以下に、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施例1)
以下、図1から図6を参照して、本発明の第1の実施例による、シャッタ装置を駆動する駆動装置を備えた撮像装置について説明する。
まず、本実施例1の撮像装置の構成について説明する。
図1は、撮像装置100のブロック図である。
本実施例の撮像装置100は、撮像レンズ101、フォーカルプレンシャッタ102、撮像素子103、ミラー部材115、ファインダ装置116を有している。
撮像装置が図1に示すファインダ観察状態にある場合、撮像レンズ101を通過した被写体光のうちの一部の光束は、撮像光路内にある位置するミラー部材115で反射されてファインダ装置116に導かれる。これにより、撮像者はファインダ装置116を介して被写体像を観察することができる。
ファインダ観察状態から撮像状態あるいはライブビュー状態に移行すると、ミラー部材115が不図示のミラー部材駆動装置により撮像光路から退避することで、撮像レンズ101からの被写体光は撮像素子103に向かう。
撮像素子103に対して物体側(被写体側)には、フォーカルプレンシャッタ102が配置されている。逆に、フォーカルプレンシャッタ102に対して像側には、撮像素子103が配置されている。
フォーカルプレンシャッタ102は、シャッタ駆動回路111により駆動される。
このフォーカルプレンシャッタ102は、複数の羽根4、5、6で構成されるメカ後幕を有しており、CPU109によりシャッタ駆動回路111を介して駆動を制御される。
また、フォーカルプレンシャッタ102は、図2に示すモータ19を持ち、モータ19はシャッタ駆動回路111に含まれる駆動回路313及び制御回路312により制御される。
操作部112は、釦やダイヤル等のヒューマンIFで構成されていて、撮像装置100の動作命令をする。本実施例において、操作部112は、撮像準備開始スイッチSW1や撮像を開始するスイッチSW2などを有する。
SW1とSW2は2段スイッチで形成されており、第1ストロークでSW1がオンし、第2ストロークでSW2がオンする。
撮像素子103は、CMOSイメージセンサ等が使用され、被写体からの光を結像する撮像レンズ101により結像された被写体像を光電変換する。撮像素子103によって生成され出力されるアナログ画像信号は、AFE(Analog Front End)104によりデジタル信号に変換される。AFE104から出力されるデジタル画像信号は、DSP(Disital Signal Processer)105によって各種画像処理や圧縮・伸張処理などが行われる。
記録媒体106は、DSP105により処理された画像データを記録する。表示部107は、液晶ディスプレイ(LCD)等が使用され、撮像した画像や各種メニュー画面などを表示する。
TG108は、タイミングジェネレータであり、撮像素子103を駆動制御する。
RAM110は、DSP105と接続されており、画像データなどを一時的に記憶する。
レンズ制御手段114は、撮像レンズ101の焦点距離、絞り径、射出瞳径、射出瞳と撮像素子103の距離等のレンズ情報をCPU109に出力するとともに、CPU109による制御に応じて絞り、レンズ等を駆動する。各検出手段の検出結果はCPU109に入力される。
CPU109(制御手段)は、撮像装置全体の制御を行い、具体的に、AFE104、DSP105、TG108、シャッタ駆動回路111、レンズ制御手段114の制御を行う。
ROM117は、撮像装置の制御プログラム、すなわち、CPU109が実行するプロ
グラムを保持する。
時間記憶手段113は、CPU109と接続されており、後述する時間t1、t2、t3等を記憶する。図1では、時間記憶手段113は、CPU109と別部材で構成されているが、CPU109と一体的に設けられていてもよい。
本実施例において、CPU109は、測定手段118および比較手段119を有している。
測定手段118は、シャッタ装置のモータ19の通電開始から該モータに直結するカムギアの回転が検知されるまでの時間(換言すれば、カムギアが第1の位置から該第1の位置とは異なる第2の位置に移動するまでの時間)を測定することができる。
比較手段119は、時間記憶手段113に記憶された時間t1(第2の時間)と実際に測定手段118により測定された時間t2またはt3(第1の時間)とを比較することができる。ここで、本実施例における時間t1は、工場出荷時等の初期調整時において測定手段118により測定された時間(換言すれば、カムギア15が第1の位置から該第1の位置とは異なる第2の位置に移動するまでの時間)である。
次に、撮像動作の説明をする。図3は撮像素子103の全体構成図、図4は撮像素子103の1画素内の回路図である。
画素領域PAには、画素部220がp11〜pknのように行列上に配置されている。
ここで、画素部220の1画素内の回路図について図4を用いて説明する。
フォトダイオード(以下、PDと表す)241は、入射した光信号を光電変換し、露光量に応じた電荷を蓄積する。
PD241に蓄積されている電荷は、転送ゲート242の信号txをHighレベルにすることでFD(フローティングディフュージョン)部243に転送される。
FD部243は、フローティングディフュージョンアンプ244(以下FDアンプと表す)のゲートに接続されており、FDアンプ244でPD241から転送されてきた電荷量が電圧量に変換される。
FDリセットスイッチ245の信号resをHighレベルとすると、FD部243がリセットされる。また、PD241の電荷をリセットする場合には、信号txと信号resを同時にHighレベルとすることで、転送ゲート242及びFDリセットスイッチ245を両方ONし、FD部243経由でPD241のリセットを行うことになる。
画素選択スイッチ246の信号selをHighレベルとすることにより、FDアンプ244で電圧に変換された画素信号が画素部220の出力voutに出力される。
図3に戻り、垂直走査回路221は、res_1,tx_1,sel_1等の駆動信号を各画素に供給する。これらの駆動信号は、それぞれ各画素のres、tx、selに接続される。各画素の出力voutは、列毎に垂直出力線222を介して列共通読出し回路223に接続されている。
ここで、列共通読出し回路223について、図5の回路図を用いて説明する。図5は、撮像装置100の撮像素子103の列共通読みだし回路を示す図である。
垂直出力線222は、列毎に設けられ、1列分の画素部220の出力voutが接続されている。垂直出力線222には電流源224が接続されており、電流源224と、画素部220の各画素内のFDアンプ244によってソースフォロワ回路が構成される。
画素部220から読み出される画素信号Sは、信号tsをHighレベルにすることにより、S信号転送スイッチ251を介してS信号保持容量253に記憶される。
画素部220から読み出されるノイズ信号Nは、信号tnをHighレベルにすることにより、N信号転送スイッチ252を介してN信号保持容量254に記憶される。
S信号保持容量253、N信号保持容量254はそれぞれ列共通読出し回路223の出力vs、vnに接続されている。
図3に戻り、列共通読出し回路223の出力vs、vnには、それぞれ水平転送スイッチ225、226が接続されている。
水平転送スイッチ225、226は水平走査回路227の出力信号hsr*(*は列番号)によって制御される。信号hsr*がHighレベルになることにより、S信号保持容量253、N信号保持容量254の信号がそれぞれ水平出力線228、229へ転送される。
水平出力線228、229は差動増幅器230の入力に接続されており、差動増幅器230ではS信号とN信号の差分をとると同時に所定のゲインをかけ、最終的な画像信号を出力端子231へ出力する。
水平出力線リセットスイッチ232、233は信号chresがHighになることによってONされ、それぞれの水平出力線228、229はリセット電圧Vchresにリセットされる。
次に、図6を用いて撮像素子103の静止画読み出し走査について説明する。図6は撮像素子103の電荷蓄積開始走査(以下、リセット走査という)及び静止画読み出し走査における1行あたりの動作を示すタイミングチャートである。ここではi行目のデータを読み出すものとして説明する。
まず、信号sel_iをHighレベルにしてi行目の画素の画素選択スイッチ246をONする。
その後、信号res_iをLowレベルにしてFDリセットスイッチ245をOFFし、FD部243のリセットを開放する。
次に、信号tnをHighレベルにして、N信号転送スイッチ252を介してN信号保持容量254にN信号を記憶する。
続いて信号tnをLowにし、N信号転送スイッチ252をOFFした後、信号tsをHighレベルにしてS信号転送スイッチ251をONすると共に、信号tx_iをHighレベルにすることで転送ゲート242をONする。
この動作により、選択されているi行目のPD241に蓄積されていた信号がFDアンプ244、画素選択スイッチ246を介して垂直出力線222へ出力され、更に、S信号転送スイッチ251を介してS信号保持容量253へ記憶される。
次に、信号tx_i、tsをLowレベルにして転送ゲート242、S信号転送スイッチ251を閉じた後、信号res_iをHighレベルにしてFDリセットスイッチ245をONし、FD部243をリセットする。
ここまでの動作によって、i行目のN信号及びS信号を、それぞれS信号保持容量253及びN信号保持容量254へ記憶する動作を終了する。
