JP2017082088A - タイヤ用ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】平均ガラス転移温度が−80〜−20℃であるジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを30〜180質量部、酸化アンチモン化合物を1〜50質量部含み、さらに特定の平均組成式を有する硫黄含有シランカップリング剤を、前記シリカと前記酸化アンチモン化合物との合計量に対する比率で3〜20質量%含む、タイヤ用ゴム組成物。
【選択図】図1
Description
従来、タイヤのトレッド部を構成するゴム材料へ配合するフィラーをカーボンブラックからシリカへ変更することで、低転がり抵抗性やウェット性が改善することが知られている。しかし、シリカ配合ゴムは摩耗性能が悪化する傾向があった。
また、シリカと一緒にメルカプト基を有するシランカップリング剤を配合することでシリカの分散性を向上させる方法が提案されているが、加工性および貯蔵安定性は不十分であった。
特許文献1には、共役ジエン化合物由来部分の含有量が40mol%以上である共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(A)と、共役ジエン系重合体(B)と、エチレン−プロピレン−ジエンゴムを含有する非共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(C)とを含むことを特徴とするゴム組成物が記載されており、共役ジエン化合物−非共役オレフィン共重合体(A)は、三塩化アンチモン、五塩化アンチモンを含む特定の化合物を重合触媒組成物として用いて、共役ジエン化合物と非共役オレフィンとを重合させることが記載されている。
(i)平均ガラス転移温度が−80〜−20℃であるジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを30〜180質量部、酸化アンチモン化合物を1〜50質量部含み、さらに下記式(1)で表される平均組成式を有する硫黄含有シランカップリング剤を、前記シリカと前記酸化アンチモン化合物との合計量に対する比率で3〜20質量%含む、タイヤ用ゴム組成物。
(A)a(B)b(C)c(D)d(R1)eSiO(4-2a-b-c-d-e)/2 ・・・・式(1)
(式(1)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基を表す。Bは炭素数5〜10の1価の炭化水素基を表す。Cは加水分解性基を表す。Dはメルカプト基を含有する有機基を表す。R1は炭素数1〜4の1価の炭化水素基を表す。a〜eは、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0<d<1、0≦e<2、0<2a+b+c+d+e<4の関係式を満たす。)
(ii)前記酸化アンチモン化合物が、平均粒子径が20〜60nmの微粒子であることを特徴とする、上記(i)に記載のタイヤ用ゴム組成物。
(iii)前記シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)が194〜225m2/g、CTAB比表面積(CTAB)が180〜210m2/g、DBP吸収量が190ml/100g以上であり、前記N2SAと前記CTABの比(N2SA/CTAB)が0.9〜1.4であり、前記シリカの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して60〜150質量部であることを特徴とする、上記(i)または(ii)に記載のタイヤ用ゴム組成物
(iv)上記(i)〜(iii)のいずれかに記載のゴム組成物をタイヤトレッドに用いた空気入りタイヤ。
本発明は、平均ガラス転移温度が−80〜−20℃であるジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを30〜180質量部、酸化アンチモン化合物を1〜50質量部含み、さらに下記式(1)で表される平均組成式を有する硫黄含有シランカップリング剤を、前記シリカと前記酸化アンチモン化合物との合計量に対する比率で3〜20質量%含む、タイヤ用ゴム組成物である。
(A)a(B)b(C)c(D)d(R1)eSiO(4-2a-b-c-d-e)/2 ・・・・式(1)
ここで、式(1)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基を表す。Bは炭素数5〜10の1価の炭化水素基を表す。Cは加水分解性基を表す。Dはメルカプト基を含有する有機基を表す。R1は炭素数1〜4の1価の炭化水素基を表す。a〜eは、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0<d<1、0≦e<2、0<2a+b+c+d+e<4の関係式を満たす。
