MR検査におけるストレスを軽減するための技術として、次のような技術が考えられる。例えば、1.ゴーグルタイプのヘッドマウントディスプレイ、2.検査室の天井や壁への液晶モニタの設置、3.架台後方に配置された液晶モニタの映像を見るための鏡が取付けられたヘッドコイルがある。しかしながら、1の技術の場合、ヘッドマウントディスプレイを患者に取り付けることにより患者に圧迫感及び閉塞感を与えてしまう。2の技術の場合、患者頭部が架台内に入ると液晶モニタの映像を見ることができない。3の技術の場合、MR撮像中はヘッドコイルに装着された鏡を介して映像を見ることができるのでボアによる閉塞感を軽減することができる。しかし、鏡をヘッドコイル毎に取り付けなければならない。また、頭部を覆うヘッドコイルの隙間に鏡が取り付けられているため患者は映像の広がりをあまり感じることができない。また、架台の後方に液晶モニタが設置され架台の前方を隠すものはないため、患者はMR撮像前において架台外にいるときにボアを容易に視認できてしまい、その後にたとえヘッドコイルを付けて鏡を介して映像を見ていてもボア内に居る感覚を拭い去ることはできない。更に、鏡と液晶モニタとの位置関係が天板の移動と共に変わるため、天板の移動中に鏡を介して液晶モニタの映像を見ていても患者はボア内を進む感覚も残存する。
加えて、上記3の技術の場合、鏡の範囲のみに液晶モニタの映像が写るため、患者の視角範囲を映像で十分に満たすことはできない。また、患者の視角範囲における映像以外の領域には、RFコイルおよび鏡を支える構造物などが入り込むため、検査時における患者の不安を改善し、かつ患者をリラックスさせる検査空間の提供としては、この技術は不十分である。特に、閉所恐怖症などの患者は、磁気共鳴イメージング装置における狭いボア空間の存在自体に不安を覚えることがある。
以下、図面を参照しながら本実施形態に係わる医用画像診断装置及び磁気共鳴イメージング装置を説明する。
図1は、本実施形態に係る医用画像診断装置10を含む医用画像診断システム1の構成を示す図である。図1に示すように、医用画像診断システム1は、互いに有線又は無線で通信可能に接続された医用画像診断装置10と映写機100と映写機制御装置200とを含む。医用画像診断装置10は、架台11、寝台13、移動式スクリーン装置15及び撮像制御ユニット17を有する。例えば、架台11、寝台13及び移動式スクリーン装置15は、検査室に設置され、撮像制御ユニット17は、検査室に隣接する制御室に設置される。架台11は、医用撮像を実現するための機構を装備する。架台11には中空形状を有するボアが形成されている。架台11の前方には寝台13が設置されている。寝台13は患者Pが載置される天板を移動自在に支持する。寝台13は架台11及びコンソール等による制御に従い天板を移動する。架台11のボア内には移動式スクリーン装置15が移動可能に設けられている。架台11の前方又は後方には映写機100が設置されている。移動式スクリーン装置15には映写機100からの映像が投影される。
映写機制御装置200は、映写機100を制御するコンピュータ装置である。映写機制御装置200は、映写対象の映像に関するデータを映写機100に供給する。映写機100は、映写機制御装置200からのデータに対応する映像を移動式スクリーン装置15のスクリーンに投影する。映写機100としては、例えば、液晶方式やDLP(Digital Light Processing)方式、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)方式、GLV(Grating Light Valve)方式等が用いられると良い。この場合、映写機100は、少なくとも表示機器と光源とを搭載する。表示機器は、映写機制御装置200からのデータに対応する映像を表示する。光源は直接的又は光学系を介して間接的に表示機器に光を照射する。表示機器から透過又は反射した光(以下、投影光と呼ぶ)は、直接的又は光学系を介して間接的に映写機100の外部に射出される。投影光が移動式スクリーン装置15に照射されることにより、当該投影光に対応する映像が移動式スクリーン装置15に映し出される。
撮像制御ユニット17は、医用画像診断装置10の中枢として機能する。例えば、撮像制御ユニット17は、医用撮像を行うために架台11を制御する。また、撮像制御ユニット17は、医用撮像において架台11により収集された生データに基づいて患者Pに関する医用画像を再構成する。なお、撮像制御ユニット17は、映写機制御装置200を介して映写機100を制御可能に構成されても良い。また、撮像制御ユニット17は、映写対象の映像に関するデータを映写機100に供給する。この場合、映写機100は、撮像制御ユニット17からのデータに対応する映像を移動式スクリーン装置15のスクリーンに投影する。
なお、本実施形態における医用画像診断システム1の構成は上記のみに限定されない。例えば、上記の映写機制御装置200による映写機100を制御する機能を撮像制御ユニット17が有しているのであれば、映写機制御装置200は医用画像診断システム1に設ける必要はない。
本実施形態に係る医用画像診断システム1は、映写機100と移動式スクリーン装置15とを利用して、医用画像診断装置10による医用撮像時におけるボア内における居住性を高めることを可能にする。本実施形態に係る医用画像診断装置10としては、ボアが形成された架台11を用いて患者Pを撮像可能な如何なる装置でも良い。具体的には、本実施形態に係る医用画像診断装置10としては、磁気共鳴イメージング(MRI:Magnetic Resonance Imaging)装置、X線コンピュータ断層撮影(CT:Computed Tomography)装置、PET(Positron Emission Tomography)装置及びSPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置等の単一モダリティに適用可能である。或いは、本実施形態に係る医用画像診断装置10としては、MR/PET装置、CT/PET装置、MR/SPECT装置、CT/SPECT装置等の複合モダリティに適用されても良い。しかしながら、以下の説明を具体的に行うため、本実施形態に係る医用画像診断装置10は、磁気共鳴イメージング装置10であるとする。また、磁気共鳴イメージング装置10と映写機100と映写機制御装置200とを含む医用画像診断システム1を磁気共鳴イメージングシステム1と呼ぶことにする。
図2は、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置10の構成を示す図である。図2に示すように、磁気共鳴イメージング装置10は、撮像制御ユニット17、架台11、寝台13及び移動式スクリーン装置15を有する。撮像制御ユニット17は、傾斜磁場電源21、送信回路23、受信回路25及びコンソール27を有する。コンソール27は、撮像制御回路31、再構成回路32、画像処理回路33、通信回路34、表示回路35、入力回路36、主記憶回路37及びシステム制御回路38を有する。撮像制御回路31、再構成回路32、画像処理回路33、通信回路34、表示回路35、入力回路36、主記憶回路37及びシステム制御回路38は、互いにバスを介して通信可能に接続されている。傾斜磁場電源21、送信回路23及び受信回路25は、コンソール27と架台11とは別個に設けられている。図2に示すように、映写機は、本磁気共鳴イメージング装置10の構成に含まれない。
架台11は、静磁場磁石41、傾斜磁場コイル43及びRFコイル45を有する。また、静磁場磁石41と傾斜磁場コイル43とは架台11の筐体(以下、架台筐体と呼ぶ)51に収容されている。架台筐体51には中空形状を有するボア53が形成されている。架台筐体51のボア53内にRFコイル45が配置される。また、架台筐体51のボア53内に本実施形態に係る移動式スクリーン装置15が配置される。
静磁場磁石41は、中空の略円筒形状を有し、略円筒内部に静磁場を発生する。静磁場磁石41としては、例えば、永久磁石、超伝導磁石または常伝導磁石等が使用される。ここで、静磁場磁石41の中心軸をZ軸に規定し、Z軸に対して鉛直に直交する軸をY軸と呼び、Z軸に水平に直交する軸をX軸と呼ぶことにする。X軸、Y軸、及びZ軸は、直交3次元座標系を構成する。
傾斜磁場コイル43は、静磁場磁石41の内側に取り付けられ、中空の略円筒形状に形成されたコイルユニットである。傾斜磁場コイル43は、傾斜磁場電源21からの電流の供給を受けて傾斜磁場を発生する。
傾斜磁場電源21は、撮像制御回路31による制御に従い傾斜磁場コイル43に電流を供給する。傾斜磁場電源21は、傾斜磁場コイル43に電流を供給することにより、傾斜磁場コイル43に傾斜磁場を発生させる。
