JP6651746B2 - 回転電機の回転子構造 - Google Patents

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Description

本発明は、回転電機の回転子構造に関する。
従来、埋め込み磁石同期電動機の回転子において、回転子に埋め込まれている永久磁石の外周側の領域に空隙を設けることで、回転子と固定子との間に形成されるギャップに発生する磁束の高調波成分を低減し、鉄損を抑制する技術が知られている(特許文献1参照)。
特開2012−34473号公報
ところで、回転子に設ける上記空隙は、開口面積が大きいほど高い鉄損抑制効果が得られるため、鉄損抑制の観点からは可能な限り大きな空隙を設けることが好ましい。しかしながら、回転電機の高速回転域では、回転子に設けられた空隙の回転子径方向の端部に過大な応力がかかる。そのため、形成できる空隙の大きさに限界が生じ、問題となる。
本発明は、空隙にかかる応力を分散させることで、回転子により大きな空隙を形成できる技術を提供することを目的とする。
本発明による回転電機の回転子構造は、外周に沿って複数の磁石挿入孔が形成された電磁鋼板を積層して構成される回転子コアと、磁石挿入孔に埋設される永久磁石とを備え、回転子コアの径方向において永久磁石よりも外周側の領域に、該径方向に沿って三つ以上並べて設けられた空隙を有する。そして、三つ以上並べて設けられた空隙のうち、回転子コアの最も外周側に位置する空隙が、外周と連結している。
本発明によれば、回転子が備える空隙が、回転子の径方向に沿って二つ以上並べて形成される。これにより、空隙にかかる応力を分散させることができるので、回転子により大きな空隙を形成することができる。
図1は、第1実施形態の回転電機の回転子構造を説明するための図である。 図2は、ロータに形成する空隙の大きさとステータ鉄損との関係を解析した解析結果を示す図である。 図3は、図2で示す解析結果に係る解析対象を説明するための図である。 図4は、第1実施形態の回転電機の回転子構造と従来例との応力集中箇所の違いを説明するための図である。 図5は、従来例及び第1実施形態の回転子構造に依るステータの磁束密度波形を表した図である。 図6は、図5で表した解析結果において、特に磁束密度の高次成分を表した図である。 図7は、従来例及び第1実施形態の回転子構造に依るトルクと鉄損を解析した解析結果を示す図である。 図8は、第2実施形態の回転電機の回転子構造を説明するための図である。 図9は、第2実施形態の回転電機の回転子構造と従来例との応力集中箇所の違いを説明するための図である。 図10は、従来例及び第2実施形態の回転子構造に依るトルクと鉄損を解析した解析結果を示す図である。 図11は、実施例1の回転子構造を説明するための図である。 図12は、実施例2の回転子構造を説明するための図である。 図13は、実施例3の回転子構造を説明するための図である。 図14は、一般的なIPMモータの回転子構造を説明するための図である。 図15は、従来の回転子構造を説明するための図である。
−第1実施形態−
図1は、本実施形態の回転子構造を説明するための図である。図で表されるのは、電動機或いは発電機を構成する回転電機が備える回転子(ロータ)6を軸方向に垂直な断面から見た構成図であって、構成全体の一部(一極分)である。本実施形態の回転電機は、ロータ6の内部に永久磁石が埋設されたいわゆるIPM(Interior Permanent Magnet)型の回転電機であり、一極あたり一枚の永久磁石3が配置された回転子構造を有する。なお、ここでは8極構造のロータを例に挙げるが、極数についてはこれに限定されるものではない。
回転子コア(ロータコア)1は、厚さ数百μmの電磁鋼板を円環状に打ち抜き加工したものを軸方向に積層して形成された、いわゆる積層電磁鋼板構造により円筒形に構成されている。また、電磁鋼板単板には、永久磁石3を埋設するための磁石挿入孔2(以下、単に磁石孔2ともいう)が形成されるとともに、磁石孔2の周方向両端部にはフラックスバリア4が形成されている。
磁石孔2は、上述の通り、永久磁石3を埋設するために電磁鋼板単板に形成されたI型の孔であって、長手方向がロータコア1の周方向に沿うように一定の機械角毎に形成される。本実施形態のロータ6は8極構造である為、磁石孔2は、機械角45度毎に形成される。図1に示すのはその一極分である。
