以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係るフォーカルプレーンシャッター17(羽根駆動装置)を備えた撮像装置1の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、撮像装置1は、操作部11、撮像素子12、制御部13、記憶部14、表示部15、駆動制御部16、およびフォーカルプレーンシャッター17を備える。また、フォーカルプレーンシャッター17は、先幕20A、後幕20B、先幕アクチュエータ70a、後幕アクチュエータ70b、先幕センサー60a、および後幕センサー60bを備える。なお、撮像装置1は、図1に図示していないが、焦点距離を調整するためのレンズ、撮像素子12に入射する光量を調整する絞り等を備えている。
撮像装置1は、例えばカメラである。撮像装置1は、利用者による操作を検出したとき、撮像素子12とフォーカルプレーンシャッター17を制御して露出作動を行う。撮像装置1は、撮像素子12が出力するデータを記憶部14に記憶させる。
操作部11は、レリーズスイッチまたはタッチパネルセンサーである。操作部11は、利用者が操作したことを検出し、検出した操作結果を制御部13に出力する。
撮像素子12は、CMOS(Complementary MOS)センサー、またはCCD(Charge Coupled Device)センサーである。撮像素子12は、光電変換作用により被写体像を電気信号に変換し、変換した電気信号の画像データを制御部13に出力する。
制御部13は、操作部11が出力した操作結果に応じて、駆動制御部16を制御して、先幕20Aと後幕20Bの開閉を制御することで、撮像を行う。制御部13は、撮像素子12が出力した画像データを記憶部14に記憶させたり、表示部15に表示させたりする。
記憶部14は、撮像された画像、シャッター速度に対応付けられた所定時間等を記憶する。
表示部15は、例えば、撮像素子12によって撮影された画像や撮像素子12から出力されたライブビュー動画を表示する。
駆動制御部16は、制御部13の制御に応じて、フォーカルプレーンシャッター17の先幕アクチュエータ70aと後幕アクチュエータ70bそれぞれの駆動を制御する。
フォーカルプレーンシャッター17は、駆動制御部16の制御に応じて、先幕20Aと後幕20Bそれぞれの開閉を制御する。また、フォーカルプレーンシャッター17は、先幕20Aの駆動時、先幕センサー60aにより先幕20Aの位置を検出し、検出した先幕20Aの位置を示す先幕位置情報を制御部13に出力する。フォーカルプレーンシャッター17は、後幕20Bの駆動時、後幕センサー60bにより後幕20Bの位置を検出し、検出した後幕20Bの位置を示す後幕位置情報を制御部13に出力する。
先幕20Aは、複数枚の羽根で構成され、先幕アクチュエータ70aによって後述する開口に対して開閉が行われる。
後幕20Bは、複数枚の羽根で構成され、後幕アクチュエータ70bによって開口に対して開閉が行われる。
先幕アクチュエータ70aは、駆動制御部16の制御に応じて先幕20Aの開閉を制御する。
後幕アクチュエータ70bは、駆動制御部16の制御に応じて後幕20Bの開閉を制御する。
先幕センサー60aは、互いに対向するように配置された発光素子と受光素子を備える。先幕センサー60aは、フォトカプラや近接センサーであってもよい。先幕センサー60aは、先幕20Aの位置を検出し、検出した位置を示す値を制御部13に出力する。
後幕センサー60bは、互いに対向するように配置された発光素子と受光素子を備える。後幕センサー60bは、フォトカプラや近接センサーであってもよい。後幕センサー60bは、後幕20Bの位置を検出し、検出した位置を示す値を制御部13に出力する。
次に、フォーカルプレーンシャッター17の構成例を説明する。
図2は、本実施形態に係るフォーカルプレーンシャッター17の正面図である。図2に示す例では、先幕アクチュエータ70a、後幕アクチュエータ70bについては省略してある。フォーカルプレーンシャッター17は、基板10、先幕20A、後幕20B、アーム31a、32a、31b、32b、先幕センサー60a、後幕センサー60b等を有している。基板10には、矩形状の開口81を有している。図2に示す例では、開口81内に撮像素子12の結像面を示している。また、本実施形態では、開口81の高さを画枠FPと呼ぶ。
先幕20Aは、3枚の羽根21a〜23aから構成される。後幕20Bは、3枚の羽根21b〜23bから構成される。なお、図2は、先幕20A、後幕20Bが重畳状態である場合を示している。図2は、初期状態でのフォーカルプレーンシャッター17を示している。初期状態においては、先幕20A、後幕20Bは開口81から退避している。すなわち、撮影開始時および撮影終了時(露出作動または露出作動の準備期間以外のとき)には、先幕20Aおよび後幕20Bは、開口81から退避した位置である開位置に位置している。この場合、初期状態では、開口81が開放状態なので、例えば、撮像素子12による撮像画像をライブビュー動作で表示部15に表示させることができる。なお、先幕20Aおよび後幕20Bが図2に示す開位置から移動して開口81を閉鎖した位置を閉位置と呼ぶ。また、図2に示す例では、先幕20Aにとっては、位置Eが開位置に対応し、位置Sが閉位置に対応する。また、後幕20Bにとっては、位置Sが開位置に対応し、位置Eが閉位置に対応する。先幕20Aはアーム31a、32aに連結されている。後幕20Bは、アーム31b、32bに連結されている。これらアーム31a、32a、31b、32bは、それぞれ基板10に回転自在に支持されている。
羽根21aは、先幕20Aを構成する複数の羽根のうちの一枚であり、アーム31a、32aの最も先端側に連結されている。また、羽根21aは、先幕20Aが走行する際に最も先に開口81に進行する。同様に、羽根21bは、後幕20Bを構成する複数の羽根のうちの一枚であり、アーム31b、32bの最も先端側に連結されている。また、羽根21bは、後幕20Bが走行する際に最も先に開口81に進行する。
