JP6653194B2 - パッケージタイプ消火設備システム - Google Patents

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Description

本発明は、親機、及び前記親機と電気的に接続された主子機、及びこれらに接続された複数の子機を備え、火災発生時等に消火薬剤を放出するパッケージタイプ消火設備システムに関する。
従来より、通信機室、サーバールーム等に設置する消火設備として、パッケージタイプ消火設備システムが採用されている(例えば、特許文献1参照)。パッケージタイプ消火設備システムは、消火薬剤ユニット、起動装置、及び制御盤を備えた親機、及び前記親機に電気的に接続され、消火薬剤ユニット及び起動装置を備えた少なくとも一つの主子機を備えている。更に、親機及び主子機に対し起動ガス配管を介して直列的に接続された複数の子機を備えている。子機は、消火薬剤ユニットを備えている。
そして、例えば、火災報知信号等の外部信号が与えられた場合には、親機より起動信号が出力されて、前記親機、主子機、及び子機に備えられている消火薬剤ユニットを作動させる。その結果、消火薬剤が放出されるので、消火作業が行われる。
このような消火設備システムでは、親機より発せられた起動信号により、各主子機に設けられる起動装置がほぼ同時に作動するので、各起動装置に搭載される起動用ガス放出用の電磁開放器に供給する電流が加算され、同一のタイミングで大電流が流れることになる。例えば、電磁開放器に供給する電流が1.3[A]であり、3台の電磁開放器が設けられている場合には、これらの合計である3.9[A]の電流が一度に流れることになる。従って、3.9[A]の電流に耐えられる電子部品、電線等を装備する必要がある。また、電力を発生するための非常用電源装置、及びバッテリーは、3.9[A]の電流を一定時間流す能力を有する容量のものを使用する必要が生じる。
特許第4652148号公報
上述したように、従来におけるパッケージタイプ消火設備システムでは、起動装置に設けられる電磁開放器が同一のタイミングで作動するので、起動電流が大きくなり、これにより、電子部品、電線、バッテリー容量、及び電源装置が大型化し、装置全体が大規模化、高コスト化するという問題があった。
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、起動装置を起動させる際の電流を抑制し、装置全体の大規模化、高コスト化を回避することが可能な安価で省スペース型のパッケージタイプ消火設備システムを提供することにある。
上記目的を達成するため、本願発明は、唯一の親機、及び親機と電気的に接続された少なくとも一つの主子機、及び前記親機、及び主子機に接続可能な少なくとも1つの子機を備える。そして、親機及び主子機は、消火薬剤を充填する消火薬剤貯蔵容器、及び消火薬剤貯蔵容器に充填された消火薬剤を放出させる起動装置を有し、且つ、親機は、外部信号が与えられた際に、親機、及び主子機に設けられる起動装置に起動信号を送信する制御部を有する。子機は、親機または主子機と連結部を介して接続され、連結元の親機または主子機の起動装置に連動して消火薬剤を放出させる消火薬剤貯蔵容器を有し、制御部は、親機、及び主子機に設置された起動装置に対し、それぞれ異なるタイミングで起動信号を送信する。
本発明では、親機及び各主子機の起動装置に起動信号を送信するタイミングをずらすので、一度に大電流が流れることを回避できる。従って、容量の小さい非常用電源装置であっても多くの台数の起動装置を起動することが可能となり、安価で省スペース型のパッケージタイプ消火設備システムを提供でき、設置スペースが少ない通信機室、サーバールーム等に適用して最適な効果を発揮することが可能となる。
図1は、本発明の実施形態に係るパッケージタイプ消火設備システムの、親機、主子機、及び子機の接続例を示す構成説明図である。 図2は、本発明の実施形態に係るパッケージタイプ消火設備システムの、親機、及び主子機に設けられる消火薬剤ユニットの概略的な構成を示す斜視図である。 図3は、本発明の実施形態に係るパッケージタイプ消火設備システムの、各子機に設けられる消火薬剤ユニットの概略的な構成を示す斜視図である。 図4は、本発明の実施形態に係るパッケージタイプ消火設備システムの、親機に設けられる制御盤の構成を示す説明図である。 図5は、本発明の第1実施形態に係るパッケージタイプ消火設備システムの動作を示すタイミングチャートであり、(a)〜(c)は電磁開放器の動作を示し、(d)〜(f)は圧力スイッチの動作を示す。 図6は、本発明の比較例に係るパッケージタイプ消火設備システムの動作を示すタイミングチャートであり、(a)は電磁開放器の動作を示し、(b)は圧力スイッチの動作を示す。 