JP6657461B1 - 1−デオキシノジリマイシンを含む容器詰飲料 - Google Patents

1−デオキシノジリマイシンを含む容器詰飲料 Download PDF

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Abstract

【課題】高濃度に1−デオキシノジリマイシンを含有するにもかかわらず、後味が良好な焙煎麦抽出物入り容器詰飲料の提供。【解決手段】焙煎麦抽出物を含有する容器詰飲料であって、0.1〜2.0mg/100mLの1−デオキシノジリマイシンおよび0.5〜80mg/100mLのナトリウムを含有する、前記飲料。100〜5000ppbのピラジン類を含有する、前記容器詰飲料。【選択図】なし

Description

本発明は、焙煎麦抽出物と1−デオキシノジリマイシンを含む容器詰飲料に関する。本発明は、より詳細には、焙煎麦抽出物と1−デオキシノジリマイシンを含む飲料であって、特定量のナトリウムを含有する容器詰飲料に関する。
1−デオキシノジリマイシンは桑の葉等の植物に含まれているイミノ糖の一種であり、血糖値抑制効果があることが報告されている。近年、桑の葉の生理活性に着目し、桑の葉抽出物を配合した飲料が種々報告されている。例えば、桑の葉抽出物を配合することにより、でんぷんと高濃度の非重合体カテキン類を含有する容器詰め飲料の苦味が抑制されたという報告がある(特許文献1)。また、1−デオキシノジリマイシン等の糖類似アルカロイドは、飲食物に添加する場合に風味を損なうという欠点があることが知られている(特許文献2)。
一方、ナトリウムは、アルカリ金属元素の1つであり、熱中症対策などナトリウム等のミネラルを強化した飲料が知られている。例えば、容器詰めの麦茶飲料であれば、ナトリウム含有量が0〜12mg/100mL程度のものが市販されており、特許文献3には、ナトリウム含有量が0.5〜3.0mg/100mLである麦茶飲料が記載されている。また、ナトリウムに関しては、食物繊維を含有するノンアルコール飲料おいて後味改善作用を奏することが報告されており(特許文献4)、乳酸を含有する飲料において後味改善作用を奏することも報告されている(特許文献5)。
特開2011−87526号公報 特開平9−140351号公報 特開2015−08704号公報 特開2018−99110号公報 特開2018−99106号公報
焙煎麦抽出物を含む飲料(以下、麦茶飲料ともいう)は、焙煎由来の香ばしい香りを有し、カフェイン含有量が少なく胃等への刺激が少ないことに加え、体温を下げる、血流を改善する等の生理効果を有するなどの理由から、日常的に、特に夏場において冷たくして飲用されている。そのため、ゴクゴクと飲みやすく、飲み続けやすい味わいであることが非常に重要である。
本発明者らは、1−デオキシノジリマイシンの飲料への利用検討において、高濃度に1−デオキシノジリマイシンを含有する麦茶飲料では、1−デオキシノジリマイシンに起因する嫌な後味が残り、嗜好性が低下することが判明した。ここで、嫌な後味とは、ざらざらとした舌触りをいう(以下、後味の雑味ともいう)。麦茶飲料においては、麦茶の香ばしい香りと、カフェイン含有量が少なく角の無い味わいと相まって、1−デオキシノジリマイシン由来の後味の雑味が非常に顕著となり、飲みやすく、飲み続けやすい味わいが損なわれるという課題を見出した。
そこで本発明は、麦茶飲料において1−デオキシノジリマイシン由来の後味の雑味が低減されている容器詰飲料を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく本発明者らは鋭意検討した結果、1−デオキシノジリマイシン由来の後味の雑味改善に関して、ナトリウムに優れた効果があることを見出した。飲料中のナトリウム含有量を特定範囲となるように調整することによって、1−デオキシノジリマイシン由来の後味の雑味が低減され、後味が良好な麦茶飲料となることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、これに限定されるものではないが、以下に関する。
