JP6654853B2 - 電子部品基板の表面処理方法、大気圧プラズマ発生装置及び樹脂封止システム - Google Patents

電子部品基板の表面処理方法、大気圧プラズマ発生装置及び樹脂封止システム Download PDF

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本発明は、大気圧プラズマジェットを用いた電子部品基板の表面処理方法、大気圧プラズマジェットを生成する大気圧プラズマ発生装置及びこれを備える樹脂封止システムに関するものである。
従来、図6(a)に示すように、リードフレームや配線基板等の電子部品基板Wに半導体チップ等の電子部品Sを実装させた後、図6(b)及び図6(c)に示すように、この電子部品Sの周囲をトランスファ成形によって絶縁性の樹脂材料(モールド材料)でモールドすることにより、樹脂封止型の半導体装置(樹脂成形品P)を製造することが知られている(特許文献1)。なお、トランスファ成形は、電子部品Sが実装された電子部品基板Wを成形金型で挟み込んだ状態で、溶融したモールド材料をプランジャ等を用いて成形金型のカル→ランナ→ゲート→キャビティの順で加圧移動させることで、キャビティ内にある電子部品Sをモールドする成形方法である。
このようなトランスファ成形では、図6(b)に示すように、キャビティ部分で硬化したモールド部分Rだけでなく、成形金型のカル、ランナ及びゲート部分で硬化したモールド部分R(以下、カル、ランナ及びゲート部分で硬化したモールド材料をまとめて「不要樹脂」という)も電子部品基板Wに付着するため、電子部品Sをモールドした後に、不要樹脂Rを電子部品基板Wから除去する工程(ゲートブレイク)が行われる。このような不要樹脂Rの除去は、例えば、不要樹脂Rのゲート部分Rを中心として不要樹脂R及び電子部品基板Wを折り曲げ、不要樹脂Rのゲート部分Rを破断させると共に、不要樹脂Rのランナ部分Rを電子部品基板Wから引き剥がすことによって行われる。
ここで、トランスファ成形に用いられる電子部品基板Wは、ガラスエポキシ基板やポリイミド基板等のモールド材料との接着性が良い基板が用いられることが多く、また、モールド材料との接着性を向上させるために、その表面にレジスト材が塗布されることが一般的である。このような電子部品基板Wでは、不要樹脂Rのランナ部Rが電子部品基板Wのランナ部W(図6(a)の仮想線で示す領域)に強固に接着してしまい、不要樹脂Rの除去時に引き剥がすことが困難となる。このため、従来の電子部品基板Wでは、例えば、電子部品基板Wのランナ部Wに相当する領域に半導体パッケージの内部配線や外部電極となる金属(図示せず)を所定厚さで形成することで、不要樹脂Rの剥離性を向上させている。
特開2005−228769号公報
しかしながら、従来の電子部品基板Wにおいて、半導体パッケージの内部配線や外部電極は、主として金メッキで形成されるため、製造原価が高価となると共に、メッキ工程においてシアンメッキ浴を用いるため環境負荷が大きいという問題がある。
そこで、本発明者は、電子部品基板におけるキャビティ部の接着性及びランナ部の剥離性の双方を確保しつつ、金及びシアンの使用量を削減するために、鋭意検討の結果、電子部品基板のランナ部に有機ケイ素含有層を形成することで、電子部品基板のランナ部に剥離性を付与することを見出した。
ここで、有機ケイ素含有層を形成するための手段として、図7に示すように、下型102及び上型104の間に進退自在に設けられたプラズマトーチ110と、プラズマトーチ110に電圧を印加可能に構成された高周波電源112と、プラズマトーチ110に接続されたバブラーボトル114及びアルゴンガス源116とからなるプラズマ処理機構100が知られている(例えば、特開2010−253775号公報)。バブラーボトル114は、その内部にヘキサメチルジシロキサン又はテトラエトキシシラン等の水溶液が収容されており、アルゴンガス源116から供給されるアルゴンガスによって水溶液をバブリングして気化させることで、有機ケイ素含有ガスを生成するよう構成されている。この従来のプラズマ処理機構100は、バブラーボトル114において生成された有機ケイ素含有ガスをプラズマトーチ110に供給した状態で、高周波電源112によりプラズマトーチ110に対して電圧を印加することで、プラズマトーチ110からプラズマジェット118を放射し、このプラズマジェット118によって上型104の型面に有機ケイ素含有層を形成するよう構成されている。
しかしながら、従来のプラズマ処理機構100では、有機ケイ素含有ガスを原料としてプラズマを発生させるものであることから、アルゴンガス等の不活性ガスのみによってプラズマを発生させる場合と比較して、プラズマが発生しにくいという問題がある。このため、従来のプラズマ処理機構100では、有機ケイ素含有層の形成が不十分になるおそれや、有機ケイ素含有層が不均一になるおそれがあり、これにより、十分な剥離性を確保することができず、不要樹脂がランナ部に残存するおそれや、不要樹脂の除去時にランナ部近傍の回路が破損するおそれがある。そして、このようなランナ部に不要樹脂が残存した電子部品基板や、回路が破損した電子部品基板は、不良品として廃棄されることとなるため、生産性及び歩留まりが悪いという問題がある。