図7は、本発明の第1実施形態に係るパッケージタイプ消火設備システムの処理手順を示すフローチャートである。 図8は、本発明の第2実施形態に係るパッケージタイプ消火設備システムの動作を示すタイミングチャートであり、(a)〜(c)は電磁開放器の動作を示し、(d)〜(f)は圧力スイッチの動作を示す。 図9は、本発明の第2実施形態に係るパッケージタイプ消火設備システムの処理手順を示すフローチャートである。 図10は、本発明の第3実施形態に係るパッケージタイプ消火設備システムの動作を示すタイミングチャートであり、(a)〜(c)は電磁開放器の動作を示し、(d)〜(f)は圧力スイッチの動作を示す。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
[第1実施形態の説明]
図1は、本発明の実施形態に係るパッケージタイプ消火設備の構成を示す全体図、図2は親機1及び主子機2−1〜2−3に設けられる消火薬剤ユニット61及び起動装置62の概略的な構成を示す斜視図、図3は、各子機3−1〜6−4に設けられる消火薬剤ユニット63の概略的な構成を示す斜視図である。また、図4は、親機1に搭載される制御盤12の構成図である。
図1に示すように、本実施形態に係るパッケージタイプ消設備システムは、唯一の親機1と、3つの主子機2−1、2−2、2−3を備えており、これらは計装配線51により電気的に接続されている。

また、親機1、及び主子機2−1〜2−3には、それぞれ起動ガス配管7−1〜7−4(連結部)を介して、複数の子機3−1〜6−4が直列的に接続されている。具体的には、親機1に対して、4つの子機3−1、3−2、3−3、3−4が起動ガス配管7−1を介して直列的に接続されている。また、主子機2−1に対して、4つの子機4−1、4−2、4−3、4−4が起動ガス配管7−2を介して直列的に接続されている。主子機2−2に対して、4つの子機5−1、5−2、5−3、5−4が、起動ガス配管7−3を介して直列的に接続されている。主子機2−3に対して、4つの子機6−1、6−2、6−3、6−4が、起動ガス配管7−4を介して直列的に接続されている。
なお、図1では親機1と3つの主子機2−1〜2−3、及び16個の子機3−1〜6−4を備える構成としているが、本発明は、親機1と1つの主子機のみで構成することも可能である。そして、親機1と1つの主子機で構成されるシステムを予め設置し、その後、2つ目以降の主子機を増設することができる。また、子機についても同様に、必要に応じて、主子機に対し、起動ガス配管(連結部)を介して新たな子機を増設可能である。即ち、初期的に最低限の親機、主子機を設置し、その後、必要に応じて、主子機、及び子機を増設することが可能である。
親機1は、消火薬剤を充填する消火薬剤貯蔵容器34を含む消火薬剤ユニット61(図2参照)と、消火薬剤貯蔵容器34に充填された消火薬剤の放出を制御する起動装置62(図2参照)、及びシステム全体を総括的に制御する制御盤12(図4参照)を備えている。なお、消火薬剤は、例えば、二酸化炭素やIG541等のガス系消火薬剤を用いることが可能である。
各主子機2−1〜2−3は、図2に示す消火薬剤ユニット61、及び起動装置62を備えている。即ち、制御盤12を備えていない点で、親機1と相違する。また、各子機3−1〜6−4は、図3に示す消火薬剤ユニット63を備えている。即ち、各子機3−1〜6−4は、起動装置62を備えていない点で、主子機2−1〜2−3と相違する。
図2は、親機1、及び各主子機2−1〜2−3に設けられる消火薬剤ユニット61、及び起動装置62の構成を概略的に示す斜視図である。図2に示すように、消火薬剤ユニット61は、直方体形状をなす枠体形状を成しており、内部には消火薬剤が充填された消火薬剤貯蔵容器34が配設されている。
消火薬剤貯蔵容器34の頂部には、容器弁39及び圧力封入ユニット38が設けられており、容器弁39は、配管24及び配管取付口40を介して噴射ヘッド25に接続されている。また、容器弁39は、逆止弁37及び導管35を介して電磁開放器SVnに接続され、更に、前記電磁開放器SVnは、起動用ガス容器33に接続されている。なお、「SVn」に示す「n」はサフィックスであり、電磁開放器の番号を示す。例えば、親機1に搭載される電磁開放器はSV1、主子機2−1に搭載される電磁開放器はSV2である。
配管取付口40は、リリーフ弁36及び配管26を介して圧力スイッチPSnに接続されている。なお、「PSn」に示す「n」についても上記と同様にサフィックスである。
