(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態について、図1から図14を参照して説明する。
図1および図2は、本実施形態に係る防水装置1を建物などの出入口91に設置した状態を示す図である。図1は、出入口91の外側から見た図である。図2は、出入口91の内側から見た図である。図3は、防水装置1の正面図である。図4は、防水装置1の右側面図である。図5は、図3のA−A線における断面図である。防水装置1は、図1および図2に示すように出入口91における支持体50間の開口を防水部材10で塞ぐことで、出入口91の外部92aから内部92bへの浸水を防止する。
以下、本実施形態の説明において、幅方向Aw1とは、図3に示された防水装置1における水平方向をいう。上下方向Av1とは、図3に示された防水装置1における鉛直方向をいう。なお、上下方向Av1には、厳密な鉛直方向に対して多少傾いた方向も含むものする。さらに、上下方向Av1には、設置面90が傾いている場合には、設置面90に対して垂直な方向を含むものとする。厚み方向At1とは、幅方向Aw1および上下方向Av1の各々に対して直交する方向をいう。また、前面側とは、防水装置1の正面図である図3に示された側をいい、防水すべき内部92bに向かう側である。背面側とは、防水装置1の正面図である図3に示された側(前面側)の反対側をいい、侵入してくる水に向かう側である。
防水装置1は、設置面90上に設けられた支持体50に支持される防水部材10と、防水部材10の下端部10bに設けられ、上下方向Av1に弾性変形可能な弾性部材20と、防水部材10に設けられ、弾性部材20に上下方向Av1の力を加えることが可能な押圧部40と、を備える。
図1から図5に示されるように、本実施形態では、防水部材10は幅方向Aw1および上下方向Av1に延びる板状に形成される。防水部材10は、上下方向Av1の端部である上端部10aおよび下端部10bと、幅方向Aw1の端部である右側端部10cおよび左側端部10dと、を有する。上端部10a、下端部10b、右側端部10c、および左側端部10dは背面側に折り曲げられて、それぞれフランジ部分11a、11b、11c、11dが形成される。フランジ部分11a、11c、11dの厚み方向At1の寸法(背面側に延びる寸法)は互いに同一である。フランジ部分11bの厚み方向At1の寸法はフランジ部分11a、11c、11dの厚み方向At1の寸法よりも小さく、フランジ部分11bの先端11baには後述する補強部材35が設けられている。フランジ部分11aには、幅方向Aw1に延びる補助部材12aが固定されている。フランジ部分11bには、幅方向Aw1に延びる補助部材12bが固定されている。フランジ部分11cには、上下方向Av1に延びる補助部材12cが固定されている。フランジ部分11dには、上下方向Av1に延びる補助部材12dが固定されている。補助部材12a、12b、12c、12dには、例えば角管を用いることができる。また、補助部材12a、12b、12c、12dは、例えばリベットを用いて、フランジ部分11a、11b、11c、11dにそれぞれ固定されている。補助部材12a、12c、12dの厚み方向At1の寸法は、それぞれフランジ部分11a、11c、11dの内側に収まる程度の寸法に設定されている。補助部材12bの厚み方向At1の寸法は、フランジ部分11bの厚み方向At1の寸法よりも大きく、補助部材12bはフランジ部分11bから背面側に突出する。なお、補助部材12bは押圧部40として機能する。なお、上述した防水部材10の構成は一例であって、これに限定されない。
防水部材10の材質として、例えばアルミニウムを用いることができる。また、補助部材12a、12b、12c、12dの材質として、防水部材10と同様に、例えばアルミニウムを用いることができる。
弾性部材20は、防水部材10の下端部10bに設けられている。本実施形態では、弾性部材20は、防水部材10の下端部10bに形成されたフランジ部分11bの下側に、防水部材10の幅方向Aw1の全体に渡って設けられている。弾性部材20は、出入口91の通路面などの設置面90と防水部材10との間隙を密閉し、この間隙からの浸水を防止するために設けられている。弾性部材20は、少なくとも上下方向Av1に弾性変形可能である。
本実施形態では、図5に示されるように、弾性部材20は、上部弾性部材20aと、上部弾性部材20aの下側に設けられた下部弾性部材20bと、から構成されている。例えば、上部弾性部材20aの材質としてクロロプレンゴム(CR)を用い、下部弾性部材20bの材質としてエチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)を用いることができる。なお、上述した弾性部材20の構成は一例であり、弾性部材20は単一の弾性部材のみで構成されていてもよいし、複数の弾性部材から構成されていてもよい。
また、本実施形態では、防水部材10の前面10e、すなわち防水部材10の支持体50に対向する面には、弾性部材25が設けられている。弾性部材25は、支持体50と防水部材10との間隙を密閉し、この間隙からの浸水を防止するために設けられている。弾性部材25は、少なくとも厚み方向At1に弾性変形可能である。弾性部材25は、防水部材10の前面10eのうち少なくとも支持体50に当接する範囲、および弾性部材20の前面側の面のうち少なくとも支持体50に当接する範囲に設けられていればよい。本実施形態では、防水部材10の幅方向Aw1の側部である右側部10Rおよび左側部10Lにおける前面10eが、上述した支持体50に当接する範囲を含んでいる。このため、図3に示すように、弾性部材25は、右側部10Rおよび左側部10Lにおける前面10e、および弾性部材20のうち右側部10Rおよび左側部10Lに配置された部分の前面側の面に設けられている。また、弾性変形していない状態における弾性部材25の上下方向Av1の寸法は、弾性部材20が設置された状態の防水部材10の上下方向Av1の寸法と同一である。弾性変形していない状態における弾性部材25の厚み方向At1の寸法は、後述する保持部材60の傾斜部61が係合部材30の傾斜面31aに接触した状態における防水部材10と支持体50との間の距離よりも大きい。よって、傾斜部61が傾斜面31aに接触した状態では、弾性部材25は厚み方向At1に収縮するように弾性変形する。弾性部材25の材質として、例えばクロロプレンゴム(CR)を用いることができる。
押圧部40は、防水部材10に設けられ、弾性部材20に上下方向Av1の力を加えることが可能である。本実施形態では、押圧部40は、防水部材10に取り付けられた補助部材(杆材)12bから構成されている。すなわち、補助部材12bが押圧部40として機能する。図1、図4、および図5に示すように、押圧部40は、上下方向Av1に交差し、上方に開放された押圧面40aを有する。すなわち、本実施形態では、補助部材12bの上面が押圧面40aとして機能する。押圧部40は、係合部材30を保持部材60に係合させて防水部材10を支持体50に支持させる際に、弾性部材20を上下方向Av1に収縮するように弾性変形させる押圧力を加えるために設けられている。例えば、作業者は押圧面40aを手で押したり、足で踏んだりすることによって弾性部材20に上下方向Av1の下向きの押圧力を加える。このため、押圧部40は、防水部材10の上端部10aよりも下方であって、弾性部材20よりも上方の位置に設けられていることが好ましい。また、防水部材10が傾斜した状態にある場合でも、作業者が押圧部40に手や足を掛けやすいように、押圧部40は、上下方向Av1から見たときに、弾性部材20から上下方向Av1に交差する方向(例えば厚み方向At1)に突出する位置に配置されていることが好ましい。
なお、上述したように押圧面40aは上方に開放されている。ここで、押圧面が「上方に開放されている」とは、作業者が例えば自分の手や足などの押圧手段を用いて押圧面に力を加えられるようにするため、押圧面が少なくともその上方に押圧手段を配置できる程度の空間を有することを意味する。例えば、作業者が押圧面40aを手で押圧することを想定すれば、押圧面40aは少なくともその上方に、作業者が押圧面40aに手を掛けて上下方向Av1の下向きの押圧力を加えられるだけの空間を有していればよい。また、作業者が押圧面40aを足で押圧することを想定すれば、押圧面40aは少なくともその上方に、作業者が押圧面40aに足を掛けて上下方向Av1の下向きの押圧力を加えられるだけの空間を有していればよい。
