以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る容器について説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数等を、実際の構造における縮尺および数等と異ならせる場合がある。
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、上下方向とする。Y軸方向は、Z軸方向と直交し、図1に示す容器10の長手方向と平行な方向とする。X軸方向は、Z軸方向とY軸方向との両方と直交し、図1に示す容器10の短手方向と平行な方向とする。
なお、以下の説明においては、X軸方向を前後方向(第2方向)と呼ぶ場合があり、Y軸方向を左右方向(第1方向)と呼ぶ場合がある。また、上下方向においては、正の側(+Z側)を上側と呼ぶ場合があり、負の側(−Z側)を下側と呼ぶ場合がある。また、前後方向においては、正の側(+X側)を前側と呼ぶ場合があり、負の側(−X側)を後側と呼ぶ場合がある。また、左右方向においては、正の側(+Y側)を右側と呼ぶ場合があり、負の側(−Y側)を左側と呼ぶ場合がある。なお、上下方向、前後方向、左右方向、上側、下側、前側、後側、右側および左側とは、単に各部位の相対位置関係の説明のために用いられる名称であって、実際の各部位の相対位置関係および使用形態等を限定しない。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態の容器10を示す斜視図である。図2は、本実施形態の容器10を示す分解斜視図である。図3は、本実施形態の容器10の部分を示す図であって、図1におけるIII−III断面図である。図1および図3は、蓋部50が閉じられた状態を示している。図2は、蓋部50が開かれた状態を示している。
なお、以下に説明する各部の相対位置関係は、特に断りのない限り、蓋部50が閉じられた状態における各部の相対位置関係であるものとする。
図1に示す容器10は、例えば、内部に小分けされた洗浄剤を複数収容し、包装するための容器である。小分けされた洗浄剤としては、例えば、固形タイプの洗浄剤(粉体を錠剤化し、表面をPVA等で被覆)、シートタイプの洗浄剤(ペースト化した洗剤をPVA等で挟む)、および濃縮洗剤をPVAフィルム等で被覆した液状タイプの洗浄剤等が挙げられる。容器10は、全体として略直方体状である。
容器10は、容器本体20と、蓋体30と、を備えている。容器本体20は、例えば、ポリスチレン等の合成樹脂材で形成されている。容器本体20は、内容物が視認可能な透明または半透明であってもよいし、不透明であってもよい。容器本体20は、収容物の種類によっては紫外線吸収剤を含んでいてもよい。容器本体20は、例えば、ブロー成形、またはインジェクション成形等によって成形されている。
容器本体20は、図2に示すように、底壁部21と、側壁部22と、を有している。底壁部21は、上下方向と直交する平面(XY平面)に沿って拡がっている。底壁部21の上側から下側に視た(以下、平面視)形状は、例えば、左右方向(Y軸方向)に長い略矩形状である。側壁部22は、底壁部21の外縁から上側に立ち上がっている。側壁部22は、例えば、上側に開口する角筒状である。すなわち、容器本体20の上端には、側壁部22で囲まれた開口部20aが設けられている。容器本体20は、底壁部21および側壁部22によって囲まれた収容空間23を有している。収容空間23には、例えば、小分けされた洗浄剤が複数収容される。
蓋体30は、例えば、ポリプロピレン等の合成樹脂材で形成されている。本実施形態において蓋体30は、例えば、インジェクション成形によって一体的に成形されている。蓋体30は、枠部40と、ヒンジ部60と、蓋部50と、を有している。
枠部40は、図1および図2に示すように、側壁部22の上端部に開口部20aに沿って全周に亘って結合されている。本実施形態において枠部40は、容器本体20に対して着脱可能に取り付けられている。枠部40は、平面視略矩形の枠状である。枠部40は、図2に示すように、枠部本体41と、外側壁部42と、係合部43,44と、2つの支持壁部45a,45bと、を有している。
枠部本体41は、長辺部41a,41bと短辺部41c,41dとを有する平面視略矩形の枠状である。長辺部41aと長辺部41bとは、左右方向(Y軸方向)に延び、互いに前後方向(X軸方向)に間隔を空けて対向している。長辺部41aは、長辺部41bよりも前側(+X側)に位置している。短辺部41cと短辺部41dとは、前後方向に延び、互いに左右方向に間隔を空けて対向している。隣り合う長辺部41a,41bと短辺部41c,41dとは、円弧状に湾曲する湾曲部を介して接続されている。後側(−X側)の長辺部41bには、ヒンジ部60が接続されている。
