JP6656149B2 - 回転電機用同期ロータ - Google Patents
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Description
すなわち、ロータ回転時、その領域のコアプレートの内周面の両端部に切欠部を有することにより、コアプレートの両端部に発生する遠心力が低減される。この遠心力の低減により、コアプレートの両端部の外径方向への遠心力による変形が小さく抑えられ、ブリッジ部の応力の増大を抑制することができる。
この結果、ロータ回転時、ロータコアの耐遠心強度信頼性を向上することができる。
図1は、実施例1の回転電機用同期ロータの分解斜視図であって、以下、図1に基づき全体構成を説明する。なお、上から2層目以下の詳細を一部省略する。
この切欠部6は、図2に示すように、オフセット位置2FSからコアプレート2aの端面2EFまでの領域Aを、コアプレートの内周面2IPから外径方向に所定の深さPD切り欠いた形状(切欠部6の形状)に設定されている。この実施例1における所定の深さPDは、領域Aにおいて、コアプレート2aの内周面2IPから外径方向に一定としている。
ここで、オフセット位置2FSとは、溶接部5からオフセット量FSだけコアプレート2aの周方向端面側にオフセットした位置である。なお、この対象となる溶接部5は、図2に示すように、コアプレート2aの端部2PE側に配置された溶接部5である。また、この溶接部5からコアプレート2aの周方向端面側にオフセットするオフセット量FSとは、後述する溶接接合部11(結合部、溶接ビード、図5参照)が形成することができる量すなわち溶接部5を確保するための量である。具体的なオフセット量FSとしては、図2に示すように、溶接部5の周方向の中心位置(後述する径方向軸線CL)からオフセット位置2FSまでである。
さらに、所定の深さPDとは、コアプレート2aの内周面2IPからコアプレート2aの端部2PE側に配置された磁石穴3aに到達しない深さであって、磁石穴3aに挿入される永久磁石3による磁力線の形成を考慮した深さに設定されている。すなわち、永久磁石3による磁力線の形成を保ったままで切欠部6を形成する。
ここで、コアプレート2aの中心点Oは、複数の円弧状のコアプレート2aを環状に配置したときの中心点Oと同一となる(図3参照)。すなわち、この環状に配置した該コアプレート2aを積層することによりロータコア2が形成されるので、コアプレート2aの中心点Oは、ロータコア2の中心点とも同一となる。なお、コアプレート2aの内周面2IP及びロータコア2の内周面2IPも同様の理由により同一の中心点となる。
なお、切欠部6を溶接ビード11となる溶接部5を避けて形成しているため、溶接ビード11形状の均一性を確保することができる。
実施例1の回転電機用同期ロータ1における作用を、「回転電機用同期ロータの製造方法」、「回転電機用同期ロータの特徴的作用」、「切欠部形状の作用」に分けて説明する。
図2〜図6に基づき、本発明の回転電機用同期ロータの製造作用を説明する。複数の円弧状のコアプレート2aを積層することにより形成した円筒状のロータコア2と、ロータコア2に埋め込まれた永久磁石3と、を有する同期ロータ1を備えた回転電機用同期ロータ1の製造方法は、コアプレート成形工程と、ロータコア組み立て工程と、ロータ溶接接合工程と、永久磁石挿入工程と、を有している。以下、各工程について説明する。なお、図5と図6の上から2層目以下の詳細を一部省略する。
前記コアプレート成形工程では、図2に示すように、円弧状のコアプレート2aに、プレート外周側に開穴された永久磁石3を挿入するための磁石穴3aと、プレート内周端に形成された溶接部5と、コアプレート2aの内周面2IPの両端部2PE,2PEを切り欠いた切欠部6と、が成形される。
前記ロータコア組み立て工程では、図3に示すように、複数の円弧状のコアプレート2aを、環状に配置される。すなわち、図2に示すように、円弧の角度θ1が120°のコアプレート2aを3枚ほど使用して、環状に配置される。なお、図4において、この環状に配置されたコアプレート2aを第1層とする。この環状に配置したコアプレート2aを積層して円筒状のロータコア2が組み立てられる。すなわち、図4に示すように、第1層コアプレート2aの上に、第1層コアプレート2aに対しロータコア2の回転方向(例えば、左回り)に角度θ2(=30°)ずらして、第2層コアプレート2bが積層される。続いて、図4に示すように、第2層コアプレート2bの上に、第2層コアプレート2bに対し左回りに30°ずらして、第3層コアプレート2cが積層される。このように、前の層に対し左回りに30°ずらして、つまり、前の層のコアプレート2a間の継ぎ目をまたぐように、次の層が積層されていくことにより、円筒状のロータコア2が組み立てられる。この円筒状のロータコア2を組み立てるのに、例えば、コアプレート2aを54枚ほど用いて、18層ほど積層される。
