JP6650100B2 - 物品の洗浄及び濯ぎ方法、並びに物品の洗浄及び濯ぎ装置 - Google Patents

物品の洗浄及び濯ぎ方法、並びに物品の洗浄及び濯ぎ装置 Download PDF

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Description

本発明は、ハンダ付用フラックスやソルダペースト、フラックス残渣及び工業油等の各種工業汚れが付着した物品を所定の洗浄剤で洗浄するとともに、洗浄後の物品を、蒸留再生可能なグリコール系濯ぎ液で濯ぎ、該濯ぎ廃液の蒸留再生を可能とする方法、並びに該方法を実施可能な装置に関する。
工業用洗浄剤は、例えば、電気機器、電子部品、精密機器、金属、ガラス、セラミックス及び樹脂成形品等の各種物品の表面を清浄にし、製品の信頼性を高めるために使用される。
前記工業用洗浄剤のうち、例えば、フラックス残渣用洗浄剤は、ソルダペーストや糸ハンダ等を用いて電子部品をプリント配線基板の電極に接合した後、不可避的に生ずるフラックス残渣を除去するために使用される。
また、前記工業用洗浄剤のうち、例えば、金属用脱脂洗浄剤は、金属製の部品や当該部品を有する製品に付着した潤滑油、防錆油、鉱物油、切削油及び加工油等の工業油を除去するために使用される。
ところで、工業用洗浄剤は、かつてはトリクロロエチレンやトリクロロトリフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素溶剤が使用されていた。しかし、環境問題が浮上した結果、近年では、非ハロゲンタイプの炭化水素系洗浄剤及びグリコール系洗浄剤等が主流となっている。
前記グリコール系洗浄剤は、各種グリコール系化合物を主成分とする洗浄剤であり、フラックス及びその残渣、イオン残渣、並びに金属に付着したオイル等の除去性に優れるとされる(特許文献1及び2を参照)。また、それらは一般に引火点がないか非常に高く、非危険物であることから、防爆設計された洗浄装置が必要とされない点、及び低臭気等の点で炭化水素系溶剤に勝る。
ところで、グリコール系洗浄剤で物品を洗浄した後は、該物品の清浄度を高めるため、水や揮発性のアルコール類、揮発性炭化水素等の濯ぎ液で濯ぐことが一般的である。しかし、濯ぎ後に生ずる廃液には工業用汚れが残存することから、当該廃液を濯ぎ液として繰り返し使用すると廃液中の汚れ濃度が次第に高くなり、いずれ廃棄せざるを得なくなる。しかし、廃棄処理のためには相応の設備と費用が必要となる。
この点、炭化水素系の濯ぎ液については、その共沸時の組成を所定範囲に規定することによって、その廃液の蒸留再生を可能とするシステムが存在する。例えば特許文献3には、各種の加工油及びフラックスに対して十分な洗浄力を有する炭化水素系洗浄剤として、所定沸点範囲の飽和脂肪族炭化水素及び所定のアルコール類からなるものが記載されているが、このものは共沸混合物であるため濯ぎ液としても使用でき、しかもリサイクル可能であるとされる。また、特許文献4及び5にも、所定の炭化水素化合物からなる共沸濯ぎ液を用いた洗浄剤を用いた濯ぎシステムが記載されている。
しかし、炭化水素系の濯ぎ液は引火性の危険物であるため、防爆装置等の安全措置が必要になるなど相応の設備及びコストを要し、また臭気の点でも問題がある。そこで、グリコール系の濯ぎ液であって、蒸留再生が可能なものを用いたシステムの構築が考えられるが、本出願人が知る限りそのような例はまだない。
特開平3−152197号公報 特開平10−046198号公報 特開平10−53797号公報 特開2004−307839号公報 特開2008−24901号公報
本発明は、ハンダ付用フラックスやソルダペースト、フラックス残渣及び工業油等の各種工業汚れが付着した物品を所定の洗浄剤で洗浄するとともに、洗浄後の物品を、蒸留再生可能なグリコール系濯ぎ液で濯ぎ、該濯ぎ廃液の蒸留再生を可能とするシステム及び該システムを実施可能な装置を提供することを主たる課題とする。
本発明者らは検討の結果、所定の非共沸性洗浄剤及び当該洗浄剤と主成分が同一の共沸性濯ぎ液を採用することにより前記課題に係るシステム及び装置を構成することができた。即ち本発明は、以下に示す方法及び装置に関する。
1.[1]:工業汚れが付着した物品を、一般式(1):R−O−[CH−CH(X)−O]−R(式(1)中、R及びRはいずれも同一又は異なっていてよい炭素数1〜3のアルキル基を、Xは水素又はメチル基を、nは2又は3を示す。)で表されかつ常圧下の沸点が160〜230℃のグリコール系溶剤(a1)、水(a2)、並びに該(a1)成分及び(a2)成分と常圧下で共沸しないアミン系化合物(a3)を含む非共沸性洗浄剤(A1)で洗浄する工程と、[2]:該工程[1]で洗浄された当該物品を、前記(a1)成分及び前記(a2)成分を含みかつ前記(a3)成分を実質的に含まない常圧下の共沸点が90〜100℃の共沸性濯ぎ液(A2)で濯ぐ工程と、[3]:該工程[2]で生ずる廃液を蒸留することにより前記共沸濯ぎ液(A2)を再生する工程とを含む、物品の洗浄及び濯ぎ方法
2.前記(a3)成分がN−アルキルアルカノールアミン類及び/又はN−アルキルジアルカノールアミン類である、前記項1の方法。
3.前記(A1)成分における(a1)成分、(a2)成分及び(a3)成分の比率が順に10〜90重量%、5〜80重量%及び0.1〜5重量%である、前記項1又は2の方法。
4.前記(A2)成分における(a1)成分及び(a2)成分の比率が順に5〜35重量%及び65〜95重量%である、前記項1〜3のいずれかの方法。
