本発明の実施形態の一例である印刷装置1を、図面を参照して説明する。以下、図1の上方、下方、左上方、右下方、左下方、及び右上方を、各々、印刷装置1の上方、下方、左方、右方、前方、及び後方と定義して説明する。本例の印刷装置1は、筒状の印刷媒体であるチューブ9(図8参照)を印刷する装置である。チューブ9は、外周部が内側空間を狭める方向及び外周部が内側空間を広げる方向に弾性変形可能な印刷媒体である。外周部が内側空間を閉塞した場合、チューブ9は押し潰された状態になる。チューブ9は、一例として透光性を有さない材質によって形成される。以下の説明では、時計回り及び反時計回りは、いずれも、平面視における回転方向を示す。
図1、図2に示すように、印刷装置1は、本体ケース11と蓋部材12を含む。本体ケース11は、第一ケース部11Aと第二ケース部11Bを含む。第一ケース部11Aは、左右方向に長い箱状部材であり、上方に向けて開口する。第二ケース部11Bは、第一ケース部11Aの内側に装着された基部11Cと、基部の周端部の上端から外側へ向けて延出する延出部11Dを備える。基部11Cの底壁部は、第一ケース部11Aの底壁部37から上方に離隔する。延出部11Dは、平面視で矩形且つ枠状であり、第一ケース部11Aの周端部の上端に上方から接触する。
蓋部材12は、板状部材である。蓋部材12の一端部は、本体ケース11の後端部上側で回転可能に支持される。蓋部材12は、閉鎖位置(図示略)と開放位置(図1参照)との間を回転可能である。閉鎖位置は、第二ケース部11Bの基部11Cを上側から覆う蓋部材12の回転位置である。開放位置は、第二ケース部11Bの基部11Cを上方向へ開放させる蓋部材12の回転位置である。図2では蓋部材12の図示を省略する。
本体ケース11の内部の右後部には、基板19が設けられる。基板19には、図示外のCPU、ROM、RAM、及びフラッシュメモリが設けられる。CPUは、印刷装置1の動作を司る。
印刷装置1は、操作部17、チューブ挿入口15、及びチューブ排出口16を備える。操作部17は、第一ケース部11Aの前面の右側上部に設けられる。操作部17は、電源ボタン及びスタートボタンを含む複数の操作ボタンである。チューブ挿入口15は、本体ケース11の右後部に設けられた、上下方向に長い略矩形状の開口部である。チューブ挿入口15は、第一ケース部11Aの右壁部と、基部11Cの右壁部を、左右方向に貫通する。チューブ挿入口15は、チューブ9を本体ケース11の内部に案内可能である。チューブ排出口16は、本体ケース11の左後部に設けられた、上下方向に長い略矩形状の開口部である。チューブ排出口16は、第一ケース部11Aの左壁部と、基部11Cの左壁部とを、左右方向に貫通する。チューブ排出口16は、チューブ挿入口15よりも前側となる前後方向位置に配置される。チューブ排出口16は、チューブ9を本体ケース11の外部に排出可能である。
図2〜図4に示すように、第二ケース部11Bの基部11Cの左前部には、上方に開口するリボン装着部30が設けられる。リボン装着部30は、平面視で略矩形状であり、チューブ排出口16よりも前側となる前後方向位置に配置される。リボン装着部30の後部の左右方向中心部は、前後方向に開口している。リボン装着部30は、後述のリボンカセット90が着脱可能である。
リボン装着部30の底壁部の前部には、右側から順に、第一挿通孔31及び第二挿通孔32が形成される。第一挿通孔31と第二挿通孔32は、いずれも円形状であり、リボン装着部30の底壁部を上下方向に貫通する。第一挿通孔31には、検出用回転軸71が挿通され、第二挿通孔32には、リボン巻取軸63が挿通される。検出用回転軸71とリボン巻取軸63は、いずれも、上下方向に延びる軸であり、第一ケース部11Aの底壁部によって回転可能に支持される。リボン巻取軸63の下端部には、ワンウェイクラッチ68を介して、ギヤ65が連結される。ギヤ65は、第一ケース部11Aの内側且つ基部11Cの下側に設けられた搬送モータ(図示略)に連結する。搬送モータが一方向に回転駆動することによって生じる駆動力は、ワンウェイクラッチ68を介して検出用回転軸71に伝達し、検出用回転軸71は反時計回りに回転する。ワンウェイクラッチ68は、搬送モータが一方向とは反対の他方向に回転駆動することによって生じる駆動力がリボン巻取軸63に伝達することを、規制する。
図4に示すように、リボン装着部30には、リボンカセット90が装着される。リボンカセット90は、ケース101、リボンスプール81、及び巻取スプール300を備える。ケース101は、リボンスプール81及び巻取スプール300等を収容する箱状体である。リボンスプール81及び巻取スプール300は、それぞれ、上下方向に延びる略円筒状の部材である。リボンスプール81は、巻取スプール300の右方に配置される。巻取スプール300とリボンスプール81は、それぞれ、ケース101に設けられた第一支持孔111と第二支持孔114とによって、上下方向に延びる軸線回りに回転可能に支持される。第一支持孔111は、リボン巻取軸63によって支持される。リボン巻取軸63は、巻取スプール300と一体的に回転可能である。第二支持孔114は、検出用回転軸71によって支持される。検出用回転軸71は、リボンスプール81と一体的に回転可能である。
リボンスプール81及び巻取スプール300には、インクリボン95が、その幅方向が上下方向と略平行になる姿勢で巻回される。リボンスプール81と巻取スプール300とを架け渡すインクリボン95の一部は、ケース101の前端部に設けられた露出開口部101A(図1参照)を介して外側に露出する。以下、露出開口部101Aから露出するインクリボン95を、特定インクリボン(図示略)という。特定インクリボンは、連通空間47(図1参照)に配置される。