(1) 焙煎麦抽出物を含有する容器詰飲料であって、0.1〜2.0mg/100mLの1−デオキシノジリマイシン、および、0.5〜80mg/100mLのナトリウムを含有する、上記飲料。
(2) 100ppb〜5000ppbのピラジン類を含有する、(1)に記載の容器詰飲料。
(3) 加熱殺菌済の飲料である、(1)または(2)に記載の容器詰飲料。
本発明によれば、焙煎麦抽出物及び1−デオキシノジリマイシンを含有しながらも後味が良好な容器詰飲料を提供することが可能となる。
一つの態様において、本発明は、焙煎麦抽出物を含有する容器詰飲料であって、0.1〜2.0mg/100mLの1−デオキシノジリマイシン、および、0.5〜80mg/100mLのナトリウムを含有する。
(焙煎麦抽出物)
本発明の飲料は、焙煎麦抽出物を含有する。ここで、焙煎麦抽出物とは、焙煎処理された麦の種子から抽出溶媒を用いて抽出されたものをいう。麦原料にはイネ科に属する大麦(Hordeum vulgare)やハトムギ(Coix lacryma-jobi varma-yuen)からなる1種類以上を含む。
焙煎麦抽出物としては、焙煎麦抽出液又はその濃縮物を1種又は2種以上組み合わせて使用することが可能である。ここで「焙煎麦濃縮物」とは、焙煎麦抽出液のうち溶媒の一部を除去するなどして成分濃度を高めたものであり、例えば濃縮方法として、常圧濃縮、減圧濃縮、膜濃縮等を挙げることができる。焙煎麦濃縮物は液体であっても固体(粉末など)であってもよく、市販のエキスを使用してもよい。
一つの態様において、本発明にかかる麦茶飲料は、焙煎麦抽出物を主成分とする飲料であり、焙煎麦抽出物を主成分にする飲料とは、食品表示法(平成27年4月施行)で表記される原材料表示において、「大麦」「はと麦」などの麦茶に関する表記が上位に記載される飲料をいう。好ましくは、原材料表示で麦茶に関する表記が1番目又は2番目に表記される飲料であり、より好ましくは1番目に表記される飲料である。
また、本発明に係る飲料は、焙煎麦抽出物に加えて、麦以外の穀類の種子や茶の抽出物を含有してもよい。麦以外の穀類の種子としては、例えば、玄米、白米、黒ごま、白ごま、大豆、とうもろこし、黒豆、そば、ケツメイシ(ハブ茶)、麦芽などを挙げることができ、茶としては、例えば、発酵茶、半発酵茶、不発酵茶など、カメリアシネンシスの茶葉を挙げることができる。
麦原料の焙煎に関し、焙煎機、焙煎方法は特に限定されない。一般的な焙煎機として、連続流動式焙煎機や回転ドラム方式の焙煎機等があり、焙煎方法は、加熱方法により分類すれば、直火、熱風、遠赤外線、マイクロウェーブなどの方法がある。
焙煎処理された麦原料の抽出方法は、浸漬抽出又はドリップ抽出のいずれの方法を用いてもよい。抽出溶媒は、飲用可能で抽出に適する溶媒であれば特に限定されないが、好ましくは水性溶媒であり、最も簡便には水を用いることができる。水は、食品の処理に使用可能な水質であればよく、例えば、蒸留水、脱塩水、アルカリイオン水、海洋深層水、イオン交換水、脱酸素水或いは水溶性の有機化合物(例えば、アルコール類)や無機塩類を含む水などを用いることができるが、好ましくは純水を用いる。
(ピラジン類)
本発明の容器詰飲料は、焙煎麦抽出物と1−デオキシノジリマイシンを含有する麦茶飲料であり、1−デオキシノジリマイシン由来の後味の雑味を、ナトリウムによって抑えたものである。1−デオキシノジリマイシン由来の後味の雑味は、麦茶飲料の香ばしい香味と相まって麦茶飲料において特に顕在化する。ピラジン類を香ばしい香りの指標とすると、本発明に係る容器詰飲料中のピラジン類の含有量は100ppb以上が好ましく、より好ましくは300ppb以上である。一方ピラジン類の上限は、5000ppb以下が好ましく、より好ましくは4000ppb以下である。ここで、本発明においてピラジン類の含有量という場合、麦茶らしい香ばしい香りを有する、ピラジン、メチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,6−ジメチルピラジン、エチルピラジン、2,3−ジメチルピラジンの6種の合計含有量を意味する。飲料中のピラジン類の含有量は、例えば、ガスクロマトグラフィー・質量分析法(GC−MS法)を用いて測定することができる。
