JP6657783B2 - タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents

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Description

本発明はタイヤ用ゴム組成物に関する。
近年、空気入りタイヤにはラベリング(表示方法)制度が施行され、ウェット性(湿潤路面での制駆動性)と低転がり抵抗性とをより高いレベルで両立させることが求められている。
従来、タイヤのトレッド部を構成するゴム材料へ配合するフィラーをカーボンブラックからシリカへ変更することで、低転がり抵抗性やウェット性が改善することが知られている。しかし、シリカ配合ゴムは摩耗性能が悪化する傾向があった。
また、シリカと一緒にメルカプト基を有するシランカップリング剤を配合することでシリカの分散性を向上させる方法が提案されているが、加工性および貯蔵安定性は不十分であった。
一方、タイヤ用ゴム組成物に関連する従来法として、例えば特許文献1に記載のものが提案されている。
特許文献1には、共役ジエン化合物由来部分の含有量が40mol%以上である共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(A)と、共役ジエン系重合体(B)と、エチレン−プロピレン−ジエンゴムを含有する非共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(C)とを含むことを特徴とするゴム組成物が記載されており、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(A)は、三塩化アンチモン、五塩化アンチモンを含む特定の化合物を重合触媒組成物として用いて、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとを重合させることが記載されている。
国際公開第2012/117715号パンフレット
本発明の目的は、摩耗性能に優れ、同時に加工性および貯蔵安定性にも優れるタイヤを得ることができるゴム組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するための鋭意検討を重ね、特定の比率で、特定のガラス転移温度を有するジエン系ゴム、シリカ、酸化アンチモン化合物、特定の硫黄含有シランカップリング剤を含むゴム組成物が、上記の目的を達成することを見出し、本発明を完成させた。
なお、特許文献1に記載のゴム組成物では、その製造過程において、触媒として、三塩化アンチモンまたは五塩化アンチモンを用い得ることが記載されているが、製造して最終的に得られるゴム組成物に、その製造過程において用いた触媒としての三塩化アンチモンまたは五塩化アンチモンは含まれない。
本発明は以下の(i)〜(iv)である。
(i)平均ガラス転移温度が−80〜−20℃であるジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを30〜180質量部、酸化アンチモン化合物を1〜50質量部含み、さらに下記式(1)で表される平均組成式を有する硫黄含有シランカップリング剤を、前記シリカと前記酸化アンチモン化合物との合計量に対する比率で3〜20質量%含む、タイヤ用ゴム組成物。
(A)a(B)b(C)c(D)d(R1eSiO(4-2a-b-c-d-e)/2 ・・・・式(1)
(式(1)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基を表す。Bは炭素数5〜10の1価の炭化水素基を表す。Cは加水分解性基を表す。Dはメルカプト基を含有する有機基を表す。R1は炭素数1〜4の1価の炭化水素基を表す。a〜eは、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0<d<1、0≦e<2、0<2a+b+c+d+e<4の関係式を満たす。)
(ii)前記酸化アンチモン化合物が、平均粒子径が20〜60nmの微粒子であることを特徴とする、上記(i)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(iii)前記シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)が194〜225m2/g、CTAB比表面積(CTAB)が180〜210m2/g、DBP吸収量が190ml/100g以上であり、前記N2SAと前記CTABの比(N2SA/CTAB)が0.9〜1.4であり、前記シリカの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して60〜150質量部であることを特徴とする、上記(i)または(ii)に記載のタイヤ用ゴム組成物
