JP6660844B2 - 自動分析装置及びプログラム - Google Patents

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本発明は、例えば、患者の血液、尿等に含まれる各種の成分を分析する自動分析装置及びプログラムに関する。
極端に高い測定値を与える検体を測定すると、元検体を分注する元検体サンプリングプローブに対して通常の洗浄を行っただけでは測定済み検体による測定値への影響を十分に除去できない。以前に元検体サンプリングプローブに付着した高い測定値の検体の影響が元検体サンプリングプローブに残存して、次の検体を測定する際に高い測定値となって表われる現象を「キャリーオーバー」と呼ぶ。
複数の検体を測定する際、検体間でキャリーオーバーが発生したことが疑われ、測定値に影響があると判断された場合は、検体の再検を行い、測定結果の妥当性を確認していた。また、測定結果に影響が発生することが明らかな場合は、特別な洗剤等を用いて元検体サンプリングプローブを洗浄していた。
特許文献1には、「分析時間予測演算部は分析スケジュールに記載された各分析の分析条件に対応する分析時間を実測分析時間記憶領域から読み出してきて加算することで所要時間を推算する」と開示されている。
特開2007−198986号公報
検体間のキャリーオーバーが発生すると、様々な影響が生じる。例えば、以下の(A)〜(C)に検体間のキャリーオーバーが発生したときの影響を列挙する。
(A)元検体サンプリングプローブを介したキャリーオーバーにより、元検体が汚染される。
(B)元検体サンプリングプローブを介したキャリーオーバーにより、分注された元検体の測定値が影響を受ける。
(C)測定に使用される容器(例えば、希釈容器、反応容器)を介したキャリーオーバーにより、容器に収容された検体の測定値が影響を受ける。
近年、生化学分析では、測定値に影響を与えないオーダーでのキャリーオーバー率を実現しつつある。しかし、近年は、測定項目が多様化したことに伴い、高感度項目の増加、異検体材料の混在測定を要求する運用、生化学分析装置で測定した元検体を他分析装置で測定する場合の対応等が求められる。このため、キャリーオーバー率をこれまでより小さいオーダーとする必要があった。
キャリーオーバー率を小さくするためには、元検体サンプリングプローブ、測定に使用される容器に対する洗浄能を向上することが必要である。自動分析装置としては、キャリーオーバー率を低くすることが望ましい。しかし、自動分析装置の処理能力の向上が求められ、より早い分析動作が必要となる中で、高水準な洗浄動作を行うのは難しかった。そして、自動分析装置が高水準な洗浄動作を行うための対応策として、洗浄動作(洗剤の使用等)と洗浄回数が予め設定されている必要があった。
しかし、ある検体に対する測定値が、以前測定された検体により影響を受けたと判断し、ある検体の再測定(再検)を行う方法は、自動分析装置がユーザに測定値を報告するまでに長い時間を要するばかりか、再測定動作により試薬の消費量も増えてしまう。また、測定項目によっては、例えば、検体間キャリーオーバーの影響が懸念される。このため、自動分析装置は、ダミー項目を測定する等の対策を含む運用で検体間キャリーオーバーを回避することがあった。
さらに、検体種別の違いにより、ある項目の測定値に影響(異検体材料間キャリーオーバー)が発生する場合がある。その影響を回避するためには、次の測定に影響を与える検体種別の検体を測定した後、この検体が収容された容器、元検体サンプリングプローブの洗浄動作を実行する必要があり、自動分析装置によるルーチン動作を中断しなければならない。この場合、自動分析装置がユーザに測定値を報告するまでに、非常に長い時間を要してしまう。また、特許文献1に開示された技術では、分析に要する所要時間を推算するに過ぎず、キャリーオーバーの発生に伴う遅延時間をユーザが知ることができなかった。
本発明はこのような状況に鑑みて成されたものであり、例えば、キャリーオーバーによる検体の測定値への影響を抑え、検体測定の利便性を向上することを目的とする。
本発明に係る自動分析装置は、保持する反応容器をテスト毎に移動させ、一定のサイクル期間だけ反応容器を停止させる反応容器保持部と、検体を収容する検体容器を保持する検体保持部と、検体容器から希釈容器に検体を分注する検体分注部と、検体が希釈された希釈検体を収容する希釈容器を保持する希釈容器保持部と、希釈容器から反応容器に希釈検体を分注する希釈検体分注部と、反応容器に分注された第1試薬及び第2試薬に反応する希釈検体の測定処理の完了時間に対して、検体分注部が分注する検体によりキャリーオーバーの発生する可能性がある検体に対して設定されるキャリーオーバーの回避動作に従って、検体分注部の洗浄動作を行い、キャリーオーバーの回避動作に伴う測定処理の遅延状況を通知する制御部と、を備える。
また、本発明に係る自動分析装置は、保持する反応容器をテスト毎に移動させ、一定のサイクル期間だけ反応容器を停止させる反応容器保持部と、検体を収容する検体容器を保持する検体保持部と、検体容器から反応容器に検体を分注する検体分注部と、反応容器に分注された第1試薬及び第2試薬に反応する検体の測定処理の完了時間に対して、検体分注部が分注する検体によりキャリーオーバーの発生する可能性がある検体に対して設定されるキャリーオーバーの回避動作に従って、検体分注部の洗浄動作を行い、キャリーオーバーの回避動作に伴う測定処理の遅延状況を通知する制御部と、を備える。
本発明によれば、キャリーオーバーの回避動作に伴う測定処理の遅延状況が通知されるため、ユーザは、遅延状況に応じた適切な対応をとることが可能となり、検体測定の利便性が向上する。
上述した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態例の説明により明らかにされる。
本発明の第1の実施の形態例に係る自動分析装置を模式的に示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態例に係る元検体サンプリングプローブ洗浄機構の動作例を示す断面図である。 本発明の第1の実施の形態例に係る制御装置の内部構成例を示すブロック図である。 本発明の第1の実施の形態例に係る検体間キャリーオーバー回避の設定画面の画面構成図である。 本発明の第1の実施の形態例に係る異検体材料間キャリーオーバー回避の設定画面の画面構成図である。 本発明の第1の実施の形態例に係る元検体汚染回避の設定画面の画面構成図である。 本発明の第1の実施の形態例に係る検体間キャリーオーバーを回避する処理の例を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態例に係る生化学分析装置が検体Aを測定後、検体Bを測定する際に検体間キャリーオーバー回避動作が必要となることを示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態例に係る生化学分析装置が検体Bを測定後、再検対象である検体Xを測定する際に検体間キャリーオーバー回避動作が必要となることを示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態例に係る生化学分析装置が検体Bを測定後、再検対象である検体Xを測定する際に検体間キャリーオーバー回避動作が必要となることを示す説明図である。 本発明の第1の実施の形態例に係る洗浄予定を最適化する処理の例を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態例に係るプローブに発生するキャリーオーバーを回避する処理の例を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態例に係る希釈容器に発生するキャリーオーバーを回避する処理の例を示すフローチャートである。 本発明の第1の実施の形態例に係る希釈容器情報の例を示す一覧表である。 本発明の第1の実施の形態例に係る測定遅延通知画面の画面構成図である。 本発明の第2の実施の形態例に係る自動分析装置を模式的に示す説明図である。
以下、本発明を実施するための形態例について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
[1.第1の実施の形態例]
<1−1.自動分析装置の構成>
