JP6655007B2 - 放射冷却増進エンドホール・イオン源 - Google Patents

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Description

本発明は、概して、イオン源とプラズマ源とに関し、より詳細には、イオンが準中性プラズマ内の直流放電によって加速されるエンドホール・イオン源に関する。
エンドホール・イオン源は、幅広い産業用途で用いられている。エンドホール・イオン源は、様々な熱及び保守の問題に曝されている。本発明の目的は、高出力で運転されるときに保守するのが容易であるエンドホール・イオン源である。
イオンは、接地に近い電位において運転される電子放出陰極から放出される電子によって生成される。接地は、ここでは、周囲真空室の電位として定義され、これは、通常(しかし、必ずしも常にではない)、アース接地と同じである。電子は、接地に対して、数十の正のボルトから数百の正のボルトまでの正の電圧にある陽極へと引き寄せられる。電子は、陽極によって包囲された放電領域に入るとき、イオン化可能作動ガスの原子又は分子をイオン化するために、十分な運動エネルギーを得る。電子は、内部極片と外部極片との間の磁場によって、陽極に直接的に到達するのが防止されている。磁場のため、電子は、陽極に到達する前に放電領域における長い経路に追従し、それによって、イオン化可能作動ガスに関して、磁場のない場合に可能な圧力よりもかなり低い圧力での作用を可能にする。放電領域において発生されるイオンの一部は、この領域の開放端から電子放出陰極に向かって抜け出し、この陰極から放出される電子の一部と共に中性化されたイオン・ビームを形成する。ここで「中性化」は、電子とイオンとの再結合ではなく、電子及びイオンのほとんど等しい濃度のことを言っている。
陽極と、放電領域の内部端を定める内部極片との間に反射体がある。この反射体は、電気的に絶縁されており、陽極と接地との中間の電圧で「浮遊」している。この中間電位は、接地の電位にある場合に起こることになる反射体の過剰な腐食と、陽極の電位にある場合に起こり得るイオン化電子の過剰な損失とを回避する。この反射体は、そのイオン化可能作動ガスを分配する機能のため、ガス分配板又は分配器と呼ばれている。また、そのイオン化電子を反射して保存する役目のため、反射体とも呼ばれている。ここでは、「反射体」と呼ぶことにする。イオン源は、内部極片と外部極片との間の磁場のための戻り経路によって包囲されている。この包囲は、イオン源の外部で真空室に存在する電子及びイオンを排除するように作用もする。そうでない場合、これらの電子及びイオンは、イオン源内部の電極同士の間で、損傷及び性能悪化を与えるアークを引き起こすことになる。包囲は、イオン源に堆積し、絶縁体のより早い被覆及び劣化をもたらすことになる粒子を排除するようにも作用する。磁場は、電磁石によって発生できるが、通常は、内部極片に隣接する永久磁石、又は、内部極片に組み込まれた永久磁石によって発生される。
これらのイオン源では、様々な運転及び保守の問題に直面する。問題のうちの多くは、熱を何とかする必要がある。イオン源へのエネルギー投入は、ほとんどが放電エネルギー、つまり、陽極への電流に陽極の電位を掛けたものによるものである。高温フィラメント陰極のための加熱出力、又は、中空陰極式の陰極における放電出力のいずれかである、いくらかの追加のエネルギーが、電子を発生するために必要とされる。過度の加熱は、永久磁石を消磁させる可能性がある。陽極又は反射体の溶解を引き起こす可能性もある。様々な冷却技術が、過度の加熱によって引き起こされる問題を回避するために用いられてきた。しかし、これらの冷却技術は、新たな問題をしばしば引き起こしてきた。保守を実施するために開けられ、運転を再開するために再接続されなければならない冷却配管(液体冷却材を搬送する)があるが、これらの配管を開けて再接続することによる真空室における冷却配管の漏れの可能性を伴っている。陽極を直接的に冷却することは、冷却配管において電圧の絶縁を必要とし、使用される絶縁体の劣化と、印加される電圧によって引き起こされる冷却配管における腐食の増大との追加的な問題がある。陽極の間接的な冷却は、絶縁体の薄い層を通じた熱の伝導を含み、その絶縁体に依存して、層は容易に破壊又は浸透される。不十分な熱伝導性又は不十分な熱接触のため、絶縁体の薄い層を通じた信頼できる熱伝達を維持することも困難な可能性がある。追加的な問題の源として、イオン源の使用者による保守が、製造者の指示に構わずにときとして実行され得る。
米国特許第7,667,379号 米国特許第6,454,910号 米国特許第4,862,032号 米国特許第7,342,236号 米国特許第7,566,883号
Kaufman他、Journal of Vacuum Science and Technology A,Vol.5、P.2081〜 (1987) Kaufman他、Review of Scientific Instruments,Vol.61、P.230〜(1990) Mahoney他、49th Annual Technical Conference Proceeding P.706〜(2006) Manual #427366 Rev B (2006) Clausing他、Journal of Heat Transfer、P.243〜(May,1965) Yovanovich、IEEE Transactions on Components and Packaging Technologies,Vol.28、P.182〜 (2005) Yovanovich他、Chapter 4 of Heat Transfer Handbook (Bejan et al.,eds.),P.261〜、John Wiley & Sons.Inc., Hoboken,New Jersey (2003) Negus他、ASME Paper No 84−HT−84 (1984) Yovanovich、AIAA Paper No.AIAA−2006−979 (2006)
前述のことを踏まえて、信頼でき、保守が容易で、構成部品を損傷させることなく高放電出力で運転できるエンドホール・イオン源を提供することが、本発明の大まかな目的である。
本発明の具体的な目的は、イオン源において保守を実施するために冷却材配管を開ける必要のないエンドホール・イオン源を提供することである。
本発明の別の具体的な目的は、部品同士の間の熱伝達を増進するために、保守の間に容易に削除又は損傷される追加の薄い材料の層を部品同士の間に必要としないエンドホール・イオン源を提供することである。
本発明のさらに別の具体的な目的は、部品同士を電気的に絶縁するために、保守の間に容易に損傷される電気絶縁体の薄い層を部品同士の間に必要としないエンドホール・イオン源を提供することである。
本発明のさらに具体的な目的は、陽極及び反射体など、高められた電位にある部品の伝導冷却を必要としないエンドホール・イオン源を提供することである。
本発明のなおもさらに具体的な目的は、高い運転出力にある陽極及び反射体の適切な冷却がこれらの部品の放射冷却だけを用いて行われるエンドホール・イオン源を提供することである。
本発明の他のなおもさらに具体的な目的は、熱伝達面同士の間の留め付け力が、これらの部品の温度が上昇するにつれて増大するエンドホール・イオン源を提供することである。
本発明の一実施例によれば、エンドホール・イオン源は、電子放出陰極と、陽極と、反射体と、内部極片と、外部極片と、磁気透過性経路と、2つの極片の間で透過性経路に配置される磁場発生手段とを有している。陽極及び反射体は、冷却流体が通って流れることができる内部通路を有する熱伝導性カップによる接触なしで包囲される。カップの閉止端は反射体と内部極片との間に配置され、カップの反対の端は外部極片と直接的に接触しており、カップは、銅又はアルミニウムなど、低ミクロ硬度を有する材料から作られる。
特許性があると考えられる本発明の特徴は、添付の特許請求の範囲で詳細に明記されている。本発明の実施の構成及び手法は、本発明のさらなる目的及び利点と共に、添付の図面に関連させられている本発明の特定の実施例の以下の説明を参照することで理解でき、図面のうちのいくつかの図では、同様の参照符号は同様の要素を特定している。
