JP6658232B2 - 構造部材用鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、構造部材用鋼板およびその製造方法に関する。
炭素鋼や特殊鋼等の鉄鋼材料が多くの構造部品に使用されている。一般的に、鉄鋼材料は、マグネシウム合金やアルミニウム合金等の軽合金に比べて、剛性、強度さらにはコスト等の点において優れる。特に、鉄鋼材料の剛性(ヤング率:縦弾性係数)は、これらの軽合金よりも遙かに大きな値を示す。鉄鋼材料のヤング率は、その化学組成に拘らず、210GPaである。このため、鉄鋼材料は、寸法や変形量等に制限のある機械構造部品に多用される。
使用環境に応じた強度、靭性および剛性が、自動車をはじめとする輸送機器や各種の産業機械の構造部材の素材に供される鋼板には、要求される。
近年、素材の高強度化と高剛性化との両立が、自動車の軽量化の推進に伴って求められる。これまでにも、鉄鋼材料の高強度化についての幅広い研究が進められており、添加する合金元素や熱処理の適正化により大幅な高強度化が実現されている。
剛性、すなわちヤング率は機械部品の設計時の重要な因子であり、ヤング率を高めることにより機械部品の小型化を図ることができる。しかし、これまで、ヤング率に注目した鉄鋼材料の開発は、十分に行われてこなかった。この理由は、金属材料のヤング率は、主成分の金属元素により決定されるほぼ固有の物性値であり、通常、単なる化学組成の変更等によっては殆ど変化しないからである。
特許文献1には、ヤング率の異方性を利用した集合組織制御に関する発明が開示されており、この発明によって、高強度鋼板の剛性を高めることが可能である。
特許文献2には、機械構造用部品、例えば、クランクシャフト,ピストンピン,コンロッド等の小型の可動部品を構成する鋼材のヤング率を、高いヤング率を有する化合物との複合化によって、高める発明が開示されている。
特許文献3には、溶製法を用いチタンホウ化物粒子による高剛性鋼板の製造方法が開示されている。
さらに、特許文献4には、溶製法により製造した高いヤング率の化合物を鋼材中に分散させて鋼材の剛性を高める発明が開示されている。
特開2006−183130号公報 特開2001−234287号公報 特表2010−502838号公報 特開2001−73068号公報
特許文献1により開示された発明は、集合組織を利用することにより任意の方向へヤング率を高めることができるものの、これとは異なる特定の方向ではヤング率は逆に低下する。このため、特許文献1により開示された発明を、負荷される荷重方向が変化する環境で使用される構造部材へ適用することはできない。
特許文献2により開示された発明は、粉末冶金法を用いることが前提であるため、この発明により大型部品を製造することは難しい。このため、特許文献2により開示された発明を、例えば自動車構造部材へ適用することはできない。
特許文献3により開示されたチタンホウ化物粒子の晶出開始温度が非常に高いことに加えて、溶製時には真空溶解を行う必要があり、さらに、双ロールキャストによる製法を用いる必要がある。このため、特許文献3により開示された発明では、製造コストの上昇が避けられない。
さらに、特許文献4により開示されるように、溶製法を用いれば、大量生産が可能になることに加えて、大型部品への適用も可能であるものの、特許文献4により開示された発明では、熱間加工性は良好であるが、冷間変形能を向上させることが難しい。
このように、従来の技術では、高強度、高剛性および高延性を兼ね備える鋼板、具体的には、590MPa以上の引張強度、3%以上の破断伸び、および220GPa以上のヤング率を有する鋼板を低コストで量産することはできない。
本発明は、従来の技術が有するこれらの課題に鑑みてなされたものであり、鋼板、例えば、自動車をはじめとする輸送機器や各種の産業機械の構造部材に好適に使用される、高強度、高剛性および高延性を兼ね備える鋼板、具体的には、590MPa以上の引張強度、3%以上の破断伸び、および220GPa以上のヤング率を有する鋼板と、この鋼板を低コストで製造する方法とを提供することを目的とする。