図2及び図3に示すように、基部11Cの後部には、上方に開口する溝であるチューブ装着部40が設けられる。チューブ装着部40は、リボン装着部30の後方に位置し、チューブ挿入口15からチューブ排出口16まで直線状に延びる。チューブ装着部40には、チューブ9が着脱可能である。チューブ装着部40の内側には、チューブ9が搬送される領域である搬送領域46が形成される。以下、チューブ装着部40が延びる方向を搬送方向といい、搬送方向に沿ってチューブ挿入口15からチューブ排出口16に向かう側を下流側といい、搬送方向に沿ってチューブ排出口16からチューブ挿入口15に向かう側を上流側という。
チューブ装着部40の前部のうちで下流側の部位には、前後方向に開口する開口部が設けられる。この開口部は、リボン装着部30の後部の左右方向中心に設けられた上述の開口部と、前後方向に連通する。つまり、基部11Cには、チューブ装着部40の内側とリボン装着部30の内側とを互いに連通させる連通空間47が形成される。連通空間47の下方には、基部11Cの底壁部を上下方向に貫通する略矩形状の中央孔35が形成される。チューブ9は、連通空間47において、特定インクリボンに対して後方から対向する。
チューブ装着部40は、底壁部37と側壁部38,39を含む。底壁部37は、中央孔35を跨いで搬送方向に沿って延びる壁部であり、上下方向に対して略直交する。底壁部37は、搬送領域46よりも深い位置に配置される。底壁部37には、上流孔33と下流孔34とが設けられる。上流孔33は、中央孔35とチューブ挿入口15との間となる搬送方向位置に設けられ、下流孔34は、中央孔35とチューブ排出口16との間となる搬送方向位置に設けられる。上流孔33と下流孔34は、いずれも、底壁部37を上下方向に貫通する孔であり、平面視で略上下方向に長い略楕円形状である。側壁部38は、底壁部37の後端部から上方に立設する。側壁部39は、底壁部37の前端部から上方に立設する。側壁部39は、側壁部38に対して搬送領域46を間にして対向する。側壁部38,39が互いに対向する方向は、搬送方向に対して直交する方向であり、チューブ装着部40の溝幅方向に該当する。本例のチューブ装着部40では、下方向は、チューブ装着部40の深さ方向である。チューブ装着部40の深さ方向の端部は、底壁部37である。
底壁部37は、第一底壁部41及び第二底壁部42を含む。第一底壁部41は、上流孔33と中央孔35との間に配置される。第一底壁部41は、搬送方向において、上流孔33と中央孔35の夫々に対して隣り合う。第二底壁部42は、中央孔35と下流孔34との間に配置される。第二底壁部42は、搬送方向において、中央孔35と下流孔34の夫々に対して隣り合う。
図9に示すように、第一底壁部41は、チューブ支持部41A、チューブ逃げ溝41B、及び接続部41Cを含む。チューブ支持部41Aは、上方を向く壁面である。チューブ逃げ溝41Bは、チューブ支持部41Aの後端に接続する。換言するとチューブ逃げ溝41Bは、チューブ支持部41Aよりも後方となる位置に配置される。チューブ逃げ溝41Bは、チューブ装着部40の深さ方向へ凹む。チューブ逃げ溝41Bは、湾曲面41D,41Eを含む。湾曲面41Dは、チューブ装着部40の深さ方向に向けて湾曲する。換言すると、湾曲面41Dは、チューブ支持部41Aの後端から後方に向かう程、チューブ装着部40の深さ方向側に向かうよう湾曲する。湾曲面41Eは、湾曲面41Dの下端から後方に向かう程、上側に向かうよう湾曲する。接続部41Cは、湾曲面41Eの上端と、側壁部38下端とを接続する平面である。接続部41Cは、チューブ支持部41Aと略平行であり、チューブ支持部41Aと略同じ上下方向位置に設けられる。
図10に示すように、第二底壁部42は、チューブ支持部42A、チューブ逃げ溝42B、及び接続部42Cを含む。チューブ支持部42Aは、上方を向く壁面である。チューブ逃げ溝42Bは、チューブ支持部42Aの後端に接続する。換言するとチューブ逃げ溝42Bは、チューブ支持部42Aよりも後方となる位置に配置される。チューブ逃げ溝42Bは、チューブ支持部42Aよりもチューブ装着部40の深さ方向へ凹む。チューブ逃げ溝42Bは、湾曲面42D,42Eを含む。湾曲面42Dは、チューブ装着部40の深さ方向に向けて湾曲する。換言すると、湾曲面42Dは、チューブ支持部42Aの後端から後方に向かう程、チューブ装着部40の深さ方向側に向かうよう湾曲する。湾曲面42Eは、湾曲面42Dの下端から後方に向かう程、上側に向かうよう湾曲する。接続部42Cは、湾曲面42Eの上端と、側壁部38下端とを接続する平面である。接続部42Cは、チューブ支持部42Aと略平行であり、チューブ支持部42Aと略同じ上下方向位置に設けられる。
図2及び図5を参照し、印刷機構80を説明する。印刷機構80は、チューブ9と特定インクリボンを重ねた状態で挟み込み、チューブ9にキャラクタを印刷する機構である。キャラクタは、例えば、文字、図形、数字、又は記号等である。印刷機構80は、搬送部20(図2参照)及び印刷部50(図5参照)等を含む。
搬送部20は、プラテンローラ27、第一搬送部21、第二搬送部22、上流側センサ(図示略)、及び下流側センサ(図示略)を含む。プラテンローラ27は、チューブ装着部40の内側であって、中央孔35と同じ搬送方向位置に設けられる。プラテンローラ27は、連通空間47の後方に配置される。プラテンローラ27の回転軸は、上下方向に延び、且つ中央孔35に挿通されている。