冷却が放射によるものである先行技術のエンドホール・イオン源の断面図である。 内部通路を通って流れる流体によって陽極が直接的に冷却される先行技術のエンドホール・イオン源の断面図である。 内部通路を通って流れる流体によって外部極片が直接的に冷却される先行技術のエンドホール・イオン源の断面図である。 流体が内部通路を通って流れる中心板への伝導によって陽極が間接的に冷却される先行技術のエンドホール・イオン源の断面図である。 先行技術における、熱接触している2つの物体の間の熱接触抵抗を測定するための装置を示す図である。 先行技術の図5における2つの物体に沿う温度測定が、接触抵抗による温度差を測定するためにどのように用いられるかを示す図である。 先行技術における、調査された結合部が滑らかで一致しないときの図5における結合部の断面図である。 先行技術における、調査された結合部が粗くて一致するときの図5における結合部の断面図である。 先行技術における、調査された結合部が粗くて一致しないときの図5における結合部の断面図である。 先行技術における、調査された結合部が滑らかで一致しないときの図5における結合部についての物理的接触を示す図である。 先行技術における、調査された結合部が粗くて一致するときの図5における結合部についての物理的接触を示す図である。 先行技術における、調査された結合部が粗くて一致しないときの図5における結合部についての物理的接触を示す図である。 図7(b)における先行技術の結合部のさらに拡大した断面図である。 異なる空気圧、25℃の低温、及び125℃の高温での異なる平均平面分離Yに関する、先行技術の結合部を越えて伝導される熱を示す図である。 先行技術における、25℃の低温、高温より低い100℃である低温、及び、高温の範囲に関する、結合部を越えて放射される熱を示す図である。 先行技術における、等しい温度の間隔の場合の流束管での温度曲線を示す図である。 先行技術における、接触面積A1、A2、A3などに関する流束管F1、F2、F3などの実際の分布の描写の図である。 先行技術における、同じ平均の値の面積(A1’=A2’=A3’など)を有する接触面積A1’、A2’、A3’などに関する流束管F1’、F2’、F3’などの一定の分布の描写の図である。 先行技術における、304ステンレス鋼に関するめり込みの深さに伴う硬度の変化の図である。 本発明の実施例を組み込んでいるエンドホール・イオン源の断面図である。 中心板620が中心板620Aで置き換えられており、中心板620Aに永久的に付着された低ミクロ硬度材料の層620Bをさらに有する、図16のものと同様のエンドホール・イオン源の局所的な断面図である。 シリンダ654がシリンダ654Aで置き換えられており、シリンダ654Aに永久的に付着された低ミクロ硬度材料の層654Bをさらに有する、図16のものと同様のエンドホール・イオン源の局所的な断面図である。 本発明の代替の実施例を組み込んでいるエンドホール・イオン源の断面図である。 本発明の他の代替の実施例を組み込んでいるエンドホール・イオン源の断面図である。
図1を参照すると、先行技術のエンドホール・イオン源100が示されている。このイオン源は、図1では永久磁石となっている磁場活性化手段102を有している。磁場活性化手段は電磁石であってもよいが、永久磁石がこの機能に関してはより一般的である。永久磁石102の頂部は、内部極片102Aの機能を果たす。内部極片は、永久磁石102の頂部に配置された磁気透過性材料の別の部品であってもよい。磁気回路は、磁気透過性の外部極片104と、磁気透過性の基礎板106と、磁気透過性の円筒壁108とを備えている。磁場活性化手段を備えた磁気回路は、内部極片102Aと外部極片104との間に磁場Bを発生する。磁気回路における変更が、磁場B又はイオン源の性能に著しい影響を与えることなく可能である。
内部極片102Aと外部極片104との間に陽極110がある。陽極と反対の外部極片104の側には、電子放出手段112がある。電子放出手段112は、典型的にはタングステン又はタンタルのワイヤである高温フィラメントとして示されている。これは、Kaufmanらによる米国特許第7,667,379号に記載されているような中空陰極であってもよい。例えばZhurinらによる米国特許第6,454,910号にあるマグネトロンといった、真空室における別体の機器であってもよい。陽極110と内部極片102Aとの間には、反射体114がある。反射体は、背景技術の部分で言及したように、ガス分配板又は分配器とも呼ばれる。イオン化可能ガス116がガス管118を通じて導入され、中心板120に付着される。ガスは、ガス分配室122へと流れ、反射体における複数の開口124を通って陽極110の凹所126へと流れ、それから放電室128へと流れる。
運転中、電子放出手段112は、接地に近い電位、周囲真空室の電位にある。周囲真空室は、図1には示されていない。背景技術の部分で記載したように、真空室は、通常(しかし、必ずしも常にではない)、アース接地にある。陽極110は、接地に対して、数十の正のボルトから数百の正のボルトまでの正の電位にある。電子は、陽極110の正の電位へと引き寄せされる。電子は、陽極110によって包囲された放電領域128に入るとき、イオン化可能作動ガス116の原子又は分子をイオン化するために、十分な運動エネルギーを得る。電子は、内部極片102Aと外部極片104との間で発生される磁場Bによって、陽極に直接的に到達するのが防止されている。磁場Bのため、電子は、陽極110に到達する前に放電領域128における長いサイクロイドの経路に追従し、それによって、放電領域128におけるイオン化可能作動ガスについて、磁場のない場合よりもかなり低い圧力での作用を可能にする。放電領域において発生されるイオンの一部は、この領域の開放端から電子放出手段112に向かって抜け出し、この電子放出手段112から放出される電子の一部と共に、中性化されたイオン・ビーム130を形成する。背景技術の部分で言及したように、ここで「中性化」は、電子とイオンとの再結合ではなく、電子及びイオンのほとんど等しい濃度のことを言っている。イオン化可能ガスからのイオンの発生と、これらのイオンの中性化されたイオンのビームへの加速とは、本明細書に記載されている他のエンドホール・イオン源におけるそれらの過程と一部の詳細において異なる可能性があるが、それらの過程は、すべての重要な態様において、この段落において説明した過程と同様である。これらのイオン源の運転の追加的な詳細は、Journal of Vacuum Science and Technology A,Vol.5 (1987)において2081ページから始まるKaufmanらによる記事と、Kaufmanらによる米国特許第4,862,032号とに記載されている。
エンドホール・イオン源の最大ビーム・エネルギー(イオン・ビーム電流にイオン・ビーム・エネルギーを掛けたもの)は、熱と、その熱によって引き起こされる損傷とによって制限される。熱のほとんどは、放電から陽極110へと達する。少量の熱が、電子放出手段112から来る。電子放出手段が、Kaufmanらによる前述の米国特許第7,667,379号に記載されているような中空陰極である場合、電子放出手段からの熱は、陽極放電と比較して非常に小さい。また、電子放出手段からの熱は、そのほとんどがイオン源以外へと進む状態で、すべての方向に放射される。
