JP6654021B2 - パンタグラフの枠組及びその枠組を有するパンタグラフ - Google Patents

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本発明は、鉄道車両に搭載されるシングルアーム型のパンタグラフの枠組及びその枠組を有するパンタグラフに関する。
電化区間を走行する鉄道車両には、パンタグラフが搭載される。パンタグラフは、集電舟を架空電車線(架線)のトロリ線に接触して集電する。従来から、シングルアーム型のパンタグラフが知られている(非特許文献1参照)。
図9に示されるように、シングルアーム型のパンタグラフ101は、集電舟2が垂直運動をするための枠組103を有する(非特許文献1の3.2.1参照)。枠組103は、集電舟2を上下方向に変位自在に支持するためのリンク機構である。このリンク機構は、複数のリンクが回転対偶による平面連鎖を構成している。リンクは、上枠131、下枠132、釣合棒134、平衡棒136、及び舟支え等138である。上枠131及び下枠132は、集電舟2を支持する。上枠131及び下枠132の交差角θが変化することによって、集電舟2が上下に変位する。釣合棒134は、下枠132と並んで台枠106上に設けられ、釣合棒134の長さ設定によって集電舟2が上下変位する軌跡が調整される。中空の上枠131に内蔵される平衡棒136、及び舟支え138によって、集電舟2の上下変位にかかわらず集電舟2の姿勢が一定に保たれ、集電舟2の上面が水平に維持される。シングルアーム型のパンタグラフは、菱形のパンタグラフと比べて、リンク機構を構成する棒状部材の数が少ないので、発生する空力音(空力騒音)が小さい。このため、シングルアーム型のパンタグラフは、高速鉄道の低騒音パンタグラフ等に用いられている。
架空電車線は、電柱等の支持物により支持されている。架空電車線のトロリ線は、ハンガによって吊られている。ハンガ間隔は、5メートルが標準である(非特許文献2、第六章 電気設備[第四十一条3][解釈基準20]参照)。トロリ線は、パンタグラフの集電舟によって押し上げられるので、動的高さが支持物間隔及びハンガ間隔で変化する。このため、パンタグラフは、枠組が動いて、集電舟をトロリ線の動的高さの変化に追従させる必要がある。鉄道車両の速度が高いほど、パンタグラフは、集電舟を高い周波数で追従させる必要があり、追従性能の向上が求められる。
パンタグラフの運動を計算する際に用いられるモデルに質点系モデルがある。例えば、図10は、3質点モデルの一例を示す。図10において、m、m、mは、枠組、集電舟の舟体、すり板をそれぞれ質点に置き換えた等価質量である。k、k、kは、それら質点を相互に接続するばねのばね定数である。c、c、cは、それらばねに並列のダンパ定数である。このような質点系モデルに基づき、上下方向の運動方程式が立てられ、パンタグラフの追従性能が評価される。なお、質点系モデルは、3質点モデルだけではなく、例えば、等価質量mとmが一体となっている2質点モデルもある。また、一部のばね定数やダンパ定数が省略されることもある。
パンタグラフの追従性能を向上するには、等価質量を低減すればよい。例えば、枠組の等価質量mは、主に支持物間隔の高さ変化に関係する。しかしながら、パンタグラフは、最低作用高さから最高作用高さまでの全作用範囲で集電できる必要があるので、枠組の寸法を短くすることには限界があり、枠組の等価質量mを低減することは困難であった。なお、最低作用高さとは、十分な集電性能が保証できるすり板上面の最低高さである(非特許文献1の3.2.11参照)。最高作用高さとは、十分な集電性能が保証できるすり板上面の最高高さである(非特許文献1の3.2.12参照)。例えば、新幹線鉄道(全国新幹線整備法第二条で定義されている新幹線鉄道)では、最低作用高さは、レール面上4800mmであり、最高作用高さは、レール面上5300mmである。
また、台枠及び枠組の一部を風防で覆ったシングルアーム型のパンタグラフが知られている(例えば、特許文献1参照)。このパンタグラフは、風防に枠組を通す開口部がある。この開口部は、空力音の発生を防ぐために、上枠カバー及び下枠カバーで塞がれる。この上枠カバー及び下枠カバーは、パンタグラフの空力音を低減するが、枠組に固定されるので、枠組の等価質量を増加する。
特開2015−119602号公報
JIS E 6302:2004「鉄道車両用パンタグラフ」 「解説 鉄道に関する技術基準(電気編)第三版」国土交通省鉄道局監修