第一搬送部21は、チューブ装着部40の内側であって、上流孔33(図3参照)と同じ搬送方向位置に設けられる。第一搬送部21は、連通空間47の右方に配置される。第一搬送部21は、駆動ローラ21Aと、従動ローラ21Bとを含む。従動ローラ22Bは、駆動ローラ21Aに対して前方から対向し、回転自在に設けられる。駆動ローラ21Aの回転軸と、従動ローラ22Bの回転軸は、夫々、上下方向に延び、且つ、上流孔33に挿通されている。
第二搬送部22は、チューブ装着部40の内側であって、下流孔34(図3参照)と同じ搬送方向位置に設けられる。第二搬送部22は、連通空間47の左方に配置される。第二搬送部22は、駆動ローラ22Aと、従動ローラ22Bとを含む。従動ローラ22Bは、駆動ローラ22Aに対して前方から対向し、回転自在に設けられる。駆動ローラ22Aの回転軸と、従動ローラ22Bの回転軸は、夫々、上下方向に延び、且つ、下流孔34に挿通されている。
プラテンローラ27、及び駆動ローラ21A,22Aの夫々の回転軸は、いずれも搬送モータに連結している。つまり、プラテンローラ27、駆動ローラ22A,22Aは、搬送モータ(図示略)によって回転駆動可能である。搬送モータが一方向に回転駆動すると、プラテンローラ27、駆動ローラ21A,22Aは、それぞれ、時計回り方向に回転する。搬送モータが他方向に回転駆動すると、プラテンローラ27、駆動ローラ21A,22Aは、それぞれ、反時計回り方向に回転する。
本実施形態では、プラテンローラ27と駆動ローラ21Aが回転駆動する夫々の位置は、搬送方向において互いに隣り合う。換言すると、チューブ装着部40の内側において、プラテンローラ27と駆動ローラ21Aとの間となる搬送方向位置には、回転駆動するローラが配置されていない。また、プラテンローラ27と駆動ローラ22Aが回転駆動する夫々の位置は、搬送方向において互いに隣り合う。換言すると、チューブ装着部40の内側において、プラテンローラ27と駆動ローラ22Aとの間となる搬送方向位置には、回転駆動するローラが配置されていない。
従動ローラ21B,22Bは、いずれも、退避位置(図6参照)と、作用位置(図7、図8参照)との間を変位可能である。従動ローラ21B,22Bが退避位置にある場合、従動ローラ21B,22Bは、チューブ装着部40に装着されたチューブ9から前方に離隔する(図6参照)。従動ローラ21B,22Bが作用位置にある場合、従動ローラ21B,22Bはそれぞれ、駆動ローラ21A,22Aに前方から近接して対向する。この場合、従動ローラ21B,22Bは、それぞれ、駆動ローラ21A,22Aとの間で、チューブ9を挟み込むことが可能である(図7、図8参照)。
従動ローラ21B,22Bは、レバー79(図1参照)の姿勢の変化に伴って、退避位置と作用位置との間を変位する。レバー79は、本体ケース11の内側であって、チューブ装着部40の後方に設けられる。レバー79は、本体ケース11から上方に延びる姿勢である開姿勢と、本体ケース11の内部で左右方向に延びる姿勢である閉姿勢との間を変位する。図1では、開姿勢にあるレバー79は、実線によって図示され、閉姿勢にあるレバー79は、二点鎖線によって図示される。ユーザが、レバー79を開姿勢から閉姿勢に変位させると、従動ローラ21B,22Bは、それぞれ、退避位置から作用位置まで変位する。
上流孔33よりも上流側且つチューブ装着部40の内側には、上流側センサ(図示略)が設けられ、下流孔34よりも下流側且つチューブ装着部40の内側には、下流側センサが設けられる。上流側センサと下流側センサは、いずれも、チューブ装着部40に装着されたチューブ9を検出する検出部の一例である。上流側センサは、例えば、接触するチューブ9を検出する接触型のセンサである。下流側センサは、例えば、発光体と受光体とを含む非接触型のセンサである。チューブ装着部40に装着されたチューブ9は、発光体が受光体に向けて発する光を遮断する。これにより、下流側センサは、チューブ9を検出できる。
図2、図5に示すように、印刷部50は、アーム52及び延出部70を備える。アーム52は、基部11Cの底壁部と、第一ケース部11Aの底壁部との間に配置される、平面視で略矩形状の板状部材である。アーム52の一端部は、第一ケース部11Aの底壁部(図4参照)から上方に立設する支軸59によって、回転可能に支持される。以下、支軸59を中心とした時計回りを第一方向といい、第一方向とは反対方向を第二方向という。第一方向は、図5の矢印A1が向く方向である。第二方向は、図5の矢印A2が向く方向である。
延出部70は、支軸59を基準とした径方向おけるアーム52の端から上方に延出する。支軸59を基準とした径方向は、支軸59と直交し且つ支軸59から離隔する方向である。延出部70は、支軸59を基準とした径方向と平行な方向に厚さを有する略矩形状である。延出部70は、中央孔35に挿通され、チューブ装着部40の内側及び連通空間47に進入している。延出部70は、プラテンローラ27と第二底壁部42(図3参照)の間となる搬送方向位置に位置し、プラテンローラ27に対して下流側から近接する。延出部70は、チューブ装着部40の深さ方向からチューブ9を支持可能である。換言すると、延出部70は、チューブ装着部40の深さ方向において、搬送領域46(図2参照)よりも深い位置にある。