そこで、本発明は、電子部品基板におけるキャビティ部の接着性及びランナ部の剥離性の双方を確保しつつ、金及びシアンの使用量を削減すると共に、電子部品基板のランナ部に確実に有機ケイ素含有層を形成することで生産性及び歩留まりを向上させることが可能な電子部品基板の表面処理方法、大気圧プラズマ発生装置及び樹脂封止システムを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明に係る電子部品基板の表面処理方法は、大気圧雰囲気下で生成されたプラズマジェットを用いて、樹脂封止処理前の電子部品基板のランナ部に有機ケイ素含有層を形成する電子部品基板の表面処理方法であって、プラズマジェットを発生させるためのプラズマ原料ガスによってプラズマジェットを発生させるプラズマジェット発生工程と、有機ケイ素を含有する有機ケイ素含有ガスを前記プラズマジェットに混合させる混合工程と、前記有機ケイ素含有ガスが混合された有機ケイ素含有プラズマジェットを電子部品基板のランナ部に放射することで、該電子部品基板のランナ部に有機ケイ素含有層を形成する有機ケイ素含有層形成工程とを備えることを特徴とする。
本発明に係る電子部品基板の表面処理方法において、前記有機ケイ素は、有機シロキサン又は有機シランであることが好ましい。
本発明に係る大気圧プラズマ発生装置は、大気圧雰囲気下においてプラズマジェットを生成する大気圧プラズマ発生装置であって、プラズマジェットを発生させるためのプラズマ原料ガスが流動するプラズマ原料ガス流路部と、有機ケイ素を含有する有機ケイ素含有ガスが流動する有機ケイ素含有ガス流路部と、一端部が前記プラズマ原料ガス流路部及び前記有機ケイ素含有ガス流路部の下流側とそれぞれ連通接続され、他端部が放射対象物に向けて開放されたプラズマジェット放射部と、前記プラズマ原料ガス流路部に設置された電極部と、前記電極部に電圧を印加することで、前記プラズマ原料ガス流路部から前記プラズマジェット放射部を介して放射対象物に向かうプラズマジェットを生成する電圧供給部とを備え、前記プラズマジェット放射部において、前記プラズマ原料ガス流路部において生成されたプラズマジェットと、前記有機ケイ素含有ガス流路部から前記プラズマジェット放射部に流入した有機ケイ素含有ガスとを混合させ、有機ケイ素含有ガスが混合された有機ケイ素含有プラズマジェットを放射対象物に向けて放射するよう構成されていることを特徴とする。
本発明に係る大気圧プラズマ発生装置は、前記プラズマジェット放射部に設けられたグランド電極部を更に備えることが好ましい。
本発明に係る大気圧プラズマ発生装置において、前記有機ケイ素は、有機シロキサン又は有機シランであることが好ましい。
本発明に係る樹脂封止システムは、上述の大気圧プラズマ発生装置と、前記大気圧プラズマ発生装置から放射された有機ケイ素含有プラズマジェットによって表面処理が行われた放射対象物に対して樹脂封止成形を行う樹脂封止装置と、前記大気圧プラズマ発生装置から前記樹脂封止装置に向けて前記放射対象物を搬送する搬送手段とを備え、前記放射対象物は、樹脂封止処理前の電子部品基板であり、前記大気圧プラズマ発生装置は、前記有機ケイ素含有プラズマジェットを前記電子部品基板のランナ部に放射することで、該電子部品基板のランナ部に有機ケイ素含有層を形成するよう構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、電子部品基板におけるキャビティ部の接着性及びランナ部の剥離性の双方を確保しつつ、金及びシアンの使用量を削減すると共に、電子部品基板のランナ部に確実に有機ケイ素含有層を形成することで生産性及び歩留まりを向上させることが可能な電子部品基板の表面処理方法、大気圧プラズマ発生装置及び樹脂封止システムを提供することができる。
本発明の一実施形態に係る樹脂封止システムの概略構成を示す正面斜視図である。 本実施形態に係る上型及び下型の断面形状を概略的に示す概略断面図である。 本実施形態に係るプラズマ発生装置の概略構成を一部省略して示す背面斜視図である。 本実施形態に係るプラズマ発生装置の概略構成を一部省略して示す断面図である。 本実施形態に係るプラズマ発生装置の全体構成を概略的に示す図である。 図6(a)は、電子部品が実装された電子部品基板の一例を示す斜視図であり、図6(b)は、不要樹脂付きの樹脂成形品の一例を示す斜視図であり、図6(c)は、不要樹脂が除去された樹脂成形品の一例を示す斜視図である。 従来のプラズマ処理機構を示す概略図である。
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
本実施形態に係る樹脂封止システム1は、図1に示すように、半導体チップ等の電子部品Sが実装された電子部品基板Wに対して樹脂封止成形を行う樹脂封止装置2と、樹脂封止装置2に対して電子部品基板W及び樹脂タブレットを供給するワーク・タブレット供給機構4と、樹脂封止装置2から樹脂封止後の樹脂成形品Pを回収する樹脂成形品回収機構6とを備えている。