有用なエネルギーはイオン・ビームにある。放電エネルギーのほんの一部がイオン・ビームで出て行くと見なすことは、教訓的である。典型的な150Vの放電に関して、平均イオン・エネルギーは約90eV(電子ボルト)である。これは、イオン・エネルギーがあたかも90Vの電位差を通じて「低下」したのと同じであることを意味している。また、エネルギーはイオンとして出て行く作動ガスをイオン化するために使用された。アルゴンの一般的な作動ガスに関して、これは、1イオンあたり15.76eVであり、1イオンあたり105.76eVの全有用エネルギーを作り出す。全イオン・ビーム電流は、放電電流の約20パーセントに等しい。5Aで150Vの放電に関して、有用エネルギー(イオンを作り出して加速する際に使用されるエネルギー)は、1Aのイオン・ビームに105.76V、又は106Wを掛けたものである。したがって、約14パーセントがイオン・ビームに投入され、残りの86パーセントのほとんどは陽極と反射体とを加熱する。図1に示した装置では、陽極と反射体とが放射によって冷却される。この放射の一部は、外部極片にある中心開口を通じて抜け出し、放電出力のおおよそ75〜80パーセントが周囲のイオン源の部品、すなわち、外部極片104、円筒壁108、及び中心板120を加熱するために残る。これらの要素は、さらに、他のイオン源の要素へと、及び、周囲真空室へと放射する。高温の陽極及び反射体とより低温の真空室環境との中間の温度に達するとき、要素104、108、及び120は、放射遮蔽体として作用し、それによって、陽極及び反射体の温度を、要素104、108、及び120が存在しない場合に陽極及び反射体がなるであろう温度と比較して上昇させることになる。熱伝達の先行技術の部分の記載でより詳細に説明しているように、通常接触している部品同士の間の伝導は、通常の大気環境においてよりも真空環境においてはるかに小さくなる傾向がある。一般的に、熱伝導を増加させるために機械的結合が特に設計されていない場合、熱伝導は、エンドホール・イオン源の冷却において無視できる作用である。
先に記載したような加熱である場合、過剰な出力での運転による損傷は、陽極110又は反射体114については溶解の形であり得る。磁場発生手段が永久磁石であると仮定すると、磁石が消磁されるキューリー温度に近付くことによって損傷される可能性もある。これらの3つの形態の損傷のうちの1つ又は複数は、典型的には、エンドホール・イオン源の運転出力を制限する。どの1つが特定のイオン源における制限となるかは、そのイオン源に関する設計の詳細に依存することになる。
図1に示したイオン源は保守の要件を有している。これらの要件は、イオン源が使用される用途によって変わる可能性があるが、陽極における電気的絶縁性の被覆を除去することと、伝導層で被覆されているイオン源における絶縁体(異なる電圧で作動する部品を分離するために使用される)を交換することと、腐食した反射体を交換することと、剥がれ落ちる可能性があり、加工対象物のアーク及び汚染を引き起こし得る堆積膜を大まかに除去することとをしばしば含み得る。保守の間の表面の洗浄は研磨ブラストでしばしば行われ、研磨粒子が圧縮空気で表面に吹き付けられる。研磨ブラストは、その後に堆積される層の剥離を妨げる傾向のある粗くされた表面を残してしまう。しかし、これは、粗悪な作業を行う可能性のある時間給労働者によって、又は、洗浄を必要としない研磨ブラスト面によってさえ、しばしば実施される。
産業用途におけるプロセス速度は、イオン源が運転される出力レベルにしばしば依存する。プロセス速度を増大しようとする試みでは、イオン源は、過剰な出力レベルにおける運転によってしばしば損傷される。損傷は過熱によるものであり、前述のように、陽極若しくは反射体の溶解、又は、永久磁石の消磁となる傾向がある。過熱によって引き起こされる損傷を修正することは、定期的な保守の一部と見なされるべきではないが、保守の一部となる可能性がある。
エンドホール・イオン源の利点及び欠点を記載するとき、Review of Scientific Instruments,Vol.61(1990)において230ページから始まるKaufmanによる記事に記載されているような格子付きイオン源の代替の技術の言及もあるべきである。エンドホール・イオン源と、それぞれのイオン源の種類の使用者にとって興味のある格子付きイオン源との間の運転範囲には違いがある。ここでより関連のあることは、格子付きイオン源が格子付きイオン光学系を用い、その格子付きイオン光学系が正確な位置合わせを必要とし、損傷されやすい。格子付きイオン源と比較して、図1に示した装置によって例示されるように、エンドホール・イオン源は、単純で信頼性があり、容易に保守される。より具体的には、その保守は、何らかの特別な手入れ又は技術を必要としない。
図2を参照すると、内部通路を通って流れる流体によって陽極210が直接的に冷却される先行技術のエンドホール・イオン源200が示されている。中心板220は、陽極冷却を受け入れるために変更されていることのみにおいて異なっている。陽極210における冷却通路232は、陽極管234、冷却絶縁体236、及び供給管238に接続されている。冷却流体240が、陽極210を冷却するために、これらのすべてを通って流れる。陽極管234及び供給管238は、真空環境を汚染させないために、通常はステンレス鋼から作られる。冷却絶縁体236は、セラミック絶縁体から構築され、冷却流体240が、接地電位にある管(この場合は供給管238)を通じてイオン源へと通常供給されるため、必要とされている。冷却絶縁体236は、陽極210の正の電位を接地電位から電気的に絶縁するように作用する。図2にあるすべての他の要素は、図1に関連して記載されているように機能する。
図2に示す装置は、陽極を冷却し、イオン源に関する許容可能な運転出力を増大するのに効果的であり得るが、図1に示す放射冷却の設計と比較して、より多くの定期的な保守を必要ともする。冷却流体が、通常そうであるように、ほとんど又はすべて水であるとき、冷却絶縁体236を挟んでの電位差は、冷却流体と接触している冷却絶縁体の表面を劣化させる傾向がある。冷却絶縁体236に最も近い陽極管234及び供給管238の端は、冷却絶縁体を挟んでの電位差のため、腐食の増加にも曝される。また、供給管238は、保守を実施するために開けられ、そして保守の後に運転を再開するために再接続されなければならない。冷却配管を開けて再接続することは、それに続くポンプダウンの間に冷却配管の漏れの可能性が高くなるため、真空室では常に望ましくない。
図3を参照すると、内部通路を通って流れる流体によって外部極片304が直接的に冷却される先行技術のエンドホール・イオン源300が示されている。外部極片304における冷却通路332は供給管334に接続されている。冷却流体340が、外部極片304を冷却するために、通路及び管を通って流れる。図3にあるすべての他の要素は、図1に関連して記載されているように機能する。
図3に示す装置は、外部極片を冷却し、イオン源からイオン・ビーム目標物へと放射される熱を低減し、保守のためのイオン源へのより素早いアクセスを容易にするのに効果的であり得る。しかし、イオン源に関する許容可能な運転出力の増加は、図2に示すような陽極が冷却される場合より、はるかに小さい。この装置は、図2に示す装置と関連する管の腐食及び冷却絶縁体の劣化を回避する一方で、イオン源において保守を実施するために水配管を開けて再接続する必要があるという短所を、なおも有している。
図4を参照すると、内部通路を通って流れる冷却流体を有する中心板への伝導によって陽極が間接的に冷却される先行技術のエンドホール・イオン源400が示されている。この装置は、Burtnerらによる米国特許第7,342,236号に記載されている。図4に示す装置は、前述のBurtnerらによる米国特許第7,342,236号において図2及び図9(図9はより詳細に示している)にあるものに対応しており、前述の発明の中心的な概念である、電気的に絶縁の層を通じた陽極の伝導冷却を示している。前述の特許(段落1の33〜49行目参照)によれば、イオン源のこの大きさの放射冷却は、約1000Wの放電出力に限られる。陽極の直接的な伝導冷却は、ここでの図2にあるように、3000Wもの大きさの放電出力を可能にする。この構成(ここでの図4、上記特許における図2及び図9)に関する前述の特許における目的は、「熱伝導性で電気的に絶縁の」層を通じて陽極の間接的な伝導冷却を用い、それによって3000Wの放電出力も可能にすることである。熱の放射でなく、熱の伝導が言及されていることを示すために、用語「放射」は、前述の特許において、前述した1番目の段落の引用に一回現れるだけであり、放射冷却を用いるとき、出力における制限を示している。
