JP6648342B2 - 密閉型冷媒圧縮機および冷凍装置 - Google Patents

密閉型冷媒圧縮機および冷凍装置 Download PDF

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Description

本発明は、シリンダ内でピストンを往復運動させることにより冷媒を圧縮する、いわゆるレシプロ式の密閉型冷媒圧縮機と、この密閉型冷媒圧縮機を備える冷凍装置と、に関する。
いわゆるレシプロ式の冷媒圧縮機は、密閉容器内に電動要素および圧縮要素が収容されている構成を有しており、当該密閉容器内には潤滑油も封入されている。潤滑油は密閉容器内の下方に貯留されている。圧縮要素は、シリンダおよびピストンを備えており、密閉容器の上下方向を縦方向とすると、シリンダおよびピストンは、横方向(上下方向に直交する方向)に配置されている。圧縮要素は、電動要素によってピストンをシリンダ内で往復運動させることにより、冷媒を圧縮する。
このようなレシプロ式の冷媒圧縮機では、従来から低振動化が要求されているが、近年では、さらなる低振動化とともにさらなる小型化も要求されている。レシプロ式の冷媒圧縮機では、前記の通り圧縮要素が横方向に配置されるシリンダおよびピストンを備えているので、ピストンの往復運動により横方向に荷重のアンバランス(不均衡)が発生しやすい。この荷重のアンバランスが、冷媒圧縮機の振動の大きな要因の一つとなっている。
そこで、従来から、荷重のアンバランスを緩和(軽減あるいは相殺)するための手法として、圧縮要素または電動要素にバランスウェイトを取り付けることが知られている。圧縮要素は、シリンダブロックの軸受部により主軸部が軸支されるクランクシャフトを備えている。そこで、このクランクシャフトに対してバランスウェイトを取り付ける手法が知られている。また、電動要素は、固定子および回転子を備えているが、このうち回転子の上面または下面にバランスウェイトを取り付ける手法が知られている。
例えば、特許文献1には、クランクシャフトの偏心軸部にバランスウェイトを固定するとともに、電動要素の回転子の端面に、一部に直角曲げ部を有する圧延材からなるウェイト部を一体化した端板を設ける構成が開示されている。この構成によれば、バランスウェイトおよびウェイト部により荷重のアンバランスを緩和できるとともに、ウェイト部が端板に一体化することで、組立作業性の向上および部品点数の増加の防止を図っている。
ところで、クランクシャフトは、主軸部および偏心軸部に加えて給油機構を備えている。主軸部および軸受部、あるいは、偏心軸部および連結手段(コンロッド)等は、相互に摺動部を形成するので、給油機構は、密閉容器内の下方に貯留される潤滑油をこれら摺動部に供給して潤滑する。代表的な給油機構としては、例えば、特許文献2に開示されるように、第1給油通路、給油溝、および第2給油通路等を備える構成が挙げられる。
第1給油通路は、主軸部の下端部から上方に向かって延伸するように設けられた孔であり、主軸部の軸心(回転軸中心)に対して傾斜している。第1給油通路の上端は主軸部の外側面に形成されたらせん状の給油溝に連通している。また、第2給油通路は主軸部から偏心軸部に亘って設けられており、給油溝に連通している。
密閉容器内に貯留されている潤滑油は、クランクシャフトの回転による遠心力で第1給油通路内に吸い上げられ、給油溝に供給され、さらに給油溝から第2給油通路に供給される。給油溝の供給された潤滑油は、主軸部および軸受部で構成される摺動部を潤滑し、第2給油通路に供給された潤滑油は、連結手段および偏心軸部で構成される摺動部を潤滑する。第1給油通路は、前記の通り傾斜孔として主軸部の内部に設けられることで、クランクシャフトの回転による遠心力で潤滑油を吸い上げやすくすることができる。
特開2013−087685号公報 特開2016−075260号公報
ここで、近年では、密閉型冷媒圧縮機において、従来よりもさらに一層の低振動化が要求されている。
特許文献2に開示されるように、主軸部の下端部に設けられる給油通路が傾斜孔であれば、主軸部における荷重のアンバランスの原因となり得る。ただし、給油通路に由来する主軸部の荷重のアンバランスは、ピストンの往復運動に由来する荷重のアンバランスに比較して十分に小さいものである。そのため、従来では、冷媒圧縮機の振動増加の原因であるとは考えられていなかったが、近年のさらなる低振動化の要求に応じるためには、主軸部の構造に起因する荷重のアンバランスについても、できるだけ緩和(軽減あるいは相殺)すべきことが明らかとなった。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、主軸部の荷重のアンバランスを緩和してさらなる低振動化を実現することが可能な、レシプロ式の密閉型冷媒圧縮機を提供することを目的とする。
本発明に係る密閉型冷媒圧縮機は、前記の課題を解決するために、内部に潤滑油が封入され、下方に前記潤滑油が貯留されている密閉容器と、当該密閉容器内に収容される電動要素と、前記密閉容器内に収容され、前記電動要素によって駆動される圧縮要素と、を備え、前記圧縮要素は、主軸部および偏心軸部を含むクランクシャフトと、上下方向に交差する方向に沿って前記密閉容器内に配置されるシリンダと、前記偏心軸部に連結され、前記シリンダ内で往復運動するピストンと、を備え、前記電動要素は、固定子と、前記主軸部が固定された回転子と、を備え、さらに、前記回転子には、少なくとも前記主軸部の構造に起因する荷重のアンバランスを調整するバランス調整手段が設けられている構成である。
前記構成によれば、クランクシャフトの主軸部自体の構造に起因して当該主軸部に生じる荷重のアンバランスを、主軸部またはクランクシャフトにおいて調整するのではなく、主軸部に固定される回転子にバランス調整手段を設けることにより調整している。回転子は、クランクシャフトの軸方向に対して直交する方向に広がりを有する円筒状または円柱状であるので、細長い形状のクランクシャフトまたは主軸部に比べてバランス調整手段が設けやくなるとともに、バランス調整手段を設ける位置を微調整することも可能となる。これにより、圧縮機本体全体として見たときに、主軸部の荷重のアンバランスを良好に緩和(軽減あるいは相殺)することができる。その結果、密閉型冷媒圧縮機のさらなる低振動化を実現することが可能となる。
また、本発明には、前記構成の密閉型冷媒圧縮機を備えている冷凍装置も含まれる。これにより、さらなる低振動化が実現可能な密閉型冷媒圧縮機を提供することができる。
本発明では、以上の構成により、主軸部の荷重のアンバランスを緩和してさらなる低振動化を実現することが可能な、レシプロ式の密閉型冷媒圧縮機を提供することができる、という効果を奏する。
本開示の実施の形態1に係る密閉型冷媒圧縮機の一構成例を示す断面図である。 図1に示す密閉型冷媒圧縮機が備えるクランクシャフトの一構成例を示す、異なる側面図の対比図である。 図3A〜図3Cは、図1に示す密閉型冷媒圧縮機が備える回転子の一構成例を示す図である。 図3A〜図3Cに示す回転子に設けられるバランス調整手段の一例であるバランス穴の位置を説明する模式図である。 図2に示すクランクシャフトにおける重心位置の一例を示す模式的側面図である。 図2に示すクランクシャフトにおける重心位置の一例を示す模式的側面図である。 図5および図6に示すクランクシャフトに固定された回転子に設けられるバランス穴の好ましい位置を説明する模式図である。 本実施の形態1に係る密閉型冷媒圧縮機と従来の形態に係る密閉型冷媒圧縮機とを、それぞれインバータ駆動したときの回転数と振動の大きさとの関係を示すグラフである。 本実施の形態1に係る密閉型冷媒圧縮機において、バランス穴の位置の変化と振動の大きさとの関係を示すグラフである。 図2に示すクランクシャフトにおける重心位置の他の例を示す模式的側面図である。 図2に示すクランクシャフトにおける重心位置の他の例を示す模式的側面図である。 図10および図11に示すクランクシャフトに固定された回転子に設けられるバランス穴の好ましい位置を説明する模式図である。 図13A,図13Bは、図3A〜図3Cに示す回転子およびバランス調整手段の他の例を示す模式図である。 本開示の実施の形態2に係る密閉型冷媒圧縮機の一構成例を示す断面図である。 図15A〜図15Cは、図14に示す密閉型冷媒圧縮機が備える電動要素の他の構成例を示す図である。 本開示の実施の形態3に係る冷凍装置である物品貯蔵装置の一構成例を示す模式図である。
