以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、画像形成装置としてのプリンタについて説明する。
図2は本発明の実施の形態におけるプリンタの概念図である。
図において、11はプリンタ、Pは該プリンタ11の本体、すなわち、装置本体内を搬送される媒体としての用紙であり、前記プリンタ11は、パソコン等の後述される上位装置としてのホストコンピュータ10(図1)から送信された印刷データに基づいて画像データを生成し、該画像データに従って用紙Pに画像を形成することにより印刷の動作を行ったり、原稿の画像を読み取り、読取データを生成し、該読取データに基づいて画像データを生成し、該画像データに従って用紙Pに画像を形成することにより複写の動作を行ったりする。
そのために、前記装置本体の上部に、原稿の画像を読み取る読取部Pt1が、装置本体の中央部に、用紙Pに画像を形成する記録部Pt2が、装置本体の下部に、記録部Pt2に用紙Pを供給する給紙部Pt3が配設される。読取部Pt1は、プリンタ11の筐体Cs上に、記録部Pt2及び給紙部Pt3は筐体Cs内に配設される。そして、読取部Pt1に情報読取器としてのカードリーダ21が配設される。
前記給紙部Pt3には、図示されない紙管に用紙Pを巻回させて形成されたロール紙64がセットされる。そして、紙管の両端にフランジ65が固定され、該フランジ65が、所定の間隔を置いて回転自在に配設されたコロ66、67上に載置される。
また、前記給紙部Pt3には、ロール紙64と隣接させて、第1の搬送ローラ対68が回転自在に配設され、搬送用の駆動部としての図示されない搬送用モータが駆動されて第1の搬送ローラ対68が回転させられると、ロール紙64から用紙Pが媒体搬送路Rtに引き出され、搬送される。
前記第1の搬送ローラ対68は、駆動ローラ及びピンチローラから成り、ピンチローラは、駆動ローラに押圧され、駆動ローラの回転に伴って回転させられる。用紙Pは、駆動ローラ及びピンチローラによって挟まれて搬送され、記録部Pt2に供給される。本実施の形態においては、媒体として用紙Pが使用されるようになっているが、用紙Pに代えて、薄いシート状の樹脂を使用することができる。
前記記録部Pt2には、用紙Pの搬送方向における第1の搬送ローラ対68より下流側に、カッタ装置70が配設され、該カッタ装置70によって用紙Pがカットされる。
また、用紙Pの搬送方向におけるカッタ装置70より下流側に、第2の搬送ローラ対71が、該第2の搬送ローラ対71より下流側に、第3の搬送ローラ対72が回転自在に配設され、前記搬送用モータが駆動され、第2、第3の搬送ローラ対71、72が回転させられるのに伴って、用紙Pは媒体搬送路Rtを更に搬送される。なお、第2、第3の搬送ローラ対71、72は、第1のローラ対68と同様にそれぞれ駆動ローラ及びピンチローラから成り、用紙Pは、駆動ローラ及びピンチローラによって挟まれて搬送され、画像形成部Qに供給される。
該画像形成部Qにおいては、像担持体としての感光体ドラム50が矢印方向に回転自在に配設され、該感光体ドラム50と対向させて、かつ、感光体ドラム50の回転方向に沿って、帯電装置としての帯電器51、露光装置としてのLEDヘッド52、現像装置としての現像器53、転写部材としての転写ローラ54、分離部55、クリーニング装置56及び除電器57が配設される。なお、前記現像器53は、現像剤としての図示されないトナーを収容する現像剤収容部としてのトナーカートリッジ58、及び感光体ドラム50に当接させて回転自在に配設された現像剤担持体としての現像ローラ59を備える。
したがって、画像形成部Qにおいては、帯電器51によって感光体ドラム50の表面が一様に帯電させられて、電荷のチャージが行われ、LEDヘッド52によって感光体ドラム50の表面が露光されて潜像としての静電潜像が形成され、現像ローラ59によって静電潜像が現像されて、現像剤像としてのトナー像が形成される。
そして、前記給紙部Pt3から供給された用紙Pは、静電気力によって感光体ドラム50に張り付き、背面から転写ローラ54による転写バイアス及び押圧力を受けて、感光体ドラム50上のトナー像が転写される。
トナー像が転写された用紙Pは、分離部55による分離バイアスを受けて感光体ドラム50から引き剥がされる。