延出部70は、チューブ支持部72及びチューブ逃げ溝73を含む。チューブ支持部72は、延出部70の上面のうちで、支軸59を基準とした周方向略中心よりも、第一方向にある部位である。本例のチューブ支持部72は、上方を向く平面であり、連通空間47からチューブ装着部40の内側へ延びる。チューブ逃げ溝73は、チューブ支持部72よりも第二方向側に配置される。チューブ逃げ溝73は、チューブ支持部72よりも、チューブ装着部40の深さ方向に凹む。チューブ逃げ溝73は、湾曲面73A及び平面73Bを含む。湾曲面73Aは、チューブ支持部72の第二方向の端に接続する。湾曲面73Aは、チューブ装着部40の深さ方向に向けて湾曲する。換言すると、湾曲面73Aは、第二方向に向かうにつれて、チューブ装着部40の深さ方向に向かうように湾曲する。平面73Bは、湾曲面73A下端から第二方向に延びる平面であり、上方を向く。平面73Bは、チューブ支持部72に対して平行であり、チューブ支持部72よりもチューブ装着部40の深さ方向において深い位置にある。
支軸59とチューブ逃げ溝73の間には、延設部62が設けられる。延設部62は、支軸59を基準とした周方向に厚さを有する板状である。延設部62は、アーム52から上方へ延び、中央孔35に挿通される。延設部62はチューブ装着部40の内側と連通空間47に進入している。延設部62の第一方向の端面には、ヘッド60が設けられる。ヘッド60は、CPU(図示略)によって通電されることで発熱可能な発熱素子を含む板状体である。ヘッド60は、特定インクリボン(図示略)を間にして、第二方向側からプラテンローラ27に対向する。
延設部62と支軸59との間には、立設部100が設けられる。立設部100は、アーム52から上方に向けて立設し、中央孔35に挿通されている。立設部100は、プラテンローラ27と第一底壁部41(図3参照)の間となる搬送方向位置に配置される。立設部100は、第一板部110と第二板部120を含む。第一板部110は、支軸59を基準とした径方向と平行な方向に厚さを有する板状であり、上下方向に延びる。第一板部110は、当接部112を含む。当接部112は、搬送領域46と略同じ上下方向位置に形成され、且つ、第一方向に向けて湾曲する壁である。当接部112は、支軸59を基準とした周方向において、ヘッド60よりも第一方向側にある。換言すると、当接部112は、ヘッド60よりも後側となる前後方向位置にある。また、当接部112は、プラテンローラ27の前端よりも後側となる前後方向位置にある(図7、図8参照)。当接部112は、搬送方向において上流側からプラテンローラ27に近接して対向する。
第二板部120は、上下方向に厚さを有する板状であり、第一板部110の下部から第一方向へ延びる。第二板部120は、中央孔35に挿通されている。第二板部120は、プラテンローラ27に対して、上流側から近接する。第二板部120は、チューブ装着部40の深さ方向からチューブ9を支持可能である。換言すると、第二板部120は、チューブ装着部40の深さ方向において、搬送領域46よりも深い位置にある。
第二板部120は、チューブ支持部122と、チューブ逃げ溝123を含む。本例では、チューブ支持部122は、第二板部120の上面うちで、支軸59を基準とした周方向略中心よりも第一方向にある部位である。チューブ支持部122は、上方向を向く平面であり、連通空間47からチューブ装着部40の内側へ延びる。チューブ逃げ溝123は、チューブ支持部122よりも第二方向側に配置される。チューブ逃げ溝123は、チューブ支持部122よりも、チューブ装着部40の深さ方向に凹む。チューブ逃げ溝123は、湾曲面124を含む。湾曲面124は、チューブ支持部122の第二方向の端と、当接部112とを接続する。湾曲面124は、チューブ装着部40の深さ方向に向けて湾曲する。換言すると、湾曲面124は、第二方向に向かうにつれて、チューブ装着部40の深さ方向に向かうよう湾曲する。
アーム52は、第二ケース部11Bの内部において、図示外のギヤ、棒状部材、及びカム等を介して、ヘッド移動モータ(図示略)に連結する。アーム52は、ヘッド移動モータの駆動力によって、支軸59を中心に第一方向又は第二方向に回転する。アーム52は、支軸59を中心に、非作動位置(図2、図6参照)と作動位置(図8参照)との間を、中間位置(図示略)を経由して回転可能である。非作動位置は、延出部70が支軸59に対して左前方にあるアーム52の回転位置である。作動位置は、延出部70が支軸59に対して略左方にあるアーム52の回転位置である。中間位置は、非作動位置と作動位置との間となるアーム52の特定の回転位置である。アーム52は、非作動位置から第一方向に回転することで、中間位置を経由して作動位置まで回転する。本例では、作動位置は、非作動位置よりも後方となる前後方向位置である。
アーム52が非作動位置にあるときのヘッド60の配置位置は、離隔位置(図2、図6参照)である。離隔位置にあるヘッド60は、特定インクリボン(図示略)に対して前方に離隔する。換言すると、離隔位置にあるヘッド60は、搬送領域46を間にしてプラテンローラ27から前方に離隔する。
アーム52が中間位置にあるときの、ヘッド60の配置位置は、外接位置(図示略)である。外接位置は、離隔位置よりも後側となる前後方向位置である。外接位置にあるヘッド60は、チューブ装着部40に装着されたチューブ9に対して外接(即ち点接触)する。換言すると、外接位置にあるヘッド60は、搬送領域46に対して前方から外接する。
アーム52が作動位置にあるときのヘッド60の配置位置は、挟持位置(図7、図8参照)である。挟持位置は、外接位置よりも後側となる前後方向位置である。挟持位置にあるヘッド60は、チューブ装着部40の内側で、チューブ9と特定インクリボンをプラテンローラ27との間で挟み込む。つまり、挟持位置にあるヘッド60は、チューブ9に対して面接触する。ヘッド60は、挟持位置にある場合、外接位置にある場合よりもプラテンローラ27に対して近接する。