ワーク・タブレット供給機構4及び樹脂成形品回収機構6は、樹脂封止装置2の両側面方向に延びる長尺なベース8上に設けられており、樹脂封止装置2は、ベース8の略中央部分に形成された収容スペースに収容されている。また、本実施形態に係る樹脂封止システム1では、樹脂封止装置2を中心として、樹脂封止装置2の一方の側面側(図1の左側)にワーク・タブレット供給機構4が配置され、樹脂封止装置2の他方の側面側(図1の右側)に樹脂成形品回収機構6が配置されている。すなわち、本実施形態に係る樹脂封止システム1では、ベース8の一方の端部側の領域(図1の左端部側の領域)から電子部品基板Wが供給され、ベース8の長手方向の略中央の領域において樹脂封止成形が行われた後、ベース8の他方の端部側の領域(図1の左端部側の領域)において不要樹脂Rの除去(ゲートブレイク)及び樹脂成形品Pの回収が行われるよう構成されている。
樹脂封止装置2は、図1に示すように、床面上に載置された矩形板状の下プラテン11と、下プラテン11の四隅から上方に向けて延びる4本のタイバー10と、4本のタイバー10の上端部に四隅が連結された矩形板状の上プラテン12と、4本のタイバー10が四隅を貫通し、下プラテン11及び上プラテン12の間においてタイバー10に沿って昇降可能に設けられた矩形板状の移動プラテン14と、下プラテン11と移動プラテン14との間に設けられ、移動プラテン14を昇降させる昇降型締機構16とを備えている。また、樹脂封止装置2は、昇降型締機構16や後述するプランジャ19及びエジェクト機構等の駆動手段を制御する制御部(図示せず)を更に備えている。昇降型締機構16は、油圧式又は電動式型締シリンダや、油圧式又は電動式トグルリンク型締機構等の種々の型締機構を採用することが可能である。なお、本実施形態に係る樹脂封止装置2において、これらタイバー10、下プラテン11、上プラテン12、移動プラテン14及び昇降型締機構16は、種々の公知の構成を採用することが可能であるため、その詳細な説明を省略する。
また、樹脂封止装置2は、図1及び図2に示すように、上プラテン12の下面に取り付けられた上型13と、移動プラテン14の上面(上型13と対向する面)に取り付けられ、上型13と共に金型キャビティCを形成可能な下型15とを更に備えている。
下型15には、図1及び図2に示すように、電子部品基板Wを収容する収容凹部17と、樹脂タブレット(図示せず)を収容可能な複数(本実施形態では5つ)の収容ポット形成孔部18とが形成されている。収容ポット形成孔部18には、それぞれ、収容ポット形成孔部18内に収容された樹脂タブレットを金型キャビティCに向けて押し出すプランジャ19が配置されており、収容ポット形成孔部18とプランジャ19の上面とにより、樹脂タブレットを収容する収容ポットが形成されるよう構成されている。また、下型15には、樹脂封止成形後に、不要樹脂Rが付着した状態の樹脂成形品Pを下型15から離間させるエジェクト機構(図示せず)が配置されている。
上型13の下面には、図2に示すように、収容ポット形成孔部18と整合する位置に形成されたカル部13aと、電子部品基板Wの電子部品Sと整合する位置に形成されたキャビティ部13dと、カル部13aからキャビティ部13dに向けて樹脂を流動させるランナ部13bと、ランナ部13bを流動する樹脂をキャビティ部13d内に流入させるゲート部13cとが、それぞれ収容ポット形成孔部18と同数(本実施形態では5つ)ずつ形成されている。また、上型13には、樹脂封止成形後に、樹脂成形品Pをキャビティ部13dから離間させるエジェクト機構(図示せず)が配置されている。ここで、カル部13aとは、樹脂注入の際にランナ部13bに充填されずにプランジャ19との間において樹脂が残存する領域をいうものとする。また、ランナ部13bは、キャビティ部13dに向けて樹脂を流動させる経路のうち、カル部13aからゲート部13cまでの領域をいうものとする。さらに、ゲート部13cは、樹脂がキャビティ部13dに流入される流入口であって、ランナ部13bからキャビティ部13dまでの領域をいうものとする。
以上の構成を備える本実施形態に係る樹脂封止装置2は、図2に示すように、上型13及び下型15によって電子部品基板Wを挟み込んだ状態で、溶融したモールド材料をプランジャ19を用いて加圧し、上型13のカル部13a→ランナ部13b→ゲート部13c→キャビティ部13dの順で流動させ、熱硬化させることで、キャビティ部13d内に配置された電子部品Sをモールドし、樹脂成形品Pを製造するよう構成されている。このような樹脂封止装置2により製造された樹脂成形品Pには、キャビティ部13d内で硬化したモールド部分Rだけでなく、カル部13a、ランナ部13b及びゲート部13cで硬化したモールド部分、すなわち不要樹脂Rも付着している。
なお、本実施形態に係る樹脂封止装置2において、これら上型13、下型15、収容ポット形成孔部18、プランジャ19及びエジェクト機構は、種々の公知の構成を採用することが可能であるため、その詳細な説明を省略する。
ワーク・タブレット供給機構4は、図1に示すように、複数の電子部品基板W(ワーク)を収容するラック20と、ラック20に収容された電子部品基板Wを1枚ずつ送り出すワーク供給装置22と、ワーク供給装置22から送り出された電子部品基板Wに対して大気圧プラズマ処理を施す大気圧プラズマ処理機構24と、大気圧プラズマ処理が施された電子部品基板W及び樹脂タブレットを樹脂封止装置2の上型13及び下型15の間に搬送するワーク・タブレット搬送装置(搬送手段)26と、ワーク・タブレット搬送装置26に樹脂タブレットを供給するタブレット供給装置28とを備えている。また、ワーク・タブレット供給機構4は、ワーク供給装置22、ワーク・タブレット搬送装置26及びタブレット供給装置28にそれぞれ設けられた駆動部(図示せず)と、各駆動部を同期して又は非同期状態で制御する制御部(図示せず)とを更に備えている。各駆動部は、例えばサーボモータ等の種々の公知の駆動手段を採用することができ、制御部から出力される制御信号に基づいて動作するよう構成されている。なお、ラック20及びワーク供給装置22は、種々の公知の構成を採用することが可能であるため、その詳細な説明を省略する。