基板10には、アーム31a、31bをそれぞれ駆動するための先幕駆動レバー55a、後幕駆動レバー55bが設けられている。先幕駆動レバー55a、後幕駆動レバー55bは、それぞれ歯車50a、50bに連結されている。歯車50a、50bは、それぞれ歯車40a、40bと噛合している。
歯車40a、40bは、それぞれ先幕アクチュエータ70a、後幕アクチュエータ70bのロータに連結されている。先幕アクチュエータ70aが駆動することにより、歯車40a、50aが駆動し、これにより先幕駆動レバー55aが駆動する。先幕駆動レバー55aが駆動することにより、アーム31aが駆動する。これにより、先幕20Aが走行する。先幕20Aは、開口81から退避した開位置および開口81を閉鎖する閉位置間を自在に走行可能である。先幕20Aは、先幕アクチュエータ70aにより開位置および閉位置間を走行する。歯車40b、50b、後幕駆動レバー55b、後幕20Bについても同様である。
歯車40a、40bには、それぞれ薄板45a、45bが設けられている。薄板45a、45bはそれぞれ歯車40a、40bと共に回転する。薄板45a、45bはそれぞれ扇状である。先幕センサー60a、後幕センサー60bは、基板10上に配置されている。
また、アーム31a、31bにはそれぞれ不図示の2つのバネが連結されている。詳細には、一方のバネの一端はアーム31aに連結され他端は基板10に連結されている。他方のバネの一端はアーム31bに連結され他端は基板10に連結されている。これらのバネは、それぞれ先幕20A、後幕20Bが開口81から退避して開位置に位置するようにアーム31a、31bを付勢している。
また、先幕20Aおよび後幕20Bが走行する軌跡上に3つの位置A〜位置Cを示している。位置A〜位置Cは、先幕センサー60aおよび後幕センサー60bそれぞれが検出可能な先幕20Aまたは後幕20Bの通過位置を示している。位置Eは、走行開始時での先幕20Aの羽根21aの先端のスタート位置である。位置Sは、走行開始時での後幕20Bの羽根21bの先端のスタート位置である。位置Aは、撮像素子12の位置S側の端位置である。位置Bは、位置Aと位置Cとの中間位置である。位置Cは、撮像素子12の位置E側の端位置である。先幕センサー60aの出力信号の切り替わるタイミングは、先幕20Aの羽根21aが位置A〜位置Cをそれぞれ通過したときに設定されている。同様に、後幕センサー60bの出力信号の切り替わるタイミングは、後幕20Bの羽根21bが位置A〜位置Cをそれぞれ通過したときに設定されている。
次に、先幕アクチュエータ70aの構成例を説明する。
図3は、本実施形態に係る先幕アクチュエータ70aの構成の一例を示す図である。なお、先幕アクチュエータ70aは、基板10に支持されている。
先幕アクチュエータ70aは、ロータ72a、ステータ74a、および先幕コイル76aを備えている。
ロータ72aは、基板10に回転可能に支持されている。ロータ72aは、周方向に異なる極性に着磁された永久磁石である。ステータ74aは、先幕コイル76aによって励磁されることによりロータ72aとの間で磁力を発生する。先幕コイル76aは、駆動制御部16からの通電によってステータ74aを励磁する。
先幕コイル76aへの通電によりロータ72aが回転し、アーム31aが駆動することにより、先幕20Aが走行する。また、先幕コイル76aへの逆通電によりロータ72aが逆回転し、先幕20Aが前述とは逆方向に走行する。
なお、ロータ72aと先幕駆動レバー55aとの連結は、歯車40a、50aを介さずに直接連結されていてもよい。また、例えばアーム31a、先幕駆動レバー55a等とロータ72a等とを一体構成としてもよい。つまり、アーム31a、先幕駆動レバー55a等の駆動部材と先幕アクチュエータ70a等の電磁駆動源は一体構成としてもよい。すなわち、ロータ72aの回転に連動して先幕駆動レバー55aが回転する構成であればよい。
なお、図3には、先幕アクチュエータ70aの構成を示したが、後幕アクチュエータ70bの構成も同様である。
図4A、4Bは、先幕センサー60aの構成例を示す図である。
図4A、4Bに示すように、先幕センサー60aは、基板10上に配置されている。先幕センサー60aは、互いに対向するように配置された発光素子62、受光素子63を備えている。発光素子62から照射された光は、受光素子63で受光される。図4A、4Bに示すように、ロータ72aに連結されている歯車40aの回転に応じて、薄板45aは、発光素子62、受光素子63間に移動する。薄板45aが発光素子62、受光素子63間に位置すると、発光素子62から照射された光は遮断される。この際に受光素子63の出力信号に基づいて、薄板45aが発光素子62と受光素子63との間に位置しているか否かが検出され、これにより歯車40a、50aを介して先幕駆動レバー55aの位置を検出することができる。この結果、先幕20Aが所定の位置を通過したか否かを検出できる。なお、後幕センサー60b、薄板45bについても同様である。
このように、本実施形態の先幕センサー60aおよび後幕センサー60bは、ロータの回転に応じて移動する薄板と、発光素子および受光素子を備える。そして、発光素子から受光素子に向けて照射された光を薄板が発光素子および受光素子に非接触で遮断したか否かに応じて先幕20Aおよび後幕20B、詳細には、先幕20Aの羽根21aおよび後幕20Bの羽根21bの通過を検知する。
なお、センサー(先幕センサー60a、後幕センサー60b)は上記のような構成に限定されない。例えば、先幕センサー60aは、発光素子と、発光素子の光を反射するミラーと、ミラーにより反射された光を受光する受光素子と、を含む構成であってもよい。薄板45aが、発光素子とミラーとの間、または、受光素子とミラーとの間に位置することにより、薄板45aの位置を検出できる。