なおも図4を参照すると、外部極片404は、部品同士を一体的に留め付けることで熱伝達を向上するために用いられているネジを受け入れるために、若干変更されている。円筒壁408は、留め付けにおける変化を受け入れるために若干短くされている。陽極410及び反射体414も、留め付けにおける変化を受け入れるために変更されている。中心板420は、冷却流体のための内部通路432と、留め付けに用いられるネジ頭及びネジ穴のための受入部とを有することで、中心板120と異なっている。冷却流体を引き込んで運び出すための供給管は図示されていないが、接地電位にあると考えられ、定期的な保守を実行するために開けられて再接続される必要はない。陽極部分組立体は、陽極410と、反射体414と、熱伝導性で電気的に絶縁の熱伝達境界部品442と、セラミック絶縁体444と、複数の陽極部分組立体取付具446(ネジ)と、複数の絶縁体442とから成る。(「熱伝導性で電気的に絶縁の熱伝達境界部品」及び「セラミック絶縁体」などの用語は、前述のBurtnerらによる米国特許第7,342,236号で用いられており、比較を容易にするために、ここでも用いられる)。複数の陽極部分組立体取付具446が陽極部分組立体を一体的に保持する一方、複数の絶縁体448は、陽極部分組立体取付具446が締め付けられるとき、陽極を外部極片に接触させないようにする。そして、陽極部分組立体は、複数の部分組立体取付具450によってイオン源に取り付けられる。(「部分組立体取付具」は、「陽極部分組立体取付具」と異なることに留意されたい)。
図4に示す装置は、保守の短所を有している。これらの短所は、真空において結合部を通じた不十分な熱伝導から生じ、これは、より根本的な熱伝達の観点から後でより詳細に説明する。これらの短所は、前述のBurtnerらによる米国特許第7,342,236号に基づき、

として譲受人によって販売されている市販製品において、より明白である。この市販製品の性能は、Mahoneyらによって、49th Annual Technical Conference Proceeding (2006)において706ページから始まる記事に記載されており、一方、この市販製品の保守は、作者不明の技術マニュアルであるManual #427366 Rev B (2006)に記載されている。本出願における図4の熱伝導性で電気的に絶縁の熱伝達境界部品442は、前述の作者不明の技術マニュアルでは、「熱伝達板」となる。
窒化アルミニウム及び窒化ホウ素など、この構成部品の熱伝導性/電気絶縁性の複合した機能を実施するために、良好な電気的絶縁体であって許容可能な熱伝導性を有する材料は、脆くて容易に破壊される傾向がある。前述の作者不明の技術マニュアルの36ページには、「熱伝達板は、落下される又は衝撃を受けると、容易に破壊する。部品損傷を回避するために、それらを(原文のまま)注意して取り扱うこと。」と述べられている。同時に、脆い材料は、熱伝達結合部において具合よくなじまず、真空環境における結合部において不十分な熱伝達をもたらす。脆い材料によって真空の結合部で熱伝達を向上するためには、容易に変形される材料の追加の薄い層が用いられ得る。これらは、熱伝達板の両側に配置されている「熱伝達シート」であり(前述の作者不明のマニュアルにおける35ページ及び36ページ)、36ページにはさらに、「熱伝達シートが容易に破ける」と記載されている。熱伝達シートは、Burtnerらによる米国特許第7,566,883号にも記載されている。再組み立ての間、前述の作者不明のマニュアルの41ページから43ページにわたって、トルク・レンチが、再組み立てにおける3つの別々のステップに対して必要とされている。43ページでは、「熱伝達の板及び/又はシートを損傷させないために、特定のトルク値を用いること。」とある。他の部品へのあり得る損傷に加えて、ネジ部品自体が、前述の作者不明の技術マニュアルであるManual #427366 Rev B (2006)にも記載されているように、過剰なトルクによって損傷される可能性がある。(当業者は、かじり及びかみ付きが、同じ締め付けトルクが同様のネジ部品に対して用いられるとき、大気環境においてよりも真空環境においてより一般的であることを認識している)。容易に破られる又は破壊される部品と、トルク・レンチの複数の使用(前述の作者不明の技術マニュアルに記載されている再組み立ての間の3回)とは、単純で信頼性があり、容易に保守される図1のエンドホール・イオン源とは相反することを意味していることに留意されたい。
興味のある構成は、本出願では図4に示されており、前述のBurtnerらによる米国特許第7,342,236号では図9に示されており、そこでは、前述の特許の構成において、又は、前述の作者不明の技術マニュアルであるManual #427366 Rev B (2006)において記載されているような熱伝達シートの追加の場合のいずれでも、陽極が伝導によって間接的に冷却される。このイオン源の性能は、Mahoneyらによる、49th Annual Technical Conference Proceeding (2006)における前述の記事に記載されており、放射冷却エンドホール・イオン源(ここでの図1)と直接冷却陽極(ここでの図2)との両方と比較されている。これらのイオン源のすべてが、イオン源の直径を超える中空陰極の突出を考慮しないと、14cmの公称直径を有し、そのためイオン源の寸法に大きな違いはない。放射冷却されるイオン源は、磁石が消磁されることになるキューリー温度に近付くため、875Wの放電出力に制限される。直接的に冷却される陽極(ここでの図2)と、間接的な伝導により冷却される陽極(ここでの図4)との両方が、両方に関して、3000Wのはるかに大きい出力において、はるかにより低い磁石温度で運転されている。3000Wで運転されるとき、両方のイオン源について、高温フィラメントから中空陰極への電子放出手段にはスイッチもある。直接的に冷却される陽極は、間接的な伝導により冷却される陽極については1000℃超であるのに比較して、500℃未満のより低い陽極温度である。ガス分配器(ここでは反射体と呼ばれる)は、直接的に冷却される陽極については1000℃超であるのと比較して、間接的な伝導により冷却される陽極について600℃超である分配器と、相対する関係を示している。大体同じ直径でもあるこれらの2つの構成を比較すると、複数の壊れやすい層(図4の熱伝導性で電気的に絶縁の熱伝達境界部品と、前述の作者不明の技術マニュアルに記載されている熱伝達シートとの両方)の欠点は、保守の間に冷却配管を開けて再接続することとで相殺することができる。
前述のBurtnerらによる米国特許第7,342,236号における代替の実施例は、当業者には当然ながら明らかである短所を持っている。例えば、上記特許における図7に示された実施例は、その段落1の62行目から段落2の3行目までを参照すると、同特許が先行技術の記載において好ましくないとしている冷却配管における絶縁体(上記特許の要素740)を使用している。他の実例として、上記特許の図8に示す実施例は、中心板における冷却空洞(上記特許の要素814)が、定期的な保守を実施するために開けられることを必要とし、これは少なくとも冷却配管を開けるのと同じくらい望ましくない。
真空環境における結合部での熱抵抗は、前述の議論の多くにおいて重要である。これは、前述のBurtnerらによる米国特許第7,342,236号における「陽極を能動的に冷却する代替の方法は、真空において区別できる構成部品同士の間で熱を伝達することの従来の困難によって阻まれている」という記載で認識されている。結合部における熱抵抗の測定は、Clausingらによる243ページから始まるJournal of Heat Transfer(May,1965)における記事に記載されている。本出願における図5を参照すると、接触抵抗を調べるために使用される例の試験機器500が示されている。熱源502が熱を第1のシリンダ504へと供給する一方、第2のシリンダ506がヒート・シンクによって冷却される。第1のシリンダと第2のシリンダとは結合部510で接しており、そこで力Fで接触して保持されている。第1のシリンダ及び第2のシリンダの円筒形の側部は典型的には絶縁体で覆われており、そのため有意な熱伝達だけがシリンダと平行である。