このようなタイヤ用ゴム組成物を、以下では「本発明の組成物」ともいう。
本発明の組成物が含有するジエン系ゴムは、主鎖に二重結合を有するものであって、平均ガラス転移温度が−80〜−20℃であるものであれば特に限定されず、その具体例としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)、スチレン−イソプレンゴム、イソプレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、水添ニトリルゴム等が挙げられる。
1種単独で用いる場合は、そのジエン系ゴムのガラス転移温度が−80〜−20℃であるものを用いる。
2種以上を併用する場合は、各成分のガラス転移温度に各成分の質量%をそれぞれ掛けて足し合わせた値が−80〜−20℃であるものを用いる。
本発明の組成物が含有するシリカは特に限定されず、タイヤ等の用途でゴム組成物に配合されている従来公知の任意のシリカを用いることができる。
なお、シリカのN2SAはJIS K6217−2に準拠して求めるものとする。
なお、シリカのCTABはJIS K6217−3に準拠して求めるものとする。
なお、シリカのDBP吸収量は、JIS K6217−4吸油量A法に準拠して求めるものとする。
本発明の組成物が含有する酸化アンチモン化合物は特に限定されず、平均粒子径が20〜60nmの微粒子であることが好ましく、25〜50nmの微粒子であることがより好ましい。
また、酸化アンチモン化合物は、酸化アンチモンを含むものとする。
本発明の組成物が含む酸化アンチモン化合物は、酸化アンチモン−スズ系または酸化アンチモン−インジウム系であることが好ましい。スズまたはインジウム系化合物を配合することでゴムに導電性を付与することができるため、シリカ配合ゴムの帯電防止が可能となる。
本発明の組成物に含有する硫黄含有シランカップリング剤は、上記の式(1)で表される平均組成式を有するものである。
−(CH2)n−Sx−(CH2)n− ・・・・式(2)
式(2)中、nは1〜10の整数、xは1〜4の整数を表す。nは、1〜10の整数、好ましくは2〜5の整数である。
nをこのような範囲の整数にすることにより、シリカとの反応性と加工性を両立することができる。
xは、1〜4の整数、好ましくは2〜4の整数である。xをこのような範囲の整数にすることにより、加工性をより改善することができる。
−OR2 ・・・・式(3)
式(3)中、R2は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数2〜10のアルケニル基を表す。
−(CH2)m−SH ・・・・式(4)
式(4)中、mは1〜10の整数を表す。
また、本発明で使用する硫黄含有シランカップリング剤は、前記式(1)におけるaがa=0のとき、0<c<2、0≦e<2であり、Bが炭素数5〜10のアルキル基、Dが前記式(4)で表されることが好ましい。
本発明の組成物には、上記の成分の他に、芳香族性テルペン樹脂、シリカ以外のフィラー(例えば、カーボンブラック等)、上記の硫黄含有シランカップリング剤以外のシランカップリング剤、加硫または架橋剤、加硫または架橋促進剤、酸化亜鉛、軟化剤(オイル)、老化防止剤、可塑剤等のタイヤ用ゴム組成物に一般的に用いられている各種のその他添加剤を配合することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
加硫剤または架橋剤の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して0.3〜3.0質量部であることが好ましく、0.5〜2.5質量部であることがより好ましい。
加硫促進剤または架橋促進剤の含有量は、一次促進剤単独もしくは二次とのブレンドで前記ジエン系ゴム100質量部に対して0.5〜4.0質量部であることが好ましく、1.0〜2.5質量部であることがより好ましい。
酸化亜鉛の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して0.2〜10.0質量部であることが好ましく、0.4〜5.0質量部であることがより好ましい。
軟化剤(オイル)の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して10〜60質量部であることが好ましく、15〜45質量部であることがより好ましい。