まず、本例の自動分析装置について図1を参照して説明する。
図1は、本例の自動分析装置を模式的に示す説明図である。
図1に示す装置は、本発明の自動分析装置の一例として適用する生化学分析装置1である。生化学分析装置1は、血液や尿等の生体から採取した元検体(「検体」とも呼ぶ)に含まれる特定の成分の量を自動的に測定する装置である。
検体を希釈液により希釈可能な希釈機構を有する生化学分析装置1では、元検体サンプリングプローブ7による検体間キャリーオーバーだけではなく、希釈容器23内に収容される希釈された元検体(以下、「希釈検体」という)をサンプリングする希釈検体サンプリングプローブ8を介した検体間キャリーオーバーも懸念される。また、希釈容器23内の希釈検体は、測定項目によっては元検体を希釈せず原液の検体が希釈容器23に分注され、測定される場合もある。
また、生化学分析装置1には、特定の元検体に対して、自動で再検査を行う機能がある。この機能により、生化学分析装置1は、元検体を再度サンプリングして再検査を行う「元検体再検」と、希釈容器23内に保持してある希釈検体を使用して再検査を行う「希釈検体再検」が可能である。元検体再検時には、元検体サンプリングプローブ7のキャリーオーバー回避動作に伴い、希釈検体サンプリングプローブ8もキャリーオーバー回避を行うことが可能になる。しかし、希釈検体再検時には、元検体サンプリングプローブ7の分注動作が発生せずに、希釈検体サンプリングプローブ8の分注動作だけが発生する可能性がある。このため、生化学分析装置1では、検体間キャリーオーバーの回避動作を行い、信頼性の高い測定値を出力するようにしている。
この生化学分析装置1は、サンプルターンテーブル2と、希釈ターンテーブル3と、第1ターンテーブル4と、第2ターンテーブル5と、反応ターンテーブル6と、を備えている。また、生化学分析装置1は、元検体サンプリングプローブ7と、希釈検体サンプリングプローブ8と、希釈撹拌機構9と、サンプルバーコードリーダ10と、希釈容器洗浄機構11と、第1試薬分注プローブ12と、第2試薬分注プローブ13と、第1反応液撹拌機構14と、第2反応液撹拌機構15と、多波長光度計16と、恒温槽17と、反応容器洗浄機構18と、制御装置40とを備えている。さらに、生化学分析装置1は、元検体サンプリングプローブ洗浄機構31、希釈検体サンプリングプローブ洗浄機構32、第1試薬プローブ洗浄機構33、第2試薬分注プローブ洗浄機構34を備える。この生化学分析装置1では、例えば、希釈検体サンプリングプローブ8等の各種プローブによる検体の分注動作や、第1反応液撹拌機構14又は第2反応液撹拌機構15による撹拌動作の繰り返しの1単位が1サイクルの時間を掛けて行われる。
サンプルターンテーブル2、希釈ターンテーブル3、第1ターンテーブル4、第2ターンテーブル5、反応ターンテーブル6は、不図示の駆動機構によって周方向に沿って回転可能に支持され、周方向に所定の角度範囲毎に、所定の速度で回転する。
サンプルターンテーブル2(検体保持部の一例)は、検体が収容されたサンプルトレイ21と、保冷サンプルトレイ22(いずれも検体容器の一例)を保持する。このサンプルターンテーブル2には、サンプルターンテーブル2の円周上に配列された複数のサンプルトレイ21と、サンプルトレイ21の内周に、サンプルトレイ21よりも小さな径で円周上に配列された複数の保冷サンプルトレイ22が収容されている。サンプルトレイ21には、検体及び洗剤が収容されている。保冷サンプルトレイ22には、通常の希釈液である生理食塩水以外に洗剤が収容されている。
希釈ターンテーブル3(希釈容器保持部の一例)には、複数の希釈容器23が希釈ターンテーブル3の周方向に並べて収容されている。希釈容器23には、サンプルターンテーブル2に配置されたサンプルトレイ21から吸引され、希釈された元検体(希釈検体)が収容される。
第1ターンテーブル4(第1試薬容器保持部の一例)には、複数の第1試薬容器24が第1ターンテーブル4の周方向に並べて収容されている。また、第2ターンテーブル5(第2試薬容器保持部の一例)には、複数の第2試薬容器25が第2ターンテーブル5の周方向に並べて収容されている。第1試薬容器24には、濃縮された第1試薬が収容され、第2試薬容器25には、濃縮された第2試薬が収容される。第1試薬容器24に収容された第1試薬と、第2試薬容器25に収容された第2試薬は、不図示の保冷機構によって所定の温度で保冷される。
反応ターンテーブル6(反応容器保持部の一例)は、希釈ターンテーブル3と、第1ターンテーブル4及び第2ターンテーブル5の間に配置され、複数の反応容器26が反応ターンテーブル6の周方向に並べて収容されている。そして、反応ターンテーブル6は、保持する反応容器26をテスト毎に移動させ、一定のサイクル期間だけ反応容器26を停止させる。反応容器26には、希釈ターンテーブル3の希釈容器23からサンプリングされた希釈検体と、第1ターンテーブル4の第1試薬容器24からサンプリングされた第1試薬と、第2ターンテーブル5の第2試薬容器25からサンプリングされた第2試薬とが注入される。そして、この反応容器26内において、希釈検体と、第1試薬及び第2試薬が撹拌され、反応が行われる。
元検体サンプリングプローブ7(検体分注部の一例)は、サンプルターンテーブル2と希釈ターンテーブル3の周囲に配置され、不図示の希釈プローブ駆動機構により、サンプルターンテーブル2及び希釈ターンテーブル3の軸方向(例えば、上下方向)に移動可能に支持されている。元検体サンプリングプローブ7は、予め設定された吸引位置にあるサンプルトレイ21又は保冷サンプルトレイ22から所定量の検体、洗剤等の液体を吸引し、予め設定された位置にある希釈容器23に、吸引した検体と、元検体サンプリングプローブ7自体から供給される所定量の希釈液(例えば、生理食塩水)を吐出する。これにより、希釈容器23内で、検体が所定倍数の濃度に希釈される。このように元検体サンプリングプローブ7は、検体を希釈することを主目的として希釈容器23に検体を分注する。元検体サンプリングプローブ7は、サンプルターンテーブル2と希釈ターンテーブル3の間に設けられた元検体サンプリングプローブ洗浄機構31(第1洗浄部の一例)によって洗浄される。
希釈検体サンプリングプローブ8(希釈検体分注部の一例)は、希釈ターンテーブル3と反応ターンテーブル6の間に配置され、不図示のサンプリングプローブ駆動機構により、希釈ターンテーブル3の軸方向(上下方向)と水平方向に移動及び回動可能に支持されている。希釈検体サンプリングプローブ8は、希釈ターンテーブル3の希釈容器23から所定量の希釈検体を吸引し、吸引した希釈検体を反応ターンテーブル6の反応容器26内に吐出する。なお、生化学分析装置1が希釈ターンテーブル3を使用しない、又は希釈ターンテーブル3がない構成であれば、反応容器26には、希釈検体サンプリングプローブ8によってサンプルターンテーブル2から反応容器26に検体が分注される。希釈検体サンプリングプローブ8は、希釈ターンテーブル3と反応ターンテーブル6の間に設けられた希釈検体サンプリングプローブ洗浄機構32(第2洗浄部の一例)によって洗浄される。
希釈撹拌機構9及び希釈容器洗浄機構11は、希釈ターンテーブル3の周囲に配置されている。希釈撹拌機構9は、不図示の攪拌棒を希釈容器23内に挿入し、検体と希釈液を撹拌する。希釈容器洗浄機構11は、洗剤ポンプから希釈容器洗浄ノズルに洗剤を供給し、希釈容器洗浄ノズルから希釈容器23内に洗剤を吐出する。
サンプルバーコードリーダ10は、サンプルターンテーブル2の側面に設けられている。サンプルバーコードリーダ10は、サンプルターンテーブル2に収容されたサンプルトレイ21、保冷サンプルトレイ22の側面に付されたバーコードを読み取り、サンプルトレイ21、保冷サンプルトレイ22に収容された検体、希釈液を管理している。
第1試薬分注プローブ12(第1試薬分注部の一例)は、反応ターンテーブル6と第1ターンテーブル4の間に配置され、不図示の第1試薬プローブ駆動機構により、反応ターンテーブル6の軸方向(上下方向)と水平方向に移動及び回動可能に支持されている。第1試薬分注プローブ12は、予め設定された吸引位置にある第1試薬容器24から所定量の第1試薬等の液体を吸引し、吸引した第1試薬を予め設定された位置にある反応容器26へ吐出する。第1試薬分注プローブ12は、反応ターンテーブル6と第1ターンテーブル4の間に設けられた第1試薬プローブ洗浄機構33(第3洗浄部の一例)によって洗浄される。