5.前記工業汚れが、ハンダ付用フラックス、ソルダペースト、フラックス残渣及び工業油からなる群より選ばれる少なくとも一種である、前記項1〜4のいずれかの洗浄方法。
6.工業汚れが付着した物品を、一般式(1):R−O−[CH−CH(X)−O]−R(式(1)中、R及びRはいずれも同一又は異なっていてよい炭素数1〜3のアルキル基を、Xは水素又はメチル基を、nは2又は3を示す。)で表されかつ常圧下の沸点が160〜230℃のグリコール系溶剤(a1)、水(a2)、並びに該(a1)成分及び(a2)成分と常圧下で共沸しないアミン系化合物(a3)を含む非共沸性洗浄剤(A1)で洗浄する洗浄機構と、 該洗浄機構で洗浄された物品を、前記(a1)成分及び前記(a2)成分を含みかつ前記(a3)成分を実質的に含まない常圧下の共沸点が90〜100℃の共沸性濯ぎ液(A2)で濯ぐ機構と、該濯ぎ機構で生ずる廃液を蒸留することにより(A2)成分を再生する機構と、前記濯ぎ機構で生ずる廃液を前記再生機構に供給する供給路と、前記再生機構で再生された(A2)成分を前記濯ぎ機構に戻す戻り流路とを備え、前記再生機構は、前記濯ぎ機構で生ずる廃液を気化させることにより、工業汚れ並びに(a3)成分が実質的に除去された(A2)成分を得る気化器を含む、物品の洗浄及び濯ぎ装置。
本発明の方法及び装置においては、各種物品に付着した工業汚れを所定の洗浄剤によって好適に除去することができ、かつ該洗浄剤と主成分が同一である濯ぎ液によって該物品を更に濯ぐことができるため、それら物品の表面を清浄にすることができる。しかも、当該濯ぎ液は共沸組成物であり、その廃液を蒸留再生して繰り返し使用することができるため、濯ぎ後に生ずる廃液の量を大幅に削減することが可能となる。
本発明に係る装置の第1実施形態を示す概略図である。
<本発明の方法について>
本発明の方法に係る前記工程[1]、[2]及び[3]を、以下、順に説明する。
工程[1]は、工業汚れが付着した物品を、所定のグリコール系溶剤(a1)(以下、「(a1)成分」ともいう。)、水(a2)(以下、「(a2)成分」ともいう。)並びに該(a1)成分及び該(a2)成分と常圧下で共沸しないアミン系化合物(a3)(以下、「(a3)成分」ともいう。)を含む非共沸性洗浄剤(A1)(以下、「(A1)成分」ともいう。)を用いて洗浄する工程である。
前記工業汚れは特に限定されないが、代表的なものとして、例えばハンダ付用フラックス、ソルダペースト、フラックス残渣、工業油、及び切り粉等が挙げられる。これらの中でも、ハンダ付用フラックス、ソルダペースト、フラックス残渣及び工業油からなる群より選ばれる一種は、本発明の洗浄剤の除去対象として好適である。
前記ハンダ付用フラックスとは、ハンダ及び母材(金属電極等)表面の酸化皮膜を除去し、両者の接合を容易にするために用いられる組成物であり、一般的には、ベース樹脂、活性剤及び有機溶剤、並びに必要に応じてチキソトロピック剤、酸化防止剤及びその他の添加剤を含む。また、該ハンダ付用フラックスは、その組成により、例えばソルダペースト用フラックスや、糸はんだ用フラックス、ポストフラックス及びプレフラックス等の非ソルダペースト用フラックスに分類される。
前記ベース樹脂としては、ロジン系ベース樹脂及び非ロジン系ベース樹脂が挙げられる。該ロジン系ベース樹脂としては、例えば、ガムロジン、トール油ロジン及びウッドロジン等の天然ロジン、該天然ロジンの精製物、水素化物及び不均化物、並びにこれらを原料とする重合ロジン、不飽和酸変性ロジン(アクリル化ロジン、フマル化ロジン、マレイン化ロジン等)及びロジンエステル並びにそれらの精製物、水素化物及び不均化物等が挙げられる。また、該ロジンエステルを構成する多価アルコールとしては、例えば、グリセリン及びペンタエリスリトール等が挙げられる。また、該非ロジン系ベース樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ナイロン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリオレフイン樹脂、フッ素系樹脂、ABS樹脂、イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、クロロプレンゴム、ナイロンゴム、ナイロン系エラストマ及びポリエステル系エラストマ等が挙げられる。
前記活性剤としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、グルタル酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、trans−2,3−ジブロモ−1,4−ブテンジオール、cis−2,3−ジブロモ−1,4−ブテンジオール、3−ブロモプロピオン酸、2−ブロモ吉草酸、5−ブロモ−n−吉草酸、2−ブロモイソ吉草酸、エチルアミン臭素酸塩、ジエチルアミン臭素酸塩、ジエチルアミン塩化水素酸塩及びメチルアミン臭素酸等が挙げられる。
前記有機溶剤としては、例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、イソブタノール、ブチルカルビトール、ヘキシルジグリコール、ヘキシルカルビトール、酢酸イソプロピル、プロピオン酸エチル、安息香酸ブチル、アジピン酸ジエチル、n−ヘキサン、ドデカン及びテトラデセン等が挙げられる。
前記チキソトロピック剤としては、ひまし油、硬化ひまし油、蜜ロウ、カルナバワックス、ステアリン酸アミド及び12−ヒドロキシステアリン酸エチレンビスアミド等が挙げられる。