また、トナー像が転写された後の感光体ドラム50の表面には、トナーがわずかに残留するが、残留したトナーは、クリーニング装置56に配設されたクリーニング部材としての図示されないゴム製のクリーニングブレードによって掻き取られ、除去され、クリーニング装置56内に収容される。前記クリーニングブレードは、感光体ドラム50の表面に適正な圧力で当接させられ、クリーニングブレードによって残留したトナーが除去された後の感光体ドラム50の表面は、除電器57によって除電され、リフレッシュされる。
なお、印刷データを編集することによって生成された画像データは、後述される印刷制御部20(図1)に配設されたRIPコントローラ基板によってラスタライズされて、LEDヘッド52に供給される。
そして、前記記録部Pt2において、用紙Pの搬送方向における画像形成部Qより下流側に、搬送ベルト装置60が配設され、該搬送ベルト装置60より下流側に定着装置としての定着器61が配設され、該定着器61より下流側に、排出ローラ対62が回転自在に配設される。
前記搬送ベルト装置60は、回転自在に配設された駆動ローラR1及び従動ローラR2、駆動ローラR1と従動ローラR2との間に走行自在に張設された搬送ベルトBt、並びに搬送ベルトBt内に配設された用紙吸引用の図示されないファンを備え、用紙Pは、搬送ベルトBtの走行に伴って、搬送ベルトBtに形成された吸引孔によって吸引されて搬送され、定着器61に供給される。
該定着器61は、回転自在に配設された第1の定着部材としての定着ローラ61a、及び該定着ローラ61aに押し付けて回転自在に配設された第2の定着部材としての加圧ローラ61bを備え、用紙Pが定着ローラ61aと加圧ローラ61bとの間を通過する間に、用紙P上のトナー像が加熱され、加圧されて用紙Pに定着させられ、用紙Pに画像が形成される。
このようにして画像が形成された用紙Pは、排出ローラ対62によって装置本体外に排出される。なお、排出ローラ対62は排紙ローラ及び従動ローラを備え、用紙Pは排紙ローラ及び従動ローラによって挟まれて排出される。
また、前記読取部Pt1は、原稿の画像を読み取る読取センサ73、原稿を矢印方向に搬送し、読取センサ73に供給する原稿搬送ローラ対74等を備え、読取センサ73及び原稿搬送ローラ対74によってスキャナが構成される。
原稿搬送ローラ対74によって搬送された原稿は読取センサ73に送られ、読取センサ73によって、原稿の画像が読み取られ、読取データが生成される。該読取データに基づいて印刷ジョブのデータが生成され、印刷ジョブのデータは、プリンタ11の後述されるHDD19(図1)に記録され、その後、LEDヘッド52に送られる。そして、該LEDヘッド52によって、感光体ドラム50の表面にイメージが反転された静電潜像が形成される。
次に、前記プリンタ11の制御装置について説明する。
図1は本発明の実施の形態におけるプリンタの制御ブロック図である。
図において、10はホストコンピュータ、11はプリンタであり、ホストコンピュータ10とプリンタ11とは、有線又は無線のネットワークNtを介して接続され、画像形成システムを構成する。
プリンタ11は、インタフェース(I/F)13、制御部14、操作・表示部としての操作パネル15、読取制御部16、第1の記憶装置としてのROM17、第2の記憶装置としてのRAM18、第3の記憶装置としてのHDD19、印刷制御部20、カードリーダ21等を有する。
前記インタフェース13は、ホストコンピュータ10との間で送受信を行い、例えば、ホストコンピュータ10から印刷データ、制御コマンド等を受信したり、プリンタ11のステータス信号をホストコンピュータ10に送信したりする。
前記制御部14は、図示されないCPU等の演算装置を備え、ROM17に記録されているプログラムに従って、プリンタ11の全体の制御、演算等を行う。そのために、制御部14は、インタフェース13、操作パネル15、読取制御部16、ROM17、RAM18、HDD19、印刷制御部20、カードリーダ21等と接続される。
前記操作パネル15は、キー、ボタン等から成る操作部、及びLED、液晶画面等から成る表示部を備える。ユーザは、操作部を操作することによって、プリンタ11への指示を入力したり、各種の設定値を入力したりすることができ、表示部に表示された各種の情報を取得することができる。本実施の形態においては、操作パネル15がタッチパネルによって形成され、ユーザはタッチパネルの所定の箇所にタッチすることによって入力を行うことができる。