RFコイル45は、傾斜磁場コイル43の内側に配置され、送信回路23からRFパルスの供給を受けて高周波磁場を発生する。また、RFコイル45は、高周波磁場の作用を受けて患者P内に存在する対象原子核から発せられる磁気共鳴信号(以下、MR信号と呼ぶ)を受信する。受信されたMR信号は、有線又は無線を介して受信回路25に供給される。なお、上述のRFコイル45は、送受信機能を有するコイルであるとしたが、送信用RFコイルと受信用RFコイルとが別々に設けられても良い。
送信回路23は、患者P内に存在する対象原子核を励起するための高周波磁場を、RFコイル45を介して患者Pに送信する。対象原子核としては、典型的には、プロトンが用いられる。具体的には、送信回路23は、撮像制御回路31による制御に従って、対象原子核を励起するための高周波信号(RF信号)をRFコイル45に供給する。RFコイル45から発生された高周波磁場は、対象原子核に固有の共鳴周波数で振動し、対象原子核を励起させる。励起された対象原子核からMR信号が発生され、RFコイル45により検出される。検出されたMR信号は、受信回路25に供給される。
受信回路25は、励起された対象原子核から発生されるMR信号をRFコイル45を介して受信する。受信回路25は、受信されたMR信号を信号処理してデジタルのMR信号を発生する。デジタルのMR信号は、有線又は無線を介して再構成回路32に供給される。
架台11に隣接して寝台13が設置される。寝台13は、天板131と基台133とを有する。天板131には患者Pが載置される。基台133は、天板131をX軸、Y軸、Z軸各々に沿ってスライド可能に支持する。基台133には寝台駆動装置135が収容される。寝台駆動装置135は、撮像制御回路31からの制御を受けて天板131を移動する。寝台駆動装置135としては、例えば、サーボモータやステッピングモータ等の如何なるモータが用いられても良い。
撮像制御回路31は、ハードウェア資源として、CPU(Central Processing Unit)あるいはMPU(Micro Processing Unit)のプロセッサとROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを有する。撮像制御回路31は、システム制御回路38から供給されるパルスシーケンス情報に基づいて、傾斜磁場電源21、送信回路23及び受信回路25を同期的に制御し、当該パルスシーケンス情報に応じたパルスシーケンスで患者Pを撮像する。
再構成回路32は、ハードウェア資源として、CPUやGPU(Graphical processing unit)、MPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。再構成回路32は、受信回路25からのMR信号に基づいて患者Pに関するMR画像を再構成する。例えば、再構成回路32は、k空間または周波数空間に配置されたMR信号にフーリエ変換等を施して実空間で定義されたMR画像を発生する。なお再構成回路32は、再構成機能を実現する特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)やフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Logic Device:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現されても良い。
画像処理回路33は、ハードウェア資源として、CPU、GPU、MPU等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。画像処理回路33は、再構成回路32により再構成されたMR画像に種々の画像処理を施す。なお画像処理回路33は、上記画像処理機能を実現するASICやFPGA、CPLD、SPLDにより実現されても良い。
通信回路34は、図示しない有線又は無線を介して映写機制御装置200又は映写機100との間でデータ通信を行う。また、通信回路34は、図示しないネットワーク等を介して接続されたPACSサーバ等の外部装置との間でデータ通信を行っても良い。また、通信回路34は、移動式スクリーン装置15に取り付けられた後述の機器との間でデータ通信を行っても良い。
表示回路35は、種々の情報を表示する。例えば、表示回路35は、再構成回路32により再構成されたMR画像や画像処理回路33により画像処理が施されたMR画像を表示する。また、表示回路35は、映写機100により映写される映像を表示しても良い。具体的には、表示回路35は、表示インタフェース回路と表示機器とを有する。表示インタフェース回路は、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換する。表示信号は、表示機器に供給される。表示機器は、表示対象を表すビデオ信号を表示する。表示機器としては、例えば、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、プラズマディスプレイ、又は当技術分野で知られている他の任意のディスプレイが適宜利用可能である。
入力回路36は、具体的には、入力機器と入力インタフェース回路とを有する。入力機器は、ユーザからの各種指令を受け付ける。入力機器としては、キーボードやマウス、各種スイッチ等が利用可能である。入力インタフェース回路は、入力機器からの出力信号をバスを介してシステム制御回路38に供給する。なお、入力回路36は、マウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限らない。例えば、磁気共鳴イメージング装置10とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、受け取った電気信号を種々の回路へ出力するような電気信号の処理回路も入力回路36の例に含まれる。
主記憶回路37は、種々の情報を記憶するHDD(hard disk drive)やSSD(solid state drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。また、主記憶回路37は、CD−ROMドライブやDVDドライブ、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体との間で種々の情報を読み書きする駆動装置等であっても良い。例えば、主記憶回路37は、MR画像や磁気共鳴イメージング装置10の制御プログラム等を記憶する。
システム制御回路38は、ハードウェア資源として、CPUあるいはMPUのプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。システム制御回路38は、磁気共鳴イメージング装置10の中枢として機能する。具体的には、システム制御回路38は、主記憶回路37に記憶されている制御プログラムを読み出してメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従って磁気共鳴イメージング装置10の各部を制御する。
以下、本実施形態の磁気共鳴イメージング装置10について詳細に説明する。
まず、図3を参照しながら、本実施形態に係る磁気共鳴イメージングシステム1の設置環境について説明する。図3は、本実施形態に係る磁気共鳴イメージングシステムの設置環境の一例を示す図である。図3に示すように、MR撮像が行われる検査室300と検査室300に隣接する制御室400とが設けられる。検査室300には架台11と寝台13とが設置されている。架台11の前方に寝台13が設けられている。架台11のボアには移動式スクリーン装置15が設けられている。検査室300は、架台11からの漏洩磁場や外部からの電磁場等を遮蔽可能なシールドルームである。検査室300には入退室のためのドアD1が設けられている。また、検査室300と制御室400との間には、検査室300と制御室400との間の往来のためのドアD2が設けられている。制御室400にはコンソール27と映写機100と映写機制御装置200とが設置されている。映写機100は、検査室300と制御室400との間の壁500を隔てて架台11の後方に設置される。壁500のうちの、映写機100から移動式スクリーン装置15に向かう投影光LPが伝播する部分には当該投影光LPが透過可能な窓510が設けられている。窓510を介して、制御室400に設置された映写機100から検査室300の移動式スクリーン装置15に投影光LPを伝播させることができる。制御室400にも入退室のためのドアD3が設けられると良い。