本実施形態では、押圧部40が防水部材10に取り付けられた補助部材12bから構成されているため、防水部材10の厚み方向At1の寸法などに関係なく、防水部材10とは別部材である補助部材12bの寸法を適宜調整することで、押圧面40aの十分な広さを確保することができる。また、防水部材10の剛性に関係なく、補助部材12bの剛性を適宜調整することで、押圧面40aに加えられる押圧力に対して十分な強度を確保することができる。上述した構成のため、本実施形態のように補助部材12bが防水部材10に対して片持ち状態で支持されている場合でも、押圧部40として十分な剛性を有する。また、本実施形態では、補助部材12bは中空の管状に形成されている。このため、補助部材12bの内部に防水部材10に連結するための連結ボルトなどを挿入することができる。
また、本実施形態では、押圧部40は防水部材10の幅方向Aw1の全体に渡って設けられているが、この構成に限られない。例えば、押圧部40は、防水部材10の幅方向Aw1の一部にのみ設けられてもよい。また、押圧部40は厚み方向At1に突出するように設けられているが、突出していなくてもよい。例えば、押圧部40を構成する補助部材12bの厚み方向At1の寸法は、補助部材12a、12c、12dの厚み方向At1の寸法と同一またはこの寸法より小さくてもよい。また、防水部材10に補助部材12bを設けずに、フランジ部分11bを、その上面を押圧面40aとする押圧部40としてもよい。
防水装置1は、弾性部材20よりも高い剛性を有し、上下方向Av1に弾性部材20に沿って配置された補強部材35をさらに備えてもよい。補強部材35は、弾性部材20の過度な弾性変形と、この弾性変形による座屈を防止するために設けられている。図5に示すように、本実施形態では、補強部材35は、防水部材10のフランジ部分11bと一体に形成され、フランジ部分11bの先端11baから上下方向Av1の下向きに弾性部材20に沿って延びている。よって、補強部材35の材質として、防水部材10と同様に、例えばアルミニウムを用いることができる。なお、補強部材35は、必ずしもフランジ部分11bと一体に形成されなくてもよい。また、補強部材35の下端35bは、弾性部材20が弾性変形していない状態において弾性部材20の上下方向Av1における中間位置よりも下方に位置する。これにより、座屈などが起こりやすい弾性部材20の上下方向Av1における中間位置の近傍を確実に補強することができる。
補強部材35と弾性部材20との間に隙間がなく、補強部材35が弾性部材20と接触している場合には、弾性部材20は弾性変形の当初から上下方向Av1に沿って補強部材35に拘束されることになる。このため、弾性部材20の上下方向Av1の弾性変形に伴って起こる側方(厚み方向At1)への変形が抑制され、結果として上下方向Av1の弾性変形自体がしにくくなる。このため、補強部材35は、弾性部材20から上下方向Av1に交差する方向(例えば厚み方向At1)に離間して設けられていることが好ましい。補強部材35と弾性部材20との間に隙間を設けることで、弾性部材20は上下方向Av1の弾性変形とこれに伴う側方への弾性変形を適正に行うことができる。同時に、弾性部材20における座屈などによる著しい変形に対しては、弾性部材20から離間して設けられた補強部材35で弾性部材20を拘束することにより、抑制することができる。
また、防水部材10は、防水部材10の下端部10bよりも上方に設けられた係合部材(係合部)30を有し、係合部材30が支持体50に設けられた保持部材(被係合部)60と係合することによって、弾性部材20が上下方向Av1に弾性変形した状態が維持されてもよい。
図6は、防水部材10の係合部材30を拡大して示す図である。本実施形態では、図6に示すように、係合部材30は、防水部材10の上端部10aに設けられている。また、係合部材30は、支持体50に設けられた保持部材60と係合するため、防水部材10において支持体50と接する部位、すなわち防水部材10のうち支持体50と対向する右側部10Rおよび左側部10Lにそれぞれ配置されている。係合部材30は、板状の部材から構成され、この板状の部材の一端側を折り曲げることにより形成された傾斜部31を有する。傾斜部31は、上方を向いており係合部材30から上方に向かって傾斜する傾斜面31aを有する。係合部材30は、傾斜部31が支持体50と対向する防水部材10の前面側に配置されるように、防水部材10に設けられている。したがって、傾斜面31aは、防水部材10に上方を向いて設けられ、防水部材10から支持体50に向かうに従って上方に向かうようにして傾斜する。また、係合部材30の傾斜面31aは、弾性部材20が弾性変形していない状態において、支持体50に設けられた保持部材60の傾斜部61よりも上方に位置する。したがって、係合部材30が保持部材60と係合した状態では、常に弾性部材20に対して上下方向Av1に圧縮する力が加えられる。すなわち、弾性部材20が上下方向Av1に弾性変形した状態が維持される。
本実施形態では、係合部材30の傾斜部31は、防水部材10の前面10eに対して厚み方向At1に突出するように配置されている。傾斜部31の下側には弾性部材25が設けられているため、防水部材10を支持体50に支持させる際に傾斜部31が支持体50に接触して弾性部材25を厚み方向At1に適切に圧縮できなくなることを防ぐために、傾斜部31の厚み方向At1の寸法は弾性変形していない状態の弾性部材25の厚み方向At1の寸法よりも小さい。また、係合部材30の材質として、例えばステンレス鋼を用いることができる。係合部材30は、例えばリベットを用いて、防水部材10に取り付けられている。
図1および図2に示すように、保持部材60が設けられる支持体50には、出入口91の設置面90上に設けられた既存の支柱51などを利用することができる。この支柱51に保持部材60を取り付けることで、支柱51は支持体50として機能する。なお、既存の支柱51を用いずに出入口91に新たに支持体50を設けてもよい。また、支柱51の出入口91とは反対側には浸水を防ぐために壁部52が接続されている。
保持部材60は、支持体50において防水部材10と対向する側に設けられている。図7に示すように、保持部材60は、下部に係合部材30の傾斜面31aに接触する傾斜部61を有する。傾斜部61は、係合部材30の傾斜面31aに対応して傾斜する傾斜面61aを有する。保持部材60の材質として、係合部材30と同様に、例えばステンレス鋼を用いることができる。また、保持部材60は、例えばネジ部材により支持体50に取り付けられている。
上述したように、本実施形態では、係合部材30の傾斜面31aは、弾性部材20が弾性変形していない状態において、保持部材60の傾斜部61よりも下方に位置する。このため、図8に示すように、傾斜部61が傾斜面31aに接触して保持部材60が係合部材30に係合した状態では、防水部材10に上下方向Av1の下向きの押圧力が加わるため、弾性部材20が上下方向Av1に収縮するように弾性変形する。同時に、傾斜面31aは防水部材10から支持体50に向かうに従って上方に向かうようにして傾斜しているため、防水部材10に厚み方向At1の支持体50に向かう押圧力も加わる。このため、弾性部材25が厚み方向At1に収縮するように弾性変形する。なお、本実施形態では、係合部材30と保持部材60との接触部分は傾斜しているが、この接触部分は傾斜していなくてもよい。
次に、防水装置1の設置時の動作について説明する。図9から図11は、防水装置1の設置時の動作を示す図である。
作業者は、図9に示すように、防水部材10の前面10eを支持体50に向け、弾性部材20が支持体50と設置面90との間に配置されるように防水部材10が傾いた状態で、防水部材10を設置面90に下ろす。次に、押圧面40aにおいて図9に示されるB部分を踏み込みながら、防水部材10が垂直になるように弾性部材20を中心に防水部材10を支持体50に接近させるように回転させる。そして、B部分を踏み込みながら、右側部10Rの係合部材30および左側部10Lの係合部材30をそれぞれ支持体50の保持部材60に係合させ、防水部材10を支持体50に固定させる。
