合又は第2判定時間以下である場合には、予測始動検証部851は、遅延処理の実行を開始するべく遅延タイマのカウントアップを開始し(S75参照)、さらに遅延フラグFf_dを“0”から“1”に変更し(S76参照)、図4のS8に移る。
またS71の判定結果がYESである場合、すなわち現在遅延処理の実行中である場合には、予測始動検証部851は、遅延タイマの値Tfが所定の閾値(例えば、1秒程度)より大きいか否かを判定する(S77参照)。S77の判定結果がYESである場合、すなわち遅延タイマのカウントアップを開始してから閾値に相当する時間が経過した場合には、予測始動検証部851は、エンジン1の自動再始動の実行を許可するべく、S74に移り、自動再始動許可フラグFfを“0”で維持したまま、図4のS8に移る。
以上より、図12の検証処理では、パーキング継続時間が第1判定時間以下でありかつ第2判定時間より長い場合、換言すればパーキング継続時間が長すぎでもなく短すぎでもない場合には、直ちに自動再始動許可フラグFfが“0”から“1”に変更される。よってこの場合、自動再始動実行時期は、予測始動判定条件が成立する契機となったブレーキペダル51の踏込操作が検出された直後に設定される。
またパーキング継続時間が第1判定時間より長い場合又はパーキング継続時間が第2判定時間以下である場合、換言すればパーキング継続時間が長すぎである場合や短すぎである場合には、遅延処理により自動再始動実行時期は、上記踏込操作が検出された直後よりも遅らせられる。またこのように遅延処理を実行している間において、閾値に相当する時間が経過する前に運転者によるブレーキペダル51の踏込が解除された場合には、予測始動判定条件が不成立となるので(図4のS1参照)、その後閾値に相当する時間が経過しても、エンジン1を自動再始動させない。
図13A及び図13Bは、図12のパーキング継続時間に基づく検証処理の具体例を示すタイムチャートである。図13Aは、パーキング継続時間が第1判定時間以下でありかつ第2判定時間より長い場合のタイムチャートであり、図13Bは、パーキング継続時間が第1判定時間よりも長い場合のタイムチャートである。なおこれら図13A及び図13Bには、運転者がブレーキペダル51を踏み込み、車両Vを停止させることによって時刻t0においてエンジン1が初期自動停止された後、時刻t1において運転者がブレーキペダル51を踏み続けたままシフト位置をドライブ位置からパーキング位置に変更した後、時刻t2においてブレーキペダル51の踏み込みを解除した場合を示す。
図13Aに示すように、時刻t3では、運転者がシフト位置をパーキング位置に設定した状態でブレーキペダル51の踏込操作を行うことにより、予測始動判定部84は、予測始動判定条件が成立したと判定する。その後予測始動検証部851は、時刻t1においてシフト位置をパーキング位置を設定してから時刻t3においてブレーキペダル51の踏込操作が検出されるまでの間の時間であるパーキング継続時間を取得する。また予測始動検証部851は、取得したパーキング継続時間が第1判定時間以下でありかつ第2判定時間より長いと判定し(図12のS72、S73参照)、自動再始動許可フラグFfを“0”から“1”に変更し(図12のS74参照)、エンジン1を自動再始動させる。したがって図13Aの例では、自動再始動実行時期は、時刻t3においてブレーキペダル51の踏込操作が検出された直後に設定される。
これに対し図13Bの例では、予測始動検証部851は、取得したパーキング継続時間が第1判定時間より長いと判定し(図12のS72参照)、所定時間にわたり遅延処理(図12のS71、S75、S76、S77参照)を実行した後、時刻t4において自動再始動許可フラグFfを“0”から“1”に変更し(図12のS74参照)、エンジン1を自動再始動させる。したがって図13Bの例では、自動再始動実行時期は、時刻t3においてブレーキペダル51の踏込操作が検出された直後よりも後の時刻t4に設定される。