なお、上記のレイアウトは一例であってこれに限定されるものではない。例えば、映写機100と映写機制御装置200とコンソール27とが制御室400に設置されるとしたが、コンソール27と映写機制御装置200とは映写機100とは異なる別の部屋に設置されても良い。また、映写機100を磁場による影響を受けない材料で形成できるのであれば、映写機100を検査室300に設けても良い。また、検査室300と制御室400との他に、傾斜磁場電源21や受信回路25を設置するための機械室等が設けられても良い。
次に、図4を参照しながら架台11の外観について説明する。図4は、本実施形態に係る架台筐体51の斜視図である。図4に示すように、架台筐体51には中空形状のボア53が形成される。架台筐体51のボア53の下部には、ボア53の中心軸Zに平行するレール55が形成されている。レール55は、天板131と移動式スクリーン装置15との中心軸Zに沿うスライドを案内する構造物である。レール55は、ボア53に接する架台筐体51の内壁57に設けられる。レール55は、磁気共鳴撮像に利用される磁場に作用しない非磁性材料により形成される。ここで、Z軸に関して寝台側から映写機側に向かう方向を+Z軸方向に規定し、映写機側から寝台側に向かう方向を−Z軸方向に規定する。
次に図5、図6、図7及び図8を参照しながら移動式スクリーン装置15の構造について説明する。図5は、本実施形態に係る移動式スクリーン装置15の斜視図である。図6は、移動式スクリーン装置15の側面図である。図7は、移動式スクリーン装置15の正面図である。図8は、連結した移動式スクリーン装置15と天板131との斜視図である。
図5、図6、図7及び図8に示すように、移動式スクリーン装置15は、移動台車61、スクリーン63、支持アーム65及び反射板67を有する。移動台車61は、架台筐体51の内壁57に設けられたレール55に沿って移動する構造体である。移動台車61の下部には、レール55における走行性を高めるため、レール55を転がる車輪(図示せず)が取り付けられている。なお、移動台車61がレール55を走行可能であれば、必ずしも車輪が設けられる必要は無く、レール55に接触する面が低摩擦係数を有する材料により形成されれば良い。移動台車61とレール55とは、移動台車61がボア53の寝台13側(−Z側)の端部から映写機100側(+Z側)の端部まで移動可能に形成される。移動台車61の底面は、レール55に嵌合可能な形状を有すると良い。移動台車61とレール55とが係合することにより、移動台車61がボア53の端部に配置された状態において外部から架台11を見た場合、レール55を目立たなくさせることができる。移動台車61は、スクリーン63と支持アーム65とを支持する。移動台車61は、樹脂等の磁場に作用しない非磁性材料により形成される。
図5に示すように、移動台車61には天板131に連結するための連結部69が形成されている。連結部69により、図8に示すように、移動台車61と天板131とが連結する。天板131の前方部(+Z軸方向側)には患者固定具137が取り付けられている。患者固定具137は、天板131に載置された患者Pの頭部を固定する。患者固定具137は、天板131に仰向けに載置された患者Pの視界を遮ることのなく後頭部を覆うことが可能なように湾曲形状を有している。すなわち、患者固定具137の前頭部側は開放されている。よって患者固定具137は、頭部全体を覆う固定部に比して、患者Pの閉塞感を軽減し、また、患者Pの視野の狭窄を軽減することができる。患者固定具137は、例えば、上記形状を有する金型を用いて樹脂等の非磁性材料により一体的に成型される。
図5、図6、図7及び図8に示すように、スクリーン63は、移動台車61に立設されている。スクリーン63には図示しない映写機100からの映像が投影される。スクリーン63は、移動台車61に対して傾き可能に設けられている。具体的には、移動台車61に設けられた傾動機構(図示せず)により傾動可能に設けられている。移動台車61の表面に対するスクリーン63の傾き角度を調節することにより、スクリーン63は移動台車61の表面に対して垂直又は所定の傾斜角度で保持される。上記の通り、映写機100は、スクリーン63を挟んで寝台13とは反対側に配置される。ここで、スクリーン63の映写機100側の面を裏面、寝台13側の面を表面と呼ぶことにする。表面に映像を映し出すため、スクリーン63は半透明の材料で形成されると良い。このような半透明の材料としては、半透明のプラスチックや磨りガラス等が用いられると良い。スクリーン63が半透明材料により形成されることにより、映写機100から射出された投影光はスクリーンの裏面に照射され、投影光に対応する映像が表面に映し出される。これにより患者P等は、寝台13側から、表面に映し出された映像を見ることができる。スクリーン63は、平面形状を有する型式であっても曲面形状を有する型式であっても良い。曲面形状を有する場合、凹面が寝台13側を向く、すなわち、表面を成すように配置されると良い。凹面が寝台13側を向くことにより、天板131に載置された患者Pの頭部の後方周辺をスクリーン63で覆うことが可能となる。これにより患者Pの視野をスクリーン63に映し出された映像で満たし、映像に没入させることが可能となる。
図9は、ボア53内に配置されたスクリーン63の正面を模式的に示す図である。図9に示すように、スクリーン63は、架台筐体51のボア53に接する内壁57の径RBよりも小さい外径RSを有する。このように外径RSを内径RBよりも小さく設計することにより、移動式スクリーン装置15をボア53内に挿入することができる。なお、ボア53内には架台11に設けられた換気ファン(図示せず)から風が流れている。スクリーン63の縁と内壁57との間に隙間G1が設けられることにより、換気ファンから送り出される風がスクリーン63により遮られることを防止することができる。外径RSとしては、例えば、内径RBよりも10mmから50mm小さく設計されると良い。換言すれば、隙間G1は、10mmから50mmに設計されると良い。
図5、図6、図7及び図8に示すように、支持アーム65は移動台車61に取り付けられる。後述するように、支持アーム65は、Z軸方向に関してスライド可能に移動台車61に取り付けられている。支持アーム65は、反射板67をスクリーン63の表面側の空間に配置するように支持する。反射板67は、移動台車61と天板131とが連結されている状態において、天板131に載置された患者Pの頭部にぶつからない程度に、移動台車61の表面から離間して支持アーム65により支持される。支持アーム65は、架台11の外部からスクリーン63を見た場合に当該外部観察者の視界を遮らないような形状を有している。当該外部観察者の視界を遮らないため、支持アーム65は、図5、図6、図7及び図8に示すように、スクリーン63の輪郭に沿った円弧部分を有する半環形状又は半鞍形状を有すると良い。この場合、支持アーム65の両端が移動台車61の側部に取り付けられ、支持アーム65の円弧部分がスクリーン63の表面側の空間に位置するように、支持アーム65が移動台車61に取り付けられる。なお支持アーム65の形状は上記の半円環形状又は半鞍形状に限定されず、反射板67をスクリーン63の表面側の空間に配置可能であれば如何なる形状を有していても良い。例えば、支持アーム65は、略棒形状を有する一対のアームにより構成されても良い。この場合、当該一対のアームの一端が移動台車61の両側部に取り付けられ、他端に反射板67が取り付けられると良い。
図5、図6、図7及び図8に示すように、反射板67は、支持アーム65の略最上部に設けられている。反射板67は、スクリーン63の表面に映し出された映像を反射する。反射板67は、非磁性材料により形成され、対象を光学的に反射可能であれば如何なる素材により形成されても良い。例えば、反射板67としては、アクリルにアルミ蒸着処理を施した鏡や誘電体膜を付着させたハーフミラー等が用いられれば良い。患者固定具137に頭部が配置された患者Pは、表面に投影された映像を、反射板67を介して見ることができる。
反射板67は、患者Pにより反射板67の角度を手動で調整するために、支持アーム65に回転可能に設けられている。具体的には、支持アーム65に設けられた回転機構(図示せず)により回転軸RR1回りに回転可能に設けられている。回転軸RR1は、例えば、スクリーン63の表面に対する反射板67の向きを調節可能なようにX軸に平行に設けられる。より詳細には、支持アーム65は、少なくとも、後述する第1の映写形式のための第1の角度と第2の映写形式のための第2の角度との間で切替可能に設けられると良い。第1の映写形式は、架台11外から反射板67を介さずにスクリーン63の映像を見る形式である。そのため、第1の映写形式における反射板67の第1の角度は、架台11外にいる患者P等の視界を遮らない角度、例えば、略水平に設定されると良い。第2の映写形式はボア53内において反射板67を介して映像を見る形式である。そのため、第2の映写形式における反射板の第2の角度は、観察者たる患者Pの体格等に応じて、水平と垂直との間の任意の角度に設定されると良い。