そして、電磁開放器SVnが起動信号を受信すると、前記電磁開放器SVnが作動し、電磁開放器SVnに連結された針が突出して起動ガスが充填されている起動用ガス容器33の封板を破る。その結果、導管35内に起動ガスが送出される。この起動ガスは、容器弁39に導かれ、容器弁39の封板を破り、消火薬剤が配管取付口40、及び配管24を通じて噴射ヘッド25から放出される。
一方、放出された消火薬剤は、噴射ヘッド25に出力されると同時に、配管26を介して圧力スイッチPSnにも導かれる。そして、放出されたガスの圧力によって圧力スイッチPSnが作動し、その出力信号が制御回路28(後述する図4参照)に出力される。そして、配管26内の消火薬剤圧力が所定圧まで高まったことを検知した圧力スイッチPSnの信号を受信したときに、制御回路28は、電磁開放器SVnに出力する起動信号をオフに切り替える。配管26には、ガス圧力による破損を防止するためにリリーフ弁36を備えている。
図3は、各子機3−1〜6−4に設けられる消火薬剤ユニット63の概略的な構成を示す斜視図である。図3に示すように、各子機3−1〜6−4に設けられる消火薬剤ユニット63は、起動装置62が設けられていない点で、親機1及び各主子機2−1〜2−3と相違する。また、子機は、各主子機2−1〜2−3に接続可能である。
そして、親機1、或いは各主子機2−1〜2−1の電磁開放器SVnが作動し、起動用ガス容器33より起動ガスが送出された際には、起動ガス配管7-1〜7-4によって連結された消火薬剤ユニット63(図3参照)が作動して、消火薬剤が噴射ヘッド25から放出される。
即ち、各子機3−1〜3−4・・・6−1〜6−4では、連結元の親機1或いは主子機2−1〜2−3の起動装置62と連動して、起動ガス配管7-1〜7-4(連結部)を通じて起動ガスが入力され、この起動ガスによって消火薬剤貯蔵容器34の容器弁39が開放され、消火薬剤が配管24を通じて噴射ヘッド25から放出される。
図4は、制御盤12の構成を示す説明図である。制御盤12の正面パネル29には、各種の情報を表示する表示パネル31が設けられている。更に、前記制御盤12の内部には、制御回路28(制御部)と、電力を蓄電する非常用バッテリー32(バッテリー)、及び前記非常用バッテリー32から電力を取り出して起動装置62に供給する非常用電源装置30(電源装置)が設けられている。なお、非常用電源装置30は通常は外部より電力の供給を受け、制御回路28や表示パネル31や周辺機器の電源となり、非常用バッテリー32の蓄電を行っている。
制御回路28は、親機1の起動装置62、及び各主子機2−1〜2−3の起動装置62に起動信号を送信する。また、後述するように、各起動装置62に対してそれぞれ異なるタイミングで起動信号を送信する。
そして、外部より火災報知信号(外部信号)が与えられた場合には、制御回路28の制御により、計装配線51を経由して起動信号を親機1、及び各主子機2−1、2−2、2−3の各起動装置62へ出力する。従って、各起動装置62に設けられた電磁開放器SVn(図2参照)を起動させることができ、消火薬剤ユニット61より消火薬剤を放出させることができる。本実施形態では、後述するように、各電磁開放器SVnの起動タイミングを制御することにより、起動時に生じる電流値を抑制する。
更に、制御盤12は、非常用バッテリー32、及び非常用電源装置30を備えることにより、停電が発生している場合でも、駆動信号を送信することが可能となる。
次に、本実施形態に係るパッケージタイプ消火設備システムの動作を、従来のシステムの動作と対比して説明する。図5は、本実施形態に係るパッケージタイプ消火設備システムによる電磁開放器SVnの動作、及び圧力スイッチPSnの動作を示すタイミングチャートである。また、図6は、従来における電磁開放器SVnの動作、及び放出圧力スイッチの動作を示すタイミングチャートである。
初めに、図6を参照して、従来におけるシステムの動作について説明する。親機1に搭載される制御回路28は、火災報知信号が与えられると、図1に示す計装配線51を経由して各起動装置62に起動信号を送信する。図6では、一例として、親機1及び2つの主子機2−1、2−2(合計3つ)に設けられる起動装置62の、各電磁開放器SV1、SV2、SV3に起動信号を送信する例について説明する。
親機1より、図6(a)に示す時刻t1にて起動信号が出力されると、この時刻t1にて、各電磁開放器SV1〜SV3が作動する。その後、図6(b)に示すように、時刻t2にて圧力スイッチPS1〜PS3がオンとされる。その結果、親機1、各主子機2−1、2−2、及びこれらに接続された各子機の消火薬剤ユニット61、63より消火薬剤が放出され、消火が行われることになる。