次に、フォーカルプレーンシャッター17の動作タイミングの一例を説明する。図5は、フォーカルプレーンシャッター17の連写時の動作例を示す。より詳しくは、図5は、時刻t1に操作部11を構成するレリーズスイッチが利用者によってオンされ、その後一定の時間経過後にレリーズスイッチがオフされて、3コマ分の静止画を連写する場合の動作例を示す。図5において、横軸は時刻である。波形g11は、先幕アクチュエータ70aに入力される駆動信号の波形を示している。波形g12は、後幕アクチュエータ70bに入力される駆動信号の波形を示している。波形g13は、先幕20Aの位置を表している。波形g14は、後幕20Bの位置を表している。波形g15は、撮像素子12の動作状態を説明するためのイメージである。
なお、図5に示す例は、先幕アクチュエータ70aと後幕アクチュエータ70bそれぞれに対して駆動信号として電流を供給する例である。
時刻t1までの先幕アクチュエータ70aと後幕アクチュエータ70bそれぞれに電流が供給されていない期間である、画枠開放の期間においては、先幕20Aと後幕20Bが開いている状態である。このため、撮像素子12に光が照射されている。時刻t1までの期間、制御部13は、撮像素子12をライブビュー動作とし、撮像素子12が出力する画像データを表示部15に表示する。
時刻t1のとき、操作部11は利用者によってレリーズスイッチが押されてオン状態になったことを検出する。時刻t1のとき、駆動制御部16は、所定の正の電流値の電力を先幕アクチュエータ70aに出力する。これにより、先幕20Aは、先幕チャージ動作(画枠FPを閉じる動作)を開始する。時刻t1のとき、駆動制御部16は、所定の負の電流値の電力を後幕アクチュエータ70bに出力することで後幕20Bの位置のリセット動作を開始する。時刻t1のとき、先幕20Aは位置Eに位置し、後幕20Bは位置Sに位置している。なお、本実施形態において、リセット動作とは、開位置または閉位置に位置している幕を一旦、逆の閉位置または開位置方向で移動させた後、再び開位置または閉位置に移動させる動作を意味する。
時刻t1以降、駆動制御部16は、所定期間、所定の負の電流値の電力を後幕アクチュエータ70bに出力した後、電流の正負を逆転させ、所定の正の電流値の電力を後幕アクチュエータ70bに出力する。これによって、領域R1に示すように、後幕20Bは、開位置に位置する状態から閉位置方向へ一旦移動させられた後、再び開位置へ戻される。
時刻t1以降、時刻t2までの期間に、先幕20Aは、露出作動開始位置である閉位置に達する。すなわち、先幕20Aが、画枠FP(開口81)を閉じた状態である。
駆動制御部16は、時刻t2のとき、先幕駆動信号と後幕駆動信号の電流値を0にし、時刻t3まで、先幕アクチュエータ70aへの電力の供給を停止するとともに、後幕アクチュエータ70bへの電力の供給を停止する。
時刻t2〜t3の期間、先幕20Aは、露出作動開始位置である閉位置で停止した状態であり、後幕20Bは、開位置である位置Sに停止したままの状態であり、画枠(開口81)を先幕20Aによって閉じた状態である。
なお、フォーカルプレーンシャッター17において、時刻t1〜時刻t2の期間は、先幕20Aをチャージしている期間と後幕20Bの位置をリセットしている期間である。また、時刻t2〜時刻t3の期間は、先幕20Aが安定するために予め設定されていて、記憶部14が記憶する所定時間である。また、時刻t1〜時刻t3の期間は、撮像装置1が連写における初コマを準備する期間であり、また、撮像素子12は撮影準備の期間である。
時刻t3のとき、駆動制御部16は、所定の負の電流値の電力を先幕アクチュエータ70aに出力する。これにより、先幕20Aは、画枠FP(開口81)を開く動作を開始する。時刻t3から時間T1後、駆動制御部16は、所定の負の電流値の電力を後幕アクチュエータ70bに出力する。これにより、後幕20Bは、画枠FP(開口81)を閉じる動作を開始する。この時間T1が、シャッター速度に対応し、記憶部14が記憶する時間である。そして、時刻t3から所定時間後の時刻t4までの期間に、駆動制御部16は、順次、先幕アクチュエータ70aへの電力の供給を停止するとともに、後幕アクチュエータ70bへの電力の供給を停止する。具体的には、駆動制御部16は、先幕20Aが開位置に走行した後、先幕20Aのバウンドが収まった時刻で先幕アクチュエータ70aへの電力の供給を停止させる。また、駆動制御部16は、後幕20Bが閉位置に走行した後、後幕20Bのバウンドが収まった時刻で後幕アクチュエータ70bへの電力の供給を停止させる。時刻t3から所定時間後の時刻t4までの期間において、フォーカルプレーンシャッター17では、先幕20Aが閉位置から開位置に走行し、また、先幕20Aの走行に追従して後幕20Bが開位置から閉位置に走行することで露出作動が行われる。この時刻t3から所定時間後の時刻t4までの期間が、撮像素子12における画像蓄積期間に対応する。この期間に、撮像素子12は露出作動、すなわち画像データの蓄積を行う。図5に示す動作例では、時刻t3で先幕20Aが閉位置から開位置に走行して露出作動を開始し、時刻t111までに後幕20Bが開位置から閉位置に走行することにより露出作動が終了する。
次に、時刻t4から時刻t5までの期間に、駆動制御部16は、順次、所定の正の電流値の電力の先幕アクチュエータ70aへの出力を開始するとともに、所定の正の電流値の電力の後幕アクチュエータ70bへの出力を開始する。また、時刻t4から所定時間後に、駆動制御部16は、順次、先幕アクチュエータ70aへの電力の供給を停止するとともに、後幕アクチュエータ70bへの電力の供給を停止する。なお、図5に示す例では、時刻t4で、駆動制御部16は、後幕アクチュエータ70bへの電力の供給を停止している。これにより、時刻t112で先幕20Aが画枠FP(開口81)を閉じる動作(チャージ動作(復帰動作))を開始し、続いて時刻t112bで後幕20Bが画枠FP(開口81)を開く動作(チャージ動作(復帰動作))を開始する。そして、時刻t121で後幕20Bが画枠FP(開口81)を開く開位置へ移動し、チャージ動作(復帰動作)を終了する。ここでは、先幕20Aが先に開口81を閉じ始め、続いて後幕20Bが同一方向に移動することで開口81を開くので、開口81の閉鎖状態は維持される。したがって、開口81を閉じたまま、先幕20Aのチャージ動作と後幕20Bのチャージ動作を一定の時間差を持たせて同時並行的に実行することが可能である。