図4、図6、及び図7を参照し、チューブ9及びリボンカセット90の装着方法を説明する。図6、図7では、図面を見易くする都合、リボンカセット90の図示を省略する(図8も同様)。チューブ9とリボンカセット90の装着前において、アーム52は、非作動位置にある。ユーザは、蓋部材12を閉鎖位置から開放位置まで回転させ、レバー79を閉姿勢から開姿勢に変位させる。従動ローラ21B,22Bは、退避位置まで変位する。ユーザは、チューブ9をチューブ装着部40に装着させる。チューブ9は、チューブ挿入口15とチューブ排出口16との間に亘って、チューブ装着部40に装着される(図6参照)。このとき、チューブ9は、チューブ装着部40の底壁部37(図3参照)に搬送方向に亘って上方から接触する。これにより、チューブ9は、上下方向における位置決めがなされる。
図6に示すように、チューブ9は、立設部100の当接部112に沿う。これにより、プラテンローラ27と、ヘッド60との間にあるチューブ9の部位は、プラテンローラ27に沿い、右方に向かう程後方に向かうように湾曲する。また、当接部112に当接するチューブ9の部位は、内側空間を狭めるように僅かに押し潰されて弾性変形する(図11(a)参照)。その後、ユーザは、リボンカセット90をリボン装着部30に装着させる(図4参照)。リボンカセット90の第一支持孔111は、リボン巻取軸63に嵌り、第二支持孔114には、検出用回転軸71が嵌る。特定インクリボン(図示略)は、ヘッド60とチューブ9の間にある連通空間47に配置される。
その後、ユーザは、レバー79を開姿勢から閉姿勢に変位させる。図7に示すように、従動ローラ21B,22Bは、作用位置まで変位する。従動ローラ21Bが作用位置まで変位することで、第一搬送部21は、駆動ローラ21Aと従動ローラ21Bとの間でチューブ9を挟み込む。第一搬送部21によって挟み込まれたチューブ9の部位は、内側空間を閉塞するように押し潰される。従動ローラ22Bが作用位置まで変位することで、第二搬送部22は、駆動ローラ22Aと従動ローラ22Bとの間でチューブ9を挟み込む。第二搬送部22によって挟み込まれたチューブ9の部位は、内側空間を閉塞するように押し潰される。
チューブ9は、印刷部位91、第一部位9A、第二部位9B、第三部位9C、及び第四部位9Dを含む。印刷部位91は、チューブ9のうちでヘッド60とプラテンローラ27との間にある部位である。従動ローラ21B,22Bが夫々退避位置にあり、且つ、ヘッド60が離隔位置にある場合、印刷部位91は、弾性変形前の状態である自然状態を維持する。第一部位9Aは、チューブ9のうちで第一底壁部41(図3参照)によって支持される部位である。第二部位9Bは、チューブ9のうちで第二板部120(図3参照)によって支持される部位である。第三部位9Cは、チューブ9のうちで延出部70によって支持される部位である。第四部位9Dは、チューブ9のうちで第二底壁部42(図3参照)によって支持される部位である。
図7〜図12を参照し、アーム52が非作動位置から作動位置まで回転することでチューブ9が押し潰される過程を説明する。図9(a)は、図6で示すA−A線矢指方向の断面図である。10(a)は、図6で示すB−B線矢指方向の断面図である。同様に、図11(a)は、C−C線の矢指方向の断面図であり、図12(a)はD−D線矢指方向の断面図である。図9(b)は、図8で示すA−A線矢指方向の断面図である。10(b)は、図8で示すB−B線矢指方向の断面図である。同様に、図11(b)は、C−C線の矢指方向の断面図であり、図12(b)はD−D線矢指方向の断面図である。以下、説明の便宜上、チューブ9の印刷部位91、第一部位9A、第四部位9D、第二部位9B、及び第三部位9Cの順に、押し潰される過程を説明する。
図7及び図8を参照し、印刷部位91が押し潰される過程を説明する。印刷装置1の蓋部材12は閉鎖位置にあり、且つ、第一搬送部21と第二搬送部22は、夫々チューブ9を挟持している(図7参照)。ユーザは、操作部17(図1参照)を操作して、印刷装置1の電源を投入する。印刷装置1のCPU(図示略)は、上流側センサがチューブ9を検出した検出結果と、下流側センサがチューブ9を検出した検出結果とを取得した後、ヘッド移動モータを駆動する。アーム52は、非作動位置から中間位置に向けて回転し、ヘッド60、延出部70、立設部100は、アーム52と一体的に回転する。ヘッド60は、離隔位置から外接位置に向けて回転する。ヘッド60は特定インクリボンを後方に向けて付勢しながら、平面視で略後方に移動する。アーム52が中間位置に到達したとき、ヘッド60は外接位置にて、特定インクリボンを介してチューブ9に前方から外接する(図示略)。
アーム52は、中間位置を通過して作動位置に向けて回転し、ヘッド60は、外接位置を通過して挟持位置に向けて回転する。ヘッド60は、特定インクリボンと印刷部位91を付勢しながら、平面視で略後方に移動する。印刷部位91は、プラテンローラ27と、外接位置を通過したヘッド60との間で挟み込まれることによって、押し潰されるような弾性変形を開始する。アーム52が作動位置に到達したとき、印刷部位91は、上下方向に亘って内側空間を閉塞する程度に押し潰される(図8参照)。印刷部位91は、ヘッド60とプラテンローラ27とによって挟み込まれた状態で、静止する。
図9を参照し、第一部位9Aが押し潰される過程を説明する。ヘッド60が外接位置に到達するまでの間、第一部位9Aは、静止した状態を支持し、第一底壁部41のチューブ支持部41Aの後端部によって支持される(図9(a)参照)。印刷部位91(図7参照)が、ヘッド60の外接位置の通過に伴って上述した弾性変形を開始したとき、第一部位9Aは、押し潰されるような弾性変形を開始し、且つ、後方への変位を開始する。従って、弾性変形を開始した第一部位9Aの下端部は、チューブ逃げ溝41Bに進入して湾曲面41Dに接触する。図9(b)では、弾性変形を開始した直後の第一部位9Aを、二点鎖線によって図示する。