本発明者らは、引張強度が590MPa以上の高強度かつ高剛性の鋼板の延性を改善するために鋭意検討を行った結果、鋼板の化学組成および熱間加工条件を制御するとともに、鋼板の素材の溶製法および鋳造法を最適化すること、具体的には、熱間圧延を行った直後に高ヤング率粒子であるバナジウム炭化物VCの高温変形能が優れる温度域まで加熱し、さらに圧延を施してVCを微細に粉砕することにより、熱間圧延の終了時に、粒径10μm以下のVCがマトリックス中に均一かつ微細に分散して存在し、これにより、冷間変形能が向上して、高強度、高剛性および高延性の全てを満足する鋼板を、低コストで製造できることを知見し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。本発明は以下に列記の通りである。
(1)化学組成が、C:1〜4%、V:4〜25%、Mn:0.01〜2%、Si:0.01〜2%、Al:0.002〜1.5%、N:0.05%以下、P:0.001〜0.1%、残部Feおよび不純物であり、金属組織が、マトリックス中に、V炭化物またはV複合炭化物が5〜30体積%分散して存在し、任意の断面における前記Vの炭化物またはその複合炭化物の面積と等しい面積の円の直径である、前記V炭化物または前記V複合炭化物の平均面積円相当径が10μm以下である、構造部材用鋼板。
(2)引張強度が590MPa以上であり、かつ破断伸びが3%以上である機械特性を有する、1項に記載の構造部材用鋼板。
(3)前記機械特性は、共振法により求められるヤング率:220GPa以上を有する、2項に記載の構造部材用鋼板。
本明細書において「自動車構造部材」とは、高剛性を要求される構造部材であり、例えば、シャシーフレームやトラックフレーム、さらに足回り部品等が例示される。
(4)1〜3項のいずれかに記載された構造部材用鋼板を製造する方法であって、
前記Vの炭化物または複合炭化物の構成元素を添加されたFeまたはFe合金を、該構成元素が溶解する温度以上に加熱して溶解する溶解工程と、
3〜10℃/秒の冷却速度で冷却および凝固してスラブとする凝固工程と、
該スラブを1100〜1250℃に加熱して880℃以上の仕上温度で1回目の熱間圧延を行って中間圧延材とする第1の熱間圧延工程と、
前記中間圧延材を1100〜1250℃に再加熱した後に880℃以上の仕上温度で2回目の熱間圧延を行うとともに、前記1回目の熱間圧延および前記2回目の熱間圧延の合計圧下率を30〜95%とする第2の熱間圧延工程とを含む、構造部材用鋼板の製造方法。
本発明により、鋼中に分散した高剛性化合物を多量に含みながら、高強度、高剛性および高延性を兼ね備える鋼板、具体的には、590MPa以上の引張強度、3%以上の破断伸び、および220GPa以上のヤング率を有する高剛性高強度高延性鋼板を、比較的簡便な手段により製造することができる。これにより、例えば、自動車をはじめとする輸送機器や各種の産業機械の構造部材において剛性を必要とする部材に好適な高剛性高強度高延性鋼板を、比較的安価に安定して提供できるようになる。
本発明を説明する。以下の説明では、化学組成に関する「%」は、特に断りがない限り「質量%」を意味する。
1.本発明に係る構造部材用鋼板
(1)化学組成
はじめに必須元素を説明する。
(1−1)C:1〜4%
Cは、本発明に係る構造部材用鋼板において重要な化学成分であるVとの炭化物、あるいはその複合炭化物を生成する重要な元素であり、ヤング率を向上するために少なくとも1%含有する。しかし、C含有量が4%を超えると、炭化物量が過剰になり、本発明に係る構造部材用鋼板の素材の製鋼時の鋳造性が劣化する。したがって、C含有量は1%以上4%以下とする。
含有するCおよびVが過不足なく、Vとの炭化物、あるいはその複合炭化物を形成するためには、3.5≦V含有量/C含有量≦4.5の範囲を満足することが好ましい。
さらに、目的に応じてC含有量を異ならせてもよく、例えば、本発明に係る構造部材用鋼板の破断伸びをよりいっそう向上させる場合にはC含有量は1%以上2.5%以下であることが好ましく、本発明に係る構造部材用鋼板のヤング率(剛性)をよりいっそう向上させる場合にはC含有量は2.5%以上4.0%以下であることが好ましい。