外側壁部42は、枠部本体41の外縁から上側に立ち上がっている。より詳細には、外側壁部42は、枠部本体41における、ヒンジ部60が接続された長辺部41b以外の部分の外縁から上側に立ち上がっている。
係合部43,44は、前側(+X側)の長辺部41aの上面から上側に突出している。すなわち、係合部43,44は、ヒンジ部60を支点とする回動先端側(+X側)の位置に設けられている。係合部43,44は、例えば、左右方向(Y軸方向)と直交する平面(ZX平面)に沿って拡がる板状である。係合部43,44の左右方向に沿って視た(以下、側面視)形状は、略矩形状である。
係合部43,44は、互いに左右方向(Y軸方向)に間隔を空けて配置されている。係合部43は、長辺部41aにおける左右方向の中央よりも左側(−Y側)寄りに位置している。係合部44は、長辺部41aにおける左右方向の中央よりも右側(+Y側)寄りに位置している。図3に示すように、係合部43,44の上部は、蓋部50が閉じられた状態において、後述する連結板部54の係合孔部54aを介して、後述する摘み部53の内部に挿入されている。
係合部43は、基部43aと、先端部43bと、を有している。基部43aは、上下方向に延びる板状である。先端部43bは、基部43aの上端に設けられている。先端部43bは、蓋部50が閉じられた状態において、後述する摘み部53の内部に位置している。先端部43bは、基部43aよりも左側(−Y側)に突出している。先端部43bの左側の端部は、蓋部50が閉じられた状態において、後述する連結板部54の上面の上側に位置している。これにより、係合部43は、蓋部50が閉じられた状態において、蓋部50に係合し、先端部43bによって蓋部50が上側に移動することを規制している。その結果、蓋部50がヒンジ部60を支点として回動することが規制され、蓋部50が開かれることが規制される。先端部43bの左側の端部は、蓋部50が閉じられた状態において、連結板部54の上面と上下方向に隙間を介して対向する、または連結板部54の上面に上側から接触する。先端部43bが接触あるいは隙間を介して対向する連結板部54の部分は、係合孔部54aの左側の周縁部である。
係合部44は、基部44aと、先端部44bと、を有している。基部44aは、上下方向に延びる板状である。先端部44bは、基部44aの上端に設けられている。先端部44bは、蓋部50が閉じられた状態において、後述する摘み部53の内部に位置している。先端部44bは、基部44aよりも右側(+Y側)に突出している。先端部44bの右側の端部は、蓋部50が閉じられた状態において、後述する連結板部54の上面の上側に位置している。これにより、係合部44は、蓋部50が閉じられた状態において、蓋部50に係合し、先端部44bによって蓋部50が上側に移動することを規制している。その結果、蓋部50がヒンジ部60を支点として回動することが規制され、蓋部50が開かれることが規制される。先端部44bの右側の端部は、蓋部50が閉じられた状態において、連結板部54の上面と上下方向に隙間を介して対向する、または連結板部54の上面に上側から接触する。先端部44bが接触あるいは隙間を介して対向する連結板部54の部分は、係合孔部54aの右側の周縁部である。
2つの支持壁部45a,45bは、長辺部41aの上面から上側に突出している。図2に示すように、2つの支持壁部45a,45bは、例えば、左右方向(Y軸方向)と直交する面(ZX平面)に沿って拡がる板状である。2つの支持壁部45a,45bは、係合部43と係合部44との左右方向の間に位置し、左右方向に間隔を空けて配置されている。支持壁部45aは、係合部43の右側(+Y側)に位置している。支持壁部45aは、係合部43と近接して配置されている。支持壁部45aの上端は、係合部43の上端よりも下側に位置している。支持壁部45bは、係合部44の左側(−Y側)に位置している。支持壁部45bは、係合部44と近接して配置されている。支持壁部45bの上端は、係合部44の上端よりも下側に位置している。
ヒンジ部60は、左右方向(Y軸方向)に延びており、枠部40と蓋部50とを接続している。ヒンジ部60は、後側(−X側)の長辺部41bの外縁に接続されている。ヒンジ部60は、枠部40と蓋部50とを、ヒンジ部60を支点として、左右方向に平行な軸周りに回動可能に連結している。ヒンジ部60は、左右方向に間隔を空けて複数(図2では、例えば3つ)設けられている。