本発明は、上記問題を解決するものであり、等価質量が低減されるパンタグラフの枠組及び空力音が小さいパンタグラフを提供することを目的とする。
本発明のパンタグラフの枠組は、シングルアーム型であって、集電舟を上下方向に変位自在に支持するための上枠及び下枠を備え、前記下枠は、基端側が揺動自在に軸支され、先端側が水平より下を向いており、前記上枠は、その基端側が前記下枠の先端側と中間ヒンジで交差角可変に連結されており、集電時に先端側が水平より上を向いていることを特徴とする。
このパンタグラフの枠組において、前記下枠と並べて設けられる釣合棒と、前記釣合棒と平行に設けられる下枠側平行リンクと、前記上枠と平行に設けられる上枠側平行リンクとをさらに備え、前記下枠は、基端側が主軸で揺動自在に支持され、前記釣合棒は、基端側が釣合棒軸で揺動自在に支持され、前記下枠側平行リンクは、基端側が平行リンク軸で揺動自在に支持され、前記主軸、釣合棒軸及び平行リンク軸は、それぞれ位置が固定されており、前記釣合棒の先端側、下枠側平行リンクの先端側及び上枠側平行リンクの基端側は、それぞれ相対位置が一定である個別の軸で回動自在に支持され、前記釣合棒及び下枠側平行リンクは、平行四辺形における1組の対辺を構成するように設定され、前記上枠及び上枠側平行リンクは、別の平行四辺形における1組の対辺を構成するように設定される。
本発明のパンタグラフは、前記枠組を有するパンタグラフであって、前記上枠の頂部に設けられる集電舟と、前記主軸、釣合棒軸及び平行リンク軸が固定される台枠と、前記台枠、下枠、釣合棒及び下枠側平行リンク並びに前記上枠の下部を覆う風防とを有し、前記上枠側平行リンクは、前記上枠に内蔵され、前記風防は、前記上枠が挿通される開口部を有することを特徴とする。
このパンタグラフにおいて、前記枠組は、前記集電舟が上下方向に変位するときの前記上枠の上下方向の変位が、前記風防の開口部の近傍で最小となるように設定されていることが好ましい。
本発明のパンタグラフの枠組によれば、下枠及び釣合棒は、先端側が水平より下を向いているので、従来のパンタグラフのように下枠及び釣合棒を上に向けて持ち上げる必要がなく、枠組の等価質量が小さくなり、トロリ線への追従性能が向上する。本発明のパンタグラフによれば、風防が、台枠、下枠及び釣合棒等を覆うので、パンタグラフから発生する空力音を低減することができる。また、このパンタグラフは、本発明の枠組を有することにより、上枠と風防の開口部との隙間を小さくすることができるので、開口部が空力音の発生源となることを防ぐことができる。
本発明の一実施形態に係るパンタグラフの側面図。 同パンタグラフの平面図。 同パンタグラフの正面図。 同パンタグラフを透視して示す枠組の側面図。 同パンタグラフを透視して示す枠組の側面図、(a)は作用高さH=5300mm、(b)はH=5100mm、(c)はH=5000m、(d)はH=4900mm、(e)はH=4800mm。 同パンタグラフの台枠の平面図。 全作用範囲で作用高さを変化させたときの同パンタグラフを重ねて透視して示す上枠の側面図。 折り畳み時の同パンタグラフを透視して示す上枠の側面図。 従来のシングルアーム型のパンタグラフのリンク機構を示す図。 パンタグラフの質点系モデルの一例を示す図。
本発明の一実施形態に係る枠組及びその枠組を有するパンタグラフを図1乃至図8を参照して説明する。図1乃至図3に示されるように、本実施形態のパンタグラフ1は、シングルアーム型のパンタグラフであり、集電舟2と、枠組3と、風防4と、碍子5とを有する。
枠組3は、リンク機構であり、図4に示されるように、リンクとして、上枠31及び下枠32を有する。上枠31及び下枠32は、集電舟2を上下方向に変位自在に支持する。下枠32は、基端側が揺動自在に軸支され、先端側が水平より下を向いている。上枠31は、その基端側が下枠32の先端側と中間ヒンジ33で交差角可変に連結されており、集電時に先端側が水平より上を向いている。なお、パンタグラフ1における力の伝達経路において、碍子5に近い側を基端側、集電舟2に近い側を先端側という。
従来のシングルアームパンタグラフ101では、下枠132は、基端側が回動自在に軸支され、先端側が水平より上を向いている(図9参照)。同様に、釣合棒134も、先端側が水平より上を向いている。これに対して、本実施形態では、枠組3の下枠32は、基端側が揺動自在に軸支され、先端側が水平より下を向いている(図4参照)。同様に、釣合棒34も、先端側が水平より下を向いている。