前記酸化防止剤としては、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンアミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、トリフェニルフォスファイト、トリエチルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファエト及びトリス(トリデシル)フォスファイト等が挙げられる。
前記その他の添加剤としては、防黴剤、艶消し剤、増粘防止剤及び界面活性剤等が挙げられる。
前記ソルダペーストは、ハンダ付用フラックスとハンダ粉末とを混合してなる組成物である。該ハンダ粉末としては、Sn−Ag系、Sn−Cu系、Sn−Sb系、又はSn−Zn系の鉛フリーハンダ粉末や、更に鉛を構成成分とする鉛含有ハンダ粉末が挙げられる。また、これらハンダ金属は、Ag、Al、Au、Bi、Co、Cu、Fe、Ga、Ge、IN,Ni、P、Pt、Sb及びZnからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素がドープされていてよい。該ソルダペーストは、スクリーン印刷によりメタルマスクを介して電極上に供給され、その上に電子部品が載置された後に、加熱下でハンダ付が行われる。
前記ハンダ付用フラックス又はソルダペーストが付着した物品としては、例えば、スクリーン印刷用のメタルマスク、スキージ、ディスペンス方式用のノズル、シリンジ及び基板固定用の治具等が挙げられる。
前記フラックス残渣は、ソルダペースト、糸ハンダ、プレフラックス及びポストフラックス等を用い、電子部品等を電極に接合した後に生ずる残渣である。このものは、ハンダ金属及び母材を腐食したり、基板の絶縁抵抗を低下させたりするため、洗浄により除去する必要がある。
前記フラックス残渣が付着した物品としては、例えば、プリント回路基板、セラミック配線基板、半導体素子搭載基板、ウエハ、TABテープ、リードフレーム、パワーモジュール及びカメラモジュール等が挙げられる。また、対応するものについては、IC、コンデンサ、抵抗器、ダイオード、トランジスタ、コイル及びCSP等の電子部品がハンダ付されていたり、BGA、PGA及びLGA等が形成されていたり、ハンダレベリング等の前処理が施されていてもよい。
前記工業油としては、例えば、加工油、切削油、鉱物油、機械油グリース、潤滑油、防錆油、ワックス、ピッチ、パラフィン、油脂及びグリース等が挙げられる。これらは機械加工及び金属加工等の分野において、材料と工具間の摩擦を低減して焼き付きを防止したり、加工に要する力を低減して形成し易くしたり、製品の錆や腐食を防止したりするために使用される。また、メッキ処理が予定されている部品に工業用油が残存しているとメッキ不良が生じ得るため、そうした部品の洗浄に本発明に係る洗浄剤は特に適している。
前記工業油が付着した物品としては、例えば、ボルト、ナット、フェルール及びワッシャー等の成型部品を始め、エンジンピストン等の自動車部品、ギア、シャフト、スプロケット及びチェーン等の産業機械部品や、HDD用パーツ及びリードフレーム等の電子部品等が挙げられる。
前記切り粉としては、例えば、プリント回路基板、セラミック配線基板、半導体素子搭載基板、カバーガラス及びウエハなどをダイシング加工した際に生じる切り粉等が挙げられる。
次に、(A1)成分について説明する。(A1)成分の主成分である(a1)成分は、一般式(1):R−O−[CH−CH(X)−O]−R(式(1)中、R及びRはいずれも炭素数1〜3のアルキル基を、Xは水素又はメチル基を、nは2又は3を示す。)で表されるグリコール系溶剤である。該(a1)成分の具体例としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコール−n−プロピルメチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、トリプロピレングリコールイソプロピルメチルエーテル、トリエチレングリコール−n−プロピルメチルエーテル、及びトリプロピレングリコール−n−プロピルメチルエーテル等が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。(A1)成分としては、洗浄性の点より、前記ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(MEDG)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(DEDG)、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル(IPDM)、及びトリプロピレングリコールジメチルエーテル(MTPOM)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
また、前記(a1)成分は、その常圧下の沸点が160〜230℃程程度、好ましくは170〜220℃程度、一層好ましくは175〜190℃程度である。なお、「常圧」とは標準大気圧を意味する(以下、同様。)。
前記(a2)成分としては、超純水、純水、精製水、蒸留水、イオン交換水及び水道水等が挙げられる。