この設置動作の際、作業者が押圧面40aのB部分を踏み込むため、弾性部材20に十分な押圧力を加えることができ、これにより弾性部材20は隣接する弾性部材25とともに上下方向Av1に圧縮される。すなわち、弾性部材20は上下方向Av1に収縮するように弾性変形する。ここで、図10および図11では、2点鎖線を用いて弾性部材20が弾性変形していない状態の防水装置1を簡略化して示し、実線を用いて弾性部材20が上下方向Av1に弾性変形した状態の防水装置1を簡略化して示す。図10において2点鎖線で示されるように、弾性部材20が弾性変形していない状態において、係合部材30の傾斜面31aは保持部材60の傾斜部61よりも上方に位置する。しかしながら、図10において実線で示されるように、弾性部材20を上下方向Av1に圧縮することで、係合部材30の傾斜面31aを保持部材60の傾斜部61よりも下方に位置させることができる。この状態で作業者が押圧面40aから足を離すと、弾性部材20に加えられていた上下方向Av1の押圧力がなくなるため、図11に示されるように、弾性部材20の復元力により弾性部材20は上下方向Av1に伸長するように弾性変形する。これにより、係合部材30の傾斜面31aは保持部材60の傾斜部61に接触し、係合部材30は保持部材60に係合する。上述のように、弾性部材20が弾性変形していない状態において、係合部材30の傾斜面31aは保持部材60の傾斜部61よりも上方に位置するため、係合部材30が保持部材60に係合した状態においても、図11に示されるように、弾性部材20は元の状態にまでは戻らず、上下方向Av1に収縮するように弾性変形した状態が維持される。したがって、弾性部材20には常に復元力が発生し、この復元力により上下方向Av1の押圧力が設置面90に対して常に加えられるため、防水部材10と設置面90との間の止水性を良好に保つことができる。
同時に、傾斜面31aは上述したように傾斜しているため、防水部材10に対して、防水部材10から支持体50に向かう方向、すなわち厚み方向At1において支持体50に向かう方向にも押圧力が加わる。防水部材10の支持体50に対向する前面10eには弾性部材25が設けられているため、弾性部材25にこの押圧力が加わる。ここで、弾性変形していない状態における弾性部材25の厚み方向の寸法は、保持部材60の傾斜部61が係合部材30の傾斜面31aに接触した状態における防水部材10と支持体50との間の距離よりも大きい。このため、この押圧力により弾性部材25は厚み方向At1に収縮するように弾性変形し、係合部材30が保持部材60に係合している間、この弾性変形した状態が維持される。したがって、弾性部材25には常に復元力が発生し、この復元力により厚み方向At1の押圧力が支持体50に対して常に加えられる。よって、防水部材10と支持体50との間の止水性を良好に保つことができる。
本実施形態に係る防水装置1によれば、弾性部材20に上下方向Av1の力を加えることが可能な押圧部40が設けられており、この押圧部40は、上下方向Av1に交差し、上方に開放された押圧面40aを有する。このため、防水部材10の設置作業時に、作業者が押圧面40aを押圧することにより、弾性部材20に対して上下方向の下向きの押圧力を容易に加えることができる。よって、防水部材10の重量が軽く、自重では弾性部材20に十分な押圧力を加えることができない場合であっても、弾性部材20に十分な押圧力を加えることができる。これにより、防水部材10と設置面90との間の止水性を高めることができる。
また、押圧部40は、防水部材10の上端部10aよりも下方であって、弾性部材20よりも上方の位置に設けられている。すなわち、押圧部40は作業者の手や足で作業できる範囲内に設けられているため、作業者が手や足によって容易に押圧部40の押圧面40aを押圧することができる。したがって、防水部材10の設置作業の効率を向上させることができる。
押圧部40は、上下方向Av1から見たときに、弾性部材20から上下方向Av1に交差する方向に突出する位置に配置されている。このため、防水部材10の設置作業時において、防水部材10が傾斜した状態にある場合でも、作業者が手や足などを押圧部40に掛けやすくなる。よって、防水部材10の設置作業をより効率的に行うことができる。
押圧部40は、防水部材10に取り付けられた補助部材(杆材)12bから構成されている。このため、防水部材10の厚み方向At1の寸法などに関係なく、防水部材10とは別部材である補助部材12bの寸法を適宜調整することで、押圧面40aの十分な広さを確保することができる。また、防水部材10の剛性に関係なく、補助部材12bの剛性を適宜調整することで、押圧面40aに加えられる押圧力に対して十分な強度を確保することができる。したがって、防水部材10自体の厚み方向Atの寸法が小さい(防水部材10が薄い)場合であっても、押圧部40は十分な広さの押圧面40aを有しかつ高い強度を有することができる。
防水装置1は、弾性部材20よりも高い剛性を有し、上下方向Av1に弾性部材20に沿って配置された補強部材35を備えるため、補強部材35により、弾性部材20の過度な弾性変形と、この弾性変形による座屈を防止することができる。また、補強部材35の下端35bは、弾性部材20が弾性変形していない状態において弾性部材20の上下方向Av1における中間位置よりも下方に位置するため、座屈などが起こりやすい弾性部材20の上下方向Av1における中間位置の近傍を確実に補強することができる。したがって、弾性部材20による防水部材10と設置面90との間の止水性を長期的に維持することができる。
また、補強部材35は、弾性部材20から上下方向Av1に交差する方向に離間して設けられているため、補強部材35と弾性部材20との間に隙間が形成されている。この隙間がない場合には、弾性部材20は弾性変形の当初から上下方向Av1に沿って補強部材35に拘束されるため、上下方向Av1の弾性変形に伴って起こる側方への変形が抑制され、上下方向Av1の弾性変形自体がしにくくなる。したがって、補強部材35と弾性部材20との間に隙間を設けることで、弾性部材20は上下方向Av1に適正に弾性変形することができる。同時に、弾性部材20の座屈などによる著しい変形に対しては、弾性部材20から離間して設けられた補強部材35により抑制することができる。
防水部材10は、防水部材10の下端部10bよりも上方に設けられた係合部材30を有し、係合部材30が支持体50に設けられた保持部材60と係合することによって、弾性部材20が上下方向Av1に弾性変形した状態が維持される。したがって、係合部材30と保持部材60との係合により、押圧部40により十分な押圧力が加えられて上下方向Av1に弾性変形した弾性部材20の状態を維持することができる。よって、防水部材10と設置面90との間の止水性が高められた状態を維持することができる。
また、係合部材30の傾斜面31aは防水部材10から支持体50に向かうに従って上方に向かうようにして傾斜しており、係合部材30の傾斜面31aは、弾性部材20が弾性変形していない状態において、保持部材60の傾斜部61よりも上方に位置する。このため、保持部材60の傾斜部61が係合部材30の傾斜面31aに接触した状態では、防水部材10から支持体50に向かう方向、すなわち防水部材10の厚み方向At1に支持体50に向かって防水部材10を押圧する押圧力だけでなく、上下方向Av1の下方に向かって防水部材10を押圧する押圧力が発生する。よって、防水部材10の下端部10bに設けられた弾性部材20に対して十分な押圧力を加えることができ、この押圧力により弾性部材20が上下方向Av1に収縮した状態が維持されることで防水部材10と設置面90との間の止水性を良好に保つことができる。また、弾性部材20には常に復元力が発生することになるため、この復元力に上下方向Av1の上向きの押圧力が防水部材10に加えられ、係合部材30と保持部材60との係合状態が維持される。よって、防水部材10の倒伏を確実に防止することができる。また、保持部材60の傾斜部61が係合部材30の傾斜面31aに接触するように防水部材10を支持体50に対して支持させるだけで、防水部材10を倒伏しないように設置することができるため、設置作業が簡便となる。