大気圧プラズマ処理機構24は、図3に示すように、ラック20及びワーク供給装置22とワーク・タブレット搬送装置26との間に配置されたステージ30と、ステージ30上に設けられ、ラック20及びワーク供給装置22から受領した電子部品基板Wをワーク・タブレット搬送装置26に向けて搬送する搬送部32と、ステージ30上に設けられ、搬送部32によって搬送される電子部品基板Wのランナ部Wに対して有機ケイ素含有プラズマジェット42を放射する大気圧プラズマ発生装置40とを備えている。
搬送部32は、図3に示すように、ステージ30の上面に設けられ、ラック20及びワーク供給装置22からワーク・タブレット搬送装置26に向けて延びる一対の進退方向ガイドレール33と、一対の進退方向ガイドレール33に沿って移動可能に構成された進退方向移動体34と、進退方向移動体34の上面に設けられ、一対の進退方向ガイドレール33と交差する方向(図示の例では直交する方向)に延びる一対の幅方向ガイドレール35と、一対の幅方向ガイドレール35に沿って移動可能に構成された幅方向移動体36と、幅方向移動体36上に設けられたマスク部材37とを備えている。また、搬送部32は、進退方向移動体34及び幅方向移動体36にそれぞれ設けられた駆動部(図示せず)と、各駆動部を同期して又は非同期状態で制御する制御部(図示せず)とを更に備えている。各駆動部は、例えばサーボモータ等の種々の公知の駆動手段を採用することができ、制御部から出力される制御信号に基づいて動作するよう構成されている。以下、ラック20及びワーク供給装置22からワーク・タブレット搬送装置26に向かう方向及びその逆方向を「進退方向」といい、進退方向と交差かつステージ30の上面と平行な方向を「幅方向」という。
進退方向移動体34は、図3に示すように、矩形状に形成された板部材であり、その下面の四隅に設けられたスライダ部34aを介して、一対の進退方向ガイドレール33に摺動移動可能に取り付けられている。これにより、進退方向移動体34は、ラック20及びワーク供給装置22から電子部品基板Wを受け取る受け取り位置と、電子部品基板Wをワーク・タブレット搬送装置26に受け渡す受け渡し位置との間を往復移動可能に構成されている。
幅方向移動体36は、図3に示すように、電子部品基板Wを載置可能な載置凹部36aが上面に形成された矩形状の板部材であり、その下面に設けられた一対のスライダ部36bを介して、一対の幅方向ガイドレール35に摺動移動可能に取り付けられている。これにより、幅方向移動体36は、電子部品基板Wを幅方向に移動させることが可能に構成されている。
マスク部材37は、図3に示すように、電子部品基板Wの各ランナ部Wと整合する位置にそれぞれ開口37aが形成された薄板状の金属部材であり、電子部品基板Wの各ランナ部Wを露出させつつ、電子部品基板Wの各ランナ部Wの周辺領域を遮蔽するよう構成されている。このマスク部材37は、図示しないマスク部材移動手段によって、電子部品基板W上に配置されたマスキング位置と、電子部品基板W上から除去された非マスキング位置との間を移動可能に構成されている。
以上のとおり、搬送部32は、進退方向移動体34によって電子部品基板Wを進行方向(ラック20及びワーク供給装置22からワーク・タブレット搬送装置26に向かう方向)に移動させることが可能で、かつ、幅方向移動体36によって電子部品基板Wを幅方向(進退方向と交差する方向)に移動させることが可能に構成されている。このような搬送部32によれば、大気圧プラズマ発生装置40から放射される不動かつピンポイントな有機ケイ素含有プラズマジェット42に対して、電子部品基板Wを進退方向及び幅方向に任意に移動させることが可能となるため、広範囲に亘って、電子部品基板Wに対する表面処理を行うことができる。
大気圧プラズマ発生装置40は、図3に示すように、ステージ30の上面に立設された支持バー40aと、支持バー40aに取り付けられたプラズマヘッド40bと、プラズマヘッド40bから有機ケイ素含有プラズマジェット42を発生させるための各種制御を実行する制御部(図示せず)とを備えている。プラズマヘッド40bは、支持バー40aの軸方向に沿って移動可能で、かつ、任意の位置(高さ)で位置保持可能に構成されている。
プラズマヘッド40bは、図4に示すように、プラズマジェットを発生させるためのプラズマ原料ガスが流動するプラズマ原料ガス流路部44と、有機ケイ素を含有する有機ケイ素含有ガスが流動する有機ケイ素含有ガス流路部45と、プラズマ原料ガス流路部44及び有機ケイ素含有ガス流路部45の合流部に設けられたプラズマジェット放射部46と、プラズマ原料ガス流路部44に設置された高圧電極部47と、プラズマジェット放射部46に設けられたグランド電極部48と、高圧電極部47に電圧を印加可能に構成された電圧供給部(図示せず)とを備えている。なお、電圧供給部は、高圧電極部47に電圧を印加することによって、プラズマ原料ガス流路部44からプラズマジェット放射部46を介して放射対象物(本実施形態では電子部品基板W)に向かうプラズマジェットを生成可能なものであれば、種々の公知の電源(例えば、10kHz,20kV程度の低周波高圧電源等)を採用することが可能であるため、その詳細な説明を省略する。