(1−デオキシノジリマイシン)
1−デオキシノジリマイシン(1-Deoxynojirimycin)とは、桑の葉等に含まれているイミノ糖の一種であって、別名はモラノリン、1,5−ジデオキシ−1,5−イミノ−D−グルシトール(1,5-Dideoxy-1,5-imino-D-glucitol)とも称され、そのCAS登録番号は19130−96−2である。
本発明の飲料は、0.1〜2.0mg/100mLの1−デオキシノジリマイシンを含有する。飲料中の1−デオキシノジリマイシン含有量が0.1mg/100mL以上であると、1−デオキシノジリマイシンに起因する後味の雑味が感じられるところ、本発明によって、後味の雑味を抑制することができる。飲料中の1−デオキシノジリマイシン含有量は0.17mg/100mL以上が好ましく、0.2mg/100mL以上がより好ましい。
一方、本発明において1−デオキシノジリマイシン含有量が2.0mg/100mLを超えるような飲料は、1−デオキシノジリマイシンの後味の雑味が強くなり、本発明の作用効果が十分に発揮されないことがある。そのような点から、飲料中の1−デオキシノジリマイシン含有量の上限は、2.0mg/100mLであり、1.0mg/100mL以下がより好ましく、0.7mg/100mL以下がさらに好ましい。飲料中の1−デオキシノジリマイシンの含有量は、例えば、高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いて測定することができる。
本発明で使用する1−デオキシノジリマイシンは、桑科植物などの植物から抽出単離されたものに限定されず、化学的合成法、発酵法で得られる物質、微生物生産物であっても使用することができる。本発明では、1−デオキシノジリマイシンは純品又は植物抽出物の形態で用いることができる。1−デオキシノジリマイシンの市販品としては、和光純薬より販売されているものが挙げられる。
また、本発明で使用する1−デオキシノジリマイシンを含有する植物抽出物としては、桑科植物などの植物抽出物の形態で用いることができる。桑科植物としては、ヤマグワ(Morus bombycis Koidzumi)、マグワ(Morus alba L.)、シマグワ(Morus australis Poir)、ロソウ(Morus latifolia Poir.)、モウコグワ(Morus mongolica Schneid)、クロミグワ(Morus nigra L.)、アカミグワ(Morus rubra L.)、オガサワラグワ(Morus boninensis Koidzumi.)などを用いることができ、またこれらの交配種や変種を用いることもできる。使用する部位はなんら限定されるものではなく、葉、枝条、若枝、樹皮、幹、根、根皮、花、桑椹などを使用することができる。桑科植物抽出物としては、例えば、トヨタマ健康食品株式会社の桑の葉エキスパウダー、殺菌桑葉粉末等が挙げられる。
植物抽出物を用いる場合、本発明の課題が顕著となるため、1−デオキシノジリマイシン濃度が高められた植物抽出物を用いることが好ましい。以下、1−デオキシノジリマイシン含有の桑葉抽出物を得る方法を例示する。まず、桑葉の乾燥物に含水エタノールなどのアルコール類を加えて抽出する。1−デオキシノジリマイシンは、乾燥桑葉中に少量(0.1〜0.2重量%程度)しか含まれていないため、効率よく抽出するために、アルコール類を加えた抽出が好ましい。抽出液は、遠心分離器にかけて不溶物を除去し、減圧濃縮することで桑葉抽出物を得ることができる。この抽出物中には1−デオキシノジリマイシンが通常、0.4〜1重量%含まれる。
(ナトリウム)
本発明の容器詰飲料は、0.5〜80mg/100mLのナトリウムを含有する。ナトリウムの含有量が0.5mg/100mL以上であると、飲料の加熱殺菌による1−デオキシノジリマイシン由来の雑味を効果的に抑制し、香味改善を図ることができる。飲料中のナトリウム含有量は、好ましくは3.5mg/100mL以上、より好ましくは10mg/100mL以上であり、15mg/100mL以上としてもよい。ナトリウム含有量が80mg/100mLを超えると、加熱による1−デオキシノジリマイシン由来の雑味の低下抑制効果はあるものの、ナトリウムのエグ味が感じられ、麦茶飲料としての嗜好性が損なわれる。容器詰飲料中のナトリウムの含有量は80mg/100mL以下、より好ましくは50mg/100mL以下、さらに好ましくは30mg/100mL以下である。