本開示に係る密閉型冷媒圧縮機は、内部に潤滑油が封入され、下方に前記潤滑油が貯留されている密閉容器と、当該密閉容器内に収容される電動要素と、前記密閉容器内に収容され、前記電動要素によって駆動される圧縮要素と、を備え、前記圧縮要素は、主軸部および偏心軸部を含むクランクシャフトと、上下方向に交差する方向に沿って前記密閉容器内に配置されるシリンダと、前記偏心軸部に連結され、前記シリンダ内で往復運動するピストンと、を備え、前記電動要素は、固定子と、前記主軸部が固定された回転子と、を備え、さらに、前記回転子には、少なくとも前記主軸部の構造に起因する荷重のアンバランスを調整するバランス調整手段が設けられている構成である。
前記構成によれば、クランクシャフトの主軸部自体の構造に起因して当該主軸部に生じる荷重のアンバランスを、主軸部またはクランクシャフトにおいて調整するのではなく、主軸部に固定される回転子にバランス調整手段を設けることにより調整している。回転子は、クランクシャフトの軸方向に対して直交する方向に広がりを有する円筒状または円柱状であるので、細長い形状のクランクシャフトまたは主軸部に比べてバランス調整手段が設けやくなるとともに、バランス調整手段を設ける位置を微調整することも可能となる。これにより、圧縮機本体全体として見たときに、主軸部の荷重のアンバランスを良好に緩和(軽減あるいは相殺)することができる。その結果、密閉型冷媒圧縮機のさらなる低振動化を実現することが可能となる。
前記構成の密閉型冷媒圧縮機においては、前記バランス調整手段は、前記回転子に設けられるバランス穴およびバランスウェイトの少なくともいずれかである構成であってもよい。
前記構成によれば、バランス調整手段として、回転子の重量を部分的に減らすことによりバランスを調整するバランス穴、もしくは、回転子の重量を部分的に増やすことによりバランスを調整するバランスウェイトを用いることになる。それゆえ、主軸部の荷重のアンバランスをより一層良好に緩和することが可能となる。
また、前記構成の密閉型冷媒圧縮機においては、前記圧縮要素は、前記主軸部を軸支する軸受部をさらに備えるとともに、前記クランクシャフトは、給油機構をさらに備えており、前記給油機構には、前記主軸部の下端面に連通する給油通路が含まれ、当該給油通路の重心位置が前記主軸部の軸心から外れており、前記バランス調整手段が前記バランス穴であるときに、前記バランス調整手段は、前記回転子において、前記給油通路の重心位置から見て、前記主軸部の軸心を挟んで対向する側に位置する、当該回転子の半円柱状領域内に設けられている構成であってもよい。
前記構成によれば、回転子においてバランス調整手段が設けられる位置を、主軸部の軸心を基準として給油通路の重心位置の反対側の領域(半円柱状領域)に特定している。これにより、主軸部の荷重のアンバランスをより良好に緩和することが可能となる。
また、前記構成の密閉型冷媒圧縮機においては、前記回転子の回転軸から前記偏心軸部の重心位置を通って延伸する半径方向の線を0°の基準線とし、前記給油通路の重心位置とは反対側となる方向の角度を正の角度としたときに、前記バランス調整手段は、前記回転子の半円柱状領域のうち、前記基準線から見て5〜175°の範囲内となる扇形柱状領域内に設けられている構成であってもよい。
前記構成によれば、回転子においてバランス調整手段が設けられる位置を、前記の半円柱状領域内からさらに限定した扇形柱状領域に特定している。これにより、主軸部の荷重のアンバランスをより一層良好に緩和することが可能となる。
また、前記構成の密閉型冷媒圧縮機においては、前記バランス調整手段は、前記回転子の半円柱状領域のうち、前記基準線から見て5〜40°の範囲内となる扇形柱状領域内、および、140〜175°の範囲内となる扇形柱状領域内の少なくとも一方に設けられている構成であってもよい。
前記構成によれば、回転子においてバランス調整手段が設けられる位置を、前記の扇形柱状領域内からさらに限定した2つの扇形柱状領域の少なくともいずれかの領域に特定している。これにより、主軸部の荷重のアンバランスをさらに一層良好に緩和することが可能となる。
また、前記構成の密閉型冷媒圧縮機においては、前記バランス穴は、前記回転子の鉄心に設けられている構成であってもよい。
前記構成によれば、バランス穴を回転子の鉄心に設けることになるため、荷重のアンバランスの状況に応じて、より簡素な構成のバランス穴を良好な自由度で設けることができる。これにより、回転子の荷重のバランスを良好に調整することができる。
また、前記構成の密閉型冷媒圧縮機においては、前記バランス穴は、前記回転子の回転軸方向に沿って延伸する構成であってもよい。
前記構成によれば、回転軸方向に沿ってバランス穴を設けることになるため、回転子の荷重のバランスを良好に調整することができる。
また、前記構成の密閉型冷媒圧縮機においては、前記バランス穴は、底面を有する止まり穴または貫通孔である構成であってもよい。
前記構成によれば、バランス穴の深さを調整することで荷重のバランスを調整することになるので、回転子の荷重のバランスを良好に調整することができる。
また、前記構成の密閉型冷媒圧縮機においては、前記バランス調整手段は、前記主軸部の構造に起因する荷重のアンバランスに加えて、前記ピストンの往復運動により生じる荷重のアンバランスを調整する構成であってもよい。
前記構成によれば、主軸部の構造に起因する荷重のアンバランスに加えて、ピストンの往復運動により生じる荷重のアンバランスを調整するように、前記の半円柱状領域または扇形柱状領域の好適な位置にバランス調整手段を設ければよいことになる。これにより、密閉型冷媒圧縮機全体の荷重のアンバランスを良好に緩和することが可能となる。
また、本開示には、前記構成の密閉型冷媒圧縮機を備えている冷凍装置も含まれる。これにより、さらなる低振動化が実現可能な密閉型冷媒圧縮機を提供することができる。
以下、本開示の代表的な実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
(実施の形態1)
まず、本開示に係る密閉型冷媒圧縮機の代表的な構成例について、図1および図2を参照して具体的に説明する。
[密閉型冷媒圧縮機の構成例]
図1に示すように、本実施の形態1に係る密閉型冷媒圧縮機10Aは、密閉容器11内に収容される電動要素20Aおよび圧縮要素30を備えており、密閉容器11の内部には、冷媒ガスおよび潤滑油13が封入されている。電動要素20Aおよび圧縮要素30は圧縮機本体12を構成している。この圧縮機本体12は、密閉容器11の底部に設けられているサスペンションスプリング14によって弾性的に支持された状態で、当該密閉容器11内に配置されている。
密閉容器11には、吸入管15および吐出管16が設けられている。吸入管15は、その一端が密閉容器11の内部空間に連通し、他端が図示しない冷凍装置に接続され、冷媒回路等の冷凍サイクルを構成している。吐出管16は、その一端が圧縮要素30に接続され、他端が冷凍装置に接続されている。後述するように圧縮要素30で圧縮された冷媒ガスは、吐出管16を介して冷媒回路に導かれ、冷媒回路からの冷媒ガスは、吸入管15を介して密閉容器11の内部空間に導かれる。