蓋部50は、枠部40にヒンジ部60を介して連結されている。蓋部50は、ヒンジ部60を支点として、枠部40に対して左右方向(Y軸方向)に平行な軸周りに回動する。これにより、蓋部50は、容器本体20の開口部20aを開閉可能である。蓋部50は、蓋部本体51と、縁部52と、連結板部54と、摘み部53と、を有している。
蓋部本体51は、平板状であり、図1に示すように、上下方向と直交する平面(XY平面)に沿って拡がっている。蓋部本体51は、蓋部50が閉じられた状態において、容器本体20の開口部20aの上側を覆っている。蓋部本体51の平面視形状は、例えば、左右方向(Y軸方向)に長い略矩形状である。
縁部52は、蓋部本体51の外縁に沿って設けられている。より詳細には、縁部52は、蓋部本体51の外縁のうち、後側(−X側)の長辺部の外縁と、左右方向両側の短辺部の外縁と、に沿って設けられている。縁部52は、蓋部本体51よりも上側に突出している。図2に示すように、縁部52は、中空であり、縁部52の内部は枠部40側(蓋部50が閉じられた状態において下側)に開口している。縁部52の下端は、蓋部50が閉じられた状態において、枠部本体41の長辺部41bおよび短辺部41c,41dの上面と、例えば、接触する。図1に示すように、縁部52は、蓋部50が閉じられた状態において、外側壁部42の内側に位置する。
連結板部54は、縁部52のうち左右方向(Y軸方向)の両側に設けられ前後方向(X軸方向)に延びる短辺部の前端同士を連結する板状の部分である。連結板部54は、左右方向に延びている。連結板部54の平面視形状は、例えば、左右方向に長い略矩形状である。連結板部54は、上下方向において、蓋部本体51とほぼ同じ位置にある。
連結板部54には、図2および図3に示すように、連結板部54を上下方向に貫通する係合孔部54aが形成されている。係合孔部54aは、連結板部54の左右方向(Y軸方向)の中央に位置している。係合孔部54aの平面視形状は、左右方向に長い矩形状である。
摘み部53は、図1に示すように、連結板部54の上面に設けられている。摘み部53は、連結板部54の左右方向(Y軸方向)の中央に位置している。摘み部53は、係合孔部54aの上側を覆っている。摘み部53は、左右方向に延びている。摘み部53は、全体として中空の略直方体箱状である。摘み部53は、上壁部53aと、後壁部53bと、前壁部53cと、を有している。
上壁部53aは、摘み部53における上側の壁部である。上壁部53aは、左右方向(Y軸方向)に延びている。上壁部53aは、上下方向において、縁部52の上端とほぼ同じ位置にある。図3に示すように、上壁部53aは、係合孔部54aの上側を覆っている。上壁部53aの左側(−Y側)の端部は、係合孔部54aの左側の内縁よりも左側に位置している。上壁部53aの左側の端部は、連結板部54における係合孔部54aの左側の周縁部と上下方向に対向している。
上壁部53aの右側(+Y側)の端部は、係合孔部54aの右側の内縁よりも右側に位置している。上壁部53aの右側の端部は、連結板部54における係合孔部54aの右側の周縁部と上下方向に対向している。
上壁部53aは、蓋部50が閉じられた状態において、係合部43,44の少なくとも一部の上側を覆っている。本実施形態においては、上壁部53aは、蓋部50が閉じられた状態において、係合部43,44の全体の上側を覆っている。
後壁部53bは、図1に示すように、摘み部53における後側(−X側)の壁部であり、上壁部53aの後側の端部から、わずかに後側に傾斜しつつ下側に延びている。後壁部53bの下端は、連結板部54の上面に接続されている。連結板部54における後壁部53bの下端が接続される部分は、係合孔部54aの後側の周縁部である。
前壁部53cは、摘み部53における前側(+X側)の壁部であり、上壁部53aの前側の端部から、わずかに前側に傾斜しつつ下側に延びている。前壁部53cの下端は、連結板部54の上面と接続されている。連結板部54における前壁部53cの下端が接続される部分は、係合孔部54aの前側の周縁部である。前壁部53cの下端部は、外側壁部42の後側(−X側)に、外側壁部42と近接して配置されている。
摘み部53の左側(−Y側)には、手指挿入空間DP1が設けられている。手指挿入空間DP1は、摘み部53の左側の端部と縁部52との左右方向(Y軸方向)の間の空間である。摘み部53の右側(+Y側)には、手指挿入空間DP2が設けられている。手指挿入空間DP2は、摘み部53の右側の端部と縁部52との左右方向(Y軸方向)の間の空間である。
摘み部53は、図3に示すように、左側開口部AP1と、右側開口部AP2と、を有している。左側開口部AP1は、摘み部53の左側(−Y側)の端部において、上壁部53aと後壁部53bと前壁部53cと連結板部54とによって囲まれて形成されており、左側に開口している。左側開口部AP1は、摘み部53の内部と手指挿入空間DP1とを連通する。