また図12には、パーキング継続時間が第1判定時間より長い場合又はパーキング継続時間が第2判定時間以下である場合には、遅延タイマTfを用いて自動再始動実行時期を踏込操作が検出された直後から遅らせた場合の例を示すが、本発明はこれに限らない。例えば、パーキング継続時間が第1判定時間より長い場合又はパーキング継続時間が第2判定時間以下である場合には、エンジンを自動再始動させないこととしてもよい。
図14は、先行車の状態に基づく検証処理の具体的な手順を示すフローチャートである。
S81では、予測始動検証部851は、先行車が自車の前方の所定の距離範囲内において停止した状態で存在しているか否かを判定する。S81の判定結果がYESである場合、すなわち先行車が自車の近傍で停止した状態で存在している場合には、予測始動検証部851は、検出された第2予備操作は運転者の誤操作に基づくものであって、運転者には直ちに車両Vを発進させる意思はないと判断し、自動再始動許可フラグFgを“0”で維持したまま図4のS9に戻る。
またS81の判定結果がNOである場合、すなわち先行車が自車の近傍で停止した状態で存在していない場合には、予測始動検証部851は、エンジン1の自動再始動の実行を許可するべく、自動再始動許可フラグFgを“0”から“1”に変更し(S82参照)、図4のS9に戻る。
以上より、図14の検証処理では、予測始動判定条件が成立した時点で先行車が自車の前方の所定の距離範囲内において停止した状態で存在していない場合には、直ちに自動再始動許可フラグFdが“0”から“1”に変更される。よってこの場合、自動再始動実行時期は、予測始動判定条件が成立する契機となったブレーキペダル51の踏込操作が検出された直後に設定される。また予測始動判定条件が成立した時点で先行車が自車の前方の所定の距離範囲内において停止した状態で存在していた場合には、自動再始動実行時期は、S81の判定結果がNOとなるまで、すなわち先行車が発進するまで遅らせられる。またこのように自動再始動実行時期を遅らせている間に先行車が発進した場合には、S81の判定結果がYESとなるので、自動再始動実行時期は、先行車が発進した直後に設定される。
次に、図4に戻りS10の判定処理の具体的な手順について説明する。予測始動検証部851は、7つのフラグFa〜Fgを用いることによって、複数の態様でエンジン1を自動再始動してよいか否かを判定することが可能となっている。
例えば、予測始動検証部851は、7つのフラグFa〜Fgのうち、予め定められた1つ又は複数の特定のフラグの全てが“1”である場合には、エンジン1を自動再始動してよいと判定し、フラグF2を“0”から“1”に変更してもよい。この場合、予測始動検証部851は、上記1つ又は複数の特定のフラグの全てが “1”でない場合には、エンジン1を自動再始動して良くないと判定し、フラグF2を“0”の状態で維持する。ここで特定のフラグとは、例えば、上記7つの検証処理のうち、パーキングブレーキに基づく検証処理(S2参照)とシートベルトの装着に基づく検証処理(S5参照)との2つを特に重視する場合には、フラグFa及びFdのことを指す。この場合、予測始動検証部851は、特定のフラグであるフラグFa,Fdがともに“1”である場合には、エンジン1を自動再始動してよいと判定しフラグF2を“1”に変更し、フラグFa,Fdが両方とも“1”でない場合には、エンジン1を再始動して良くないと判定しフラグF2を“0”の状態で維持する。
また例えば、予測始動検証部851は、7つのフラグFa〜Fgのうち、予め定められた1つ又は複数の特定のフラグのうち何れか又は所定個が“1”である場合には、エンジン1を自動再始動してよいと判定し、フラグF2を“0”から“1”に変更してもよい。この場合、予測始動検証部851は、上記1つ又は複数の特定のフラグの全てが“0”である場合、又は上記1つ又は複数の特定のフラグのうち“1”であるものが所定個未満である場合には、エンジン1を自動再始動して良くないと判定し、フラグF2を“0”の状態で維持する。