密閉容器11の具体的な構成は特に限定されないが、本実施の形態では、例えば、鉄板の絞り成形によって形成されている。密閉容器11内に封入されている冷媒ガスは、密閉型冷媒圧縮機10Aが適用される冷媒回路において、低圧側と同等となる圧力で比較的低温の状態で封入されている。また、潤滑油13は、密閉容器11内に封入されており、圧縮要素30が備えるクランクシャフト40(後述)を潤滑する。潤滑油13は、図1に示すように、密閉容器11の下方の底部に貯留されている。
なお、冷媒ガスの種類は具体的に限定されず、冷凍サイクルの分野で公知のガスが好適に用いられる。本実施の形態では、例えば、炭化水素系冷媒ガスであるR600a等が好適に用いられる。R600aは、地球温暖化係数が相対的に低く、地球環境保護の観点から好ましく用いられる冷媒ガスの一つである。また、潤滑油13の種類も具体的に限定されず、圧縮機の分野で公知のものを好適に用いることができる。
電動要素20Aは、図1に示すように、少なくとも固定子(ステータ)21Aおよび回転子(ロータ)22Aで構成されている。固定子21Aは、圧縮要素30が備えるシリンダブロック31(後述)の下方に、図示しないボルト等の締結具によって固定され、回転子22Aは、固定子21Aの内側で、固定子21Aと同軸上に配置されている。回転子22Aは、圧縮要素30が備えるクランクシャフト40(後述)の主軸部41を、例えば焼嵌め等により固定している。
固定子21Aは図示しない巻線を複数有しており、回転子22Aは、複数の巻線に対向するように、図示しない複数の永久磁石を有している。本実施の形態では、図1に示すように、回転子22Aは、当該回転子22Aの本体となる鉄心内に永久磁石が埋め込まれている。したがって、電動要素20AはIPM(Interior Permanent Magnet Motor)型モータである。また、回転子22Aは、固定子21Aの内側に配置されているので、本実施の形態における電動要素20Aはインナーロータ型モータである。
回転子22Aは、図中一点鎖線で示す縦方向に沿った軸心Z1で回転する。回転子22Aの下面は、潤滑油13の油面に対向し、回転子22Aの上面は、シリンダブロック31(後述)の一部である軸受部35に対向している。また、回転子22Aには、図1に示すように、バランス調整手段としてバランス穴27が設けられている。なお、バランス穴27を含む回転子22Aの具体的な構成については後述する。これら固定子21Aおよび回転子22Aを備える電動要素20Aは、図示しない外部のインバータ駆動回路に接続され、複数の運転周波数によりインバータ駆動される。
圧縮要素30は、電動要素20Aによって駆動され、冷媒ガスを圧縮する。本実施の形態では、図1に示すように、圧縮要素30は、電動要素20Aの上方に位置するように、密閉容器11内に収容されている。また、図1に示すように、圧縮要素30は、シリンダブロック31、シリンダ32、ピストン33、圧縮室34、軸受部35、クランクシャフト40、スラストベアリング36、バルブプレート37、シリンダヘッド38、吸入マフラー39等を備えている。
シリンダブロック31には、シリンダ32および軸受部35が設けられている。シリンダ32は、上下方向に交差する方向に沿って配置され、軸受部35に固定されている。具体的には、密閉型冷媒圧縮機10Aを水平面上に載置したときに、上下方向を縦方向とし、水平方向(上下方向に対して直交する方向)を横方向としたときに、シリンダ32は、密閉容器11内において横方向に沿って配置されている。軸受部35は後述するようにクランクシャフト40の主軸部41を回転可能に支持するが、シリンダ32は、主軸部41から見て外側となる位置に偏在するように軸受部35に固定されている。
シリンダ32の内部には、ピストン33と略同径の略円筒形のボアが形成され、ピストン33が往復摺動自在な状態で内部に挿入されている。シリンダ32とピストン33とによって圧縮室34が形成されており、この内部で冷媒ガスが圧縮される。また、軸受部35は、クランクシャフト40の主軸部41を回転自在に軸支している。
クランクシャフト40は、密閉容器11内において、その軸が縦方向となるように支持されており、図2にも示すように、主軸部41、偏心軸部42、フランジ部43、コンロッド44、給油機構50等を備えている。主軸部41は、前記の通り、電動要素20Aの回転子22Aに固定されており、偏心軸部42は主軸部41に対して偏心して設けられている。フランジ部43は、主軸部41と偏心軸部42とを一体的に接続する。また、フランジ部43と軸受部35との間にはスラストベアリング36が設けられている。
シリンダブロック31に設けられる軸受部35は、クランクシャフト40の主軸部41を回転可能に支持する。そのため主軸部41の外周面と軸受部35の内周面とは摺動面となっている。軸受部35の上面にはスラストベアリング36が設けられ、スラストベアリング36の上面にはクランクシャフト40のフランジ部43が当接している。主軸部41の回転時にはフランジ部43も回転するが、このフランジ部43の回転は、スラストベアリング36によっても支持される。
コンロッド44は、クランクシャフト40の偏心軸部42とピストン33とを連結する連結部(連結手段)であり、後述するように、コンロッド44によってクランクシャフト40の回転運動がピストン33に伝達される。給油機構50は、図2に示すように、潤滑油13に浸漬された主軸部41の下端から偏心軸部42の上端までを連通するように設けられており、クランクシャフト40、軸受部35、スラストベアリング36等に対して潤滑油13を給油する。なお、給油機構50の具体的な構成例については後述する。
前記の通り、シリンダ32に挿入されたピストン33は、コンロッド44に連結されている。ピストン33の軸は、クランクシャフト40の軸方向に対して交差する方向となるように設けられている。本実施の形態では、クランクシャフト40は、軸心が縦方向となるように設けられているが、ピストン33は、軸心が横方向となるように設けられている。したがって、ピストン33の軸方向は、クランクシャフト40の軸方向に対して直交する方向となっている。
コンロッド44は、前記の通り、ピストン33と偏心軸部42とを連結している。主軸部41の回転によりフランジ部43および偏心軸部42が回転するので、電動要素20Aによって回転するクランクシャフト40の回転運動は、コンロッド44を介してピストン33に伝達される。これにより、ピストン33はシリンダ32内で往復運動する。
シリンダ32の一方の端部(クランクシャフト40側)には、前記の通りピストン33が挿入されているが、他方の端部(クランクシャフト40の反対側)は、バルブプレート37およびシリンダヘッド38によって封止されている。バルブプレート37は、シリンダ32およびシリンダヘッド38の間に位置しており、図示しない吸入バルブおよび吐出バルブが設けられている。シリンダヘッド38の内部には吐出空間が形成されており、圧縮室34からの冷媒ガスは、バルブプレート37の吐出バルブの開放時にシリンダヘッド38の吐出空間に吐出される。シリンダヘッド38は吸入管15に連通している。
吸入マフラー39は、シリンダ32およびシリンダヘッド38から見て、密閉容器11内の下方に位置する。吸入マフラー39は内部に消音空間を有する。吸入マフラー39は、バルブプレート37を介して圧縮室34に連通しているので、バルブプレート37の吸入バルブの開放時には、吸入マフラー39内の冷媒ガスは圧縮室34内に吸入される。
なお、図1および図2には明確に図示しないが、クランクシャフト40に対しては、ピストン33の往復運動により生じる荷重のアンバランス(不均衡)を緩和(軽減あるいは相殺)するために、バランスウェイトが取り付けられてもよい。具体的には、例えば、クランクシャフト40の上端すなわち偏心軸部42の上端にクランクウェイトを取り付けてもよいし、フランジ部43にシャフトウェイトを取り付けてもよい。
[給油機構の構成例]
次に、クランクシャフト40に設けられている給油機構50の代表的な構成例について、図2を参照して説明する。