また、圧力スイッチPS1〜PS3がオンとされると、制御回路28に圧力スイッチPS1〜PS3のオン信号が送信され、前記制御回路28の制御により、電磁開放器SV1〜SV3の起動信号が停止される。
ここで、従来のシステムでは、火災報知信号が与えられると、親機1と主子機2−1、2−2を接続する計装配線51には、各電磁開放器SV1〜SV3の作動に要する電流が同時に流れる。例えば、1つの電磁開放器SV1の作動時に流れる電流が1.3[A]である場合には、その3倍である3.9[A]の電流が流れることになる。従って、システムの大規模化につながるという問題が生じる。
次に、図5に示すタイミングチャートを参照して、本実施形態に係るシステムの動作について説明する。
図5(a)〜(c)は各起動装置62に設けられる電磁開放器SV1〜SV3の出力信号を示し、図5(d)〜(f)は各消火薬剤ユニット61に設けられる圧力スイッチPS1〜PS3の入力信号を示している。
図5(a)〜(c)に示すように、本実施形態では、親機1に設けられる制御回路28の制御により、各電磁開放器SV1〜SV3の出力タイミングをインターバルとなる時間tだけずらして出力する。具体的には、時刻t11にて電磁開放ユニットSV1がオンとなってから時間tの経過後の時刻t12に電磁開放器SV2をオンとし、更に、時間tの経過後の時刻t13に電磁開放器SV3をオンとする。
即ち、親機1の電磁開放器SV1、及び各主子機2−1、2−2の電磁開放器SV2、SV3に出力する起動信号を、予め設定した時間tの間隔で送信するように制御している。インターバルとなる時間tは、起動電流が起動装置1台分の消費電流(例えば1.3A)となるように出力制御タイマによって制御する。
また、起動装置62を備える親機1及び主子機2−1、2−2は、それぞれ圧力スイッチPS1〜PS3を備えているので、各圧力スイッチPS1〜PS3によって消火薬剤の圧力が所定圧に達したことが検出された場合には、この検出信号を制御回路28に出力する。制御回路28は、この検出信号が受信された場合には、起動信号をオフに切り替える。具体的には、図5(d)〜(f)に示すように、圧力スイッチPS1がオンとなる時刻t14にて電磁開放器SV1がオフとなり、圧力スイッチPS2がオンとなる時刻t15にて電磁開放器SV2がオフとなり、圧力スイッチPS3がオンとなる時刻t16にて電磁開放器SV3がオフとなる。また、制御回路28は圧力スイッチPSnがオンの検出信号を受信し放出信号を外部機器等に移報する。
次に、図7に示すフローチャートを参照して、第1実施形態に係るシステムの処理手順について説明する。図7は、親機1、及び複数の主子機2−1、2−2の起動装置62に出力する起動信号のタイミングを、各起動装置62毎に異なるタイミングとするための、制御回路28による処理手順を示すフローチャートである。
初めに、ステップS201において、制御回路28は、火災報知信号を受信する等の、起動装置62への起動信号出力条件が成立したか否かを判断する。そして、起動信号出力条件が成立した場合には(ステップS201でYES)、ステップS202において、制御回路28は、起動信号の出力先の起動装置のアドレスADRnを設定する。例えば、各電磁開放器SV1〜SV3について、それぞれアドレスADR1〜ADR3を設定する。
ステップS203において、制御回路28は、設定したアドレスADRnの電磁開放器SVnに対する起動信号をONにする。初期的には、n=1である。
ステップS204において、制御回路28は、タイマ(図示省略)による計時を開始し、更に、ステップS205において、起動信号によって放出が開始された起動ガスによって容器弁39が開いた消火薬剤貯蔵容器34からの消火薬剤圧力が所定圧に達したことを圧力スイッチPSnの出力によって確認する。
ステップS206において、制御回路28は、圧力スイッチPSnがオンになっているか否かを判断し、圧力スイッチPSnの出力がオンになっていれば(ステップS206でYES)、ステップS207において、制御回路28は、起動信号をオフに切り替える。
その後、ステップS208において、制御回路28は、ステップS204の処理で起動したタイマの計時時間が予め設定したインターバルの時間tに達したか否か(タイムアップしたか否か)を判断する。そして、時間tに達した場合には(ステップS208でYES)、ステップS209において、制御回路28は、起動信号の出力先の起動装置62のアドレスが、対象となる起動装置62の最終アドレスに達したか否かを判断する。そして、達していなければ(ステップS209でNO)、ステップS210において、制御回路28は、起動信号に出力先を次の起動装置62に切り替えるためにアドレスADRnをインクリメント(+1)する。
その後、ステップS203の処理に戻り、設定したアドレスADRnの電磁開放器SVnに対する起動信号をオンにする。