右側開口部AP2は、摘み部53の右側(+Y側)の端部において、上壁部53aと後壁部53bと前壁部53cと連結板部54とによって囲まれて形成されており、右側に開口している。右側開口部AP2は、摘み部53の内部と手指挿入空間DP2とを連通する。
摘み部53の左右方向(Y軸方向)の寸法L1は、例えば、90mm以上、150mm以下程度が好ましい。寸法L1が90mmよりも小さいと、手が比較的大きな子供が、係合部43,44の係合状態を解除しやすい場合があり、150mmよりも大きいと、手が比較的大きい大人でも、係合部43,44の係合状態を解除しにくい場合があるためである。
寸法L1は、例えば、子供の手の大きさに基づいて設定されることが好ましい。より具体的には、例えば、寸法L1は、4歳前後の、比較的手の大きな男児の第1指−第2指尖距離(親指と人差し指との指尖距離)、または第1指−第3指尖距離(親指と中指との指尖距離)よりも大きく設定されることが好ましい。このように設定することで、4歳以下の子供によって容器10が開封されることを好適に抑制することができ、誤食および誤飲が生じることをより抑制できる。
次に、本実施形態の容器10の開封方法について説明する。上述したように、蓋部50が閉じられた状態において、係合部43,44は蓋部50に係合している。これにより、蓋部50が枠部40に対して、ヒンジ部60を支点として回動することが規制されており、蓋部50が開かれることが規制されている。使用者Uは、2つの係合部43,44の係合状態を両方とも解除した後、蓋部50を枠部40に対してヒンジ部60を支点として回動させることで、蓋部50を開いて容器10を開封することができる。以下、詳細に説明する。なお、使用者Uとは、容器10に収容された洗浄剤等を適正に使用する人であり、例えば、大人等である。
図4および図5は、容器10の開封方法を説明するための断面図である。まず、使用者Uは、図4に示すように、手指挿入空間DP1を介して第1手指F1の先端を左側開口部AP1に挿入し、手指挿入空間DP2を介して第2手指F2の先端を右側開口部AP2に挿入する。そして、第1手指F1と第2手指F2とを左右方向(Y軸方向)の互いに近づける向きに移動させて、係合部43と係合部44とを押す。これにより、一対の係合部43,44は、それぞれ左右方向における他方の係合部が位置する側に押される。
具体的には、係合部43の先端部43bは、第1手指F1の先端によって、左右方向における係合部44が位置する側(右側,+Y側)に押される。すなわち、係合部43は、左側(−Y側)から右側に向かって押される。そのため、例えば、係合部43が、基部43aの下端を中心に、前後方向(X軸方向)と平行な軸周りにおける正面視で時計回りの向きに弾性変形する。これにより、先端部43bが係合孔部54aの左側の内縁よりも右側に移動し、係合部43の蓋部50との係合状態が解除される。すなわち、係合部43は、上下方向と交差する左右方向に押されることで係合状態が解除される。係合部43は、例えば、係合状態が解除された状態で支持壁部45aと接触する。
係合部44の先端部44bは、第2手指F2の先端によって、左右方向における係合部43が位置する側(左側,−Y側)に押される。すなわち、係合部44は、右側(+Y側)から左側(−Y側)に向かって押される。そのため、例えば、係合部44が、基部44aの下端を中心に、前後方向(X軸方向)と平行な軸周りにおける正面視で反時計回りの向きに弾性変形する。これにより、先端部44bが係合孔部54aの右側の内縁よりも左側に移動し、係合部44の蓋部50との係合状態が解除される。すなわち、係合部44は、上下方向と交差する左右方向に押されることで係合状態が解除される。係合部44は、例えば、係合状態が解除された状態で支持壁部45bと接触する。
以上のように、本実施形態においては、一対の係合部43,44は、それぞれ左右方向における他方の係合部が位置する側に押されることで、係合状態が解除される。
次に、使用者Uは、係合部43,44の係合状態が解除された状態で、第1手指F1の腹と第2手指F2の腹とで摘み部53の上壁部53aを挟んで摘み、摘み部53を介して、蓋部50に上側の力を加える。このとき、一対の係合部43,44の係合状態が解除されているため、蓋部50は、枠部40に対してヒンジ部60を支点として回動可能な状態となっている。これにより、図5に示すように、蓋部50を枠部40に対して上側に持ち上げることができ、蓋部50を枠部40に対して回動させることができる。以上のようにして、使用者Uは、蓋部50を開いた状態にでき、容器10を開封することができる。