前記読取制御部16は、前記読取部Pt1(図2)の制御を行い、原稿の画像を読み取り、読取データを生成する。
前記ROM17には、前記プログラムが記録されるほかに、プリンタ11の初期値、設定値等のデータが記録される。
前記RAM18は、制御部14のワークエリアとして、かつ、各種のデータを一時的に記録するバッファとして利用される。
前記HDD19は、ホストコンピュータ10から送信された印刷データ、制御コマンド等のほかに、印刷データに基づいて生成された印刷ジョブ、該印刷ジョブ自体のデータを編集することによって生成された画像データ等を記録するための第1の記憶部としての印刷ジョブ用の記憶部を備える。印刷ジョブには、ユーザの名称を表すユーザ名、印刷ジョブ自体のデータ等のほかに、印刷物のページ数、印刷部数、ファイルの名称を表すファイル名等が含まれる。また、印刷データと共にホストコンピュータ10から送信された印刷データのユーザ名、ファイル名等が、印刷ジョブの関連情報として印刷ジョブ用の記憶部に記録される。さらに、読取部Pt1から送られた読取データに基づいて生成された印刷ジョブ、該印刷ジョブ自体のデータを編集することによって生成された画像データ等も同様に印刷ジョブ用の記憶部に記録される。
そして、HDD19に記録された複数の印刷ジョブは制御部14によって管理される。
また、HDD19は、ICカード、磁気カード等の情報記憶媒体としてのカード、本実施の形態においては、ICカードを、ユーザに対応させて登録したり、管理したりするために第2の記憶部としての記憶媒体用の記憶部を備える。該記憶媒体用の記憶部には、ICカードの媒体識別情報としてのIDと、ユーザ名と、ICカードごとにユーザによって設定されたプリンタ11における処理(モード)とが対応させて記録される。本実施の形態においては、プリンタ11における処理として、ユーザのすべての印刷ジョブについて印刷を行う全印刷モード、及びユーザのすべての印刷ジョブのうちの選択された印刷ジョブについて印刷を行う選択印刷モードの二つの印刷モードがユーザよって選択され、設定される。
前記印刷制御部20は、記録部Pt2及び給紙部Pt3の制御を行い、印刷ジョブのデータを編集することによって生成された画像データに基づいて用紙Pに画像を形成する。
次に、カードリーダ21について説明する。
図3は本発明の実施の形態におけるカードリーダ及びカードリーダに使用されるカードの種類を説明するための図である。
カードリーダ21は、仕様の異なる種々のカードCdi(i=1、2、…)のデータの読取り及び書込みを行うことができる。
例えば、カードCd1は、ISO/IEC 18092として設定・標準化されたNFC(Near Field Communication) の近距離無線通信規格のカードであり、カードCd2は、ISO/IEC 14443 Type Bとして設定・標準化された近距離無線通信規格のカードであり、カードCd3は、ISO/IEC 15693として設定・標準化された近距離無線通信規格のカードである。
本実施の形態においては、各ユーザが所有する、社員証、バス、鉄道等の定期券、マネーカード等の形態を有するICカードを、カードリーダ21にかざすことによって認識させ、ユーザに対応させてICカードを登録したり、ICカードを使用して、プリンタ11に設定された処理を行ったりするようにしている。
ところで、前述されたように、HDD19には、ホストコンピュータ10から送信された印刷データに基づいて生成された印刷ジョブ、読取部Pt1から送られた読取データに基づいて生成された印刷ジョブ等が記録されるようになっていて、各ユーザは、操作パネル15に形成された後述される第1のジョブ一覧画面ds1(図4)によって、HDD19に記録された印刷ジョブを確認することができる。
図4は本発明の実施の形態における第1のジョブ一覧画面の例を示す図である。
図において、ds1は操作パネル15の表示部に形成される第1のジョブ一覧画面であり、該第1のジョブ一覧画面ds1は、ユーザが、例えば、表示部に形成されたメニュー画面において、ジョブ一覧を選択することによって形成される。
前記第1のジョブ一覧画面ds1の表示領域Ar1に、HDD19(図1)に記録された印刷ジョブの一覧が、ユーザ名、ページ数及び印刷部数によって表示され、ユーザは、所定の印刷ジョブにタッチすることによって、該印刷ジョブを選択することができる。