ステップS209の処理で、起動信号の出力先の起動装置アドレスADRnが最終アドレスに達した場合には、本処理を終了する。
こうして、複数の起動装置62に対する起動信号をタイマのインターバル時間tで定まるタイミングで順次出力することができるのである。なお、上記の制御ロジックはハードウェアタイマとリレー接点回路とを組み合わせたロジックによって構成してもよい。
このようにして、第1実施形態に係るパッケージタイプ消火設備システムでは、火災報知信号(外部信号)が与えられた際に、複数の電磁開放器SV1〜SV3に対して、時間tだけずらして起動信号を出力する。従って、各電磁開放器SV1〜SV3は、時間差をもって作動することになり、図1に示す計装配線51に流れる電流を分散化することができる。なお、本実施形態では、タイマのインターバル時間tは同一時間としたが、例えばt1、t2、t3というように相違した時間としてもよい。
即ち、電磁開放器SVnが1台作動する際の電流(例えば、1.3[A])に対応する電子部品、電線を用いることができ、装置の小型化を図ることができる。また、非常用バッテリー32、及び非常用電源装置30についても、1つの電磁開放器SVnを作動させるための電力の3回分の電力を蓄電すれば良い。従って、3つの電磁開放器SV1〜SV3を同時に作動させるための電力を蓄電する必要が無い。このため、非常用バッテリー32、及び非常用電源装置30の容量を小型化することが可能になる。従って、システム全体のサイズの小型化、及びコスト削減が可能となる。
例えば、初期的に親機1と1つの主子機のみを備えるシステムの場合では、電磁開放器SVnの消費電流は1.3Vであることから、汎用的な規格に基づき、例えば、非常用電源装置30の電源容量は4[A]のものを用いる。また、非常用バッテリー32の蓄電容量は6.5[AH](アンペアアワー)のものを用いる。そして、主子機を増設する場合でも、非常用電源装置30の電源容量、非常用バッテリー32の蓄電容量は大幅に変化しないので、非常用電源装置30及び非常用バッテリー32を大型化することなく、主子機を増設することが可能となる。これにより、小型で安価で確実な動作のパッケージタイプ消火設備システムを提供することができる。
消火設備システムの作動は、火災が発生している場合等の非常時である場合が多く、停電する可能性があり得る。この場合、各電磁開放器SVnを作動させるために、非常用バッテリー32の電力を用いることになる。この際、各電磁開放器SVnの起動のタイミングをずらすことにより、大電力を必要としないので、非常用バッテリー32、及び非常用電源装置30の小型化を図ることができ、装置規模、及びコスト的に多くの利点となる。
また、非常用バッテリー32、及び非常用電源装置30は、少なくとも1台の起動装置62を起動できる容量を有するので、電磁開放器SVnを確実に起動させることが可能となる。
更に、電磁開放器SVnの消費電流に対して、非常用電源装置30の電流容量は1倍から5倍とするのが好ましい。例えば、電磁開放器SVnの消費電流が1.3[A]の場合では、非常用電源装置30の電流容量は1.3[A]〜6.5[A]となる。1倍以下では電磁開放器SVnの動作が不安定となり、5倍を超える場合には高価で大きな非常用電源装置30が必要になってしまうからである。
また、電磁開放器SVnの消費電流に対して非常用バッテリー32の蓄電池容量(AH;アンペアアワー)は、電磁開放器SVnの消費電流に1Hを乗じた容量で1倍から10倍の範囲とするのが好ましい。例えば、電磁開放器SVnの消費電流が1.3[A]の場合では、非常用バッテリー32の蓄電池容量は1.3[AH]から13[AH]となる。1倍以下では電磁開放器SVnの動作が不安定となり、10倍を超えると高価で大きな非常用バッテリー32となるからである。
更に、非常用電源装置30と非常用バッテリー32が制御盤12やその周辺機器に電流を供給する場合は、その電流分を考慮するのが良い。
[第2実施形態の説明]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。装置構成は、前述した第1実施形態と同一であるので、説明を省略する。以下、図8に示すタイミングチャートを参照して、第2実施形態に係るパッケージタイプ消火設備システムの動作について説明する。図8(a)〜(c)は3つの電磁開放器SV1〜SV3のオン、オフのタイミングを示し、(d)〜(f)は、3つの圧力スイッチPS1〜PS3のオン、オフのタイミングを示している。