なお、使用者Uの第1手指F1および第2手指F2は、特に限定されない。一例として、第1手指F1は、親指であり、第2手指F2は、中指である。
本実施形態によれば、蓋部50が閉じられた状態において、係合部43,44の少なくとも一部の上側を覆う上壁部53aが設けられている。そのため、平面視において、係合部43,44は、使用者Uから視認されにくい。これにより、例えば、子供が係合部43,44を認識しにくく、係合部43,44が押されて係合部43,44の係合状態が解除されることを抑制できる。したがって、蓋部50が容易に開かれることを抑制できる。その結果、本実施形態によれば、チャイルドプルーフに対応した容易に開封できない構造を有する容器10が得られる。これにより、子供が容器10を開封することを抑制でき、容器10の内容物の誤食および誤飲が生じることを抑制できる。
また、本実施形態によれば、上壁部53aは、蓋部50が閉じられた状態において、係合部43,44の全体の上側を覆っている。そのため、子供が係合部43,44をより認識しにくく、チャイルドプルーフにより優れた容器10が得られる。
また、本実施形態によれば、一対の係合部43,44が左右方向に沿って設けられ、係合部43,44は、それぞれ左右方向における他方の係合部が位置する側に押されることで、係合状態が解除される。そのため、使用者U(大人等)は、例えば、2本の手指で一対の係合部43,44を挟み込むことで、2つの係合部43,44を同時に解除することができる。これにより、使用者Uは、比較的容易に、一対の係合部43,44の係合状態を同時に解除することができる。
一方、例えば、一対の係合部43,44同士の間の左右方向の距離を比較的大きくすると、小さい子供の手では、片手の手指で係合部43,44を挟み込むことができない。そのため、係合部43,44の係合状態を同時に解除しにくい。
以上のように、本実施形態によれば、比較的大きい手を有する大人等は、比較的容易に一対の係合部43,44の係合状態を同時に解除できることで、容器10を比較的容易に開封することができ、比較的小さい手を有する子供は、容器10を開封することが困難である。そのため、使用者Uの利便性を向上させつつ、チャイルドプルーフに優れた容器10が得られる。
このように、本実施形態の容器10は、チャイルドプルーフに対応して子供が容易に開封できない構造でありつつ、適正な使用者U(大人等)にとっては、チャイルドプルーフに対応可能な範囲内で開封しやすい構造であることが好ましい。
加えて、本実施形態では、係合部43,44の少なくとも一部の上側は、上壁部53aによって覆われている。そのため、使用者Uは、係合部43,44を挟んで押す際に、第1手指F1および第2手指F2を上壁部53aの下側に回り込ませる必要がある。具体的には、使用者Uは、第1手指F1の第1関節および第2手指F2の第1関節を曲げて、左側開口部AP1と右側開口部AP2とに挿入させる。これにより、係合部43,44の上側が覆われていない場合に比べて、係合部43,44を同時に押すために必要な手の手長を大きくすることができる。これにより、手が小さい子供にとっては、より容器10を開けにくく、よりチャイルドプルーフに優れた容器10が得られる。
また、例えば、容器10の左右方向の寸法の制約等によって、係合部43,44同士の間の距離を大きくしにくい場合であっても、係合部43,44の係合状態を解除するために必要な手の手長を比較的大きくできる。したがって、例えば、小型の容器10等においても、チャイルドプルーフに対応した容易に開封できない構造を有する容器10が得られる。
具体的には、係合部43,44の係合状態を解除するためには、摘み部53の左右方向の寸法L1に加えて、上壁部53aから左側開口部AP1を介して係合部43に到達するまでの距離と、上壁部53aから右側開口部AP2を介して係合部44に到達するまでの距離と、が必要になる。そのため、例えば、摘み部53の左右方向の寸法L1が比較的小さく、摘み部53の左右方向の両端に子供の手指が届く大きさである場合であっても、子供は、単に摘み部53の左右方向の両端に手指が届くことのみでは、係合部43,44の係合状態を解除することができない。これにより、子供が容器10を開封することを抑制できる。
また、例えば、4歳前後の子供にとっては、手指の第1関節を曲げて、摘むような動作は行いにくい。そのため、子供が、上記のように各手指の第1関節を曲げて、係合部43,44を同時に解除することは困難である。したがって、よりチャイルドプルーフに優れた容器10が得られる。