上枠31は、集電時に先端側が水平より上を向いている。集電時は、集電舟2は、作用範囲内(最低作用高さ以上、最高作用高さ以下)にある。なお、集電舟2が最低作用高さより低い時、例えば、パンタグラフ1の折り畳み時には、上枠31は、先端側が水平より上を向いてもよいが、その必要はなく、先端側が水平を向いても、水平より下を向いても構わない。
集電舟2は、舟支え38を介して、上枠31の頂部に取り付けられる。上枠31及び下枠32は、舟支え38を介して、集電舟2を支持する。集電舟2は、ばね(図示せず)によって押し上げられる。
上記のように構成された枠組3は、下枠32が揺動することにより、上枠31及び下枠32の交差角が変化し、集電舟2が上下に変位する。釣合棒34の長さ設定によって集電舟2が上下変位する軌跡が調整される。
図5(a)〜(e)は、作用高さ(集電舟の上面の高さ)を変化させたときの枠組3の動きを、作用高さが高い順に、風防4を透視して示している。作用高さHは、レール面上の高さで表している。図(c)では、作用高さHは、5000mmであり、新幹線鉄道における標準作用高さである。新幹線鉄道におけるトロリ線の静的な高さは、標準が5000mmであり、高速走行区間では、5000mmプラス・マイナス100mm以内に整備されている。トロリ線は、パンタグラフによって押し上げられるので、動的な高さは、静的な高さよりも通常、数十mm程度高くなる。図5(b)では、作用高さHは、5100mmである。図5(b)及び図(c)において、下枠32は、先端側(下端側)がほぼ真下を向いており、下枠32を押し上げる必要はない。釣合棒34は、下枠32と並べて設けられるので同様の向きである。
図5(a)では、作用高さHは、5300mmであり、新幹線鉄道における最高作用高さである。このとき、下枠32は、先端側が、集電舟がある方向(図の右方向)に変位し、上枠31の頂部が高くなっている。
図5(d)では、作用高さHは、4900mmであり、標準作用高さより低い。このとき、下枠32は、先端側が、集電舟がある方向とは反対方向(図の左方向)に変位し、上枠31の頂部が低くなっている。図5(e)では、作用高さHは、4800mmであり、新幹線鉄道における最低作用高さである。このとき、下枠32は、先端側が、集電舟がある方向とは反対方向にさらに変位し、上枠31の頂部がさらに低くなっている。
最低作用高さ(図5(e))から最高作用高さ(図5(a))までの全作用範囲で、下枠32は、先端側(下端側)が水平より下を向いている(図5(a)〜(e)参照)。
このように、下枠32及び釣合棒34は、先端側が水平より下を向いているので、従来のパンタグラフ101のように下枠132及び釣合棒134を上に向けて持ち上げる必要がなく、枠組3の等価質量が小さくなり、トロリ線への追従性能が向上する。
次に、集電舟2の上下変位にかかわらず集電舟2の姿勢を一定に保つための構成について説明する。
枠組3は、リンクとして、上枠31及び下枠32以外に、釣合棒34と、下枠側平行リンク35と、上枠側平行リンク36とを有する(図4参照)。釣合棒34は、下枠32と並べて設けられる。下枠側平行リンク35は、釣合棒34と平行に設けられる。下枠32は、基端側が主軸37で揺動自在に支持される。釣合棒34は、基端側が釣合棒軸341で揺動自在に支持される。下枠側平行リンク35は、基端側が平行リンク軸351で揺動自在に支持される。主軸37、釣合棒軸341及び平行リンク軸351は、それぞれ位置が固定されている。釣合棒34の先端側は、軸342で回動自在に支持される。下枠側平行リンク35の先端側は、軸352で回動自在に支持される。上枠側平行リンク36の基端側は、軸361で回動自在に支持される。これらの軸342、軸352及び軸361は、リンク金具312に設けられ、相対位置が一定となっている。釣合棒34及び下枠側平行リンク35は、平行四辺形における1組の対辺を構成するように設定される。上枠31及び上枠側平行リンク36は、別の平行四辺形における1組の対辺を構成するように設定される。
空力音を低減するため、上枠側平行リンク36は、中空の上枠31に内蔵される。
機構学によれば、枠組3における中間ヒンジ33、主軸37、釣合棒軸341、平行リンク軸351、軸342、軸352及び軸361の各軸は、リンク機構における対偶素であり、対偶の種類は、回り対偶である。このリンク機構は、平面連鎖を構成しており、その回り対偶における回転軸は、互いに平行である(図4の紙面に直交する方向)。
