以下、本発明の一実施態様に係る地図作成装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<実施の形態>
<構成>
本発明の一態様に係る地図作成装置(図1の100に相当)は、少なくとも車両の走行位置と走行時刻とを含む走行情報(図2の200参照)を複数受信する受信部(図1の101に相当)と、走行情報に基づいて、地図上に表示する表示名称各々の優先度を設定する設定部(図1の105に相当)とを備える。
図1は、地図作成装置100の機能構成例を示すブロック図である。図1に示すように地図作成装置100は、受信部101と、入力部102と、出力部103と、記憶部104と、CPU105とを備える。地図作成装置100は、ユーザに対して経路等を案内するナビゲーションシステムに用いる地図を作成するものであり、ナビゲーションの機能も有してよい。
受信部101は、外部の装置と通信を行って、少なくとも車両が走行した位置を示す走行位置と、その走行を行ったときの時刻である走行時刻とを示す走行情報としてプローブ情報を受信する機能を有する通信インターフェースである。受信部101は、外部の装置からプローブ情報を受信できれば、有線、無線のいずれで通信を行ってもよく、また、どのような通信プロトコルを用いることとしてもよい。
入力部102は、地図作成装置100のオペレータからの入力を受け付けて、CPU105に伝達する機能を有する。入力部102は、例えば、地図上に表示する表示情報の表示優先順位の設定に関する情報の入力を受け付ける。また、地図作成装置100は、ナビゲーションシステムとして動作する場合には、例えば、経路案内における目的地の入力を受け付ける。入力部102は、例えば、地図作成装置100に備えられたハードウェアキーや、タッチキーなどのソフトキーなどにより実現することができる。
出力部103は、CPU105からの指示に従って、指示されたデータを外部の装置に対して出力する機能を有する。出力部103は、例えば、CPU105が生成した地図に重畳して表示する都市名の表示に係る優先度を示す都市名優先度情報300を、ナビゲーションシステム等の外部の装置に出力したり、道路名の表示に係る優先度を示す道路名優先度情報310を出力したりする通信インターフェースとして実現されてよい。また、出力部103は、地図作成装置100がナビゲーションシステムとして動作する場合に、地図作成装置100が設定した優先度に従って、各表示名を表示した地図を地図作成装置100に備えられたモニター等に出力するものであってもよい。
記憶部104は、地図作成装置100が動作するうえで必要とする各種のプログラム及び地図情報を含む各種のデータを記憶する記録媒体である。記憶部104は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)等により実現される。記憶部104は、受信部101が受信して集めたプローブ情報の集合である走行情報200や、地図作成装置100が作成する都市名優先度情報300や、道路名優先度情報310を記憶する。走行情報200や都市名優先度情報300、道路名優先度情報310の詳細については後述する。また、図示はしていないが、記憶部104は、地図情報を記憶する。当該地図情報は、各都市の範囲や、道路の位置などの情報を含む。
CPU105は、記憶部104に記憶されているプログラム及び各種データを利用して、地図作成装置100が実行すべき処理を実行するプロセッサである。CPU105は、地図に重畳して表示する都市名や道路名各々に対して表示の優先順位を、収集した複数のプローブ情報に基づいて設定する設定部として機能する。
<データ>
図2は、地図作成装置100が収集するプローブ情報の集合である走行情報200の構成例を示すデータ概念図である。図2に示すように走行情報200は、識別子201と、経路情報202と、日時情報203と、走行距離204と、ユーザ情報205とが対応付けられた情報である。なお、ここには示していないが、例えば、車の車種情報などのその他の情報が対応付けられていてもよい。
識別子201は、プローブ情報を送信した車両を特定するための情報であり、他のプローブ情報と区別するために用いる情報である。ここでは、識別子201の一例として、プローブ情報を送信した車両に固有の車台番号を用いる例を示しているが、これに限定されるものでない。識別子201は、単純に地図作成装置100がプローブ情報を受信した順番で付与する番号などであってもよい。