給油機構50は、図2に示すように、第一給油通路51、第一連通孔52、給油溝53、給油孔部54、第二給油通路55、第二連通孔56等を備えている。なお、図2では、向かって左側の図(左図)が、主軸部41の軸心Z1と偏心軸部42の軸心Z2とが一致し、かつ、偏心軸部42が手前側(主軸部41が奥側)となる方向からクランクシャフト40を見た側面図であり、向かって右側の図(右図)が、主軸部41の軸心Z1と偏心軸部42の軸心Z2とが最も離間する方向からクランクシャフト40を見た側面図である。
説明の便宜上、クランクシャフト40が延伸する方向(長手方向)を「上下方向」としたときに、主軸部41および偏心軸部42が並列している方向をクランクシャフト40の「縦方向」とし、この縦方向に直交し、かつ、主軸部41および偏心軸部42が並列している状態を目視できる方向をクランクシャフト40の「横方向」とすれば、図2の左図は、クランクシャフト40の「縦側面図」となり、図2の右図は、クランクシャフト40の「横側面図」となる。
また、図2の縦側面図(左図)は、縦方向のうち偏心軸部42を手前とする側面からクランクシャフト40を図示している。説明の便宜上、このように縦方向において偏心軸部42を手前とする側を「前側」とし、その反対側すなわち縦方向において主軸部41を手前とする側を「後側」とする。
また、図2の横側面図(右図)は、横方向のうち偏心軸部42が左側に位置し主軸部41が右側に位置する側面からクランクシャフト40を図示している。このように横方向において偏心軸部42が左側に位置する側を「表側」とし、その反対側すなわち偏心軸部42が右側に位置(主軸部41が左側に位置)する側を「裏側」とする。図2に示す例では、フランジ部43は、後側の部分が横方向(表側および裏側)に広がりを有している。
第一給油通路51は、図2において破線で示すように、主軸部41の下端内部に設けられており、主軸部41の下端の端面から上方に向かって延伸するように形成された孔として構成されている。また、図2の縦側面図(左図)に示すように、第一給油通路51は、主軸部41の軸心Z1に対して傾斜している。つまり、第一給油通路51は、上方に向かうに伴って第一給油通路51の中心線が軸心Z1から横方向に離間するように傾斜している。図2に示す例では、第一給油通路51は、表側(縦側面図における向かって右側)に向かって傾斜しているが、これに限定されず、裏側(縦側面図における向かって左側)に傾斜してもよいし、必ずしも傾斜していなくてもよい。
第一連通孔52は、図2の縦側面図(左図)において破線で示し、横側面図(右図)において実線で示すように、第一給油通路51の上端において主軸部41の外側面に連通するように設けられている。また、この第一連通孔52は、主軸部41の外周面に設けられている給油溝53にもつながっている。それゆえ、第一給油通路51と給油溝53とは、第一連通孔52を介して連通していることになる。図2に示す例では、第一給油通路51が表側に向かって傾斜しているので、第一連通孔52は、主軸部41の表側となる外周面に連通しているが、これに限定されない。
給油溝53は、図2に示すように、主軸部41の外周面に螺旋状に形成されている溝状部である。給油溝53の下側の端部(一端)は、前記の通り、第一連通孔52を介して第一給油通路51に連通している。後述するように第一給油通路51から潤滑油13が給油されるので、給油溝53の一端(第一連通孔52側の端部)は、潤滑油13の上流端となる。また、給油溝53の上側の端部(他端)は、主軸部41における上端の外周面、言い換えれば、主軸部41においてフランジ部43の下面に隣接する位置まで達しており、給油孔部54につながっている。したがって、給油溝53の他端(給油孔部54側の端部)は、潤滑油13の下流端となる。
図2に示す例では、給油溝53は、潤滑油13の上流側から見て下流側が上に向かうように、主軸部41の軸心Z1に対して傾斜する螺旋状として形成されている。そのため、図2の縦側面図(左図)では、手前側である前側の外周面に位置する給油溝53を実線で示し、反対側である後側の外周面に位置する給油溝53を破線で図示している。一方、図2の横側面図(右図)では、手前側である表側の外周面に位置する給油溝53のみを図示し、反対側である裏側の外周面に位置する給油溝53は図示していない。また、図2に示す例(縦側面図)では、給油溝53は、主軸部41の外周面を約1回半(約1.6周)程度巻き回すように形成されているが、これに限定されない。
給油孔部54は、図2の縦側面図(左図)に示すように、前記の通り、給油溝53の上側の端部につながるように主軸部41の上端の外周面に設けられており、第二給油通路55に連通している。給油孔部54は、主軸部41の外側面に開口を有する凹部として形成されており、開口側が給油溝53につながり、凹部内のうち上側に第二給油通路55が連通している。図2に示す例では、給油孔部54は、主軸部41の上端の外周面において裏側に開口するように形成されているが、これに限定されない。
第二給油通路55は、図2の縦側面図(左図)に示すように、主軸部41の上端内部からフランジ部43の内部を介して偏心軸部42の内部に亘って上方に延伸するように形成された管状部となっている。第二給油通路55の下端は前記の通り給油孔部54に連通しており、第二給油通路55の上端は偏心軸部42の上端に達している。図2に示す例では、給油孔部54が主軸部41の裏側となる外周面に形成されているので、第二給油通路55は、裏側から表側に傾斜(第一給油通路51と同様の方向に傾斜)しているが、これに限定されない。
第二連通孔56は、第二給油通路55における偏心軸部42内の側方から、当該偏心軸部42の外周面に連通するように設けられている。図2に示す例では、第二給油通路55が、第一給油通路51と同様に、裏側から表側に傾斜しているので、第二連通孔56は、偏心軸部42において表側となる外周面に連通するように形成されているが、これに限定されない。
[密閉型冷媒圧縮機の動作]
次に、前記構成の密閉型冷媒圧縮機10Aの動作について、その作用とともに具体的に説明する。なお、図1には図示しないが、前記の通り、密閉型冷媒圧縮機10Aは吸入管15および吐出管16を備えており、これらが周知の構成からなる冷凍装置に接続されることにより、冷媒回路を構成している。
まず、外部電源により電動要素20Aに通電されると、固定子21Aに電流が流れて磁界が発生し、回転子22Aが回転する。回転子22Aの回転によりクランクシャフト40の主軸部41が回転する。主軸部41の回転運動は、フランジ部43、偏心軸部42およびコンロッド44を介してピストン33に伝達されるので、ピストン33は、シリンダ32内を往復運動する。これに伴い、圧縮室34内で冷媒ガスの吸入、圧縮、および吐出が行なわれる。
このときの給油機構50の動作について具体的に説明する。密閉容器11内の底部に貯留された潤滑油13は、クランクシャフト40の回転による遠心力で第一給油通路51内に吸い上げられる。第一給油通路51に吸い上げられた潤滑油13は、第一連通孔52を介して給油溝53の上流端に供給される。クランクシャフト40の回転により、給油溝53の上流端に供給された潤滑油13は、給油溝53に沿って主軸部41の上端に向かって流れていき、給油溝53の下流端につながる給油孔部54に達する。
給油溝53は、前記の通り、主軸部41の外周面に巻き回される螺旋状に形成されている。主軸部41は、軸受部35の内部に回転可能に挿入され、主軸部41の外周面と軸受部35の内周面とは、クランクシャフト40の回転により摺動する。それゆえ、給油溝53を流れる潤滑油13は、主軸部41および軸受部35により構成される摺動部を潤滑する。