なお、第1試薬分注プローブ12は、第1試薬容器24に収容されている洗剤を吸引し、反応容器26に吐出することも可能である。
第2試薬分注プローブ13(第2試薬分注部の一例)は、反応ターンテーブル6と第2ターンテーブル5の間に配置され、不図示の第2試薬分注プローブ駆動機構により、反応ターンテーブル6の軸方向(上下方向)と水平方向に移動及び回動可能に支持されている。第2試薬分注プローブ13は、第2ターンテーブル5の第2試薬容器25から所定量の第2試薬を吸引し、吸引した第2試薬を反応ターンテーブル6の反応容器26内に吐出する。第2試薬分注プローブ13は、反応ターンテーブル6と第2ターンテーブル5の間に設けられた第2試薬分注プローブ洗浄機構34(第4洗浄部の一例)によって洗浄される。
第1反応液撹拌機構14、第2反応液撹拌機構15及び反応容器洗浄機構18は、反応ターンテーブル6の周囲に配置されている。第1反応液撹拌機構14(第1攪拌部の一例)は、不図示の攪拌棒を反応容器26内に挿入し、希釈検体と第1試薬を撹拌する。第2反応液撹拌機構15(第2攪拌部の一例)は、不図示の攪拌棒を反応容器26内に挿入し、希釈検体と、第1試薬と、第2試薬との混合液を撹拌する。反応容器洗浄機構18は、検査が終了した反応容器26内を洗浄する。
多波長光度計16は、反応ターンテーブル6の周囲における反応ターンテーブル6の外壁と対向するように配置され、反応容器に光線を照射する光源ランプとして用いられる。多波長光度計16は、反応容器26内に注入され、第1薬液及び第2薬液と反応した希釈検体に対して光学的測定(比色測定)を行って、検体中の様々な成分の量を「吸光度」という数値データとして出力し、希釈検体の反応状態を検出する。多波長光度計16には、生化学分析装置1の各部の動作を制御するための制御装置40が接続されている。
反応ターンテーブル6の周囲には、恒温槽17が配置されている。この恒温槽17は、反応ターンテーブル6に設けられた反応容器26の温度を常時一定に保持するように構成されている。
<1−2.元検体サンプリングプローブ洗浄機構の動作例>
図2は、元検体サンプリングプローブ洗浄機構31の動作例を示す断面図である。
元検体サンプリングプローブ7が希釈容器23に元検体を分注した後、元検体に基づくキャリーオーバーを回避するために、元検体サンプリングプローブ洗浄機構31によって元検体サンプリングプローブ7の洗浄動作が行われる。元検体サンプリングプローブ7を洗浄するために、異なる洗浄方法を連続して行う設定が可能である。例えば、元検体サンプリングプローブ7の外面を洗剤により洗浄する洗浄方法を行った後、内部水W1により、元検体サンプリングプローブ7の内部を洗浄する洗浄方法を連続して行うことが可能である。
例えば、サンプルターンテーブル2から洗剤を吸い出した元検体サンプリングプローブ7の先端が元検体サンプリングプローブ洗浄機構31の洗浄ポートに下降する。そして、元検体サンプリングプローブ洗浄機構31の純水ノズル35から吐出された外部水W2(純水)が、元検体サンプリングプローブ7の先端を洗浄する。
併せて、元検体サンプリングプローブ7の内部からも洗剤を含む内部水W1が吐出される。元検体サンプリングプローブ7を洗浄した内部水W1と外部水W2は、洗浄ポートの下部に設けられた排水孔から排出される。このようにして元検体サンプリングプローブ7の内面及び外面に付着していた元検体が洗い流され、元検体サンプリングプローブ7が再び使用される。
なお、希釈検体サンプリングプローブ洗浄機構32、第1試薬プローブ洗浄機構33、第2試薬分注プローブ洗浄機構34についても、元検体サンプリングプローブ洗浄機構31と同様の構成としてあり、各プローブを洗浄することができる。
<1−3.制御装置の構成例>
次に、制御装置40の構成例を説明する。
図3は、制御装置40の内部構成例を示すブロック図である。
制御装置40は、バス46に接続された、制御部41と、記憶部42と、表示部43と、入力部44と、インターフェイス部45とを備える。
制御部41は、CPU(Central Processing Unit)等によって構成されており、記憶部42から読出したプログラムに基づいて生化学分析装置1内の各部の動作を制御する。制御部41は、キャリーオーバー回避動作が発生していることをユーザにリアルタイムに知らせるため、通常の測定動作にキャリーオーバー回避動作が割り込んだことにより元検体の分注動作が遅れ、測定データの取得が遅延することを表示部43に表示する(後述する図15を参照)。そこで、制御部41は、反応容器26に分注された第1試薬及び第2試薬に反応する希釈検体の測定処理の完了時間に対して、元検体サンプリングプローブ7が分注する元検体によりキャリーオーバーの発生する可能性がある元検体に対して設定されるキャリーオーバーの回避動作に従って、元検体サンプリングプローブ7の洗浄動作を行い、キャリーオーバーの回避動作に伴う測定処理の遅延状況を通知することが可能である。制御部41が実行する様々な処理の詳細は後述する。
記憶部42は、例えば、HDD(Hard disk drive)等の大容量の記録装置によって構成されており、制御部41のプログラム、パラメータ、検量線、入力部44によってなされた入力操作等を記録する。
表示部43は、希釈検体、第1試薬及び第2試薬の混合液の測定結果等を表示する。この表示部43には、例えば、液晶ディスプレイ装置等が用いられる。
入力部44は、ユーザによって行われる生化学分析装置1に対する操作入力を受け付け、入力信号を制御部41に出力する。この入力部44には、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル等が用いられる。
インターフェイス部45は、多波長光度計16が測定した混合液の測定値が入力されると、制御部41に測定値を渡す。なお、図2では、インターフェイス部45に多波長光度計16だけを接続した例を示しているが、生化学分析装置1内の各部についても同様にインターフェイス部45に接続され、制御装置40による制御が行われる。
<1−4.設定画面の例>
次に、表示部43に表示される設定画面の構成例について、図4〜図6を参照して説明する。
図4〜図6は、キャリーオーバー設定回避の設定画面P1の構成例を示す画面構成図である。
図4は、検体間キャリーオーバー回避の設定画面P10の画面構成図である。
図5は、異検体材料間キャリーオーバー回避の設定画面P20の画面構成図である。
図6は、元検体汚染回避の設定画面P30の画面構成図である。
キャリーオーバー設定回避の設定画面P1は、タブブラウザ形式で構成されており、ユーザが入力部44を操作して上部のタブT1〜T3のいずれを選択することで3種類の設定画面P10〜P13のいずれかを切替えて表示部43に表示可能である。タブT1が選択されると検体間キャリーオーバー回避の設定画面P10が表示され、タブT2が選択されると異検体材料間キャリーオーバー回避の設定画面P20が表示され、タブT3が選択されると元検体汚染回避の設定画面P30が表示される。
<1−4−1.検体間キャリーオーバー回避の設定画面の例>
図4に示す検体間キャリーオーバー回避の設定画面P10は、複数の被験者から取得された特定の種別の検体(例えば、尿)を測定する際に、ある被験者の検体が、他の被験者の検体に影響を与える検体間キャリーオーバーを回避するために設定される画面である。設定画面P10で設定されるキャリーオーバーの回避動作は、同一種別である検体の切り替わり時におけるキャリーオーバーを回避するための動作である。
設定画面P10では、ユーザが指定する動作による元検体サンプリングプローブ7と希釈容器23による検体間キャリーオーバー判定が設定される。このため、元検体サンプリングプローブ7を介した検体間キャリーオーバーを回避し、検体の測定値に影響が及ぶことを回避することが可能となる。また、設定されている項目の測定が行われた希釈容器23の希釈検体を使用した以後、さらに希釈容器23を使用し測定を行う際に、同一の項目を測定する場合は、希釈容器23に対し任意の洗浄動作を行うことができる。
設定画面P10には、測定項目に対する項目No、項目名、判定値強陽性閾値、下限値、上限値、プローブ洗浄チェック、洗剤番号(1)、回数、希釈容器洗浄、洗剤番号(2)の各フィールドが含まれる。
項目Noフィールドには、検体の検査項目の番号が格納される。