従来のシングルアームパンタグラフ101では、平衡棒136及び舟支え138によって、集電舟2の上下変位にかかわらず集電舟2の姿勢が一定に保たれ、集電舟2の上面が水平に維持される(図9参照)。これに対して、本実施形態では、下枠側平行リンク35、上枠側平行リンク36及びリンク金具312を新たに設け、集電舟2の上下変位にかかわらず集電舟2の姿勢を一定に保っている(図4参照)。
釣合棒34及び下枠側平行リンク35は、平行四辺形(第1の平行四辺形)における1組の対辺を構成するように設定される。この第1の平行四辺形において、釣合棒軸341と平行リンク軸351とを結ぶ上辺は、軸342と軸352とを結ぶ下辺と平行になる。釣合棒軸341及び平行リンク軸351は、それぞれ位置が固定されているので、上辺の角度は一定であり、軸342と軸352とを結ぶ下辺の角度も一定となる。上枠31及び上枠側平行リンク36は、別の平行四辺形(第2の平行四辺形)における1組の対辺を構成するように設定される。軸342、軸352及び軸361は、リンク金具312によって相対位置が一定であるので、そこに第1の平行四辺形及び第2の平行四辺形の下辺が存在することになり、それらの下辺の角度は一定となる。また、上枠31の頂部には第2の平行四辺形の上辺が存在することになり、その上辺の角度は一定となる。この第2の平行四辺形の上辺の角度が一定であるので、集電舟2の上下変位にかかわらず集電舟2の上面が水平に維持される。
このように、枠組3において、互いに関連する2つの平行四辺形を構成することによって、枠組3が動いても、上枠31の頂部に設けられる集電舟2の角度を正確に一定に保つことができる。
次に、上記の枠組3を有するパンタグラフ1についてさらに説明する。前述したように、パンタグラフ1は、集電舟2を有する(図1参照)。集電舟2は、上枠31の頂部に設けられる。図6に示されるように、パンタグラフ1は、台枠6を有する。台枠6には、主軸37、釣合棒軸341及び平行リンク軸351が固定される(図4参照)。パンタグラフ1は、風防4を有する。風防4は、台枠6、下枠32、釣合棒34及び下枠側平行リンク35並びに上枠31の下部を覆う。上枠側平行リンク36は、上枠31に内蔵される。風防4は、上枠31が挿通される開口部41を有する。
パンタグラフ1の各構成をさらに詳述する。集電舟2の形状は、限定されるものではないが、空力音が小さい形状が望ましい。本実施形態では、集電舟2に、いわゆる翼型の舟体を用いている(図2及び図3参照)。上枠31の頂部及び舟支え38は、空力音を低減するため、滑らかな形状の頂点カバー39で覆われる(図4及び図1参照)。上枠31の外形は、円柱又は楕円柱等である。
台枠6は、碍子5によって、鉄道車両の屋根上に支持され、屋根から絶縁される(図6及び図1参照)。碍子5の形状は、限定されるものではないが、本実施形態では、空力音及び空気抵抗を低減するため、前後方向の長径を有する楕円柱形であり、沿面放電を防ぐため、ヒダを有する。なお、パンタグラフ1において前後方向とは、鉄道車両の長手方向である。
風防4は、中空であり、上下に扁平で前後方向に長い楕円体に似た滑らかな外形を有し、上部中央付近が滑らかに盛り上がっている(図1参照)。風防4には、開口部41が形成される。風防4は、複数の曲面部材で構成され、例えば、FRPを成形して作られる。風防4は、碍子5によって鉄道車両の屋根から絶縁されるので、絶縁物である必要は無く、例えば、金属板を成形して作ってもよい(図1参照)。
このように、風防4が、台枠6、下枠32、釣合棒34及び下枠側平行リンク35を覆うので、パンタグラフ1から発生する空力音を低減することができる。また、滑らかな外形を有する風防4によって、パンタグラフ1の空気抵抗が低減される。
枠組3の上枠31は、開口部41を通って風防4より上に突出する(図4参照)。このため、開口部41が大きいと、開口部41が空力音の発生源になる。
図7は、パンタグラフ1を透視し、全作用範囲内の複数高さにおける上枠31を重ねて示している。この図に示されるように、枠組3は、集電舟2が上下方向に変位するときの上枠31の上下方向の変位が、風防4の開口部41の近傍で最小となるように設定されている。