ナトリウムの供給源としては、これらに限定するものではないが、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム及び塩化ナトリウムなどが用いられる。本発明の容器詰飲料におけるナトリウムの含有量は、ICP発光分光分析装置を用いて公知の方法により測定することができる。
(その他の成分)
本発明者らの検討によると、本発明の容器詰飲料において、カフェイン含有量が一定以下に抑えられている場合は、カフェイン自体の苦味(雑味)が弱いため、ナトリウムによる1−デオキシノジリマイシン由来の後味の雑味改善効果を評価しやすい傾向にある。したがって、本発明の作用効果を顕著に発揮できるという観点から、低カフェインの飲料は本発明の容器詰飲料の好適な一態様である。ここで「低カフェイン」の飲料とは、カフェインは含まれないもしくは、含まれたとして含有量は3.5mg/100mL以下であり、より好ましくは3.0mg/100mL以下、さらに好ましくは2.5mg/100mL以下である。飲料中のカフェインの含有量は、例えば、高速液体クロマトグラフ(HPLC)を用いて測定することができる。
その他、本発明の容器詰飲料には、本発明の所期の目的を逸脱しない範囲であれば、必要に応じて、酸化防止剤、pH調整剤、香料、色素類、乳化剤、保存料、調味料、甘味料、酸味料、ビタミン、エキス類、品質安定剤等の各種添加剤を単独で又は併用してもよい。本発明の容器詰飲料のpHは、香味及び保存安定性の観点から、好ましくは5.5〜8.0であり、より好ましくは6.0〜7.0である。
(容器詰飲料)
本発明の容器詰飲料に使用される容器は、特に制限されず、一般的な容器を使用することができる。樹脂製容器としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)を好適な例として挙げることができる。樹脂製容器の他にも、例えば、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶などを挙げることができ、このような容器に密閉した形態で提供することができる。容量は、特に限定されないが、例えば350mL〜1000mLであり、好ましくは500mL〜1000mLである。
上述のとおり、本発明は、1−デオキシノジリマイシンに起因する後味の雑味を効果的に抑制するものであるが、後味の雑味は、加熱殺菌によって特に顕在化する。そのため、本発明による効果を特に大きく享受できるため、好ましい態様において本発明に係る飲料は、加熱殺菌済の容器詰飲料である。本発明における加熱殺菌の条件は、例えば、食品衛生法に定められた条件と同等の効果が得られる方法を選択することができ、具体的には、60〜150℃、好ましくは90〜150℃、より好ましくは110〜150℃で、1秒間〜60分間、好ましくは1秒間〜30分間とすることができる。容器として耐熱性容器(金属缶、ガラス等)を使用する場合には、レトルト殺菌(110〜140℃、1〜数十分間)を行えばよい。
また、容器として非耐熱性容器(PETボトル、紙容器等)を用いる場合は、例えば、調合液を予めプレート式熱交換器等で高温短時間殺菌後(UHT殺菌:110〜150℃、1〜数十秒間)し、一定の温度まで冷却した後、容器に充填することができる。また、本発明の容器詰飲料において、食品衛生法に定められた条件以上の殺菌強度であれば、1−デオキシノジリマイシン由来の後味の雑味という課題の大きさは変わらない。
以下、実験例を示して本発明の詳細を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、本明細書において、特に記載しない限り、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
各成分の定量