次に、時刻t5で、駆動制御部16は、先幕20Aのリセット動作を開始する。すなわち、時刻t5で、駆動制御部16は、所定の負の電流値の電力を先幕アクチュエータ70aに所定期間出力し、その所定期間後に所定の正の電流値の電力を先幕アクチュエータ70aに所定期間(図5では時刻t6までの期間)出力する。これによって、領域R2に示すように、先幕20Aは、リセット動作として、閉位置に位置する状態から開位置方向へ一旦移動させられた後、再び閉位置へ戻される。この領域R2における先幕20Aのリセット動作によって、時刻t4から時刻t5までの期間に発生した後幕20Bのチャージ動作にともなう衝撃の先幕20Aの位置に対する影響を低下させることができる。なお、先幕20Aのリセット動作は、先幕アクチュエータ70aに対してリセット通電する動作とも呼ばれる。また、図5に示す例では、先幕20Aのリセット動作において、閉位置に位置する状態から開位置方向へ一旦移動させられた位置(山形の頂点の位置)は、画枠FPの下端に達しない位置に設定されている。この場合、先幕20Aのリセット動作を行ったときでも、先幕20Aにより常に開口81が覆われており、開口81は遮光されたままで維持される。換言すれば、開口81は閉鎖状態が維持されている。この構成では、撮像素子12に光を入射させない状態で、先幕20Aのリセット動作と撮像素子12の画像転送動作を並行して行うことができる。
駆動制御部16は、時刻t5から時刻t6までの期間に先幕20Aのリセット動作を実行した後、時刻t8まで先幕アクチュエータ70aへの電力の供給を停止するとともに、後幕アクチュエータ70bへの電力の供給を継続して停止する。この時刻t8までの期間が先幕20Aと後幕20Bの位置を安定させるための待機期間である。本実施形態では、連写撮影中は、露出作動終了後(時刻t111)から先幕20Aが露出作動の開始位置への復帰作動を開始する時刻t112までの時間T11より、復帰作動終了後(時刻t121)から露出作動を開始する時刻t8までの時間T12が長くなるように、駆動制御部16が先幕20Aと後幕20Bを駆動制御する。この構成によれば連写時に復帰作動した後、幕の安定時間が確保されるため復帰作動時の衝撃の影響を受けることなく、連続作動においても良好な露出精度を得ることができる。なお、図5に示す例では、露出作動終了後(時刻t111)から先幕20Aの開位置への復帰作動を開始する時刻t112までの時間T11より、後幕20Bの復帰作動終了後(時刻t121)から先幕20Aの露出作動開始の時刻t8までの時間T12が長くなるように、駆動制御部16が先幕20Aと後幕20Bを駆動制御することしたが、これらの時間T11およびT12は例えば次のように定義してもよい。すなわち、露出作動終了後から露出作動の開始位置への復帰作動を開始する時刻までの時間T11は、露出作動終了後(時刻t111)から後幕20Bが露出作動の開始位置への復帰作動を開始する時刻t112bまでの時間で定義してもよい。また、復帰作動終了後から露出作動を開始するまでの時間T12は、先幕20Aの復帰作動終了後の時刻t121aから後幕20Bの露出作動開始の時刻t8bまでの時間で定義してもよい。
一方、撮像素子12は、時刻t4から時刻t7までの期間、蓄積した画像データを制御部13に掃き出す。この動作例では、露出作動の期間が時刻t4で終了した後、先幕20Aと後幕20Bの2幕を同時にチャージ(2幕チャージともいう)しているが、開口81を全開にすることなく閉鎖したままなので、2幕チャージ動作と画像転送動作とを並行して実行することができる。
次に、撮像素子12は、時刻t7から時刻t8まで撮影準備の期間となる。フォーカルプレーンシャッター17においては、時刻t5から時刻t6までが先幕リセットの期間であり、時刻t6から時刻t8までが先幕20Aおよび後幕20Bの安定待ちの期間である。また、撮像装置1では、時刻t3から時刻t8までの期間が連写時の1コマ目の撮影動作期間に対応する。
次に、時刻t8のとき、時刻t3の場合と同様に、駆動制御部16は、所定の負の電流値の電力を先幕アクチュエータ70aに出力する。これにより、先幕20Aは、画枠FP(開口81)を開く動作を開始する。時刻t8から時間T1後、駆動制御部16は、所定の負の電流値の電力を後幕アクチュエータ70bに出力する。これにより、後幕20Bは、画枠FP(開口81)を閉じる動作を開始する。そして、時刻t8から所定時間後の時刻t9までの期間に、駆動制御部16は、順次、先幕アクチュエータ70aへの電力の供給を停止するとともに、後幕アクチュエータ70bへの電力の供給を停止する。時刻t8から所定時間後の時刻t9までの期間において、フォーカルプレーンシャッター17では、先幕20Aが閉位置から開位置に走行し、また、先幕20Aの走行に追従して後幕20Bが開位置から閉位置に走行することで露出作動が行われる。この時刻t8から所定時間後の時刻t9までの期間が、撮像素子12における画像蓄積期間に対応する。この期間に、撮像素子12は露出作動、すなわち画像データの蓄積を行う。
次に、時刻t9から時刻t10までの期間に、駆動制御部16は、順次、所定の正の電流値の電力の先幕アクチュエータ70aへの出力を開始するとともに、所定の正の電流値の電力の後幕アクチュエータ70bへの出力を開始する。また、時刻t9から所定時間後に、駆動制御部16は、順次、先幕アクチュエータ70aへの電力の供給を停止するとともに、後幕アクチュエータ70bへの電力の供給を停止する。なお、図5に示す例では、時刻t9で、駆動制御部16は、後幕アクチュエータ70bへの電力の供給を停止している。これにより、先幕20Aが画枠FP(開口81)を閉じる動作(チャージ動作)を開始し、続いて後幕20Bが画枠FP(開口81)を開く動作(チャージ動作)を開始する。
次に、時刻t10で、駆動制御部16は、先幕20Aのリセット動作を開始する。すなわち、時刻t10で、駆動制御部16は、所定の負の電流値の電力を先幕アクチュエータ70aに所定期間出力し、その所定期間後に所定の正の電流値の電力を先幕アクチュエータ70aに所定期間(図5では時刻t11までの期間)出力する。これによって、領域R3に示すように、先幕20Aは、リセット動作として、閉位置に位置する状態から開位置方向へ一旦移動させられた後、再び閉位置へ戻される。この領域R3における先幕20Aのリセット動作によって、時刻t9から時刻t10までの期間に発生した後幕20Bのチャージ動作にともなう衝撃の先幕20Aの位置に対する影響を低下させることができる。