係合部材30の傾斜面31aは防水部材10の上端部10aに設けられているため、防水装置1は、防水部材10の倒伏時の回動支点となる弾性部材20の下端から最も遠い部位である防水部材10の上端部10aにおいて防水部材10の倒伏が防止されている。よって、他の部位に傾斜面31aが設けられている場合に比べて、保持部材60の傾斜部61が傾斜面31aに接触する際に加わる力、すなわち係合部材30と保持部材60とが係合する際の係合力を小さくすることができる。また、これに応じて係合時の弾性部材20の弾性変形量も小さくすることができる。したがって、作業者が押圧面40aを踏み込む量を小さくすることができるため、作業性を向上させることができる。
係合部材30の傾斜面31aは、防水部材10において支持体50と接する部位である、防水部材10の幅方向Aw1の側部(右側部10R、左側部10L)に設けられている。防水部材10は幅方向Aw1の側部において支持体50と接するため、この側部に傾斜面31aを設けることで、他の部位に傾斜面31aが設けられている場合に比べて、保持部材60の傾斜部61が傾斜面31aに接触する際に加わる力、すなわち係合部材30と保持部材60とが係合する際の係合力を小さくすることができる。また、これに応じて係合時の弾性部材20の弾性変形量も小さくすることができるため、作業者が押圧面40aを踏み込む量を小さくすることができ、作業性を向上させることができる。
保持部材60の傾斜部61は、係合部材30の傾斜面31aに対応して傾斜する傾斜面61aを有しており、傾斜面61aを介して傾斜面31aと接触している。傾斜部61は、傾斜面31aに対応して傾斜する傾斜面61aと傾斜面31aとの面接触により、傾斜面31aに接触するため、より確実に安定して傾斜面31aに接触することができる。よって、傾斜部61が一旦傾斜面31aと接触すると、傾斜部61は傾斜面31aから離れにくくなり、係合部材30と保持部材60との係合が安定的に維持される。
防水部材10の支持体50に対向する面(前面10e)には、弾性変形可能な弾性部材25が設けられている。この弾性部材25は、弾性変形していない状態の厚み寸法が、保持部材60の傾斜面61aが係合部材30の傾斜面31aに接触した状態における防水部材10と支持体50との間の距離よりも大きい。よって、保持部材60の傾斜部61が係合部材30の傾斜面31aに接触した状態では、弾性部材25は厚み方向At1に収縮するように弾性変形する。弾性部材25においてこの弾性変形した状態が維持されることで防水部材10と支持体50との間の止水性を良好に保つことができる。また、防水部材10は弾性部材25を介して支持体50と接触するため、防水部材10の設置作業時に支持体50を傷つけることを防止することができる。
なお、本実施形態に係る防水装置1は、例えば以下のように構成を変更することが可能である。
図12は、防水装置1の補強部材35の構成の例を示す図である。図12に示す例のように、補強部材35は、補強部材35の下端35bから弾性部材20に向かって延びる延設部36を有してもよい。延設部36により、この延設部36に近接する弾性部材20の過度な変形を集中的に抑制することができる。なお、延設部36は、補強部材35の下端35bにおいて幅方向Aw1の全体に渡って設けられてもよいし、一部のみに設けられてもよい。例えば、延設部36は、補強部材35の下端35bにおいて幅方向Aw1の両側端部のみに設けられてもよい。
図13および図14は、防水装置1の係合部材(係合部)30および保持部材(被係合部)60の構成の例を示す図である。防水部材10に設けられた係合部材30および支持体50に設けられた保持部材60はともに傾斜面を有しているが、必ずしも係合部材30および保持部材60の両方が傾斜面を有する必要はない。
図13に示す例では、支持体50に傾斜面71を有する傾斜部70が設けられている。傾斜面71は、支持体50に下方を向いて設けられ、防水部材10から支持体50に向かうに従って上方に向かうように傾斜する。また、防水部材10に傾斜面71に接触する接触部72が設けられる。このような構成であっても、支持体50に設けられた傾斜面71が防水部材10に設けられた接触部72を押圧する力は傾斜面71の上述した傾斜により上下方向Av1と厚み方向At1とに分解される。このため、接触部72が傾斜面71に接触した状態では、防水部材10に対して上下方向Av1の下向きの押圧力と厚み方向At1の支持体50に向かう押圧力とが加えられる。
また、図14に示す例では、防水部材10に傾斜面74を有する傾斜部73が設けられている。傾斜面74は、防水部材10に上方を向いて設けられ、防水部材10から支持体50に向かうに従って上方に向かうように傾斜する。また、支持体50に傾斜面74に接触する接触部75が設けられる。このような構成であっても、図13に示す例と同様に、支持体50に設けられた接触部75が防水部材10に設けられた傾斜面74を押圧する力は傾斜面74の上述した傾斜により上下方向Av1と厚み方向At1とに分解される。このため、接触部75が傾斜面74に接触した状態では、防水部材10に対して上下方向Av1の下向きの押圧力と厚み方向At1の支持体50に向かう押圧力とが加えられる。
このように、防水部材10と支持体50とのうち一方に傾斜面を有する傾斜部が設けられ、他方に傾斜面に接触する接触部が設けられてもよい。
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態について、図15から図33を参照して説明する。
図15および図16は、本実施形態に係る防水装置101を建物などの出入口191に設置した状態を示す図である。図15は、出入口191の外側から見た図である。図16は、出入口191の内側から見た図である。図17は、防水装置101の正面図である。図18は、防水装置101の背面図である。図19は、防水装置101の右側面図である。図20は、図17のD−D線における切断部端面図である。防水装置101は、図15および図16に示すように出入口191における支持体150間の開口を防水部材110で塞ぐことで、出入口191の外部192aから内部192bへの浸水を防止する。
以下、本実施形態の説明において、幅方向Aw2とは、図17に示された防水装置101における水平方向をいう。上下方向Av2とは、図17に示された防水装置101における鉛直方向をいう。なお、上下方向Av2には、設置面190が傾いている場合には、設置面190に対して垂直な方向を含むものとする。厚み方向At2とは、幅方向Aw2および上下方向Av2の各々に対して直交する方向をいう。また、前面側とは、防水装置101の背面図である図18に示された側をいい、防水すべき内部192bに向かう側である。背面側とは、防水装置101の正面図である図17に示された側をいい、侵入してくる水に向かう側である。
防水装置101は、設置面190上に設けられた支持体150に支持される防水部材110と、防水部材110の下端部110bに設けられ、上下方向Av2に弾性変形可能な弾性部材140と、防水部材110に設けられ、弾性部材140に上下方向Av2の力を加えることが可能な押圧部144と、を備える。なお、本実施形態において、防水装置101は、防水部材110の上側に配置された上部防水部材160をさらに備えるが、上部防水部材160は必須の構成ではない。
本実施形態では、防水部材110は、防水部材110の端部111が設置面190上に設けられた支持体150に形成された凹部151に嵌め込まれる。また、支持体150は、右側支持体150Rと左側支持体150Lとを備える。よって、防水部材110は、設置面190上に設けられた右側支持体150R(支持体150)に形成された凹部151R(凹部151)に、防水部材110の右端部111R(端部111)が嵌め込まれ、設置面190上に設けられた左側支持体150L(支持体150)に形成された凹部151L(凹部151)に、防水部材110の左端部111L(端部111)が嵌め込まれる。