(1−2)V:4〜25%
Vは、Cと結合して高いヤング率を有するVCとなり、鋼中に分散して本発明に係る構造部材用鋼板の高剛性化に寄与する。Vは、他の強炭化物形成元素であるNb,Ti,Zr等とは異なり、炭化物の晶出温度が低いことに加え、晶出量も多い。また、Vとの炭化物、あるいはその複合炭化物をマトリックス中に均一かつ微細に分散させることができる。このため、Vを含有することにより、本発明に係る構造部材用鋼板の素材の製鋼時の鋳造性や熱間加工性などの製造性を大きく低下させることなく、構造部材用鋼板の高剛性化を図ることができる。
これらの理由により、本発明では主にVCにより高剛性化を図っており、このような作用効果を得るためにV含有量は4%以上である。しかし、V含有量が25%を超えると、製造コストが嵩む。このため、V含有量は、4%以上25%であり、好ましくは7%以上17%以下である。
(1−3)Mn:0.01〜2%
Mnは、構造部材用鋼板の主に焼入れ性を高め、熱処理性を向上するために含有させる。この効果を得るために、Mn含有量は、0.01%以上であり、好ましくは0.5%以上である。一方、Mn含有量が2.0%を超えると製造コストが嵩むため、Mn含有量は、2.0%以下であり、1.5%以下であることが好ましい。
(1−4)Si:0.01〜2%
Siは、鋼から不純物であるOを除去するために非常に有効な元素である。このため、Si含有量は、0.01%以上であり、0.1%以上であることが好ましい。しかし、Si含有量が2%を超えると硬さが必要以上に増加して構造部材用鋼板の切断性が低下する。このため、Si含有量は、2%以下であり、1.5%以下であることが好ましい。
(1−5)Al:0.002〜1.5%
Alは、0.002%以上含有することにより鋼からOを除去するために非常に有効な元素である。このため、Al含有量は、0.002%以上であり、0.01%以上であることが好ましい。しかし、Al含有量が1.5%を超えると、Alの過剰な一次析出が起こり、可鋳性が低下する。このため、Al含有量は、1.5%以下であり、1.0%以下であることが好ましい。
(1−6)N:0.05%以下
Nは、Vの窒化物あるいはその複合炭化物を形成する。V含有量が0.05%を超えると、多量のVの窒化物あるいはその複合炭化物の晶出により鋳造性が著しく低下する。このため、N含有量は、0.05%以下であり、0.01%以下であることが好ましい。
(1−7)P:0.001〜0.1%
Pは、固溶強化により構造部材用鋼板の引張強度を高める元素として必要な強度レベルに応じて含有する。しかし、P含有量が0.1%を超えると、結晶粒界に偏析するために局部延性、溶接性および靭性を劣化させる。
このため、P含有量は、0.1%以下であり、0.05%以下であることが好ましく、0.02%以下であることがさらに好ましい。一方、P含有量が0.001%未満であればPにより特性の劣化は無視できる他、P含有量を0.001%未満に低減するには製鋼コストの上昇を招く。このため、P含有量は0.001%以上である。
次に、任意元素を説明する。任意元素としては、Cr、Ti、Nb、W、Moが例示される。これらの元素も、本発明に係る構造部材用鋼板の性能向上に有効である。
上記以外の残部は、Feおよび不純物である。不純物としては、S:0.03%以下、O:0.003%以下が許容される。不純物は、鉱石やスクラップ等の原材料に含まれるものや、製造工程において含まれるものがある。
(2)金属組織
(2−1)
本発明に係る構造部材用鋼板は、フェライトおよびセメンタイトを有するマトリックス(基地)中にVの炭化物またはその複合炭化物が5〜30体積%分散した金属組織を有する。本発明において、Vの炭化物とはVCを意味し、その複合炭化物とはVと他の合金元素との炭化物を意味する。
Vの炭化物またはその複合炭化物の量が5%未満であると、ヤング率(剛性)の向上効果を実質的に得られない。このため、Vの炭化物またはその複合炭化物の量は、5体積%以上であり、10体積%以上であることが好ましく、15体積%以上であることがさらに好ましい。