(iv)上記(i)〜(iii)のいずれかに記載のゴム組成物をタイヤトレッドに用いた空気入りタイヤ。
本発明によれば、摩耗性能に優れ、同時に加工性および貯蔵安定性にも優れるタイヤを得ることができるゴム組成物を提供することができる。
本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図である。
本発明について説明する。
本発明は、平均ガラス転移温度が−80〜−20℃であるジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを30〜180質量部、酸化アンチモン化合物を1〜50質量部含み、さらに下記式(1)で表される平均組成式を有する硫黄含有シランカップリング剤を、前記シリカと前記酸化アンチモン化合物との合計量に対する比率で3〜20質量%含む、タイヤ用ゴム組成物である。
(A)a(B)b(C)c(D)d(R1eSiO(4-2a-b-c-d-e)/2 ・・・・式(1)
ここで、式(1)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基を表す。Bは炭素数5〜10の1価の炭化水素基を表す。Cは加水分解性基を表す。Dはメルカプト基を含有する有機基を表す。R1は炭素数1〜4の1価の炭化水素基を表す。a〜eは、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0<d<1、0≦e<2、0<2a+b+c+d+e<4の関係式を満たす。
このようなタイヤ用ゴム組成物を、以下では「本発明の組成物」ともいう。
<ジエン系ゴム>
本発明の組成物が含有するジエン系ゴムは、主鎖に二重結合を有するものであって、平均ガラス転移温度が−80〜−20℃であるものであれば特に限定されず、その具体例としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)、スチレン−イソプレンゴム、イソプレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、水添ニトリルゴム等が挙げられる。
ジエン系ゴムとして、例えば上記のような具体例の中の1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
1種単独で用いる場合は、そのジエン系ゴムのガラス転移温度が−80〜−20℃であるものを用いる。
2種以上を併用する場合は、各成分のガラス転移温度に各成分の質量%をそれぞれ掛けて足し合わせた値が−80〜−20℃であるものを用いる。
ジエン系ゴムのガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により20℃/分の昇温速度条件によりサーモグラムを測定し、低温側のベースラインと転移域の傾き(傾斜直線)とのそれぞれの延長線の交点の温度とする。また、ジエン系ゴムが油展品であるときは、油展成分(オイル)を含まない状態におけるジエン系ゴムのガラス転移温度とする。
ジエン系ゴムとして、ウェット性能と低燃費性能とのバランスが取れるという理由から、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)を用いるのが好ましく、これらを併用するのがより好ましい。
ジエン系ゴムとしてスチレン・ブタジエンゴム(SBR)およびブタジエンゴム(BR)を併用する場合には、ジエン系ゴム中、SBRが50〜100質量%であることが好ましく、60〜80質量%であることがより好ましい。この範囲内であると、加硫後のゴム組成物の一般的物性がより良好なものとなる。
<シリカ>
本発明の組成物が含有するシリカは特に限定されず、タイヤ等の用途でゴム組成物に配合されている従来公知の任意のシリカを用いることができる。
前記シリカとしては、具体的には、例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記シリカは、その窒素吸着比表面積(N2SA)が194〜225m2/g、CTAB比表面積(CTAB)が180〜210m2/g、DBP吸収量が190ml/100g以上であって、前記N2SAと前記CTABの比(N2SA/CTAB)が0.9〜1.4であることが好ましい。この場合、前記シリカの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して60〜150質量部であることがより好ましい。
前記シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、194〜220m2/gであることが好ましく、200〜220m2/gであることがより好ましい。N2SAが高すぎると混合性が悪化し、練りが不均一となり安定したゴム材料が得難い。
なお、シリカのN2SAはJIS K6217−2に準拠して求めるものとする。