また例えば、予測始動検証部851は、7つのフラグFa〜Fgのうち、1つ又は複数の所定個の不特定のフラグが“1”である場合には、エンジン1を自動再始動してよいと判定し、フラグF2を“0”から“1”に変更してもよい。この場合、予測始動検証部851は、上記所定個のフラグが“1”でない場合には、エンジン1を自動再始動して良くないと判定し、フラグF2を“0”の状態で維持する。
次に、図2に戻り、自動再停止判定部86における判定手順について具体的に説明する。自動再停止判定部86は、フラグF2が“1”である場合に作動する。
図15は、自動再停止判定部86において、フラグF3の値を決定する手順を示すフローチャートである。図15に示す処理は、フラグF2が“1”である場合に、自動再停止判定部86において、所定の制御周期の下で繰り返し実行される。
S101では、自動再停止判定部86は、自動再始動判定部82における判定結果に基づいて停止始動制御部88によってエンジン1が自動再始動されてから現在まで経過した時間である再始動継続時間を算出する。
S102では、自動再停止判定部86は、現在のシフト位置がパーキング位置であるか否かを判定する。S102の判定結果がNOである場合、すなわちシフト位置がパーキング位置以外である場合には、自動再停止判定部86は、フラグF3を“0”の状態で維持し、図15に示す処理を終了する。
S102の判定結果がYESである場合、すなわちシフト位置がパーキング位置である場合には、自動再停止判定部86は、S101で取得した再始動継続時間が所定の操作待ち時間(例えば、2〜3秒程度)より長いか否かを判定する(S103参照)。S103の判定結果がYESである場合、すなわちエンジン1が自動再始動されてから上記操作待ち時間が経過してもシフト位置がパーキング位置から変更されなかった場合には、自動再停止判定部86は、運転者には車両Vを発進させる意思が無いか又は予測始動判定条件が成立する契機となったブレーキペダル51の踏込操作が誤操作によるものであったと推定し、したがってエンジン1を自動再停止させる必要があると判定し、フラグF3を“0”から“1”に変更し(S104参照)、図15に示す処理を終了する。停止始動制御部88(図2参照)は、このフラグF3の変更を受けて直ちにエンジン1を自動再停止させる。
S103の判定結果がNOである場合、自動再停止判定部86は、ブレーキSW信号がONであるか否か、すなわち運転者によるブレーキペダル51の踏込操作が検出されているか否かを判定する(S105参照)。S105の判定結果がNOである場合、すなわちシフト位置がパーキング位置から変更されないままブレーキペダル51の踏み込みが解除された場合には、自動再停止判定部86は、運転者は車両Vを発進させる意思が無いか又は予測始動判定条件が成立する契機となったブレーキペダル51の踏込操作が誤操作によるものであったと推定し、したがってエンジン1を自動再停止させる必要があると判定し、フラグF3を“0”から“1”に変更し(S104参照)、図15の処理を終了する。
またS105の判定結果がYESである場合、すなわちシフト位置がパーキング位置に設定されかつブレーキペダル51の踏み込みが解除されていない場合には、自動再停止判定部86は、フラグF3を“0”の状態で維持し、図15に示す処理を終了する。
以上より、図15のフラグF3を決定する処理では、シフト位置がパーキング位置に設定された状態でブレーキペダル51の踏込操作が検出されたことに応じて自動再始動判定部82における判定結果に基づいてエンジン1を自動再始動させた後、この自動再始動後操作待ち時間が経過してもシフト位置がパーキング位置から変更されなかった場合には、フラグF3が“0”から“1”に変更され、エンジン1が自動再停止される(S101〜S104参照)。
また上記のようにシフト位置がパーキング位置に設定されかつブレーキペダル51が踏み込まれた状態でエンジン1を自動再始動させた後、上記操作待ち時間が経過する前に、シフト位置がパーキング位置から変更されないままブレーキペダル51の踏み込みが解除された場合にも、フラグF3が“0”から“1”に変更され、エンジン1が自動再停止される(S104、S105参照)。