磁石孔2が形成された電磁鋼板が軸方向に積層されることで、ロータコア1には永久磁石3を埋設するための孔部が形成される。そして、永久磁石3は、ロータコア1の孔部内に挿入された状態で固定される。また、永久磁石3は、ロータコア1の周方向に沿って、永久磁石3が構成する磁極が互いに等間隔で、且つ、互いに隣接する磁極の極性が異極性となるように配置される。この永久磁石3がつくる磁束の方向がd軸であり、d軸に対して電気的磁気的に直交する方向がq軸である。
永久磁石3は、周方向幅が磁石孔2よりも小さく形成されており、磁石孔2の周方向中心とd軸とが一致するように磁石孔2内に埋設される。このように配置されることで、磁石孔2の周方向両端部分には、空間部分としてのフラックスバリア4が形成される。この空間部分は、電磁鋼板よりも透磁率が低く、すなわち磁気抵抗が大きい。したがって、フラックスバリア4は、永久磁石3がロータ6に構成する磁気回路において、磁束(フラックス)が通りにくい磁気的障壁として作用する。
そして、空隙5が、ロータ6の略径方向に二つ並べた列となるように形成されることにより、本願発明に特徴的な回転子構造が構成される。
空隙5は、フラックスバリア4と同様、ロータコア1を構成する電磁鋼板に設けられた空間部分である。本実施形態では、図1に示すとおり、空隙5が、ロータコア1において、磁石孔2よりも外周側の領域に、ロータコア1の略径方向に2つ並べて設けられていることを特徴とする。また、二つの空隙5が作る列(空隙列7)は、磁石孔2よりも外周側の領域であって、且つ、永久磁石3の周方向両端部よりもd軸側に、d軸と略平行となるように設けられている。
ここで、本実施形態の特徴である空隙5の詳細を説明する前に、本発明の比較となる従来の回転子構造と、その構造による特性および問題点について、解析データ等を参照しながら説明する。
複数の磁石挿入孔を設けたロータコアに永久磁石が埋設された構造である埋込磁石型モータ(IPMモータ)は、磁石トルクだけでなく、リラクタンストルクも有効に活用することができ、モータが出力するトルク密度を向上させることができる。そのため、IPMモータは、電動車両の駆動源ならびに発電用のモータ(回転電機)として広く用いられている。図14は、一極あたり一枚の永久磁石を配置したIPMモータの一般的な回転子形状を示す。なお、図14で示す回転子形状は、本実施形態の回転子形状が有する空隙5が設けられていない点以外は、本実施形態の回転子形状と同じである。
IPMモータが備える回転子形状は、磁石挿入孔2の周方向両端部分に設けられたフラックスバリア4が、永久磁石3から出た磁束が該永久磁石3の異極側へ漏洩する際の磁気障壁となるため、永久磁石3からの磁石磁束を漏れなくステータ側に鎖交させることができ、トルク性能を向上させることができる。
一方で、電動車両の航続距離の観点から、IPMモータの高効率化や連続出力性能の向上が求められており、そのためにはIPMモータの損失低減が必要である。そして、損失を低減させるためには、モータの損失において高速回転域で支配的となる鉄損を低減させることが特に重要である。
これに対して、特開2012−34473(特許文献1参照)では、図1と同様に一極あたり一箇所の永久磁石を配置したロータにおいて、永久磁石よりも外周側の領域に、斜めに空隙(フラックスバリア)を形成することを特徴とした回転子構造が提案されている(図15参照)。この回転子構造に依れば、永久磁石から出る磁石磁束を磁極中心に集めて、磁石起磁力を正弦波に近づけることができるので、回転子と固定子との間のギャップに発生する磁束の高調波成分を減少させて、鉄損を低減させることができる。
しかしながら、モータの高速回転域では、回転に伴う遠心力により空隙の径方向端部に過大な応力がかかるため、ロータコアの強度と該応力との関係から、径方向に設けられる空隙の大きさに限界が生じる。この点を解析した解析結果を、図2、3を参照して説明する。
図3は、図2で示す解析結果の解析対象であって、IPMモータが備えるロータの一部を表した図である。図の右側の曲線はロータコア1の外周を示しており、ロータコア1の永久磁石3よりも外周側の領域に空隙40が設けられている。図中のWで示す空隙40の径方向長さが、図2の横軸で示す空隙40の径方向長さ[W]に対応する。