ヘッド60が更に挟持位置に向けて回転する。第一部位9Aは更に押し潰されるように弾性変形しながら、後方に変位する。第一部位9Aの下端部は、第一部位9Aの弾性変形に伴い、下方に変位する。従って、第一部位9Aの下端部は、湾曲面41Dに沿って後方に変位する。アーム52が作動位置に到達し、ヘッド60が挟持位置に到達したとき、第一部位9Aは、湾曲面41Dの後端まで変位する。第一部位9Aは、上下方向に亘って内側空間を閉塞する程度に押し潰される(図8、図9(b)参照)。第一部位9Aは、静止する。
図10を参照し、第四部位9Dが押し潰される過程を説明する。ヘッド60が外接位置に到達するまでの間、第四部位9Dは、静止した状態を支持し、第二底壁部42のチューブ支持部42Aの後端部によって支持される(図10(a)参照)。印刷部位91(図7参照)が、ヘッド60の外接位置の通過に伴って上述した弾性変形を開始したとき、第四部位9Dは、押し潰されるような弾性変形を開始し、且つ、後方への変位を開始する。従って、弾性変形を開始した第四部位9Dの下端部は、チューブ逃げ溝42Bに進入して湾曲面42Dに接触する。図10(b)では、弾性変形を開始した直後の第四部位9Dを、二点鎖線によって図示する。
ヘッド60が更に挟持位置に向けて回転する。第四部位9Dは更に押し潰されるように弾性変形しながら、後方に変位する。第四部位9Dの下端部は、第四部位9Dの弾性変形に伴い、下方に変位する。従って、第四部位9Dの下端部は、湾曲面42Dに沿って後方に変位する。アーム52が作動位置に到達し、ヘッド60が挟持位置に到達したとき、第四部位9Dは、湾曲面42Dの後端まで変位する。第四部位9Dは、上下方向に亘って内側空間を閉塞する程度に押し潰される(図8、図10(b)参照)。第四部位9Dは、静止する。
図11を参照し、第二部位9Bが押し潰される過程を説明する。アーム52が非作動位置から中間位置に回転するまでの間、第二部位9Bは、立設部100と共に第一方向に変位しながら、押し潰されるように徐々に弾性変形する(図11(a)参照)。このとき、第二部位9Bは、チューブ支持部122の前端によって支持され且つ当接部112に当接した状態を維持して、第一方向(略後方)に変位する。印刷部位91は、プラテンローラ27に沿うように更に湾曲する。即ち、印刷部位91は、右方に向かう程後方に向かうように更に湾曲する。アーム52が中間位置に到達するまでの間、第二部位9Bが、十分に押し潰されていなため、第二部位9Bの下端部は、チューブ逃げ溝123に進入しない(図11(a)参照)。
アーム52が中間位置を通過した直後、第二部位9Bは更に押し潰されるように弾性変形する。これにより、第二部位9Bの下端部は、チューブ逃げ溝123に進入する。図11(b)では、アーム52が中間位置を通過した直後の第二部位9Bを、二点鎖線によって図示する。アーム52が中間位置から作動位置に向かう間、第二部位9Bは、更に弾性変形しながら第一方向へ変位する。この場合、第二部位9Bの第一方向に向けた速さは、チューブ9の剛性によって、立設部100の第一方向に向けた速さよりも遅くなる。従って、第二部位9Bは、立設部100に対して第二方向に相対変位する。第二部位9Bは、立設部100によって更に押し潰され、第二部位9Bの下端部は、第二部位9Bの弾性変形に伴って下方に変位する。第二部位9Bの下端部は、立設部100に対して、湾曲面124に沿って第二方向へ相対変位する。アーム52が作動位置に到達したとき、第二部位9Bは、内側の空間を上下方向に亘って閉塞するとうに押し潰され、静止する(図8、図11(b)参照)。第二部位9Bは、湾曲面124によって支持され、且つ当接部112に上下方向に亘って密着する。
第二部位9Bが押し潰されたとき、印刷部位91は、ヘッド60が離隔位置にある場合に比べ、プラテンローラ27に沿うように湾曲する。即ち、印刷部位91は、ヘッド60が離隔位置にある場合に比べ、右方に向かう程後方に向かうように湾曲する。よって、プラテンローラ27に接触する印刷部位91の外周面の面積は、増大する。
図12を参照し、第三部位9Cが押し潰される過程を説明する。アーム52が非作動位置から中間位置に回転するまでの間、第三部位9Cは、延出部70のチューブ支持部72によって支持された状態を維持して静止する(図12(a)参照)。第三部位9Cは、弾性変形をする前の状態である自然状態を維持する。一方、アーム52は第一方向に回転する。従って、第三部位9Cは、チューブ支持部72部に対して、第二方向に相対変位する。アーム52が中間位置に到達したとき、第三部位9Cは、チューブ支持部72の第二方向の端によって支持される(図示略)。
アーム52が中間位置を通過した直後、印刷部位91が上述した弾性変形を開始したことに伴って、第三部位9Cは、押し潰されるような弾性変形を開始する。図12(b)では、アーム52が中間位置を通過した直後の第三部位9Cを、二点鎖線によって図示する。
アーム52が中間位置から作動位置に向かう間、第三部位9Cは更に弾性変形する。第三部位9Cの前後方向位置は略同じである。従って、第三部位9Cは、延出部70に対して第二方向に更に相対変位する。第三部位9Cの下端部は、第三部位9Cの弾性変形に伴って、下方に変位する。従って、第三部位9Cの下端部は、延出部70に対して、チューブ逃げ溝73の湾曲面73Aに接触しながら、第二方向に相対変位する。アーム52が作動位置に到達したとき、第三部位9Cは、上下方向に亘って内側の空間を閉塞するように押し潰される(図8、図12(b)参照)。このとき、第三部位9Cは、湾曲面73Aの第二方向の端部によって支持され、静止する(図12(b)参照)。