ところで車両Vを発進させる際に、シフト位置をパーキング位置から他の位置に変更するまでにかかる時間は、運転者によって異なる。そこで自動再停止判定部86では、エンジン1を自動再始動させる契機となったブレーキペダル51の踏込操作を検出してからシフト位置がパーキング位置から他の位置に変更されるまでに経過した時間(実操作時間)を記憶しておき、この記憶した実操作時間を用いた図示しない学習処理を行うことによって、上記S103において規定されている操作待ち時間を決定する。すなわち、運転者による実操作時間が長い傾向が認められる場合には、これに合せて操作待ち時間を長く変更し、運転者による実操作時間が短い傾向が認められる場合には、これに合せて操作待ち時間を短く変更する。またこの学習処理では、実操作時間が操作待ち時間よりも所定の割合(例えば90%程度)で短くなるように、操作待ち時間を決定する。これにより、運転者の特性に合せて適切なタイミングでエンジン1を自動再停止させることができる。
図16A、図16B、図16Cは、図15に示す処理に基づいてエンジン1を自動再停止させる際の具体例を示すタイムチャートである。図16Aは、操作待ち時間が経過してもシフト位置が変更されなかった場合のタイムチャートであり、図16Bは、操作待ち時間が経過する前にシフト位置が変更された場合のタイムチャートであり、図16Cは、操作待ち時間が経過する前にブレーキペダル51の踏み込みが解除された場合のタイムチャートである。なおこれら図16A及び図16Bには、運転者がブレーキペダル51を踏み込み、車両Vを停止させることによって時刻t0においてエンジン1が初期自動停止された後、時刻t1において運転者がブレーキペダル51を踏み続けたままシフト位置をドライブ位置からパーキング位置に変更した後、時刻t2においてブレーキペダル51の踏み込みを解除した後、時刻t3においてブレーキペダル51が踏み込まれたことに応じてエンジン1を自動再始動させた場合を示す。
図16Aに示すように、時刻t3においてエンジン1が自動再始動された後、所定の操作待ち時間が経過するまでの間に運転者がシフト位置をパーキング位置から変更しなかった場合、自動再停止判定部86は、運転者には車両Vを発進させる意思が無いと判断し、この操作待ち時間が経過した時刻t4においてフラグF3を“0”から“1”に変更し、エンジン1を自動再停止させる。
なお図2を参照して説明したように、自動停止禁止判定部87は、商品性の悪化を抑制するため、1つの停止サイクルの間でエンジン1を自動再停止させる回数を所定の制限回数以下になるように制限する。したがってこの制限回数を1回と設定した場合、図16Aの例では、時刻t4以降においてエンジン1が自動再停止されることはない。
また図16Bに示すように、時刻t3においてエンジン1が自動再始動された後、操作待ち時間が経過する前に、時刻t4において運転者がシフト位置をパーキング位置からドライブ位置やリバース位置に変更した場合、自動再停止判定部86は、運転者には車両Vを発進させる意思があると判断し、操作待ち時間が経過してもエンジン1を自動再停止させない。また自動再停止判定部86は、運転者による上記実操作時間(図16Bにおける時刻t3〜時刻t4)を用いた学習処理を行うことによって操作待ち時間を決定する。
また図16Cに示すように、時刻t3においてエンジン1が自動再始動された後、操作待ち時間が経過する前に、時刻t4において運転者がブレーキペダル51の踏み込みを解除した場合、自動再停止判定部86は、運転者には車両Vを発進させる意思がないと判断し、この操作待ち時間が経過した時刻t4においてフラグF3を“0”から“1”に変更し、エンジン1を自動再停止させる。
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこれに限らない。