図2は、ある一定の回転速度で回転しているIPMモータが備えるロータコアにおいて、埋設された永久磁石よりも外周側の領域に形成された空隙40の径方向長さ[W]と、その空隙40の長さに応じたステータ鉄損の低減効果[%]と、空隙40の径方向端部にかかる最大応力との関係を表した図である。図中の破線はステータ鉄損を示し、実線は空隙40の径方向端部にかかる最大応力を示す。そして、図中の二重線は、モータの回転に伴う応力によってステータコアが破損する限界値(応力限界)を示している。なお、実線で示す最大応力は、図右側に示す目盛りに対応しており、応力限界を1とした場合の応力限界に対する割合で表される。
図2で示す解析結果から、空隙40が大きくなるほど、ステータ鉄損の低減効果が高まることが分かる。しかしながら一方では、空隙40が大きくなるほど、空隙40のロータ径方向端部にかかる最大応力が増大することが分かる。すなわち、図2で示す解析結果は、空隙40を大きくすればするほど鉄損低減の効果を得ることができるにも関わらず、応力限界による制限のために、ある一定の大きさ以上に大きくすることはできないことを示している。また、図2の最大応力を示す実線は、モータの回転速度が高まるほどより左側に推移するので、モータの回転速度の上限値が大きくなるほど、より小さい空隙40しか形成することができなくなる。
本願発明は、ロータコア1の強度そのものは従来と変わらないことを前提として、ロータコア1の永久磁石3よりも外周側の領域により大きな空隙を形成する事を可能とし、より高い鉄損低減効果を得ることができる技術を提供することを目的とする。以下、本願発明に係る第1実施形態の回転子構造の詳細について説明する。
図1に戻って説明を続ける。上述したとおり、本実施形態では、ロータコア1において、磁石孔2よりも外周側の領域に、空隙5がロータコア1の径方向に沿って空隙列7をなすように2つ並べて設けられる。この空隙列7の方向をより具体的に言えば、空隙列7を構成する二つの空隙5は、ロータ6の回転中心から外周まで引いた任意の直線上に各空隙5の少なくとも一部が交わるように設けられる。またさらに、空隙列7はd軸と略平行に形成される。
図4は、磁石孔2よりも外周側の領域に一つの空隙が設けられた従来例(図4(a))と、本実施形態(図4(b))との応力集中箇所を比較する図である。
図中の楕円で示す部分がロータ6の回転に伴う応力集中箇所である。図から分かる通り、従来例では、空隙にかかる応力は、空隙の径方向端部に集中する。これに対して、本実施形態では、空隙5をロータ径方向に二つ並べて配置することで、応力が集中する箇所が二つの空隙5のそれぞれの径方向端部に分散される。また、本実施形態の二つの空隙5の大きさの合計は、従来例に係る空隙一つの大きさよりも大きい。すなわち、空隙5を略径方向に二つ並べて形成する事で、空隙5にかかる応力を分散させることができるので、磁石孔2よりも外周側の領域に、ロータ6の径方向により大きな空隙を形成することが可能となる。
また、図1で示す通り、本実施形態において空隙5が作る空隙列7は、磁石孔2よりも外周側の領域に、一磁極を構成する永久磁石3の周方向両端部よりもd軸側であって、且つ、d軸に対して対称となる位置に一列ずつ、計2列形成される。空隙5をこのような配置で設けることで、ステータに鎖交する磁束がより正弦波に近づくため、ステータに鎖交する磁石磁束の高調波成分を低減することができる(図5、6参照)。
図5は、ロータ6の電気角[°](横軸)とステータに鎖交する磁束の磁束密度[T](縦軸)との関係を表した図である。実線は本実施形態の測定結果を示し、点線は従来例の測定結果を示す。図から分かるように、特に電気角60[°]及び240[°]付近における磁束密度が、従来例と比較してより滑らかな曲線に変化しており、ロータ6の回転に伴ってステータに鎖交する磁束の磁束密度が、より正弦波に近い波形になっていることが分かる。
また、図6は、ステータに鎖交する磁石磁束における高次成分(3次、5次、7次、9次)の磁束密度を示した図である。各次数において、左側が従来例の測定結果、右側が本実施形態の測定結果を示す。図から分かるとおり、特に3次と5次の高調波成分が従来例と比較して低減されていることが分かる。