続いて、S信号保持容量253、N信号保持容量254に蓄えられたS信号、N信号を撮像素子103から出力する動作が行われる。
まず、水平走査回路227の出力hsr1がHighレベルになることにより、水平転送スイッチ225、226がONされる。そして、S信号保持容量253、N信号保持容量254の信号が水平出力線228、229と差動増幅器230を介して出力端子231に出力される。
水平走査回路227は、各列の選択信号hsr1、hsr2・・・、hsrkを順次Highにすることにより、i行目の全データを出力する。
なお、信号hsr1〜hsrkによって各列の信号が読み出される間に、信号chresをHighレベルにすることで水平出力線リセットスイッチ232、233をONし、一旦、水平出力線228、229をリセット電圧Vchresのレベルにリセットする。
以上で1行の読出し動作が終了する。この動作を各行で繰り返すことによって、撮像素子103の全行の信号が読み出されることになる。
次に、図7から図13、図15から図17を用いて本実施の形態に係わるフォーカルプレンシャッタ102(シャッタ装置)の構成について説明する。
図7(a)は本実施例のフォーカルプレンシャッタ102を撮像素子103側から見た正面図、図7(b)は被写体側から見た背面図である。
図8Aは本実施例のフォーカルプレンシャッタ102を撮像素子103側から見た分解斜視図、図8Bは被写体側から見た分解斜視図である。
シャッタ地板1の撮像素子103側には、カバー板8が取り付けられており、その間に羽根4、5、6と羽根アーム2、3からなる羽根ユニット(羽根部材)が配置される。シャッタ地板1とカバー板8には、類似した形状のアパーチャ1a、8aが形成されており、2つのアパーチャを重ね合わせた長方形の露光開口(開口部)が、シャッタを通過する光束を規定している。このシャッタ装置の開口部は、羽根ユニットにより覆われる(閉鎖される)閉鎖状態(遮光状態)と開放される開放状態との間で変化する。羽根ユニットは、シャッタ装置の開口部を覆う位置と退避した位置との間を往復駆動可能に構成されている。シャッタ地板1には被写体側と撮像素子103側に複数の軸1b、1c、1dが立設されており、この軸1b、1c、1dには、係合部材11、羽根ユニット、カムギア15がそれぞれ回転可能に取り付けられている。
係合部材11は、穴11aとシャッタ地板1の軸1bが回転可能に係合しており、コイルバネ12の内径部が係合部材11の軸受部11cにガイドされ、コイルバネ12がカバー部材13と当接する。そうすることで、光軸方向に係合部材11がシャッタ地板1に付勢されている。従って、係合部材11は、光軸方向にガタ無く回転することが可能となっている。係合部材11のカム係合ピン11bは、カムギア15のカム溝15aと摺動可能に係合しており、カムギア15の回転に従って係合部材11が回転するように構成されている。係合部材11は、羽根部材に取付けられている(接続されている)ため、係合部材11がカム溝15aに沿って移動することで羽根部材の開閉動作が行われる。したがって、カムギア(駆動部材)15を回転させることにより、羽根部材を開閉駆動することができる。
羽根ユニットは、2つの羽根アーム2、3と、3つの羽根4、5、6で構成されている。2つの羽根アーム2、3の穴2a、3aがシャッタ地板1の撮像素子103側において、それぞれ軸1b、1cに回動自在に枢着されている。そして、3枚の羽根4、5、6はそれらの羽根アーム2、3の他端に向け、連結軸7を介して、順次、枢支されている。羽根アーム2には穴2bが形成され、そこに係合部材11の駆動ピン11dが係合する。そうすることで、係合部材11の回転に従って、羽根4、5、6がシャッタ地板1のアパーチャ1aを覆う閉鎖状態と、アパーチャ1aから退避する開放状態とに、それぞれ移行できるように構成されている。
カムギア15は、カム溝15aを有するカム部材であり、穴15eとシャッタ地板1の軸1dが回転可能に嵌合しており、駆動バネ18の腕部18a、18bが可動端部15cの切り欠き15dに係合することで付勢力が発生するように構成されている。駆動バネ18(バネ部材)は、後述するようにカムギア15を回転方向に付勢する付勢手段として機能する。
内径部がシャッタ地板1の軸1cにガイドされたガタ寄せバネ10が、羽根アーム3の穴3bとシャッタ地板1の軸1cに係合する。そうすることで、羽根アーム3は被写体側から見て右回転方向(羽根がアパーチャ1aを開放する方向)に付勢され、羽根走行の際のガタつきが抑制されている。ガタ寄せバネ10により、羽根アーム3に羽根がアパーチャ1aを開放する方向に付勢力が発生する。そして、羽根4,5,6と連結軸7を介して係合部材11の駆動ピン11dが羽根アーム2の穴2bと、羽根4,5,6がアパーチャ1aを閉鎖する方向に駆動する際に接触する側(カムギア15の回転中心に近い側のカム面)が常に当接している。従って、羽根4,5,6がアパーチャ1aを閉鎖する方向に走行する場合において、駆動ピン11dと羽根アーム2の穴2bにガタが無いので、走行の動き出し時間にバラツキを少なくすることが可能となる。
さらに、ガタ寄せバネ10の付勢力は、係合部材11のカム係合ピン11bをカムギア15のカム溝15aのカム面に常に当接するように作用する。従って、カムギア15の回転動作に連動してカムギア15のカム溝15aのカム面に常に追随して、カム係合ピン11bが摺動することが可能となる。
さらに、羽根アーム3は穴3cにバランサー9が取り付けられており、羽根走行の際に2つの羽根アーム2、3があおられないように構成されている。
また、駆動バネ18は内径部がホルダー部材17の軸受部17dにガイドされている。駆動バネ18の腕部18aは係止部17aと、腕部18bは係止部17bと係合され、被写体側から見て腕部18aは右回転方向に、腕部18bは左回転方向に付勢力が発生するようにチャージされている。
さらに、カムギア15はウェイト16がビス14によってビス止めされており、一体となって回転するように構成されている。この時、カムギア15とウェイト16を合わせた慣性質量は、羽根ユニットや係合部材11の慣性質量に対し大きなものになっている。
さらに、カムギア15は、羽根ユニットと係合部材11を合わせたイナーシャと、同程度のイナーシャを持つように、重量バランスを考慮して構成されている。
ここで、図9(a)、(b)を用いてカムギア15(駆動部材)の構成を説明する。
カムギア15のカム溝15aは、穴15eと同心円状に形成され、カム係合ピン11bを介して、羽根ユニットを走行前の待機状態で保持する第1の空走駆動領域15f、第2の空走駆動領域15gを有している。また、羽根ユニットを展開・重畳状態に駆動させ、アパーチャ1aを開放状態と閉鎖状態とに移動させる露光駆動領域15h、穴15eと同心円状に形成され、羽根ユニットを走行完了状態で保持する第3の空走駆動領域15iを有している。ここで、第1の空走駆動領域15f(第1のカム領域)は、後述するようにモータ19によってカムギア15が回転されても、羽根部材が開口を閉鎖する閉鎖状態または開放する開放状態を維持し、駆動バネ18による付勢を受ける領域である。第2の空走駆動領域15g(第2のカム領域)は、モータ19によってカムギア15が回転されても、羽根部材が閉鎖状態または開放状態を維持し、駆動バネ18による付勢を受けない領域である。露光駆動領域15hは、モータ19によってカムギア15が回転されることで、羽根部材が閉鎖状態から開放状態または開放状態から閉鎖状態に移動する領域である。
そして、第2の空走駆動領域15gと露光駆動領域15hは第1の切りかわり部15jを介して、露光駆動領域15hと第3の空走駆動領域15iは第2の切りかわり部15kを介してそれぞれ接続している。
また、第1の空走駆動領域15fにおいてカムギア15は駆動バネ18により被写体側から見て右回転方向に付勢されており、第3の空走駆動領域15iにおいてカムギア15は、被写体側から見て左回転方向に付勢されている。
カムギア15の遮光部15lは、PI(フォトインタラプタ)22のスリット部の間に配置され、カムギア15が回転するとカムギア15の遮光部15lがPI22のスリット部を通過するので、カムギア15の回転(基準位置)を検知することができる。
モータ19はモータプレート20に取り付けられ、モータプレート20はホルダー部材17にビス14によってビス止めされている。
また、モータ19の出力軸19aにはピニオンギア21が取り付けられ、ホルダー部材17の穴17cを貫通し、カムギア15のギア部15bと係合することで、モータ19からのトルクをカムギア15へと伝達している。このようにモータ19は、カムギア15を駆動(回転)する駆動手段として機能する。モータ19は、決められた時間間隔にしたがってコイルの通電状態を切り換えて駆動するステップ駆動(オープンループ駆動)と、進角値が異なる2種類のフィードバック駆動が可能なステッピングモータである。
係合部材11のカム係合ピン11bがカム部材15のカム溝15aの第1および第2の空走駆動領域15f,15gと係合している区間は、決められた時間間隔にしたがってコイルの通電状態を切り換えるステップ駆動方式(オープンループ駆動)で駆動させる。
また、係合部材11のカム係合ピン11bがカム部材15のカム溝15aの第1の切りかわり部15jに達すると、駆動方式を切り換える。具体的に、ステップ駆動(オープンループ駆動)から位置センサ(第1磁気センサ307,第2磁気センサ308,第3磁気センサ309,第4磁気センサ310)出力に応じてコイルの通電状態を切り換える駆動方式(センサード駆動)に切り換える。なお、モータ19の詳細な構成については、後述する。