前記(a3)成分としては、前記(a1)成分及び(a2)成分と常圧下で共沸しないアミン系化合物であれば、各種公知のものを特に制限なく使用できる。また、その常圧下の沸点は特に限定されないが、通常160〜290℃程度、好ましくは165〜280℃程度である 。また、その具体例としては、分子内にアルキル基を有さないアルカノールアミン類(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)、N−アルキルアルカノールアミン類(N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン等)、N−アルキルジアルカノールアミン類(N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン等が挙げられ、二種以上を併用できる。これらの中でも洗浄性の点より前記N−アルキルアルカノールアミン類及び/又はN−アルキルジアルカノールアミン類が好ましい。
前記(A)成分には、必要に応じて、各種公知の界面活性剤やキレート剤、前記酸化防止剤、防錆剤、封孔処理剤、pH調整剤及び消泡剤等の添加剤(以下、「(a4)」成分ともいう。)を含めることができる。
前記界面活性剤としては、各種公知のものを特に制限なく使用できる。具体的には、例えば、ポリオキシアルキレンリン酸エステル系界面活性剤及び/又はノニオン性界面活性剤が挙げられる。
該ポリオキシアルキレンリン酸エステル系界面活性剤としては、例えば、下記一般式(2)で表される化合物及び/又はその塩が挙げられ、これを用いることで、洗浄性が良好になる。
Figure 0006650100
(式(2)中、Rは炭素数5〜20の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、フェニル基、又は炭素数7〜12の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基で置換されたフェニル基を、mは2〜20の整数を、Yは水酸基又は一般式(3):R−O(CHCH−O)−(式(3)中、Rは炭素数5〜20の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、フェニル基、又は炭素数7〜12の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基で置換されたフェニル基を、qは0〜20の整数を示す。)。)
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、一般式(4):RO−(CHCHO)−(CHC(R)HO)−H(式中、Rは炭素数6〜20の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、フェニル基、又は炭素数7〜12の直鎖若しくは分岐鎖アルキル基で置換されたフェニル基を、rは0〜20の整数を、Rは水素若しくはメチル基を、sは0〜20の整数を示し、r+sは2〜20の整数である。)で表される化合物が挙げられる。
前記キレート剤としては、例えば、クエン酸、イソクエン酸、リンゴ酸、酒石酸、オルトリン酸、ピロリン酸及びトリリン酸、並びにそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩及びアルカノールアミン塩等)等が挙げられる。
前記(A1)成分は、前記各成分を各種公知の手段で混合することにより調製することができる。また、各成分の含有量は特に限定されず、工業用汚れの種類に応じて適宜設定すればよい。具体的には、(a1)成分、(a2)成分及び(a3)成分の比率が順に10〜90重量%程度、5〜80重量%程度及び0.1〜5重量%程度となる範囲であればよい。また、前記(a4)成分を使用する場合には、(a1)成分、(a2)成分、(a3)成分及び(a4)成分の比率が順に10〜90重量%程度、5〜80重量%程度、0.1〜5重量%程度及び0.01〜5重量%程度となる範囲であればよい。
前記(A1)成分で前記物品を洗浄する手段は限定されず、例えば、浸漬洗浄、シャワー洗浄、スプレー洗浄、スチーム洗浄、超音波洗浄、液中ジェット洗浄及び直通式洗浄(ダイレクトパス(登録商標))等が挙げられる。また、公知の洗浄装置として、例えば、特開平7−328565号公報、特開2000−189912号公報、特開2001−932号公報及び特開2005−144441号公報等が挙げられる。
前記工程[2]は、前記工程[1]で洗浄された当該物品を、前記(a1)成分及び前記(a2)成分を含みかつ前記(a3)成分を実質的に含まない、常圧下の共沸点が90〜100℃の共沸性濯ぎ液(A2)(以下、(A2)成分ともいう。)で濯ぐ工程である。該共沸点は、好ましくは95〜100℃程度、一層好ましくは97〜99℃である。
該(A2)成分における前記(a1)成分及び前記(a2)成分の含有量は特に限定されないが、濯ぎ効率を高め、かつ後述の工程[3]における濯ぎ廃液の蒸留再生を可能にする目的で、通常、順に5〜35重量%程度及び65〜95重量%程度であり、好ましくは順に15〜35重量%程度及び65〜85重量%程度である。
なお、該(A2)成分は、前記(A1)成分と異なり濯ぎ液であるため、洗浄補助成分である前記(a3)成分を実質的に含まない。(a3)成分が含まれる場合における(A1)成分の組成は、通常、(a1)成分及び(a2)成分の含有量が順に5〜35重量%程度(好ましくは15〜35重量%程度)及び65〜94重量%程度(好ましくは65〜84.9重量%程度)程度であって、(a3)成分の含有量が1重量%未満程度(好ましくは0.1重量%未満程度)である。このとき、該(A1)成分で洗浄後の物品を濯いだ後に生ずる廃液を効率的に蒸留再生できるようになる。