項目名フィールドには、検査項目の名称が格納される。
判定値強陽性閾値フィールド、下限値フィールド、上限値フィールドには、それぞれ所定の数値が格納される。強陽性閾値、下限値、上限値は、制御部41が測定値の高値異常を検出するために用いる値であり、強陽性閾値>上限値>下限値の関係を満たす。複数の検体について、任意の測定項目を順次分析した場合、検体間キャリーオーバーにより、過去に測定した検体の測定値が、現在測定した検体の測定値に影響を与える場合がある。このため、強陽性閾値を設けることで、制御部41は、検体間キャリーオーバーの影響が予想される測定項目の分析時に、以前測定した検体が次検体に対して検体間キャリーオーバーを発生させる可能性の有無を判定することが可能となる。例えば、制御部41は、強陽性閾値を超える高値異常が検出された検体の次に測定された検体の測定値が、予め定めた下限値以上、上限値未満である場合に、検体間キャリーオーバーの可能性があると判断することができる。なお、検体の測定値が下限値未満であれば陰性、検体の測定値が上限値以上であれば陽性と判定するよう、ユーザが任意に設定可能である。制御部41は、次検体の測定に際して、元検体サンプリングプローブ7又は希釈容器23に検体間キャリーオーバーが発生しているか否かの判断を行い、検体間キャリーオーバーが発生している可能性があれば、表示部43に検体間キャリーオーバーの可能性を示唆する警告、影響を及ぼした検体No.等を表示することが可能である。
プローブ洗浄チェックフィールドには、元検体サンプリングプローブ7の洗浄有無を示すため、洗浄が必要である場合にチェックマークが付される。チェックマークが付されていれば、元検体サンプリングプローブ7の洗浄設定がONされており、チェックマークが付されていなければ、洗浄設定がOFFされている。そして、洗浄設定がONである場合、元検体の切り替わり時には、元検体サンプリングプローブ7に対して設定されたキャリーオーバー回避動作が行われる。元検体サンプリングプローブ7の回避動作に伴い、攪拌棒、希釈検体サンプリングプローブ8についても、元検体サンプリングプローブ7に設定された同じキャリーオーバー回避動作が行われる。
洗剤番号(1)フィールドには、元検体サンプリングプローブ7の洗浄に用いられる洗剤の種類を特定する洗剤番号が格納される。
回数フィールドには、元検体サンプリングプローブ7の洗浄回数が格納される。
攪拌棒の洗浄を目的として、洗剤を使用した洗浄動作が設定されている場合、元検体サンプリングプローブ7による1回の分注動作では、希釈容器23内に分注する必要がある洗剤の量が不足することがある。例えば、元検体サンプリングプローブ7による1回の分注動作で250μLまでの元検体と希釈液を分注可能であれば、同じ容量、形状である2つの希釈容器23に収容される希釈検体の量が250μLの場合に1回、500μLの場合に2回の分注動作が必要となる。そして、500μLの希釈検体が収容された希釈容器23の液面の高さは、250μLの希釈検体が収容された希釈容器23の液面の高さの約2倍となる。攪拌棒は、希釈容器23に収容された希釈検体の量にかかわらず、同じ位置まで降下する。このため、500μLの希釈検体が収容された希釈容器23に降下した攪拌棒に付着する希釈検体の、攪拌棒の先端からの高さは、250μLの希釈検体が収容された希釈容器23に降下した攪拌棒に付着する希釈検体の、攪拌棒の先端からの高さよりも高い。そして、250μLの希釈検体が収容されていた希釈容器23を攪拌した攪拌棒を洗浄する際には、元検体サンプリングプローブ7による1回の分注動作により分注された洗剤で足りる。しかし、500μLの希釈検体が収容されていた希釈容器23を攪拌した攪拌棒を洗浄する際には、元検体サンプリングプローブ7による2回以上の分注動作により洗剤を分注することとなる。
希釈容器洗浄フィールドには、希釈容器23の洗浄有無を示すため、希釈容器23をどのように洗浄するかを示す洗浄内容が格納される。希釈容器洗浄に「毎回」又は「強陽性」が指定されていれば、今回使用された希釈容器23が次回使用される際には、指定された洗浄動作により希釈容器23のキャリーオーバー回避動作が行われる。
洗剤番号(2)フィールドには、希釈容器23の洗浄に用いられる洗剤の種類を特定する洗剤番号が格納される。
上述したように元検体サンプリングプローブ7の洗浄動作回数が増えた場合、生化学分析装置1の処理能力が低下する可能性がある。このため、以前の動作で分注済みの洗剤が希釈容器23に収容されていれば、元検体サンプリングプローブ7は、この洗剤を用いて、設定されたキャリーオーバー回避動作を行う。そして、元検体サンプリングプローブ7は、希釈容器23から吸引した洗剤を希釈容器23に吐出せず排水孔に吐出する。また、攪拌棒は、以前の動作で希釈容器23に分注済みの洗剤を用いて洗浄する。これにより、元検体サンプリングプローブ7がサンプルトレイ21から洗剤を吸引する動作を行わなくて済み、キャリーオーバー回避動作による測定遅延を低減することができる。
<1−4−2.異検体材料間キャリーオーバー回避の設定画面の例>
図5に示す異検体材料間キャリーオーバー回避の設定画面P20は、検体(例えば、「尿」、「血清」)を連続して測定する際に、ある検体が、異検体材料である別の検体の測定値に影響を及ぼす異検体材料間キャリーオーバーを回避するために設定される画面である。設定画面20で設定されるキャリーオーバーの回避動作は、検体の検体種別の切り替わり時におけるキャリーオーバーを回避するための動作である。設定画面P20においても、ユーザが指定する動作による元検体サンプリングプローブ7と希釈容器23の洗浄設定を行うことができる。
設定画面P20では、「与える」と「受ける」の設定を可能とし、それぞれに元検体サンプリングプローブ7の洗浄設定と、希釈容器23の洗浄設定とを可能としている。「与える」とは、次に測定される検体の測定値に影響を与える検体を表し、「受ける」とは、前に測定された検体により測定値が影響を受ける検体を表す。設定画面P20には、「与える」、「受ける」、プローブ洗浄チェック、洗剤番号(1)、回数、希釈容器洗浄、洗剤番号(2)の各フィールドが含まれる。
「与える」フィールドには、前に測定された検体の名称が格納される。
「受ける」フィールドには、次に測定される検体の名称が格納される。
例えば、「尿」の次に「血清」が測定される場合、「与える」に「尿」が格納され、「受ける」に「血清」が格納される。このように「与える」と「受ける」には、「生化学分析装置1に設定可能な検体材料」(例えば、血清/尿/その他)、「検体カテゴリ」(例えば、緊急検体/微量検体等)、「項目」(項目名を指定、全ての項目)、「洗剤」(生化学分析装置1に設定可能な洗剤)、「検体希釈液」(元検体サンプリングプローブ7で分注する試薬)が設定可能である。
プローブ洗浄チェックフィールドには、元検体サンプリングプローブ7の洗浄設定をON又はOFFする設定が可能である。
洗剤番号(1)フィールドには、洗浄動作(使用洗剤の設定、又は元検体サンプリングプローブ7の内部水W1を使用した洗浄動作の設定)の設定が可能である。
回数フィールドには、洗浄回数の設定が可能である。
希釈容器洗浄フィールドは、希釈容器23の洗浄設定をON又はOFFとする設定が可能である。
洗剤番号(2)フィールドには、使用する洗剤の設定、又は、その希釈容器23を測定に使用せず、希釈容器洗浄機構11による希釈容器23の洗浄を再度行う設定等が可能とである。
なお、希釈容器洗浄にチェックマークが付されていれば、今回使用された希釈容器23が次回使用される際には、指定された洗浄動作(洗剤、洗浄回数等)によりキャリーオーバー回避動作が行われる。
<1−4−3.元検体汚染回避の設定画面の例>
図6に示す元検体汚染回避の設定画面P30は、元検体の汚染を回避するために設定される画面である。設定画面P30で設定されるキャリーオーバーの回避動作は、元検体サンプリングプローブ7による元検体に対する汚染を回避するための動作である。粘性の高い元検体が使用される場合、複数回にわたって元検体サンプリングプローブ7を洗剤により洗浄する動作が行われることで、元検体サンプリングプローブ7に付着した元検体により、汚染される可能性を低めることができる。設定画面P30では、ユーザが指定する動作による元検体サンプリングプローブ7の洗浄設定を行うことができる。
設定画面P30には、プローブ洗浄チェック、洗剤番号、回数の各フィールドが含まれる。