図8(a)〜(c)に示すように、各電磁開放器SV1〜SV3は、火災報知信号が与えられた時刻t21を基準として、時間ta(例えば、5秒)が経過する毎に順次オフからオンに切り替わるように制御される。即ち、時刻t21にて電磁開放器SV1がオンとなり、時間taが経過した時刻t22にて電磁開放器SV1がオフ、SV2がオンとなり、更に、時間taが経過した時刻t23にて電磁開放器SV2がオフ、SV3がオンとなり、更に、時間taが経過した時刻t24にて電磁開放器SV3がオフとなる。
時間taは、起動電流が電磁開放器SVnの1台分の消費電流(例えば1.3A)となるように制御回路28に設けられるタイマA(図示省略)によって設定される。また、各圧力スイッチPS1〜PS3によって消火薬剤の圧力が所定圧に達したことが検出された場合には、検出信号を制御回路28に出力する。即ち、図8(d)に示す時刻t25、図8(e)に示す時刻t26、及び図8(f)に示す時刻t27において、各起動装置62についての検出信号を出力する。また、制御回路28は圧力スイッチPSnがオンの検出信号を受信し放出信号を外部機器等に移報する。
次に、図9に示すフローチャートを参照して、第2実施形態に係るシステムの動作について説明する。この制御は、図4に示した制御回路28により実行される。
初めに、ステップS301において、制御回路28は、火災報知信号を受信する等の起動装置62への起動信号出力条件が成立したか否かを判断する。そして、起動信号出力条件が成立した場合には(ステップS301でYES)、ステップS302において、制御回路28は、起動信号出力先の起動装置62のアドレスADRnを設定する。初期的にはn=1である。
ステップS303において、制御回路28は、設定したアドレスADRnの起動装置62に設けられる電磁開放器SVnに対する起動信号をオンとする。その後、ステップS304において、タイマA(図示省略)による計時を開始する。
また、起動信号によって放出が開始された消火薬剤のガスによって、容器弁39が開いた消火薬剤貯蔵容器34からの消火薬剤圧力が所定圧に達したことが圧力スイッチPSnにより検出される。そして、この検出信号は制御回路28に出力される。
ステップS305において、制御回路28は、タイマAによる計時が時間taに達したか否かを判断する。そして、時間taに達した場合には(タイムアップした場合には)、ステップS306において、制御回路28は、起動信号をオフに切り替える(図8の時刻t22参照)。
ステップS307において、制御回路28は、起動信号の出力先の起動装置62のアドレスが、対象となる起動装置62の最終アドレスに達したか否かを判断する。そして、達していなければ(ステップS307でNO)、ステップS308において、制御回路28は、起動信号に出力先を次の起動装置62に切り替えるためにアドレスADRnをインクリメント(+1)する。
その後、ステップS303の処理に戻り、設定したアドレスADRnの電磁開放器SVnに対する起動信号をオンにする。
このとき、ステップS303において、所定の遅延時間を設定して起動信号をオンとしてもよい。これにより、電磁開放器SVnの連続動作による非常用電源装置30の電流変動による機器への悪影響を小さくできる。
ステップS307において、制御回路28は、起動信号の出力先の起動装置アドレスADRnが最終アドレスに達したか否かを判断し、達した場合には本処理を終了する。
こうして、複数の起動装置62に対する起動信号を、タイマAに設定した時間taで決定されるタイミングで順次出力することができるのである。なお、上記の制御ロジックは、ハードウェアタイマとリレー接点回路とを組み合わせたロジックによって構成してもよい。本実施形態では、タイマAに設定した時間taは同一時間としたが、例えば、ta1、ta2、ta3というように相違した時間に設定してもよい。
このようにして、第2実施形態に係るパッケージタイプ消火設備システムでは、各電磁開放器SVnに起動信号を送信するタイミングをずらしているので、前述した第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、第2実施形態では、圧力スイッチPSnの出力に関係なく、複数の電磁開放器SVnに対する起動信号を、タイマAで設定される時間taで定まるタイミングで順次出力するので、圧力スイッチPSnの作動に関与することなく、各電磁開放器SVnを順次作動させることができる。
即ち、第2実施形態に係るパッケージタイプ消火設備システムでは、圧力スイッチPSnの作動に関与することなく、タイマAが作動して各電磁開放器SVnを順次オンとするので、確実に親機、各主子機、及び各子機に搭載された消火薬剤ユニットを作動させることが可能となる。