また、時間記憶手段113によりモータ19への通電開始からPI22によりカムギア15の回転を検知するまでの時間を記憶することができる。
ところで、シャッタ装置は個体毎に羽根ユニットの走行特性が異なる。そのため、出荷時にシャッタ装置の個体毎に電子先幕の走行特性を調整する、電子先幕調整(以下、初期調整)が実施されている。この初期調整時におけるモータ19への通電開始からPI22によりカムギア15の回転を検知するまでの時間と、撮像時におけるモータ19への通電開始からPI22によりカムギア15の回転を検知するまでの時間とを比較する。このとき、初期調整時と撮像時とで差が生じている場合、ステップ駆動(オープンループ駆動)の駆動パルスの幅を適正な量へと変更する。具体的に、PI22によりカムギア15の回転を検知してから係合部材11のカム係合ピン11bがカム部材15のカム溝15aの第1の切りかわり部15jに達するまでの区間におけるステップ駆動の駆動パルスの幅を適正な量へと変更する。従って、撮像時であっても、初期調整時におけるモータ19への通電開始からPI22によりカムギア15の回転を検知するまでの時間と等しくなるように補正することが可能である。
次に、本実施の形態に係わるフォーカルプレンシャッタ102の動作について説明する。なお、フォーカルプレンシャッタ102の動作は、CPU109により制御される。図10は、撮像装置100のフォーカルプレンシャッタ102の動作を説明するタイミングチャートである。図11〜図13、図15〜図17は、図10に示すステップ(A状態〜M状態)となるときのフォーカルプレンシャッタ102の状態を説明する図である。なお、図11〜図13、図15〜図17において、回転方向(左右)は(a)の方向で定義する。したがって、図において(a)と(b)は左右が逆になる。
(撮像待機状態)
図11は、本発明の実施例1におけるフォーカルプレンシャッタの撮像前の待機状態を示す図である。図11に図示するように、撮像装置100の待機状態となるステップAでは、羽根4、5、6がアパーチャ1aを開放している。このとき、羽根アーム3の穴3bに掛けられたガタ寄せバネ10の付勢力により係合部材11の駆動ピン11dは左回転方向に付勢される。そのため、カム係合ピン11bは、カムギア15のカム溝15aと、羽根4,5,6がアパーチャ1aを閉鎖する方向に駆動する際に接触する側(カムギア15の回転中心に近い側のカム面)が当接した状態で待機される。
このとき、カムギア15の可動端部15cに配設されている切り欠き15dは、駆動バネ18の右側の腕部18aに当接している。しかし、この状態では、駆動バネ18はチャージされておらず、自然状態である。
(チャージ状態)
ステップAでSW1がオンすると、低進角のフィードバック駆動モードにてモータ19が左回転方向に駆動されるので、カムギア15は図11に示す状態から右回転方向に回転する。ここで、モータ19のピニオンギア21とカムギア15のギア部15bとが噛み合っているので、モータ19の回転方向とカムギア15の回転方向は逆になる。
図11に示す状態(ステップA)からカムギア15が右回転方向に回転すると、カムギア15の可動端部15cに配設されている切り欠き15dは駆動バネ18と当接し、チャージしながら回転する。この区間では、カムギア15は駆動バネ18をチャージしながら右回転方向に回転するので、モータ19の負荷変動が大きくなる。しかし、低進角のフィードバック駆動モードにてモータ19が駆動されているので、モータ19が脱調することはない。
図12に示す状態(ステップB)では、駆動バネ18がチャージされた状態となるので、カムギア15は、駆動バネ18により左回転方向に付勢される。
制御回路312は、モータ19を通電開始させ、カムギア15を、カムギア15の可動端部15cがホルダー部材の当接面17eに当接させる以上のステップ数だけ回転させ、その後モータを通電保持させるよう駆動回路313を制御する。
従って、カムギア15の可動端部15cが、ホルダー部材17の当接面17eに当接し、カムギア15の回転が停止する。
図12に図示するように、ステップBでは、羽根4、5、6がアパーチャ1aを開放している。
また、撮像装置100はステップAでSW1がONすると、不図示の測距手段が被写体までの距離を測定し、レンズ制御手段114が撮像レンズを駆動しピント合わせを行う等の撮像準備動作を行う。
(ステップ駆動・第1の空走駆動区間)
SW2がオンするとCPU109がTG108を制御することで、TG108は撮像素子103の全画素をリセット状態にする。具体的には、信号res_1〜res_nをLowレベルに、信号tx_1〜tx_nをHighレベルにし、1行目からn行目の全ての画素部220のPD241をリセット状態にすることによって行われる。
また、撮像装置100はSW2がオンすると、不図示のミラー駆動手段がミラー部材115を撮像光路から退避させ、不図示の被写体輝度測定装置が被写体輝度を測定し、レンズ制御手段114が撮像レンズ101の不図示の絞りを駆動する。
SW2がオンし、所定時間後に(ステップD)羽根4、5、6がアパーチャ1aを閉鎖する方向にカムギア15を回転すべくチャージ時とは逆方向にモータ19に通電を行い、ステップ駆動モードによる助走駆動を開始する。このモータ19に通電を開始し助走駆動を開始するカムギア15の位置を第1の位置とする。第1の位置は、係合部材11が第1の空走駆動領域15fと係合している間に、羽根部材が開口を閉鎖する方向に駆動するようにカムギア15が回転を開始する位置である。助走駆動にて、制御回路312は、所定の駆動パルスの幅を徐々に小さくしていくことで、モータ19の回転速度を徐々に速くする。
モータ19への通電が開始されると、駆動バネ18による付勢力を受け、カムギア15は左回転方向へ回転し、助走を始める。係合部材11のカム係合ピン11dは、カムギア15のカム溝15aの第1の空走駆動領域15fと当接しながら加速を始める。このとき、羽根アーム3の穴3bに掛けられたガタ寄せバネ10による付勢力により羽根4,5,6を閉鎖する方向に駆動する際に接触する側(カムギア15の回転中心に近い側のカム面)と当接しながら加速を始める。
モータ19がさらに回転すると、図13に示す、PI22によりカムギア15の回転が検知された検知状態(ステップE)となる。PI22は、カムギア15の回転(基準位置)を検出する検出手段として機能する。PI22は、係合部材11が第1の空走駆動領域15fまたは第2の空走駆動領域15gと係合している間に、カムギア15の基準位置を検出することができる位置に設けられる。このPI22により回転が検出されたカムギア15の位置を第2の位置(基準位置)とする。このとき、測定手段118は、カムギア15が助走駆動を開始する第1の位置からカムギア15の基準位置が検出される第2の位置に移動するまでの第1の時間を測定する。
また、時間記憶手段113は、測定手段118により測定された第1の時間を記憶する。すなわち、時間記憶手段113により、羽根を閉鎖する方向にカムギア15を回転するべくチャージ時とは逆方向にモータ19に通電を開始してからカムギア15の回転がPI22により検知されるまでの時間(第1の時間)を記憶することが可能である。
さらに、比較手段119により、時間記憶手段113に記憶された2つの時間を比較することができる。すなわち、初期調整時におけるモータ19への通電開始からカムギア15の回転がPI22により検知されるまでの時間(第2の時間)と、実際の同時間(第1の時間)とを比較することができる。
ところで、温度や湿度などの外部環境の変化により、モータ19の出力の変化やカムギア15や羽根ユニットの摺動部の摩擦力の変化によりモータ19への通電開始からカムギア15の回転がPI22により検知されるまでの時間に変化が生じることがある。これに対して、本構成を採用することで、初期調整時におけるモータ19への通電開始からカムギア15の回転がPI22により検知されるまでの時間と実際に撮像を行った際の同時間とを比較して、時間変化量を把握することが可能となっている。
(ステップ駆動・第2の空走駆動区間)
図13に示す状態(ステップE)からさらにモータ19を回転させると、駆動バネ18の腕部18aがホルダー部材17の係止部17aと当接した状態(ステップF)となり、カムギア15は駆動バネ18の付勢力を受けなくなる。従って、カムギア15はモータ19の駆動力のみによって回転する。
また、係合部材11のカム係合ピン11dは、カムギア15のカム溝15aの第2の空走駆動領域15gと当接しながらさらに加速する。このとき、羽根アーム3の穴3bに掛けられたガタ寄せバネ10による付勢力により羽根4,5,6を閉鎖する方向に駆動する際に接触する側(カムギア15の回転中心に近い側のカム面)と当接しながらさらに加速する。
また、SW2オンからCPU109がTG108を制御によりTG108が電子先幕操作を開始するまでの期間は、撮像素子103の全画素リセット状態が継続される。
SW2オンから所定時間後、羽根の走行にさきがけ、TG108は電子先幕走査を開始する。
ここで、電子先幕走査とは、全画素がリセット状態となっている撮像素子103に対して1ラインずつ電荷蓄積を開始することである。具体的には、垂直走査回路221が信号tx_*をn行目から1行目に向かって順にLowレベルにしていく。これにより、各行のPD241はリセットが順次解除され、蓄積状態に入る。
1ラインずつ電荷蓄積を開始する走査パターンは、羽根4,5,6の走行特性に合わせた走査パターンとなっているので、撮像素子103のどのラインでも均一な蓄積時間(露光時間)となる。