駆動制御部16は、時刻t10から時刻t11までの期間に先幕20Aのリセット動作を実行した後、時刻t13まで先幕アクチュエータ70aへの電力の供給を停止するとともに、後幕アクチュエータ70bへの電力の供給を継続して停止する。この時刻t13までの期間が先幕20Aと後幕20Bの位置を安定させるための待機期間である。本実施形態では、連写撮影中は、2コマ目においても1コマ目と同様に、露出作動終了後(時刻t131)から先幕20Aが露出作動の開始位置への復帰作動を開始する時刻t132までの時間T13より、復帰作動終了後(時刻t141)から露出作動を開始する時刻t13までの時間T14が長くなるように、駆動制御部16が先幕20Aと後幕20Bを駆動制御する。この構成によれば1コマ目と同様、連写時に復帰作動した後、幕の安定時間が確保されるため復帰作動時の衝撃の影響を受けることなく、連続作動においても良好な露出精度を得ることができる。
一方、撮像素子12は、時刻t9から時刻t12までの期間、蓄積した画像データを制御部13に掃き出す。次に、撮像素子12は、時刻t12から時刻t13まで撮影準備の期間となる。フォーカルプレーンシャッター17においては、時刻t10から時刻t11までが先幕リセットの期間であり、時刻t11から時刻t13までが先幕20Aおよび後幕20Bの安定待ちの期間である。また、撮像装置1では、時刻t8から時刻t13までの期間が連写時の2コマ目の撮影動作期間に対応する。
次に、時刻t13のとき、時刻t3、t8の場合と同様に、駆動制御部16は、所定の負の電流値の電力を先幕アクチュエータ70aに出力する。これにより、先幕20Aは、画枠FP(開口81)を開く動作を開始する。時刻t13から時間T1後、駆動制御部16は、所定の負の電流値の電力を後幕アクチュエータ70bに出力する。これにより、後幕20Bは、画枠FP(開口81)を閉じる動作を開始する。そして、時刻t13から所定時間後の時刻t14までの期間に、駆動制御部16は、順次、先幕アクチュエータ70aへの電力の供給を停止するとともに、後幕アクチュエータ70bへの電力の供給を停止する。時刻t13から所定時間後の時刻t14までの期間において、フォーカルプレーンシャッター17では、先幕20Aが閉位置から開位置に走行し、また、先幕20Aの走行に追従して後幕20Bが開位置から閉位置に走行することで露出作動が行われる。この時刻t13から所定時間後の時刻t14までの期間が、撮像素子12における画像蓄積期間に対応する。この期間に、撮像素子12は露出作動、すなわち画像データの蓄積を行う。
次に、時刻t14から時刻t15までの期間、駆動制御部16は、先幕アクチュエータ70aへの電力の供給を停止するとともに、後幕アクチュエータ70bへの電力の供給を停止する。一方、撮像素子12は、時刻t14から時刻t15までの期間、蓄積した画像データを制御部13に掃き出す。次に、時刻t15のとき、駆動制御部16は、所定の正の電流値の電力を後幕アクチュエータ70bに出力する。これにより、後幕20Bは、画枠FP(開口81)を開く動作を開始する。次に、時刻t16のとき、駆動制御部16は、後幕アクチュエータ70bへの電力の供給を停止する。一方、撮像素子12は、時刻t15から時刻t16までの期間、蓄積した画像データをリセットするとともに、時刻t16以降、ライブビュー動作を行い、撮像素子12が撮像した動画が表示部15で表示される。フォーカルプレーンシャッター17においては、時刻t15から時刻t16までが後幕チャージ動作の期間であり、時刻t16以降が、先幕20Aおよび後幕20Bを初期状態にして通常のオープンライブビュー動作を行う期間である。なお、通常のオープンライブビュー動作とは、開口81を開いた状態で撮像素子12で撮影した動画を表示部15で表示する動作である。これに対し、通常でないライブビュー動作とは、特許文献1に記載されている構成と同様に、連写時において開口81をノーマルクローズ状態とし、表示部15には1コマ前に撮像された静止画を所定時間表示させる動作である。また、撮像装置1では、時刻t13以降の期間が連写時の3コマ目の撮影動作から初期復帰までの期間に対応する。
以上のように、本実施形態の撮像装置1は、フォーカルプレーンシャッター17(羽根駆動装置)と駆動制御部16を備える。フォーカルプレーンシャッター17は、開口81を有した基板10、開口81を閉じる閉位置および開口81を開く開位置間を走行自在な先幕20Aおよび後幕20B、先幕20Aおよび後幕20Bをそれぞれ駆動する先幕アクチュエータ70aおよび後幕アクチュエータ70bを含む。また、駆動制御部16は、先幕アクチュエータ70aおよび後幕アクチュエータ70bを駆動する。フォーカルプレーンシャッター17では、先幕20Aが閉位置から開位置に走行して露出作動を開始し、後幕20Bが開位置から閉位置に走行することにより露出作動が終了する。また、フォーカルプレーンシャッター17では、連写撮影中は、露出作動終了後から先幕20Aまたは後幕20Bが露出作動の開始位置への復帰作動を開始するまでの時間より、復帰作動終了後から露出作動を開始するまでの時間が長い。この構成によれば連写時に復帰作動した後、幕の安定時間が確保されるため復帰作動時の衝撃の影響を受けることなく、連続作動においても良好な露出精度を得る事ができる。
また、本実施形態において、フォーカルプレーンシャッター17では、撮影開始時および撮影終了時では、先幕20Aおよび後幕20Bは開位置にあり、先幕20Aが閉位置から開位置に走行し後幕20Bが開位置から閉位置に走行することにより露出作動が行われる。また、フォーカルプレーンシャッター17では、連写撮影中は、1回目の露出作動終了後に後幕20Bが開位置に移動させられた後、次の露出作動前に、閉位置に位置する先幕20Aが開位置方向へ一旦移動させられた後、閉位置へ戻される。この構成によれば、連写時に、ノーマルオープンからノーマルクローズに切り替えられても、2ショット目以降、後幕20Bがリターンした後(開位置に移動した後)、先幕20Aのリセット通電が行われるため、後幕20Bのリターン時の衝撃の影響を受けることなく、連続作動においても良好な露出精度を得ることができる。