プローブ洗浄チェックフィールドには、元検体サンプリングプローブ7の洗浄設定をON又はOFFとする設定が可能である。
洗剤番号フィールドには、元検体サンプリングプローブ7の洗浄動作(使用洗剤の設定又は元検体サンプリングプローブ7の内部水W1を使用した洗浄動作の設定)が設定される。
回数フィールドには、洗浄回数の設定が可能である。
そして、制御部41は、元検体サンプリングプローブ7が希釈容器23に検体を分注した後、設定画面P10〜P30を通じて設定されたキャリーオーバーの回避動作に従って、元検体サンプリングプローブ洗浄機構31により元検体サンプリングプローブ7を洗浄する。
また、制御部41は、元検体サンプリングプローブ7が希釈容器23に検体を分注した後、設定画面P10、P20を通じて設定されたキャリーオーバーの回避動作に従って、希釈容器洗浄機構11により希釈容器23を洗浄する。
<1−5.生化学分析装置の処理の例>
次に、生化学分析装置1で行われる各処理について、図7〜図13を参照して説明する。
図7は、検体間キャリーオーバーを回避する処理の例を示すフローチャートである。この処理では、例えば、検体A、Bの順に生化学分析装置1による測定が行われ、検体Aの測定は既に完了しているものとする。そして、検体Bの希釈検体は、以前、検体Aの希釈検体が収容され、測定された希釈容器23に収容されるものとする。
制御部41は、検体Bを測定する処理を開始する。このとき、制御部41は、判定項目の依頼有無を確認する(S1)。判定項目は、図4の項目No、項目名により特定される。判定項目の依頼が無い場合、生化学分析装置1が通常動作を行い(S2)、通常の希釈容器23に収容した希釈検体の分析を行う(S3)。
ステップS2にて判定項目の依頼がある場合、制御部41は、元検体サンプリングプローブ7の洗浄設定を確認する(S4)。洗浄設定がある場合、元検体サンプリングプローブ洗浄機構31が元検体サンプリングプローブ7の洗浄を行う(S5)。洗浄設定が無い場合、元検体サンプリングプローブ7の洗浄は行われない(S6)。
次に、制御部41は、前回、使用予定の希釈容器23を用いて、判定項目が測定されたか否かを判定する(S7)。使用予定の希釈容器23により判定項目が測定されていない場合、生化学分析装置1は希釈容器23を洗浄せずに使用する通常動作を行い(S8)、希釈容器23の希釈検体により分析を行う(S9)。
一方、使用予定の希釈容器23により判定項目が測定された場合、希釈容器23によりキャリーオーバーが発生する可能性がある。このため、制御部41は、希釈容器23の洗浄設定を確認する(S10)。この確認は、図4の希釈容器洗浄により特定される。
希釈容器23の洗浄設定がない場合、生化学分析装置1は希釈容器23を洗浄せずに使用する通常動作を行い(S11)、希釈容器23の希釈検体により分析を行う(S12)。
希釈容器23を毎回洗浄する設定である場合、希釈容器洗浄機構11が希釈容器23の洗浄を行う(S13)。つまり、測定の度に希釈容器23が洗浄される。
希釈容器23の洗浄設定が強陽性である場合、制御部41は、前回、測定された検体Aの測定値を取得し(S14)、検体Aの測定値と強陽性閾値を比較する(S15)。
検体Aの測定値が強陽性閾値以上である場合、以前測定された検体Aによるキャリーオーバーが発生する恐れがあるため、希釈容器洗浄機構11が希釈容器23の洗浄を行う(S13)。
検体Aの測定値と強陽性閾値との比較結果が不明(例えば、検体Aを測定中)である場合、制御部41は、警報を出力する(S16)。その後、希釈容器洗浄機構11が希釈容器23の洗浄を行ってもよいし(S13)、希釈容器23を洗浄せずに通常動作を行って(S17)、希釈容器23の希釈検体により分析を行ってもよい(S18)。
検体Aの測定値が強陽性閾値未満である場合、希釈容器23を洗浄しなくても検体Aによるキャリーオーバーが発生する可能性は少ない。このため、制御部41は、希釈容器23を洗浄せずに使用する通常動作を行って(S19)、希釈容器23の希釈検体により分析を行ってもよい(S20)。
次に、検体間キャリーオーバー回避動作が必要となる場合について説明する。
図8は、生化学分析装置1が検体Aを測定後、検体Bを測定する際に検体間キャリーオーバー回避動作が必要となることを示す説明図である。
この図では、装置動作サイクル、希釈容器元検体分注動作、元検体サンプリングプローブの動作、攪拌動作、希釈容器希釈検体分注動作、希釈検体サンプリングプローブの動作について示されている。
装置動作サイクルとは、生化学分析装置1の動作サイクルを下矢印で示したものである。下矢印の隣には、サイクル番号を(1)〜(5)まで付している。
希釈容器元検体分注動作とは、元検体サンプリングプローブ7により、希釈容器23に元検体が分注される際の、1サイクルにおける分注動作のステップ数を表しており、基本的に1ステップずつ進む。
元検体サンプリングプローブとは、元検体サンプリングプローブ7が検体を吐出する位置に到着した希釈容器23に分注される検体又は洗剤の種類を示している。サイクル(1)では、希釈容器23に検体Aを分注し、サイクル(2)で別の希釈容器23に洗剤を分注し、サイクル(3)でさらに別の希釈容器23に検体Bを分注する。
攪拌動作とは、希釈容器23に分注された検体又は洗剤を攪拌する動作を示す。
希釈容器希釈検体分注動作とは、希釈容器23に収容されている希釈検体が、希釈検体サンプリングプローブ8により反応容器26に分注される際の、1サイクルにおける分注動作のステップ数を表しており、基本的に1ステップずつ進む。
希釈検体サンプリングプローブとは、希釈検体サンプリングプローブ8が希釈容器23の希釈検体を吸引する分注動作、又は洗浄する動作を示している。希釈検体サンプリングプローブ8は、サイクル(3)で希釈容器23に収容されている検体Aの希釈検体を反応容器26に分注する。そして、検体A、B間でキャリーオーバーが発生する可能性があるため、希釈検体サンプリングプローブ8は、サイクル(4)で希釈容器23に収容されている洗剤を使って洗浄動作を行う。その後、希釈検体サンプリングプローブ8は、サイクル(5)で別の希釈容器23に収容されている検体Bの希釈検体を別の反応容器26に分注する。
このようにサイクル(2)で洗剤が希釈容器23に分注される回避動作は、通常の測定動作に対する割り込み動作であるため、洗浄回数1回につき1サイクルずつ検体の分注動作が遅れる。さらに、キャリーオーバー回避動作の設定の組み合わせにより洗浄回数が決まるため、キャリーオーバー回避動作にかかる時間も一定時間とは限らない。例えば、「与える」要素が洗剤(アルカリ)であり、「受ける」要素が血清である場合、図示しないものの洗剤(酸)を用いた洗浄動作が必要となる。このため、尿、血清の順に測定を行う場合には、尿の測定が終わった後、洗剤(アルカリ)による洗浄が行われ、さらに洗剤(酸)を用いた洗浄が行われた後、血清の測定が行われる。このように異検体材料間キャリーオーバー回避動作には、図5で示した「与える」要素と、「受ける」要素の組合せからは見えない洗浄動作が設定の組合せとして含まれる。このため、生化学分析装置1は、キャリーオーバー回避動作の設定や、割り込みプローブ回避動作の記録を記憶部42に保持し、管理情報として管理しておく。制御部41は、この管理情報に基づき、キャリーオーバー回避設定されている動作を過不足なく行う。
制御部41は、キャリーオーバー回避動作を実行できる場合に、希釈検体サンプリングプローブ8の洗浄予定を最適化する(後述する図11を参照)ことで、必要最小限の洗剤で洗浄を行う。また、制御部41は、管理情報に基づき、測定遅延の状況を演算し、表示部43に遅延状況を通知する。なお、制御部41は、回避動作がない時と回避動作がある時とで検体の測定時間を比較した結果(例えば、図15に示す処理能力)を表示部43に表示してもよい。
図9は、生化学分析装置1が検体Bを測定後、再検対象である検体Xを測定する際に検体間キャリーオーバー回避動作が必要となることを示す説明図である。
希釈検体再検が動作した場合、希釈検体サンプリングプローブ8のみが検体間キャリーオーバー回避動作を行わなければならない状況が発生する。この場合、キャリーオーバーの回避動作は、希釈検体の再検時に希釈検体サンプリングプローブ洗浄機構32により希釈検体サンプリングプローブ8を洗浄する動作となる。この回避動作では、希釈容器23は、希釈ターンテーブル3の回転動作に伴い移動し、希釈容器洗浄機構11により洗浄される。このため、希釈容器洗浄機構11により洗浄される前の希釈容器23内に洗浄動作に必要な洗剤が収容されている場合は、その洗剤を使用し、希釈検体サンプリングプローブ8の洗浄動作を行う。