また、ここでフォーカルプレンシャッタ102の初期調整時における、モータ19への通電開始からカムギア15の回転がPI22により検知されるまでの時間と実際に撮像を行った際の該時間との変化に応じて、ステップ駆動の駆動パルスの幅を変更する。初期調整時におけるモータ19への通電開始からカムギア15の回転がPI22により検知されるまでの時間は、あらかじめ時間記憶手段113に記憶されている。また、実際に撮像を行った際のモータ19への通電開始からカムギア15の回転がPI22により検知されるまでの時間も、時間記憶手段113に記憶される。CPU109は、時間記憶手段113に記憶された初期調整時における時間と実際に撮像を行った際の時間との変化に応じて、ステップ駆動の駆動パルスの幅を変更する。
図14を用いて、モータ19への通電開始からカムギア15の回転がPI22により検知されるまでの時間が遅れた場合、速くなった場合における駆動パルスの幅の変更方法を説明する。
まず、初期調整時における、モータ19への通電開始(ステップD)からカムギア15の回転がPI22により検知されるまで(ステップE)の時間をt1とし、撮像時の同時間をt2とする。外部環境の変化によりステップDの状態からステップEの状態に達するまでに時間的な遅れが生じた場合、t1<t2となる。したがって、予め設定された駆動パルス幅で走行させた場合、図14に示す、係合部材11のカム係合ピン11dが第1の切りかわり部15jと当接した状態(ステップG)に達するまでの時間も遅れてしまう。ここで、このカム係合ピン11dが第1の切りかわり部15jと当接するカムギア15の位置を第3の位置とする。第3の位置は、係合部材11が第2の空走駆動領域15gと露光駆動領域15hとの間の境界においてカム溝15aと係合し、羽根部材が閉鎖する方向に駆動を開始する位置である。この場合、先行している電子先幕に対して羽根ユニットの動作が遅れ、撮像される画像が、適切な露出に対してより明るい画像となってしまう。そこで本発明においては、ステップDからステップGに至るまでの時間が初期調整時と同等になる様、時間t1に対する遅れ量Δt分速く動作する様、ステップFからステップGの期間における駆動パルスの幅を変更する。
つまり、CPU109は、時間t2(第1の時間)と時間t1(第2の時間)との差に応じて、カムギア15のステップEの状態からステップGの状態に達するまでの間において、該カムギア15の駆動速度を制御する。換言すれば、第1の時間と第2の時間との差に応じて、第2の位置と該第2の位置を通過した後に到達する第3の位置との間において、該カムギア15の駆動速度を制御する。より具体的には、実際のステップDからステップGに至るまでの時間t(第3の時間)が、初期調整時におけるステップDからステップGに至るまでの時間t(第4の時間)に近づくように、カムギア15の駆動速度を制御する。換言すれば、カムギア15が第1の位置から第3の位置に移動するまでにかかる第3の時間が、時間t1と時間t2とが同じである場合の第1の位置から第3の位置に移動するまでにかかる第4の時間に近づくように、カムギア15の駆動速度を制御する。従って、外部環境の変化によりモータ19への通電開始からカムギア15の回転がPI22により検知されるまでの時間に変化が生じた場合においても、駆動パルスの幅を変更することで適切な露出での撮像が可能となる。
外部環境の変化によりモータ19への通電開始からカムギア15の回転がPI22により検知されるまでの時間が初期調整時よりも早くなった場合も同様に、駆動パルスの幅を変更する。すなわち、速く動作した量Δt’分遅く動作させるよう、ステップFからステップGの期間における駆動パルスの幅を変更する。
つまり、CPU109は、時間t1(第2の時間)より時間t2(第1の時間)の方が長い場合、カムギア15が第2の位置から第3の位置に移動するまでの間で時間t1と時間t2とが同じである場合よりもカムギア15の駆動速度を速くするように制御する。逆に、時間t1(第2の時間)より時間t3(第1の時間)の方が短い場合、カムギア15が第2の位置から第3の位置に移動するまでの間で時間t1と時間t2とが同じである場合よりもカムギア15の駆動速度を遅くするように制御する。
また、PI22によるカムギア15の回転を検知するタイミングと、駆動バネ18の腕部18aがホルダー部材17の係止部17aと当接し、カムギア15が駆動バネ18の付勢力を受けなくなるタイミングは、逆であってもよい。すなわちステップEとステップFは順序が逆であっても良い。この場合、ステップEからステップGの期間における駆動パルスの幅を変更することで露出を補正する。
パルス変更を行ったステップFからステップGまでの期間において、カム係合ピン11bは、カムギア15の回転中心と同心状の第2の空走駆動領域15gと係合している。従って、羽根4、5、6が露光に影響を与えることはない。
また、助走駆動時に、駆動ピン11dは、カムリフトがほぼゼロになっているカムギア15の第1の空走駆動領域15f、第2の空走駆動領域15gをトレースする。したがって、図14に示す状態(ステップG)における係合部材11の位置は、図11に示す状態(ステップB)における係合部材11の位置と同じである。これによって、モータ19をステップ駆動モードで駆動しても、モータ19が脱調することはない。
(羽根駆動開始(ステップ駆動→高進角駆動))
制御回路312は、ステップDから所定ステップ後に高進角のフィードバック駆動モードにてカムギア15を左回転方向に駆動するように、駆動回路313を制御する(ステップG)。
図15に示す状態(ステップG)からカムギア15が左回転方向に回転すると、この区間にて、係合部材11のカム係合ピン11bがカムギア15の同心円カムである第2の空走駆動領域15gから露光駆動領域15hへと移行する。そして、露光駆動領域15hをトレースして係合部材11を回転させる。これによって、アパーチャ1aを開放していた羽根4、5、6がアパーチャ1aを閉鎖していくとともに撮像素子103を遮光する状態になる。
したがって、露光駆動時には、モータ19を高速駆動する必要があり、かつモータ19の駆動中に負荷変動が大きくなる。このとき、モータ19は高進角のフィードバック駆動モードにて駆動されるので、高速駆動や負荷変動によってモータ19が脱調することはない。また、助走駆動にてモータ19の回転速度は十分高速になっているので、高進角のフィードバック駆動モードにてモータ19を高速駆動することができる。羽根の走行が開始すると、モータ19の回転駆動力の変化は、カムギア15の回転スピードや電気信号との同調具合への影響は相対的に小さなものになる。そのため、モータ19は多少の負荷変動があっても、脱調することなく羽根を安定的に走行させることができる。
このように、係合部材11は、モータ19によりカムギア15が一方向(閉鎖方向)に回転される際に、第1の空走駆動領域15f、第2の空走駆動領域15g、露光駆動領域15hの順でカム溝15aと係合する。そして、CPU109は、係合部材11が第1の空走駆動領域15fおよび第2の空走駆動領域15gと係合している間はモータ19をステップ駆動させ、露光駆動領域15hと係合している間はモータ19を高進角駆動させる。
電子先幕の走査から、羽根4、5、6によって撮像素子103を遮光するまでの時間が、露光時間となり、このステップDのSW2からのモータ通電開始の所定時間を制御することで、露光時間が制御される。
本実施例では、ステップDでモータ19に通電した後に電子先幕の走査を開始しているが、露光時間によっては(露光時間が長い場合等)電子先幕の走査を開始した後にモータ19を通電する場合もある。
(減速)
図15からモータ19の高進角駆動を続けると、図16に示す状態となる(ステップH)。係合部材11のカム係合ピン11bはカムギア15の第2の切りかわり部15kの直前の、係合部材11の回転速度が減速する領域に到達する。このとき、係合部材11はカム面から力を受けるため、一体となって動作していた羽根ユニットにも力が伝わる。このとき、羽根4、5、6は慣性と相反する力をうけるため、羽根4、5、6は光軸方向に変形する。羽根ユニットで光軸方向に最も突出している連結軸7は、羽根4、5、6の減速によってシャッタ地板1やカバー板8に接触する危険性が増す。しかし、減速領域を設けた第2の切りかわり部15kにおいて連結軸7は、アパーチャ1a端部より十分に手前である。そのため、連結軸7がアパーチャ1aに接触しないか、接触しても削れを殆ど発生させない程度にまで、羽根の振動は減衰しており、ゴミの発生を抑制することができる。
カムによる減速位置から更に高進角駆動を続け、制御回路312によってモータ19を検知している磁気センサ307〜310から所定のパルス数が入力されると、センサ高進角駆動からステップ駆動に切替える(ステップH)。更にモータ19の回転速度を低速に切り替えるように駆動回路313を制御する。このとき、モータ19の速度変更のタイミングでは、羽根4のスリット形成部4aが既にアパーチャ1a外部にあるので、仮に羽根が振動しても露出ムラは発生せず、モータ19の電気ノイズも画像に影響を与えにくい。
(閉鎖走行完了)
図10のステップHからモータ19のステップ駆動を更に続けると、係合部材11のカム係合ピン11bがムギア15の等リフト部との切り替わりである第2の切り替わり部15kに達した、羽根走行完了状態である図17の状態(ステップI)となる。このとき、まだカムギア15は回転を続けているが、係合部材11のカム係合ピン11bはカムギア15の第3の空走駆動領域15iにおいて同心円におり、羽根を展開する力は作用しない。
(カム停止)