各サンプルにおける1−デオキシノジリマイシン、ピラジン類は、以下の方法にて定量した。
<1−デオキシノジリマイシン>
飲料中の1−デオキシノジリマイシンの分析は、HPLC(高速液体クロマトグラフ)を用いて行った。必要に応じて、飲料を減圧濃縮し、分析に供した。
(HPLC測定条件)
・カラム:TSKgel Amide-80, φ4.6mm×250mm, 粒径5μm
・移動相:水、アセトニトリル及び酢酸の混液
・流量:1.0ml/min
・カラム温度:40℃
・イオン化法:エレクトロスプレー(正イオン検出モード)
・設定質量数(m/z):164.0→109.9
<ピラジン類>
ピラジン類の含有量(ピラジン、メチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,6−ジメチルピラジン、エチルピラジン、2,3−ジメチルピラジンの合計含有量)は下記のように分析した。まず、試料液5mlをネジ付き20ml容ガラス瓶(直径18mm,ゲステル社製)に入れてPTFE製セプタム付き金属蓋(ゲステル社製)にて密栓し、固相マイクロ抽出法(SPME)にて香気成分の抽出を行った。定量は、GC/MSのEICモードにて検出されたピーク面積を用い、標準添加法にて行った。なお、各成分の保持時間は、標準品を分析することで確認できる。使用した機器及び条件を以下に示す。
・SPMEファイバー:StableFlex/SS,50/30μm DVB/CAR/PDMS,(スペルコ社製)
・全自動揮発性成分抽出導入装置:MultiPurposeSampler MPS2XL(ゲステル社製)
・予備加温:40℃5分間
・攪拌:なし
・揮発性成分抽出:40℃30分間
・揮発性成分の脱着時間:3分間
・GCオーブン:GC7890A(アジレントテクノロジーズ社製)
・カラム:VF−WAXms,60m×0.25mmi.d. df=0.50μm(アジレントテクノロジーズ社製)
・GC温度条件:40℃(5分間)→5℃/分→260℃(11分間)
・キャリアーガス:ヘリウム,1.2ml/分,流量一定モード
・インジェクション:スプリットレス法
・インレット温度:250℃
・質量分析装置:GC/MS Triple Ouad7000(アジレントテクノロジーズ社製)
・イオン化方式:EI(70eV)
・測定方式:スキャン測定、またはスキャン&SIM同時測定
・スキャンパラメータ:m/z35〜350
・定量イオン
(ピラジン) m/z80、53、又は52(本実施例においては80)
(メチルピラジン) m/z94、67、又は93(本実施例においては94)
(2,5−ジメチルピラジン) m/z108、42、又は107(本実施例においては108)
(2,6−ジメチルピラジン) m/z108、42、又は107(本実施例においては108)
(エチルピラジン) m/z107、108、又は80(本実施例においては107)
(2,3−ジメチルピラジン) m/z108、67、又は107(本実施例においては108)
なお、本実施例においては上記の定量イオンを選択したが、ピーク形状、感度、または他の成分との分離が良好でない場合は、試料液の蒸留水による希釈、SIMモードの利用、標準品分析で得られた他のイオンの選択、の方策のうち1つ以上を用いることができる。
実験1:1−デオキシノジリマイシン含有麦茶飲料の製造と評価(参考例)
3gの大麦に対し熱水(80〜90℃)1000mLを用いて5分間抽出処理を行った後、大麦を分離し、さらに200メッシュを通液させ、粉砕組織や茶粒子などの固形分を除去して、大麦抽出液を得た。次いで、加熱殺菌後の1−デオキシノジリマイシン含有量が100mLあたり0〜1.0mg、ブリックス(Bx)が0.3%となるように、水と1−デオキシノジリマイシン(富士フィルム和光純薬、純度98%)を大麦抽出液に添加して飲料を調製した。得られた飲料を缶容器に密封した後、130℃にて1分間の加熱殺菌処理をし、容器詰飲料を製造した(サンプル1−1〜1−6)。得られた容器詰飲料のピラジン類含有量は約910ppbであった。