シリカのCTAB比表面積(CTAB)は180〜200m2/gであることが好ましく、190〜200m2/gであることがより好ましい。CTABが高すぎると転がり抵抗が悪化し好ましくない。
なお、シリカのCTABはJIS K6217−3に準拠して求めるものとする。
シリカのN2SAとCTABの比(N2SA/CTAB)は1.0〜1.3であることが好ましい。この比(N2SA/CTAB)が低すぎると補強性が低下する傾向がある。またシリカのこの比が高すぎるとシリカの分散性が低下し、転がり抵抗が悪化する傾向がある。
シリカのDBP吸収量は、195ml/100g以上であることが好ましく、200ml/100g以上であることがより好ましい。DBP吸収量が低すぎると引張り破断強度が低下する傾向がある。DBP吸収量の上限は特に限定されるものではないが、好ましくは250ml/100g以下にするとよい。DBP吸収量が高すぎると粘度が高くなり加工性が悪化する傾向がある。
なお、シリカのDBP吸収量は、JIS K6217−4吸油量A法に準拠して求めるものとする。
本発明においては、前記シリカの含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して30〜180質量部であり、得られるタイヤの耐摩耗性が良好となり、低燃費性能のバランスが良好となるため、60〜150質量部であることがより好ましく、80〜130質量部であることがさらに好ましい。
<酸化アンチモン化合物>
本発明の組成物が含有する酸化アンチモン化合物は特に限定されず、平均粒子径が20〜60nmの微粒子であることが好ましく、25〜50nmの微粒子であることがより好ましい。
平均粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、酸化アンチモン化合物を倍率5000倍で写真撮影し、得られた写真から任意に500個を選び、ノギスを用いて各々の投影面積円相当径を測定して積算粒度分布(体積基準)を求め、それより平均粒子径(メジアン径)を算出して求める値とする。
酸化アンチモン化合物として、酸化アンチモンスズ、酸化アンチモン亜鉛、酸化アンチモンチタンが挙げられる。
また、酸化アンチモン化合物は、酸化アンチモンを含むものとする。
本発明の組成物が含む酸化アンチモン化合物は、酸化アンチモン−スズ系または酸化アンチモン−インジウム系であることが好ましい。スズまたはインジウム系化合物を配合することでゴムに導電性を付与することができるため、シリカ配合ゴムの帯電防止が可能となる。
本発明においては、前記酸化アンチモン化合物の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して酸化アンチモン化合物を1〜50質量部であり、5〜45質量部であることがより好ましく、10〜40質量部であることがさらに好ましい。酸化アンチモン化合物の配合量が1質量部未満の場合、タイヤの低転がり性、ウェット性能および摩耗性能が改善されず、50質量部より多くなると摩耗性能が低下する傾向がある。
<硫黄含有シランカップリング剤>
本発明の組成物に含有する硫黄含有シランカップリング剤は、上記の式(1)で表される平均組成式を有するものである。
式(1)において、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基である。添え字a=0のときAは存在せず、0<a<1のときAが存在する。Aが存在することにより、2分子のシロキサン化合物を橋渡し高分子量化することができる。これによりメルカプト基の含有割合を小さくしゴム組成物の加工性を維持することができる。一方、Aが存在しない(a=0)とき、硫黄含有シランカップリング剤はよりシリカとの反応性に富むという特徴を有する。
スルフィド基を含有する2価の有機基Aとしては、特に制限されるものではなく、単数または複数のスルフィド基と単数または複数の2価の炭化水素基が結合した有機基であればよい。好ましくは単数または複数のスルフィド基の両側に2価の炭化水素基が結合した有機基であるとよい。2価の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族環化水素基が挙げられるが、脂肪族炭化水素基が好ましい。脂肪族炭化水素基としては、例えばメチレン基、炭素数2〜10のアルキレン基、アルケニレン基を例示することができる。炭素数4以上のアルキレン基およびアルケニレン基は、直鎖状または分岐状のいずれでもよい。
スルフィド基を含有する2価の有機基Aとしては、例えば下記式(2)で表される有機基であるとよい。
−(CH2n−Sx−(CH2n− ・・・・式(2)
式(2)中、nは1〜10の整数、xは1〜4の整数を表す。nは、1〜10の整数、好ましくは2〜5の整数である。