また、Fr1は印刷ジョブの一覧において所定の印刷ジョブが選択されていることを表す選択枠であり、図においては、ユーザDによって、ユーザDの印刷ジョブが選択されている。
そして、第1のジョブ一覧画面ds1において、前記表示領域Ar1の下方に隣接させて、第1の選択情報表示部としての選択ファイル名表示部Br1が形成され、該選択ファイル名表示部Br1に、選択枠Fr1において選択された印刷ジョブのファイル名、この場合、aaaが表示される。
なお、Cu1は、表示領域Ar1に表示された印刷ジョブ以外の印刷ジョブを表示領域Ar1に表示するための操作要素としてのカーソルであり、ユーザがカーソルCu1にタッチすると、表示領域Ar1がスクロール表示される。
また、m1は、各印刷ジョブのユーザに対応させて登録されたICカードの登録状況、本実施の形態においては、ユーザに対応させて1枚以上のICカードが登録されていることを表す標章としてのマークである。ユーザに対応させて1枚以上のICカードが登録されている場合、ユーザ名に隣接する箇所にマークm1が表示される。この場合、ユーザA、Bに対応させて1枚以上のICカードが登録されていて、ユーザDに対応させてICカードは登録されていない。
また、前記第1のジョブ一覧画面ds1において、bt1は、選択枠Fr1において選択されている印刷ジョブについて印刷を行うための印刷指示用の操作要素としての「プリント」ボタンであり、ユーザDが「プリント」ボタンbt1にタッチすると、選択枠Fr1において選択された印刷ジョブについて、ファイル名がaaaで、ページ数が2にされ、印刷部数が1にされたファイルの印刷が行われる。
そして、bt2は、表示部の画面を、第1のジョブ一覧画面ds1から一つ前の画面に移行させるための操作要素としての「戻る」ボタン、bt3は、印刷ジョブの一覧から、選択枠Fr1において選択されている印刷ジョブを削除するための削除用の操作要素としての「削除」ボタンであり、ユーザDが「削除」ボタンbt3にタッチすると、ファイル名がaaaのファイルの印刷ジョブが削除される。
さらに、bt4は、第1のジョブ一覧画面ds1に表示された印刷ジョブのユーザに対応させてICカードを登録する際にタッチされる登録用の操作要素としての「登録」ボタンである。例えば、選択枠Fr1において印刷ジョブを選択したユーザ、この場合、ユーザDが「登録」ボタンbt4にタッチすると、第1のジョブ一覧画面ds1に、ICカードをカードリーダ21にかざすように要求するメッセージが表示され、ユーザDがICカードをカードリーダ21にかざし、ICカードがカードリーダ21によって認識されると、ユーザDに対応させてICカードが登録される。
また、第1のジョブ一覧画面ds1が形成されているときに、所定のユーザがICカードをカードリーダ21にかざし、カードリーダ21がICカードを認識すると、ICカードに対応するユーザが選択され、プリンタ11に設定された印刷モードに従って、ユーザの印刷ジョブについて印刷が行われる。
図5は本発明の実施の形態におけるユーザ一覧画面の例を示す図である。
図において、ds2はユーザ一覧画面であり、該ユーザ一覧画面ds2は、ユーザが、例えば、表示部に形成されたメニュー画面において、ユーザ一覧を選択するか、又は前記第1のジョブ一覧画面ds1において、選択枠Fr1において印刷ジョブを選択したユーザではないユーザが「登録」ボタンbt4にタッチした場合に形成される。
前記ユーザ一覧画面ds2の表示領域Ar2には、HDD19(図1)に記録された印刷ジョブのユーザの一覧がユーザ名によって表示され、各ユーザは、所定のユーザにタッチすることによって、該所定のユーザを選択することができる。前記表示領域Ar2において、Fr2はユーザの一覧において所定のユーザが選択されていることを表す選択枠であり、図においては、ユーザAのユーザが選択されている。
また、前記ユーザ一覧画面ds2において、前記表示領域Ar2の下方に隣接させて、第2の選択情報表示部としての選択ユーザ名表示部Br2が形成され、該選択ユーザ名表示部Br2に、選択枠Fr2において選択されているユーザ名、この場合、ユーザAが表示される。