定常状態の熱伝達が確立された後、温度T1、T2、T3などが測定され、図5のシリンダ504及び506に沿う距離としてここでは定義されている距離Dに対して、図6に描画されている。シリンダに沿って一定の性質及び断面である場合、温度は、結合部510の近くを除いて、距離Dと線形の様態で変化し、結合部510の近くでは、線形変化の外挿(点線によって示されている)によって、結合部の存在のため、温度差ΔTを与えている。図6において、線形変化が2つのシリンダに対して同じにならないことに留意されたく、これは、2つのシリンダが異なる材料から作られている場合、予期されることである。
YovanovichによるIEEE Transactions on Components and Packaging Technologies,Vol.28 (2005)において182ページから始まる記事に記載されているように、結合部における熱抵抗は、2つの部材を一体的に押す力(図5におけるF)、結合部における面の輪郭、結合部における部材の性質、及び、結合部の環境と共に変化する。図7(a)、図7(b)、及び図7(c)を参照すると、典型的な面の輪郭が示されている。図7(a)において結合部510Aで接する要素504A及び要素506A、図7(b)において結合部510Bで接する要素504B及び要素506Bなど、接触している要素同士はすべて、図5で示したものと同様の試験機器環境にあり、結合部における面の輪郭のみにおいて違いがあると仮定されている。面は、図7(a)では滑らかで一致しておらず、図7(b)では粗くて一致しており、図7(c)では粗くて一致していない。対応する接触面積が、図8(a)、図8(b)、及び図8(c)に示されている。粗さの大きさは、縮尺通りに描いた場合、印刷線の幅より小さいため、これらの図では拡大されている。
図7(a)に示す滑らかな輪郭は、産業用の真空環境にあるイオン源にとって実用的ではない。荷重が軽く、そのため表面の凹凸の先端だけが接触している。さらに、保守の間の不注意な取り扱いが、イオン源製造者からの部品が当初は滑らかに研磨されていようがいなかろうが、面をしばしば粗くしてしまう。一方、図7(b)に示すように、一致する面を有する部品を設計及び製作することは、実用的である。図9を参照すると、図7(b)の断面のさらに拡大された図が示されている。粗い一致する要素504Bと要素506Bとの接触は、2つの要素の間で所々に接触があるだけの状態の平均分離Yをもたらす。
図9に示す要素同士の間の接触と、この接触の環境とは、これらの要素の間での熱伝達に影響を与える。いくつかの値の平均分離Yにおいて、結合部における熱伝達への大気圧の変化の影響が、125℃の高温と25℃の低温とについて、図10に示されている。用いられた計算手順は、Yovanovichらにより、261ページから始まるChapter 4 of Heat Transfer Handbook (Bejan et al.,eds.),John Wiley & Sons.Inc., Hoboken,New Jersey (2003)に記載されている。1気圧はおおよそ10Pa(パスカル)である。1気圧に近い圧力において、熱伝導は平均分離Yに対して敏感である。1ミクロンの最も小さい分離を除いて、この圧力における熱伝導は圧力に対して鈍感である。この敏感性の欠如は、圧力の上昇はより多くの分子が熱を移動するために存在することを意味するが、分子同士の衝突の間の平均的な経路の長さは圧力の上昇につれて縮小し、より多くの衝突が熱を一方の面から他方の面へと運ぶために必要とされると考えることで、理解され得る。
エンドホール・イオン源を運転するための最大バックグラウンド圧力は通常約0.1Paであり、その場合、運ばれる熱は、所与の条件について、約10−3W/cmだけである。平均分離は、分子に関する平均経路長さが平均分離よりもはるかに大きく、ガス圧力だけが熱伝導に対して重要であるため、非常に低い圧力では重要ではないことに留意されたい。図10に示す熱伝達は、熱伝達計算において用いられるバックグラウンド・ガス及び特定の温度と共に変化することになる。しかし、熱のガス伝導は、イオン源が運転する圧力において、イオン源冷却に関しては取るに足らないままとなる。反対に、大気環境では、結合部で通常予測される熱伝達を提供するのは、しばしばガス伝導である。
図11を参照すると、放射による結合部における熱伝達は、高温側の面の温度の範囲に対して示されている。2つの低温の面の温度が用いられており、一方は25℃で一定に維持され、他方は高温の面より低い100℃となるように変化される。これらの熱伝達の計算は、(粗い面で典型的な)0.5の放射率及び吸収率であるステファン・ボルツマン放射定数と、2つの延伸された平行な面の幾何学的構成とを用いている。高出力エンドホール・イオン源で発生される熱を運び去るためには、熱伝達は数W/cmであるべきである。放射で伝達される熱は、500℃未満の高温の面の温度については、この値の極僅かの割合でしかない。また、図11に関する計算で用いられる値の変化は、結果を変化させることになるが、約500℃未満の高温の面の温度においてエンドホール・イオン源における熱伝達にとって有意な放射を作り出すのに十分な程ではない。
真空における熱伝達における根本的な制限は、図10及び図11によって示されている。これらの結果は、真空技術に習熟していない者には驚きである可能性がある。機械的結合部において大気環境によってもたらされるガス伝導は、重要であり、真空環境では欠いている。そして、非常に高い温度の場合を除いて、放射による熱伝達は、結合部でほとんど起こらない。容易に損傷される熱伝達シートが、より多くの接触面積を提供するために使用されない場合、前述の作者不明の技術マニュアル、及び、Burtnerらによる前述の米国特許第7,566,883号に記載されているように、真空環境における結合部での熱伝達は、典型的には、図9に示したものと同様の物理的接触によって決定される。
真空環境における図9に示したものなどの結合部での熱伝導の理解を助けるために、図12に示したような熱伝導シリンダにおける熱分配を検討する。このシリンダにおける熱流速(熱伝達の文献では流束管と呼ばれる)は、1つの接触面積と関連付けられた熱流速を表している。底における半径Aにわたる温度は、温度T0に保持されており、同じ半径にわたる小さい熱接触面積を表している。シリンダの最上部における温度はT6であり、最上面以外の面への有意な熱の流れはない。シリンダを通じた一定の熱伝導を仮定すると、シリンダを通る熱は、図12に示すように分布されることになる。ここで、
T1−T0=T2−T1=T3−T3など (1)
である。等温度曲線が、温度がT0に保持されるシリンダの底の接触面積の近くに集中されている。この集中は、シリンダにおける熱抵抗の相当の大きさが同じ位置に集中されていることを意味する。
小さい接触面積による追加の熱抵抗は、最初に狭窄抵抗と呼ばれ、その後に広がり抵抗と呼ばれ、NegusらによりASME Paper No 84−HT−84 (1984)に記載されている。接触形状に伴う広がり抵抗の変化は、その文献において次のように提供されている。
ψ=1−1.40978ε+.34406ε+.0435ε02271ε (2)
ここで、
ψ=4κAR (3)
である。ここで、κはシリンダの熱伝導であり、Aは(図12に示すような)接触半径であり、Rcは狭窄抵抗又は広がり抵抗であり、
ε=A/B (4)
である。ここで、(図12に示すように)Aは接触半径であり、Bはシリンダ半径である。本出願において興味のある非常に小さい値のεに関して、正確な相互関係は、Yovanovichにより、IEEE Transactions on Components and Packaging Technologiesの前述の記事に提供されている。
ψ=(1−ε)1.5 (5)