ここで、鉄損は、ヒステリシス損と渦電流損の総計である。ヒステリシス損は、ステータ鎖交磁束の周波数に比例し、渦電流損は、ステータ鎖交磁束の周波数の2乗に比例する。したがって、本実施形態の回転子構造により、永久磁石3から出る磁石磁束の高調波成分が抑制されることにより、特にモータの高回転域における鉄損を低減することができる。
図7(a)、(b)は、従来例と本実施形態のトルクと鉄損とを比較した図である。本実施形態のトルクと鉄損の値(%)は、各図の左側に示す従来例のトルクと鉄損を100%とした場合の相対比率を表している。図から分かるとおり、トルクはほぼ同じであるのに対して、鉄損は約2%低減されていることが分かる。すなわち、本実施形態の回転子構造によれば、トルクを維持したまま鉄損を低減することができる。これは、本実施形態の回転子構造において、空隙5が略径方向(d軸に対して略平行)に並べて配置されているためであり、永久磁石3の主磁束を打ち消すことなく、高調波成分のみを低減できていることを示す。
以上、第1実施形態の回転子構造は、外周に沿って複数の磁石挿入孔2が形成された電磁鋼板を積層して構成されるロータコア1と、磁石挿入孔2に埋設される永久磁石3とを備え、ロータコア1の径方向において永久磁石3よりも外周側の領域に、該径方向に沿って二つ以上並べて設けられた空隙5を有する。これにより、ロータ6の回転によって空隙にかかる応力の集中する箇所を分散させることができるので、回転子の径方向に沿って、より大きな空隙を設けることができる。
また、第1実施形態の回転子構造は、上述の通り、ロータ6の径方向により大きな空隙5を設けることができるので、ロータコア1において磁石孔2よりも外周側であって、永久磁石3の周方向両端部よりもd軸側の領域に、d軸に対して対称となる位置に計2列設けた場合に、永久磁石3から出る磁石磁束の高調波成分の抑制効果をより高め、モータの高回転域における鉄損をより低減することができる。
−第2実施形態−
図8は、第2実施形態の回転子構造を説明するための図である。本実施形態の回転子構造は、第1実施形態の回転子構造と、特に、空隙列7を構成する二つの空隙5のうち、ロータ6の回転中心に近い方(永久磁石3に近い方)の空隙5が、磁石孔2と連結して形成されている点が異なる。
本実施形態の空隙列7も、第1実施形態と同様に、ロータコア1において磁石孔2よりも外周側の領域であって、且つ、一磁極を構成する永久磁石3の周方向両端部よりもd軸側に、d軸と略平行となるように設けられる。また、空隙列7は、d軸に対して対称となる位置に一列ずつ、計2列形成されている。
図9は、磁石孔2よりも外周側の領域に、一つの空隙が磁石孔2と連結して設けられた従来例(図9(a))と、本実施形態(図9(b))との応力集中箇所を比較する図である。
図中の楕円で示す部分がロータの回転に伴う応力集中箇所である。従来例では、空隙にかかる応力は、ロータコア1に設けられた一つの空隙における径方向端部に集中する。これに対して、本実施形態は、空隙5をロータ径方向に二つ並べて配置しているので、一方の空隙5を磁石孔2と連結させた状態であっても、第1実施形態と同様に、応力が集中する箇所が二つの空隙5のそれぞれの径方向端部に分散される。
また、空隙列7を構成する二つの空隙5の一方を磁石孔2と連結させることで、第1実施形態とは違う態様で、二つの空隙5の総計としての開口面積を従来例よりも大きく形成することができる。これにより、より大きな鉄損低減効果を得ることができる(図10)。
図10は、(a)、(b)は、従来例と第2実施形態のトルクと鉄損とを比較した図である。本実施形態のトルクと鉄損の値(%)は、各図の左側に示す従来例のトルクと鉄損を100%とした場合の相対比率を表している。図から分かる通り、トルクはほぼ同じであるのに対して、鉄損は約5%以上低減されていることが分かる。
以上、第2実施形態の回転子構造は、二つ以上並べて設けられた空隙5のうち、ロータ6の最も回転中心側に位置する空隙が、磁石挿入孔2と連結して形成される。これにより、モータの回転によって空隙にかかる応力の集中する箇所を分散させることができるので、回転子の径方向に沿って、より大きな空隙を設けることができる。