また、m2は、ユーザに対するICカードの登録状態、本実施の形態においては、ユーザに対応させて1枚以上のICカードが登録されていることを表す標章としてのマークである。ユーザに対応させて1枚以上のICカードが登録されている場合、ユーザ名に隣接する箇所にマークm2が表示される。表示領域Ar2においては、ユーザA〜Cに対応させて1枚以上のICカードが登録されていて、ユーザDに対応させてICカードは登録されていない。
そして、ユーザ一覧画面ds2において、bt5は、ユーザに対応させてICカードを登録するための登録用の操作要素としての「登録」ボタンである。
また、ユーザ一覧画面ds2の表示領域Ar2の下方に、ICカードを登録するときに、印刷モードを設定するための印刷指示領域Eが形成され、該印刷指示領域Eに、第1の印刷指示用の操作要素としての「全印刷」ボタンbt6、及び第2の印刷指示用の操作要素としての「選択印刷」ボタンbt7が形成される。「全印刷」ボタンbt6はカードリーダ21にかざされたICカードによって決まるユーザの印刷ジョブについて全印刷モードを設定するためのものであり、「選択印刷」ボタンbt7はICカードによって決まるユーザの印刷ジョブについて選択印刷モードを設定するためのものである。
したがって、前記ユーザ一覧画面ds2において、所定のユーザが「登録」ボタンbt5にタッチし、「全印刷」ボタンbt6にタッチして、ICカードをカードリーダ21にかざし、カードリーダ21がICカードを認識すると、制御部14は、記録媒体用の記憶部に、ICカードのID、ユーザ名、及び全印刷モードを記録し、ユーザが「登録」ボタンbt5にタッチし、「選択印刷」ボタンbt7にタッチして、ICカードをカードリーダ21にかざし、カードリーダ21がICカードを認識すると、制御部14は、記録媒体用の記憶部に、ICカードのID、ユーザ名、及び選択印刷モードを記録する。
このように、ユーザに対応させてICカードを登録する際に、プリンタ11の印刷モードを設定することができるので、ユーザは、ICカードを使用して、容易に、ユーザのすべての印刷ジョブについて印刷を行ったり、ユーザのすべての印刷ジョブのうちの選択した印刷ジョブについて印刷を行ったりすることができる。
なお、ユーザが「全印刷」ボタンbt6又は「選択印刷」ボタンbt7にタッチすると、タッチしたボタンの色が変化させられる。
また、本実施の形態においては、ユーザが、第1のジョブ一覧画面ds1に表示された印刷ジョブの一覧において所定の印刷ジョブにタッチし、「登録」ボタンbt4にタッチするか、又は第1のジョブ一覧画面ds1に表示された印刷ジョブの一覧において所定のユーザにタッチし、「登録」ボタンbt4にタッチするかの二つの方法でユーザを選択することができるので、ユーザに対応させてICカードを登録するための作業を簡素化することができる。
次に、HDD19の記憶媒体用の記憶部に記録されたICカードの登録内容について説明する。
図6は本発明の実施の形態におけるICカードの登録内容の例を示す図である。
HDD19の記憶媒体用の記憶部には、ICカードのID(図においてはカードA〜H)、ユーザ名、及びプリンタ11における処理が、各エリアに分けて互いに対応させて記録される。プリンタ11における処理において、0は全印刷モードが設定されていることを、1は選択印刷モードが設定されていることを表す。
したがって、制御部14は、HDD19の記憶媒体用の記憶部を参照して、ICカードのIDに基づいて、ユーザ名及びプリンタ11における処理を検索することができる。
そして、各ユーザに対応させて複数のICカードを登録することができ、この場合、ユーザAに対応させて、4枚のカードA、E、G、Hが登録されている。また、各ICカードに対応させて、一人のユーザ及び一つの処理だけが登録される。
すなわち、ユーザは、複数のICカードを登録することによって、印刷ジョブ及びプリンタ11における処理を使い分けることができる。また、1枚のICカードに障害が発生したときに、他のICカードを利用してプリンタ11を使用することができる。
次に、HDD19に記録された印刷ジョブの記録内容について説明する。
図7は本発明の実施の形態における印刷ジョブの記録内容の例を示す図である。
HHD19には、図に示されるような印刷ジョブが、印刷の依頼の順番を示す番号(図においては1〜9)が付され、印刷ジョブの一覧として記録される。
各印刷ジョブは、印刷ジョブのユーザ名(図においてはユーザA〜D)、印刷ジョブ自体のデータ(図においてはデータA〜I)、ページ数、印刷部数及び印刷ジョブのファイル名から成り、印刷ジョブの番号と共に、それぞれHDD19の印刷ジョブ用の記憶部の各エリアに分けて互いに対応させて記録される。