プラズマ原料ガス流路部44は、図4及び図5に示すように、配管44aを介してガス供給源49aと連通接続されている。また、有機ケイ素含有ガス流路部45は、図4及び図5に示すように、有機ケイ素含有ガス流路部45と気化器49cとの間に配された第1配管45aと、気化器49cと水溶液供給源49bとの間に配された第2配管45bと、水溶液供給源49bとガス供給源49aとの間に配された第3配管45cとを介して、気化器49c、水溶液供給源49b及びガス供給源49aと連通接続されている。プラズマジェット放射部46は、図4に示すように、一端部がプラズマ原料ガス流路部44及び有機ケイ素含有ガス流路部45の下流側とそれぞれ連通接続され、他端部が放射対象物(本実施形態では電子部品基板W)に向けて開放されている。
ガス供給源49aには、高圧電極部47を介して電圧供給部から印加された電圧によってプラズマを発生させることが可能なプラズマ原料ガス、例えば、ヘリウムガスやアルゴンガス等の不活性ガスが貯留されている。水溶液供給源49bには、放射対象物の処理領域(本実施形態では電子部品基板Wのランナ部W)に有機ケイ素含有層Lを形成することが可能な有機ケイ素化合物を含有する水溶液(重合液体)、例えば、有機シロキサン(例えば、ヘキサメチルジシロキサン)や有機シラン(例えば、テトラエトキシシラン)等を含有する水溶液が収容されている。気化器49cは、バブラー、直接気化器及びベーキング気化器等の適宜の気化器であり、ガス供給源49aから供給されたプラズマ原料ガスによって有機ケイ素化合物を含有する水溶液を気化させ、有機ケイ素含有ガスを生成するよう構成されている。
以上の構成を備えるプラズマヘッド40bは、プラズマジェット放射部46において、プラズマ原料ガス流路部44において生成されたプラズマジェットと、有機ケイ素含有ガス流路部45からプラズマジェット放射部46に流入した有機ケイ素含有ガスとを混合させ、有機ケイ素含有ガスが混合された有機ケイ素含有プラズマジェット42を放射対象物(本実施形態では電子部品基板W)に向けて放射するよう構成されている。すなわち、本実施形態に係る大気圧プラズマ発生装置40は、プラズマ原料ガス流路部44においてプラズマ原料ガスのみによってプラズマジェットを生成した後に、このプラズマジェットに有機ケイ素含有ガスを合流させることで、有機ケイ素化合物を原料として生成されるラジカルを含む有機ケイ素含有プラズマジェット42を放射対象物の処理領域(本実施形態では電子部品基板Wのランナ部W)に放射し、この放射対象物の処理領域に有機ケイ素含有層(有機ケイ素皮膜)Lを形成するよう構成されている。
ワーク・タブレット搬送装置26は、図1に示すように、樹脂タブレットを一時的に収容可能な複数のサブポット26aと、電子部品基板Wを一時的に収容可能なワーク収容部26bとを有している。サブポット26aは、樹脂封止装置2の下型15に形成された収容ポット形成孔部18と同数(本実施形態では5つ)形成されている。このワーク・タブレット搬送装置26は、一対のスライダ部26cを介して、ベース8の長手方向と平行に延びるレール27に摺動移動可能に取り付けられている。これにより、ワーク・タブレット搬送装置26は、電子部品基板W及び樹脂タブレットを大気圧プラズマ処理機構24及びタブレット供給装置28から受け取る受け取り位置と、電子部品基板W及び樹脂タブレットを樹脂封止装置2に受け渡す受け渡し位置との間を往復移動可能に構成されている。
レール27は、ワーク・タブレット供給機構4から樹脂成形品回収機構6に亘って、樹脂封止装置2を横断して架け渡された長尺な板部材であり、ベース8に立設された複数の支持板により支持されている。このレール27には、ワーク・タブレット供給機構4側にワーク・タブレット搬送装置26が取り付けられ、かつ、樹脂成形品回収機構6側に後述する搬出装置50が取り付けられている。
タブレット供給装置28は、樹脂封止成形に用いられる樹脂タブレットを多数収容するタブレット収容器(図示せず)から樹脂タブレットを摘み出してワーク・タブレット搬送装置26まで搬送し、樹脂タブレットをワーク・タブレット搬送装置26に搭載させるよう構成されている。具体的には、タブレット供給装置28は、上下方向に沿って延びる一対のレール29に沿って昇降可能に構成されており、降下位置において、タブレット収容器から複数(本実施形態では5つ)の樹脂タブレットを摘み出し可能で、かつ、上昇位置において、摘み出した樹脂タブレットをワーク・タブレット搬送装置26のサブポット26aにそれぞれ搭載させることが可能に構成されている。なお、タブレット収容器は、複数の樹脂タブレットを整列して収容可能に構成された容器であり、ベース8よりも下方のスペースに配置されている。
以上の構成を備えるワーク・タブレット供給機構4は、電子部品Sが実装された電子部品基板Wのランナ部Wに対して大気圧プラズマによって有機ケイ素含有層Lを形成した上で、樹脂封止成形の1サイクル毎に、ワーク・タブレット搬送装置26によって電子部品基板W及び樹脂タブレットを樹脂封止装置2内に移動させ、ワーク・タブレット搬送装置26から樹脂タブレットを下型15の収容ポット(収容ポット形成孔部18内)にそれぞれ投下させると共に、下型15の収容凹部17に電子部品基板Wを載置させるよう構成されている。