図17から更に所定のステップでモータステップ駆動を続けた後、モータ19への通電を停止し、カムギア15が停止した状態となる(ステップJ)。
またステップJで、撮像装置100は、撮像素子103が羽根4〜6により遮光されているので、撮像素子103の静止画読み出し走査を開始するとともに不図示のミラー駆動手段によりミラー部材115を撮像光路に侵入させ、ファインダ観察状態に移行する。
(待機位置復帰動作)
ステップJから所定時間後、撮像素子103の静止画読み出し走査が終了した後に、待機位置への復帰動作が開始される。すなわち、ギア15は、モータ19のステップ駆動により図17における右回転方向に回転を開始する(ステップK)。係合部材11のカム係合ピン11bは同心円である第3の空走駆動領域15iにあり、カムギア15の回転は係合部材11に伝達されない。モータ19が通電開始から所定ステップ数だけステップ駆動を続けると、図17(ステップJ)の状態となる。図17に到達すると、係合部材11のカム係合ピン11bがカムギア15の露光駆動領域15hに到達するので、係合部材11はシャッタ地板1の軸1bを中心に左回転方向に回転を開始する。同時に、アパーチャ1aに展開され、撮像素子103を遮光していた羽根4、5、6は、重畳する方向に動作を開始し、アパーチャ1aを開放し始める(ステップL)。
(復帰動作時の減速)
図17から制御回路312は、モータ19の磁気センサ307〜310からの所定のパルス数が検知されると、モータ19をセンサ高進角駆動からステップ駆動に切り替え、ステップ駆動スピードを落とすように駆動回路313を制御する(ステップM)。このとき、羽根はアパーチャ1a内に存在するが、露光動作中ではないので、この減速によって、羽根が光軸方向に揺れることが許容される。また、モータ19から画像へのノイズの影響も無視される。
モータ19の減速に引き続き、係合部材11のカム係合ピン11bは第1の切りかわり部15jに当接する。
この時点より手前でモータ19の回転スピードを落とし、係合部材11のカム係合ピン11bが第1の切りかわり部15jに当接する時の速度を遅くすることで、カム係合ピン11bとカム溝15aとの衝突による削れが発生しにくくなる。第1の切りかわり部15jは羽根走行時に加速域となっており、SH精度への影響が大きい。本実施例では、モータの減速をカムの切り替わりよりも先に行うことで、耐久でSH精度が悪化することを抑制できる。
さらに、全領域を低速駆動する場合とは異なり、部分的に低速駆動するので、復帰動作にかける時間が大きく伸びてしまうことがない。
更にモータ19がステップ駆動を続けると、カム溝15aに沿うことで、係合部材11の回転速度が減速し、係合部材11のカム係合ピン11bは、カムギア15の同心円である第2の空走駆動領域15gに到達する。そして、係合部材11と一体に動作する羽根4、5、6は停止位置に至る(ステップN)。このとき、羽根4、5、6の運動エネルギーは完全には失われていないため、カム係合ピン11bは同心円である第2の空走駆動領域15gの外側と内側に交互にあたり、運動エネルギーを失うまでわずかな振動が継続する。
(モータの駆動停止)
図10のステップNから更に所定のステップでモータステップ駆動を続けると、停止位置である図11の状態となり(ステップA´)、モータ19への通電を停止する。
次に、図2、図18、図19を参照して、本実施の形態に係わるモータについて説明する。
図2は本発明で用いるモータを説明する図である。なお、説明のため、一部の部品を破断して示している。
図2に図示するように、ロータ302は、マグネット301を備え、シャッタ駆動回路111に含まれる制御回路(制御部)312及び駆動回路313によって回転可能に制御される。マグネット301は、円筒形状に形成され、外周面を周方向に分割して、異なる極に交互に多極着磁されている。本実施形態では、8分割すなわち8極に着磁されている。なお、8極に限らず、4極や12極に着磁してもよい。
第1のコイル303は、マグネット301の軸方向の一端に配置されている。
第1のヨーク305は、軟磁性材料で、マグネット301の外周面に隙間を持って対向して形成されている。また、第1のヨーク305は、円環状の本体部から軸方向に延出され、周方向に所定の間隔で配置された複数の第1の磁極部305aを備えている。第1の磁極部305aは、第1のコイル303に通電されることで励磁される。
第1のコイル303と第1のヨーク305と複数の第1の磁極部305aに対向するマグネット301によって第1のステータユニットが構成される。
第2のコイル304は、マグネット301の第1のコイル303が取り付けられた軸方向の一端と反対側の他端に配置されている。
第2のヨーク306は、軟磁性材料で、マグネット301の外周面に隙間を持って対向して形成されている。また、第2のヨーク306は、円環状の本体部から軸方向に延出され、周方向に所定の間隔で配置された複数の第2の磁極部306aを備えている。第2の磁極部306aは、第2のコイル304に通電されることで励磁される。
第2のコイル304と第2のヨーク306と複数の第2の磁極部306aに対向するマグネット301によって第2のステータユニットが構成される。
第1の磁極部305aと第2の磁極部306aに励磁される極(N極、S極)を切り換えることで、ロータ302に与えるトルクを変化させることができる。
第1磁気センサ(第1の検出素子)307、第2磁気センサ(第2の検出素子)308、第3磁気センサ(第3の検出素子)309、第4磁気センサ(第4の検出素子)310は、検出手段を構成する。各磁気センサは、それぞれマグネット301の磁束を検出するホール素子であり、モータカバー311に固定される。
モータカバー311は、第1の磁極部305aと第2の磁極部306aとがマグネット301の着磁位相に対して電気角で略90度ずれて配置されるように第1のヨーク305と第2のヨーク306を固定保持する。
ここで、電気角とは、マグネット磁力の1周期を360°として表したものであり、ロータの極数をM、機械角をθ0とすると、電気角θは以下の式(1)で表せる。
θ=θ0×M/2 ・・・(1)
本実施形態では、マグネット301の着磁は8極であるから電気角90度は機械角で22.5度となる。
制御回路312は、ステップ駆動と推進量が異なる2種類のフィードバック駆動とを切り換えて駆動する事が出来る。ステップ駆動を行う場合には、所定の時間間隔で第1のコイル303および第2のコイル304の通電状態を切り換えるように、制御回路312が駆動回路313を制御する。すなわち、ステップ駆動を行う場合には、第1磁気センサ307、第2磁気センサ308、第3磁気センサ309、第4磁気センサ310の出力を使用しない。
以下、制御回路312がフィードバック駆動を行う場合について説明する。制御回路312が2種類のフィードバック駆動を行う場合には、第1磁気センサ307、第2磁気センサ308、第3磁気センサ309、第4磁気センサ310の出力を使用する。
本実施形態では、各磁気センサを各ヨークに対して以下に説明するような位置関係で設けることで、通電方向の切り換え時においても大きな回転駆動力を得ることが出来る。
(1)右回りの回転について
(1−i)低進角駆動(第1の通電モード)
右回りの低進角駆動モードに関して説明する。低進角駆動モードでは、後述する高進角駆動モードよりも大きなトルクを得ることが出来る。
右周りの低進角駆動モードでは、第1磁気センサ307の出力信号により第1の磁極部305aの励磁を切り換え、第2磁気センサ308の出力信号により第2の磁極部306aの励磁を切り換えることで、ロータ302を右回りに回転させる。なお、ロータ302の右回りの回転方向が第1の回転方向に相当する。
この駆動モードでは、以下のような組み合わせで、第1のコイル303および第2のコイル304の通電方向を切り換える。
第1磁気センサ307が、マグネット301のS極(N極からS極への切り換わり)を検出すると、その検出信号が制御回路312に入力される。そして、第1の磁極部305aをN極に励磁するように、制御回路312は駆動回路313を制御する。第1磁気センサ307がマグネット301のN極(S極からN極への切り替わり)を検出すると、その検出信号が制御回路312に入力される。そして、第1の磁極部305aをS極に励磁するように、制御回路312は駆動回路313を制御する。
第2磁気センサ308が、マグネット301のS極(N極からS極への切り換わり)を検出すると、その検出信号が制御回路312に入力される。そして、第2の磁極部306aをS極に励磁するように、制御回路312は駆動回路313を制御する。第2磁気センサ308がマグネット301のN極(S極からN極への切り換わり)を検出すると、その検出信号が制御回路312に入力される。そして、第2の磁極部306aをN極に励磁するように、制御回路312は駆動回路313を制御する。
図18(a)の状態では、第1磁気センサ307、第2磁気センサ308は、ともにマグネット301のS極を検出している。このとき、第1の磁極部305aがN極に励磁、第2の磁極部306aがS極に励磁されるように、制御回路312は駆動回路313を制御する。これによって、ロータ302およびマグネット301に右回りの回転力が発生する。
図18(a)の状態からロータ302が右回りに回転すると、図18(b)に示すように、マグネット301のS極の中心Q1と第1の磁極部305aの中心が対向する状態になる。
図18(b)の状態からロータ302が右回りに回転すると、図18(c)に示すように、マグネット301のS極の中心Q1と第1の磁極部305aとの距離が、マグネット301のN極の中心Q2と第2の磁極部306aとの距離と同じになる。