そして、前述されたように、第1のジョブ一覧画面ds1(図4)において、ユーザが「プリント」ボタンbt1にタッチしたり、ユーザ一覧画面ds2(図5)が形成されているときに、ICカードをカードリーダ21にかざしたりした場合に、所定の印刷ジョブについて印刷が行われる。すなわち、制御部14は、HDD19を参照し、印刷ジョブの一覧からユーザの印刷ジョブを検索し、印刷ジョブについての印刷を行う。
本実施の形態においては、ユーザが、ホストコンピュータ10において、印刷するファイルを指定して印刷データ及び印刷の指示をプリンタ11に送信すると、制御部14は、指定されたファイルの印刷データに基づいて印刷ジョブを生成し、HDD19に記録する。なお、この場合、ユーザ名は、ユーザがホストコンピュータ10にログインするときに使用したユーザ名にされる。
また、ユーザが読取部Pt1に原稿をセットすると、読取部Pt1によって原稿の画像が読み取られ、読取データが生成され、制御部14は、読取データに基づいて印刷ジョブを生成し、HDD19に記録する。
なお、印刷ジョブは、作成された順に番号が付与されて記録され、印刷が終了すると、HDD19から削除される。
次に、プリンタ11に全印刷モードが設定されているときに表示部に形成される第2のジョブ一覧画面について説明する。
図8は本発明の実施の形態における第2のジョブ一覧画面の例を示す図である。
図において、ds3は第2のジョブ一覧画面であり、該第2のジョブ一覧画面ds3は、プリンタ11に全印刷モードが設定されていて、かつ、表示部にユーザ一覧画面ds2(図5)が形成されているときに、ICカードがカードリーダ21にかざされ、カードリーダ21がICカードを認識した場合に形成され、第2のジョブ一覧画面ds3の表示領域Ar3にユーザのすべての印刷ジョブの一覧が表示されるとともに、ユーザのすべての印刷ジョブについて印刷が行われる。
例えば、ユーザCがカードFをカードリーダ21にかざし、カードリーダ21がカードFを認識したときに、ユーザCのすべての印刷ジョブの一覧が表示領域Ar3に表示される。なお、ユーザCの印刷ジョブのデータは、図7に示されるように、データF及びHであるので、表示領域Ar3には、ユーザ名であるユーザCとデータF及びHのページ数及び印刷部数とが対応させて表示され、ユーザCのすべての印刷ジョブについて印刷が行われる。
そして、表示領域Ar3に表示された各印刷ジョブに付されたボックスq1、q2がいずれも黒く塗りつぶされ、第2のジョブ一覧画面ds3に形成された操作要素としての「プリント」ボタンbt8の色が変化させられる。なお、第2のジョブ一覧画面ds3において、bt9は、表示部の画面を、第2のジョブ一覧画面ds3から一つ前の画面に移行させるための操作要素としての「戻る」ボタンである。
次に、プリンタ11に選択印刷モードが設定されているときに表示部に形成される第3のジョブ一覧画面について説明する。
図9は本発明の実施の形態における第3のジョブ一覧画面の例を示す図である。
図において、ds4は第3のジョブ一覧画面であり、該第3のジョブ一覧画面ds4は、プリンタ11に選択印刷モードが設定されていて、かつ、表示部にユーザ一覧画面ds2(図5)が形成されているときに、ICカードがカードリーダ21にかざされ、カードリーダ21がICカードを認識した場合に形成され、第3のジョブ一覧画面ds4の表示領域Ar4に、ユーザのすべての印刷ジョブの一覧が表示される。
例えば、ユーザCがカードCをカードリーダ21にかざし、カードリーダ21がカードCを認識したときに、ユーザCのすべての印刷ジョブの一覧が表示領域Ar4に表示される。
そして、ユーザCが、印刷ジョブの一覧において所定の印刷ジョブ、例えば、データHの印刷ジョブを選択し、第3のジョブ一覧画面ds4に形成された操作要素としての「プリント」ボタンbt10にタッチすると、データHの印刷ジョブについて印刷が行われる。
そして、表示領域Ar4に表示された印刷ジョブに付されたボックスq3、q4のうちのボックスq4が黒く塗りつぶされる。なお、第3のジョブ一覧画面ds4において、bt11は、表示部の画面を、第3のジョブ一覧画面ds4から一つ前の画面に移行させるための操作要素としての「戻る」ボタンである。