給油孔部54は第二給油通路55に連通しているので、給油孔部54に達した潤滑油13は第二給油通路55に供給される。ここで、給油孔部54は外周面側に連通しているので、給油孔部54に到達した潤滑油13の一部は、主軸部41の上端側の外周面に供給され、この外周面を潤滑する。さらに、主軸部41の上端側の外周面に供給された潤滑油13のさらに一部は、公知の構成により上側のフランジ部43の下面に供給することが可能である。それゆえ、この一部の潤滑油13は、フランジ部43と軸受部35との間に位置するスラストベアリング36を潤滑することができる。
第二給油通路55に供給された潤滑油13は、第二給油通路55を流れて偏心軸部42の上端に達する。第二給油通路55を流れる潤滑油13の一部は、第二連通孔56からコンロッド44に供給される。コンロッド44の内周面と偏心軸部42の外周面とは互いに摺動面であるので、第二連通孔56から供給された一部の潤滑油13は、コンロッド44および偏心軸部42により構成される摺動部を潤滑する。また、偏心軸部42の上端に達した潤滑油13は、シリンダ32およびピストン33に供給され、これらにより構成される摺動部を潤滑する。
次に、圧縮室34内における冷媒ガスの吸入、圧縮、および吐出について具体的に説明する。シリンダ32内においてピストン33が移動する方向のうち、圧縮室34の容積が増加する方向を、便宜上「増加方向」と称し、圧縮室34の容積が減少する方向を、便宜上「減少方向」と称すれば、ピストン33が増加方向に移動すると、圧縮室34内の冷媒ガスが膨張する。そして、圧縮室34内の圧力が吸入圧力を下回ると、圧縮室34内の圧力と吸入マフラー39内の圧力との差により、バルブプレート37の吸入バルブが開き始める。
この動作に伴い、冷凍装置から戻った温度の低い冷媒ガスは、吸入管15から密閉容器11の内部空間に一旦開放される。その後、冷媒ガスは、吸入マフラー39内の消音空間に導入される。このとき、前記の通り、バルブプレート37の吸入バルブが開き始めているので、導入された冷媒ガスは、圧縮室34内に流入する。その後、ピストン33が、シリンダ32内の下死点から減少方向への移動に転じると、圧縮室34内の冷媒ガスが圧縮され、圧縮室34内の圧力は上昇する。また、圧縮室34内の圧力と吸入マフラー39内の圧力との差により、バルブプレート37の吸入バルブが閉止する。
次に、圧縮室34内の圧力がシリンダヘッド38内の圧力を上回ると、圧縮室34内の圧力とシリンダヘッド38内の圧力との差により、図示しない吐出バルブが開き始める。この動作に伴い、ピストン33がシリンダ32内の上死点に達するまでの間、圧縮された冷媒ガスはシリンダヘッド38内に吐出される。シリンダヘッド38内に吐出された冷媒ガスは、吐出管16を経由して冷凍装置へ送出される。
その後、ピストン33が、シリンダ32内の上死点から再び増加方向への移動に転じると、圧縮室34内の冷媒ガスが膨張するので、圧縮室34内の圧力は低下する。圧縮室34内の圧力がシリンダヘッド38内の圧力を下回ると、バルブプレート37の吐出バルブが閉じることになる。
このような吸入、圧縮、吐出の各行程がクランクシャフト40の1回転毎に繰り返して行われるので、冷媒ガスが冷凍サイクル内を循環する。なお、このような動作を行う密閉型冷媒圧縮機10Aの具体的な駆動方法については特に限定されない。密閉型冷媒圧縮機10Aは単純なオンオフ制御で駆動されてもよいが、前述したように、複数の運転周波数によりインバータ駆動されることが好ましい。インバータ駆動では、電動要素20Aの回転数を低下させたり増加させたりすることにより密閉型冷媒圧縮機10Aの動作制御を好適化することができる。
[回転子の構成]
次に、本開示に係る密閉型冷媒圧縮機10Aにおいて、回転子22Aに設けられ、少なくとも主軸部41の構造に起因する荷重のアンバランスを調整するバランス調整手段について、図1に加えて図3A〜図3Cおよび図4を参照して具体的に説明する。
本実施の形態に係る密閉型冷媒圧縮機10Aは、図1および図3A〜図3Cに示すように、電動要素20Aが備える回転子22Aに対して、バランス調整手段としてバランス穴27が設けられている。バランス穴27は、回転子22Aの本体である鉄心に形成され、回転子22Aの回転軸方向に沿って延伸する穴であればよい。
バランス穴27の具体的構成は特に限定されない。図3A〜図3Cに示す例では、バランス穴27は、底面を有する止まり穴として構成されているが、回転子22A(本体の鉄心)を貫通する貫通孔として構成されてもよい。また、図3A〜図3Cに示す例では、バランス穴27は1つのみ設けられているが、複数設けられてもよい。さらに、後述するように、バランス調整手段はバランス穴27に限定されず、少なくとも主軸部41の構造に起因する荷重のアンバランスを調整することができるものであればよい。
なお、本実施の形態に係る回転子22Aは前記の通りIPM型であるので、図3A〜図3Cに示すように、回転子22Aの本体である鉄心には永久磁石23が埋め込まれている。それゆえ、図3Aおよび図3Cに示す例では、バランス穴27は、永久磁石23が埋め込まれている部位以外の鉄心に設けられている。また、本実施の形態では、図3Aおよび図3Cに破線で示すように、永久磁石23全体が鉄心内部に埋め込まれている。それゆえ、回転子22Aは、永久磁石23の外周面を覆う磁石保護部材を備えていない(磁石保護部材を必要としない)。
回転子22Aは、図3A〜図3Cに示すように、その中央にシャフト挿入孔26を有している。シャフト挿入孔26は、クランクシャフト40の主軸部41とシリンダブロック31の軸受部35の下端とが挿入可能となっている。したがって、シャフト挿入孔26の延伸方向の中心線が回転子22Aの回転中心であり、かつ、クランクシャフト40における主軸部41の軸心Z1となっている。なお、上面図に相当する図3Aおよび下面図に相当する図3Cでは、軸心Z1を十字印で示し、縦断面図に相当する図3Bでは一点鎖線で示している。
シャフト挿入孔26は、図3Bに示すように、上部と下部とで内径が異なる2段階構成となっている。これは、シャフト挿入孔26の上部で、主軸部41を内挿した軸受部35の一部を内挿し、下部で主軸部41のみを内挿するためである。図1に示すように、軸受部35は、シリンダブロック31の下部を構成し、本実施の形態では、密閉容器11の横方向全体に広がるような形状を有している。軸受部35の中心部は、下側に突出する円筒状となっており、主軸部41の上部を内挿している。それゆえ、シャフト挿入孔26は、その上部の径が大きく下部の径が小さくなっている。これにより、その上部で、軸受部35の円筒部(およびこの内部に内挿される主軸部41)を内挿することができ、下部で、主軸部41のみを内挿支持することができる。
回転子22Aの本体を構成する鉄心は、例えば、円板状の電磁鋼板(薄鉄板)を積層して構成される。それゆえ、複数の電磁鋼板を一体化して鉄心とするために、図1および図3Bに示すように、軸心Z1に沿った方向に貫通するように締結部材が設けられる。本実施の形態では、図3A〜図3Cに示すように、かしめピン24で複数の電磁鋼板を一体化している。また、個々の電磁鋼板には、かしめピン24を挿入するためのかしめ用孔が設けられている。
また、図3Bに示すように、回転子22Aの上面および下面には、それぞれ端板25が設けられている。端板25は、鉄心とともにかしめピン24により一体的に固定されている。図3Bに示すように、バランス穴27が鉄心に設けられていれば、図3Cに示すように、回転子22Aの下面に位置する端板25にも開口を形成すればよい。これにより、バランス穴27は、上側に底面を有し回転子22Aの下面が開放された止まり穴として形成されることになる。
回転子22Aの具体的な形状は特に限定されないが、本実施の形態では、図3Bに示すように、回転子22Aの回転軸方向(上下方向)の長さに対して、回転子22Aの直径方向(水平方向)の長さが大きい構成であることが好ましい。つまり、回転子22Aは軸方向の長さLrよりも直径Ldが大きい「太短い」構成であることが好ましい。例えば、図3Bに示すように、回転子22Aの回転軸方向の長さを「Lr」とし、回転子22Aの直径を「Ld」としたときに、長さLrは、直径Ldよりも小さくなっている構成であればよい(Lr<Ld)。