経路情報202は、対応するプローブ情報を送信した際の経路を示す情報である。ここでは、一例として出発地(経度、緯度)と目的地(経度、緯度)とを経路として示す例を表したが、実際には、より細かく通過した道路等を示す情報(通過した地図上で設定されているノード(道路と他の道路の接点)とリンク(道路))の集合である。ここでは、説明を分かりやすくするために経路としているが、これは、連続する位置座標の情報であってもよい。これは、同じ車両から送信された位置座標を繋いで走行した経路を割り出せるためである。
日時情報203は、対応する経路を車両が走行した時の日時を示す情報であって、ここでは、出発日時と、到着日時とにより表現しているが、より細かく、各ノード(道路と道路の接続点)やリンク(道路)を通過した日時についての情報を含んでよい。
走行距離204は、対応する経路と車両が走行した場合であって、実際に走行した距離を示す数値情報である。ここでは、キロメートル単位で示しているが、これはその限りではなく、マイル単位などであってもよい。
ユーザ情報205は、各プローブ情報を送信した車両を運転するユーザに関する情報である。ユーザ情報205は、例えば、性別や年代などの情報を含んでよく、その他の情報、例えば、ユーザの嗜好などの情報も含んでよい。
走行情報200は、地図作成装置100が、地図上に重畳して表示する都市名や道路名などの優先度を設定するために参照する情報である。図2の例で言えば、例えば、識別子201が「ZNW30−123456」の車両は、出発地「X1a、Y1a」、目的地「X1b、Y1b」とする経路を、「2016年12月25日 12時3分50秒」から同日「12時18分40秒」まで走行したことが理解できる。また、その走行距離は、「12.6km」であり、運転していたのは、「女性」で「20代」であることも理解できる。
図3(a)は、CPU105が生成する都市名優先度情報300のデータ構成例を示すデータ概念図である。図3(a)に示すように、都市名優先度情報300は、都市名301と、通過回数302と、通過回数優先度303と、滞在時間304と、滞在時間優先度305とが対応付けられた情報である。
都市名301は、地図上に表示される都市の名称を一意に特定するための情報である。なお、ここでは、都市名としているが、都市ではなく市町村の単位などであってもよい。
通過回数302は、対応する都市名301で示される都市を、車両が通過したことを示すプローブ情報の数を集計した情報である。なお、図3(a)においては、通過回数302は、便宜上数値ではなく記号で示している。
通過回数優先度303は、対応する通過回数302で示される回数に基づいて地図作成装置100が決定した優先度であって、対応する都市名301を表示する際の優先度を示す情報である。なお、図3(a)においては、通過回数優先度303は、便宜上数値ではなく記号で示している。この通過回数優先度303は、地図上において2つの表示名称を重複して表示することになる場合にいずれの表示名称を表示するかを選択するための優先度である。
滞在時間304は、対応する都市名301で示される都市を、車両が滞在したことを示すプローブ情報であって、その滞在時間を集計した情報である。なお、図3(a)においては、滞在時間304を、便宜上数値ではなく記号で示している。
滞在時間優先度305は、対応する滞在時間304で示される時間に基づいて地図作成装置100が決定した優先度であって、対応する都市名301を表示する際の優先度を示す情報である。なお、図3(a)においては、滞在時間優先度305は、便宜上数値ではなく記号で示している。
図3(a)の例でいえば、都市名301が「A市」となっている都市を車両が通過した通過回数302は、「NT1」回であり、その通過回数に基づく通過回数優先度303は、「PNT1」であり、滞在時間304は、「ST1」分であり、その滞在時間に基づく滞在時間優先度305は、「PST1」であることが理解できる。
図3(b)は、CPU105が生成する道路名優先度情報310のデータ構成例を示すデータ概念図である。図3(b)に示すように、道路名優先度情報310は、道路名311と、通過回数312と、右折進入回数313と、左折進入回数314と、道路優先度315とが対応付けられた情報である。
道路名311は、地図上に表示される道路の名称を一意に特定するための情報である。
通過回数312は、対応する道路名311で示される道路を通過したことを示すプローブ情報の数を集計した情報である。なお、図3(b)においては、通過回数312は、便宜上数値ではなく記号で示している。