反射板67のZ軸に関する位置を調節するため、支持アーム65のスライド機構71が移動台車61に設けられると良い。図10は、図6の支持アーム65がZ軸に関してスライドされた移動式スクリーン装置15の側面を示す図である。図6と図10とに示すように、スライド機構71は、支持アーム65のZ軸に沿うスライドを案内するガイド611が移動台車61に形成されている。ガイド611は、支持アーム65とスクリーン63とへの接触を回避するため、移動台車61の両側面においてZ軸に沿って設けられている。ガイド611は如何なる形態により実現されても良いが、例えば、移動台車61の側面にZ軸に沿って設けられた空隙により実現される。図6と図11とに示すように、支持アーム65の摺動性を高めるため、支持アーム65のうちのガイド611に面する基部には車輪651が設けられると良い。スライド機構71が設けられることにより、医師や技師、看護士等の医療従事者及び患者P等が支持アーム65をZ軸方向に押したり引いたりすることにより反射板67をスクリーン63に対して接近又は離間することができる。これにより、反射板67のZ軸方向に関する位置を調節することができる。
なお上記の説明においてスライド機構71は、移動台車61に設けられたガイド611と支持アーム65に設けられた車輪651とにより実現されるものとした。しかしながら、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態に係るスライド機構71としては、支持アーム65を移動台車61に対して相対的にスライド可能であれば如何なる機構であっても良い。例えば、支持アーム65にZ軸に沿うガイドが設けられ、当該ガイドを走行する車輪が移動台車61に設けられても良い。また、スライド機構71は、ボールネジやスライドレール等により実現されても良い。
図11は、架台11のボア53に配置された移動式スクリーン装置15の簡易な側面図である。図11に示すように、移動式スクリーン装置15の移動台車61がレール55にスライド可能に設けられている。典型的には、移動式スクリーン装置15には駆動装置が搭載されていない。移動式スクリーン装置15は、寝台駆動装置135による天板131のスライドに連動してスライドする。なお、移動式スクリーン装置15は、患者Pや医療従事者等により押したり引いたりすることによりZ軸に関してスライドすることも可能である。
スクリーン63は、ボア53に挿入可能であって、映写機100により発生された光を、ボア53に関する架台筐体51の内壁57に到達可能なように形成する。具体的には、図9に示すように、スクリーンの外径RSは、ボア53の内径RBより小さい。また、映写機100から射出された光は、ボア53の内径RBを包含する領域に射出される。これにより、映写機100から射出された投影光は、スクリーン63と、架台筐体51の内壁57とに投影される。換言すると、映写機100により投影された投影映像は、スクリーン63に投影された第1領域と、ボア53に関する架台筐体51の内壁57に投影された第2領域とを有する。投影映像は、動画であっても静止画であってもよい。また、投影映像は、動画であってもよいし、静止画であってもよい。また、投影映像における映像内容は、例えば、リラックス効果のある動画または静止画であってもよいし、検査時の注意事項や検査終了時刻までの時間等の検査支援情報であってもよい。第2領域に関する映像に関する光は、ボアとスクリーンとの間の隙間(図9におけるG1)を通過する。以下、図面を参照して、上記内容について詳述する。
図12は、本磁気共鳴イメージングシステム1を側面から見た断面の一例を示す側面図である。図12に示すように、スクリーン63は、映写機100から射出された投影光LPを、架台筐体51の内壁57(上面壁)に到達可能なように形成する。これにより、図12に示すように、投影光LPは、スクリーン63と、架台筐体51の内壁57とに投影される。図12における映像12Iは、スクリーン63に投影された映像であって、投影映像の第1領域に対応する。
図12に示すように、スクリーン63に投影された映像12Iは、反射板67を介して、患者Pの直上における視角範囲12VAの中心を含む領域(以下、中心領域と呼ぶ)Iwcに配置される。図12において、第2領域Re2に対応する投影光LPは、スクリーン63の縁と架台筐体51の内壁57との隙間G1を通過した投影光(以下、漏れ光と呼ぶ)である。漏れ光は、架台筐体51の内壁57において、例えば、視角範囲12VAの端部分(Iw1とIw2)とに到達する。
例えば、漏れ光は、架台筐体51の内壁57のうち、スクリーン63から患者Pの肩近傍までの範囲(以下、漏れ光到達範囲と呼ぶ)に到達する。すなわち、スクリーン63は、漏れ光を、架台筐体51の内壁57において、漏れ光到達範囲に到達するように、投影光LPを形成する。漏れ光到達範囲は、スクリーンの形状に依存する。例えば、優弧(major arc)と弦とにより構成される形状を有し、かつ弦が上端に位置するスクリーンによる漏れ光到達範囲は、図9に示すような円形形状を有するスクリーン63による漏れ光到達範囲より大きくなる。
図13は、ボア53内に配置された患者Pを上面から見た上面図である。図13に示すように、スクリーン63は、投影光LPを、架台筐体51の内壁57(側壁)に到達可能なように形成する。患者Pの側面における視角範囲13VAに対応する内壁には、漏れ光により、第2領域Re2に対応する映像が映し出される。図13における視角範囲13VAは、漏れ光到達範囲に対応する漏れ光到達範囲は、スクリーン63の外径RSと架台筐体51におけるボア53の内径RBとの差である隙間(図9のG1)と、映写機100からスクリーン63までの距離とにより決定される。図13におけるLLARで示された範囲は漏れ光到達範囲に相当する。
図14は、患者P等により視認される投影映像の一例を示す図である。図14において、内円Icは、スクリーン63の縁に対応する。図14における内円Icの内側の領域の映像は、スクリーン63に投影された第1領域Re1に対応する。図14における外円Ocと内円Icとの間に挟まれた領域は、漏れ光が架台筐体51の内壁57に到達したときの映像、すなわち第2領域Re2に対応する。
第1領域Re1と第2領域Re2領域との境界(内円Ic)は、例えば、撮像制御ユニット17における画像処理回路33(または映写機制御装置200)により予め設定される。患者Pは、第1領域Re1における第1映像をスクリーン63及び反射板67を介して視認し、架台筐体51の内壁57に投影された第2領域Re2における第2映像を視認する。すなわち、天板131に仰向けに載置された患者Pは、第1映像と第2映像とを視認する。
図14における外円Ocの外側の領域は、スクリーン63の縁と架台筐体51の内壁57との隙間G1を通過しない投影光が架台筐体51の内壁57に到達することにより、スクリーン63により映写機100側の内壁57に映し出される映像に対応する。図12乃至図14に示すように、患者Pの周囲には、投影光による投影映像が配置される。
以上に述べた構成によれば、以下に示す効果を得ることができる。
本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、ボア53内に挿入されたスクリーン63により、映写機100により発生された光を、ボア53に関する架台筐体51の内壁57に到達可能な形状に形成することができる。すなわち、本磁気共鳴イメージング装置10よれば、映写機100により投影された投影映像は、スクリーン63に投影された第1領域Re1と、ボア53に関する架台筐体51の内壁57に投影された第2領域Re2とを有する。
これにより、本磁気共鳴イメージング装置10のボア53内に挿入された患者Pは、自身の視角範囲の中心領域において反射板67を介して第1領域Re1に対応する映像を視認し、かつ中心領域の外側の領域において、内壁57に投影された第2領域Re2に対応する映像を視認することができる。すなわち、映写機100により投影された映像が映し出される範囲を患者Pの視角範囲にできるだけ近づけることができ、本磁気共鳴イメージング装置10のボア53内に挿入された患者Pの視角範囲の略全域を、映写機100から投影された映像で満たすことが可能となる。これにより、本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、ボア53に挿入された患者Pは、映像または投影光につつまれた感覚、すなわち映像に対する没入感を得ることができる。