また、同様の理由で該(A2)成分は洗浄補助成分である前記(a4)成分を実質的に含まない。(a4)成分が含まれる場合における(A1)成分の組成は、通常、(a1)成分及び(a2)成分の含有量が順に5〜35重量%程度(好ましくは15〜35重量%程度)及び65〜94重量%程度(好ましくは65〜84.9重量%程度)程度であって、(a4)成分の含有量が1重量%未満程度(好ましくは0.1重量%未満程度)である。このとき、該(A1)成分で洗浄後の物品を濯いだ後に生ずる廃液を効率的に蒸留再生できるようになる。
該(A2)成分で前記物品を濯ぐ方法は限定されず、例えば、浸漬濯ぎ、シャワー濯ぎ、スプレー濯ぎ、スチーム濯ぎ、超音波濯ぎ、液中ジェット濯ぎ、前記直通式洗浄(ダイレクトパス(登録商標))を用いた濯ぎ等が挙げられる。また、該(A2)成分を加温する際、メカニカルスターラーやマグネチックスターラー、超音波等の各種ミキシング手段を併用することが望ましい。
また、該工程[2]は二回以上繰り返してもよく、その都度、物品の清浄度を高めることができる。また、該工程[2]とともに、前記(A2)成分以外の濯ぎ液で前記物品を濯ぐ工程を設けることもできる。該濯ぎ液としては、例えば、純水、及びイオン交換水等の水;メチルアルコール、エチルアルコール、及びイソプロピルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
前記工程[3]は、前記工程[2]で生ずる廃液を蒸留することにより、汚れ成分が除去された(A2)成分を留分として再び得る工程である。
濯ぎ廃液を蒸留する手段は特に限定されず、各種方法を採用できる。具体的には、ヒーター、熱媒等の熱源を含む気化器と、コンデンサ、熱交換器等の凝縮器とを備えた蒸留器が挙げられ、これを用いて濯ぎ廃液を蒸留することにより、留出液としての共沸濯ぎ液((A2)成分)を再生することができる。また、蒸留器内では、工程[1]から工程[2]に持ち込まれた汚れ成分や、前記(A1)成分に由来する前記(a3)成分及び必要に応じて用いられる前記(a4)成分が濃縮され残渣となるが、これは廃棄する。
また、前記蒸留器には、留出液の組成をより共沸組成物に近づけるため、必要に応じ、ラシヒリング、ディクソンパッキン等の充填物、バブルキャップトレイ、デミスター等の分離促進器を設置してもよい。また、それらの理論段数は任意であり、必要に応じて増減できる。
再生された共沸濯ぎ液((A2)成分)は、工程[2]における濯ぎ液として再び使用することができる。なお、再生された濯ぎ液における前記(a1)成分及び前記(a2)成分の比率は、通常、順に5〜35重量%及び65〜95重量%程度であり、好ましくは順に15〜35重量%及び65〜85重量%程度である。
<本発明の装置について>
本発明の装置は、所定の洗浄機構、濯ぎ機構及び再生機構、並びに所定の供給路及び戻り流路、並びに所定の気化器を含む。
前記洗浄機構は、工業汚れが付着した物品を前記(A1)成分で洗浄する機構である。なお、該工業汚れ及び物品は前記したものと同様である。また、該(A1)成分の組成及び組成比並びに物性も前記同様である。また、該洗浄機構を実施するための洗浄手段及び該(A1)成分の利用態様も前記同様である。
前記濯ぎ機構は、前記洗浄機構で洗浄された物品を前記(A2)成分で濯ぐ機構である。なお、該(A2)成分の組成及び組成比並びに物性も前記同様である。また、該濯ぎ機構を実施するための手段及び該(A2)成分の利用態様も前記同様である。また、本発明の装置において該濯ぎ機構は2つ以上設けられていてもよい。
前記再生機構は、前記濯ぎ機構で生ずる廃液を蒸留することにより前記(A2)成分を再生する機構である。該再生手段としては、前記蒸留手段を挙げることができる。また、該機構には、前記洗浄から前記濯ぎ機構に持ち込まれた汚れ成分や、前記(A1)成分に由来する前記(a3)成分及び必要に応じ用いられる前記(a4)成分等が濃縮されてなる残渣を廃棄するための流路を設けてもよい。
該供給路は、前記濯ぎ機構で生ずる、工業汚れ並びに前記(a3)成分及び必要に応じ用いられる前記(a4)成分を含む廃液を前記再生機構に供給するためのラインである。
該戻り流路は、前記再生機構で再生された前記(A2)成分を前記濯ぎ機構に戻すためのラインである。
また、前記機再生機構は、前記濯ぎ機構で生ずる廃液を気化させることにより、工業汚れ並びに前記(a3)成分及び必要に応じ用いられる前記(a4)成分が実質的に除去された(A2)成分を得るための気化器を備える。該気化器の詳細は後述する。
以下、本発明の装置を、一の具体的な実施態様(図1)を通じて詳細に説明する。ただし、当該発明が該実施態様により限定されないことはもとよりである。
図1は、第1実施形態の装置1を示す。該装置1は、前記(A1)成分に相当する洗浄剤4を用いて工業汚れが付着した物品を洗浄する洗浄機構2と、洗浄後の当該物品を前記(A2)成分に相当する濯ぎ液5を用いて濯ぎ、生じた廃液を再生するための機構3(以下、濯ぎ・再生機構3ともいう。)とを備えている。