右折進入回数313は、対応する道路名311で示される道路に対して、車両が他の道路から右折することで進入してきた車両があることを示すプローブ情報がある場合に、その個数を集計した情報である。なお、図3(b)においては、右折進入回数313は、便宜上数値ではなく記号で示している。なお、対応する道路に対して右折して進入できる道路がない場合には、当該回数は0になる。
左折進入回数314は、対応する道路名311で示される道路に対して、車両が他の道路から左折することで進入してきた車両があることを示すプローブ情報がある場合に、その個数を集計した情報である。なお、図3(b)においては、左折進入回数314は、便宜上数値ではなく記号で示している。なお、対応する道路に対して左折して進入できる道路がない場合には、当該回数は0になる。
道路優先度315は、対応する道路名311で示される道路に対して、地図上でその道路名を表示する際の優先度を示す情報である。道路優先度315は、通過回数312と、右折進入回数313と、左折進入回数314とを参照して、地図作成装置100が設定する。右折進入回数や左折進入回の参照は必須ではないが、これらの情報を利用することで、運転手がわざわざ右折してまで、あるいは、左折してまで、その道路を利用したいという利用価値が高い道路を高く評価することができることを意味し、そのような道路名の表示優先度を高くすることには意義がある。なお、図3(b)においては、道路優先度315は、便宜上数値ではなく記号で示している。
図3(b)の例で言えば、道路名311が「SA」で示される道路の通過回数312は、「NT1」であり、右折進入回数313は、「NR1」であり、左折進入回数314は、「NL1」であり、その表示の際の優先度である道路優先度315は、「PS1」となっている。CPU105は、通過回数312と、右折進入回数313と、左折進入回数314とを参照して、道路優先度315を算出する。
<動作>
ここから、地図作成装置100の動作について説明する。図4は、地図作成装置100による都市名優先度情報300を作成する動作についてのフローチャートである。図4は、都市名優先度情報300を設定する際の基本例である。
受信部101は、プローブ情報を外部の装置から取得する(ステップS401)。受信部101は、受信したプローブ情報をCPU105に伝達する。CPU105は、受信したプローブ情報を走行情報200に追加する。
CPU105は、走行情報200に含まれる各プローブ情報について、経路情報202に基づいて、通過した都市を特定する(ステップS402)。経路情報は、経度情報、緯度情報を含み、また、各都市についてもその範囲に関する情報が地図情報に含まれるので、どの都市を通過しているのかを特定することができる。
CPU105は、通過した都市を特定した後、各都市について、車両が通過した回数を特定する。これにより、CPU105は、各都市についての通過回数302を算出する。また、CPU105は、各都市を通過しているプローブ情報の日時情報203を参照して、都市に滞在した時間を集計する。これにより、CPU105は、各都市についての滞在時間304を算出する(ステップS403)。例えば、プローブ情報Aで示される経路が、「A市、B市、C市」を通過し、プローブ情報Bで示される経路が、「A市、D市、E市」を通過し、プローブ情報Cで示される経路が、「A市、B市、D市」を通過していた場合、これらのプローブ情報A〜Cからは、「A市:3回、B市:2回、C市:1回、D市:2回、E市:1回」という各都市の通過回数302を得ることができる。また、例えば、プローブ情報Aで示される経路から、「A市:0.5時間、B市:1時間、C市:0.2時間」という各都市における滞在時間が特定でき、プローブ情報Bで示される経路から、「A市:0.2時間、D市:0.1時間、E市:0.1時間」という各都市における滞在時間が特定でき、プローブ情報Cで示される経路から、「A市:0.1時間、B市:0.3時間、D市:0.2時間」という各都市における滞在時間が特定できた場合、これらのプローブ情報A〜Cからは、「A市:0.8時間、B市:1.3時間、C市:0.2時間、D市:0.3時間、E市:0.1時間」という各都市の各車両の滞在時間を得ることができる。