また、本実施形態によれば、係合部43,44の少なくとも一部の上側を覆う上壁部53aを有する摘み部53が設けられている。そのため、係合部43,44を2本の手指で挟み込んで、係合部43,44の係合状態を解除した状態のまま、摘み部53(上壁部53a)を挟んで把持することができる。これにより、使用者U(大人等)は、係合部43,44の係合状態を解除しつつ、安定して蓋部50を掴むことができ、蓋部50を回動させやすい。
また、本実施形態によれば、係合部43,44は、枠部40に設けられている。そのため、使用者Uは、係合部43,44を左右方向に挟んで摘むのみでは、蓋部50を掴むことができず、蓋部50を回動させることができない。これにより、使用者Uは、係合部43,44を押して係合状態を解除することと、係合部43,44の係合状態を解除した状態で蓋部50を掴むことと、の2つのステップを経なければ、蓋部50を開けることができない。したがって、蓋部50が容易に開かれることを抑制でき、チャイルドプルーフに対応した、より容易に開封できない構造を有する容器10が得られる。
また、本実施形態によれば、係合状態が解除された状態において、係合部43,44が接触する支持壁部45a,45bが設けられている。そのため、係合部43,44が押されて変形する際に、係合部43,44が過剰に変形することを抑制できる。これにより、係合部43,44の係合状態が解除される際に、係合部43,44が折れる等、破損することを抑制できる。
特に、本実施形態のように、係合部43,44の上側が覆われている場合、使用者Uは、係合部43,44を視認しにくいため、係合部43,44の変形度合いを把握しにくい。したがって、係合部43,44を過剰に変形させる虞が高い。すなわち、支持壁部45a,45bによって係合部43,44の過剰な変形を抑制できる効果は、本実施形態のように係合部43,44の上側が覆われているような場合に、特に有用である。
また、本実施形態によれば、係合部43,44は、ヒンジ部60を支点とする回動先端側、すなわちヒンジ部60と逆側の位置に設けられている。そのため、容器10の密閉性を向上させることができる。また、例えば、各係合部43,44が係合状態のままで、使用者Uが蓋部50の回動先端側の部分(例えば、摘み部53)を把持して蓋部50に開ける向きの力を加えた場合、使用者Uが加える力の力点から作用点(各係合部43,44)までの距離を小さくできる。これにより、各係合部43,44が係合状態のまま蓋部50に開く向きの力が加えられても、各係合部43,44に過大な力が加えられることを抑制できる。したがって、各係合部43,44の係合状態が無理やり解除されることを抑制でき、よりチャイルドプルーフに優れた容器10が得られる。
なお、本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。以下の説明において上記説明と同様の構成については、適宜同一の符号を付す等により説明を省略する場合がある。
本実施形態においては、枠部40と蓋部50とのうちの少なくとも一方が、蓋部50が閉じられた状態において、枠部40と蓋部50とのうちの他方と係合する係合部を有する構成を採用できる。すなわち、例えば、上下方向と交差する方向に押されることで係合状態が解除される係合部が、蓋部50のみに設けられていてもよいし、枠部40と蓋部50との両方に設けられていてもよい。
また、係合部43,44は、少なくとも1つ以上設けられていればよい。すなわち、係合部43と係合部44とのうちの一方が設けられていなくてもよいし、係合部43,44に加えて他の係合部が設けられていてもよい。また、係合部が2つ以上設けられる場合、複数の係合部の少なくとも一つにおいて、係合部の少なくとも一部の上側が上壁部53aに覆われていればよい。すなわち、例えば、係合部43,44のうちのいずれ一方が、上壁部53aに覆われていなくてもよい。
また、解除される際に係合部43,44が押される方向は、上下方向と交差する方向であれば、特に限定されない。すなわち、解除される際に係合部43,44が押される方向は、上下方向と直交していなくてもよい。
また、各係合部43,44が設けられる位置は、特に限定されず、枠部40のいずれの箇所に設けられていてもよい。また、各係合部43,44は、枠部40の他の部分とは、別体として設けられていてもよい。
また、各係合部43,44の係合方法は、蓋部50と枠部40とを係合して、蓋部50の回動を規制できるならば、特に限定されない。
また、支持壁部45a,45bの上端は、係合部43,44の上端と上下方向において同じ位置にあってもよいし、係合部43,44の上端よりも上側に位置していてもよい。また、支持壁部45a,45bは、設けられていなくてもよい。