回転子22Aにおいてバランス調整手段を設ける位置については特に限定されず、少なくとも主軸部41の荷重のアンバランスを緩和(軽減あるいは相殺)できるような位置であればよい。バランス調整手段を設ける代表的な位置としては、主軸部41における荷重のアンバランスの主要因の一つである、第一給油通路51の重心位置を基準とした位置を挙げることができる。
前記の通り、第一給油通路51は、主軸部41の軸心Z1に対して傾斜している(図2の縦側面図参照)ので、これにより主軸部41には荷重のアンバランスが生じる。従来では、この荷重のアンバランスは、無視することが可能であったが、近年のさらなる低振動化の要求に応じるためには、第一給油通路51に由来する荷重のアンバランスをできるだけ緩和する必要性が生じる。そのため、回転子22Aにバランス調整手段を設けるためには、少なくとも第一給油通路51という空間部の重心位置を考慮する必要がある。
ここで、クランクシャフト40は、主軸部41だけでなく、この主軸部41とは軸心の異なる偏心軸部42を備えている。そのため、主軸部41の荷重のアンバランスを緩和するためには、第一給油通路51の重心位置だけでなく、偏心軸部42の重心位置を考慮する必要がある。
さらに前述したように、クランクシャフト40に対しては、通常、ピストン33の往復運動に由来する荷重のアンバランスを緩和するために、バランスウェイトが取り付けられる。そのため、主軸部41の荷重のアンバランスを緩和するためには、このバランスウェイトの重心位置も考慮する必要がある。
そこで、第一給油通路51の重心位置を「給油通路重心W1」とし、偏心軸部42の重心位置を「偏心軸部重心W2」とし、クランクシャフト40に設けられるバランスウェイトの位置を「ウェイト重心W3」とすると、図4において、それぞれの重心をXマークで示すように、偏心軸部重心W2およびウェイト重心W3は、回転子22Aの回転軸すなわち主軸部41の軸心Z1とともに直線上に位置し、給油通路重心W1は、この直線から外れて位置することになる。
軸心Z1から見て給油通路重心W1の位置する方向をD1方向とし、偏心軸部重心W2の位置する方向をD2方向とし、ウェイト重心W3が位置する方向をD3方向とすれば、D2方向およびD3方向に対応する線は、回転子22Aの直径に一致し、D1方向は、この直径に対して実質的に直交する方向となる。すなわち、回転子22Aを上下方向(軸心Z1方向)に沿って二等分したときに、給油通路重心W1は、二等分した一方の半円柱状領域内に位置することになる。
それゆえ、バランス調整手段は、給油通路重心W1が位置する一方の半円柱状領域ではなく、他方の半円柱状領域に設ければよいことになる。なお、図4では、説明の便宜上、給油通路重心W1が位置する一方の半円柱状領域を「重心側半円柱状領域22a」とし、バランス調整手段が設けられる他方の半円柱状領域を「調整側半円柱状領域22b」とする。
図4に示す例では、バランス調整手段はバランス穴27であり、給油通路重心W1は、図中上側である重心側半円柱状領域22aに位置している(厳密には、給油通路重心W1は主軸部41内に位置するので、図4では、回転子22Aにおけるシャフト挿入孔26内に給油通路重心W1が位置する)。バランス穴27は、図4において点線で図示するように、図中下側である調整側半円柱状領域22bのいずれかの位置に設ければよいことになる。
このように、回転子22Aにおいてバランス穴27(バランス調整手段)を設ける位置としては、給油通路重心W1から見て、軸心Z1を挟んで対向する側に位置する、回転子22Aにおける調整側半円柱状領域22b内を挙げることができる。
また、この調整側半円柱状領域22bは、回転子22Aの回転軸(すなわち主軸部41の軸心Z1)を基準とした角度範囲で表現することができる。具体的には、回転子22Aの回転軸(軸心Z1)から偏心軸部重心W2を通って延伸する半径方向の線を0°の基準線とし、給油通路重心W1とは反対側となる方向の角度を正の角度としたときに、バランス調整手段は、回転子22Aにおける調整側半円柱状領域22bのうち、基準線から見て0〜180°の範囲内となる。この基準線はD2方向の線に一致する。
クランクシャフト40に取り付けるバランスウェイトとしては、前記の通り、偏心軸部42の上端に設けられるクランクウェイト、または、フランジ部43に設けられるシャフトウェイト等の選択肢がある。一方、主軸部41に対する偏心軸部42の位置には基本的に選択肢がない。そこで、本実施の形態では、回転子22Aの直径に対応するD2方向およびD3方向のうち、偏心軸部重心W2の位置する方向であるD2方向に対応する線を角度0°の基準線とする。
また、バランス穴27(バランス調整手段)は、給油通路重心W1が位置する重心側半円柱状領域22a(図4の上側)の反対側となる調整側半円柱状領域22b(図4の下側)に設けられるので、0°の基準線であるD2方向から見て、調整側半円柱状領域22bに向かう方向の角度を正(プラス)の角度とすればよい。なお、重心側半円柱状領域22aに向かう方向の角度は負(マイナス)の角度となる。それゆえ、バランス穴27を設ける位置は、回転子22Aにおいて0〜180°の範囲内となる半円柱状領域(調整側半円柱状領域22b)内であればよいことになる。図4においては、この角度範囲を、破線の双方向矢印θ1として図示している(0°≦θ1≦180°)。
ここで、バランス穴27を設ける好ましい領域としては、調整側半円柱状領域22b全体ではなく、より狭めた範囲内を設定することができる。従来では、給油通路重心W1を無視していたので、図4における3つの重心のうち、偏心軸部重心W2およびウェイト重心W3の2つを考慮すればよい状態であった。例えば、これら2つの重心のうちウェイト重心W3が荷重のアンバランスの原因となり、このアンバランスを緩和するためにバランス調整手段としてバランス穴27を設けるとすれば、バランス穴27の位置はD2方向の線の直上すなわち角度0°の位置となる。逆に、偏心軸部重心W2がアンバランスの原因であれば、バランス穴27の位置はD3方向の線の直上すなわち角度180°となる。
しかしながら、本開示においては、従来無視していた給油通路重心W1を考慮する必要がある。そのため、バランス穴27により調整される荷重のアンバランスの状況にもよるが、バランス穴27は、角度0°または角度180°近傍から、給油通路重心W1とは反対側に向けて少しずらすことが好ましい。
そこで、図4において点線の双方向矢印θ2の角度範囲で示すように、バランス穴27(バランス調整手段)は、調整側半円柱状領域22b(角度範囲0〜180°)のうち5〜175°の範囲内(5°≦θ2≦175°)となる扇形柱状領域内に設けられることが好ましい。言い換えれば、角度0°または角度180°の位置から5°以上ずらした位置にバランス穴27を設けることが好ましい。
なお、主軸部41に生じる荷重のアンバランスの主因となる構造は、前記の通り、傾斜した第一給油通路51であるが、主軸部41の外周面に巻き回すように設けられる給油溝53、第一連通孔52、給油孔部54も荷重のアンバランスの原因構造となり得る。そこで、給油通路重心W1の位置は、第一給油通路51の重心だけでなく給油溝53、第一連通孔52、給油孔部54による重心のずれも考慮して設定されてもよい。バランス穴27は、第一給油通路51の重心および給油溝53、第一連通孔52、給油孔部54の重心を考慮するように、調整側半円柱状領域22b内に設けられればよい。
また、バランス穴27等のバランス調整手段は、主軸部41の構造に起因する荷重のアンバランスに加えて、ピストン33の往復運動により生じる荷重のアンバランスを調整するために回転子22Aに設けられてもよい。したがって、ピストン33の往復運動に由来するアンバランスは、クランクシャフト40に設けられるバランスウェイトとともに回転子22Aに設けられるバランス調整手段により緩和することができる。