得られた容器詰飲料について、サンプル1−1の後味の雑味を1点とし、専門パネル3名にて、1〜3点の3段階評価法にて官能評価した。具体的には、下記の基準に基づいて各パネルが評価した上で、全員で自由討議し、全員の合意のもとに整数値で評点を決定した。
・3点:コントロールと比較し、後味の雑味が極めて大きい
・2点:コントロールと比較し、後味の雑味を感じる
・1点:コントロールと比較し、後味の雑味は同程度
官能評価結果を表1に示す。1−デオキシノジリマイシンの含有量が0.1mg/100mL以上の容器詰飲料では後味の雑味が強くなった。
Figure 0006657461
実験2:1−デオキシノジリマイシン含有麦茶飲料の評価(参考例)
実験1で得られた大麦抽出液に、加熱殺菌後の1−デオキシノジリマイシン含有量およびピラジン類含有量が下表の通りとなるように、水と1−デオキシノジリマイシン(富士フィルム和光純薬、純度98%)を添加して飲料を調製した。得られた種々の飲料を缶容器に密封した後、130℃にて1分間の加熱殺菌処理をし、容器詰飲料を製造した(サンプル2−2〜2−3)。サンプル2−2のピラジン類含有量は約100ppb、サンプル2−3のピラジン類含有量は約5000ppbだった。なお、サンプル2−3は、ピラジン標準液(富士フィルム和光純薬)を添加してピラジン含有量を調整した。
得られた容器詰飲料について、実験1と同様にして後味の雑味について官能評価を行った。この実験では、加熱殺菌後の含有量が1.0mg/100mlとなるように水に1−デオキシノジリマイシンを配合し、130℃にて1分間の加熱殺菌処理をした容器詰飲料(サンプル2−1)の後味の雑味を1点して、それとの比較で官能評価を行った。
官能評価結果を表2に示す。ピラジン類含有量が100ppb以上の容器詰飲料では、1−デオキシノジリマイシン由来の後味の雑味をより顕著に感じられた。
Figure 0006657461
実験3:ナトリウムによる後味の雑味の抑制効果(1)
実験1で得られた大麦抽出液に、加熱殺菌後の1−デオキシノジリマイシン及びナトリウムの含有量が下表に記載の濃度となるように、水、1−デオキシノジリマイシン及び炭酸水素ナトリウムを添加して、ブリックス(Bx)が0.3%の飲料を調製した。これらに対して実験1と同様に、加熱殺菌処理をし、容器詰飲料を製造した。得られた容器詰飲料のピラジン類は約910ppbであった。
得られた容器詰飲料について、専門パネル3名にて、1〜5点の5段階評価法にて評価した。各実施例について、1−デオキシノジリマイシンが同量含まれており、かつナトリウムを添加していない比較例の後味の雑味を1点として、下記の基準に基づいて各パネルが評価した上で、全員で自由討議し、全員の合意のもとに整数値で評点を決定した。
・5点:後味の雑味について、大きく改善されている
・4点:後味の雑味について、改善されている
・3点:後味の雑味について、やや改善されている
・2点:後味の雑味について、ほとんど改善されていない
・1点:後味の雑味について、全く改善されていない
官能評価結果を表3に示す。高濃度に1−デオキシノジリマイシンを含む麦茶飲料の加熱殺菌処理工程の前に、ナトリウムを添加するという簡便な行為で、1−デオキシノジリマイシン由来の後味の雑味を抑制できた。
なお、1−デオキシノジリマイシン含有量が3.0mg/100mLであるサンプル3−26は、1−デオキシノジリマイシン特有の後味の雑味が強くなり、本発明の作用効果が発揮されなかった。また、ナトリウム濃度が120mg/100mLであるサンプル3−11は、雑味の低下抑制効果はあるものの、ナトリウムのエグ味が感じられ、麦茶入り飲料としての嗜好性が損なわれた。
Figure 0006657461
実験4:ナトリウムによる後味の雑味の抑制効果(2)
実験1で得られた大麦抽出液に、加熱殺菌後の1−デオキシノジリマイシン含有量、ピラジン類含有量、ナトリウム含有量が下表に示すようになるように飲料を調製した。次いで、得られた飲料を缶容器に密封した後、130℃にて1分間の加熱殺菌処理をし、容器詰飲料を製造した。サンプル4−1およびサンプル4−2のピラジン類含有量は約100ppb、サンプル4−3およびサンプル4−4のピラジン類含有量は約5000ppbだった。なお、サンプル4−3、4−4は、ピラジン標準液(富士フィルム和光純薬)を添加してピラジン含有量を調整した。