図8を参照し、印刷装置1が実行する印刷動作の概要を説明する。アーム52は、作動位置にある。CPU(図示略)は、搬送モータ(図示略)を一方向に回転駆動する。プラテンローラ27、駆動ローラ21A,22Aは、時計回りに回転駆動する。これにより、チューブ9は、搬送方向に沿って下流側へ搬送され、従動ローラ21B,22Bは、夫々、駆動ローラ21A,22Aに従動して回転する。また、搬送モータの一方向への回転駆動に伴って、リボン巻取軸63はインクリボン95を巻取スプール300に巻き取る。CPUは、搬送モータを回転駆動すると同時に、ヘッド60の発熱素子(図示外)を発熱させる。ヘッド60は、特定インクリボンを加熱して、チューブ9にキャラクタを印刷する。キャラクタを印刷されたチューブ9は、搬送方向へ搬送される。使用済みのインクリボン95は、巻取スプール300によって巻き取られ、リボンスプール81からは未使用のインクリボン95が繰り出される。キャラクタがチューブ9に印刷された後、CPUは、搬送モータの回転駆動を停止し、ヘッド60の発熱素子の発熱を停止する。
尚、印刷部位91は、プラテンローラ27に沿うように湾曲して接触しているので、プラテンローラ27に接触する印刷部位91の外周面の面積は、大きい。従って、回転駆動するプラテンローラ27が印刷部位91を搬送する搬送力は、増大する。よって、搬送される印刷部位91は、プラテンローラ27に対して滑りにくい。
以上説明したように、チューブ装着部40に装着されるチューブ9は、底壁部37のチューブ支持部41A,42Aによって上下方向における位置決めがなされる。アーム52は、中間位置から作動位置まで回転することで、ヘッド60を外接位置からから挟持位置まで回転させる。チューブ9の印刷部位91は、ヘッド60とプラテンローラ27とによって、内側空間を上下方向に亘って閉塞するように押し潰される。この場合、第二部位9Bの下端部がチューブ逃げ溝123に進入し、第三部位9Cの下端部がチューブ逃げ溝73に進入する。従って、第二部位9Bと第三部位9Cは、上下方向に亘って平らに押し潰される。
例えば、第二板部120が、チューブ逃げ溝123を含まず、チューブ装着部40の溝幅方向に亘って上下方向と直交する壁である場合が考えられる。更に、延出部70が、チューブ逃げ溝73を含まず、チューブ装着部40の溝幅方向に亘って上下方向と直交する壁であることが考えられる。この場合、印刷部位91が押し潰されることに伴って、第二部位9Bの下端部は、第二板部120に沿って平らに変形し、第三部位9Cの下端部は、延出部70に沿って平らに変形する。特に、チューブ9の材質が比較的柔らかい場合、又は、チューブ9の外表面の摩擦係数が比較的小さい場合では、挟持位置へ向かうヘッド60と、プラテンローラ27との間で弾性変形する印刷部位91は、例えば下方に変位し易い。結果、第二部位9Bの下端部と、第三部位9Cの下端部は、印刷部位91と共に下方に変位するので、第二板部120と延出部70に沿って、チューブ装着部40の溝幅方向に平らに変形し易い。第二部位9Bと第三部位9Cは、夫々、第二板部120と延出部70から上方への反力を受ける結果、印刷部位91の上下方向位置が不安定となる。従って、印刷装置1の印刷品質が低下する可能性がある。
しかし、本実施形態では、第二板部120がチューブ逃げ溝123を含み、延出部70がチューブ逃げ溝73を含むので、第二部位9Bの下端部と第三部位9Cの下端部は、チューブ装着部40の溝幅方向に平らになりにくい。よって、印刷部位91の上下方向位置は、安定化する。以上より、ヘッド60とプラテンローラ27とによって挟まれるチューブ9の位置がずれにくい印刷装置1が実現される。故に、印刷装置1は、印刷品質を向上できる。
第二板部120のチューブ支持部122は、プラテンローラ27に対して上流側から近接する。つまり、第二部位9Bは、印刷部位91に対して近接する。従って、印刷部位91が押し潰されることに伴って、例えば、第二部位9Bの下端部が第二板部120から上方への反力を受けた場合、印刷部位91の上下方向位置は不安定になり易い。しかしながら、印刷装置1は、第二部位9Bの下端部がチューブ装着部40の溝幅方向に潰れることを抑制するので、印刷部位91の上下方向位置を更に安定化できる。
延出部70のチューブ支持部72は、搬送方向の下流側からプラテンローラ27に近接する。つまり、第三部位9Cは、印刷部位91に対して近接する。従って、印刷部位91が押し潰されることに伴って、例えば、第三部位9Cの下端部が延出部70から上方への反力を受けた場合、印刷部位91の上下方向位置は不安定になり易い。しかしながら、印刷装置1は、第三部位9Cの下端部がチューブ装着部40の溝幅方向に潰れることを抑制するので、印刷部位91の上下方向位置を更に安定化できる。
チューブ逃げ溝73は湾曲面73Aを含み、チューブ逃げ溝123は湾曲面124を含む。湾曲面73A,124は、第二方向に向かう程、チューブ装着部40の深さ方向側に向かうよう湾曲する。従って、第二部位9Bと第三部位9Cが、夫々、第二板部120と延出部70に対して第二方向に相対変位しながら、押し潰されるように弾性変形する場合、第二部位9Bの下端部は、湾曲面124に沿って相対変位し、第三部位9Cの下端部は、湾曲面73Aに沿って相対変位する。第二部位9Bの下端部と第三部位9Cの下端部は、いずれも、チューブ装着部40の溝幅方向に沿って平らに更に潰れにくい。よって、押し潰される印刷部位91の上下方向位置は、更に安定化する。