一方、Vの炭化物またはその複合炭化物を30体積%超分散させるためには、C,Vの含有量を高める必要があり、本発明に係る構造部材用鋼板の製造コストが嵩む。このため、Vの炭化物またはその複合炭化物の量は、30体積%以下であり、25体積%以下であることが好ましく、20体積%以下であることがさらに好ましい。
(2−2)Vの炭化物またはその複合炭化物の平均面積円相当径:10μm以下
任意の断面において、Vの炭化物または、その複合炭化物の面積と等しい面積の円の直径を平均面積円相当径とし、この平均面積円相当径をVの炭化物またはその複合炭化物の粒径として定義する。本発明では、この平均面積円相当径を10μm以下とする。
この平均面積円相当径が10μmを超えると、破断伸びが著しく低下する。このため、平均面積円相当径は小さいほど好ましい。平均面積円相当径は、10μm以下であり、好ましくは5μm以下である。
(3)機械特性
本発明に係る構造部材用鋼板は、引張試験における引張強度が590MPa以上、かつ破断伸びが3%以上である機械特性を有し、好ましくは、220GPa以上のヤング率(剛性)を有する。
このように、本発明に係る構造部材用鋼板は、ヤング率と引張強度が高く、さらに延性も優れる。
本発明におけるヤング率は、JIS Z2280に規定される共振法(長さ60mm,幅10mm,厚さ2mmの試験片に機械的または電気的に縦振動、横振動、捻り振動の強制振動を与えて共振周波数(固有振動数)を計測し、この共振周波数からヤング率を計算する測定法)により求められる。ヤング率(動的ヤング率)E(Pa)は、E=0.9467×(l/h)×(m/w)×fとして求められる。この式において、lは試験片の長さ(m)であり、hは試験片の厚さ(m)であり、mは質量(kg)であり、wは試験片の幅(m)であり、fは横共振法の一次共振周波数である。
2.本発明に係る構造部材用鋼板の製造方法
次に、本発明に係る構造部材用鋼板の好ましい製造方法を説明する。
本発明に係る構造部材用鋼板は、普通の鋼の溶製方法と同様の手法で製造することができ、添加元素が完全に溶解する温度以上に加熱する。
加熱温度は、液相線温度+50℃以上であることが好ましい。液相温度+50℃未満になると、鋳造性が悪くなるからである。
溶鋼は、鋳型内で3〜10℃/秒の凝固速度(冷却速度)で冷却してスラブとするが、この凝固時にVの炭化物あるいはその複合炭化合物を晶出させる。凝固速度が3℃/秒未満であると、晶出物が粗大化するために熱間圧延が困難になる。一方、凝固速度が10℃/秒超になると冷却のためのコストが嵩む。このため、溶鋼の凝固速度は、3℃/秒以上10℃/秒以下とする。
鋳型は、砂型、セラミックス鋳型または金属金型を用いて鋳造することができるが、上記冷却速度を安定して確保するために金属金型を用いることが好ましい。
上記化学組成を有するスラブを1100℃以上1250℃以下に加熱した後、仕上げ温度880℃以上で第1回目の熱間圧延を行って中間材とした後、直ぐに、中間材を1100℃以上1250℃以下に再加熱し、再び、仕上げ温度880℃以上で第2回目の熱間圧延を施す。
この際に、第1回目の熱間圧延と第2回目の熱間圧延の合計圧下率が30%以上95%以下となる熱間圧延によって、マトリックス中のVの炭化物またはその複合炭化合物を微細に粉砕する。
仕上げ温度が880℃未満になると、熱間加工性が低下し、生産性が悪化する。また、熱間圧延前に熱間鍛造を行って、マトリックス中のVの炭化物またはその複合炭化合物を微細に粉砕してもよい。
このようにして、本発明に係る構造部材用鋼板が製造される。
本発明を、実施例を参照しながらより具体的に説明する。
表1に示す化学組成(質量%、示す以外の残部はFeおよび不純物)を有する本発明例および比較例の鋼を、溶解温度1650℃で溶製した。表1における*印は本発明の範囲外であることを示す。
Figure 0006658232
そして、表2に示す凝固条件および熱間圧延条件で鋼板を作製した。巻き取り条件を模擬して熱間圧延後に自然冷却により650℃まで冷却し、1時間保持した後、再び、自然冷却した。表2における*印は本発明の範囲外であることを示す。