例えば、サイクル(1)で希釈検体サンプリングプローブ8が希釈容器23に収容されている検体Bの希釈検体を反応容器26に分注する。そして、サイクル(2)で希釈検体再検が発生したことが示される。この場合、希釈容器希釈検体分注動作は、例えば、xxステップ進む。また、希釈検体サンプリングプローブ8は、希釈容器23に予め収容されている洗剤を用いて洗浄動作を行う。サイクル(3)では、サイクル(2)で洗浄された希釈検体サンプリングプローブ8が再検対象である検体Xを反応容器26に分注する。このようにして、検体Bと検体X間で希釈検体サンプリングプローブ8による検体間キャリーオーバー回避動作が行われる。
図10は、生化学分析装置1が検体Bを測定後、再検対象である検体Xを測定する際に検体間キャリーオーバー回避動作が必要となることを示す説明図である。
希釈検体再検が動作した場合、希釈検体サンプリングプローブ8のみが検体間キャリーオーバー回避動作を行わなければならない状況が発生する。そして、第1試薬容器24には、第1試薬の他に、洗剤を収容しておくことができる。このため、希釈容器23内に洗浄動作に必要な洗剤が無い場合は、制御部41は、第1試薬容器24に収容された洗剤を反応容器26に分注する動作を第1試薬分注プローブ12に行わせ、洗剤が分注された反応容器26から希釈検体サンプリングプローブ8によって洗剤を吸引させ、希釈検体サンプリングプローブ洗浄機構32により希釈検体サンプリングプローブ8を洗浄させる。
このため、図10は、図9と同様であるが、サイクル(2)で希釈検体再検が発生した場合に、希釈容器希釈検体分注動作は、例えば、yyステップ進む。このとき、第1試薬分注プローブ12は、第1試薬容器24に収容された洗剤を反応容器26に分注する。そして、希釈検体サンプリングプローブ8は、反応容器26に収容された洗剤を用いて洗浄動作を行う。サイクル(3)では、サイクル(2)で洗浄された希釈検体サンプリングプローブ8が再検対象である検体Xを反応容器26に分注する。このようにして、検体Bと検体X間で希釈検体サンプリングプローブ8による検体間キャリーオーバー回避動作が行われる。
なお、制御部41は、第1試薬分注プローブ12により第1試薬容器24から反応容器26に洗剤を分注できなかった場合、警報を出力し、ユーザに注意喚起する。この場合、希釈検体サンプリングプローブ8は、内部水W1による洗浄動作を行う。そして、制御部41は、設定されたキャリーオーバー回避動作を行えなかった場合、検体の測定値にフラグを付した測定データを出力する。これにより、ユーザは、検体の測定値がキャリーオーバーの影響を受けている可能性が高いことを把握できる。
図11は、洗浄予定を最適化する処理の例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、検体Aと検体Bの間で必要となる洗浄動作の洗浄予定として、洗剤の組合せを最適化するために行われる。
洗浄予定の最適化処理を開始する際、制御部41は、洗浄情報[N]を“1”に初期化しておく。この洗剤情報[N]は、例えば、図4と図5の設定画面P10、P20においてプローブ洗浄にチェックマークが付された項目に設定された、洗剤番号(1)、回数を一組とした情報である。また、洗浄予定情報は、例えば、9個の洗浄情報を格納するが、任意の個数としてよい。なお、生化学分析装置1の全体処理の開始時(起動時等)は、洗浄予定情報に洗浄情報は格納されていない。
始めに、制御部41は、今回必要となる洗浄情報[N]を選択する(S21)。例えば、設定画面P10にて設定された項目Noが“16”である場合に特定される洗剤番号“2”、回数“1”が洗浄情報[1]として選択される。次に、制御部41は、選択された洗浄情報[N]に含まれる洗剤が、洗浄予定情報に含まれているか否かを判定する(S22)。
洗浄予定情報に洗浄情報[N]の洗剤が含まれていない場合、制御部41は、選択された洗浄情報[N]の洗剤と回数を洗浄予定情報に設定する(S23)。一方、洗浄予定情報に洗浄情報[N]の洗剤が含まれている場合、制御部41は、洗浄情報[N]に含まれる洗剤の回数と、洗浄情報[N]に含まれる洗剤と一致した洗剤を含む洗浄予定情報に含まれる洗浄情報において設定される回数とを比較し、大きい方を洗浄予定情報に含まれる洗浄情報の回数に設定する(S24)。例えば、洗浄情報[N]に設定された洗剤の回数が、洗浄予定情報に含まれる洗浄情報に設定された回数よりも大きければ、検体Aの測定後、検体Bの測定を行う前に、元検体サンプリングプローブ7等を洗浄情報[N]に設定された洗剤の回数だけ入念に洗浄することとなる。
次に、制御部41は、選択された洗浄情報以外に今回必要な洗浄情報[N]が存在するか否かを判定する(S25)。例えば、図4に示すように、項目Noが“16”の次に“20”があれば、洗浄予定情報に格納する必要がある洗浄情報[N]が存在する。このため、今回必要な洗浄情報[N]が存在する場合、制御部41は、Nを“1”加算し(S26)、ステップS21に戻って処理を繰り返す。今回必要な洗浄情報[N]が存在しない場合、例えば、項目Noが“32”より後には設定された項目がない。この場合、洗浄予定情報に追加すべき洗浄情報[N]が存在しないので制御部41は本処理を終了する。
図12は、プローブに発生するキャリーオーバーを回避する処理の例を示すフローチャートである。以下、元検体サンプリングプローブ7、希釈検体サンプリングプローブ8を「プローブ」と総称する。
始めに、制御部41は、これから測定される検体Aに、プローブ汚染情報の「受ける要素」が含まれているか否かを判定する(S31)。プローブ汚染情報は、プローブ毎に1つ存在する。例えば、プローブ汚染情報[1]には、「与える要素」、「受ける要素」、「洗剤」を一組とする、複数組の要素が格納されている。「与える要素」と「受ける要素」の組合せにより、プローブを洗浄するための洗剤が決まる。
ステップS31にて検体Aに「受ける要素」が含まれていない場合、制御部41は、プローブを使用して検体Aの分注を行う(S32)。一方、検体Aに「受ける要素」が含まれている場合、制御部41は、プローブ汚染情報の「受ける要素」と一致したグループに設定されている洗剤によりプローブを洗浄する(S33)。そして、制御部41は、プローブが洗剤を分注した際に、希釈容器23の情報にキャリーオーバーを回避するために洗剤を分注したことを記憶しておく。なお、グループとは、図12に示すプローブ汚染情報における「与える要素」、「受ける要素」、「洗剤」の組合せであり、図5の設定画面P20に示す1レコード毎の「与える要素」、「受ける要素」、「洗剤」の組合せに相当する。
プローブの洗浄が完了した後に、制御部41は、プローブ汚染情報から洗浄したプローブに対応するグループを削除し(S34)、ステップS32に移る。
ステップS31〜S34までの処理は、検体Aに対するキャリーオーバーの回避処理について示している。
ステップS32の後、制御部41は、検体Aに検体間キャリーオーバー設定(図4を参照)がされているか、又は異材料間キャリーオーバー設定(図5を参照)の「与える要素」が含まれているか否かを判定する(S35)。検体Aに検体間キャリーオーバー設定がされておらず、「与える要素」が含まれていない場合、制御部41は本処理を終了する。
一方、検体Aに検体間キャリーオーバー設定がされており、又は「与える要素」が含まれている場合、制御部41は、検体間キャリーオーバー設定、又は異材料間キャリーオーバー設定の一致したグループをプローブ汚染情報に追加し(S36)、本処理を終了する。
ステップS35、S36の処理は、検体Aが次に測定される検体Bに与えるキャリーオーバーの回避処理について示している。
図13は、希釈容器23に発生するキャリーオーバーを回避する処理の例を示すフローチャートである。
始めに、制御部41は、検体Aに、検体Aを分注予定である希釈容器23の希釈容器汚染情報の「受ける要素」が検体Aに含まれているか否かを判定する(S41)。希釈容器汚染情報は、希釈容器23毎に[1]〜[n]まで存在する。ここで、nは、希釈容器23の最大数(例えば、120)である。例えば、希釈容器汚染情報[1]には、「与える要素」と「受ける要素」を一組とする、複数組の要素が格納されている。