nをこのような範囲の整数にすることにより、シリカとの反応性と加工性を両立することができる。
xは、1〜4の整数、好ましくは2〜4の整数である。xをこのような範囲の整数にすることにより、加工性をより改善することができる。
スルフィド基を含有する2価の有機基Aとして、例えば、−C36−S2−C36−,−CH2−S2−CH2−,−C24−S2−C24−,−C48−S2−C48−,−C36−S4−C36−,−CH2−S4−CH2−,−C24−S4−C24−,−C48−S4−C48−等を例示することができる。なかでも−C36−S2−C36−,−C36−S4−C36−が好ましい。
前記式(1)において、Bは炭素数5〜10の1価の炭化水素基である。1価の炭化水素基Bとしては、例えば脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族環化水素基が挙げられ、脂肪族炭化水素基が好ましい。脂肪族炭化水素基としては、直鎖状または分岐状のいずれでもよく、例えば炭素数5〜10、より好ましくは6〜9のアルキル基、アルケニル基であるとよい。炭化水素基Bとしては、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基を例示することができる。なかでも1価の炭化水素基Bとしては、オクチル基が好ましい。なお1価の炭化水素基Bは、酸素原子、窒素原子、硫黄原子などのヘテロ原子を含まないことが好ましい。
1価の炭化水素基Bの存在割合を示す添字bは、0<b<1の実数である。添字bは、添字a=0のとき好ましくは0.10<b<0.89であるとよい。また添字bは、0<a<1のときも同様に好ましくは0.10<b<0.89であるとよい。
前記式(1)において、Cは一価の加水分解性基である。加水分解性基Cとしては、例えばアルコキシ基、カルボキシル基、アルケニルオキシ基、フェノキシ基等が例示され、好ましくは下記式(3)で表されるとよい。
−OR2 ・・・・式(3)
式(3)中、R2は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数2〜10のアルケニル基を表す。
加水分解性基Cとしてはアルコキシ基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基であるとよく、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、イソプロポキシ基等を例示することができる。なかでもエトキシ基が好ましい。
加水分解性基Cの存在割合を示す添字cは、0<c<3の実数である。添字cは、添字a=0のとき好ましくは0<c<2.0、より好ましくは1.2<c<2.0であるとよい。また添字cは、0<a<1のとき、好ましくは0<c<2.5、より好ましくは0.5<c<2.0であるとよい。
前記式(1)において、Dはメルカプト基を含有する一価の有機基である。メルカプト基を含有する有機基Dとしては、特に限定されるものではなく、例えば脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族環化水素基の少なくとも一つの水素原子がメルカプト基に置換されたものであればよい。メルカプト基が結合する脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐状のいずれでもよい。メルカプト基を含有する有機基Dとしは、下記式(4)で表されるとよい。
−(CH2m−SH ・・・・式(4)
式(4)中、mは1〜10の整数を表す。
メルカプト基を含有する有機基Dとしては、好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数2〜6のメルカプト基を有するアルキル基であるとよい。例えば、メルカプトメチル基、メルカプトエチル基、メルカプトプロピル基、メルカプトブチル基、メルカプトペンチル基、メルカプトヘキシル基、メルカプトヘプチル基、メルカプトオクチル基、メルカプトノニル基、メルカプトデシル基が例示される。なかでもメルカプトプロピル基、特に3−メルカプトプロピル基が好ましい。
メルカプト基を含有する有機基Dの存在割合を示す添字dは、0<d<1の実数である。添字dは、添字a=0のとき好ましくは0.1<d<0.8であるとよい。また添字dは、0<a<1のときも同様に、好ましくは0.1<d<0.8であるとよい。
前記式(1)において、R1は炭素数1〜4の1価の炭化水素基である。炭化水素基R1としては、メチル基、炭素数2〜4のアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、イソプロピル基が挙げられ、好ましくはエチル基であるとよい。
1価の炭化水素基R1の存在割合を示す添字eは、0≦e<2の実数である。添字eは、添字a=0のとき好ましくは0.1<e<1.6であるとよい。また添字eは、0<a<1のとき、好ましくは0.1<e<0.8であるとよい。