図17から図20に示されるように、防水部材110は、正面視において幅方向Aw2および上下方向Av2に延びる矩形状を有している。本実施形態では、防水部材110は、第一防水部材110Aと、第一防水部材110Aの上側に配置された第二防水部材110Bと、を備える。第一防水部材110Aの上端部110Aaと第二防水部材110Bの下端部110Bbとが係合することで、防水部材110が構成されている。しかしながら、防水部材110はこの構成に限られず、単一の部材で構成されてもよいし、さらに複数の部材から構成されてもよい。以下の説明において、特に記載しない限り、第一防水部材110Aと第二防水部材110Bとの区別をせず、防水部材110を一つの部材として説明する。
防水部材110の背面110cには、厚み方向At2に凹状に形成された収容部112が設けられている。本実施形態では、収容部112は、第一防水部材110Aに設けられた収容部112aと、第二防水部材110Bに設けられた収容部112bと、の二つの収容部を有するが、収容部112は、一つのみ設けられてもよいし、さらに複数設けられてもよい。収容部112は、防水部材110の幅方向Aw2の端部111である右端部111Rおよび左端部111Lまで延びて設けられ、右端部111Rおよび左端部111Lにおいて幅方向Aw2に開口する。収容部112内には、押圧部材120が収容可能である。また、収容部112内には操作部材130が取り付けられている。なお、上述した右端部111Rおよび左端部111Lの開口から押圧部材120および操作部材130を収容部112内に配設することができるため、防水部材110に押圧部材120や操作部材130を配設する作業を効率的に行うことができる。
本実施形態において、防水部材110の前面110dは、背面110cに形成された収容部112の形状に対応する凹凸形状を有するが、この構成は必須ではない。また、防水部材110の上端部110aは、上部防水部材160の下端部160bと係合するように構成されている。防水部材110の上端部110aの構成は、上部防水部材160の下端部160bと係合し、上端部110aと下端部160bとの間を密閉できる構成であれば、特に限定されない。
防水部材110の幅方向Aw2の寸法は、支持体150Rと支持体150Lとの間に配置できるように設定されている。防水部材110の厚み方向At2の寸法は、支持体150Rの凹部151Rおよび支持体150Lの凹部151Lに、右端部111Rおよび左端部111Lがそれぞれ嵌め込むことができるように設定されている。防水部材110の上下方向Av2の寸法は特に限定されないが、支持体150Rおよび支持体150Lの上下方向Av2の寸法よりも小さいことが好ましい。また、防水部材110の材質としては、例えばアルミニウムを用いることができる。
防水部材110の下端部110bには、上下方向Av2に弾性変形可能な弾性部材140が設けられている。弾性部材140は、防水部材110の幅方向Aw2の全体に渡って設けられている。弾性部材140は、出入口191の通路面などの設置面190と防水部材110との間隙を密閉し、この間隙からの浸水を防止するために設けられている。
本実施形態では、図19および図20に示されるように、弾性部材140は、上部弾性部材140aと、上部弾性部材140aの下側に設けられた下部弾性部材140bと、から構成されている。例えば、上部弾性部材140aの材質としてクロロプレンゴム(CR)を用い、下部弾性部材140bの材質としてエチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)を用いることができる。なお、上述した弾性部材140の構成は一例であり、弾性部材140は単一の弾性部材のみで構成されていてもよいし、複数の弾性部材から構成されていてもよい。
支持体150Rの凹部151Rに嵌め込まれる防水部材110の右端部111Rにおける前面110dには、厚み方向At2に弾性変形可能な弾性部材142R(弾性部材142)が設けられている。また、支持体150Lの凹部151Lに嵌め込まれる防水部材110の左端部111Lにおける前面110dには、厚み方向At2に弾性変形可能な弾性部材142L(弾性部材142)が設けられている。すなわち、弾性部材142Rは、防水部材110が凹部151Rに嵌め込まれた状態において凹部151Rの第一壁面152Rと防水部材110を挟んで反対側に配置された第二壁面153Rと対向する位置に設けられている。また、弾性部材142Lは、防水部材110が凹部151Lに嵌め込まれた状態において凹部151Lの第一壁面152Lと防水部材110を挟んで反対側に配置された第二壁面153Lと対向する位置に設けられている。弾性部材142Rおよび弾性部材142Lは、支持体150Rと防水部材110との間隙および支持体150Lと防水部材110との間隙をそれぞれ密閉し、これらの間隙からの浸水を防止するために設けられている。このため、弾性部材142Rは右端部111Rの上下方向Av2の寸法全体に渡って設けられ、弾性部材142Lは左端部111Lの上下方向Av2の寸法全体に渡って設けられている。本実施形態において、弾性部材142Rは、下部弾性部材142Raと、下部弾性部材142Raの上側に設けられた上部弾性部材142Rbと、から構成されている。弾性部材142Lは、下部弾性部材142Laと、下部弾性部材142Laの上側に設けられた上部弾性部材142Lbと、から構成されている。しかしながら、これらの構成は一例であり、弾性部材142Rおよび弾性部材142Lは単一の弾性部材のみで構成されていてもよいし、さらに複数の弾性部材から構成されていてもよい。弾性部材142Rおよび弾性部材142Lの材質として、例えばクロロプレンゴム(CR)を用いることができる。
防水部材110には、弾性部材140に上下方向Av2の力を加えることが可能な押圧部144が設けられている。本実施形態では、押圧部144は、矩形断面を有し、幅方向Aw2に延びて形成されている。押圧部144は、上下方向Av2に交差し、上方に開放された押圧面144aを有する。押圧部144は、弾性部材140を上下方向Av2に収縮するように弾性変形させる押圧力を加えるために設けられている。例えば、作業者は押圧面144aを手で押したり、足で踏んだりすることによって弾性部材140に上下方向Av2の下向きの押圧力を加える。このため、押圧部144は、防水部材110の上端部110aよりも下方であって、弾性部材140よりも上方の位置に設けられていることが好ましい。また、作業者が押圧部144に手や足を掛けやすいように、押圧部144は、上下方向Av2から見たときに、弾性部材140から上下方向Av2に交差する方向(例えば厚み方向At2)に突出する位置に配置されていることが好ましい。
本実施形態では、押圧部144は、防水部材110に取り付けられた杆材147から構成されている。杆材147は、その一端側に形成された係合片147aが、防水部材110の背面110cの下部に形成された係合溝113に係合することにより、防水部材110に取り付けられている。押圧部144は防水部材110に取り付けられた杆材147から構成されているため、防水部材110の厚み方向At2の寸法などに関係なく、防水部材110とは別部材である杆材147の寸法を適宜調整することで、押圧面144aの十分な広さを確保することができる。また、防水部材110の剛性に関係なく、杆材147の剛性を適宜調整することで、押圧面144aに加えられる押圧力に対して十分な強度を確保することができる。上述した構成のため、本実施形態のように杆材147が防水部材110に対して片持ち状態で支持されている場合でも、押圧部144として十分な剛性を有する。また、押圧部144の材質として、例えばアルミニウムを用いることができる。
また、本実施形態では、押圧部144は防水部材110の幅方向Aw2の全体に渡って設けられているが、この構成に限られない。例えば、押圧部144は、防水部材110の幅方向Aw2の一部にのみ設けられてもよい。
また、本実施形態では、防水装置101は、防水部材110が凹部151に嵌め込まれた状態において凹部151の第一壁面152と対向する位置で防水部材110に設けられ、第一壁面152に向かって進退動作可能な押圧部材120と、押圧部材120を進退動作させる操作部材130と、を備える。