樹脂成形品回収機構6は、図1に示すように、樹脂封止装置2から不要樹脂R付きの樹脂成形品Pを搬出する搬出装置50と、樹脂成形品Pから不要樹脂Rを除去するゲートブレーク装置52と、不要樹脂Rが除去された樹脂成形品Pを回収する樹脂成形品回収装置(図示せず)とを備えている。また、樹脂成形品回収機構6は、搬出装置50、ゲートブレーク装置52及び樹脂成形品回収装置にそれぞれ設けられた駆動部(図示せず)と、各駆動部を同期して又は非同期状態で制御する制御部(図示せず)とを更に備えている。各駆動部は、例えばサーボモータ等の種々の公知の駆動手段を採用することができ、制御部から出力される制御信号に基づいて動作するよう構成されている。なお、樹脂成形品回収装置は、種々の公知の構成を採用可能であるため、その説明を省略する。
搬出装置50は、図1に示すように、上面部及び背面部からなる断面倒L字状に形成されており、背面部に設けられた一対のスライダ部(図示せず)を介して、レール27に摺動移動可能に取り付けられている。搬出装置50の上面部には、樹脂成形品P及び不要樹脂Rをそれぞれ保持する保持手段が設けられている。保持手段としては、例えば、フレキシブルチューブ(図示せず)を介して真空ポンプ(図示せず)と接続され、真空ポンプの駆動によって樹脂成形品P及び不要樹脂Rをそれぞれ吸着させるよう構成された吸着手段51を採用可能であるが、これに限定されるものではない。以上の構成を備える搬出装置50は、不要樹脂R付きの樹脂成形品Pを樹脂封止装置2から受け取る受け取り位置と、不要樹脂R付きの樹脂成形品Pから不要樹脂Rを除去する処理が行われるゲートブレーク位置との間を往復移動可能に構成されている。
ゲートブレーク装置52は、図1に示すように、樹脂成形品Pに付着した不要樹脂Rを上方から押圧することで不要樹脂Rを樹脂成形品Pから分離させる押圧手段54と、分離されて落下した不要樹脂Rを収集する収集容器58と、押圧手段54と収集容器58との間に設けられ、落下中の不要樹脂Rを収集容器58に向けて導くガイド部材56とを備えている。押圧手段54は、不要樹脂Rのカル部に相当する部位を上方から押圧することで、不要樹脂Rのゲート部分Rを破断させると共に、不要樹脂Rのランナ部分Rを電子部品基板Wから引き剥がすよう構成されている。
次に、本実施形態に係る樹脂封止システム1の動作について、説明する。なお、以下の樹脂封止システム1の動作は、予め記憶部に記憶されたプログラムに基づいて、各構成要素が駆動制御されることにより実行される。
まず、ワーク供給装置22によってラック20から大気圧プラズマ処理機構24に向けて電子部品基板Wが1枚ずつ送り出される。ラック20から送り出された電子部品基板Wは、大気圧プラズマ処理機構24の幅方向移動体36の載置凹部36a上に載置されると共に、その上面にマスク部材37が配置される。
大気圧プラズマ処理機構24では、大気圧プラズマ発生装置40によって有機ケイ素含有プラズマジェット42を放射しながら、進退方向移動体34及び幅方向移動体36によって電子部品基板Wをワーク・タブレット搬送装置26まで搬送することで、電子部品基板Wの各ランナ部Wの領域に有機ケイ素含有層Lを形成する。
具体的には、大気圧プラズマ発生装置40は、ガス供給源49aから供給されるプラズマ原料ガスと、高圧電極部47を介して電圧供給部から印加された電圧とによって、プラズマ原料ガス流路部44においてプラズマジェットを生成する。また、これと並行して、ガス供給源49aから供給されるプラズマ原料ガスを用いて、気化器49cによって水溶液供給源49bの水溶液を気化させることで、有機ケイ素含有ガスを生成する。そして、これらプラズマジェット及び有機ケイ素含有ガスをプラズマジェット放射部46において合流させることで、プラズマジェット放射部46から有機ケイ素含有プラズマジェット42を連続して又は断続的に放射させる。
また、進退方向移動体34及び幅方向移動体36は、大気圧プラズマ発生装置40から放射される不動かつピンポイントな有機ケイ素含有プラズマジェット42に対して、マスク部材37の開口部37a内、すなわち、電子部品基板Wの各ランナ部Wの領域が満遍なく有機ケイ素含有プラズマジェット42によって照射されるよう、電子部品基板Wを幅方向に微移動させながら進行方向(ラック20及びワーク供給装置22からワーク・タブレット搬送装置26に向かう方向)に移動させる。これにより、電子部品基板Wの各ランナ部Wに対する表面処理(有機ケイ素含有層Lの形成処理)を行いながら、ラック20からワーク・タブレット搬送装置26に向けて電子部品基板Wを搬送する。
進退方向移動体34及び幅方向移動体36によって電子部品基板Wがワーク・タブレット搬送装置26まで搬送されると、電子部品基板W上のマスク部材37がマスク部材移動手段によって除去されると共に、電子部品基板Wがワーク・タブレット搬送装置26のワーク収容部26bに受け渡される。また、これと並行して、複数(本実施形態では5つ)の樹脂タブレットがタブレット供給装置28からワーク・タブレット搬送装置26のサブポット26aに受け渡される。電子部品基板Wをワーク・タブレット搬送装置26に受け渡した進退方向移動体34及び幅方向移動体36は、ラック20側まで後退移動し、上記動作を繰り返し実行する。