更に、前述した第1実施形態と同様に、主子機を増設する場合でも、非常用電源装置30の電源容量、非常用バッテリー32の蓄電容量は大幅に変化しないので、非常用電源装置30及び非常用バッテリー32を大型化することなく、主子機を増設することが可能となる。
[第3実施形態の説明]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。システム構成は、前述した第1実施形態と同一であるので、説明を省略する。以下、図10に示すタイミングチャートを参照して、第3実施形態に係るパッケージタイプ消火設備システムの動作について説明する。図10(a)〜(c)は3つの電磁開放器SV1〜SV3のオン、オフのタイミングを示し、(d)〜(f)は、3つの圧力スイッチPS1〜PS3のオン、オフのタイミングを示している。
第3実施形態では、制御回路28内に、5つのタイマ、即ち、タイマA、タイマB、タイマC、タイマD、タイマE(いずれも図示省略)を備えている。タイマAは時間taを計時し、タイマBは時間tbを計時し、タイマCは時間tcを計時し、タイマでは時間tdを計時し、タイマEは時間teを計時する。
具体的には、時間taは火災報知信号が与えられた時刻t31から電磁開放器SV2のオンまでの時間を示し、時間tbは、時刻t31から電磁開放器SV3のオンまでの時間を示している。また、時間tcは、電磁開放器SV1のオン時間、時間tdは、電磁開放器SV2のオン時間、時間teは、電磁開放器SV3のオン時間を示している。
即ち、制御回路28は、外部信号(火災報知信号)が与えられた時刻t31を基準として、各起動装置62の開始時刻までの経過時間を計時するタイマA、タイマB(開始時刻計時用タイマ)を備えている。更に、各起動装置62の起動時間を計時するタイマC、タイマD、タイマE(起動時間計時用タイマ)を備えている。そして、各タイマ(A〜E)での計時時間に基づいて各起動装置62のオン、オフを制御する。
そして、5つのタイマ(A〜E)を備えることにより、各時間ta〜teをそれぞれ個別に設定することができる。なお、tc、td、teは、それぞれta及び(tb−ta)より短い時間である。
そして、各時間ta、tb、tc、td、teは、起動電流が電磁開放器SVnの1台分の消費電流(例えば1.3A)となるように設定される。起動信号は、タイマ(C、D、E)によって計時される時間tc、td、teの経過後に、オフとされる。
また、図10(d)〜(f)に示すように、各圧力スイッチPS1〜PS3によって消火薬剤(消火ガス)の圧力が所定圧に達したことが検知されたら、検出信号を制御回路28に出力する。なお、図10では、圧力スイッチPS1のオンのタイミング(図10(d)参照)と、圧力開放器SV1のオフのタイミング(図10(a)参照)が一致しているが、実際には一致するとは限らない。
以下、第3実施形態に係るパッケージタイプ消火設備システムの動作について説明する。初めに、火災報知信号を受信する等の起動装置への起動信号出力条件が成立したか否かを判定する。ここで、電磁開放器SV1の起動タイミングを設定するタイマは、タイマCであり、電磁開放器SV2の起動タイミングを設定するタイマは、タイマA、Dであり、電磁開放器SV3の起動タイミングを設定するタイマはタイマB、Eである。
起動信号出力条件が成立した場合には、図10の時刻t31において、電磁開放器SV1をオンとし、更に、タイマA、B、Cを作動させて計時を開始する。但し、tc<ta<tbである。
そして、タイマCがタイムアップしたか否か(時間tcが計時されたか否か)を判断し、タイムアップした場合には、電磁開放器SV1の起動信号をオフに切り替える。その後、タイマAがタイムアップしたか否か(時間taが計時されたか否か)を判断し、タイムアップした場合には、電磁開放器SV2の起動信号をオンに切り替え、タイマDによる計時を開始する。
更に、タイマDがタイムアップしたか否か(時間tdが計時されたか否か)を判断し、タイムアップした場合には、電磁開放器SV2の起動信号をオフに切り替える。その後、タイマBがタイムアップしたか否か(時間tbが計時されたか否か)を判断し、タイムアップした場合には、電磁開放器SV3の起動信号をオンに切り替え、タイマEによる計時を開始する。タイマEがタイムアップしたか否か(時間teが計時されたか否か)を判断し、タイムアップした場合には、電磁開放器SV3の起動信号をオフに切り替える。全てのタイマA〜Eがタイムアップした場合には、制御を終了する。
なお、起動信号によって放出が開始された起動ガスによって容器弁39が開いた消火薬剤貯蔵容器34からの消火薬剤圧力が所定圧に達したことを圧力スイッチPS1、PS2、PS3がオンとなったことによって確認し、検出信号を制御回路28に送信する。また、制御回路28は圧力スイッチPSnがオンの検出信号を受信し放出信号を外部機器等に移報する。