老化防止剤の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して0.1〜5.0質量部であることが好ましく、0.2〜4.0質量部であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂のような可塑剤の含有量は、前記ジエン系ゴム100質量部に対して0〜30質量部であることが好ましく、0〜20質量部であることがより好ましい。
本発明のゴム組成物は、上記の各成分を混合・混錬することによって製造することができる。
上記の成分のうち、加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤以外の成分を混合および混練してマスターバッチを作成し、このマスターバッチに加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤を混合し、オープンロール等を用いて混練してゴム組成物を製造することが好ましい。このように、加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤以外の成分からなるマスターバッチを作成し、そのマスターバッチに加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤を混合・混練すると、加硫(架橋)剤および加硫(架橋)促進剤を混合してからの混練時間を短くすることができ、不均一な加硫(架橋)が生じることによる加硫(架橋)ゴム組成物の物性低下を防止することができるうえ、加硫(架橋)の制御が容易となる。
本発明の空気入りタイヤは、上述した本発明の組成物を用いて製造した空気入りタイヤである。なかでも、本発明の組成物をタイヤトレッドに用いて製造した空気入りタイヤであることが好ましい。
図1に、本発明の空気入りタイヤの実施態様の一例を表すタイヤの部分断面概略図を示すが、本発明の空気入りタイヤは図1に示す態様に限定されるものではない。
また、左右一対のビード部1間においては、繊維コードが埋設されたカーカス層4が装架されており、このカーカス層4の端部はビードコア5およびビードフィラー6の廻りにタイヤ内側から外側に折り返されて巻き上げられている。
また、タイヤトレッド3においては、カーカス層4の外側に、ベルト層7がタイヤ1周に亘って配置されている。
また、ビード部1においては、リムに接する部分にリムクッション8が配置されている。
<標準例、実施例1〜4、比較例1〜4>
第1表の標準例の欄、実施例の欄および比較例の欄に示すとおり、標準例、実施例1〜4および比較例1〜4に係るゴム組成物は、第1表に示す各成分を、第1表に示す配合量で配合して製造した。
具体的には、まず、下記第1表に示す成分のうち硫黄および加硫促進剤を除く成分を、1.7リットルの密閉式バンバリーミキサーを用いて5分間混合し、150±5℃に達したときに放出し、室温まで冷却してマスターバッチを得た。さらに、上記バンバリーミキサーを用いて、得られたマスターバッチに硫黄および加硫促進剤を混合し、ゴム組成物を得た。
製造したゴム組成物(未加硫)を、金型(15cm×15cm×0.2cm)中、160℃で20分間プレス加硫して、加硫ゴムシートを作製した。
<粘度変化>
初めにBS型粘度計(1rpm)を使用し、20℃の条件下で、得られた組成物の初期粘度を測定した(単位:Pa・s)。
次に、得られた組成物を70℃の条件下に3日間置いた後の粘度(促進試験後粘度)を、同様に測定した。
さらに、測定された初期粘度および促進試験後粘度を、下記式に当てはめて、粘度変化率を求めた。
粘度変化率(%)=(促進試験後粘度/初期粘度)×100
結果を第1表に示す。結果は標準例の粘度変化率を100とする指数として示した。指数が低いほど、貯蔵安定性に優れることを示す。
上記のように製造したゴム組成物(未加硫)について、JIS K6300−1:2001に準じて、L形ロータを使用し、試験温度125℃の条件で、スコーチタイムを測定した。
結果を第1表に示す。結果は標準例のスコーチタイムを100とする指数として示した。指数が大きいほどスコーチタイムが長く、加工性が優れることを示す。
上述のとおり作製した加硫ゴムシートについて、JIS K6264−1、2:2005に準拠し、ランボーン摩耗試験機(岩本製作所製)を用いて、温度20℃、スリップ率50%の条件で摩耗減量を測定した。
結果を第1表に示す。結果は標準例の摩耗量を100として、次式により指数化したものを表した。指数が大きいほど摩耗量が小さく、タイヤにしたときに耐摩耗性に優れる。
耐摩耗性=(標準例の摩耗量/試料の摩耗量)×100
表に示される各成分の詳細は以下のとおりである。