前記ロータ溶接接合工程では、ロータコア2のロータ軸Ax方向に積層した複数のコアプレート2a間の磁石穴3aが、ロータ軸Ax方向に連通するように位置合わせが行われる。すなわち、連通している磁石穴3aに永久磁石3を挿入することができるように、位置合わせが行われる(図5参照)。なお、この位置合わせは、治具を用いて行われる。この位置合わせが行われたロータコア2の内周面2IPに、図5に示すように、ロータ軸Ax方向に積層した複数のコアプレート2a間の溶接部5により連続する直線状の連続溶接部10が形成される。次に、磁石穴3aの周方向の中心位置とロータコア2の中心点(コアプレート2aの中心点)Oとを径方向に結ぶ径方向軸線CLの同一軸線上に、連続溶接部10が配置された状態にて、連続溶接部10が溶接接合される。これにより、図6に示すように、溶接ビード11が形成される。
前記永久磁石挿入工程では、位置合わせが行われ、溶接接合された後、図6に示すように、その連通している磁石穴3aに永久磁石3が挿入されていく。このように製造されたロータコア2に対して、ロータシャフト4が圧入されることにより、ロータコア2にロータシャフト4が嵌合される。
加えて、溶接ビード11は、溶接部5の凹面5a内に収まるので、ロータコア2に合わせてロータシャフト4を加工する手間が不要となる。すなわち、ロータシャフト4面は、図1に示すように、単純な円筒形状で良い。
例えば、分割コアプレートに、永久磁石を挿入する磁石穴と、固定ピンを挿入する2つの貫通穴が形成されている。この貫通穴は、分割コアプレートの内周側に形成され、分割コアプレートを円環状に配置したとき、貫通穴は等間隔になるように配置されている。そして、このように形成された複数の分割コアプレートを円環状に配置しながら積層して成形されるロータコアを形成し、その磁石穴に永久磁石を挿入し、その貫通穴に固定ピンを嵌挿し、そのロータコアにロータシャフトが嵌合された、すなわち、固定ピンにより、軸方向に積層した分割コアプレート同士が結合された同期ロータを比較例とする。この比較例の同期ロータによれば、分割コアプレートにおいて固定ピンから分割コアプレートの端面までの端部領域は拘束・支持されていない片持ち構造となっている。
すなわち、片持ち構造となる領域Bの質量が軽減される。このため、ロータ回転時、その領域Bのコアプレート2aの内周面2IPの両端部2PE,2PEに切欠部6を有することにより、コアプレート2aの両端部2PE,2PEに発生する遠心力が低減される。この遠心力の低減により、コアプレート2aの両端部2PE,2PEの外径方向への遠心力による変形が小さく抑えられ、ブリッジ部C(図2)の応力の増大を抑制することができる。
したがって、ロータ回転時、ロータコア2の耐遠心強度信頼性を向上することができる。
実施例1では、切欠部6が、片持ち構造となる領域B内において、オフセット位置2FSからコアプレート2aの端面2EFまでの領域Aでは、コアプレート2aの内周面2IPから外径方向に所定の深さPD切り欠いた形状(切欠部6の形状)に設定された構成を採用した。
すなわち、片持ち構造となる領域Bの質量が軽減される。このため、切欠部6の形状を設定しない場合よりも、ロータ回転時に発生する遠心力が低減される。
したがって、ロータ回転時、コアプレート2aの両端部2PE,2PEの外径方向への遠心力による変形を小さく抑えることができる。
実施例1の回転電機用同期ロータ1にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
ロータコア2の内周側に、ロータ軸Ax方向に積層した複数の円弧状のコアプレート2a同士を結合する結合部(溶接接合部11)を設け、
円弧状のコアプレート2aは、プレート外周側に開穴した磁石穴3aと、結合部(溶接接合部11)となる部分を避けたコアプレート2aの内周面2IPの両端部2PE,2PEを切り欠いた切欠部6と、を有する。
このため、ロータ回転時、ロータコア2の耐遠心強度信頼性を向上することができる。
結合部(溶接接合部11)は、ロータ軸方向に積層した複数のコアプレート2a間の溶接部5により連続して形成される直線状の連続溶接部10を溶接接合して形成された溶接接合部11であり、