最後にCPU105は、集計した通過回数302に基づいて、各都市に対して、その通過回数に基づく優先度である通過回数優先度303を設定する。即ち、通過回数302の最も多いものに一番高い優先度を付与し、以下、通過回数302の降順に、優先度を設定する。同様に、CPU105は、集計した滞在時間304に基づいて、各都市に対して、その滞在時間に基づく優先度である滞在時間優先度305を設定する。即ち、滞在時間の最も長いものに一番高い優先度を付与し、以下、滞在時間304の降順に、優先度を設定し(ステップS404)、処理を終了する。これにより、地図作成装置100は、図3(a)に示す都市名優先度情報300を作成することができる。作成した都市名優先度情報300は、例えば、出力部140から外部のナビゲーションシステム等に出力され、実際のナビゲーションにおいて利用される。また、都市名優先度情報300は、地図作成装置100がナビゲーションシステムとして動作する場合にも、利用することができる。
次に、図5を参照して、道路名優先度情報400を作成する動作について説明する。
図5に示すように、受信部101は、プローブ情報を外部の装置から取得する(ステップS501)。受信部101は、受信したプローブ情報をCPU105に伝達する。CPU105は、受信したプローブ情報を走行情報200に追加する。
CPU105は、走行情報200に含まれる各プローブ情報について、経路情報202に基づいて、通過した道路を特定する(ステップS502)。経路情報は、経度情報、緯度情報を含み、また、各道路についてもその位置に関する情報が地図情報に含まれるので、どの道路を通過しているのかを特定することができる。なお、プローブ情報そのものがどの道路を利用したのかを示す情報を経路情報として含んでもよく、その場合には、経路情報を参照するだけで道路を特定することができる。
CPU105は、走行情報200に含まれる各プローブ情報の、経路情報が通過する道路を特定した後、各道路について、車両が通過した回数を、その道路を含むプローブ情報の数を集計することで計数する(ステップS503)。これにより、CPU105は、通過回数312を算出する。
また、CPU105は、各道路について、その道路に対して右折しながら進入してできる道があるか否かを地図情報に基づいて特定し、ある場合に、右折して進入してきた車両の数をプローブ情報に基づいて集計する(ステップS504)。これにより、CPU105は、右折進入回数313を算出する。
同様に、CPU105は、各道路について、その道路に対して左折しながら進入してできる道があるか否かを地図情報に基づいて特定し、ある場合に、左折して進入してきた車両の数をプローブ情報に基づいて集計する(ステップS505)。これにより、CPU105は、左折進入回数314を算出する。
そして、CPU105は、算出した通過回数312と、右折進入回数313と、左折進入回数314とに基づいて、各道路の優先度を算出する。一例としては、CPU105は、通過回数312と、右折進入回数313と、左折進入回数314とを足し合わせた回数の高いものから、高い優先度を降順に付与することとしてもよい。
これにより、CPU105は、図3(b)に示す道路名優先度情報310を作成することができる。CPU105が生成した道路名優先度情報310は、出力部103から、外部のナビゲーションシステムに出力されることとしてもよいし、地図作成装置100がナビゲーションシステムとして機能する場合には、CPU105が参照して、地図上において複数の道路名称が重複して表示されることになる場合に、道路名優先度情報310を参照して、優先度の高い方の道路名が示された地図をモニターに出力することとしてもよい。
ここから、CPU105が、様々なパターンの都市名優先度情報300を生成する上での動作についての他の優先度の決定例を説明する。ここでいうパターンとは、どのようなプローブ情報を用いて、都市名優先度情報300を生成するのかということを意味する。
図6は、その他の優先度の決定例の一つで、地図作成装置100の動作を示すフローチャートである。ここでは、図4との差異についての動作を説明する。また、図7以降の図面においても図4と同じ処理については、説明を割愛する。本フローチャートは、地図作成装置100が特定のプローブ情報を用いて、優先度を設定する場合の例であり、所定以上の距離を走行したプローブ情報に基づいて優先度を設定する場合の例を示すものである。具体的に言えば、同じ都市内だけで移動が完了するような短距離を走行したプローブ情報よりも、長距離を走行したプローブ情報を用いた方がその都市を通過した実績を高く評価できると考えられる。そこで、長距離を走行したプローブ情報に重きを置いて優先度を設定する場合の例を図6に示している。