また、本実施形態によれば、図5に示すように、露出作動の前に、コマ数にかかわりなく(例えば1コマ目か2コマ目以降かにかかわりなく)、常に、後幕の動作と先幕の動作がこの順序で行われる。この場合、例えば、動作の順序(後幕の動作の次に先幕の動作なのか、あるいは、先幕の動作の次に後幕の動作なのか)によって先幕と後幕の位置等になんらかの差異が生じるような構成を用いる場合であっても、コマ数によらず動作の順序は常に一定なので、順序による影響を抑制することができる。
なお、領域R2や領域R3における先幕20Aのリセット動作は、例えば後幕20Bのリターン時の衝撃の影響が比較的小さいような場合、省略してもよい。
[第2実施形態]
第2実施形態では、電子先幕シャッターに適用する例を説明する。
なお、撮像装置1の構成は、図1と同様である。フォーカルプレーンシャッター17の構成は、図2と同様である。制御部13は、撮像時、撮像素子12を制御して先幕20Aの動作を代用するように制御する。
電子先幕シャッターでは、先幕の動作を撮像素子で電気的に代用して行うことで露出作動を行う。そして、電子先幕シャッターでは、メカニカルな先幕を動作させずに、撮像素子を制御して電気的に露光を開始し、後幕を閉じて露光を終了させる。制御部13は、例えば、撮像素子12の蓄積電荷を画素ライン毎に所定方向に順次リセットすることにより電子先幕を擬似的に走行させる。ここで、蓄積電荷をリセットする動作とは、各画素の蓄積電荷を露出作動がなされる前の状態に初期化する動作である。各画素には、蓄積電荷がリセットされた時刻から後幕20Bで開口81が遮光される時刻までの時間の採光分に対応する電荷が蓄積される。このような電子先幕シャッターに第1実施形態の手法を適用する例を説明する。図6は、本実施形態に係る先幕電子シャッターのタイミングチャートである。図6において、縦軸、横軸、各波形(g11〜g15)は、第1実施形態の図5と同じである。
先幕20Aは、波形g13のように初期位置のまま常に開位置に位置している。このため、駆動制御部16は、波形g11のように先幕アクチュエータ70aに電力を供給しない。
時刻t31までの後幕アクチュエータ70bに電流が供給されていない期間である、画枠開放の期間においては、後幕20Bが開いている状態である。このため、撮像素子12に光が照射されている。時刻t31までの期間、制御部13は、撮像素子12をライブビュー動作とし、撮像素子12が出力する画像データを表示部15に表示する。
時刻t31のとき、操作部11は利用者によってレリーズスイッチが押されてオン状態になったことを検出する。時刻t31のとき、駆動制御部16は、所定の負の電流値の電力を後幕アクチュエータ70bに出力することで後幕20Bの位置のリセット動作を開始する。時刻t31のとき、先幕20Aは位置Eに位置し(以下、先幕20Aについては説明を省略する。)、後幕20Bは位置Sに位置している。なお、本実施形態において、リセット動作とは、開位置または閉位置に位置している幕を一旦、逆の閉位置または開位置方向で移動させた後、再び開位置または閉位置に移動させる動作を意味する。
時刻t31以降、駆動制御部16は、所定期間、所定の負の電流値の電力を後幕アクチュエータ70bに出力した後、電流の正負を逆転させ、所定の正の電流値の電力を後幕アクチュエータ70bに出力する。これによって、領域R1に示すように、後幕20Bは、開位置に位置する状態から閉位置方向へ一旦移動させられた後、再び開位置へ戻される。
駆動制御部16は、時刻t32のとき、後幕駆動信号の電流値を0にし、時刻t33まで、後幕アクチュエータ70bへの電力の供給を停止する。
時刻t32〜t33の期間、後幕20Bは、開位置である位置Sに停止したままの状態であり、画枠(開口81)は開いた状態である。
なお、フォーカルプレーンシャッター17において、時刻t31〜時刻t32の期間は、後幕20Bの位置をリセットしている期間である。また、時刻t32〜時刻t33の期間は、後幕20Bを安定化するために予め設定されていて、記憶部14が記憶する所定時間である。また、時刻t31〜時刻t33の期間は、撮像装置1が連写における初コマを準備する期間であり、また、撮像素子12は撮影準備の期間である。
時刻t33のとき、制御部13は撮像素子12を制御して露出作動を開始する。時刻t33〜時刻t335の期間が撮像素子12による先幕20Aの代わりの露出作動期間である。制御部13は、時刻t33〜時刻t335の期間、撮像素子12の蓄積電荷を画素ライン毎に所定方向に順次リセットすることにより電子先幕を擬似的に走行させる。
時刻t33から時間T1後、駆動制御部16は、所定の負の電流値の電力を後幕アクチュエータ70bに出力する。これにより、後幕20Bは、画枠FP(開口81)を閉じる動作を開始する。この時間T1が、シャッター速度に対応し、記憶部14が記憶する時間である。そして、時刻t33から所定時間後の時刻t34とき、駆動制御部16は、後幕アクチュエータ70bへの電力の供給を停止する。時刻t33から時刻t211の期間において、フォーカルプレーンシャッター17では、電子先幕が走行し、また、電子先幕の走行に追従して後幕20Bが開位置から閉位置に走行することで露出作動が行われる。すなわち、時刻t33から時刻t335の期間において、制御部13が、撮像素子12の蓄積電荷を画素ライン毎に所定方向に順次リセットすることにより電子先幕を擬似的に走行させる。また、時刻t33の時間T1後から時刻t211までの期間において、駆動制御部16が、後幕20Bを開位置から閉位置に走行させることにより露出作動が終了する。この時刻t33から所定時間後の時刻t34までの期間が、撮像素子12における画像蓄積期間に対応する。この期間に、撮像素子12は露出作動、すなわち画像データの蓄積を行う。図6に示す動作例では、時刻t33で電子先幕が走行を開始して露出作動を開始し、時刻t211までの間に後幕20Bが開位置から閉位置に走行することにより露出作動が終了する。