以上のことから、本磁気共鳴イメージング装置10によれば、患者Pに対するMR検査時において、患者P近傍にRFコイル45や支持アーム65が配置されていたとしても、患者Pに違和感を生じさせず、患者Pの不安を改善し、かつ患者Pをリラックスできる環境を提供することができる。例えば、患者Pに対する撮像中において、気分をリラックスさせるための投影(例えば、スクリーン63に投影された映像)に患者Pを集中させることができ、加えて、狭いボア53内の空間の存在を患者Pに意識させないことが期待できる。
これにより、患者P(特に、閉所恐怖症の患者)に対するMR撮像において、ボア53内での圧迫感およびボア53内に入ることへのストレスを軽減させ、ボア内での居住性を向上させることができる。加えて、移動式スクリーン装置15が寝台13とは反対側(映写機100側)に配置された場合、検査前の患者Pが架台筐体51を見たときの印象として、スクリーン63の縁と架台筐体51の内壁57との隙間G1を通過した漏れ光およびスクリーン63に投影された映像が内壁57の投影されるため、ボア53に対して無機質なトンネルとしてではなく患者Pに対して安心感を演出することができる。
(第1の変形例)
本変形例と実施形態との相違は、第1領域Re1における映像(以下、第1映像と呼ぶ)と第2領域Re2における映像(以下、第2映像と呼ぶ)とにおいて、映像内容(コンテンツ)が異なることにある。第1映像と第2映像とにおける映像内容の相違は、例えば、色相、明度および模様(テクスチャ等)のうち少なくとも一つの相違を含む。
画像処理回路33(または映写機制御装置200)は、第1映像と第2映像とを合成した合成映像に関するデータを、映写機100により投影される投影映像のデータとして、映写機100に出力する。なお、撮像制御ユニット17(または映写機制御装置200)は、第1映像に関するデータと第2映像に関するデータとを、個別に映写機100に出力してもよい。このとき、映写機100は、第1映像に対応する投影光と第2映像にたいおうする投影光とを同時に射出する。
いずれの場合も、映写機100により投影された投影映像は、第1映像と第2映像とを有することとなる。例えば、第2映像は、色相、明度、模様で表現可能な任意の視覚効果に対応する映像である。具体的には、第2映像は、検査前または検査中において、患者Pに対する心理学的な作用(安心感、リラックス、第1映像への集中、気分の高揚など)を想起させる最適な視覚効果に関する映像である。また、第2映像は、患者Pに対して実行されているパルスシーケンス等に対応した色相、明度、模様であってもよい。
また、画像処理回路33(または映写機制御装置200)は、入力回路36を介した操作者の指示により、第1領域Re1に関する第1映像と第2領域Re2に関する第2映像とにおいて、色相、明度および模様のうち少なくとも一つが異なるように、映写機100により投影される投影映像に関するデータを生成してもよい。また、画像処理回路33(または映写機制御装置200)は、映写機100から投影された投影映像における第2領域Re2の外側の領域に対応するデータを、トリミングしてもよい。
図15および図16は、第1映像と第2映像とにおいて、映像内容が異なる一例を示す図である。図15および図16において、第1領域Re1における第1映像は、図14における第1領域Re1と同様な映像である。図15および図16における第2領域Re2における第2映像は、第1領域Re1の映像と異なり、第1領域Re1における映像に対して更なるリラックス効果、および第1領域Re1における映像に患者Pが集中できる映像である。なお、第2映像に関する投影光は、架台筐体51の内壁57に投影される為、投影方向と内壁57との間の角度に起因する投影映像のひずみを低減させた映像、第1映像に関連する映像パターン、配色を有していてもよい。
図15および図16における第2領域Re2は、一例として、3つの異なる色相を有する。図15および図16における領域Re2SBは水色であり、領域Re2Yは黄色であり、領域Re2Oはオレンジ色である。
図17は、第2領域Re2が上記3色を有する場合において、架台筐体51の内壁57に投影された第2映像と色相との対応関係の一例を示す図である。図17に示すように、第2映像における領域Re2SBに対応する投影光は、内壁57の上方付近に投影される。図17に示すように、第2映像における領域Re2Yに対応する投影光は、内壁57の中央付近に投影される。図17に示すように、第2映像における領域Re2Oに対応する投影光は、内壁57の下方付近に投影される。
図18は、本変形例に係る第2領域Re2における第2映像の他の例を、第1領域Re1における第1映像とともに示す図である。図18に示すように、第2領域Re2における第2映像は、例えば、10種類の色相と、第1映像への患者Pの集中を促進させる形状(螺旋形状)とを有する。図18における第2領域Re2において、螺旋形状に区分された複数の領域各々において、領域Re2SBの色相は水色であり、領域Re2Bの色相は青色であり、領域Re2DBの色相は紺色であり、領域Re2Vの色相は紫色であり、領域Re2Pの色相は赤紫色であり、領域Re2Rの色相は赤色であり、領域Re2Oの色相はオレンジ色であり、領域Re2Yの色相は黄色であり、領域Re2YGの色相は黄緑色であり、領域Re2Gの色相は緑色である。
図15および図19は、第2領域Re2の外側の領域triがトリミングされた投影映像の一例を示す図である。図15は、図16における第2領域Re2の外側の領域triが予めトリミングされて、スクリーン63および内壁57に投影された映像である。すなわち、図16に対応する投影映像に関するデータにおいて第2領域Re2の外側の領域triがトリミングされ、トリミングされたデータに対応する投影光が、映写機100により、スクリーン63と架台筐体51の内壁57とに投影される。
図19は、図18における第2領域Re2の外側の領域triがトリミングされた投影映像の一例を示す図である。すなわち、図19に対応する投影映像に関するデータにおいて第2領域Re2の外側の領域triがトリミングされ、トリミングされたデータに対応する投影光が、映写機100により、スクリーン63と架台筐体51の内壁57とに投影される。
本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、本実施形態に係る効果に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、反射板67に映る第1映像と架台筐体51の内壁57に映る第2映像とを組み合わせた視覚環境を患者Pに提供することができる。また、本変形例によれば、患者Pに対する最適な視覚効果に対応する映像を目的に応じて第2映像に適用することができる。
例えば、本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10は、第2映像の色相(患者Pが安心できる色)、明度(患者Pが安心できる明るさ)、模様(患者Pが安心できるパターン形状)等をリラックス効果(心理学的作用)に応じて変化させること、投影映像において第2領域Re2の外部のトリミング、および投影方向と内壁57との間の角度に起因する投影映像のひずみの低減等を実行することができる。また、本変形例によれば、検査前または検査中において、患者Pに対して最適な視覚効果に関する映像を、第2映像として架台筐体51の内壁57に投影することができる。
これらのことから、本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、第1映像に関連した更なるリラックス効果を患者Pに提供すること、患者Pにボア53を感じさせないような視覚環境を提供すること、および検査前または検査中の患者Pに対して最適な視覚効果を提供することができる。
(第2の変形例)
本変形例と実施形態との相違は、第2映像が、スクリーン63に応じて投影映像をトリミングした映像に対応することにある。
画像処理回路33(または映写機制御装置200)は、後述するトリミング処理の実行後の画像データ(以下、トリミング画像データと呼ぶ)を映写機100に出力する。これにより、トリミング画像データに対応する投影光は架台筐体51の内壁57に投影され、トリミングされた外側の映像として映し出される。例えば、画像処理回路33(または映写機制御装置200)は、スクリーン63に応じて、所定の投影映像に対してトリミング(以下、トリミング処理と呼ぶ)を実行する。