図13を参照すると、熱伝達結合部の一つの部材の描写が示されており、それぞれの流束管F1、F2、F1などのそれぞれの接触面積A1、A2、A1などがある。接触面積、接触面積の形、及び、関連する流束管の大きさには、差異がある。Yovanovichにより前述のIEEE Transactions on Components and Packaging Technologiesの記事に、及び、Yovanovichらにより前述のChapter 4 in the Heat Transfer Handbookに記載されているように、接触面積の形の詳細は重要ではないことと、正確な熱伝達計算は、平均の大きさの円形の接触面積の使用、及び、流束管についての平均的な大きさの対応する選択で行われ得ることとが分かっている。図14を参照すると、平均の大きさがすべての接触面積A1’、A2’、A3’などに対して用いられ、対応する平均的な大きさがすべての流束管F1’、F2’、F3’などに対して用いられている熱伝達結合部の一つの部材の描写が示されている。式(5)が、接触面積の各々と関連する広がり抵抗に対して用いられ得る。
平均値の選択は、使用される特定のモデルに関する根本的な仮定に依存する。「塑性接触モデル」は、すべての接触が面の塑性変形から生じると仮定し、2つの面を最初に一体的に留め付けることに対応する。このモデルは、部品同士が異なる微小な位置ずれのある各々の保守の後に再び組み立てられると考えられるイオン源については、適切である。このモデルに関する計算手順についての考察は、接触抵抗が、少数の大きい接触とは対照的に、多数の小さい接触に対してより小さいことも示している。このモデルにおける力Fは、見掛けの圧力P及び見掛けの接触面積A、又は、ミクロ硬度H及び実際の接触面積Aのいずれかの観点から式で表され得る。
F=PA=HA (6)
熱結合部の2つの熱伝導要素が2つの異なる材料から作られている場合、使用されるべきミクロ硬度は、最小のミクロ硬度のある材料に関してである。実際と見掛けとの接触面積の割合は、上記の式から得られ、
/A=P/H (7)
である。ミクロ硬度はバルク硬度と関係付けられる。図15を参照すると、真空室において幅広く用いられている材料である304ステンレス鋼のバルク硬度とミクロ硬度とが示されている。圧入深さの範囲にわたって硬度を測定するために、異なる硬度測定技術を用いることが必要である。ビッカース硬度がミクロ硬度測定に用いられ、一方、ブリネル硬度及びロックウェル硬度の測定がマクロ硬度測定に用いられる。硬度測定技術に関する追加の詳細は、Yovanovichらにより前述のChapter 4 in the Heat Transfer Handbookに提供されている。真空の結合部の典型的な不十分な熱接触は、単純な計算で説明できる。多数の小さい接触が、熱伝達を最大化するために望ましいとされる場合、前述のように、粗さの規模は非常に小さくされなければならず、結合部におけるめり込みも非常に小さく、304ステンレス鋼についての有効なミクロ硬度は約4ギガパスカルとなる。2メガパスカル(約20気圧に等しい)の適度な見かけの圧力に関して、実際と見掛けとの接触面積の割合は、約5×10−4となる。式(3)から式(5)までの考察は、多数の小さい接触の使用は、(少数の大きい接触とは対照的に、)この微細な接触面積を部分的にずらすが、その本当に極小の大きさが、真空の結合部の熱伝導の問題を提起することを示すことになる。先に言及したように、この障害は、熱伝達シートの使用で克服できるが、容易に損傷される追加の部品の導入という代償がある。
ミクロ硬度はバルク硬度と関係付けられるが、はるかにより大きくなり得る。ミクロ硬度及びバルク硬度の例は、Yovanovichらにより前述のChapter 4 in the Heat Transfer Handbookに、YovanovichによりIEEE Transactions on Components and Packaging Technologies,Vol.28 (2005)における182ページから始まる記事に、YovanovichによりAIAA Paper No.AIAA−2006−979 (2006)に提供されている。
(好ましい実施例の説明)
図16を参照すると、本発明の実施例であるエンドホール・イオン源600が示されている。このイオン源は、図1のイオン源100のものと同様の磁場を有する。ここでも永久磁石である磁場活性化手段102がある。図1との関連で記載したように、この磁場活性化手段は電磁石であってもよい。永久磁石102の頂部は内部極片102Aの機能を実施するが、内部極片は、ここでも、永久磁石102の頂部に配置されている磁気透過性材料の別の部品であってもよい。磁気回路は、磁気透過性の外部極片604と、磁気透過性の基礎板106と、磁気透過性の円筒壁608とを備えている。磁場活性化手段を備えた磁気回路は、内部極片102Aと外部極片604との間に磁場Bを発生する。
陽極610と内部極片102Aとの間には、反射体614がある。イオン化可能ガス116がガス管118を通じて導入され、中心板620に付着される。ガスは反射体614の周りからガス分配室626へと流れ、それから放電室128へと流れ得る。イオン化可能ガスに関するこの経路は、図1に示した経路と異なるが、イオン源の運転は、この違いによって大きく影響されることはない。
電気的な運転も図1に示したイオン源100のそれと同様である。電子放出手段112は、接地に近い電位にある。陽極610は、接地に対して、数十の正のボルトから数百の正のボルトまでの正の電位にある。電子は、陽極610の正の電位へと引き寄せされる。電子は、陽極610によって包囲された放電領域128に入るとき、イオン化可能作動ガス116の原子又は分子をイオン化するために、十分な運動エネルギーを得る。電子は、内部極片102Aと外部極片604との間で発生される磁場Bによって、陽極に直接的に到達するのが防止されている。磁場Bのため、電子は、陽極610に到達する前に放電領域128における長いサイクロイドの経路に追従し、それによって、放電領域128におけるイオン化可能作動ガスについて、磁場のない場合よりもかなり低い圧力での作用を可能にする。放電領域において発生されるイオンの一部は、この領域の開放端から電子放出手段112に向かって抜け出し、この電子放出手段112からの電子の一部と共に、中性化されたイオン・ビーム130を形成する。先行技術のエンドホール・イオン源の同じ機能と比較して、エンドホール・イオン源600におけるイオンの発生及び加速において有意な違いはない。
図16に示した本発明の実施例は、冷却の手法において先行技術と異なっており、その手法は、放射冷却増進陽極と呼ぶことができる。中心板620は、付属管634を伴う内部通路632を有している。冷却流体640が、管634と内部通路632とを通って流れる。陽極610は、複数の電気絶縁体642、ネジ644、及びナット646を用いて、外部極片604によって支持されている。同様の手法で、反射体614は、複数の絶縁体648、ネジ650、及びナット652を用いて、陽極610によって支持されている。
なおも図16を参照すると、中心板620は、通常は水であり、内部通路632を通って流れる冷却流体640によって冷却される。シリンダ654は中心板620との接触によって冷却され、外部極片604はシリンダ654との接触によって冷却される。外部極片604、シリンダ654、及び中心板620は、この場合にはネジ656である複数の組立体ユニットによって一緒に保持されている。ネジ656は、トルク測定を必要とする唯一の部品である。真空の結合部で直面され得る実際と見掛けとの接触面積の小さい割合と、それに伴う大きな接触抵抗とに留意して、各々の結合部における2つの要素のうちの少なくとも一方は、低ミクロ硬度の材料であるように選択されている。つまり、中心板620及びシリンダ654の少なくとも一方は、低ミクロ硬度の材料のものでなければならない。また、シリンダ654及び外部極片604の少なくとも一方も、低ミクロ硬度の材料のものでなければならない。ミクロ硬度は、Yovanovichらにより、IEEE Transactions on Components and Packaging Technologiesにおける前述の記事と、前述のAIAA Paper No.AIAA−2006−979 (2006)との両方に記載されている。低ミクロ硬度の材料は、ここでは、約1μmの圧入深さに対応する、約1Gpa以下のビッカースのミクロ硬度の最大値を有するとして定義される。低ミクロ硬度の材料の限定のない例には、鉛、錫、銀、銅、及びアルミニウムがある。市販の純アルミニウムも低ミクロ硬度を有するだろうが、ここで言及されるアルミニウムは、幅広く使用されている合金であるアルミニウム6061−T6である。