印刷部位91が、ヘッド60とプラテンローラ27とによって押し潰される場合、第一部位9Aの下端部がチューブ逃げ溝41Bに進入し、第四部位9Dの下端部がチューブ逃げ溝42Bに進入する。従って、第一部位9Aと第四部位9Dは、上下方向に亘って平らに押し潰される。
例えば、第一底壁部41が、チューブ逃げ溝41Bを含まず、チューブ装着部40の溝幅方向に亘って上下方向と直交する壁である場合が考えられる。更に、第二底壁部42が、チューブ逃げ溝42Bを含まず、チューブ装着部40の溝幅方向に亘って上下方向と直交する壁であることが考えられる。この場合、印刷部位91が押し潰されることに伴って、第一部位9Aの下端部は、第一底壁部41に沿って平らに変形し、第四部位9Dの下端部は、第二底壁部42に沿って平らに変形する。特に、チューブ9の材質が比較的柔らかい場合、又は、チューブ9の外表面の摩擦係数が比較的小さい場合では、弾性変形する印刷部位91は、例えば下方に変位し易い。結果、第一部位9Aの下端部と、第四部位9Dの下端部は、印刷部位91と共に下方に変位するので、第一底壁部41と第二底壁部42に沿って平らに変形し易い。第一部位9Aと第四部位9Dは、夫々、第一底壁部41と第二底壁部42から上方への反力を受ける結果、印刷部位91の上下方向位置が不安定となる。従って、印刷装置1の印刷品質が低下する可能性がある。
しかし、本実施形態では、第一底壁部41がチューブ逃げ溝41Bを含み、第二底壁部42がチューブ逃げ溝42Bを含むので、第一部位9Aの下端部と第四部位9Dの下端部は、チューブ装着部40の溝幅方向に平らになりにくい。よって、印刷部位91の上下方向位置は、安定化する。以上より、ヘッド60とプラテンローラ27とによって挟まれるチューブ9の位置がずれにくい印刷装置1が実現される。故に、印刷装置1は、印刷品質を向上できる。
駆動ローラ21Aが回転駆動する位置と、プラテンローラ27が回転駆動する位置は、搬送方向において隣り合う。また、チューブ支持部41Aは、駆動ローラ21Aとプラテンローラ27との間となる搬送方向位置に設けられる。これにより、チューブ9の第一部位9Aは、印刷部位91に対して近接する。従って、例えば印刷部位91が押し潰されることに伴って、例えば、第一部位9Aの下端部が第一底壁部41から上方への反力を得た場合、印刷部位91の上下方向位置は不安定になり易い。しかしながら、印刷装置1は、第一部位9Aの下端部がチューブ装着部40の溝幅方向に潰れることを抑制するので、印刷部位91の上下方向位置を更に安定化できる。
駆動ローラ22Aが回転駆動する位置と、プラテンローラ27が回転駆動する位置は、搬送方向において隣り合う。また、チューブ支持部42Aは、駆動ローラ22Aとプラテンローラ27との間となる搬送方向位置に設けられる。これにより、チューブ9の第四部位9Dは、印刷部位91に対して近接する。従って、例えば印刷部位91が押し潰されることに伴って、例えば、第四部位9Dの下端部が第二底壁部42から上方への反力を得た場合、印刷部位91の上下方向位置は不安定になり易い。しかしながら、印刷装置1は、第四部位9Dの下端部がチューブ装着部40の溝幅方向に潰れることを抑制するので、印刷部位91の上下方向位置を更に安定化できる。
チューブ逃げ溝41Bは湾曲面41Dを含み、チューブ逃げ溝42Bは湾曲面42D含む。湾曲面41D,42Dは、後方に向かう程、チューブ装着部40の深さ方向に向かうように湾曲する。換言すると、湾曲面41D,42Dは、第一方向に向かう程、チューブ装着部40の深さ方向に向かうように湾曲する。後方に変位する第一部位9Aの下端部は、湾曲面41Dに沿って変位し、後方に変位する第四部位9Dの下端部は、湾曲面42Dに沿って変位する。従って、第一部位9Aの下端部と第四部位9Dの下端部は、いずれも、チューブ装着部40の溝幅方向に潰れにくい。よって、押し潰される印刷部位91の上下方向位置は、更に安定化する。
上記実施形態において、チューブ装着部40は、本発明の「搬送溝」の一例である。ヘッド60は、本発明の「第一部材」の一例である。チューブ支持部72,122は、本発明の「第一チューブ支持部」の一例である。チューブ逃げ溝73,123は、本発明の「第一チューブ逃げ溝」の一例である。湾曲面73A,124は、本発明の「第一湾曲面」の一例である。チューブ支持部41A,42Aは、本発明の「第二チューブ支持部」の一例である。チューブ逃げ溝41B,42Bは、本発明の「第二チューブ逃げ溝」の一例である。駆動ローラ21Aは、本発明の「第一ローラ」の一例である。駆動ローラ22Aは、本発明の「第二ローラ」の一例である。湾曲面41D,42Dは、本発明の「第二湾曲面」の一例である。外接位置は、本発明の「第一位置」の一例である。挟持位置は、本発明の「第二位置」の一例である。第一所定方向は、本発明の「第二方向」の一例である。第二所定方向は、本発明の「第一方向」の一例である。
尚、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。ヘッド60がアーム52に設けられる代わりに、プラテンローラ27がアーム52に設けられてもよい。この場合、プラテンローラ27は、ヘッド60との間でチューブ9を挟み込む位置と、チューブ9に対して外接する位置との間を移動する。
印刷装置1は、チューブ逃げ溝41B,42B,73,123の少なくとも一つを備えていればよい。例えば、印刷装置1が、チューブ逃げ溝41B,42B,73,123のうちでチューブ逃げ溝41Bを備えていた場合であっても、プラテンローラ27とヘッド60との間で押し潰される印刷部位91の上下方向位置は、安定化する。