切欠部6は、溶接部5からコアプレート2aの周方向端面側にオフセットしたオフセット位置2FSからコアプレート2aの端面2EFまでの領域Aを、コアプレート2aの内周面2IPから外径方向に所定の深さPD切り欠いた形状に設定した。
このため、上記(1)の効果に加え、ロータ回転時、コアプレート2aの両端部2PE,2PEの外径方向への遠心力による変形を小さく抑えることができる。
この切欠部6の形状は、図7に示すように、曲面形状に形成されている。なお、図7に示すような曲線形状に限らず、図8に示すような図7とは異なる曲線形状であってもよいし、図9に示すような直線形状であってもよい。要するに、この形状は、オフセット位置2FSからコアプレート2aの端面2EFへ向かうにしたがって、外径方向への切り欠き深さが徐々に深くなる形状に設定されていればよい。
なお、他の構成は、実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
すなわち、片持ち構造となる領域Bでは、コアプレート2aの端面2EFへ向かうにしたがって、コアプレート2aの質量軽減が大きくなる。
これにより、ロータ回転時、このように切欠部6の形状を設定しない場合よりも、オフセット位置2FSからコアプレート2aの端面2EFへ向かうにしたがって、遠心力が効果的に低減される。
したがって、ロータ回転時、コアプレート2aの端面2EFへ向かうにしたがって、外径方向への遠心力による変形を効果的に抑えることができる。
なお、実施例1及び実施例2の切欠部6の形状の作用が異なるのみで、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
実施例2の回転電機用同期ロータ1にあっては、実施例1の(2)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
このため、ロータ回転時、コアプレート2aの端面2EFへ向かうにしたがって、外径方向への遠心力による変形を効果的に抑えることができる。
まず、中心点O1を中心とする同心円の外周側円弧21aと内周側円弧21b(図10の一点鎖線)から形成されたコアプレートを基準コアプレート21とする。図10に示すように、外周側円弧21aの半径を基準外周側半径R1とし、内周側円弧21bの半径を基準内周側半径R2としている。
次に、内周側円弧21bの周方向中央点21b1(周方向中央)と中心点O1を結ぶ直線L1(一点鎖線)を、中心点O1を越えて延長した延長線EL上に、中心点O1からオフセットした中心点をオフセット中心点O2とする。
続いて、オフセット中心点O2と内周側円弧21bの周方向中央点21b1を結ぶ直線L2(一点鎖線)をオフセット半径R3(半径)として、内周側円弧21bの周方向中央点21b1から基準コアプレート21の両端面21EFまで、周方向に広がった円弧をオフセット円弧22としている。
ここで、オフセット円弧22の曲率半径は内周側円弧21bの曲率半径より大きく、オフセット円弧22は内周側円弧21bよりも、内周側円弧21bの周方向中央点21b1からコアプレート2aの端面2EFへ向かうにしたがって、外周側円弧21aに近づいていく。
実施例3においても、実施例1のロータコア組み立て工程において説明した通り、図4に示すように、第1層コアプレート2aの上に、第1層コアプレート2aに対しロータコア2の回転方向に角度θ2ずらして、第2層コアプレート2bが積層される。
このとき、実施例3のコアプレート2aに実施例1と同様に4つの同一形状の溶接部5が形成されていると、実施例3のコアプレート2aは外周側円弧21aとオフセット円弧22との中心点O1,O2が異なるので、第1層コアプレート2aと第2層コアプレート2bとの溶接部5がロータ軸Ax方向で一致しなくなる。
このため、実施例3の溶接部5は、コアプレート2aの周方向中央側の溶接部5CEと周方向端面側の溶接部5EFの配置と形状を異ならせる。
すなわち、第1層コアプレート2aに対しロータコア2の回転方向に角度θ2ずらして、第2層コアプレート2bが積層されたとき、第1層コアプレート2aと第2層コアプレート2bとの溶接部の凸部5bがロータ軸Ax方向で一致する位置に、コアプレート2aにおける凸部5bがそれぞれ形成されている。
言い換えると、ロータ軸Ax方向に積層した複数のコアプレート2a間の溶接部5により連続する直線状の連続溶接部10が形成されるように、図10に示すように、コアプレート2aの周方向中央側と周方向端面側の凸部5bがそれぞれ異なる位置に配置されている。