第1磁気センサ307の出力に基づいて第1の磁極部305aに励磁される極を切り換えるとき、ロータ302の回転位置に対する第1の磁極部305aの励磁切換のタイミングが電気進角0度と45度の間になるように第1磁気センサ307は配置されている。
図18(b)の状態から図18(c)の状態の間に、第1磁気センサ307はマグネット301のN極(S極からN極への切り換わり)を検出する。このとき、第1の磁極部305aがS極に励磁されるように、駆動回路313が第1のコイル303に通電する。また、図18(b)の状態から図18(c)の状態の間に、第2磁気センサ308はマグネット301のS極を検出しているので、第2の磁極部306aがS極に励磁されるように、駆動回路313が第2のコイル304に通電している。これによって、ロータ302およびマグネット301には右回りの回転力が発生する。
図18(c)の状態からロータ302が右回りに回転すると、図18(d)に示すように、マグネット301のN極の中心Q2と第2の磁極部306aの中心が対向する。
図18(d)の状態からロータ302が右回りに回転すると、図18(e)に示すように、マグネット301のN極の中心Q2と第1の磁極部305aとの距離が、マグネット301のN極の中心Q2から第2の磁極部306aとの距離と同じになる。
第2磁気センサ308の出力に基づいて第2の磁極部306aに励磁される極を切り換えるとき、ロータ302の回転位置に対する第2の磁極部306aの励磁切換のタイミングが電気進角0度と45度の間になるように第2磁気センサ308が配置されている。
図18(d)の状態から図18(e)の状態の間に、第2磁気センサ308はマグネット301のN極(S極からN極への切り換わり)を検出する。このとき、第2の磁極部306aがN極に励磁されるように、駆動回路313が第2のコイル304に通電する。また、図18(d)の状態から図18(e)の状態の間に、第1磁気センサ307はマグネット301のN極を検出しているので、第1の磁極部305aがS極に励磁されるように、駆動回路313が第1のコイル303が通電している。これによって、ロータ302およびマグネット301は右回りの回転方向に回転する。
ロータ302が右回りに回転し、第1磁気センサ307の出力に基づいて第1の磁極部305aに励磁される極を切り換えるときに、ロータ302の回転位置に対する第1の磁極部305aの励磁切換タイミングが電気進角0度から45度の間になる。すなわち、第1磁気センサ307は、第1の磁極部305aでの励磁切換タイミングから電気進角0度となる位置からの進角量が、第1の磁極部305aでの励磁切換タイミングから電気進角90となる位置からの遅角量より小さくなる位置に配置される。
ロータ302が右回りに回転し、第2磁気センサ308の出力に基づいて第2の磁極部306aに励磁される極を切り換えるときに、ロータ302の回転位置に対する第2の磁極部306aの励磁切換タイミングが電気進角0度から45の間になる。すなわち、第2磁気センサ308は、第2の磁極部306aでの励磁切換タイミングから電機進角0度となる位置からの進角量が、第2の磁極部306aでの励磁切換タイミングから電気進角90となる位置からの遅角量より小さくなる位置に配置される。
(1−ii)高進角駆動(第2の通電モード)
右周りの高進角駆動モードに関して説明する。高進角駆動モードでは、前述した低進角モードよりも高速で回転させることが出来る。
右周りの高進角駆動モードでは、第3磁気センサ309の出力に基づいて第1の磁極部305aに励磁される極を切り換え、第4磁気センサ310の出力に基づいて第2の磁極部306aに励磁される極を切り換えることで、ロータ302を右回りに回転させる。
この駆動モードでは、以下のような組み合わせで、第1のコイル303および第2のコイル304の通電方向を切り換える。
第3磁気センサ309が、マグネット301のS極(N極からS極への切り換わり)を検出すると、その検出信号が制御回路312に入力される。そして、第1の磁極部305aをN極に励磁するように、制御回路312は駆動回路313を制御する。第3磁気センサ309がマグネット301のN極(S極からN極への切り換わり)を検出すると、その検出信号が制御回路312に入力される。そして、第1の磁極部305aをS極に励磁するように、制御回路312は駆動回路313を制御する。
第4磁気センサ310が、マグネット301のS極(N極からS極への切り換わり)を検出すると、その検出信号が制御回路312に入力される。そして、第2の磁極部306aをS極に励磁するように、制御回路312は駆動回路313を制御する。第4磁気センサ310がマグネット301のN極(S極からN極への切り換わり)を検出すると、その検出信号が制御回路312に入力される。そして、第2の磁極部306aをN極に励磁するように制御回路312は駆動回路を制御する。
図18(a)の状態では、第3磁気センサ309、第4磁気センサ310は、ともにマグネット301のS極を検出している。よって、第1の磁極部305aはN極に励磁され、第2の磁極部306aはS極に励磁されると、ロータ302およびマグネット301に右回りの回転力が発生する。
図18(a)の状態からロータ302が右回りに回転すると、図18(b)に示すように、マグネット301のS極の中心Q1と第1の磁極部305aの中心が対向する状態になる。
第3磁気センサ309の出力に基づいて第1の磁極部305aに励磁される極を切り換えるとき、ロータ302の回転位置に対する第1の磁極部305aの励磁切換タイミングが電気進角45度と90度の間になるように第3磁気センサ309が配置されている。
図18(a)の状態から図18(b)の状態の間に、第3磁気センサ309はマグネット301のN極(S極からN極への切り換わり)を検出する。このとき、第1の磁極部305aがS極に励磁されるように、駆動回路313が第1のコイル303に通電している。また、図18(a)の状態から図18(b)の状態の間に、第4磁気センサ310はマグネット301のS極を検出しているので、第2の磁極部306aがS極に励磁されるように、駆動回路313が第2のコイル304に通電している。これによって、ロータ302およびマグネット301には右回りの回転力が発生する。
図18(b)の状態からロータ302が右回りに回転すると、図18(c)の状態を経て、図18(d)に示すように、マグネット301の着磁された極の中心Q2と第2の磁極部306aの中心が対向する。
第4磁気センサ310の出力に基づいて第2の磁極部306aに励磁される極を切り換えるとき、ロータ302の回転位置に対する第2の磁極部306aの励磁切換タイミングが電気進角45度と90度の間になるように、第4磁気センサ310が配置されている。
図18(c)の状態から図18(d)の状態の間に、第4磁気センサ310はマグネット301のN極(S極からN極への切り換わり)を検出する。このとき、第2の磁極部306aがN極に励磁されるように、駆動回路313が第2のコイル304に通電する。また、図18(c)の状態から図18(d)の状態の間に、第3磁気センサ309はマグネット301のN極を検出しているので、第1の磁極部305aがS極に励磁されるように、駆動回路313が第1のコイル303に通電している。これによって、ロータ302およびマグネット301は右回りの回転力が発生する。
ロータ302が右回りに回転し、第3磁気センサ309の出力に基づいて第1の磁極部305aに励磁される極を切り換えるときに、ロータ302の回転位置に対する第1の磁極部305aの励磁切換タイミングが電気進角45度から90度の間になる。すなわち、第3磁気センサ309は、第1の磁極部305aでの励磁切換タイミングから電気進角0度となる位置からの進角量が、第1の磁極部305aの励磁切換タイミングから電気進角90度となる位置からの遅角量より大きくなる位置に配置される。
ロータ302が右回りに回転し、第4磁気センサ310の出力に基づいて第2の磁極部306aに励磁される極を切り換えるときに、ロータ302の回転位置に対する第2の磁極部306aの励磁切換タイミングが電気進角45度から90度の間になる。すなわち、第4磁気センサ310は、第2の磁極部306aでの励磁切換タイミングから電気進角0度となる位置からの進角量が、第2の磁極部306aでの励磁切換タイミングから電気進角90度となる位置からの遅角量より大きくなる位置に配置される。
(2)左回りの回転について
(2−i)低進角駆動(第3の通電モード)
左回りの低進角駆動モードに関して説明する。左回りであっても、低進角駆動モードでは、高進角駆動モードよりも大きなトルクを得ることが出来る。
左回りの低進角駆動モードでは、第3磁気センサ309の出力信号により第1の磁極部305aの励磁を切り換え、第4磁気センサ310の出力信号により第2の磁極部306aの励磁を切り換えることで、ロータ302を左回りに回転させる。なお、ロータ302の左回りの回転方向が第1の回転方向の反対方向となる第2の回転方向に相当する。
この駆動モードでは、以下のような組み合わせで、第1のコイル303および第2のコイル304の通電を切り換える。
第3磁気センサ309が、マグネット301のS極(N極からS極への切り換わり)を検出すると、その検出信号が制御回路312に入力される。そして、第1の磁極部305aをS極に励磁するように、制御回路312は駆動回路313を制御する。第3磁気センサ309が、マグネット301のN極(S極からN極への切り換わり)を検出すると、その検出信号が制御回路312に入力される。そして、第1の磁極部305aをN極に励磁するように、制御回路312は駆動回路313を制御する。