トリミング処理とは、スクリーン63に応じて実行される。スクリーン63に応じたトリミングの形状は、スクリーンの形状に限定されない。例えば、スクリーン63の形状が楕円であって、楕円形状のトリミングでは患者Pに違和感を想起させる場合、トリミング形状は、例えば円形に設定される。
なお、トリミング処理は、スクリーン63の形状に対応するとは限らない。トリミング処理は、種々のキャラクタ(マスコット、アニメ等)のシルエットの外形の形状に合わせて実行されてもよい。また、トリミング処理は、撮像中において、患者Pに対する視覚刺激を誘発するようなトリミングを実行してもよい。
視覚刺激とは、例えば、患者Pに対して計算(暗算、計算式)を想起させるトリミング、患者Pの右目の中心視野の正面に対応する第1映像の領域と患者Pの左目の中心視野の正面に対応する第1映像の領域とにおいてそれぞれ異なる形状のトリミング、患者Pを第1映像に集中させるためのトリミング、投影映像における輝度コントラスト・テクスチャ・動き・両眼視差などである。
また、映写機100における光源は、漏れ光により、寝台13近傍に位置する付添者などの視角範囲に含まれる可能性がある。このため、付添者などの視角範囲に光源が含まれないようにするために、トリミング処理は、映写機100から投影された投影映像における第2領域Re2に対応するデータを、トリミングしてもよい。
図20は、スクリーン63に合わせた画像のトリミングの一例を示す図である。図20に示すように、第1領域Re1の外縁部分Re1Ocより外側の領域において、円形のトリミングが実行されている。図14との比較によれば、図20における第2領域Re2に対応する色相は、例えば、単一の色相を有する。
図21は、トリミング後の第2映像に対応する投影光が架台筐体51の内壁57に投影される一例を示す図である。図21に示すように、図20において第1映像の外側の領域に対応する投影光は、図21における架台筐体51の内壁(Iw1とIw2)571に投影される。
本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、本実施形態に係る効果に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、スクリーン63に応じてトリミングされたトリミング画像データを用いて、第2映像を架台筐体51の内壁57に投影することができる。スクリーン63に応じた映像に関するデータのトリミングにより、反射板67を介して患者Pに視認される第1映像と、架台筐体51の内壁57に投影された第2映像とを、患者Pに明確に認識させることができる。また、上記トリミングにより、第1映像と第2映像とを意図的に曖昧にすることができる。これにより、第1映像と第2映像との組み合わせ、または第1映像を投影する場合において、コンテンツ、すなわち第1映像における映像内容の特徴を際立たせることができる。
また、本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10において、トリミングされる映像は、必ずしもスクリーン63の形状そのものである必要は無く、概ねスクリーン63の形状と同形状、またはトリミングされる線(以下、トリミングラインと呼ぶ)を変化させることも可能である。このとき、画像処理回路33等によるトリミングラインの調整(変更)は、架台筐体51の内壁57に投影される第2映像により、第1映像を演出する様々な手法として活用することができる。
例えば、トリミングラインの調整は、患者Pに対する視覚刺激を研究目的として用いられてもよいし、患者Pをリラックスさせることを目的としてキャラクタのシルエットを投影するために用いられてもよい。また、本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、付添者および介助者などの視角範囲に光源が出来るだけ含まれないようにする意図的なトリミング処理により、第2映像が投影される漏れ光到達範囲を最低限の範囲で限定することができ、付添者および介助者などの視覚に対する負担を軽減させることができる。
以上のことから、本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、様々な目的に応じてトリミングされた映像を、スクリーン63と架台筐体51の内壁57とに投影させることができ、患者P、付添者、および目的に応じた視覚環境を提供することができる。
(第3の変形例)
本変形例と実施形態との相違は、第2映像において、第1領域Re1と第2領域Re2との境界近傍を明るくして、第1映像を自然に患者Pに認識させることにある。
画像処理回路33(または映写機制御装置200)は、第1領域Re1と第2領域Re2との境界またはトリミングラインから第2領域Re2の外縁に向かって第2映像の明度と色相とのうち少なくとも一方を変化された第2映像を、第1映像とともに映写機100に出力する。これにより、第2映像に対応する投影光は、明度と色相とのうち少なくとも一方を変化させた映像として、架台筐体51の内壁57に投影される。
具体的には、画像処理回路33(または映写機制御装置200)は、第1映像に対してサバンナ効果を実現可能なように、第2映像に関する明度と色相とのうち少なく一方を変化させることで投影映像に対応するデータを生成し、映写機100に出力する。第1映像に対するサバンナ効果の実現のための上記変化は、例えば、第2領域Re2における明度の変化と色相の変化とを有する。なお、サバンナ効果が実現可能であれば、第2映像における色相の変化および明度の変化は、以下の説明に限定されない。
画像処理回路33(または映写機制御装置200)は、第2映像における上記境界またはトリミングラインでの明度を、第1映像における明度と同程度の明度として決定する。画像処理回路33(または映写機制御装置200)は、第2映像において、上記境界またはトリミングラインから第2領域Re2の外縁に向かって、第2映像の明度を段階的に減少させる(明度のグラデーション)。
画像処理回路33(または映写機制御装置200)は、第2映像における上記境界またはトリミングラインの色相を、第1領域Re1の外縁の色相を代表する色相として決定する。画像処理回路33(または映写機制御装置200)は、第2映像において、上記境界またはトリミングラインから第2領域Re2の外縁に向かって、第2映像の色相を黒色に段階的に変化させる(色相のグラデーション)。
図22は、天板131に載置された患者Pにより視認される映像(第1映像に対するサバンナ効果を実現する第2映像)の一例を示す図である。図22に示すように、第2映像は、第1領域Re1の外縁部分から第2領域Re2の外縁に向かって明度および色相の一様なグラデーションを有する。
具体的には、図22に示す第1映像が緑色を基調とする場合、第2映像(第2領域Re2)における色相のグラデーションは、第1領域Re1の外縁部分から第2領域Re2の外縁に向かって、緑色から黒色に段階的に変化することに対応する。また、図22に示す第2領域Re2における明度のグラデーションは、第1領域Re1の外縁部分から第2領域Re2の外縁に向かって、境界近傍における第1映像の明度と同程度の明度から段階的に減少することに対応する。
また、画像処理回路33(または映写機制御装置200)は、第1映像を広い空間で見ているということを患者Pに認識させるために、第2映像に関する明度と色相とを変化させることで投影映像に対応するデータを生成し、映写機100に出力する。なお、第1映像を広い空間で見ているということを患者Pに認識させることが可能であれば、以下の説明に限定されない。
画像処理回路33(または映写機制御装置200)は、第2領域Re2における色相を、第1領域Re1における色相に基づいて決定する。第2領域Re2における色相は、例えば、第1領域Re1における外縁の色相、または第1領域Re1における第1映像の色相を平均化した色相である。
画像処理回路33(または映写機制御装置200)は、第2映像において、上記境界またはトリミングラインから第2領域Re2の外縁に向かって、第2映像の色相を、白色から決定した色相に変化させる(色相のグラデーション)。このとき、第2領域Re2において、所定の幅で第1映像(第1領域Re1)を取り囲む包囲領域の色相は白色となる。