図21は、防水部材110の右端部111Rを一部分解して示す図である。図22は、図17のE−E線における断面図である。図23は、図17のF−F線における切断部端面図である。図24(a)は、押圧部材120が押圧位置P2にある状態での押圧部材120および操作部材130の正面図であり、図24(b)は、押圧部材120が退避位置P1にある状態での押圧部材120および操作部材130の正面図である。
押圧部材120は、防水部材110が凹部151に嵌め込まれた状態において凹部151の第一壁面152と対向する位置で防水部材110に設けられている。本実施形態では、防水部材110の端部111が凹部151に嵌め込まれるため、押圧部材120は防水部材110の端部111に設けられている。図17に示されるように、押圧部材120は、右端部111Rにおける収容部112aおよび右端部111Rにおける収容部112bに設けられる押圧部材120Rと、左端部111Lにおける収容部112aおよび左端部111Lにおける収容部112bに設けられる押圧部材120Lと、を有する。また、押圧部材120を進退動作させる操作部材130は、押圧部材120Rに対応する操作部材130Rと、押圧部材120Lに対応する操作部材130Lと、を有する。押圧部材120Rと押圧部材120Lとは、幅方向Aw2に対して垂直な面に対して対称な構成を有する。また、操作部材130Rと操作部材130Lとは、幅方向Aw2に対して垂直な面に対して対称な構成を有する。よって、以下では押圧部材120Rおよび操作部材130Rの構成について説明し、押圧部材120Lおよび操作部材130Lの説明を省略する。なお、本実施形態では、押圧部材120および操作部材130は、防水部材110の各端部に2つずつ設けられているが、この構成には限られない。
押圧部材120Rは、防水部材110が凹部151Rに嵌め込まれた状態において、第一壁面152Rに向かって進退動作可能である。本実施形態では、押圧部材120Rを進退動作させるために押圧部材120Rにカム機構を用いている。図21から図24に示すように、押圧部材120Rは、偏心カム121を有する。偏心カム121の回動中心O121は、防水部材110が凹部151Rに嵌め込まれた状態において、凹部151R内に位置する。具体的に本実施形態では、回動中心O121は幅方向Aw2に平行であって、防水部材110の収容部112の内部に配置されている。偏心カム121は幅方向Aw2から見て略長円形状に形成され、その長径方向の先端側に係合部122が形成され、後端側に回動中心O121が配置されている。また、偏心カム121は、防水部材110が凹部151Rに嵌め込まれた状態において、偏心カム121の先端側が第一壁面152Rに向かうように配置されている。偏心カム121は、偏心カム121の先端121aに第一壁面152Rを押圧し第一壁面152Rと係合することが可能な係合部122を有する。また、偏心カム121は、防水部材110が凹部151Rに嵌め込まれた状態において、偏心カム121が第一壁面152Rに対して離間した状態から回動中心O121回りに回動することによって第一壁面152Rを押圧する押圧面123を有する。係合部122は、押圧面123を含んでいる。係合部122は、第一壁面152Rとの接触面積を増やすために、偏心カム121から幅方向Aw2に突出して設けられてもよい。
また、押圧部材120Rは、偏心カム121を支持し、偏心カム121の回動範囲を規制する支持部124を有する。本実施形態では、支持部124は、支持部124の内面124aにより、偏心カム121の回動範囲を規制する。具体的には、図24に示されるように、偏心カム121は、回動中心O121回りに、偏心カム121の下側面121cが支持部124の内面124aに接触する状態から、偏心カム121の上側面121bが支持部124の内面124aに接触する状態までの範囲で回動することができる。偏心カム121の係合部122は、この偏心カム121の回動に応じて、偏心カム121の上側面121bと支持部124とが接触した状態の退避位置P1と、退避位置P1の下方であって偏心カムの下側面121cと支持部124とが接触した状態の押圧位置P2との間で移動可能である。すなわち、係合部122は、退避位置P1と押圧位置P2との間を厚み方向At2に進退動作可能である。係合部122は、防水部材110が凹部151Rに嵌め込まれた状態において、押圧位置P2にあるときに第一壁面152Rを押圧して係合する。
すなわち、偏心カム121は、係合部122が退避位置P1にある場合に、防水部材110が凹部151Rに嵌め込まれた状態における防水部材110と第一壁面152Rとの間隙の厚み方向At2の寸法(第一壁面152Rと第二壁面153Rとの間隙の厚み方向At2の寸法から防水部材110の厚み方向At2の寸法および弾性部材142の厚み方向At2の寸法を差し引いた寸法)よりも、防水部材110から背面側に偏心カム121が厚み方向At2に突出する寸法が小さく、かつ、係合部122が押圧位置P2にある場合に、防水部材110が凹部151Rに嵌め込まれた状態における防水部材110と第一壁面152Rとの隙間の厚み方向At2の寸法よりも、防水部材110から背面側に偏心カム121が厚み方向At2に突出する寸法が大きくなるように形成されている。
操作部材130Rは、偏心カム121を回動中心O121回りに回動可能に偏心カム121に接続されている。本実施形態では、操作部材130Rは、偏心カム121の先端121a側に突出するように、偏心カム121と一体に形成されている。なお、操作部材130Rは、偏心カム121とは別部材として設けられてもよい。操作部材130Rの形状は、作業者が把持できる構成を有していれば、特に限定されない。押圧部材120Rおよび操作部材130Rの材質として、例えばAES(アクリロニトリル・エチレン−プロピレン−ジエン・スチレン)樹脂を用いることができる。
図21に示されるように、押圧部材120Rは、偏心カム121を背面側に向けて、支持部124が収容部112aの内面と接するように、収容部112a内に配置されている。また、防水部材110の右端部111Rには、第一防水部材110Aの右端110Acを覆うカバー部材132aが設けられている。第一防水部材110Aの右端110Acとカバー部材132aとの間には、この間の間隙を塞ぐため、中間部材134aが配置されている。カバー部材132aには、押圧部材120Rを保持する保持部133aが設けられている。押圧部材120Rは、中間部材134aを挟んで、例えばネジ止めにより支持部124と保持部133aとを固定することで、カバー部材132aに固定されている。
他の押圧部材120Rも同様に、収容部112b内に配置されており、第二防水部材110Bの右端110Bcを覆うカバー部材132bに、保持部133bを介して固定されている。なお、上述したように、本実施形態では、防水部材110は第一防水部材110Aと第二防水部材110Bとから構成されている。このため、第一防水部材110Aの上端部110Aaと第二防水部材110Bの下端部110Bbとの間の間隙を密閉し、この間隙からの浸水を防止するため、第一防水部材110Aと第二防水部材110Bとの間に弾性変形可能な弾性部材146が設けられている。弾性部材146の材質として、例えばクロロプレンゴム(CR)やエチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)を用いることができる。
防水部材110の右端部111Rには、カバー部材132aおよびカバー部材132bを覆うカバー部材134が設けられている。また、右端部111Rに設けられる弾性部材142は、カバー部材132aおよびカバー部材132bに取り付けられてもよい。すなわち、下部弾性部材142Raはカバー部材132aに取り付けられ、上部弾性部材142Rbはカバー部材132bに取り付けられてもよい。また、押圧部144の幅方向Aw2の端部には、カバー部材145が設けられてもよい。
防水部材110の左端部111Lでは、上述した右端部111Rでの構成を幅方向Aw2に垂直な面に対象にした構成となる。よって、その詳細な説明を省略する。