実験3と同様にして各実施例について、1−デオキシノジリマイシンが同量含まれており、かつナトリウムを添加していない比較例の後味の雑味を1点として、官能評価試験を実施した。結果を表4に示す。表から明らかなとおり、容器詰飲料のピラジン類含有量が100ppb〜5000ppbの範囲において、加熱殺菌前にナトリウムを添加することで1−デオキシノジリマイシン由来の後味の雑味を抑制できた。
Figure 0006657461
実験5:ナトリウムによる後味の雑味の抑制効果(3)
実験1と同様にして、加熱殺菌後に0.2mg/100mLの1−デオキシノジリマイシンを含有する麦茶飲料を調製した。本実験に係る飲料サンプルには、ナトリウム含有量30mg/100mLになるように炭酸水素ナトリウムを添加し、30mg/100mLとなるようにアスコルビン酸を添加した。得られた飲料を容器に充填し、130℃にて1分間の加熱殺菌処理をし、容器詰飲料を製造した(飲料のブリックス:0.3%)。加熱殺菌された容器詰飲料のpHは6.0、ピラジン類含有量は約910ppbであった。
実験3と同様にして各実施例について、1−デオキシノジリマイシンが同量含まれており、かつナトリウムを添加していないサンプル5−1の後味の雑味を1点として、官能評価試験を実施した。結果を表5に示す。表から明らかなとおり、アスコルビン酸を混合した容器詰飲料においても、加熱殺菌前にナトリウム含有量を100mLあたり30mgとなるように配合することで後味の雑味を抑制できた。
Figure 0006657461
実験6:ナトリウムによる後味の雑味の抑制効果(4)
麦原料としてハトムギを用いた場合においても、大麦を用いた場合と同様にナトリウムによる1−デオキシノジリマイシン由来の雑味の抑制効果があることを確認した。
まず、5gのハトムギに対し熱水(80〜90℃)700mLを用いて5分間抽出処理を行った後、ハトムギを分離し、さらに200メッシュを通液させ、粉砕組織や茶粒子などの固形分を除去して、ハトムギ抽出液を得た。得られたハトムギ抽出液に対して、加熱殺菌後の1−デオキシノジリマイシン含有量、ナトリウム含有量が下表の数値となるように、1−デオキシノジリマイシン(富士フィルム和光純薬)、炭酸水素ナトリウム、水を混合し、実験1と同様に加熱殺菌処理して容器詰飲料を製造した(飲料のブリックス:0.3%)。得られた容器詰め飲料のピラジン類含有量は約850ppbであった。
実験3と同様にして各実施例について、1−デオキシノジリマイシンが同量含まれており、かつナトリウムを添加していない比較例の後味の雑味を1点として、官能評価試験を実施した。結果を表6に示す。表から明らかなとおり、ハトムギ抽出液及び高濃度1−デオキシノジリマイシンを含む麦茶飲料においても、飲料100mLあたり10mg以上のナトリウムを配合することで後味の雑味を抑制できた。
Figure 0006657461

Claims (6)

  1. 焙煎麦抽出物を含有する容器詰飲料であって、0.1〜1.0mg/100mLの1−デオキシノジリマイシンおよび0.5〜80mg/100mLのナトリウムを含有する、上記飲料。
  2. 100〜5000ppbのピラジン類を含有する、請求項1に記載の容器詰飲料。
  3. 300〜4000ppbのピラジン類を含有する、請求項2に記載の容器詰飲料。
  4. 加熱殺菌済の飲料である、請求項1〜3のいずれかに記載の容器詰飲料。
  5. 0.1〜1.0mg/100mLの1−デオキシノジリマイシンと0.5〜80mg/100mLのナトリウムを配合することを含む、焙煎麦抽出物を含有する容器詰飲料の製造方法。
  6. 1−デオキシノジリマイシンおよび焙煎麦抽出物を含有する容器詰飲料において、1−デオキシノジリマイシンに由来する後味の雑味を低減する方法であって、
    飲料中の1−デオキシノジリマイシン含有量を0.1〜1.0mg/100mL、ナトリウム含有量を0.5〜80mg/100mLに調整することを含む、上記方法。
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