画像処理回路33(または映写機制御装置200)は、第2映像における包囲領域における明度を、第1映像の外縁部分の明度と同程度の明度として決定する。すなわち、第2映像における包囲領域における明度は、第1映像の外縁部分の明度に適合させる。画像処理回路33(または映写機制御装置200)は、第2映像において、包囲領域から第2領域Re2の外縁に向かって、第2映像の明度を段階的に減少させる(明度のグラデーション)。
図23は、天板131に載置された患者Pにより視認される映像(第1映像を広い空間で見ているということを患者Pに認識させるための第2映像)の一例を示す図である。図23に示すように、第2映像は、包囲領域から第2領域Re2の外縁に向かって明度および色相の一様なグラデーションを有する。
具体的には、図23に示す第1映像が緑色を基調とする場合、第2映像(第2領域Re2)における色相のグラデーションは、包囲領域から第2領域Re2の外縁に向かって、白色から緑色に段階的に変化することに対応する。また、図23に示す第2領域Re2における明度のグラデーションは、包囲領域から第2領域Re2の外縁に向かって、第1映像の明度と同程度の明度から段階的に減少することに対応する。
本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、本実施形態に係る効果に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、反射板67に映り込むスクリーン63の映像は、第1映像のみならず、スクリーンの外径RSよりも外側の映像(架台筐体51の内壁57に投影された第2映像)も映り込む可能性があるため、トリミングの位置(境界近傍)の明度を明るくし、第2領域Re2の外側に向かって明度を減少させる(第2映像を暗くする)ことができる。
これにより、本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10は、患者Pに対して、第1映像により集中または安心させる視覚環境(サバンナ効果)を提供することができ、加えて患者Pに対してより開放感を与えることができる。さらに、第1映像のコンテンツおよび視覚効果の目的によっては、色相および明度のグラデーションを適宜変化させることができ、本変形例による効果を最適化することができる。
また、本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、反射板67の周辺(内壁57を含む)の明度を、反射板67における映像の明度と同程度の明度として、第2映像を内壁57に投影することができる。これにより、患者Pの中心視野近傍における明度の過度な差を低減することができる。すなわち、反射板67における映像(主として第1映像)と比べて患者P近傍の内壁57が暗い場合に、反射板67における映像の明度が周辺の明度に比べて強いという患者Pの心象を軽減することができ、検査中における患者Pの目の疲れ等を低減することができる。
これらのことから、本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、ボア53に対する閉塞感を軽減した状態で、第1映像を集中して視認可能な環境を患者Pに提供すること、および広い空間で映像を見ている感覚を患者Pに提供することができる。
加えて、本変形例における効果をさらに向上させる構成として、反射板67の背面側(架台筐体51の内壁57の上面側)に、所定の照射器(例えば、LED:light-emitting diode)が設けられてもよい。このとき、照射器により、反射板67周辺の明度を向上させることができる。
(第4の変形例)
本変形例と実施形態との相違は、架台筐体51の内壁57に投影された第2映像が、内壁57における周方向に沿った位置に応じて、色相と明度と模様とのうち少なくとも一つを変化させた映像であることにある。
画像処理回路33(または映写機制御装置200)は、内壁57における周方向に沿った位置に応じて、色相と明度と模様とのうち少なくとも一つを変化させた第2映像に関するデータ(以下、周方向グラデーションデータと呼ぶ)を、第1映像に関するデータとともに映写機100に出力する。これにより、第2映像に対応する投影光は、内壁57における周方向に沿った位置に応じて、色相と明度と模様とのうち少なくとも一つを変化させた映像として、架台筐体51の内壁57に投影される。
具体的には、画像処理回路33(または映写機制御装置200)は、内壁57における周方向に沿った位置に基づいて、周方向グラデーションデータを生成する。周方向グラデーションデータに基づいて映写機100から射出される投影光において、例えば、内壁上部に到達する投影光(以下、上部投影光と呼ぶ)は、投影時に明るい映像となる明度と色相と模様とのうち少なくとも一つを有し、内壁下部に到達する投影光(以下、下部投影光と呼ぶ)は、投影時に暗い映像となる明度と色相と模様とのうち少なくとも一つを有し、内壁上部と内壁下部との間の内壁側部に到達する投影光は、上部投影光から下部投影光にかけて、投影時に映像の明るさが減少するような明度と色相と模様とのうち少なくとも一つを有する。
図24は、内壁57に到達した投影光により、内壁下部から内壁上部にまで内壁57の周方向に沿って段階的に明るくなることを遠近的に示す図である。図24に示すように、漏れ光により架台筐体51の内壁57に投影される第2映像は、内壁57における周方向に沿った位置に応じて、明るさのグラデーションを有する。
図24に示すように、内壁上部には、比較的明るい映像が第2映像として投影される。内壁下部には、比較的暗い映像が第2映像として投影される。また、内壁側部には、内壁上部から内壁下部にかけて明るさが減少する映像が、第2映像として投影される。
図25は、本磁気共鳴イメージングシステム1を側面から見た断面において、周方向グラデーションデータにしたがって投影された投影光による明るさのグラデーションの一例を示す図である。図25に示すように、内壁上部には明るい映像が投影され、内壁下部には暗い映像が投影され、内壁側部には、明るさのグラデーションを反映した映像が投影される。図25に示すように、内壁上部における視角範囲(Iw1とIw2)は、上部投影光により、内壁57の他の位置より明るくなる。図25におけるLGRは、架台筐体51の内壁57に投影された明るさのグラデーションの一例を示している。
図24と図25とに示すように、天板131に載置された患者Pの側面および下面近傍は、患者Pの上面近傍に比べて暗くなる。換言すると、天板131に載置された患者Pの上面近傍は、患者Pの側面および下面近傍に比べて明るくなる。
本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、本実施形態に係る効果に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、天板131に載置された患者Pの周囲において、内壁下部から内壁上部まで段階的に明るくすることができる。これにより、天板131に載置された患者Pの視角範囲において、内壁下部から内壁上部にかけて明るさのグラデーションによる光環境を提供することができる。
例えば、本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、患者P周辺は比較的暗い状態となり、かつ患者Pの中心視野(内壁上部)が明るい状態となる光環境を提供することができ、患者Pに対してより効果的なリラクゼーションの環境を実現することができる。
また、天板131に載置される患者Pの向き(患者Pのセッティング環境)により、架台筐体51の内壁57に投影させる映像に対する患者Pの心象は異なるものであるが、検査頻度が多い仰向けの姿勢の患者Pに関して、患者Pの視角範囲の略中心(中心視野近傍)に反射板67があるため、架台筐体51の内壁57の上部から周方向に沿って内壁57の下部にかけての視野(周辺視野)において、視覚の感度が低下する。このため、本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、内壁57における周方向に沿って、色相と明度と模様とのうち少なくとも一つを変化させることで、患者Pに対してリラックスできる環境を提供することができる。
(第5の変形例)
本変形例と実施形態との相違は、天板131の側面と内壁57との間の空間、患者固定具(ヘッドレスト)137の上面より下方の内壁、または移動台車61に設けられた照射器により、第2映像が投影される内壁57を含む照射範囲に、第2映像に対応する色相に関する照射光を照射することにある。
照射器は、天板131の側面と内壁57との間の空間に、ボア53の中心軸(Z軸)に沿って、複数設けられる。具体的には、照射器は、図4におけるレール55のうち天板131の側面と内壁57との間の位置(例えば、天板131のレベルと同レベルの位置551)に、Z軸に沿って、所定の間隔で複数設けられる。なお、照射器は、上記空間において、天板131のレベルより下方の位置に配置されてもよい。