濯ぎ・再生機構3は、濯ぎ液5が貯留される第1濯ぎ液槽21B及び第2濯ぎ液槽21Cを備えており、それらの底部には超音波振動子22が設置されている。また、該液槽21B及び該液槽21Cの間には、濯ぎ液5を矢印Dの方向に流通させる流路20Aが設けられている。また、該液槽21Bには、ここから濯ぎ液5を流出させる流出路20Dが設けられている。また、該流出路20Dは、該濯ぎ液5を液槽21Bに戻す循環路20Bと、濯ぎ液5を再生機構3へ供給する供給路20Cとに分岐している。また、該流出路20D及び循環路20Bにはそれぞれ、濯ぎ液5の流量を調整するバルブV1及びV2が設けられている。また、供給路20CにもバルブV3が設けられており、バルブV3を開閉操作することで、再生機構3への濯ぎ液5の流入が制御されている。流出路20Dには、工業用共沸洗浄剤4を圧送するポンプP1が接続されている。
また、濯ぎ・再生機構3は、第1の液槽21B及び第2の液槽21Cで物品を濯いだ後に生ずる、汚れ成分等を含んだ濯ぎ液5の廃液を気化させる気化器31と、気化して蒸気となっている濯ぎ液5を凝縮させる凝縮器32とを備えている。この気化器31と凝縮器32とで、濯ぎ液5を蒸留する蒸留器は構成される。
前記気化器31は、底部が濯ぎ液5を溜める液溜め部となっており、その液溜め部に、濯ぎ液5を加熱し気化させるためのヒーター、熱媒等の熱源33が設けられている。また、気化器31には、蒸留後の留出液(濯ぎ液5)の組成をより共沸組成に近づけるために、上記したラシヒリング、ディクソンパッキン等の充填物34及びバブルキャップトレイ、デミスター等の分離促進器35が設けられている。なお、充填物34及び分離促進器35は、必ずしも設けられる必要はなく、必要に応じていずれか一方又は両方が設けられればよい。また、それらの理論段数も任意に変更できる。また、図1では示していないが、気化器31の底部にはボトム留分を系外に排出するための排出路を設置してもよい。該ボトム留分には、液槽21Aから濯ぎ・再生機構3に持ち込まれた工業汚れや、洗浄剤Aに由来するアミン成分、界面活性剤等が含まれる。
前記凝縮器32には、コンデンサ、熱交換器等の既知の凝縮手段を用いることができる。この凝縮器32には、凝縮されて液化した濯ぎ液5を洗浄機構2、具体的には第2液槽21Cへ戻すための戻り流路30Aが設けられている。
一方、濯ぎ・再生機構3には洗浄機構2が併設されている。該洗浄機構2は、洗浄剤4が貯留されかつ工業汚れが付着した物品が投入される液槽21Aと、該液槽21Aの底部に設けられた超音波振動子22とを備える。また、該超音波振動子22としては、ピエゾ素子又は電磁式の振動子等の既知の任意の振動子を用いることができる。また、該液槽21Aの底部には、該洗浄剤4を加熱するためのヒーターと、熱媒等の熱源23とが設けられている。なお、該洗浄機構2では、超音波振動子22を用いず、メカニカルスターラーやマグネチックスターラー等の物理的対流手段を使用してもよい。また、超音波振動子22に代えて、各液槽21Aにジェット噴射ノズルを設けることで、液中ジェット洗浄を行うこともできる。また、液槽21Aを特開平7−328565号公報に開示された洗浄塔に置き換えることにより直通式洗浄を行うこともできる。また、洗浄機構2をシャワー洗浄機構やスチーム洗浄機構に置き換えることもできる。熱源23により加熱された洗浄剤4は、相分離して白濁状となり、物品に付着した工業汚れを効果的に除去する。洗浄された物品は、矢印Eの方向に移送され、第1濯ぎ液槽21Bに投入される。このとき、該濯ぎ液槽21Bには、洗浄後の物品に付着した洗浄剤4及び工業汚れの残分が持ち込まれる。
次に、装置1の動作について説明する。第1濯ぎ液槽21B及び第2濯ぎ液槽21Cには、それぞれ濯ぎ液5が貯留されている。該濯ぎ液槽21Bには、洗浄液槽21Aから移送された洗浄後の物品が投入され、超音波振動子22を作動させることによって当該物品が濯がれる。該第1濯ぎ液槽21Bで濯がれた物品は、よりきれいな濯ぎ液5が貯留されている第2濯ぎ液槽21Cへと矢印Eの方向に移送され、仕上げ濯ぎが行われる。この仕上げすすぎも、超音波振動子22を作動させた状態で行う。
濯ぎ液5は、常に開放されているバルブV1とバルブV2とによって、第1液槽21A、流出路20D及び循環路20Bを常時循環している。液槽21B内の濯ぎ液における工業汚れや洗浄剤4由来成分が増加すると、バルブV3を開放して、濯ぎ液5が供給路20Cを通って再生機構3の気化器31に供給される。気化器31では濯ぎ液5が気化し、その時に濯ぎ液5に含まれる工業汚れが除去される。除去された工業汚れは気化器31内に溜まり、廃棄される。気化された濯ぎ液5は、凝縮器32へと流れ、凝縮器32で凝縮される。そして、工業汚れが除去されて再生された濯ぎ液5は、戻り流路30Aを通って液槽21Cに戻される。
第1濯ぎ液槽21Bから再生機構3へ濯ぎ液5が流出すると、第1濯ぎ液槽21B内に貯留される濯ぎ液5が減少する。減少した濯ぎ液5は、液槽21Cから流路20Aを介して補われる。そして、第2濯ぎ液槽21Cで減少した濯ぎ液5は、戻り流路30Aを介して再生機構3で再生された濯ぎ液5が戻されることによって補われる。このようにして、装置1において、濯ぎ液5が循環再生される。
なお、当該実施形態では、洗浄用の液槽として液槽21A、濯ぎ用の液槽として液槽21Bと21Cの2個を設けているが、それらは洗浄物の清浄度、生産量に応じて任意の個数とすることができる。
本発明を、実施例を通じて具体的に説明する。ただし、それらによって本発明の範囲は限定されない。
<洗浄剤の調製>
調製例1
(a1)成分としてジエチレングリコールエチルメチルエーテル(MEDG)28g、(a2)成分として蒸留水70g、及び(a3)成分としてN,N−ブチルジエタノールアミン(MBD)2gをビーカーで良く混合し、実施例態様の洗浄剤(A1)を調製した。また、MEDG 27.7g及び水72.3gをビーカーで良く混合し、実施例態様の濯ぎ液(A2)も調製した。