[バランス調整手段の位置]
次に、クランクシャフト40に設けられるバランスウェイトの位置に基づいて、回転子22A(調整側半円柱状領域22b)のうちバランス穴27を設けるより好ましい領域について、図5〜図12を参照して具体的に説明する。
例えば、図5または図6に示すように、バランスウェイトとして偏心軸部42の上端にクランクウェイト45を設けた場合について、より好ましいバランス穴27の位置について説明する。図5は、図2の縦側面図(左図)に対応し、図6は、図2の横側面図(右図)に対応する。
これら図5および図6では、主軸部41に固定される回転子22Aについても模式的断面図として図示するとともに、給油通路重心W1、偏心軸部重心W2、およびウェイト重心W3についても図4と同様にXマークで図示している。ただし図5および図6(並びに図7)では、ウェイト重心W3はクランクウェイト45の重心位置であることを明確化するために、ウェイト重心W3−1と表記する。
図5に示すように、バランスウェイトが偏心軸部42の上部に設けられるクランクウェイト45であれば、縦方向前側から見れば、ウェイト重心W3−1は、偏心軸部42の上側で主軸部41の軸心Z1(偏心軸部42の軸心Z2に重なる)上の位置となる。また、図6に示すように横方向表側から見れば、ウェイト重心W3−1は軸心Z1から見て後側(図中右側)に偏在している。そのため、図6においてブロック矢印Fcで示すように、クランクシャフト40が回転しているときには、クランクウェイト45に対して後側に遠心力がかかる。
偏心軸部重心W2は、図5に示すように縦方向前側から見れば、偏心軸部42において軸心Z2(軸心Z1に重なる)上の位置となる。また、図6に示すように横方向表側から見れば、偏心軸部42は主軸部41に対して前側に偏心しているので、図6においてブロック矢印Fcで示すように、クランクシャフト40が回転しているときには、偏心軸部42に対して前側に遠心力がかかる。
給油通路重心W1は、図5に示すように縦方向前側から見れば、主軸部41において軸心Z1から第一給油通路51の傾斜方向に応じて少しずれた位置となる(図5では図中右側の表側に傾斜)。図5では、給油通路重心W1が軸心Z1からずれた位置をアンバランス半径Raとして示している。また、図6に示すように横方向表側から見れば、第一給油通路51は横方向には傾斜していないので、給油通路重心W1は軸心Z1上の位置となる。
ここで、回転子22Aには、第一給油通路51に由来する荷重のアンバランスを調整するバランス調整手段としてバランス穴27が設けられているとする。図5に示すように縦方向前側から見れば、主軸部41の手前側に位置する(図5では主軸部41により隠れてしまう)が、バランス穴27の重心位置である「バランス穴重心W0」は、軸心Z1から給油通路重心W1とは反対側に少しずれた位置となる(図5では図中左側の手前側にずれている)。
また、図6に示すように横方向表側から見れば、バランス穴27は、クランクシャフト40から見て前側となる位置の回転子22Aに設けられる。図6に示す例では、バランス穴27は下側に開口する止まり穴であるため、バランス穴重心W0は、回転子22Aの下側に偏在している。
図6においてブロック矢印Fcで示すように、クランクシャフト40が回転しているときには、回転子22Aに対しては、バランス穴27が設けられている側(前側)の反対側である後側に遠心力がかかる。したがって、図6においては、ブロック矢印Fcで示す3箇所の遠心力により、クランクシャフト40における上下の部位を回転させようとする力(モーメント)が低減される。そのため、クランクシャフト40の振れ回る力が低減されることになる。
このように、バランスウェイトがクランクウェイト45であるときに、回転子22Aに設けられるバランス穴27のより好ましい位置としては、図7に示すように、角度範囲θ3となる扇形柱状領域内が挙げられる。この角度範囲θ3にバランス穴27を設けることで、図5に示すアンバランス半径Raを良好に緩和(軽減あるいは相殺)することが可能となる。
回転子22Aを下面から見たときには、図7に示すように、給油通路重心W1、偏心軸部重心W2、およびウェイト重心W3−1の位置関係は、図4と同様である。また、これら3つの重心位置とバランス穴重心W0とは、前述した位置関係(図5および図6参照)にある。このとき、第一給油通路51に由来する荷重のアンバランス(アンバランス半径Ra)を緩和するためには、調整側半円柱状領域22bのうち、基準線(D2方向)から見て5〜40°の範囲内となる扇形柱状領域内(5°≦θ3≦40°)にバランス穴27が設けられることがより好ましい。
なお、前記の通り、バランス穴27は回転子22Aに複数設けられてもよいが、この場合、複数のバランス穴27の全てにおけるバランス穴重心W0が考慮すべき重心位置となる。
本開示に係る密閉型冷媒圧縮機10Aにおいては、前述したように、複数の運転周波数でインバータ駆動されることが好ましい。前記の通り、インバータ駆動では、電動要素20Aの回転数を低下させる低速運転と、電動要素20Aの回転数を増加させる高速運転とが発生する。密閉型冷媒圧縮機10Aの種類またはインバータ運転の条件にもよるが、サスペンションスプリング14によって弾性的に支持された圧縮機本体12の固有振動数はインバータ運転の低速回転数に近いことが一般的であるため、高速運転時には、第一給油通路51に由来する主軸部41の荷重のアンバランスは従来通り無視できることが多い。
これに対して、低速運転時には、密閉型冷媒圧縮機10Aの種類またはインバータ運転の条件にもよるが、サスペンションスプリング14によって弾性的に支持された圧縮機本体12の固有振動数に運転回転数が近づくので、主軸部41の構造に起因して当該主軸部41に荷重のアンバランスが生じていると、この主軸部41の荷重のアンバランスが振動の原因となることが明らかとなった。例えば、従来の形態に係る密閉型冷媒圧縮機(従来圧縮機)と本実施の形態に係る密閉型冷媒圧縮機10A(本形態圧縮機)とのそれぞれをインバータ運転したときに、運転時の回転数と振動との関係をグラフで示した運転結果を図8に示す。本形態圧縮機と従来圧縮機との違いは、基本的に、回転子22Aにバランス穴27が設けられているか否かのみである。
このグラフでは、縦軸が振動の相対的な大きさを示し、横軸が電動要素20Aの回転数(単位:r/s)を示す。また、破線が従来圧縮機の結果であり、実線が本形態圧縮機である。また、この運転結果における横軸の回転数は、従来圧縮機および本形態圧縮機が備える具体的な構成に基づく数値であり、具体的な構成が異なったり圧縮機の種類が異なったりすれば、回転数の数値も異なることは言うまでもない。
破線の結果から明らかなように、従来圧縮機の運転結果では、例えば26〜30r/sの回転時では、その振動はそれほど大きくない。しかしながら、回転数が徐々に低下すると、約21r/sの低速回転時が振動の大きさのピークとなる。この大きな振動には、主軸部41の荷重のアンバランスが影響している。
これに対して、本形態圧縮機の運転結果では、前述したように、バランス穴27を回転子22Aの調整側半円柱状領域22bに設けているため、主軸部41の荷重のアンバランスが良好に緩和または軽減(あるいは相殺)される。それゆえ、低速運転であっても高速回転であっても本形態圧縮機の振動の大きさは、従来圧縮機に比べて非常に小さなものとなっている。特に、この本形態圧縮機では、グラフ上の回転数の最小値である約17r/sにおいて振動が同程度になっている以外、グラフで示した回転数の範囲内のほぼ全てにおいて従来圧縮機よりも振動の大きさが下回っている。また、本形態圧縮機では、約20r/sの低速回転時に最も振動が小さくなっており、この振動の小ささは約30r/sの高速回転時と同程度である。