図6に示すように、通過回数302と滞在時間304とを集計した後に(ステップS403)、CPU105は、走行距離204が所定長以上のプローブ情報を走行情報200から抽出する(ステップS601)。
そして、CPU105は、抽出したプローブ情報が通過した都市を、そのプローブ情報の経路情報202を参照して特定する(ステップS602)。
そして、CPU105は、そうして特定した都市に対して、抽出できたプローブ情報の数に応じた重み付けを行う。CPU105は、例えば、所定長以上の走行距離を有するプローブ情報で示される経路情報が通過した都市について集計した通過回数302については、所定長以上の走行距離を有するプローブ情報について集計した回数に対して当該回数が多くなるように所定の係数を乗じる(例えば、2割増しにする)あるいは所定の回数を加算することにより重み付けを行う。また、あるいは、CPU105は、例えば、所定長以上の走行距離を有するプローブ情報で示される経路情報が通過した都市について、その通過回数302を集計し、その数に応じた係数を乗じることで重み付けを行うこととしてもよい。例えば、通過回数302が1〜1000回の間における重み付け値は1、1000〜2000回の間における重み付け値は1.1、2000〜5000回の間における重み付け値は1.3、…というように回数に対して設定した範囲で重み付け値を定めてもよい。
また、CPU105は、通過回数と同様に、滞在時間についても重み付けを行う。CPU105は、集計した滞在時間について、例えば、所定長以上の走行距離を有するプローブ情報で示される経路情報が通過した都市について集計した滞在時間304については、所定長以上の走行距離を有するプローブ情報について集計した滞在時間に対して当該滞在時間が長くなるように所定の係数を乗じる(例えば、2割増しにする)あるいは所定の時間を加算することにより重み付けを行う。また、あるいは、CPU105は、例えば、所定長以上の走行距離を有するプローブ情報で示される経路情報が通過した都市について、その滞在時間304を集計し、その滞在時間に応じた係数を乗じることで重み付けを行うこととしてもよい。例えば、滞在時間304が1〜1000時間の間における重み付け値は1、1000〜2000時間の間における重み付け値は1.1、2000〜5000時間の間における重み付け値は1.3、…というように時間に対して設定した時間範囲で重み付け値を定めてもよい。
集計した通過回数302及び滞在時間304に対して重み付けを行った後に、CPU105は、重み付け後の各通過回数302及び滞在時間304に基づいて、対応する都市名について通過回数優先度303と滞在時間優先度305とを設定して(ステップS603)、処理を終了する。
図7は、他の優先度の決定例の一つで、地図作成装置100の動作を示すフローチャートである。ここでは、図4との差異についての動作を説明する。本フローチャートは、地図作成装置100が特定のプローブ情報を用いて、優先度を設定する場合の例であり、所定以上の距離を走行したプローブ情報に基づいて優先度を設定する場合の例を示すものである。所定以上の距離を走行したことを示すプローブ情報のみを用いることで、例えば、長距離運転手に適した表示を行うための優先度を設定した都市名優先度情報300を作成することができる。
図7に示すように、本処理と、図4に示した場合の処理との際は、ステップS401の処理とステップS403の処理の間に、ステップS701及びステップS702の処理を挿入した点にある。
即ち、CPU105は、ステップS401の処理を行った後に、走行情報200から走行距離204が所定長以上のプローブ情報を抽出する(ステップS701)。
CPU105は、ステップS701において抽出したプローブ情報のみを使用して、抽出した各プローブ情報の経路情報から通過した都市を特定し(ステップS702)、ステップS403に移行する。
図4のステップS402の処理に代えて、ステップS701とステップS702の処理を行うことにより、特定のプローブ情報を抽出して、優先度を決定することができる。図7の例で言えば、走行距離が所定長以上の運転者(例えば、長距離トラック、長距離バスなどの運転者)に対して有意な、表示を行うナビゲーションシステムのための地図に用いる情報を作成することができる。