<洗浄試験用物品の作製>
作製例1
鉛フリーソルダペースト(商品名「パインソルダーTAS LF219−1」、荒川化学工業(株)製)を、ガラスエポキシ銅張積層板(30×30×T1.5mm)の銅パターン上にメタルマスクを介して印刷し、得られた積層板を、以下のプロファイルでリフローすることによって、フラックス残渣が付着した基板(以下、基材Aという。)を作製した。
(試験基板のリフロープロファイル)
雰囲気 : 大気
昇温速度 : 2℃/秒
プレヒート : 150℃、60秒間
ピーク温度 : 250℃、30秒間
作製例2
鉛フリーソルダペースト(パインソルダーTAS LF219−1)を、ソルダレジストが塗工された銅張積層板(30×30×T1.5mm)の銅パターン上にメタルマスクを介して印刷し、得られた積層板を、以下のプロファイルでリフローすることによって、フラックス残渣が付着した基板(以下、基材Bという。)を作製した。
(試験基板のリフロープロファイル)
雰囲気 : 大気
昇温速度 : 2℃/秒
プレヒート : 150℃、60秒間
ピーク温度 : 300℃、60秒間
作製例3
ロジン系ポストフラックス(商品名「パインフラックスWHS−002」、荒川化学工業(株)製)50mgを、JIS2型の櫛形基板(50×50×T1.5mm)の銅パターン上に、軟毛ブラシを用いて均一に塗布し、100℃の乾燥機の中で5分間乾燥させた後、235±5℃の共晶ハンダ浴(錫−鉛合金)に5秒間浸すことによって、ポストフラックスの残渣が付着した基材(以下、基材Cという。)を作製した。
<洗浄及び濯ぎ試験>
実施例1
200mLのビーカーAに調製例1の洗浄剤を200g入れ、スターラーを用いて撹拌しながら65℃に加温した。一方、200mLのビーカーB及びビーカーCに実施例1の濯ぎ液をそれぞれ200g入れ、スターラーを用いて撹拌しながら25℃に加温した。次いで、前記基材Aを、ビーカーA、ビーカーB及びビーカーCの順にそれぞれ10分間浸漬し、該基材Aを取り出し、80℃の循風乾燥機の中で10分間乾燥させた。また、同様の手順に従い、前記基材B及び基材Cについても洗浄、濯ぎ及び乾燥を行った。
(基材A、B及びCの評価方法、及び評価基準)
フラックス及びポストフラックスの洗浄性は、光学顕微鏡を用いた目視検査により除去率を求めることで判定した。尚、フラックス、及びポストフラックスの洗浄性の判定基準は下記の通りである。結果を表1に示す。
除去率(%)=(1−洗浄後のフラックス付着面積/洗浄前のフラックス付着面積)×100
◎ : 除去率95%以上
○ : 除去率85%以上、かつ95%未満
△ : 除去率75%以上、かつ85%未満
× : 除去率75%未満
<濯ぎ廃液の蒸留>
実施例1において、ビーカーCから基材Aを取り出した残りの廃液を200mlのナス型フラスコに入れた。次いで、該ナス型フラスコにト字管、温度計及びリービッヒ冷却器を取り付、これをオイルバスに浸し、1気圧の下、該廃液を加熱して沸騰させた。そして、初留区分を20g、中留区分を20gずつ計3回、及び後留区分約20g未満をそれぞれ採取した。そして、各蒸留区分における(a1)成分及び(a2)成分の比率をデジタル濃度計PR−201α((株)アタゴ製)で測定した結果、各区分における組成比は略一定であり(誤差0.1〜0.8%以内)、また、濯ぎ液(原液)における(a1)成分及び(a2)成分の比率と殆ど相違しないことが解った(誤差0.1〜0.8%以内)なお、いずれの留分においても(a3)成分及び(a4)成分は測定されなかった。以上より、実施例1に係る濯ぎ液は、濯ぎ後の廃液が蒸留再生に適すると考えられた。
調製例2〜52
(a1)成分、(a2)成分、(a3)成分及び(a4)成分として表1〜4に示すものを用いた他は調製例1と同様にして、実施例態様の洗浄剤及び濯ぎ液を調製した。次いで、各洗浄剤を用いて前記洗浄試験及び濯ぎ試験を実施した。次いで、各濯ぎ液の廃液について前記同様にして蒸留試験を実施し、各蒸留区分における(a1)成分及び(a2)成分の比率を測定した結果、どの濯ぎ液も、その廃液が蒸留再生に適することが解った。
Figure 0006650100
(a1)成分
MEDG:ジエチレングリコールエチルメチルエーテル(C2H5O-(CH2CH2O)2-CH3
(a3)成分
EA:エタノールアミン
TEA:トリエタノールアミン
MEM:N−エチルエタノールアミン(C2H5-NH-CH2CH2-OH)
MBM:N,N−ブチルエタノールアミン(C4H9-NH-CH2CH2-OH)
MED:N−エチルジエタノールアミン(C4H9-N(CH2CH2OH)2)
MBD:N,N−ブチルジエタノールアミン(CH3)3C-N(CH2CH2OH)2
(a4)成分
A212C:ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル(商品名「プライサーフA212C」、第一工業製薬(株)、酸価100〜120mgKOH/g)
A215C:ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル(商品名「プライサーフA215C」、第一工業製薬(株)、酸価80〜95mgKOH/g)
ET−115;ポリオキシエチレンアルキルエーテル(商品名「ノイゲンET−115」、第一工業製薬(株))