図25は、防水装置101の上部防水部材160の正面図である。図26は、上部防水部材160の右側面図である。図27は、図25のG−G線における切断部端面図である。上部防水部材160は、防水部材110に設けられた弾性部材140に代えて、弾性部材162を備える点で、防水部材110と異なっている。それ以外では、上部防水部材160は、防水部材110と実質的に同様の構成を有する。よって、防水部材110と同様の構成を有する部分については同一の符号を付して示し、その詳細な説明を省略する。
上部防水部材160の下端部160bには、上下方向Av2に弾性変形可能な弾性部材162が設けられている。弾性部材162は、上部防水部材160の幅方向Aw2の全体に渡って設けられている。上述したように、上部防水部材160の下端部160bは防水部材110の上端部110aと係合する。弾性部材162は、上部防水部材160の下端部160bと防水部材110の上端部110aとの間隙を密閉し、この間隙からの浸水を防止するために設けられている。弾性部材162の材質として、例えばクロロプレンゴム(CR)やエチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)を用いることができる。
図28は、支持体150Rの側面図である。図29は、図28のH−H線における断面図である。支持体150R(支持体150)は、上下方向Av2に延びて形成されている。また、支持体150Rには、上下方向Av2に延びる凹部151R(凹部151)が形成されている。凹部151Rは、第一壁面152R(第一壁面152)と、第一壁面152Rと対向する第二壁面153R(第二壁面153)と、を有する。凹部151Rの第一壁面152Rと第二壁面153Rとの間の厚み方向At2の寸法は、凹部151Rに防水部材110の右端部111Rを嵌め込むことが可能な寸法に設定されている。本実施形態では、押圧部材120Rが設けられた防水部材110の背面110cと第一壁面152Rとが対向し、防水部材110の前面110dと第二壁面153Rとが対向するように、防水部材110が凹部151に嵌め込まれる。また、第二壁面153Rの幅方向Aw2の寸法は、第一壁面152Rの幅方向の寸法よりも大きく設定されている。これにより、厚み方向At2から見て押圧部材120Rと第二壁面153Rとが重なりやすくなるため、押圧部材120Rが防水部材110を押圧する力が確実に第二壁面153Rに向かうようにすることができる。支持体150Rの材質として、例えばアルミニウムを用いることができる。
支持体150L(支持体150)は、上述した支持体150Rの構成を幅方向Aw2に垂直な面に対象にした構成を有する。よって、その詳細な説明を省略する。
図15および図16に示すように、支持体150Rと支持体150Lは、設置面190上において、凹部151Rと凹部151Lとが対向するように設けられている。また、支持体150Rにおいて凹部151Rの幅方向Aw2の反対側には、浸水を防ぐための図示しない壁部が接続されている。同様に、支持体150Lにおいて凹部151Lの幅方向Aw2の反対側には、浸水を防ぐための図示しない壁部が接続されている。
次に、防水装置101の使用時の動作について、図15、図30、および図31を参照して説明する。なお、図30および図31は、防水装置101の使用時の動作を説明する図である。
作業者は、防水部材110を支持体150の上部から差し込み、設置面190に下ろす。このとき、図30に示すように、防水部材110の右端部111Rを支持体150Rの凹部151Rに嵌め込み、防水部材110の左端部111Lを支持体150Lの凹部151Lに嵌め込む。また、右端部111Rと凹部151Rとの幅方向Aw2の間隙と左端部111Lと凹部151Lとの幅方向Aw2の間隙とが均等になるように、防水部材110を配置する。なお、差し込み時には、防水部材110の押圧部材120の係合部122が退避位置P1にあるように、操作部材130を上方に位置させておく。次に、上部防水部材160を支持体150の上部から差し込み、防水部材110に下ろす。このとき、図31に示すように、上部防水部材160の下端部160bと防水部材110の上端部110aとを係合させて密着させる。なお、差し込み時には、防水部材110と同様に、上部防水部材160の押圧部材120の係合部122が退避位置P1にあるように、操作部材130を上方に位置させておく。続いて、図15に示すように、防水部材110の押圧面144a上において、例えばC1部分を下方に踏み込みながら、防水部材110の操作部材130を下方に回動させる。これにより、防水部材110が押圧部材120によって支持体150に固定される。そして、上部防水部材160の押圧面144a上において、例えばC2部分を下方に踏み込みながら、上部防水部材160の操作部材130を下方に回動させる。これにより、上部防水部材160が押圧部材120によって支持体150に固定される。以上で、防水装置101の設置が完了する。
この設置動作の際、作業者が防水部材110の押圧面144aを下方に踏み込むため、弾性部材140に十分な押圧力を加えることができ、これにより弾性部材140は上下方向Av2に圧縮される。すなわち、弾性部材140は上下方向Av2に収縮するように弾性変形する。この状態で、押圧部材120により防水部材110は支持体150に固定されるため、弾性部材140は上下方向Av2に収縮するように弾性変形した状態が維持される。したがって、弾性部材140には常に復元力が発生し、この復元力により上下方向Av2の押圧力が設置面190に対して常に加えられるため、防水部材110と設置面190との間の止水性を良好に保つことができる。
同様に、作業者が上部防水部材160の押圧面144aを下方に踏み込むため、弾性部材162に十分な押圧力を加えることができ、これにより弾性部材162は上下方向Av2に圧縮される。すなわち、弾性部材162は上下方向Av2に収縮するように弾性変形する。この状態で、押圧部材120により上部防水部材160は支持体150に固定されるため、弾性部材162は上下方向Av2に収縮するように弾性変形した状態が維持される。したがって、弾性部材162には常に復元力が発生し、この復元力により上下方向Av2の押圧力が防水部材110の上端部110aに対して常に加えられるため、上部防水部材160と防水部材110との間の止水性を良好に保つことができる。
ここで、防水部材110および上部防水部材160の押圧部材120による支持体150への固定について説明する。図32は、防水部材110および上部防水部材160が凹部151Rに嵌め込まれた状態において、押圧部材120Rが第一壁面152Rと係合する前の状態を示す図であり、(a)は操作部材130Rを示し、(b)は押圧部材120Rを示す。図33は、押圧部材120Rが第一壁面152Rと係合した後の状態を示す図であり、(a)は操作部材130Rを示し、(b)は押圧部材120Rを示す。
図32に示される状態では、押圧部材120Rの偏心カム121の係合部122は退避位置P1にあるため、係合部122は第一壁面152Rと接触していない。この状態から、操作部材130Rを下方に回動させると、偏心カム121が回動中心O121回りに下方に回動し、係合部122は押圧位置P2に移動する。この状態では、図33に示すように、係合部122は第一壁面152Rと接触しており、係合部122の押圧面123は第一壁面152Rを押圧する。この第一壁面152Rを押圧する力の反力により、押圧部材120Rは防水部材110を第二壁面153Rに向かって押圧する。この結果、防水部材110は、押圧部材120Rにより、凹部151Rの互いに対向する第一壁面152Rと第二壁面153Rとを同時に押圧することになるため、押圧部材120Rの係合部122と第一壁面152Rとの間の摩擦力および防水部材110と第二壁面153Rとの摩擦力により、防水部材110は支持体150Rに固定される。
なお、本実施形態では、凹部151Rに嵌め込まれる防水部材110の右端部111Rにおける前面110dには、弾性部材142Rが設けられている。このため、防水部材110は弾性部材142Rを介して第二壁面153Rを押圧する。この際、弾性部材142Rは、防水部材110と第二壁面153Rとに挟まれ厚み方向At2に圧縮される、すなわち厚み方向At2に収縮するように弾性変形する。この状態で防水部材110は支持体150Rに固定されるため、弾性部材142Rは厚み方向At2に収縮するように弾性変形した状態が維持される。したがって、弾性部材142Rには常に復元力が発生し、この復元力により厚み方向At2の押圧力が防水部材110と第二壁面153Rとに対して常に加えられるため、防水部材110と第二壁面153Rとの間の止水性を良好に保つことができる。