図8は、他の優先度の決定例の一つで、特定の車種の車両を運転する運転者用の優先度の設定方法の例を示している。車の種別によって通りやすい道路、利用しやすい道路、都市などが変わることが考えられる。そこで、地図作成装置100が各種の車種に応じて車の種別(例えば、小型、大型、バス、2tトラック、4tトラックなど)を特定し、その種別に応じた優先度情報を生成することで、ナビゲーションシステム等は、運転者にとって有意な情報を含む地図を出力することができるようになる。以下、その手法を説明する。
図8に示す処理においては、CPU105は、図4におけるステップS402に代えて、ステップS801とステップS802の処理を実行する。
具体的には、CPU105は、走行情報200の識別子201を参照して、各プローブ情報に対応する車種を特定する。上述したように、ここでは、識別子201として、車台番号を用いることとしているので、車種の特定が可能である。そして、CPU105は、特定の車種のプローブ情報を、走行情報200から抽出する(ステップS801)。
すると、CPU105は、抽出した特定車種の各プローブ情報で示される経路が通過した都市を特定する(ステップS802)。
こうすることで、地図作成装置100は、特定の車の種別に応じた都市名の表示を行うための優先度を設定することができる。したがって、各種の車に適切な表示を行うナビゲーションシステムの提供に寄与することができる。
図9は、他の優先度の決定例の一つで、ユーザの特性に併せた優先度の設定手法の例を示すフローチャートである。例えば、女性が運転しやすい道路や好みのPOIが集中する都市、老齢の運転者が運転しやすい道路の表示名称が優先的に表示されるなど、さまざまなユーザの特性に応じた優先度の設定手法が考えられる。図9はその一例である。図9に示す処理においては、CPU105は、図4に示すステップS402の処理に代えて、ステップS901、S902の処理を実行する。
CPU105は、走行情報200の各プローブ情報において、ユーザ情報205を参照して、特定の属性を有するプローブ情報を抽出する(ステップS901)。ここで、特定の属性は、特定のユーザ層を抽出するためのユーザの特徴を示すものであり、例えば、性別や年齢、嗜好など、様々な属性が考えられ、そのうちの一つまたは一部であってよい。当該特定の属性は、入力部102を介して、地図作成装置100のオペレータ等により指定される。
特定の属性を有するプローブ情報を抽出したCPU105は、抽出した各プローブ情報で示される経路が通過した都市を特定する(ステップS902)。
このようにして、地図作成装置100は、特定の属性を有するプローブ情報だけを用いて優先度を設定した場合には、その特定の属性を有するもの(例えば、女性用、老人用、など)に特化した優先度の設定を行うことができる。
なお、図6から図9にかけて、都市名優先度情報300の作成に係る他の優先度の決定例について説明したが、図6から図9にかけて説明した内容は、道路名優先度情報310を作成する際にも同様に行うことができる。処理の仕方については、図6から図9にかけて説明した内容と同様であるので、道路名優先度情報310作成に係る他の優先度の決定性の説明は割愛する。
最後に、地図作成装置100が作成した都市名優先度情報300や道路名優先度情報310を利用してナビゲーションを行う場合の動作例を説明する。ここでは、地図作成装置100がナビゲーションの機能も有するものとして説明するが、地図作成装置100が作成した都市名優先度情報300や道路名優先度情報310を記憶している他のナビゲーションシステムであっても同様に動作する。
図10は、地図作成装置100がナビゲーションを行う場合の動作例を示すフローチャートである。図10に示す処理は、繰り返し実行されるものとする。この場合、地図作成装置100は、車両に搭載される。
地図作成装置100の受信部101は、車両に備えられた測位システムから自車両の位置情報を取得する(ステップS1001)。受信部101は、位置情報を取得すると、CPU105に伝達する。CPU105は、受信した位置情報を記憶部104に記憶する。なお、測位システムは、地図作成装置100が備えていることとしてもよい。
CPU105は、位置情報を受信すると、当該位置情報と、前回受信した位置情報とを比較して、前回の位置から移動したか否かを判定する(ステップS1002)。車両が前回の位置から移動していない場合(ステップS1002のNO)、即ち、ステップS1001で取得した位置情報と、前回の位置情報とが一致する場合には、処理を終了する。