また、蓋部50における縁部52の内側面には、リブが設けられていてもよい。この構成によれば、蓋部50の剛性を向上させることができ、蓋部50の変形を抑制できる。これにより、枠部40に対して蓋部50を精度よく閉じることが可能となり、蓋部50を閉じた際の容器10の密閉性を向上できる。
また、容器10は、図6に示す容器110のような構成であってもよい。図6は、本実施形態の他の一例である容器110の部分を示す断面図である。図6に示すように、容器110の蓋部150において、摘み部153の上壁部153aは、蓋部150が閉じられた状態において、係合部43,44の一部のみの上側を覆っている。図6の例において、係合部43の先端部43bにおける左側(−Y側)の端部および係合部44の先端部44bにおける右側(+Y側)の端部は、平面視において視認可能である。
上壁部153aの左側(−Y側)の端部は、左右方向において、係合孔部54aの左側の内縁と、ほぼ同じ位置にある。上壁部153aの右側(+Y側)の端部は、左右方向において、係合孔部54aの右側の内縁と、ほぼ同じ位置にある。
この構成においても、係合部43,44の一部の上側が上壁部153aによって覆われていることで、係合部43,44が視認されにくく、子供が係合部43,44を押して係合状態を解除しにくい。したがって、チャイルドプルーフに対応した容易に開封できない構造を有する容器110が得られる。
また、この構成によれば、係合部43,44の全体の上側を覆う場合と異なり、上壁部153aの左右方向の両端部の位置を、係合孔部54aの両端部の位置と合わせることができる。そのため、金型を用いた一体成型で蓋部150を製造する場合、金型の構造を簡単にできる。したがって、蓋部150の製造を容易にでき、製造コストを低減できる。
<第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態に対して、係合部が蓋部に設けられている点において異なる。図7は、本実施形態の容器210の部分を示す断面図である。図8は、容器210の開封方法を説明するための断面図である。
容器210において蓋部250は、図7に示すように、摘み部253と、係合部255,256と、支持壁部257a,257bと、を有している。摘み部253は、上壁部253aを有している。上壁部253aの左側(−Y側)の端部は、左右方向において、係合孔部54aの左側の内縁と、ほぼ同じ位置にある。上壁部253aの右側(+Y側)の端部は、左右方向において、係合孔部54aの右側の内縁と、ほぼ同じ位置にある。
係合部255,256は、摘み部253の上壁部253aの下面から下側に突出している。係合部255,256の全体の上側は、上壁部253aによって覆われている。係合部255は、上壁部253aにおける左右方向左寄り(−Y側)に設けられており、係合部256は、上壁部253aにおける左右方向右寄り(+Y側)に設けられている。
係合部255は、枠部本体241の長辺部241aに形成された係合孔部241eを介して、長辺部241aよりも下側に延びている。係合孔部241eは、長辺部241aを上下方向に貫通している。係合部255は、上壁部253aから下側に延びる基部255aと、基部255aの下端に設けられた先端部255bと、を有している。
蓋部250が閉じられた状態において、先端部255bは長辺部241aよりも下側に位置している。先端部255bは、基部255aよりも左側(−Y側)に突出している。先端部255bの左側の端部は、長辺部241aの下側に位置している。これにより、係合部255は、枠部240に係合している。先端部255bの左側の端部は、蓋部250が閉じられた状態において、長辺部241aの下面と上下方向に隙間を介して対向する、または長辺部241aの下面に下側から接触する。
係合部256は、枠部本体241の長辺部241aに形成された係合孔部241fを介して、長辺部241aよりも下側に延びている。係合孔部241fは、長辺部241aを上下方向に貫通している。係合部256は、上壁部253aから下側に延びる基部256aと、基部256aの下端に設けられた先端部256bと、を有している。
蓋部250が閉じられた状態において、先端部256bは長辺部241aよりも下側に位置している。先端部256bは、基部256aよりも右側(+Y側)に突出している。先端部256bの右側の端部は、長辺部241aの下側に位置している。これにより、係合部256は、枠部240に係合している。先端部256bの右側の端部は、蓋部250が閉じられた状態において、長辺部241aの下面と上下方向に隙間を介して対向する、または長辺部241aの下面に下側から接触する。