ET−135;ポリオキシエチレンアルキルエーテル(商品名「ノイゲンET−135」、第一工業製薬(株))
Figure 0006650100
(a1)成分
DEDG:ジエチレングリコールジエチルエーテル(C2H5O-(CH2CH2O)2-C2H5
Figure 0006650100
(a1)成分
IPDM:ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル(isoC3H7O-(CH2CH2O)2-CH3
Figure 0006650100
(a1)成分
MTPOM:トリプロピレングリコールジメチルエーテル(CH3O-(CH2CH(CH3)O)3-CH3
調製例52〜57
(a1)成分以外の溶剤((a1’)成分)、(a2)成分及び(a3)成分として表5に示すものを用いた他は調製例1と同様にして、比較例態様の洗浄剤及び濯ぎ液を調製した。次いで、各洗浄剤を用いて前記洗浄試験及び濯ぎ試験を実施した結果、表5で示すように不良であった。次いで、各濯ぎ液の廃液について前記同様にして蒸留試験を実施し、各蒸留区分における(a1’)成分及び(a2)成分の比率を測定した結果、各区分における組成比は誤差0.1〜0.8%以内で一定しており、また、いずれの留分においても(a3)成分及び(a4)成分は測定されなかった。
調製例58〜60
(a1)成分以外の溶剤((a1’)成分)、(a2)成分及び(a3)成分として表5に示すものを用いた他は調製例1と同様にして、比較例態様の洗浄剤及び濯ぎ液を調製した。次いで、各洗浄剤を用いて前記洗浄試験を用いて前記洗浄試験及び濯ぎ試験を実施したが、洗浄及び濯ぎ試験は良好であったものの、蒸留再生した濯ぎ液が水とベンジルアルコールに分離した。
Figure 0006650100
(a1’)成分
MFDG:メチルプロピレンジグリコール(CH3O-(CH2CH(CH3)O)2-H)
MMB:3−メチル3−メトキシブタノール(CH3O-C(CH3)2C2H4OH)
BzA:ベンジルアルコール
1 濯ぎ・再生装置
2 洗浄機構
3 濯ぎ・再生機構
4 洗浄剤
5 濯ぎ液
20A 流路
20B 循環路
20C 供給路
21A 洗浄液槽
21B 第1濯ぎ液槽
21C 第2濯ぎ液槽
22 超音波振動子
30A 戻り流路
31 気化器
32 凝縮器
33 熱源
34 充填物
35 分離促進器
V1 流量調整バルブ
V2 流量調整バルブ
V3 流量調整バルブ
P1 圧送ポンプ

Claims (5)

  1. [1]:工業汚れが付着した物品を、一般式(1):R1−O−[CH2−CH(X)−O]n−R2(式(1)中、R1及びR2はいずれも同一又は異なっていてよい炭素数1〜3のアルキル基を、Xは水素又はメチル基を、nは2又は3を示す。)で表されかつ常圧下の沸点が160〜230℃のグリコール系溶剤(a1)、水(a2)、並びに該(a1)成分及び(a2)成分と常圧下で共沸しないアミン系化合物(a3)を含む非共沸性洗浄剤(A1)で洗浄する工程と、
    [2]:該工程[1]で洗浄された当該物品を、前記(a1)成分及び前記(a2)成分を含み、(a1)成分及び(a2)成分の比率が順に5〜35重量%及び65〜95重量%であり、かつ前記(a3)成分を実質的に含まない常圧下の共沸点が90〜100℃の共沸性濯ぎ液(A2)で濯ぐ工程と、
    [3]:該工程[2]で生ずる廃液のみを蒸留することにより前記共沸濯ぎ液(A2)を再生する工程と、
    を含む、物品の洗浄及び濯ぎ方法。
  2. 前記(a3)成分がN−アルキルアルカノールアミン類及び/又はN−アルキルジアルカノールアミン類である、請求項1の方法。
  3. 前記(A1)成分における(a1)成分、(a2)成分及び(a3)成分の比率が順に10〜90重量%、5〜80重量%及び0.1〜5重量%である、請求項1又は2の方法。
  4. 前記工業汚れが、ハンダ付用フラックス、ソルダペースト、フラックス残渣及び工業油からなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれかの方法。
  5. 工業汚れが付着した物品を、一般式(1):R1−O−[CH2−CH(X)−O]n−R2(式(1)中、R1及びR2はいずれも同一又は異なっていてよい炭素数1〜3のアルキル基を、Xは水素又はメチル基を、nは2又は3を示す。)で表されかつ常圧下の沸点が160〜230℃のグリコール系溶剤(a1)、水(a2)、並びに該(a1)成分及び(a2)成分と常圧下で共沸しないアミン系化合物(a3)を含む非共沸性洗浄剤(A1)で洗浄する洗浄機構と、
    該洗浄機構で洗浄された物品を、前記(a1)成分及び前記(a2)成分を含み、(a1)成分及び(a2)成分の比率が順に5〜35重量%及び65〜95重量%であり、かつ前記(a3)成分を実質的に含まない常圧下の共沸点が90〜100℃の共沸性濯ぎ液(A2)で濯ぐ機構と、
    該濯ぎ機構で生ずる廃液のみを蒸留することにより(A2)成分を再生する機構と、
    前記濯ぎ機構で生ずる廃液のみを前記再生機構に供給する供給路と、
    前記再生機構で再生された(A2)成分を前記濯ぎ機構に戻す戻り流路と、
    を備え、
    前記再生機構は、前記濯ぎ機構で生ずる廃液のみを気化させることにより、工業汚れ並びに(a3)成分が実質的に除去された(A2)成分を得る気化器を含む、
    物品の洗浄及び濯ぎ装置。
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