一方、車両が前回の位置から移動していた場合(ステップS1002のYES)、即ち、ステップS1001で取得した位置情報と、前回の位置情報とが一致しない場合には、CPU105は、更新後の地図において二つの表示名称が互いに重複することになるか否かを判定する(ステップS1003)。地図上における各種の表示名称は予め定められたアルゴリズムに従って表示されるため、地図の表示角度によっては、複数の表示名称が互いに重複することになる場合がある。各表示名称の表示座標はCPU105が定めるため、複数の表示名称が互いに重複するか否かは、当該表示座標に基づいて特定することができる。
更新後の地図において、いずれの表示名称も互いに重複しない場合には(ステップS1003のNO)、ステップS1009に移行し、重複する場合には(ステップS1003のYES)、CPU105は、互いに重複するのが都市名であるか、道路名であるかを判定する(ステップS1004)。
互いに重複するのが都市名である場合には、CPU105は、都市名優先度情報300を参照して、互いに重複する都市名各々の都市名優先度を通過回数優先度303又は滞在時間優先度305のいずれかを参照して特定して比較する(ステップS1005)。いずれの優先度を用いるかは、設定によって異なる。当該設定は、地図作成装置100をナビゲーションシステムとして利用するユーザが決定することとしてもよい。そして、比較の結果、CPU105は、優先度の高かった方の都市名を表示対象とし、優先度が低かった方の都市名を非表示対象に決定する(ステップS1006)。
互いに重複するのが道路名である場合には、CPU105は、道路名優先度情報310を参照して、互いに重複する道路名各々の道路優先度315を参照して特定し、比較する(ステップS1007)。いずれの優先度を用いるかは、設定によって異なる。当該設定は、地図作成装置100をナビゲーションシステムとして利用するユーザが決定することとしてもよい。そして、比較の結果、CPU105は、優先度の高かった方の道路名を表示対象とし、優先度が低かった方の道路名を非表示対象に決定する(ステップS1008)。
CPU105は、地図情報を更新して、出力部103に出力させ(ステップS1009)、処理を終了する。
このように、地図作成装置100が作成した優先度情報(都市名優先度情報300、道路名優先度情報310)を利用して、表示名称が重複する場合に、ナビゲーション時に、いずれかの表示名称を表示することができる。
<まとめ>
地図作成装置100は、車両を運転した走行実績であるプローブ情報に基づいて、都市名や表示名称等の、地図に重畳して表示する表示物の優先度を設定することができる。車両の走行実績であるプローブ情報に基づいて、優先度を設定するので、地図作成装置100が作成した優先度情報(都市名優先度情報300、道路名優先度情報310)に基づいて表示をナビゲーションシステムが実行することで、車両の運転者にとってより好ましい表示を提供することができる。
<補足>
上記実施の形態に係る地図作成装置は、上記実施の形態に限定されるものではなく、他の手法により実現されてもよいことは言うまでもない。以下、各種変形例について説明する。
(1)上記実施の形態における通過回数302は、それまでに収集したプローブ情報の総計であってもよいし、一定期間、例えば、直近の一か月間において収集したプローブ情報の総計であってもよい。
(2)上記実施の形態における滞在時間304は、対応する都市を通過したことを示すプローブ情報から割り出される滞在時間各々の総計であってもよいし、その平均値であってもよい。あるいは、一定時間以上滞在したプローブ情報の数を集計して、滞在時間の代わりの指標として用いることとしてもよい。
(3)上記実施の形態において、道路名優先度情報310における道路優先度315は、通過回数312と、右折進入回数313と、左折進入回数314との総計に基づいて決定することとしたが、これはその限りではない。道路優先度315は、都市名と同様に通過回数312のみから決定することとしてもよいし、通過回数312に、左折進入回数314や右折進入回数313各々に所定の係数を乗じた値を加算した値に基づいて決定することとしてもよい。
(4)上記実施の形態においては、地図作成装置100は、様々なプローブ情報を集めることを想定しているが、これはその限りではない。例えば、所定のユーザ個人についてのプローブ情報のみを取得して、そのユーザに特化した優先度情報を作成することとしてもよい。また、地図作成装置100は、予め指定されたプローブ情報のみを集めて走行情報200に登録することとしてもよい。即ち、予め、走行距離が所定長以上のもののみを登録したり、ユーザ情報で示される属性が特定の属性(例えば、年齢が60代の運転手)のもののみを登録したりしてもよい。