次に、撮像素子12は、時刻t34から時刻t35までの期間、蓄積した画像データを制御部13に掃き出す。この時刻t34から時刻t35までの期間が、フォーカルプレーンシャッター17および撮像素子12における画像転送期間に対応する。
次に、時刻t35のとき、駆動制御部16は、所定の正の電流値の電力の後幕アクチュエータ70bへの出力を開始する。また、時刻t36のとき、駆動制御部16は、後幕アクチュエータ70bへの電力の供給を停止する。これにより、時刻t35で後幕20Bが画枠FP(開口81)を開く動作(チャージ動作(復帰動作))を開始する。そして、時刻t221で後幕20Bが画枠FP(開口81)を開く開位置へ移動し、チャージ動作(復帰動作)を終了する。この時刻t35から所定時間後の時刻t36までの期間が、フォーカルプレーンシャッター17における後幕チャージ期間に対応する。
駆動制御部16は、時刻t36から時刻t37までの期間、後幕アクチュエータ70bへの電力の供給を停止する。この時刻t36から時刻t37までの期間が後幕20Bの位置を安定させるための待機期間である。本実施形態では、連写撮影中は、露出作動終了後(時刻t211)から後幕20Bが露出作動の開始位置への復帰作動を開始する時刻t35までの時間T21より、復帰作動終了後(時刻t221)から露出作動を開始する時刻t37までの時間T22が長くなるように、駆動制御部16が後幕20Bを駆動制御する。この構成によれば連写時に復帰作動した後、幕の安定時間が確保されるため復帰作動時の衝撃の影響を受けることなく、連続作動においても良好な露出精度を得ることができる。
一方、撮像素子12は、時刻t34から時刻t35までの期間に蓄積した画像データを制御部13に掃き出した後、時刻t35から時刻t37までの期間が撮影準備の期間となる。また、フォーカルプレーンシャッター17においては、時刻t36から時刻t37までが後幕20Bの安定待ちの期間である。また、撮像装置1では、時刻t33から時刻t37までの期間が連写時の1コマ目の撮影動作期間に対応する。
次に、時刻t37のとき、制御部13は撮像素子12を制御して露出作動を開始する。時刻t37〜時刻t375の期間が撮像素子12による先幕20Aの代わりの露出作動期間である。制御部13は、時刻t37〜時刻t375の期間、撮像素子12の蓄積電荷を画素ライン毎に所定方向に順次リセットすることにより電子先幕を擬似的に走行させる。
時刻t37から時間T1後、駆動制御部16は、所定の負の電流値の電力を後幕アクチュエータ70bに出力する。これにより、後幕20Bは、画枠FP(開口81)を閉じる動作を開始する。この時間T1が、シャッター速度に対応し、記憶部14が記憶する時間である。そして、時刻t37から所定時間後の時刻t38とき、駆動制御部16は、後幕アクチュエータ70bへの電力の供給を停止する。時刻t37から時刻t231の期間において、フォーカルプレーンシャッター17では、電子先幕が走行し、また、電子先幕の走行に追従して後幕20Bが開位置から閉位置に走行することで露出作動が行われる。すなわち、時刻t37から時刻t375の期間において、制御部13が、撮像素子12の蓄積電荷を画素ライン毎に所定方向に順次リセットすることにより電子先幕を擬似的に走行させる。また、時刻t37の時間T1後から時刻t231までの期間において、駆動制御部16が、後幕20Bを開位置から閉位置に走行させることにより露出作動が終了する。この時刻t37から所定時間後の時刻t38までの期間が、撮像素子12における画像蓄積期間に対応する。この期間に、撮像素子12は露出作動、すなわち画像データの蓄積を行う。図6に示す動作例では、時刻t37で電子先幕が走行を開始して露出作動を開始し、時刻t231までの間に後幕20Bが開位置から閉位置に走行することにより露出作動が終了する。
次に、撮像素子12は、時刻t38から時刻t39までの期間、蓄積した画像データを制御部13に掃き出す。この時刻t38から時刻t39までの期間が、フォーカルプレーンシャッター17および撮像素子12における画像転送期間に対応する。
次に、時刻t39のとき、駆動制御部16は、所定の正の電流値の電力の後幕アクチュエータ70bへの出力を開始する。また、時刻t40のとき、駆動制御部16は、後幕アクチュエータ70bへの電力の供給を停止する。これにより、時刻t39で後幕20Bが画枠FP(開口81)を開く動作(チャージ動作(復帰動作))を開始する。そして、時刻t241で後幕20Bが画枠FP(開口81)を開く開位置へ移動し、チャージ動作(復帰動作)を終了する。この時刻t39から所定時間後の時刻t40までの期間が、フォーカルプレーンシャッター17における後幕チャージ期間に対応する。
駆動制御部16は、時刻t40から時刻t41までの期間、後幕アクチュエータ70bへの電力の供給を停止する。この時刻t40から時刻t41までの期間が後幕20Bの位置を安定させるための待機期間である。本実施形態では、連写撮影中は、2コマ目においても1コマ目と同様に、露出作動終了後(時刻t231)から後幕20Bが露出作動の開始位置への復帰作動を開始する時刻t39までの時間T23より、復帰作動終了後(時刻t241)から露出作動を開始する時刻t41での時間T24が長くなるように、駆動制御部16が後幕20Bを駆動制御する。この構成によれば連写時に復帰作動した後、幕の安定時間が確保されるため復帰作動時の衝撃の影響を受けることなく、連続作動においても良好な露出精度を得ることができる。
一方、撮像素子12は、時刻t38から時刻t39までの期間に蓄積した画像データを制御部13に掃き出した後、時刻t39から時刻t41までの期間が撮影準備の期間となる。また、フォーカルプレーンシャッター17においては、時刻t40から時刻t41までが後幕20Bの安定待ちの期間である。また、撮像装置1では、時刻t37から時刻t41までの期間が連写時の2コマ目の撮影動作期間に対応する。