希釈容器汚染情報は、様々な方法により利用される。例えば、希釈容器23における使用履歴を記憶しておき、測定に用いられる希釈容器23に対し、測定前に洗浄設定と使用履歴より洗浄を要するか否かを確認する方法が考えられる。
また、図13に示すように、使用履歴を記憶するのではなく、洗浄を要する測定(例えば、ある希釈容器23により、ある項目を測定する場合は洗剤“1”で洗浄が必要等)を希釈容器汚染情報として記憶する方法も考えられる。
ステップS41にて「受ける要素」が検体Aに含まれていない場合、制御部41は、プローブを使用して検体Aの分注を行う(S42)。一方、「受ける要素」が検体Aに含まれている場合、制御部41は、分注予定であった希釈容器23をスキップして(S43)、ステップS41に戻る。なお、希釈容器23をスキップした時には、希釈容器23の情報にキャリーオーバー回避のためにスキップしたことを記憶する。
ステップS41〜S43までの処理は、検体Aに対する回避処理について示している。
ステップS42の後、制御部41は、検体Aに検体間キャリーオーバー設定、又は異材料間キャリーオーバー設定の「与える要素」が含まれているか否かを判定する(S44)。検体Aに「与える要素」が含まれていない場合、制御部41は本処理を終了する。
一方、検体Aに「与える要素」が含まれている場合、制御部41は、検体間キャリーオーバー設定、又は異材料間キャリーオーバー設定の一致したグループ(与える要素、受ける要素、洗剤)を分注した希釈容器23の希釈容器汚染情報に追加し(S45)、本処理を終了する。
ステップS44、S45の処理は、検体Aが次に測定される検体Bに与える影響の回避処理について示している。
このように希釈容器23に設定されたキャリーオーバー回避動作は過不足無く行われる。希釈容器23に対してキャリーオーバー回避動作が実行されると、洗浄動作が行われた希釈容器23は、次回使用することができない。このため、制御部41は、洗浄動作の対象となる希釈容器23について、キャリーオーバー回避動作の設定や、希釈容器23の回避動作が行われたことを記憶部42に記録し、管理する。
キャリーオーバー回避動作が実行された場合、元検体サンプリングプローブ7は、元検体を回避動作が実行された希釈容器23に分注せず(スキップ)、別の希釈容器23に元検体を分注する動作を試みる。そして、元検体の測定中に、希釈容器23の洗浄動作が行われた場合には、制御部41が希釈容器汚染情報を更新する。また、生化学分析装置1のメンテナンス等により、希釈容器23の洗浄動作が行われた場合にも、制御部41が希釈容器汚染情報を更新する。
<1−6.希釈容器情報の例>
図14は、希釈容器情報の例を示す一覧表である。
希釈容器情報は、希釈容器No、希釈容器状態により構成される。希釈容器23は、“1”〜“120”により特定可能である。例えば、希釈容器No“113”の希釈容器23に検体Aが収容され、希釈容器No“111”の希釈容器23に検体Bが収容され、希釈容器No“109”の希釈容器23に検体Cが収容され、希釈容器No“11”の希釈容器23に検体Dが収容され、希釈容器No“9”の希釈容器23に検体Eが収容されることが示される。また、希釈容器No“112”、“110”の希釈容器23にキャリーオーバー回避動作に用いられる洗剤が収容されることが示される。また、希釈容器No“13”、“12”、“10”の希釈容器23は、キャリーオーバースキップのために用いられることが示される。
生化学分析装置1は、全ての希釈容器23のうち、どれだけの数の希釈容器23を用いて測定を行うことが可能であるかを示す希釈容器処理能力を、次式(1)により算出する。
希釈容器処理能力=(全希釈容器数−キャリーオーバー回避洗剤希釈容器数−キャリーオーバースキップ希釈容器数)/全希釈容器数 …(1)
例えば、キャリーオーバー回避洗剤は、希釈容器数が“2”であり、キャリーオーバースキップされる希釈容器数が“3”であり、分析中の希釈容器数が“5”であり、空きの希釈容器数が“110”であるとする。このとき、制御部41は、式(1)により、(120−2−3)/120=115/120=0.95(95%)のように、希釈容器処理能力を算出することが可能となる。
<1−7.測定遅延通知画面の例>
図15は、測定遅延通知画面P2の画面構成図である。
キャリーオーバー回避動作が発生すると、キャリーオーバーにより元検体が汚染されることやその測定値への影響が避けられるが、これから測定する検体には測定遅延が発生する。また、図12と図13に示したようにキャリーオーバー回避動作は、元検体サンプリングプローブ7と希釈容器23で異なるため、回避動作にかかる時間も異なり、検体の測定動作が遅延する。このため、制御部41は、それぞれの回避動作を考慮し、測定遅延通知画面P2に検体測定の遅延状況を測定遅延通知画面P2に表示する。測定遅延状況は、回避動作のサイクルを変換した時間により表される。
この測定遅延通知画面P2は、生化学分析装置1の現在の処理能力と共に、キャリーオーバー回避洗剤が収容されている希釈容器23の数、キャリーオーバースキップが発生している希釈容器23の数、分析中の希釈容器23の数、空きである希釈容器23の数、遅延時間を表示する。ユーザが測定遅延通知画面P2の左下にある更新ボタンを押すと、測定遅延通知画面P2の表示内容が更新される。ユーザが測定遅延通知画面P2の右下にある閉じるボタンを押すと、測定遅延通知画面P2が閉じる。
制御部41は、設定されたキャリーオーバーの回避動作を管理するための管理情報に基づき、測定遅延状況や希釈テーブルの処理能力を演算する機能を有する。そして、制御部41は、リアルタイムに希釈容器23の回避動作が発生していることを知らせると共に、回避動作により使用できる希釈容器23の個数が少なくなったこと、測定遅延状況や希釈テーブルの処理能力の低下等の情報を測定遅延通知画面P2に表示する。
以上説明した第1の実施の形態例に係る生化学分析装置1では、検体間のキャリーオーバー回避動作について様々な設定を可能とし、より適切な洗浄方法を選択することが可能となる。
また、新たに追加される回避動作にかかる時間については、発生中の回避動作を知らせることで検体測定の遅延状況がキャリーオーバーの回避動作による遅延であることが明確になり、効率のよい測定動作が実現可能となる。また、生化学分析装置1を使用している施設で測定を行う検体、測定項目、要望等に合わせた動作を提供可能とすることで、より高水準な生化学分析を実行することができる。
そして、生化学分析装置1では、検体間のキャリーオーバーを回避し、「測定値」と「元検体への汚染」の影響を発生させない動作を実現することが可能となる。また、「洗浄能の向上」と「可能な限り処理能力をダウンさせない動作」を実現するため、効率良く、適切な洗浄を可能としたことで、ユーザに測定値を報告するまでの時間を短くすることができる。新たに追加されるキャリーオーバーの回避動作にかかる時間については、生化学分析装置1がユーザに対して、現在発生している回避動作を知らせることができる。このため、ユーザが検体測定の遅延状況を知ることができる。
そして、測定遅延通知画面P2に測定遅延が表示されることで、ユーザは、これから追加予定の検体を、通常どおり投入するか、至急検体として投入する方がよいか、又は、複数の生化学分析装置1を所有する場合は他の生化学分析装置1で測定を行うかといった、どのようにして検体を測定すればいいかを判断しやすくなる。
[第2の実施の形態例]
上述した各実施の形態例に係るキャリーオーバー回避動作の設定は、元検体の測定に際して希釈検体を用いない自動分析装置であっても同様に行われる。
図16は、本例の自動分析装置を模式的に示す説明図である。
この自動分析装置は、本発明の自動分析装置の一例として適用する生化学分析装置1Aである。
生化学分析装置1Aは、図1に示した生化学分析装置1から、希釈ターンテーブル3、希釈検体サンプリングプローブ8、希釈撹拌機構9、希釈容器洗浄機構11、希釈容器23を取り外した構成としている。この場合、元検体サンプリングプローブ7は、サンプルトレイ21から吸引した元検体を反応容器26に直接分注する。そして、元検体サンプリングプローブ7は、サンプルターンテーブル2と反応ターンテーブル6の間に設けられた元検体サンプリングプローブ洗浄機構31によって洗浄される。その他の機構等による動作は、上述した第1の実施の形態例に係る生化学分析装置1の動作と同様である。