(5)上記実施の形態においては、都市名や道路名に対して優先度を設定することとしたが、各プローブ情報で示される経路沿いのPOIに対しても同様に優先度を設定することができる。例えば、プローブ情報各々から、経路沿いのPOIを特定し、その回数を計数して、優先度を設定することもできる。また、経路沿いであって、特定のPOIに立ち寄ったことが特定できる場合には、そのPOIに対してより高い優先度を設定したりすることもできる。
(6)上記実施の形態においては、都市名と道路名とを分けて優先度を設定することとしたが、CPU105は、都市名と道路名とを一緒にして優先度を設定することとしてもよい。例えば、都市名と道路名各々の通過回数を算出し、算出した通過回数に応じて都市名と道路名とを併せた優先度情報を生成することとしてもよい。
(7)上記実施の形態における各種の優先度の設定について、地図作成装置100は、各種の優先度を設定した優先度情報を作成することとしてもよいし、そのうちの1つあるいは、一部のみを作成することとしてもよい。また、ナビゲーションを行うナビゲーションシステムは、地図作成装置100が作成した複数種類の優先度情報について、そのうちのどれを使用するかをナビゲーションシステムを利用するユーザが選択できるように構成してもよいし、ナビゲーションシステムが自動的に車両を利用するユーザの属性や車種、平均走行距離などから使用に適した優先度情報を特定して特定した優先度情報を使用するように構成してもよいし、最初からそのうちの一つのみを利用できるように構成してもよい。
また、例えば、上記実施の形態に示したように長距離ドライバーに適した優先度情報と、短距離ドライバーに適した優先度情報とを記憶部104に記憶し、経路案内において目的地の入力を受け付けた場合に、現在地から目的地までの走行予定距離を算出し、その走行予定距離が所定距離以上であるか否かを判定して、長距離ドライバーに適した優先度情報と短距離ドライバーに適した優先度情報のいずれを用いるのかを判定することとしてもよい。
(8)上記実施の形態において都市名優先度情報300においては、都市単位で、各都市名の表示優先度を設定しているが、これは都市単位でなくともよい。例えば、町、村単位のより小さな範囲の単位であってもよいし、逆に、より広い県や州などの単位であってもよい。
(9)また、上記実施の形態においては、地図作成装置における地図作成する手法として、装置のプロセッサが地図作成プログラム等を実行することにより、地図作成することとしているが、これは装置に集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現してもよい。また、これらの回路は、1または複数の集積回路により実現されてよく、上記実施の形態に示した複数の機能部の機能を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。すなわち、図11に示すように、地図作成装置100は、受信回路101a、入力回路102a、出力回路103a、記憶回路104a、制御回路105aとから構成されてよく、それぞれ、受信部101、入力部102、出力部103、記憶部104、CPU105に相当する。
また、上記地図作成プログラムは、プロセッサが読み取り可能な記録媒体に記録されていてよく、記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記地図作成プログラムは、当該地図作成プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記プロセッサに供給されてもよい。本発明は、上記地図作成プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
なお、上記地図作成プログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective-C、Java(登録商標)などのオブジェクト指向プログラミング言語、HTML5などのマークアップ言語などを用いて実装できる。
(10)上記実施の形態に示した各種の実施例や、<補足>に示した各種の例は適宜組み合わせることとしてもよい。また、各フローチャートに示した各動作は、結果として矛盾がなければその実行順序を入れ替えたり、並列に実行したりすることとしてもよい。