第4磁気センサ310が、マグネット301のS極(N極からS極への切り換わり)を検出すると、その検出信号が制御回路312に入力される。そして、第2の磁極部306aをN極に励磁するように、制御回路312は駆動回路313を制御する。第4磁気センサ310が、マグネット301のN極(S極からN極への切り換わり)を検出すると、その検出信号が制御回路312に入力される。そして、第2の磁極部306aをS極に励磁するように、制御回路312は駆動回路313を制御する。
図18(a)の状態では、第3磁気センサ309、第4磁気センサ310は、ともにマグネット301のS極を検出している。このとき、第1の磁極部305aがS極に励磁され、第2の磁極部306aがN極に励磁されるように、制御回路312は駆動回路313を制御する。これによって、ロータ302およびマグネット301に左回りの回転力が発生する。
図18(a)の状態からロータ302が左回りに回転すると、図18(f)に示すように、マグネット301のS極の中心Q1と第2の磁極部306aの中心が対向する状態になる。
図18(f)の状態からロータ302が左回りに回転すると、図18(g)に示すように、マグネット301のS極の中心Q1と第2の磁極部306aとの距離が、マグネット301のN極の中心Q3と第1の磁極部305aとの距離と同じになる。
第4磁気センサ310の出力に基づいて第2の磁極部306aに励磁される極を切り換えるとき、ロータ302の回転位置に対する第2の磁極部306aの励磁切換のタイミングが電気進角0度と45度の間になるように、第4磁気センサ310が配置されている。
図18(f)の状態から図18(g)の状態の間に、マグネット301のN極(S極からN極への切り換わり)を検出する。このとき、第2の磁極部306aがS極に励磁されるように、駆動回路313が第2のコイル304に通電する。また、図18(f)の状態から図18(g)の状態の間に、第3磁気センサ309はマグネット301のS極を検出しているので、第1の磁極部305aがS極に励磁されるように、駆動回路313が第1のコイル303に通電している。これによって、ロータ302およびマグネット301には左回りの回転力が発生する。
図18(g)の状態からロータ302が左回りに回転すると、図18(h)に示すように、マグネット301のN極の中心Q3と第1の磁極部305aの中心が対向する。
図18(h)の状態からロータ302が左回りに回転すると、図18(i)に示すように、マグネット301のN極の中心Q3と第1の磁極部305aとの距離が、マグネット301のN極の中心Q3から第2の磁極部306aとの距離と同じになる。
第3磁気センサ309の出力に基づいて第1の磁極部305aに励磁される極を切り換えるとき、ロータ302の回転位置に対する第1の磁極部305aの励磁切換タイミングが電気進角0度と45度の間になるように第3磁気センサ309が配置されている。
図18(h)の状態から図18(i)の状態の間に、第3磁気センサ309はマグネット301のN極(S極からN極への切り換わり)を検出する。このとき、第1の磁極部305aはN極に励磁されるように、駆動回路313が第1のコイル303に通電する。また、図18(h)の状態から図18(i)の状態の間に、第4磁気センサ310はマグネット301のN極を検出しているので、第2の磁極部306aがS極に励磁されるように、駆動回路313が第2のコイル304に通電している。これによって、ロータ302およびマグネット301は左回りの回転力が発生する。
このように、左回りの低進角駆動モードでは、第3磁気センサ309および第4磁気センサ310の出力によって、第1のコイル303および第2のコイル304への通電が順次切り換えられ、ロータ302およびマグネット301は左回りの回転方向に回転する。
ロータ302が左回りに回転し、第3磁気センサ309の出力に基づいて第1の磁極部305aに励磁される極を切り換えるときに、ロータ302の回転位置に対する第1の磁極部305aの励磁切換タイミングが電気進角0度から45度の間になる。
ロータ302が左回りに回転し、第4磁気センサ310の出力に基づいて第2の磁極部306aに励磁される極を切り換えるときに、ロータ302の回転位置に対する第2の磁極部306aの励磁切換タイミングが電気進角0度から45の間になる。
(2−ii)高進角駆動(第4の通電モード)
左回りの高進角駆動モードに関して説明する。左回りであっても高進角駆動モードでは、前述した低進角モードよりも高速で回転させることが出来る。
左回りの高進角駆動モードでは、第1磁気センサ307の出力に基づいて第1の磁極部305aに励磁される極を切り換え、第2磁気センサ308の出力に基づいて第2の磁極部306aに励磁される極を切り換えることで、ロータ302を左回りに回転させる。
この駆動モードでは、以下のような組み合わせで、第1のコイル303および第2のコイル304の通電方向を切り換える。
第1磁気センサ307が、マグネット301のS極(N極からS極への切り換わり)を検出すると、その検出信号が制御回路312に入力される。そして、第1の磁極部305aをS極に励磁するように、制御回路312は駆動回路313を制御する。第1磁気センサ307が、マグネット301のN極(S極からN極への切り換わり)を検出すると、その検出信号が制御回路312に入力される。そして、第1の磁極部305aをN極に励磁するように、制御回路312は駆動回路313を制御する。
第2磁気センサ308が、マグネット301のS極(N極からS極への切り換わり)を検出すると、その検出信号が制御回路312に入力される。そして、第2の磁極部306aをN極に励磁するように、制御回路312は駆動回路313を制御する。第2磁気センサ308が、マグネット301のN極(S極からN極への切り換わり)を検出すると、その検出信号が制御回路312に入力される。そして、第2の磁極部306aをS極に励磁するように、制御回路312は駆動回路313を制御する。
図18(a)の状態では、第1磁気センサ307、第2磁気のセンサ308は、ともにマグネット301のS極を検出している。よって、第1の磁極部305aはS極に励磁され、第2の磁極部306aはN極に励磁されると、ロータ302およびマグネット301に左回りの回転力が発生する。
図18(a)の状態からロータ302が左回りに回転すると、図18(f)に示すように、マグネット301のS極の中心Q1と第2の磁極部306aの中心が対向する状態になる。
第2磁気センサ308の出力に基づいて第2の磁極部306aに励磁される極を切り換えるとき、ロータ302の回転位置に対する第2の磁極部306aの励磁切換タイミングが電気進角45度と90度の間になるように第2磁気センサ308が配置されている。
図18(a)の状態から図18(f)の状態の間に、第2磁気センサ308はマグネット301のN極(S極からN極への切り換わり)を検出する。このとき、第2の磁極部306aがN極に励磁されるように、駆動回路313が第2のコイル304に通電する。また、図18(a)の状態から図18(f)の状態の間に、第1磁気センサ307はマグネット301のS極を検出しているので、第1の磁極部305aがS極に励磁されるように、駆動回路313が第1のコイル303に通電している。これによって、ロータ302およびマグネット301には左回りの回転力が発生する。
図18(f)の状態からロータ302が左回りに回転すると、図18(g)の状態を経て、図18(h)に示すように、マグネット301のN極の中心Q3と第1の磁極部305aの中心が対向する。
第1磁気センサ307の出力に基づいて第1の磁極部305aに励磁される極を切り換えるとき、ロータ302の回転位置に対する第1の磁極部305aの励磁タイミングが電気進角45度と90度の間になるように、第1磁気センサ307が配置されている。
図18(g)の状態から図18(h)の状態の間に、第1磁気センサ307はマグネット301のN極(S極からN極への切り換わり)を検出する。このとき、第1の磁極部305aはN極に励磁されるように、駆動回路313が第1のコイル303に通電する。また、図18(g)の状態から図18(h)の状態の間に、第2磁気センサ308はマグネット301のN極を検出しているので、第2の磁極部306aがS極に励磁されるように、駆動回路313が第2のコイル304に通電している。これによって、ロータ302およびマグネット301は左回りの回転力が発生する。
このように、左回りの高進角駆動モードでは、第1磁気センサ307および第2磁気センサ308の出力によって、第1のコイル303および第2のコイル304への通電が順次切り換えられ、ロータ302およびマグネット301は左回りの回転方向に回転する。
ロータ302が左回りに回転し、第1磁気センサ307の出力に基づいて第1の磁極部305aに励磁される極を切り換えるときに、ロータ302の回転位置に対する第1の磁極部305aの励磁切換タイミングが電気進角45度から90度の間になる。
ロータ302が左回りに回転し、第2磁気センサ308の出力に基づいて第2の磁極部306aに励磁される極を切り換えるときは、ロータ302の回転位置に対する第2の磁極部306aの励磁切換タイミングが電気進角45度から90度の間になる。
図19は、第1磁気センサ307、第2磁気センサ308、第3磁気センサ309、第4磁気センサ310が配置される位置を説明する図である。図19(a)〜(d)に図示するように、本実施形態のモータ19では、第1磁気センサ307は次の条件を満たす位置に配置されている。