上述した添字a〜eは、0<2a+b+c+d+e<4の関係を満たす。添字a=0のとき、好ましくは0.3<b+c+d+e<3.5、より好ましくは0.5<b+c+d+e<3.0であるとよい。また0<a<1のとき、好ましくは0.5<2a+b+c+d+e<3.5、より好ましくは0.8<2a+b+c+d+e<3.0であるとよい。
添字a〜eが、上述した関係式を満たすことにより、ゴム組成物の加工性を確保しながら、シリカの分散性を向上することができる。
前記式(1)において、平均組成SiOの存在割合は、(4−2a−b−c−d−e)/2で表される。
前記式(1)で表される平均組成式を有する硫黄含有シランカップリング剤は、通常の合成方法で製造することができる。また市販されたシランカップリング剤の中から適宜、選択して使用してもよい。
本発明で使用する硫黄含有シランカップリング剤は、前記式(1)におけるaが0<a<1のとき、0<c<3であり、A,CおよびDが前記式(2)(3)および(4)で表されることが好ましい。
また、本発明で使用する硫黄含有シランカップリング剤は、前記式(1)におけるaがa=0のとき、0<c<2、0≦e<2であり、Bが炭素数5〜10のアルキル基、Dが前記式(4)で表されることが好ましい。
本発明においては、前記硫黄含有シランカップリング剤の含有量は、前記シリカと前記酸化アンチモン化合物との合計量に対する比率(硫黄含有シランカップリング剤の含有量/(シリカの含有量+酸化アンチモン化合物の含有量)×100)として3〜20質量%であり、5〜15質量%であることが好ましく、7〜10質量%であることがより好ましい。前記硫黄含有シランカップリング剤の配合量が前記シリカと前記酸化アンチモン化合物との合計量に対する比率が3質量%未満の場合、タイヤの低燃費性能やウェット性能、および耐摩耗性が改善されずゴムの加工性も悪化する。一方、前記シリカと前記酸化アンチモン化合物との合計量に対する比率が20質量%より高くなると、摩耗性能が低下する傾向がある。
<その他の成分>
本発明の組成物には、上記の成分の他に、芳香族性テルペン樹脂、シリカ以外のフィラー(例えば、カーボンブラック等)、上記の硫黄含有シランカップリング剤以外のシランカップリング剤、加硫または架橋剤、加硫または架橋促進剤、酸化亜鉛、軟化剤(オイル)、老化防止剤、可塑剤等のタイヤ用ゴム組成物に一般的に用いられている各種のその他添加剤を配合することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
例えば、シリカ以外のフィラー(例えば、カーボンブラック)の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して4〜30質量部であることが好ましく、5〜25質量部であることがより好ましい。
加硫剤または架橋剤の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して0.3〜3.0質量部であることが好ましく、0.5〜2.5質量部であることがより好ましい。
加硫促進剤または架橋促進剤の含有量は、一次促進剤単独もしくは二次とのブレンドで前記ジエン系ゴム100質量部に対して0.5〜4.0質量部であることが好ましく、1.0〜2.5質量部であることがより好ましい。
酸化亜鉛の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して0.2〜10.0質量部であることが好ましく、0.4〜5.0質量部であることがより好ましい。
軟化剤(オイル)の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して10〜60質量部であることが好ましく、15〜45質量部であることがより好ましい。
老化防止剤の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して0.1〜5.0質量部であることが好ましく、0.2〜4.0質量部であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂のような可塑剤の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して0〜30質量部であることが好ましく、0〜20質量部であることがより好ましい。
[製造方法]
本発明のゴム組成物は、上記の各成分を混合・混錬することによって製造することができる。