また、上述したように防水部材110が支持体150Rに固定された状態では、弾性部材140は上下方向Av2に収縮するように弾性変形しているため、弾性部材140に上下方向Av2の復元力が発生する。この復元力により防水部材110に上下方向Av2の上向きの力が作用すると、押圧部材120Rにも上下方向Av2の上向きの力が作用する。すなわち、偏心カム121の回動中心O121が上下方向Av2の上向きに移動するような力が押圧部材120Rに作用する。この場合、偏心カム121の係合部122は相対的に下方に回動することになるため、係合部122と第一壁面152Rとの係合がより強固になる方向に作用する。したがって、防水部材110は支持体150Rにより確実に固定される。なお、本実施形態では、防水部材110は押圧部材120により支持体150に固定されているが、外的な固定手段を用いて、防水部材110が支持体150に対して上下方向Av2に移動不能となるように構成されてもよい。
なお、本実施形態において、押圧部材120は、防水部材110の下端部110bよりも上方に設けられた係合部として機能し、第一壁面152は、支持体150に設けられた被係合部として機能する。すなわち、押圧部材120が第一壁面152と係合することによって、弾性部材140が上下方向Av2に弾性変形した状態が維持される。
本実施形態に係る防水装置101によれば、弾性部材140に上下方向Av2の力を加えることが可能な押圧部144が設けられており、この押圧部144は、上下方向Av2に交差し、上方に開放された押圧面144aを有する。このため、防水部材110の設置作業時に、作業者が押圧面144aを押圧することにより、弾性部材140に対して上下方向Av2の下向きの押圧力を容易に加えることができる。よって、防水部材110の重量が軽く、自重では弾性部材140に十分な押圧力を加えることができない場合であっても、弾性部材140に十分な押圧力を加えることができる。これにより、防水部材110と設置面190との間の止水性を高めることができる。
また、押圧部144は、防水部材110の上端部110aよりも下方であって、弾性部材140よりも上方の位置に設けられている。すなわち、押圧部144は作業者の手や足で作業できる範囲内に設けられているため、作業者が手や足によって容易に押圧部144の押圧面144aを押圧することができる。したがって、防水部材110の設置作業の効率を向上させることができる。
押圧部144は、上下方向Av2から見たときに、弾性部材140から上下方向Av2に交差する方向に突出する位置に配置されている。このため、防水部材110の設置作業時において、作業者が手や足などを押圧部144に掛けやすくなる。よって、防水部材110の設置作業をより効率的に行うことができる。
押圧部144は、防水部材110に取り付けられた杆材147から構成されている。このため、防水部材110の厚み方向At2の寸法などに関係なく、防水部材110とは別部材である杆材147の寸法を適宜調整することで、押圧面144aの十分な広さを確保することができる。また、防水部材110の剛性に関係なく、杆材147の剛性を適宜調整することで、押圧面144aに加えられる押圧力に対して十分な強度を確保することができる。したがって、防水部材110自体の厚み方向At2の寸法が小さい(防水部材110が薄い)場合であっても、押圧部144は十分な広さの押圧面144aを有しかつ高い強度を有することができる。
防水部材110は、防水部材110の下端部110bよりも上方に設けられた押圧部材120を有し、この押圧部材120が支持体150に設けられた第一壁面152と係合することによって、弾性部材140が上下方向Av2に弾性変形した状態が維持される。したがって、押圧部材120と第一壁面152との係合により、押圧部144により十分な押圧力が加えられて上下方向に弾性変形した弾性部材140の状態を維持することができる。よって、防水部材110と設置面190との間の止水性が高められた状態を維持することができる。
また、押圧部材120は、防水部材110が凹部151に嵌め込まれた状態において凹部151の第一壁面152と対向する位置で防水部材に設けられている。このため、押圧部材120が第一壁面152に向かって前進し第一壁面152と当接した際に受ける力は、防水部材110において凹部151の第一壁面152と対向する位置に作用する。したがって、押圧部材120により発生する力を、防水部材110において凹部151の内部に配置される部位である端部111に無駄なく伝達することができる。よって、不必要な力が防水部材110に作用しないため、この力による防水部材110の損傷や変形を防止するとともに、押圧部材120を操作する力を低減することができ、高い信頼性をもって効率的に止水することができる。
押圧部材120は、防水部材110の背面110cに対して凹状に形成された収容部112に収容可能である。このため、防水部材110の背面110cから第一壁面152までの間の全てを押圧部材120の進退動作のストロークとして確保することが可能となる。したがって、押圧部材120が第一壁面152を押圧する力を大きくすることができる。
操作部材130は、押圧部材120が収容される収容部112に取り付けられている。このため、操作部材130と押圧部材120との離間寸法を小さくすることができる。したがって、操作部材130の操作力を、より単純な構造で押圧部材120に伝えることができる。
収容部112は、防水部材110の幅方向Aw2の端部111まで延びており、端部111で開口している。このため、端部111から押圧部材120や操作部材130を収容部112内に配設することができる。したがって、防水部材110に押圧部材120や操作部材130を配設する作業を効率的に行うことができる。
弾性部材142は、防水部材110の前面110dにおいて、防水部材110が凹部151に嵌め込まれた状態において第二壁面153と対向する位置に設けられている。このため、防水部材110の前面110dは弾性部材142を介して第二壁面153と接触する。したがって、防水部材110の設置作業時に防水部材110および凹部151を傷つけることを防止することができる。
押圧部材120は凹部151内に回動中心O121を有する偏心カム121を有し、偏心カム121は第一壁面152に対して離間した状態から回動中心O121回りに回動することによって第一壁面152を押圧する押圧面123を有する。このように偏心カム121の回動により押圧部材120の第一壁面152に向かう進退動作を行うため、押圧部材120の構成を単純化することができる。同時に、防水部材110と第一壁面152との間の距離が短く押圧部材120の動作ストロークが短い場合でも、適切な押圧力で第一壁面152を押圧することができる。
押圧部材120は偏心カム121の回動範囲を規制する支持部124を有する。このため、偏心カム121を大幅に回動させて第一壁面152に過度の押圧力が加わることを防止することができる。また、偏心カム121は第一壁面152を押圧し第一壁面152と係合することが可能な係合部122を有する。このため、係合部122が第一壁面152と係合することで、偏心カム121が第一壁面152を押圧した状態を維持することができる。
偏心カム121の係合部122は、退避位置P1の下方にある押圧位置P2にあるときに第一壁面152を押圧して係合するため、係合部122が第一壁面152と係合する際には偏心カム121は下方に回動されている。したがって、係合部122が第一壁面152と係合している状態で偏心カム121が設けられている防水部材110に上方に向かう力が作用した場合、偏心カム121の回動中心O121に上方に向かう力が作用するため、偏心カム121の先端121aにある係合部122には偏心カム121がさらに下方に回動するように力が作用する。よって、偏心カム121の係合部122と第一壁面152との係合を解除されにくくすることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。