電子部品基板W及び樹脂タブレットがワーク・タブレット搬送装置26に受け渡されると、ワーク・タブレット搬送装置26は、受領した電子部品基板W及び樹脂タブレットを保持した状態で樹脂封止装置2内に移動し、下型15の収容凹部17に電子部品基板Wを載置させると共に、樹脂タブレットを下型15の収容ポット(収容ポット形成孔部18内)にそれぞれ投下させる。電子部品基板W及び樹脂タブレットを受け渡したワーク・タブレット搬送装置26は、大気圧プラズマ処理機構24側まで後退移動し、上記動作を繰り返し実行する。
電子部品基板W及び樹脂タブレットが樹脂封止装置2に受け渡されると、樹脂封止装置2は、樹脂封止成形を実行する。これにより、樹脂封止装置2において不要樹脂R付きの樹脂成形品Pが製造される。そして、樹脂封止装置2において不要樹脂R付きの樹脂成形品Pが製造されると、搬出装置50は、樹脂封止装置2内の不要樹脂R付きの樹脂成形品Pを回収し、ゲートブレーク装置52に向けて搬送する。搬出装置50によって不要樹脂R付きの樹脂成形品Pがゲートブレーク装置52に到達すると、ゲートブレーク装置52は、樹脂成形品Pに付着した不要樹脂Rを上方から押圧することで不要樹脂Rを樹脂成形品Pから分離させ、これにより落下した不要樹脂Rを収集容器58にて収集する。また、樹脂成形品Pから不要樹脂Rが除去されると、樹脂成形品回収装置によって樹脂成形品Pが回収される。
そして、以上の工程が繰り返し実行されることにより、樹脂成形品Pが連続して製造される。
以上説明したとおり、本実施形態に係る樹脂封止システム1に用いられる大気圧プラズマ発生装置40は、プラズマジェットを発生させるためのプラズマ原料ガスが流動するプラズマ原料ガス流路部44と、有機ケイ素を含有する有機ケイ素含有ガスが流動する有機ケイ素含有ガス流路部45と、一端部がプラズマ原料ガス流路部44及び有機ケイ素含有ガス流路部45の下流側とそれぞれ連通接続され、他端部が放射対象物(本実施形態では電子部品基板W)に向けて開放されたプラズマジェット放射部46と、プラズマ原料ガス流路部44に設置された高圧電極部47(電極部)と、高圧電極部47に電圧を印加することで、プラズマ原料ガス流路部44からプラズマジェット放射部46を介して放射対象物に向かうプラズマジェットを生成する電圧供給部とを備え、プラズマジェット放射部46において、プラズマ原料ガス流路部44において生成されたプラズマジェットと、有機ケイ素含有ガス流路部45からプラズマジェット放射部46に流入した有機ケイ素含有ガスとを混合させ、有機ケイ素含有ガスが混合された有機ケイ素含有プラズマジェット42を放射対象物に向けて放射するよう構成されている。
このような大気圧プラズマ発生装置40によれば、プラズマ原料ガス流路部44においてプラズマ原料ガスのみによってプラズマジェットを確実かつ安定して生成した後に、このプラズマジェットに有機ケイ素含有ガスを合流させることで、有機ケイ素化合物を原料として生成されるラジカルを含む有機ケイ素含有プラズマジェット42を生成するよう構成されているため、従来のプラズマ処理機構100と比較して、より確実かつ安定して有機ケイ素含有プラズマジェット42を生成することが可能となる。これにより、本実施形態に係る大気圧プラズマ発生装置40によれば、生産性及び歩留まりを向上させることができる。また、有機ケイ素含有プラズマジェット42によって電子部品基板Wのランナ部Wに有機ケイ素含有層Lを形成するようにすれば、金メッキを使用せずとも、電子部品基板Wのランナ部Wに剥離性を付与することが可能となるため、電子部品基板Wにおけるキャビティ部の接着性及びランナ部Wの剥離性の双方を確保しつつ、金及びシアンの使用量を削減することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上記各実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、樹脂封止装置2を中心として、樹脂封止装置2の一方の側面側にワーク・タブレット供給機構4が配置され、樹脂封止装置2の他方の側面側に樹脂成形品回収機構6が配置されるものとして説明したが、これに限定されず、これら樹脂封止装置2、ワーク・タブレット供給機構4及び樹脂成形品回収機構6の配置関係は、適宜変更することが可能である。また、ワーク・タブレット供給機構4の内部及び樹脂成形品回収機構6の内部における各構成要素の配置についても、適宜変更することが可能である。
上述した実施形態では、5つの電子部品Sが並列して実装された電子部品基板W(リードフレームや配線基板)をワーク(処理対象)としていることから、マスク部材37の開口37aと、ワーク・タブレット搬送装置26のサブポット26aと、下型15の収容ポット形成孔部18と、上型13のカル部13a、ランナ部13b、ゲート部13c及びキャビティ部13dと、搬出装置50の吸着手段51とがそれぞれ5つ形成されるとしたが、これに限定されず、これらの数は、処理対象となる電子部品基板Wに実装される電子部品Sの数や位置に対応して適宜変更される。