なお、照射器は、例えば、図8における患者固定具137の上面1371より下方における内壁57に、ボア53の中心軸に沿って配列されて、複数設けられてもよい。このとき、照射器の位置は、例えば、天板131から所定の高さにおける位置に相当する。所定の高さとは、例えば、天板131から患者Pの肩までの距離、患者Pの体厚などである。
照射器は、システム制御回路38による制御のもとで、照射光を架台筐体51の内壁57に照射する。照射器とは、例えば、上記色相に関する光を生成可能な複数のLED(3色の発光ダイオード)であり、一つの照射器は、光の3原色各々対応するLEDを複数有する。なお、照射器は、LEDに限定されない。また、照射器は、照射光が反射板67とスクリーン63とに到達不能となるような照射光の指向性を有していてもよい。
システム制御回路38は、ボア53内における天板131の位置を収集する。システム制御回路38は、収集された天板131の位置に基づいて、ボア53内におけるスクリーン63の位置を決定する。システム制御回路38は、照射器による架台筐体51の内壁57への照射範囲を、スクリーン63の位置に応じて決定する。システム制御回路38は、第2映像に対応する色相の光を決定された照射範囲に照射させるように、照射器を制御する。
照射範囲とは、例えば、スクリーン63の位置から患者Pの胸部(または腹部)近傍の位置までの範囲である。患者Pの胸部近傍の位置は、例えば、スクリーン63の位置または天板131の端部からZ軸に沿った所定の距離として、主記憶回路37等に予め記憶される。
また、システム制御回路38は、第2映像における映像内容に応じた色相を実現させるように、照射器を制御する。例えば、第2映像が葉、樹木、林、森林などの映像である場合、映像内容に応じた色相は、緑、黄緑などの映像内容を代表する色相、または第2映像における平均的な色相である。また、第2映像が海、川、空などの映像である場合、映像内容に応じた色相は、青、水色、藍色などの映像内容を代表する色相、または第2映像における平均的な色相である。
なお、システム制御回路38は、第1映像の映像内容によっては第1映像の映像内容をより際立たせるための演出、または研究目的に対応する視覚刺激等に応じた色相を実現させるように、照射器を制御してもよい。
また、システム制御回路38は、入力回路36を介した操作者の指示により、患者Pの要望に応じて、照射光の光量および色相を調整するために、照射器を制御してもよい。このとき、システム制御回路38は、第1映像および第2映像における映像内容を変更することなしに、照射器を制御する。
加えて、患者Pを載置した天板131がボア53の寝台13側の端部と撮像位置との間を移動するとき、システム制御回路38は、架台筐体51の内壁57に照射された照射光の色相を変化させるために、照射器を制御する。なお、システム制御回路38は、Z軸に沿った天板131の移動方向に応じて、色相の変化の態様を変更するように、照射器を制御してもよい。このとき、患者Pを載置した天板131がボア53の外部からボアの53内部へ移動するときと、患者Pを載置した天板131がボア53の内部からボア53の外部へ移動するときとにおいて、架台筐体51の内壁57に照射された照射光による色相の変可の態様はそれぞれ異なる。
図26は、レール55に設けられた複数の照射器59と、照射範囲IRRとの一例を示す図である。図26に示すように、複数の照射器59のONまたはOFFの制御は、ボア53内におけるスクリーン63の位置に応じて実行される。図26に示すように、患者Pの視角範囲における内壁57には、照射器59による照射光が投影される。
図27は、架台11のボア53に係る正面図である。図27に示すように、照射器59は、レール55において、天板131の側面と内壁57との間の位置551、または図8における患者固定具137の上面1371より下方での内壁57の位置531に設けられる。
また、照射器59は、図10における移動台車61における領域613、615などに設けられてもよい。移動台車61における領域613に照射器59が設けられた場合、照射器59は、例えば、天板131における載置面から、天板131に載置された患者Pの肩近傍までの範囲を照射する。なお、照射器59は、自身から照射した光が反射板67とスクリーン63とに到達不能となる指向性を有する。また、照射器59が上記指向性を有さない場合、移動台車61は、反射板67とスクリーン63とに対する照射器59による照射を遮蔽する遮蔽板(不図示)を有する。このとき、移動台車61には、照射器59とシステム制御回路38とを電気的に接続し、磁場による影響を受けない材料で構成されたケーブル(不図示)が搭載される。このとき、システム制御回路38による照射範囲に関する制御は不要であって、照射器59に対する他の制御についての説明は、上記と同様なため省略する。
本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、本実施形態に係る効果に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、天板131の側面と内壁57との間の空間、患者固定具137の上面1371より下方の内壁57の位置531、または移動台車61に照射器59を設けることにより、ボア53内(架台筐体51の内壁57)に配置される通常の照明(昼白色、単色であって、暗いボア53内を照らす照明)とは異なり、第2映像が投影される内壁を含む照射範囲IRRに、第2映像等に対応する色相に関する照射光を照射することができる。
これにより、本実施形態および他の変形例における漏れ光により内壁57に投影された第2映像の光量が弱い(足りない)場合、すなわち、淡い光である漏れ光による第2映像の光量には限界があるため第2映像の色相を強調させたい場合、または患者Pの要望により患者P周辺を明るくする場合において、本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、投影映像の映像内容を変更することなく、第2映像の明るさを強調すること、および患者P周辺を明るくすることができる。
加えて、本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、患者Pを載置した天板131がボア53の寝台13側の端部と撮像位置との間を移動するとき、内壁57に照射された照射光の色相を変化させることが出来る。
以上のことから、本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、照射光と漏れ光との組み合わせによる相乗効果により、ボア53に挿入された患者Pは、投影光および照射光につつまれた感覚を得ることができる。加えて、撮像位置まで天板131が移動する際に、映像を見ている患者Pの周辺を光の変化でリラックスできるように演出することが可能となる。
(第6の変形例)
本変形例と実施形態との相違は、架台筐体51の内壁57の表面が投影光を拡散および反射させる拡散反射機能を有することにある。
架台筐体51の内壁57の表面は、映写機100により投影される投影光を拡散および反射させる拡散反射機能を有する。具体的には、内壁57の表面には、例えば、スクリーン63の基材の表面に用いられる塗装(例えば、微細な凹凸面を形成するコーティング塗装)、サンドブラストなどの表面処理が施される。図28は、拡散反射機能の一例を示す図である。図28に示すように、架台筐体51の内壁57に施される表面処理は、漏れ光の投影効率の向上に寄与する。
本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、本実施形態に係る効果に加えて、以下に示す効果を得ることができる。
本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10によれば、架台筐体51の内壁57の表面に、拡散反射機能を実現するための表面処理が実行される。これにより、本変形例に係る磁気共鳴イメージング装置10における架台筐体51の内壁57は、第2映像の投影効率が向上し、より明瞭に第2映像を映し出すことができ、ボア53内に配置された患者Pに対して、より好適な居住環境を提供することが出来る。
以上述べた少なくとも1つの実施形態の磁気共鳴イメージング装置によれば、架台のボア内の居住性を向上可能である。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。