[変形例]
なお、制御部41は、キャリーオーバー回避動作の設定有無に応じて、遅延時間の比較結果を測定遅延通知画面P2に表示してもよい。
また、元検体サンプリングプローブ7の回避動作と、希釈容器23の回避動作とから処理能力を算出し、最大の処理能力を100%としたとき、現在はX%であると表示してもよい。現在、測定に使用可能な希釈容器23の個数を表示してもよい。
また、希釈容器23以外に反応容器26においても、キャリーオーバー回避動作が発生する場合がある。このため、制御部41は、反応容器26の処理能力を算出し、測定遅延通知画面P2に反応容器26の処理能力を表示してもよい。また、測定遅延通知画面P2に希釈容器23と反応容器26を合わせた詳細な情報を表示してもよい。
また、本発明は上述した実施の形態例に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
例えば、上述した実施の形態例は本発明を分かりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ここで説明した実施の形態例の構成の一部を他の実施の形態例の構成に置き換えることは可能であり、さらにはある実施の形態例の構成に他の実施の形態例の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
1…生化学分析装置、2…サンプルターンテーブル、3…希釈ターンテーブル、4…第1ターンテーブル、5…第2ターンテーブル、6…反応ターンテーブル、7…元検体サンプリングプローブ、8…希釈検体サンプリングプローブ、9…希釈撹拌機構、11…希釈容器洗浄機構、18…反応容器洗浄機構、23…希釈容器、26…反応容器、31…元検体サンプリングプローブ洗浄機構、32…希釈検体サンプリングプローブ洗浄機構、40…制御装置

Claims (11)

  1. 保持する反応容器をテスト毎に移動させ、一定のサイクル期間だけ前記反応容器を停止させる反応容器保持部と、
    検体を収容する検体容器を保持する検体保持部と、
    前記検体容器から希釈容器に前記検体を分注する検体分注部と、
    前記検体が希釈された希釈検体を収容する前記希釈容器を保持する希釈容器保持部と、
    前記希釈容器から前記反応容器に前記希釈検体を分注する希釈検体分注部と、
    前記反応容器に分注された第1試薬及び第2試薬に反応する前記希釈検体の測定処理の完了時間に対して、前記検体分注部が分注する前記検体によりキャリーオーバーの発生する可能性がある前記検体に対して設定されるキャリーオーバーの回避動作に従って、前記検体分注部の洗浄動作を行い、前記キャリーオーバーの回避動作に伴う測定処理の遅延状況を通知する制御部と、を備える
    自動分析装置。
  2. さらに、前記検体分注部を洗浄する第1洗浄部を備え、
    前記制御部は、前記検体分注部が前記希釈容器に前記検体を分注した後、設定画面を通じて設定された前記キャリーオーバーの回避動作に従って、前記第1洗浄部により前記検体分注部を洗浄する
    請求項1に記載の自動分析装置。
  3. さらに、前記希釈容器を洗浄する希釈容器洗浄部を備え、
    前記制御部は、前記検体分注部が前記希釈容器に前記検体を分注した後、設定された前記キャリーオーバーの回避動作に従って、前記希釈容器洗浄部により前記希釈容器を洗浄する
    請求項2に記載の自動分析装置。
  4. 前記キャリーオーバーの回避動作は、同一種別である前記検体の切り替わり時におけるキャリーオーバーを回避するための動作であり、
    測定項目に対する強陽性閾値、下限値、上限値、前記検体分注部の洗浄有無、前記検体分注部の洗浄に用いる洗剤の種類、前記検体分注部の洗浄回数、前記希釈容器の洗浄有無、前記希釈容器の洗浄に用いる洗剤の種類、前記希釈容器の洗浄回数が、前記キャリーオーバーの回避動作として設定される
    請求項2又は3に記載の自動分析装置。
  5. 前記キャリーオーバーの回避動作は、検体種別の切り替わり時におけるキャリーオーバーを回避するための動作であり、
    前記検体の与える要素、受ける要素、前記検体分注部の洗浄有無、前記検体分注部の洗浄に用いる洗剤の種類、前記検体分注部の洗浄回数、前記希釈容器の洗浄有無、前記希釈容器の洗浄に用いる洗剤の種類が、前記キャリーオーバーの回避動作として設定される
    請求項2又は3に記載の自動分析装置。
  6. 前記キャリーオーバーの回避動作は、前記検体分注部による元検体に対する汚染を回避するための動作であり、
    前記検体分注部の洗浄有無、前記検体分注部の洗浄回数、前記検体分注部の洗浄に用いる洗剤の種類が、前記キャリーオーバーの回避動作として設定される
    請求項2又は3に記載の自動分析装置。
  7. さらに、前記希釈検体分注部を洗浄する第2洗浄部を備え、
    前記キャリーオーバーの回避動作は、前記希釈検体の再検時に前記第2洗浄部により前記希釈検体分注部を洗浄する動作である
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の自動分析装置。
  8. さらに、前記第1試薬を収容する第1試薬容器を保持する第1試薬容器保持部と、
    前記第1試薬容器から前記反応容器に前記第1試薬を分注する第1試薬分注部と、を備え、
    前記制御部は、前記希釈検体の再検時に、前記第1試薬容器に収容された前記洗剤を前記反応容器に分注する動作を前記第1試薬分注部に行わせ、前記希釈検体分注部に前記洗剤が分注された前記反応容器から前記洗剤を吸引させ、前記第2洗浄部により前記希釈検体分注部を洗浄させる
    請求項1〜7のいずれか一項に記載の自動分析装置。
  9. 保持する反応容器をテスト毎に移動させ、一定のサイクル期間だけ前記反応容器を停止させる反応容器保持部と、
    検体を収容する検体容器を保持する検体保持部と、
    前記検体容器から前記反応容器に前記検体を分注する検体分注部と、
    前記反応容器に分注された第1試薬及び第2試薬に反応する前記検体の測定処理の完了時間に対して、前記検体分注部が分注する前記検体によりキャリーオーバーの発生する可能性がある前記検体に対して設定されるキャリーオーバーの回避動作に従って、前記検体分注部の洗浄動作を行い、前記キャリーオーバーの回避動作に伴う測定処理の遅延状況を通知する制御部と、を備える
    自動分析装置。
  10. 保持する反応容器をテスト毎に移動させ、一定のサイクル期間だけ前記反応容器を停止させる反応容器保持部と、
    検体を収容する検体容器を保持する検体保持部と、
    前記検体容器から希釈容器に前記検体を分注する検体分注部と、
    前記検体が希釈された希釈検体を収容する前記希釈容器を保持する希釈容器保持部と、
    前記希釈容器から前記反応容器に前記希釈検体を分注する希釈検体分注部と、を備える自動分析装置により用いられるコンピューターに、
    前記反応容器に分注された第1試薬及び第2試薬に反応する前記希釈検体の測定処理の完了時間に対して、前記検体分注部が分注する前記検体によりキャリーオーバーの発生する可能性がある前記検体に対して設定されるキャリーオーバーの回避動作に従って、前記検体分注部の洗浄動作を行い、前記キャリーオーバーの回避動作に伴う測定処理の遅延状況を通知する手順を、実行させるための
    プログラム。
  11. 保持する反応容器をテスト毎に移動させ、一定のサイクル期間だけ前記反応容器を停止させる反応容器保持部と、
    検体を収容する検体容器を保持する検体保持部と、
    前記検体容器から前記反応容器に前記検体を分注する検体分注部と、を備える自動分析装置により用いられるコンピューターに、
    前記反応容器に分注された第1試薬及び第2試薬に反応する前記検体の測定処理の完了時間に対して、前記検体分注部が分注する前記検体によりキャリーオーバーの発生する可能性がある前記検体に対して設定されるキャリーオーバーの回避動作に従って、前記検体分注部の洗浄動作を行い、前記キャリーオーバーの回避動作に伴う測定処理の遅延状況を通知する手順を、実行させるための
    プログラム。
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