次に、時刻t41のとき、時刻t37の場合と同様に、制御部13は撮像素子12を制御して露出作動を開始する。制御部13は、時刻t41以降、所定の期間、撮像素子12の蓄積電荷を画素ライン毎に所定方向に順次リセットすることにより電子先幕を擬似的に走行させる。
時刻t41から時間T1後、駆動制御部16は、所定の負の電流値の電力を後幕アクチュエータ70bに出力する。これにより、後幕20Bは、画枠FP(開口81)を閉じる動作を開始する。この時間T1が、シャッター速度に対応し、記憶部14が記憶する時間である。そして、時刻t41から所定時間後の時刻t42とき、駆動制御部16は、後幕アクチュエータ70bへの電力の供給を停止する。時刻t41から時刻t42までの期間において、フォーカルプレーンシャッター17では、電子先幕が走行し、また、電子先幕の走行に追従して後幕20Bが開位置から閉位置に走行することで露出作動が行われる。この時刻t41から所定時間後の時刻t42までの期間が、撮像素子12における画像蓄積期間に対応する。この期間に、撮像素子12は露出作動、すなわち画像データの蓄積を行う。
次に、撮像素子12は、時刻t42から時刻t43までの期間、蓄積した画像データを制御部13に掃き出す。この時刻t42から時刻t43までの期間が、フォーカルプレーンシャッター17および撮像素子12における画像転送期間に対応する。
次に、時刻t43のとき、駆動制御部16は、所定の正の電流値の電力の後幕アクチュエータ70bへの出力を開始する。また、時刻t44のとき、駆動制御部16は、後幕アクチュエータ70bへの電力の供給を停止する。この時刻t43から所定時間後の時刻t44までの期間が、フォーカルプレーンシャッター17における後幕チャージ期間に対応する。
一方、撮像素子12は、時刻t43から時刻t44までの期間、蓄積した画像データをリセットするとともに、時刻t44以降、ライブビュー動作を行い、撮像素子12が撮像した動画が表示部15で表示される。フォーカルプレーンシャッター17においては、時刻t44以降が、後幕20Bを初期状態にして通常のオープンライブビュー動作を行う期間である。なお、通常のオープンライブビュー動作とは、開口81を開いた状態で撮像素子12で撮影した動画を表示部15で表示する動作である。これに対し、通常でないライブビュー動作とは、特許文献1に記載されている構成と同様に、連写時において開口81をノーマルクローズ状態とし、表示部15には1コマ前に撮像された静止画を所定時間表示させる動作である。また、撮像装置1では、時刻t41以降の期間が連写時の3コマ目の撮影動作から初期復帰までの期間に対応する。
以上のように、本実施形態の撮像装置1は、フォーカルプレーンシャッター17(羽根駆動装置)と駆動制御部16を備える。フォーカルプレーンシャッター17は、撮像素子12と、撮像素子12を露出する開口81を有した基板10、開口81を閉じる閉位置および開口81を開く開位置間を走行自在な後幕20B(幕)、後幕20Bを駆動する後幕アクチュエータ70b(アクチュエータ)を含む。駆動制御部16は、後幕アクチュエータ70bを駆動する。撮像装置1では、撮像素子12の蓄積電荷を画素ライン毎に所定方向に順次リセットすることにより電子先幕を擬似的に走行させ、後幕20Bが開位置から閉位置に走行することにより露出作動が終了する。また、撮像装置1では、連写撮影中は、露出作動終了後から後幕20Bの開位置への復帰作動を開始するまでの時間より、後幕20Bの復帰作動終了後から電子先幕の走行開始までの時間が長い。この構成によれば連写時に復帰作動した後、幕の安定時間が確保されるため復帰作動時の衝撃の影響を受けることなく、連続作動においても良好な露出精度を得る事ができる。
なお、本実施形態では、開口部81は基板10に形成されている場合について説明したが、この構成に限られない。開口部81が基板10とは別の部材に設けられていてもよい。
なお、本実施形態では、先幕20Aを停止させ、後幕20Bを駆動することで、露出作動を行うこととしているが、後幕20Bを停止させ、先幕20Aを駆動することで、露出作動を行うようにしてもよく、また、先幕20Aおよび先幕アクチュエータ70aはなくてもよい。すなわち、開口81を閉じる閉位置および開口81を開く開位置間を走行自在な幕とその幕を駆動するアクチュエータがあればよい。
なお、本発明の実施の形態は上記第1実施形態または第2実施形態に限定されない。例えば、上記第1実施形態では、連写時の先幕20Aのリセット動作において、閉位置に位置する状態から開位置方向へ一旦移動させられた位置(山形の頂点の位置)を、画枠FPの下端に達しない位置に設定しているが、画枠FPの下端を越える位置に設定してもよい。この場合、リセット動作にともなって開口81は一旦閉鎖状態が解かれるが、例えば、撮像素子12からの画像転送終了後に先幕20Aのリセット動作を行うようにすればよい。また、図2においては、先幕センサー60aや後幕センサー60bを省略したり、先幕20Aと後幕20Bの上下の位置を逆さまにしたりしてもよい。また、先幕20Aと後幕20Bの初期状態を開位置に設定しているが、初期状態を閉位置としてもよい。また、連写時には、ノーマルクローズに限らず、ノーマルオープンとしてもよい。
なお、上記第1実施形態では、シャッター速度に対応する時間T1が記憶部14に記憶された時間の例を挙げたがこれに限定されない。先幕センサー60aの出力と記憶部14に記憶された時間に基づき時間T1が決定されてもよく、また、先幕センサー60aの出力に基づき時間T1が決定されてもよい。例えば、先幕センサー60aにより、先幕20Aの羽根21aが位置Cを通過したことを検知してから所定時間後に電力を後幕アクチュエータ70bに出力して後幕20Bを走行させてもよく、また、先幕センサー60aにより、先幕20Aの羽根21aが位置Aを通過したことを検知した後に、電力を後幕アクチュエータ70bに出力して後幕20Bを走行させてもよい。
なお、本発明における制御部13、駆動制御部16の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより制御部13、駆動制御部16を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。