Figure 0006658232
各種製造条件で得られた鋼板に対して、以下に記載の要領で、引張強度、破断伸びおよびヤング率を測定するとともに金属組織を観察した。
(引張強度,破断伸び測定)
各鋼板から圧延方向が長手方向になるようにJIS13号引張試験片を採取し、引張強度および破断伸びを測定した。
(ヤング率測定)
各鋼板から圧延方向が長手方向になるように幅10.0mm×60.0mm×2.0mmの試験片を切り出し、JIS Z2280に規定される共振法によりヤング率を測定した。
(金属組織観察)
各鋼板の圧延方向断面の組織を電子顕微鏡で観察し、粒子径は、粒子の輪郭内の面積を求め、同一面積となる円の直径を粒径とした。以上の方法によりV炭化物およびそれらの複合炭化物の平均粒径を調査した。
試験結果を表3にまとめて示す。表3における*印は、本発明の範囲外であるか、特性が不芳であることを示す。
Figure 0006658232
表3における供試材No.1〜5は、本発明の条件を全て満足する本発明例であり、供試材No.6〜9は、本発明の条件を満足しない比較例である。
供試材No.1〜5は、220〜250GPaという高いヤング率と、5〜9%という高い破断伸びと、1134〜1207MPaという高い引張強度とを兼ね備えており、例えば、自動車をはじめとする輸送機器において剛性を必要とする部材に好適な高剛性高強度高延性鋼板を低コストで得られることが分かる。
これに対し、供試材No.6,7は、いずれも、V含有量が本発明の範囲の下限を下回る化学組成を有するために所望のVC量を得られず、ヤング率が220GPa未満となった。
供試材No.8は、凝固速度が1℃/秒と本発明の範囲の下限を下回るために、炭化物が粗大化して粒径(平均面積円相当径)が25μmとなり、破断伸びが2%と著しく低下した。
さらに、供試材No.9は、1回目の熱間圧延の仕上温度が850℃と、本発明の範囲の下限を下回るために、熱間加工性が低く、2回目の熱間圧延を行うことができなかった。

Claims (4)

  1. 化学組成が、質量%で、
    C:1〜4%、
    V:4〜25%、
    Mn:0.01〜2%、
    Si:0.01〜2%、
    Al:0.002〜1.5%、
    N :0.05%以下、
    P :0.001〜0.1%、
    残部:Feおよび不純物である化学組成と、
    マトリックス中に、Vの炭化物またはその複合炭化物が5〜30体積%分散して存在し、任意の断面における前記Vの炭化物またはその複合炭化物の面積と等しい面積の円の直径である、前記Vの炭化物またはその複合炭化物の平均面積円相当径が10μm以下である金属組織とを有する、構造部材用鋼板。
  2. 引張強度が590MPa以上であり、かつ破断伸びが3%以上である機械特性を有する、請求項1に記載の構造部材用鋼板。
  3. 前記機械特性は、共振法により求められるヤング率:220GPa以上を有する、請求項2に記載の構造部材用鋼板。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載された構造部材用鋼板を製造する方法であって、
    前記Vの炭化物または複合炭化物の構成元素を添加されたFeまたはFe合金を、該構成元素が溶解する温度以上に加熱して溶解する溶解工程と、
    3〜10℃/秒の冷却速度で冷却および凝固してスラブとする凝固工程と、
    該スラブを1100〜1250℃に加熱して880℃以上の仕上温度で1回目の熱間圧延を行って中間圧延材とする第1の熱間圧延工程と、
    前記中間圧延材を1100〜1250℃に加熱した後に880℃以上の仕上温度で2回目の熱間圧延を行うとともに、前記1回目の熱間圧延および前記2回目の熱間圧延の合計圧下率を30〜95%とする第2の熱間圧延工程とを含む、構造部材用鋼板の製造方法。
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