・SBR:水酸基を有するスチレンブタジエンゴム(商品名E581、旭化成社製):油展品(スチレン含有量:73質量%)、Tg:−27℃、重量平均分子量:1,260,000
・BR:ブタジエンゴム、日本ゼオン社製Nipol1220
・カーボンブラック:ショウブラックN339(キャボットジャパン社製)
・シリカ1:200MP(N2SA=207、CTAB=198m2/g、N2SA/CTAB=1.1、DBP吸着量=206ml/g)
・シリカ2:1165MP(N2SA=160、CTAB=159m2/g、N2SA/CTAB=1.0、DBP吸着量=200ml/g)
・酸化アンチモンスズ1:Nanotechnology社製 Nano−D CEP 平均粒子径=30−40nm
・酸化アンチモンスズ2:Nyacol Nano Technology社製 NYACOL SN902SD 平均粒子径=7μm
・シランカップリング剤1:平均組成式C2H5OSi−O[(CH2CH2O)5−C13H27]2−(CH2)3−SHで表される硫黄含有シランカップリング剤、エボニクデグサ社製Si363
・シランカップリング剤2:平均組成式(−C3H6−S4−C3H6−)0.071(−C8H17)0.571(−OC2H5)1.50(−C3H6SH)0.286SiO0.75で表される硫黄含有シランカップリング剤、信越化学工業社製9511D
・ステアリン酸:ビーズステアリン酸(日油社製)
・亜鉛華:酸化亜鉛3種(正同化学工業社社製)
・老化防止剤:フレキシス社製6PPD
・プロセスオイル:エキストラクト4号S(昭和シェル石油社製)
・加硫促進剤1:CZ:ノクセラーCZ−G(大内新興化学工業株式会社製)
・加硫促進剤2:DPG:ソクシノールD−G(住友化学株式会社)
<実施例1〜4>
実施例1〜4では摩耗性能、加工性および貯蔵安定性(粘度変化)に優れるものが得られた。
酸化アンチモン化合物を含まない態様である。この場合、摩耗性能、加工性および貯蔵安定性(粘度変化)が悪化した。
シリカが少ない態様である。この場合、加工性が悪化した。
ジエン系ゴムの平均ガラス転移温度が低い態様である。この場合、加工性および貯蔵安定性(粘度変化)が悪化した。
酸化アンチモン化合物が多く、シリカが少ない態様である。この場合、耐摩耗性が悪化した。
2 サイドウォール部
3 タイヤトレッド部
4 カーカス層
5 ビードコア
6 ビードフィラー
7 ベルト層
8 リムクッション
Claims (4)
- 平均ガラス転移温度が−80〜−20℃であるジエン系ゴム100質量部に対し、シリカを30〜180質量部、酸化アンチモン化合物を1〜50質量部含み、さらに下記式(1)で表される平均組成式を有する硫黄含有シランカップリング剤を、前記シリカと前記酸化アンチモン化合物との合計量に対する比率で3〜20質量%含む、タイヤ用ゴム組成物。
(A)a(B)b(C)c(D)d(R1)eSiO(4-2a-b-c-d-e)/2 ・・・・式(1)
(式(1)中、Aはスルフィド基を含有する2価の有機基を表す。Bは炭素数5〜10の1価の炭化水素基を表す。Cは加水分解性基を表す。Dはメルカプト基を含有する有機基を表す。R1は炭素数1〜4の1価の炭化水素基を表す。a〜eは、0≦a<1、0<b<1、0<c<3、0<d<1、0≦e<2、0<2a+b+c+d+e<4の関係式を満たす。) - 前記酸化アンチモン化合物が、平均粒子径が20〜60nmの微粒子であることを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ用ゴム組成物。
- 前記シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)が194〜225m2/g、CTAB比表面積(CTAB)が180〜210m2/g、DBP吸収量が190ml/100g以上であり、前記N2SAと前記CTABの比(N2SA/CTAB)が0.9〜1.4であり、前記シリカの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して60〜150質量部であることを特徴とする、請求項1または2に記載のタイヤ用ゴム組成物
- 請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物をタイヤトレッドに用いた空気入りタイヤ。
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NANO-D SERIES, JPN7019003178, ISSN: 0004126250 * |
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