上記の成分のうち、加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤以外の成分を混合および混練してマスターバッチを作成し、このマスターバッチに加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤を混合し、オープンロール等を用いて混練してゴム組成物を製造することが好ましい。このように、加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤以外の成分からなるマスターバッチを作成し、そのマスターバッチに加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤を混合・混練すると、加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤を混合してからの混練時間を短くすることができ、不均一な加硫(架橋)が生じることによる加硫(架橋)ゴム組成物の物性低下を防止することができるうえ、加硫(架橋)の制御が容易となる。
[空気入りタイヤ]
本発明の空気入りタイヤは、上述した本発明の組成物を用いて製造した空気入りタイヤである。なかでも、本発明の組成物をタイヤトレッドに用いて製造した空気入りタイヤであることが好ましい。
図1に、本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明の空気入りタイヤは図1に示す態様に限定されるものではない。
図1において、符号1はビード部を表し、符号2はサイドウォール部を表し、符号3はタイヤトレッド部を表す。
また、左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。
また、タイヤトレッド3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。
また、ビード部1においては、リムに接する部分にリムクッション8が配置されている。
本発明の空気入りタイヤは、例えば従来公知の方法に従って製造することができる。また、タイヤに充填する気体としては、通常のまたは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを用いることができる。
本発明の空気入りタイヤは摩耗性能および加工性に優れる。
以下に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は実施例に限定されない。
[ゴム組成物の製造]
<標準例、実施例1〜4、比較例1〜4>
第1表の標準例の欄、実施例の欄および比較例の欄に示すとおり、標準例、実施例1〜4および比較例1〜4に係るゴム組成物は、第1表に示す各成分を、第1表に示す配合量で配合して製造した。
具体的には、まず、下記第1表に示す成分のうち硫黄および加硫促進剤を除く成分を、1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーを用いて5分間混合し、150±5℃に達したときに放出し、室温まで冷却してマスターバッチを得た。さらに、上記バンバリーミキサーを用いて、得られたマスターバッチに硫黄および加硫促進剤を混合し、ゴム組成物を得た。
なお、第1表中、SBRは油展品の量(単位:質量部)を示しており、カッコ内の値はSBRに含まれるSBRの正味の量(単位:質量部)を示している。
[評価用加硫ゴムシートの作製]
製造したゴム組成物(未加硫)を、金型(15cm×15cm×0.2cm)中、160℃で20分間プレス加硫して、加硫ゴムシートを作製した。
[試験評価方法]
<粘度変化>
初めにBS型粘度計(1rpm)を使用し、20℃の条件下で、得られた組成物の初期粘度を測定した(単位:Pa・s)。
次に、得られた組成物を70℃の条件下に3日間置いた後の粘度(促進試験後粘度)を、同様に測定した。
さらに、測定された初期粘度および促進試験後粘度を、下記式に当てはめて、粘度変化率を求めた。
粘度変化率(%)=(促進試験後粘度/初期粘度)×100
結果を第1表に示す。結果は標準例の粘度変化率を100とする指数として示した。指数が低いほど、貯蔵安定性に優れることを示す。
<加工性>
上記のように製造したゴム組成物(未加硫)について、JIS K6300−1:2001に準じて、L形ロータを使用し、試験温度125℃の条件で、スコーチタイムを測定した。
結果を第1表に示す。結果は標準例のスコーチタイムを100とする指数として示した。指数が大きいほどスコーチタイムが長く、加工性が優れることを示す。
<耐摩耗性>
上述のとおり作製した加硫ゴムシートについて、JIS K6264−1、2:2005に準拠し、ランボーン摩耗試験機(岩本製作所製)を用いて、温度20℃、スリップ率50%の条件で摩耗減量を測定した。
結果を第1表に示す。結果は標準例の摩耗量を100として、次式により指数化したものを表した。指数が大きいほど摩耗量が小さく、タイヤにしたときに耐摩耗性に優れる。
耐摩耗性=(標準例の摩耗量/試料の摩耗量)×100
Figure 0006657783