そして、黒く塗りつぶされていないボックスq3の印刷ジョブについては、ユーザが「プリント」ボタンbt10にタッチしても、印刷が行われることはない。
次に、印刷ジョブについて印刷を行うときのプリンタ11の動作について説明する。
図10は本発明の実施の形態における印刷ジョブについて印刷を行うときのプリンタの動作を示すフローチャートである。
ユーザが、例えば、表示部に形成されたメニュー画面において印刷ジョブについての印刷メニーを選択すると、制御部14は表示部に第1のジョブ一覧画面ds1(図4)を形成する。
表示部に第1のジョブ一覧画面ds1が形成されているときに、ユーザがICカードをカードリーダ21にかざし、カードリーダ21がICカードを認識すると、制御部14は、ICカードのIDを読み込み、HDD19の記憶媒体用の記憶部を参照し、IDに対応するユーザ名を読み出し、続いて、HDD19の印刷ジョブ用の記憶部を参照し、印刷ジョブ用の記憶部に記録された印刷ジョブにおいて、IDに対応するユーザ名と同じユーザ名の印刷ジョブがあるかどうか、すなわち、ICカードに対応するユーザの印刷ジョブがあるかどうかを判断する。
ICカードに対応するユーザの印刷ジョブがない場合、制御部14は、表示部に、印刷ができない旨のエラー表示を行い、ユーザに通知する。
そして、ICカードに対応するユーザの印刷ジョブがある場合、制御部14は、各印刷ジョブの一覧を第1のジョブ一覧画面ds1の表示領域Ar1に表示する。なお、制御部14は、印刷ジョブ用の記憶部において、表示領域Ar1に表示した各印刷ジョブを容易に識別することができるように、各印刷ジョブにフラグを付けておくことができる。
続いて、制御部14は、ユーザ一覧画面ds2(図5)においてユーザの一覧を表示する。
そして、制御部14は、プリンタ11に全印刷モードが設定されているかどうかを判断する。
プリンタ11に全印刷モードが設定されている場合、制御部14は、表示部に第2のジョブ一覧画面ds3(図8)を形成し、表示領域Ar3に、ICカードに対応するユーザのすべての印刷ジョブを表示し、各印刷ジョブについて印刷を行う。
また、プリンタ11に全印刷モードが設定されておらず、選択印刷モードが設定されている場合、制御部14は、表示部に第3のジョブ一覧画面ds4(図9)を形成し、表示領域Ar4に、ICカードに対応するユーザのすべての印刷ジョブを表示し、ユーザがすべての印刷ジョブのうちの所定の印刷ジョブを選択するのを待機する。ユーザが表示領域Ar4に表示された印刷ジョブのうちの所定の印刷ジョブを選択し、タッチすると、制御部14は、ユーザが選択した印刷ジョブについて印刷を行う。このとき、表示領域Ar4に表示された印刷ジョブに付されたボックスq3、q4のうちの、ユーザが選択した印刷ジョブに付されたボックスが黒く塗りつぶされる。なお、前記印刷ジョブに再びタッチすると、印刷ジョブの選択が解除される。
続いて、ユーザが、第3のジョブ一覧画面ds4に形成された「プリント」ボタンbt10にタッチすると、制御部14はユーザが選択した印刷ジョブについて印刷を行う。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 制御部14はICカードに対応するユーザの印刷ジョブがあるかどうかを判断する。ICカードに対応するユーザの印刷ジョブがある場合はステップS2に進み、ICカードに対応するユーザの印刷ジョブがない場合はステップS3に進む。
ステップS2 制御部14は印刷ジョブの一覧を表示する。
ステップS3 制御部14はエラー表示を行い、処理を終了する。
ステップS4 制御部14はプリンタ11に全印刷モードが設定されているかどうかを判断する。プリンタ11に全印刷モードが設定されている場合はステップS5に進み、プリンタ11に全印刷モードが設定されていない場合はステップS6に進む。
ステップS5 制御部14はICカードに対応するユーザのすべての印刷ジョブについて印刷を行い、処理を終了する。
ステップS6 制御部14はユーザが選択した印刷ジョブについて印刷を行い、処理を終了する。
次に、ICカードに対応させてプリンタ11における処理を登録するときのプリンタ11の動作について説明する。
図11は本発明の実施の形態におけるICカードに対応させてプリンタにおける処理を登録するときのプリンタの動作を示すフローチャートである。