上述した実施形態では、マスク部材37が、開口37aが形成された薄板状の金属部材であるものとして説明したが、これに限定されず、電子部品基板Wの各ランナ部Wを露出させつつ、電子部品基板Wの各ランナ部Wの周辺領域を遮蔽可能なものであれば良く、例えばマスキングテープ等であっても良い。また、電子部品基板Wのキャビティ部に有機ケイ素含有層Lが形成されないよう幅方向移動体36の動作を制御可能であれば、マスク部材37を設けない構成としても良い。
上述した実施形態では、大気圧プラズマ発生装置40のプラズマジェット放射部46にグランド電極部48が設けられるものとして説明したが、これに限定されるものではない。グランド電極部48は、プラズマ原料ガス流路部44において発生したプラズマジェットの勢いを抑えるために設けられるものであり、グランド電極部48を設置せずともプラズマジェットの威力を適切な範囲とすることができる場合には、グランド電極48を設けない構成としても良い。
上述した実施形態では、プラズマジェットを発生させるガス(プラズマ原料ガス)と、有機ケイ素含有ガスを生成するガス(キャリアガス)とが、ガス供給源49aから供給される同一のガスであるものとして説明したが、これに限定されず、プラズマジェットを発生させるガス(プラズマ原料ガス)と、有機ケイ素含有ガスを生成するガス(キャリアガス)とが、異なるガス供給源から供給される異なる種類のガスであるとしても良い。
上述した実施形態では、有機ケイ素含有プラズマジェット42が不動かつピンポイントなプラズマジェットであり、この有機ケイ素含有プラズマジェット42に対して電子部品基板Wを進退方向及び幅方向に移動させるものであるとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、不動の電子部品基板Wに対して大気圧プラズマ発生装置40のプラズマヘッド40bが移動する構成としても良い。また、大気圧プラズマ発生装置40のプラズマヘッド40bから放射される有機ケイ素含有プラズマジェット42を幅広な形状とし、電子部品基板Wを進行方向のみに移動させる構成としても良い。
上述した実施形態では、大気圧プラズマ発生装置40が樹脂封止システム1の内部に配置されるものとして説明したが、これに限定されず、樹脂封止システム1の外部に配置される独立した装置であるとしても良い。また、大気圧プラズマ発生装置40は、上述した電子部品基板Wに対する表面処理の用途に限定されず、種々の用途に用いることが可能である。
1 樹脂封止システム、2 樹脂封止装置、26 ワーク・タブレット搬送装置(搬送手段)、40 大気圧プラズマ発生装置、42 有機ケイ素含有プラズマジェット、44 プラズマ原料ガス流路部、45 有機ケイ素含有ガス流路部、46 プラズマジェット放射部、47 高圧電極部(電極部)、48 グランド電極部、L 有機ケイ素含有層、W 電子部品基板、W 電子部品基板のランナ部

Claims (3)

  1. 有機ケイ素含有ガスが混合された有機ケイ素含有プラズマジェットを放射対象物に向けて放射するよう構成された大気圧プラズマ発生装置と、
    前記大気圧プラズマ発生装置から放射された有機ケイ素含有プラズマジェットによって表面処理が行われた放射対象物に対して樹脂封止成形を行う樹脂封止装置と、
    前記大気圧プラズマ発生装置から前記樹脂封止装置に向けて前記放射対象物を搬送する搬送手段と
    を備え、
    前記大気圧プラズマ発生装置は、
    プラズマジェットを発生させるためのプラズマ原料ガスが流動するプラズマ原料ガス流路部と、
    有機ケイ素を含有する有機ケイ素含有ガスが流動する有機ケイ素含有ガス流路部と、
    一端部が前記プラズマ原料ガス流路部及び前記有機ケイ素含有ガス流路部の下流側とそれぞれ連通接続され、他端部が前記放射対象物に向けて開放されたプラズマジェット放射部と、
    前記プラズマ原料ガス流路部に設置された電極部と、
    前記電極部に電圧を印加することで、前記プラズマ原料ガス流路部から前記プラズマジェット放射部を介して前記放射対象物に向かうプラズマジェットを生成する電圧供給部と
    を備え、
    前記プラズマジェット放射部において、前記プラズマ原料ガス流路部において生成されたプラズマジェットと、前記有機ケイ素含有ガス流路部から前記プラズマジェット放射部に流入した有機ケイ素含有ガスとを混合させ、有機ケイ素含有ガスが混合された前記有機ケイ素含有プラズマジェットを前記放射対象物に向けて放射するよう構成されており、
    前記放射対象物は、樹脂封止処理前の電子部品基板であり、
    前記大気圧プラズマ発生装置は、前記有機ケイ素含有プラズマジェットを前記電子部品基板のランナ部に放射することで、該電子部品基板のランナ部に有機ケイ素含有層を形成するよう構成されている
    ことを特徴とする樹脂封止システム。
  2. 前記プラズマジェット放射部に設けられたグランド電極部を更に備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の樹脂封止システム。
  3. 前記有機ケイ素は、有機シロキサン又は有機シランである
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂封止システム。
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