[表中の各成分の具体的な説明]
表に示される各成分の詳細は以下のとおりである。
・SBR:水酸基を有するスチレンブタジエンゴム(商品名E581、旭化成社製):油展品(スチレン含有量:73質量%)、Tg:−27℃、重量平均分子量:1,260,000
・BR:ブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol1220
・カーボンブラック:ショウブラックN339(キャボットジャパン社製)
・シリカ1:200MP(N2SA=207、CTAB=198m2/g、N2SA/CTAB=1.1、DBP吸着量=206ml/g)
・シリカ2:1165MP(N2SA=160、CTAB=159m2/g、N2SA/CTAB=1.0、DBP吸着量=200ml/g)
・酸化アンチモンスズ1:Nanotechnology社製 Nano−D 平均粒子径=30−40nm
・酸化アンチモンスズ2:Nyacol Nano Technology社製 NYACOL SN902SD 平均粒子径=7μm
・シランカップリング剤1:平均組成式C25OSi−O[(CH2CH2O)5−C13272−(CH23−SHで表される硫黄含有シランカップリング剤、エボニクデグサ社製Si363
・シランカップリング剤2:平均組成式(−C36−S4−C36−)0.071(−C8170.571(−OC251.50(−C36SH)0.286SiO0.75で表される硫黄含有シランカップリング剤、信越化学工業社製9511D
・ステアリン酸:ビーズステアリン酸(日油社製)
・亜鉛華:酸化亜鉛3種(正同化学工業社社製)
・老化防止剤:フレキシス社製6PPD
・プロセスオイル:エキストラクト4号S(昭和シェル石油社製)
・加硫促進剤1:CZ:ノクセラーCZ−G(大内新興化学工業株式会社製)
・加硫促進剤2:DPG:ソクシノールD−G(住友化学株式会社)
[試験結果の説明]
<実施例1〜4>
実施例1〜4では摩耗性能、加工性および貯蔵安定性(粘度変化)に優れるものが得られた。
<比較例1>
酸化アンチモン化合物を含まない態様である。この場合、摩耗性能、加工性および貯蔵安定性(粘度変化)が悪化した。
<比較例2>
シリカが少ない態様である。この場合、加工性が悪化した。
<比較例3>
ジエン系ゴムの平均ガラス転移温度が低い態様である。この場合、加工性および貯蔵安定性(粘度変化)が悪化した。
<比較例4>
酸化アンチモン化合物が多く、シリカが少ない態様である。この場合、耐摩耗性が悪化した。
1 ビード部
2 サイドウォール部
3 タイヤトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション

Claims (3)

  1. 平均ガラス転移温度が−48〜−20℃であるジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを30〜180質量部、平均粒子径が20〜60nmの微粒子である酸化アンチモンスズ10〜50質量部、カーボンブラックを4〜30質量部含み、さらに下記式(1)で表される平均組成式を有する硫黄含有シランカップリング剤を、前記シリカと前記酸化アンチモンスズとの合計量に対する比率で3〜20質量%含む、タイヤ用ゴム組成物。
    (A)a(B)b(C)c(D)d(R1eSiO(4-2a-b-c-d-e)/2 ・・・・式(1)
    (式(1)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基を表す。Bは炭素数5〜10の1価の炭化水素基を表す。Cは加水分解性基を表す。Dはメルカプト基を含有する有機基を表す。R1は炭素数1〜4の1価の炭化水素基を表す。a〜eは、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0<d<1、0≦e<2、0<2a+b+c+d+e<4の関係式を満たす。)
  2. 前記シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)が194〜225m2/g、CTAB比表面積(CTAB)が180〜210m2/g、DBP吸収量が190ml/100g以上であり、前記N2SAと前記CTABの比(N2SA/CTAB)が0.9〜1.4であり、前記シリカの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して60〜150質量部であることを特徴とする、請求項に記載のタイヤ用ゴム組成物。
  3. 請求項1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物をタイヤトレッドに用いた空気入りタイヤ。
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