支持壁部257a,257bは、上壁部253aの下面から下側に突出している。支持壁部257aは、係合部255の右側(+Y側)に近接して配置されており、係合孔部241eを介して、長辺部241aの下側まで延びている。支持壁部257aの下端は、係合部255の下端よりも上側に位置している。
支持壁部257bは、係合部256の左側(−Y側)に近接して配置されており、係合孔部241fを介して、長辺部241aの下側まで延びている。支持壁部257bの下端は、係合部256の下端よりも上側に位置している。
使用者Uは、図8に示すように、手指挿入空間DP1を介して第1手指F1の先端を左側開口部AP1に挿入し、手指挿入空間DP2を介して第2手指F2の先端を右側開口部AP2に挿入する。そして、第1手指F1と第2手指F2とを左右方向(Y軸方向)の互いに近づける向きに移動させて、係合部255を左側(−Y側)から右側(+Y側)に押し、係合部256を右側から左側に押す。
これにより、係合部255が上端を支点として弾性変形し、係合部255の先端部255bが係合孔部241eの左側の内縁よりも右側に移動する。そのため、係合部255の枠部240との係合状態が解除される。また、係合部256が上端を支点として弾性変形し、係合部256の先端部256bが係合孔部241fの右側の内縁よりも左側に移動する。そのため、係合部256の枠部240との係合状態が解除される。係合部255は、係合状態が解除された状態において、支持壁部257aと接触する。係合部256は、係合状態が解除された状態において、支持壁部257bと接触する。
使用者Uは、上記のように係合部255と係合部256とを左右方向に挟んで摘み、係合部255,256の係合状態が解除された状態で、蓋部250に上側の力を加える。これにより、蓋部250を枠部240に対して回動させることができる。以上のようにして、使用者Uは、蓋部250を開いた状態にでき、容器210を開封することができる。
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、係合部255,256の上側が上壁部253aによって覆われているため、係合部255,256が使用者Uに視認されにくい。そのため、チャイルドプルーフに対応した容易に開封できない構造を有する容器210が得られる。
また、本実施形態によれば、係合部255,256が蓋部250に設けられているため、係合部255,256の係合状態を解除するために、係合部255,256を挟んで摘むことで、蓋部250を掴むことができる。これにより、係合部255,256の係合状態の解除と蓋部250の把持とを1ステップで行うことができる。したがって、容器210を開封可能な使用者U(大人等)にとって、容器210を開封しやすくでき、利便性を向上できる。
また、本実施形態によれば、係合部255,256の係合状態を解除する際には、使用者Uは、係合部255,256の上側の部分を押す。係合部255,256は、使用者Uによって左右方向に押されると、上端を支点として弾性変形する。すなわち、係合部255,256における使用者Uに押される部分は、係合部255,256が弾性変形する際の支点に近い部分である。そのため、係合部255,256においては、使用者Uによって力が加えられる力点と支点との距離が比較的小さく、係合部255,256を弾性変形させるために比較的大きな力が必要となる。これにより、例えば、力が弱い子供では、係合部255,256を弾性変形させにくく、係合部255,256の係合状態を解除しにくい。したがって、よりチャイルドプルーフに優れた容器210が得られる。
また、本実施形態によれば、係合部255,256が上壁部253aに接続されている。そのため、上壁部253aの左右方向の両端部の位置を係合孔部54aの両端部の位置と合わせると共に、係合部255,256の全体の上側を上壁部253aによって覆うことができる。したがって、蓋部250の製造を容易にでき、製造コストを低減できると共に、よりチャイルドプルーフに対応した容易に開封できない構造を有する容器210が得られる。
なお、上述した第1実施形態および第2実施形態では、蓋部、枠部、およびヒンジ部を一体的に成形する構成を例示したが、この構成の他に蓋部と枠部とを個別に成形したヒンジ構造としてもよい。また、例えば、上壁部を有する摘み部を個別に成形した組み込み構造としてもよい。また、例えば、枠部を容器本体と一体的に成形してもよい。
また、上記の各実施形態で示した容器の用途は、特に限定されない。上記の各実施形態で示した容器は、収容空間23に小分けした洗浄剤を収容する容器の他に、食品用の容器として用いられてもよい。
また、第1実施形態および第2実施形態において上述した各構成は、矛盾しない範囲内において、相互に組み合わせることができる。