また、第2実施形態の回転子構造は、ロータ6の径方向により大きな空隙5を設けることができるので、ロータコア1において磁石孔2よりも外周側であって、永久磁石3の周方向両端部よりもd軸側の領域に、d軸に対して対称となる位置に計2列設けた場合に、永久磁石3から出る磁石磁束の高調波成分の抑制効果をより高め、ロータ6の高回転域における鉄損をより低減することが可能となる。
以下では、これまで説明した第1、或いは第2実施形態に係る特徴を備えた他の実施例、すなわち、ロータコア1において磁石孔2よりも外周側の領域に、ロータ径方向に複数の空隙5を並べた空隙列7を有する回転子構造を備える他の実施例について説明する。以下で説明するような回転子構造であっても、上記特徴を備えた空隙列7を備える限り、第1、或いは第2実施形態において説明したのと同様の技術的効果を得ることができる。なお、以下の説明において、各実施例に係る回転子構造について特に言及しない点は、第1或いは第2実施形態に係る回転子構造と同様である。
−実施例1−
図11は、実施例1の回転子構造を説明するための図である。実施例1にかかるロータ6は、一極に2枚の永久磁石3を有する。そして、この2枚の永久磁石3は、ロータ6の外周側に開口するような略V字形状に配置される。このようなロータ形状であっても、第1及び第2実施形態と同様に、ロータコア1において磁石孔2よりも外周側であって、且つ、一磁極を構成する永久磁石3の周方向両端部よりもd軸側の領域に、d軸に対して対称となる位置に計2列の空隙列7が、d軸と略平行となるように形成される。
−実施例2−
図12は、実施例2の回転子構造を説明するための図である。実施例2にかかるロータ6は、一極に3枚の永久磁石3を有する。そして、3枚の内の一枚は、第1、第2実施形態と同様に、長手方向がロータ6の外周に沿うように配置され(径方向最外周位置)、他の2枚の永久磁石3は、径方向最外周位置に配置した永久磁石3よりもロータ6の回転中心側に、ロータ6の外周側に開口するような略V字形状に配置される。なお、空隙列7は、ロータコア1において、径方向最外周位置に配置された永久磁石3よりも外周側の領域に設けられる。
−実施例3−
図13は、実施例3の回転子構造を説明するための図である。実施例3にかかるロータ6は、第1、第2実施形態と同様、一極に一枚の永久磁石3を有する。ただし、空隙列7は、3つの空隙5から構成される。そして、空隙列7を構成する三つの空隙5のうち、ロータ6の外周に最も近い空隙5が、ロータ6の外周と連結するように形成される。
以上、実施例1から3の回転子構造のように、本願発明にかかる回転子構造においては、永久磁石3の個数、永久磁石3の配置(配置角度)に関して特に限定されるものではない。また、実施例3で示したように、空隙列7のロータ径方向位置も、ロータコア1において永久磁石3よりも外周側の領域に配置される特徴を満たす限り、特に限定されるものではない。またさらに、空隙列7を構成する空隙5は二つに限らず、三つ以上であっても良い。また、空隙列7の列数も、d軸に対して対称に設けられる限り、特に限定されるものではない。
本発明は、上述した実施形態および実施例に限定されることはなく、様々な変形や応用が可能である。例えば、上述の説明においては、空隙5は空間部分であると説明したが、必ずしも空間である必要な無く、例えば樹脂材料のような非磁性材料で充填されていてもよい。
1…ロータコア
2…磁石挿入孔
3…永久磁石
4…フラックスバリア
5…空隙

Claims (2)

  1. 外周に沿って複数の磁石挿入孔が形成された電磁鋼板を積層して構成される回転子コアと、前記磁石挿入孔に埋設される永久磁石と、を備える回転電機の回転子構造において、
    前記回転子コアは、該回転子コアの径方向において前記永久磁石よりも外周側の領域に、該径方向に沿って三つ以上並べて設けられた空隙を有し、
    三つ以上並べて設けられた前記空隙のうち、前記回転子コアの最も外周側に位置する空隙が、前記外周と連結している、
    ことを特徴とする回転電機の回転子構造。
  2. 三つ以上並べて設けられた前記空隙は、前記永久磁石が構成するd軸に対して対称に設けられる、
    ことを特徴とする請求項に記載の回転電機の回転子構造。
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