なお、凸部5bの形状は、実施例1と同様に三角形状に形成されている(実施例1の図2参照)。
ここで、外周側円弧21aの周方向中央点21a1(周方向中央)とオフセット円弧22の周方向中央点22a(周方向中央)(=内周側円弧21bの周方向中央点21b1)との中心ヨーク幅W1よりも、コアプレート2aの端面2EFにおける外周側円弧21aとオフセット円弧22との端面ヨーク幅W2の方が小さくなっている。
なお、他の構成は、実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
すなわち、片持ち構造となる領域Bでは、オフセット位置2FSからコアプレート2aの端面2EFへ向かうにしたがって、コアプレートの質量軽減が大きくなる。
これにより、ロータ回転時、このように切欠部6の形状を設定しない場合よりも、オフセット位置2FSからコアプレート2aの端面2EFへ向かうにしたがって、遠心力が効果的に低減される。
したがって、ロータ回転時、コアプレート2aの端面2EFへ向かうにしたがって、外径方向への遠心力による変形を効果的に抑えることができる。
なお、実施例1及び実施例3の切欠部6の形状の作用が異なるのみで、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
実施例3の回転電機用同期ロータ1にあっては、実施例1の(1)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
内周側円弧21bの周方向中央(周方向中央点21b1)と基準中心点(中心点O1)を結ぶ直線Lを、基準中心点(中心点O1)を越えて延長した延長線EL上に、基準中心点(中心点O1)からオフセットした中心点をオフセット中心点O2とし、
オフセット中心点O2と内周側円弧21bの周方向中央(周方向中央点21b1)を結ぶ直線を半径(オフセット半径R3)として、内周側円弧21bの周方向中央(周方向中央点21b1)から基準コアプレート21の両端面21EFまで、周方向に広がった円弧をオフセット円弧22とするとき、
切欠部6は、基準コアプレート21より、内周側円弧21bからオフセット円弧22まで外径方向に切り欠いた形状に設定した。
このため、ロータ回転時、コアプレート2aの端面2EFへ向かうにしたがって、外径方向への遠心力による変形を効果的に抑えることができる。
Claims (3)
- 複数の円弧状のコアプレートを積層することにより形成した円筒状のロータコアと、前記ロータコアに埋め込まれた永久磁石と、を備えた回転電機用同期ロータにおいて、
前記ロータコアの内周側に、ロータ軸方向に積層した前記複数の円弧状のコアプレート同士を結合する結合部を設け、
前記結合部を周方向に繋いだ面を前記コアプレートの内周面とし、
前記円弧状のコアプレートは、プレート外周側に開穴した磁石穴と、前記結合部となる部分を避けた前記コアプレートの内周面の両端部を前記コアプレートの内周面から外径方向に切り欠いた切欠部と、前記コアプレートの外周端と前記磁石穴の外径側との間の肉厚が相対的に薄いブリッジ部と、を有し、
前記ブリッジ部は、前記コアプレートの前記結合部から前記結合部までの領域と、前記結合部から端部までの領域と、に有し、
前記結合部から隣接するコアプレートとは結合されていない前記端部までの領域を片持ち構造とし、
前記切欠部は、前記片持ち構造となる領域のみに有する
ことを特徴とする回転電機用同期ロータ。 - 請求項1に記載された回転電機用同期ロータにおいて、
前記円弧状のコアプレートは、プレート内周端に形成した溶接部を有し、
前記結合部は、前記ロータ軸方向に積層した前記複数のコアプレート間の前記溶接部により連続して形成される直線状の連続溶接部を溶接接合して形成された溶接接合部であり、
前記切欠部は、前記溶接部から前記コアプレートの周方向端面側にオフセットしたオフセット位置から前記コアプレートの端面までの領域を、前記コアプレートの内周面から外径方向に所定の深さ切り欠いた形状に設定した
ことを特徴とする回転電機用同期ロータ。 - 請求項2に記載された回転電機用同期ロータにおいて、
前記切欠部は、前記オフセット位置から前記コアプレートの端面へ向かうにしたがって、外径方向への切り欠き深さが徐々に深くなる形状に設定した
ことを特徴とする回転電機用同期ロータ。
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