イオン源600の構成では、高温の陽極と高温の反射体とは絶縁体によって支持されており、絶縁体と高温部品との間には小さい接触面積があり、接触面積に特別な処理はない。その結果、これらの高温部品からは取るに足らない伝導性熱伝達があることになる。高温の陽極及び高温の反射体を取り囲む部品は、高温の部品からの放射の熱伝達を増進するために冷却される。シリンダ654と中心板620とは、高温の陽極及び高温の反射体を取り囲む熱伝導性カップを共に形成しており、シリンダ654はこのカップの側壁を形成し、中心板620が閉止端を形成する状態になっている。シリンダ654は、外部極片604と熱接触していて外部極片604を冷却し、これによって、イオンが抜け出すための外部極片における開口を除いて、高温部品を包囲する冷却包囲体を完成させている。図1に示す放射冷却の構成では、陽極及び反射体を取り囲む部品は、放射によって加熱され、そして、正味の放射熱伝達を低減するための放射遮蔽体として作用することに留意されたい。イオン源600における放射熱伝達をさらに増進するために、陽極及び反射体の面と、陽極及び反射体を向く要素604、620、及び654の面とはすべて、それらの放射の放射率及び吸収率を増大するために、光学的に粗くされ得る。光学的に粗くされたことから反射される光は、正反射的ではなく、拡散で反射する。光学的に粗くすることは、異なる方法で行われ得る。これは、グリット又は研磨ブラストによって機械的に行うことができ、研磨粒子が粗くされる面に圧縮空気で吹き付けられる。また、粗くされる面を酸化させることで化学的に行うこともできる。光学的に粗くすることは、研磨された金属面に対する0.1〜0.2から、粗くされた面に対する0.5〜0.6又はそれ以上へと、金属面の放射率又は吸収率を増加できる。熱が中心板620、シリンダ654、及び外部極片604へと伝達された後、これらの部品は十分に冷却されているので、それらの部品からの放射は無視でき、熱は冷却流体によって必然的にすべて運び去られる。
イオン源600には、伝導性熱伝達のための他の明確な経路があるが、真空において結合部にわたって熱を伝導することの難しさと共に、実用上の検討では、これらの経路を通る熱伝導を無視することができることは留意できる。例えば、外部極片604が円筒壁608と接触している。しかし、外部極片は、シリンダ654との規制された接触となっていることが必要とされる。外部極片が円筒壁608の代わりにシリンダ654に押し当るのを確保するために、ネジ656が締め付けられたとき、円筒壁を外部極片と円筒壁との間には力が掛からないだけの短さにすることが必要である。さらに、外部極片と円筒壁とは、保守の間に分離されていなければならず、そのため、これらの部品の間に径方向の隙間がなければならない。これらの部品は、磁気回路において隣接する部品と十分に近いが、2つの間に何ら有意な力がないことは、真空においてそれらの間に伝導性熱伝達が必然的にないことを確保する。
指摘されるべき他の特徴が図16の実施例にある。中心板620、シリンダ654、及び外部極片604を一緒に保持している組立要素は、ネジ656である。これらのネジは、シリンダ654を貫いており、シリンダとおおよそ同じ温度となる。シリンダが、それを貫くネジよりも大きい熱膨張係数の材料から構築される場合、ネジの引っ張りは、シリンダ及びネジの温度が上昇するにつれて大きくなる。これは、ネジが組み立ての間に十分に締め付けられておらず、小さい接触圧力のため、シリンダが中心板によって適切に冷却されない場合、運転が開始されてシリンダが熱くなってくると接触圧力が上昇することになることを意味している。この特徴は、本実施例の冷却の有効性を、ネジを締め付けるために用いられるトルクに対してより鈍感にさせている。
図16に示した構成の実例は、中心板620については銅を、シリンダ654についてはアルミニウム合金6061−T6を、及び、外部極片604については焼きなましされた410ステンレス鋼を用いて構築された。熱電対が、陽極及び反射体の外縁と、中心板/シリンダの結合部の両側と、シリンダ/外部極片の結合部の両側と、他にも磁石及び他の構成部品とに取り付けられた。水が冷却材として使用された。ネジ656は6.35mmの直径であり、トルク・レンチで28kg−cmに締め付けられた。熱伝達結合部における低ミクロ硬度要素の使用の効果は、図16のイオン源が3000Wの放電出力で運転されるときの温度測定によって示された。外部極片604、陽極610、及び反射体614を除くイオン源のすべての部品は、140℃以下であった。外部極片における熱電対は260℃にしか到達しなかった。最も高温の部品は960℃の陽極で、次に760℃の反射体であった。
アルミニウム合金シリンダ654は、それを貫く複数の18−8ステンレス鋼ネジ656より大きい熱膨張係数を有しており、約50パーセントでより大きくなっている。締め付けトルクの低減ついての修正において、熱膨張係数のこの違いの有効性を試験するために、イオン源を分解し、ネジ656に関して14kg−cmだけのトルクで再び組み立てた。次に、より大きなトルクに向けて、前述の同じ出力で運転した。シリンダ654についての頂部温度及び底部温度の平均は、125℃から170℃へと45℃だけ上昇した。外部極片604の温度は、若干低下した留め付け力と、アルミニウム・シリンダについてのより高い温度との両方によって影響され、260℃から380℃へと120℃上昇した。陽極の温度は実験上の誤差内で同じであったが、反射体の温度は約10℃だけ上昇した。陽極及び反射体に関するこれらの小さな差は、シリンダ及び外部極片の温度において陽極及び反射体へと戻るように放射される少量のエネルギーと一致する。この試験の結果は締め付けトルクへの感度の欠如を示しており、これは、実際には、より問題が少なく、より信頼できる運転をもたらすと期待され得る。
この増進された放射冷却は、図4に示している間接的な伝導により冷却される陽極の構成と比較できる。図4の構成は、3000Wの放電出力のときの1000℃を超える陽極温度と、より低温の中空陰極電子放出器とを有していた。図16に示すイオン源は、おおよそ同じ直径であり(イオン源400についての14cmに対し、イオン源600についての14.5cm)、イオン源400の電気的に絶縁している壊れやすい熱伝達境界部品と、前述の作者不明の技術マニュアルの熱伝達シートとを必要とせずに、組み立てるのがより簡単である(イオン源400についてのトルク・レンチによる3つの締め付け順序に対し、イオン源600についての1つの締め付け順序)。陽極温度は、図16のより簡単でより凸凹とされた設計については、実際にはより低くなる。
代替の実施例
代替の一実施例では、結合部における2つの要素のうちの少なくとも一方が、メッキ若しくはロウ付けされなければならない、又は、低ミクロ硬度を有する少なくとも数十ミクロンの厚さの材料の層がその一方に付着されている。鉛又は錫は、全体の要素(例えば、中心板620又はシリンダ654)を構築するには適さない可能性がある。一方、より弱い材料は、結合部において中心板又はシリンダなどの要素に、メッキ、ロウ付け、溶接、スパッタリング蒸着、又は、永久的に付着される材料の層には適している可能性がある。イオン源の設計の詳細とイオン源が使用される用途とに依存して、低ミクロ硬度材料の蒸気圧力などの他の要素も、重要であり得る。
図17(a)を参照すると、低ミクロ硬度を有する材料の層である層620Bが中心板620Aに付着されていることを除いて図16に示したものと同様の、本発明の実施例の一部の拡大図が示されている。低ミクロ硬度を有する材料の層は、代わりにシリンダ654に付着できる、又は、層は、中心板とシリンダとの両方に付着できる。
図17(b)を参照すると、低ミクロ硬度を有する材料の層である層654Bがシリンダ654Aに付着されていることを除いて図16に示したものと同様の、本発明の実施例の一部の別の拡大図が示されている。低ミクロ硬度を有する材料の層は、代わりに外部極片604に付着できる、又は、層は、シリンダと外部極片との両方に付着できる。