このようなロジックによって、n個の電磁開放器SVnに対する起動信号をタイマA、Bにて設定した時間ta、tbで定まるタイミングで順次出力する。
このようにして、第3実施形態では、3つの電磁開閉器SV1〜SV3に対して、それぞれオン時刻、オフ時刻を計時するためのタイマを設けている。従って、各電磁開閉器SV1〜SV3について、それぞれ個別に作動のタイミングを設定できるので、消火薬剤ユニット61、63の作動タイミングの融通性を高めることが可能となる。
また、第2実施形態と同様に、圧力スイッチPSnがオンとなるタイミングに関係なく各電磁開放器SVnを制御できるので、確実な制御が可能となる。
なお、起動信号をオフにするタイマC、D、Eは、1台のタイマCで利用することも可能であり、この場合はtc=td=teとなる。
以上、本発明のパッケージタイプ消火設備システムを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
例えば、上述した実施形態では、ガス系の消火設備システムについて説明したが、本発明はこれに限定されず、第三種浸潤剤等入り水を利用するパッケージタイプ水系消火設備システムについても適用することができ、上記と同様の効果を達成できる。即ち、本発明はパッケージタイプ消火設備システムに効果的に適用できる。また、複数の起動装置を動作させる必要のある消火設備システムにも同様に効果的に適用できる。この場合の起動装置は電磁開放器に限らず、モーター駆動開放器を用いる場合についても効果的に適用できる。
1 親機
2−1〜2−3 主子機
3−1〜3−4、4-1〜4-4、5-1〜5-4、6−1〜6−4 子機
7-1〜7-4 起動ガス配管
12 制御盤
SVn(SV1〜SV4) 電磁開放器
PSn(PS1〜PS4) 圧力スイッチ
24 配管
25 噴射ヘッド
26 配管
27 圧力スイッチ
28 制御回路(制御部)
29 正面パネル
30 非常用電源装置
31 表示パネル
32 非常用バッテリー
33 起動用ガス容器
34 消火薬剤貯蔵容器
35 導管
36 リリーフ弁
37 逆止弁
38 圧力封入ユニット
39 容器弁
40 配管取付口
51 計装配線
61、63 消火薬剤ユニット
62 起動装置

Claims (5)

  1. 唯一の親機、及び前記親機と電気的に接続された少なくとも一つの主子機、及び前記親機、及び主子機に接続可能な少なくとも1つの子機を備え、
    前記親機及び主子機は、消火薬剤を充填する消火薬剤貯蔵容器、及び前記消火薬剤貯蔵容器に充填された消火薬剤を放出させる起動装置を有し、且つ、前記親機は、外部信号が与えられた際に、前記親機、及び前記主子機に設けられる起動装置に起動信号を送信する制御部を有し、
    前記子機は、前記親機または主子機と連結部を介して接続され、連結元の親機または主子機の起動装置に連動して消火薬剤を放出させる消火薬剤貯蔵容器を有し、
    前記制御部は、前記親機、及び前記主子機に設けられた前記起動装置に対し、それぞれ異なるタイミングで起動信号を送信すること
    を特徴とするパッケージタイプ消火設備システム。
  2. 前記親機は、電力を蓄電するバッテリー、及び前記バッテリーから電力を取り出して前記起動装置に供給する電源装置を備え、前記バッテリー及び電源装置は、少なくとも1台の前記起動装置を起動できる容量を有すること
    を特徴とする請求項1に記載のパッケージタイプ消火設備システム。
  3. 前記親機は、前記起動装置に電力を供給する電源装置を備え、前記電源装置は、前記起動装置の消費電流の、1〜5倍の電流容量を有すること
    を特徴とする請求項1に記載のパッケージタイプ消火設備システム。
  4. 前記親機は、電力を蓄電するバッテリーを備え、前記バッテリーは、前記起動装置の消費電流に1Hを乗じた蓄電池容量に対して1〜10倍の範囲の蓄電池容量を備えたこと
    を特徴とする請求項1に記載のパッケージタイプ消火設備システム。
  5. 前記制御部は、前記外部信号が与えられた時刻を基準として、各起動装置の開始時刻までの経過時間を計時する開始時刻計時用タイマ、及び各起動装置の起動時間を計時する起動時間計時用タイマを備え、
    前記開始時刻計時用タイマ、及び前記起動時間計時用タイマでの計時時間に基づいて各起動装置のオン、オフを制御すること
    を特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のパッケージタイプ消火設備システム。
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