表示部に第1のジョブ一覧画面ds1(図4)が形成されているときに、ユーザが「登録」ボタンbt4にタッチすると、制御部14は、表示部にユーザ一覧画面ds2(図5)を形成し、ユーザ一覧画面ds2の表示領域Ar2に、HDD19(図1)に記録された印刷ジョブのユーザの一覧をユーザ名で表示する。
続いて、ユーザは、表示領域Ar2に表示されたユーザの一覧のうちの所定のユーザにタッチすることによって、ユーザの一覧のうちの所定のユーザを選択する。
次に、ユーザは、ICカードに対応させてプリンタ11における処理を設定するために、印刷指示領域Eの「全印刷」ボタンbt6又は「選択印刷」ボタンbt7にタッチし、プリンタ11に全印刷モード又は選択印刷モードを設定する。
続いて、制御部14は、表示部にメッセージを表示することによって、ユーザに対してICカードをカードリーダ21にかざすよう要求し、ICカードがカードリーダ21にかざされるのを待機する。すなわち、制御部14は、ユーザがICカードを所定の時間内、例えば、10〔秒〕以内にかざし、カードリーダ21によってICカードが認識されたかどうを判断する。
ユーザがICカードを所定の時間内にかざし、カードリーダ21によってICカードが認識された場合、制御部14は、ICカードからIDを読み込み、ID、表示領域Ar2において選択されたユーザのユーザ名、及びユーザが入力したプリンタ11における処理を互いに対応させてHDD19の記憶媒体用の記憶部に記録することによって、ユーザに対応させてICカードを登録する。
ユーザがICカードを所定の時間内にかざさず、カードリーダ21によってICカードが認識されなかった場合、制御部14は、表示部に、ICカードにプリンタ11における処理を登録することができない旨のエラー表示を行い、ユーザに通知する。
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS11 制御部14は表示部にユーザ一覧画面ds2を形成し、ユーザ一覧画面ds2の表示領域Ar2に印刷ジョブのユーザの一覧を表示する。
ステップS12 ユーザはユーザの一覧のうちの所定のユーザを選択する。
ステップS13 ユーザはプリンタ11における処理を設定する。
ステップS14 制御部14はユーザに対してICカードをカードリーダ21にかざすよう要求する。
ステップS15 制御部14はカードリーダ21によってICカードが認識されたかどうを判断する。ICカードが認識された場合はステップS16に進み、ICカードが認識されなかった場合はステップS17に進む。
ステップS16 制御部14はHDD19にICカードのID、ユーザ名及びプリンタ11における処理をそれぞれ対応させて記録し、処理を終了する。
ステップS17 制御部14はエラー表示を行い、処理を終了する。
このように、本実施の形態においては、カードリーダ21によってICカードが認識されたときに、HDD19の印刷ジョブ用の記憶部に記録された印刷ジョブのユーザのうちの所定のユーザに対応させて、ICカードが記憶媒体用の記憶部に登録されるので、プリンタ11の管理者でなくても、ICカードを容易に登録することができる。
また、ユーザは、ICカードを使用して、すなわち、ICカードをカードリーダ21にかざすだけで、印刷ジョブ用の記憶部に記録されたユーザ自身の印刷ジョブについて容易に印刷を行うことができ、印刷を行うための作業を簡素化することができる。しかも、HDD19に、ユーザ識別情報、パスワード等のユーザ情報をあらかじめ登録しておく必要がない。
本実施の形態において、カードリーダ21は、ICカードがかざされたときにICカードを認識するようになっているが、カードリーダ21に形成された図示されない挿入溝にICカードが挿入されたときにICカードを認識するようにすることができる。
また、本実施の形態においては、操作パネル15がタッチパネルによって形成され、ユーザがタッチパネルの所定の箇所にタッチすることによって入力を行うようになっているが、ユーザが操作部としてマウス等を使用し、タッチパネルの所定の箇所をクリックすることによって入力を行うようにすることができる。
前記実施の形態においては、プリンタ11について説明しているが、本発明を複写機、ファクシミリ、電子写真式プリンタ、インクジェットプリンタ等の画像形成装置に適用することができる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。