例えば、集電舟2が上方向に変位し、作用高さHが最低作用高さ(新幹線鉄道では4800mm)から最高作用高さ(5300mm)まで変化するとき、上枠31の基端側は、図7の右方向に移動し、上枠31の先端側は上方向に移動するので、上枠31は、図7において左回りに回転する。その回転の中心が開口部41近傍に位置するように枠組3の各部の長さを設定することによって、集電舟2が上方向に変位するときの上枠31の上下方向の変位が、風防4の開口部41の近傍で最小となる。集電舟2が下方向に変位し、作用高さHが最高作用高さから最低作用高さまで変化するときについても、上枠31の設定は、集電舟2が上方向に変位するときと同じである。開口部41の大きさを最小にするため、集電舟2が上下方向に変位するときの上枠31の上下方向の変位が、開口部41の中央で最小となるように枠組3を設定することが望ましい。
これにより、本実施形態のパンタグラフ1は、上枠31が通る開口部41の大きさを小さくすることができ、上枠31と開口部41との隙間を小さくすることができるので、開口部41が空力音の発生源となることを防ぐことができる。また、パンタグラフ1は、開口部41を塞ぐカバーを枠組3に設けなくてもよいので、枠組3の等価質量が小さくなり、トロリ線への追従性能が向上する。
パンタグラフ1からの空力音は、集電走行時に発生し、その時、集電舟2の高さは、最低作用高さより高い。このため、パンタグラフ1の折り畳み時等、集電舟2が最低作用高さより低い位置にあるときは、上枠31の上下方向の変位が開口部41の近傍で最小となる必要はない。例えば、図8に示されるように、本実施形態では、風防4は、上枠31に押されることによって一部が下方に変位するように構成されており、パンタグラフ1を折り畳む時、上枠31と風防4との干渉が避けられる。
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限られず、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、枠組3は、在来線の鉄道車両に用いてもよい。
1 パンタグラフ
2 集電舟
3 枠組
31 上枠
32 下枠
33 中間ヒンジ
34 釣合棒
341 釣合棒軸
342 軸
35 下枠側平行リンク
351 平行リンク軸
352 軸
36 上枠側平行リンク
361 軸
37 主軸
4 風防
41 開口部
5 碍子
6 台枠
H 作用高さ

Claims (3)

  1. シングルアーム型のパンタグラフの枠組であって、
    集電舟を上下方向に変位自在に支持するための上枠及び下枠を備え、
    前記下枠と並べて設けられる釣合棒と、
    前記釣合棒と平行に設けられる下枠側平行リンクと、
    前記上枠と平行に設けられる上枠側平行リンクとをさらに備え、
    前記下枠は、基端側が主軸で揺動自在に軸支され、先端側が水平より下を向いており、
    前記上枠は、その基端側が前記下枠の先端側と中間ヒンジで交差角可変に連結されており、集電時に先端側が水平より上を向いており、
    前記釣合棒は、基端側が釣合棒軸で揺動自在に支持され、
    前記下枠側平行リンクは、基端側が平行リンク軸で揺動自在に支持され、
    前記主軸、釣合棒軸及び平行リンク軸は、それぞれ位置が固定されており、
    前記釣合棒の先端側、下枠側平行リンクの先端側及び上枠側平行リンクの基端側は、それぞれ相対位置が一定である個別の軸で回動自在に支持され、
    前記釣合棒及び下枠側平行リンクは、平行四辺形における1組の対辺を構成するように設定され、
    前記上枠及び上枠側平行リンクは、別の平行四辺形における1組の対辺を構成するように設定されることを特徴とするパンタグラフの枠組。
  2. 前記請求項1に記載の枠組を有するパンタグラフであって、
    前記上枠の頂部に設けられる集電舟と、
    前記主軸、釣合棒軸及び平行リンク軸が固定される台枠と、
    前記台枠、下枠、釣合棒及び下枠側平行リンク並びに前記上枠の下部を覆う風防とを有し、
    前記上枠側平行リンクは、前記上枠に内蔵され、
    前記風防は、前記上枠が挿通される開口部を有することを特徴とするパンタグラフ。
  3. 前記枠組は、前記集電舟が上下方向に変位するときの前記上枠の上下方向の変位が、前記風防の開口部の近傍で最小となるように設定されていることを特徴とする請求項に記載のパンタグラフ。
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