図18を参照すると、本発明の別の代替の実施例であるエンドホール・イオン源700が示されている。イオン源700は、図16におけるシリンダ654及び中心板620が図18の単一の一体的要素である熱伝導性カップ720へと組み込まれている点において、図16のイオン源600と異なっている。外部極片をこの単一の一体的要素に保持するネジ756は、イオン源600で用いられるネジ656より短くなっている。また、外部極片704の熱伝導率より大きい熱伝導率を有する層704Aで覆われた外部極片704の大きい面積(704のその側部の面積の半分超)を有する点において、イオン源600と異なってもいる。層704Aを組み込んでいることの利点は、層704Aは陽極610及び反射体626を取り囲む放射環境の平均温度を低下させ、したがって陽極及び反射体の温度を低下させることになる点である。704Aなどの熱伝導層の場合では、熱による恩恵は、数十ミクロンよりはるかに厚い層を必要とする。
図19を参照すると、本発明のさらに別の代替の実施例であるエンドホール・イオン源800が示されている。シリンダ及び中心板は、ここでも単一の一体的要素である熱伝導性カップ820へと組み込まれている。しかしながら、この実施例では、冷却流体が通って流れることができる内部通路(通路832)が、閉止端の代わりにカップの円筒部にある。前述のように、シリンダ及び閉止端は、単一の一体的要素を形成している。側壁と閉止端とは、冷却通路が側壁にある状態で、一方を他方から分離可能であってもよい。
本発明の具体的な実施例を図示及び記載してきたが、様々な代替が提案されており、変更及び改良が、本発明の最も広い態様において本発明から逸脱することなく行われ得ることは、当業者には明白である。そのため、添付の特許請求の範囲の目的は、特許性があるものの真の精神及び範囲内にあるとされるすべてのこのような変更及び改良を網羅することである。

Claims (20)

  1. 閉止端、側壁、開放端、及び、流体が通って流れることができる内部通路を有するカップを備え、前記カップは、陽極又は反射体のいずれかと物理的又は電気的に接触することなく前記陽極及び反射体を包囲し、前記閉止端が前記反射体と内部極片との間に配置され、前記カップと外部極片とが互いに物理的に接触しており、前記カップ及び前記外部極片のうちの少なくとも一方が、1Gpa以下のミクロ硬度の材料から成る、冷却手段、を備えるエンドホール・イオン源装置。
  2. 前記陽極は、側部において放電領域を包囲する、請求項1に記載のエンドホール・イオン源装置。
  3. 前記反射体は、前記閉止端の側において前記放電領域を包囲する、請求項2に記載のエンドホール・イオン源装置。
  4. 前記放電領域の外側に位置する電子放出手段をさらに備える、請求項3に記載のエンドホール・イオン源装置。
  5. イオン化可能なガスを前記放電領域に導入するための手段をさらに備える、請求項4に記載のエンドホール・イオン源装置。
  6. 前記内部極片は、前記放電領域の前記閉止端の外側で前記反射体の近くに配置される、請求項5に記載のエンドホール・イオン源装置。
  7. 前記外部極片は、前記放電領域の前記開放端の周りに配置される、請求項6に記載のエンドホール・イオン源装置。
  8. 前記外部極片は、前記陽極と前記電子放出手段との間に配置される、請求項7に記載のエンドホール・イオン源装置。
  9. 前記カップが第1の面を備え、前記外部極片が、前記カップの前記第1の面と接触している第2の面を備え、前記第1及び前記第2の面の少なくとも一方が、前記カップ又は前記外部極片に永久的に付着される1Gpa以下のミクロ硬度の層からなる、請求項1に記載のエンドホール・イオン源装置。
  10. 前記外部極片が、永久的に付着される1Gpa以下のミクロ硬度の層から成る面を有し、前記外部極片が第1の熱伝導率を有し、前記低ミクロ硬度の層が、前記第1の熱伝導率よりも大きい第2の熱伝導率を有し、前記外部極片の前記面の半分以上を覆う、請求項1に記載のエンドホール・イオン源装置。
  11. 前記外部極片が、放電領域の前記開放端の周りに配置される第1の複数の孔を備え、前記カップの前記側壁は、前記外部極片における前記第1の複数の孔の配置にそれぞれ対応する配置となっている第2の複数の孔を備え、前記カップが第1の熱膨張係数を有し、前記エンドホール・イオン源装置はさらに、第2の熱膨張係数を有する複数の組立要素であって、前記カップと物理的に接触している前記外部極片を保持するために、前記第1の複数の孔及び前記第2の複数の孔を通って延びる複数の組立要素を備え、前記第1の熱膨張係数が前記第2の熱膨張係数よりも大きい、請求項1に記載のエンドホール・イオン源装置。
  12. 前記側壁と前記閉止端とが互いに分離でき、前記カップの前記側壁及び前記閉止端の少なくとも一方が、流体が通って流れることができる内部通路を有し、前記カップの前記側壁及び前記閉止端の少なくとも一方が、1Gpa以下のミクロ硬度を有する、請求項1に記載のエンドホール・イオン源装置。
  13. 前記カップの前記側壁と前記外部極片とが物理的に接触しており、前記側壁、前記閉止端、及び前記外部極片のうちの少なくとも1つが、1Gpa以下のミクロ硬度を有する、請求項12に記載のエンドホール・イオン源装置。
  14. 前記側壁と前記閉止端とが互いに物理的に接触しており、前記側壁が第1の面を備え、前記外部極片が、前記第1の面と物理的に接触している第2の面を備え、前記第1の面及び前記第2の面の少なくとも一方が、それに永久的に付着された層から成り、前記層が1Gpa以下のミクロ硬度を有し、前記側壁及び前記閉止端の少なくとも一方が1Gpa以下のミクロ硬度を有する、請求項12に記載のエンドホール・イオン源装置。
  15. 前記側壁と前記外部極片とが互いに物理的に接触しており、前記閉止端が、前記側壁にある第4の面と接触する第3の面を備え、前記第3の面及び前記第4の面の少なくとも一方が、それに永久的に付着される層から成り、各々の前記層が1Gpa以下のミクロ硬度を有する、請求項14に記載のエンドホール・イオン源装置。
  16. 前記カップの前記側壁が、前記第1の熱膨張係数を示し、前記第2の複数の孔の配置にそれぞれ対応する配置となっている第3の複数の孔を前記閉止端にさらに備え、前記側壁と前記外部極片とが互いに物理的に接触しており、前記側壁と前記閉止端とが互いに物理的に接触しており、複数の組立要素が、前記外部極片、前記側壁、及び前記閉止端を物理的接触で一体的に保持するために、前記外部極片、前記カップの前記側壁、及び前記カップの前記閉止端において、前記第1の複数の孔、第2の複数の孔、及び第3の複数の孔を通って延びる、請求項11に記載のエンドホール・イオン源装置。
  17. 前記陽極又は前記反射体の面のうちの1つ又は複数の面が光学的に粗くされる、請求項1に記載のエンドホール・イオン源装置。
  18. 前記陽極又は前記反射体を向く前記外部極片又は前記カップの面が光学的に粗くされる、請求項1に記載のエンドホール・イオン源装置。
  19. 閉止端、側壁、開放端、及び流体が通って流れることができる内部通路を有するカップを備え、前記カップは、陽極又は反射体のいずれかと物理的又は電気的に接触することなく前記陽極及び前記反射体を包囲し、前記閉止端が前記反射体と内部極片との間に配置され、前記カップと外部極片とが互いに物理的に接触しており、前記カップ及び前記外部極片の少なくとも一方が、1Gpa以下のミクロ硬度の材料から成る、冷却手段、を備えるエンドホール・イオン源装置。
  20. 中心板と接触するシリンダと、流体が通って流れることができる内部通路とを有し、前記シリンダ及び前記中心板が陽極又は反射体のいずれかと物理的又は電気的に接触することなく前記陽極及び反射体を包囲し、前記中心板は、前記反射体と内部極片との間に配置され、前記シリンダと外部極片とが互いに物理的に接触しており、前記シリンダ、前記中心板、及び前記外部極片のうちの少なくとも1つが、1Gpa以下のミクロ硬度の材料から成る、冷却手段、を備えるエンドホール・イオン源装置。
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