(a)右回りの駆動時に、第1磁気センサ307の出力に基づいて第1の磁極部305aに励磁される極を切り換えると、ロータ302の回転位置に対する第1の磁極部305aの励磁切換タイミングが電気進角0度から45度の間になる。(図19(a)参照)
(b)左回りの駆動時に、第1磁気センサ307の出力に基づいて第1の磁極部305aに励磁される極を切り換えると、ロータ302の回転位置に対する第1の磁極部305aの励磁切換タイミングが電気進角45度から90度の間になる。(図19(c)参照)
本実施形態のモータ19では、第2磁気センサ308は次の条件を満たす位置に配置されている。
(c)右回りの駆動時に、第2磁気センサ308の出力に基づいて第2の磁極部306aに励磁される極を切り換えるときは、ロータ302の回転位置に対する第2の磁極部306aの励磁切換タイミングが電気進角0度から45の間になる。(図19(b)参照)
(d)左回りの駆動時に、第2磁気センサ308の出力に基づいて第2の磁極部306aに励磁される極を切り換えるときは、ロータ302の回転位置に対する第2の磁極部306aの励磁切換タイミングが電気進角45度から90度の間になる。(図19(d)参照)
本実施形態のモータ19では、第3磁気センサ309は次の条件を満たす位置に配置されている。
(e)右回りの駆動時に、第3磁気センサ309の出力に基づいて第1の磁極部305aに励磁される極を切り換えるときは、ロータ302の回転位置に対する第1の磁極部305aの励磁切換タイミングが電気進角45度から90度の間になる。(図19(a)参照)
(f)左回りの駆動時に、第3磁気センサ309の出力に基づいて第1の磁極部305aに励磁される極を切り換えるときは、ロータ302の回転位置に対する第1の磁極部305aの励磁切換タイミングが電気進角0度から45度の間になる。(図19(c)参照)
本実施形態のモータ19では、第4磁気センサ310は次の条件を満たす位置に配置されている。
(g)右回りの駆動時に、第4磁気センサ310の出力に基づいて第2の磁極部306aに励磁される極を切り換えるときは、ロータ302の回転位置に対する第2の磁極部306aの励磁切換タイミングが電気進角45度から90度の間になる。(図19(b)参照)
(h)左回りの駆動時に、第4磁気センサ310の出力に基づいて第2の磁極部306aに励磁される極を切り換えるときは、ロータ302の回転位置に対する第2の磁極部306aの励磁切換タイミングが電気進角0度から45の間になる。(図19(d)参照)
本実施形態では、マグネットの着磁誤差、センサ寸法誤差及びヨーク誤差等を考慮して、以下の範囲に各磁気センサを配置している。
第1磁気センサ307は、右回りの駆動時に第1の磁極部305aの励磁切換タイミングが電気進角14.4度から33.6度の間となる範囲に配置している。また、左回りの駆動時に第1の磁極部305aの励磁切換タイミングが電気進角56.4度から75.6度の間となる範囲に配置している。
第2磁気センサ308は、右回りの駆動時に第2の磁極部306aの励磁切換タイミングが電気進角14.4度から33.6度の間となる範囲に配置している。また、左回りの駆動時に第2の磁極部306aの励磁切換タイミングが電気進角56.4度から75.6度の間となる範囲に配置している。
第3磁気センサ309は、右回りの駆動時に第1の磁極部305aの励磁切換タイミングが電気進角56.4度から75.6度の間となる範囲に配置している。また、第1の磁極部305aの励磁切換タイミングが電気進角14.4度から33.6度の間となる範囲に配置している。
第4磁気センサ310は、右回りの駆動時に第2の磁極部306aの励磁切換タイミングが電気進角56.4度から75.6度の間となる範囲に配置している。また、第2の磁極部306aの励磁切換タイミングが電気進角14.4度から33.6度の間となる範囲に配置している。
また、第1磁気センサ307と第3磁気センサ309を結ぶ線分の中点が、第1の磁極部305aの励磁切換タイミングが電気進角45度となる。第2磁気センサ308と第4磁気センサ310を結ぶ線分の中点が、第2の磁極部306aの励磁切換タイミングが電気進角45度となる。これによって、本実施形態では、右回り駆動であるか、左回り駆動であるかによる駆動特性のばらつきを少なくしている。
本実施形態では、第1磁気センサ307と第3磁気センサ309とで1ユニットとなり、第2磁気センサ308と第4磁気センサ310とで1ユニットとなるセンサユニットを用いている。この場合、右回り駆動時に、第1の磁極部305aの励磁切換タイミングが電気進角21度となる位置に第1磁気センサ307が位置し、第1の磁極部305aの励磁切換タイミングが電気進角69度となる位置に第3磁気センサ309が位置する。右回り駆動時に、第2の磁極部306aの励磁切換タイミングが電気進角21度となる位置に第2磁気センサ308が位置し、第2の磁極部306aの励磁切換タイミングが電気進角69度となる位置に第4磁気センサ310が位置する。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
(実施例2)
次に、図20を参照して、本発明の実施例2におけるフォーカルプレンシャッタについて説明する。
構成についての説明は、実施例1と異なる部分のみ説明する。
本実施例の基本的構成は、前述の実施例1の構成と同一であるが、図20に示すように、駆動パルス幅の補正方法が異なる。
初期調整時におけるモータ19への通電開始(ステップD)からカムギア15の回転がPI22により検知されるまで(ステップE)の時間をt1とし、撮像時の同時間をt2とする。外部環境の変化によりt1に対してt2がΔtだけ遅れた場合、ステップFからステップGまでの期間におけるモータ19の駆動パルスの幅を変更する。このとき、ステップFからステップGまでの区間におけるモータ19のパルス数が2つ以上ある場合、駆動パルスの幅b、cを初期調整時のaに対して徐々に加速するようなパルス幅に変更する。つまり、駆動パルス幅がa>b>c>…となるように駆動パルス幅を変更する。
初期調整時におけるモータ19への通電開始(ステップD)からカムギア15の回転がPI22により検知されるまで(ステップE)の時間をt1とし、撮像時の同時間をt3とする。外部環境の変化によりt1に対してt3がΔt’だけ速くなった場合も同様に、速く動作した量Δt’分遅く動作させるよう、ステップFからステップGの期間における駆動パルスの幅を変更する。このとき、ステップFからステップGまでの区間におけるモータ19のパルス数が2つ以上ある場合、駆動パルスの幅d、eを初期調整時のaに対して徐々に減速するようなパルス幅に変更する。つまり、駆動パルス幅がa<d<e<…となるように駆動パルス幅を変更する。このように、ステップFからステップGまでの区間におけるモータ19のパルス数が2つ以上ある場合、ステッピングモータのパルス周波数の変更量を、パルスの後半ほど増加量が大きくなるようにする。換言すれば、CPU109は、カムギア15の駆動速度を制御する制御量を時間の経過とともに増加する。
このような構成により、急激な加速、減速を防ぐことができ、脱調する危険性を低減することができる。
本発明によれば、外部の環境温度が変化した場合であっても、モータを用いたシャッタ駆動により適切な露光量を設定して撮像を実行することができる。
なお、本実施例は後幕のみの構成であるが、これに限定されることはなく、先幕と後幕の両方を有する構成で、先幕と後幕の双方に本実施例による構成を実施しても良い。先幕、後幕の各々に本実施例による構成を実施することで、本実施で説明した効果と同じ効果が期待できる。
以上、本発明に係る実施形態を例示的な実施形態を参照して説明したが、本発明が上述の実施形態に限定されないことを理解すべきである。添付の特許請求の範囲の範囲は、そのような変形並びに同等の構造及び機能をすべて含むように最も広い意味での解釈とみなされるべきである。
また、上述の実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、記録媒体から直接、或いは有線/無線通信を用いてプログラムを実行可能なコンピュータを有するシステム又は装置に供給し、そのプログラムを実行する場合も本発明に含む。
従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、該コンピュータに供給、インストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明の機能処理を実現するための手順が記述されたコンピュータプログラム自体も本発明に含まれる。
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記録媒体、光/光磁気記憶媒体、不揮発性の半導体メモリでもよい。
また、プログラムの供給方法としては、コンピュータネットワーク上のサーバに本発明を形成するコンピュータプログラムを記憶し、接続のあったクライアントコンピュータがコンピュータプログラムをダウンロードしてプログラムするような方法も考えられる。
なお、前述した実施例における撮像装置としては、例えば、コンパクトデジタルカメラ、一眼レフカメラ、ビデオカメラやスマートフォン、セキュリティーカメラなどの機器に搭載されるシャッタ装置に好適に利用できる。
(その他の実施形態)
また本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現できる。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現できる。