また、本形態圧縮機において、回転子22Aにバランス穴27を設ける位置について、検討した結果を図9に示す。図9に示すグラフは、横軸がバランス穴27の位置であり、図7(および図4)に示すように、D2方向の線を角度0°の基準線として、正負の角度でバランス穴27の位置を示している。また、縦軸は、図8と同様に、縦軸が振動の相対的な大きさを示す。
図9のグラフでは、−10°から+40°の範囲内でバランス穴27の位置を変化させて、本形態圧縮機の振動の大きさを見ている。このグラフから明らかなように、+5°〜+40°の範囲内、すなわち、図7に示す角度範囲θ3となる扇形柱状領域内にバランス穴27が設けられていれば、運転時の振動が十分に低下できることがわかる。なお、図9に示すグラフの結果では、+10°〜+35°の範囲内であればより振動が小さくなっており、+14°〜+26°の範囲内(20°±6°の範囲内)であればさらに振動が小さくなっていることが分かる。なお、本形態圧縮機が備える具体的な構成あるいは圧縮機の種類等の諸条件によっては、0°〜+5°の範囲内、もしくは、+40°を超えた範囲でも十分に振動を低下できる場合があることは言うまでもない。
次に、図10または図11に示すように、バランスウェイトとして偏心軸部42の下方のフランジ部43にシャフトウェイト46を設けた場合について、より好ましいバランス穴27の位置について説明する。図10は、図2の縦側面図(左図)に対応し、図11は、図2の横側面図(右図)に対応する。また、これら図10および図11では、図5および図6と同様に、回転子22Aについても模式的断面図として図示するとともに、3つまたは4つの重心位置をXマークで図示している。ただし図10および図11(並びに図12)では、ウェイト重心W3はシャフトウェイト46の重心位置であることを明確化するために、ウェイト重心W3−2と表記する。
図10に示すように、バランスウェイトがシャフトウェイト46であれば、縦方向前側から見れば、偏心軸部重心W2は、偏心軸部42において軸心Z2(図10では、軸心Z1に重なるので図示しない)上の位置となる。また、図11に示すように横方向表側から見れば、偏心軸部42は主軸部41に対して前側に偏心しているので、図11においてブロック矢印Fcで示すように、クランクシャフト40が回転しているときには、偏心軸部42に対して前側に遠心力がかかる。
ウェイト重心W3−2は、図10に示すように縦方向前側から見れば、フランジ部43において主軸部41の軸心Z1(偏心軸部42の軸心Z2に重なる)上の位置となる。また、図11に示すように横方向表側から見れば、ウェイト重心W3−2は軸心Z1から見て後側(図中右側)に偏在している。そのため、図11においてブロック矢印Fcで示すように、クランクシャフト40が回転しているときには、シャフトウェイト46に対して後側に遠心力がかかる。
給油通路重心W1は、図10に示すように縦方向前側から見れば、主軸部41において軸心Z1から第一給油通路51の傾斜方向に応じて少しずれた位置となる(図10では図中右側の表側に傾斜)。図10では、給油通路重心W1が軸心Z1からずれた位置を、図5と同様にアンバランス半径Raとして示している。また、図11に示すように横方向表側から見れば、第一給油通路51は横方向には傾斜していないので、給油通路重心W1は軸心Z1上の位置となる。
バランス穴27は、図10に示すように縦方向前側から見れば、主軸部41の奥側に隠れているが、バランス穴重心W0は、図5と同様に、軸心Z1から給油通路重心W1とは反対側に少しずれた位置となる(図10では図中左側の裏側にずれている)。また、図11に示すように横方向表側から見れば、バランス穴27は、クランクシャフト40から見て後側となる位置の回転子22Aに設けられる。この位置は、図6に示すクランクウェイト45におけるバランス穴27の位置(前側の位置)とは反対である。
図11に示す例でも、バランス穴27は下側に開口する止まり穴であるため、バランス穴重心W0は、回転子22Aの下側に偏在している。図11においてブロック矢印Fcで示すように、クランクシャフト40が回転しているときには、回転子22Aに対しては、バランス穴27が設けられている側(前側)の反対側である後側に遠心力がかかる。したがって、図11においては、ブロック矢印Fcで示す3箇所の遠心力により、クランクシャフト40における上下の部位を回転させようとする力(モーメント)が低減される。そのため、クランクシャフト40の振れ回る力が低減されることになる。
このように、バランスウェイトがシャフトウェイト46であるときに、回転子22Aに設けられるバランス穴27のより好ましい位置としては、図12に示すように、角度範囲θ4となる扇形柱状領域内が挙げられる。この角度範囲θ4にバランス穴27を設けることで、図10に示すアンバランス半径Raを良好に緩和(軽減あるいは相殺)することが可能となる。
回転子22Aを下面から見たときには、図12に示すように、給油通路重心W1、偏心軸部重心W2、およびウェイト重心W3−2の位置関係は、図4または図7と同様である。また、これら3つの重心位置とバランス穴重心W0とは、前述した位置関係(図10および図11参照)にある。このとき、第一給油通路51に由来する荷重のアンバランス(アンバランス半径Ra)を緩和するためには、調整側半円柱状領域22bのうち、基準線(D2方向)から見て140〜175°の範囲内となる扇形柱状領域内(140°≦θ4≦175°)にバランス穴27が設けられることがより好ましい。
バランスウェイトがクランクウェイト45であるときには、バランス穴27は、角度範囲θ3=5〜40°となる扇形柱状領域内に設けられることが好ましく(図7参照)、バランスウェイトがシャフトウェイト46であるときには、バランス穴27は、角度範囲θ4=140〜175°となる扇形柱状領域内に設けられることが好ましい(図12参照)。角度範囲θ3の扇形柱状領域と角度範囲θ4の扇形柱状領域とは、D1方向に一致する直径線を基準とすれば線対称の位置関係にあることになる。
このように、本実施の形態に係る密閉型冷媒圧縮機10Aにおいては、電動要素20Aを構成する回転子22Aには、少なくとも主軸部41の構造に起因する荷重のアンバランスを調整するバランス調整手段としてバランス穴27が設けられていればよく、このバランス穴27の位置としては、給油通路重心W1から見て、主軸部41の軸心Z1を挟んで対向する側に位置する調整側半円柱状領域22b内であることが好ましい。
この調整側半円柱状領域22bを角度範囲で示せば、回転子22Aの回転軸(軸心Z1)から偏心軸部重心W2を通って延伸する半径方向の線(D2方向の線)を0°の基準線とし、給油通路重心W1とは反対側となる方向の角度を正の角度としたときに、角度範囲θ1=0°〜180°となる。バランス穴27のより好ましい位置としては、角度範囲θ2=5〜175°の扇形柱状領域内を挙げることができ、さらには、クランクシャフト40に設けられるバランスウェイトの種類(設置される位置)によっては、角度範囲θ3=5〜40°の扇形柱状領域内、あるいは、角度範囲θ4=140〜175°の扇形柱状領域内であってもよい。
このようにバランス調整手段としてバランス穴27を設けることによって、主軸部41の構造に起因する荷重のアンバランスを、主軸部41またはクランクシャフト40において調整するのではなく、主軸部41に固定される回転子22Aにおいて調整することになる。回転子22Aは、クランクシャフト40の軸方向に対して直交する方向に広がりを有する円筒状または円柱状であるので、細長い形状のクランクシャフト40または主軸部41に比べてバランス調整手段が設けやくなるとともに、バランス調整手段を設ける位置を微調整することも可能となる。これにより、圧縮機本体12全体として見たときに、主軸部41の荷重のアンバランスを良好に緩和(軽減あるいは相殺)することができる。その結果、密閉型冷媒圧縮機10Aのさらなる低振動化を実現することが可能となる。
[変形例]
前述した構成の密閉型冷媒圧縮機10Aでは、バランス調整手段としてバランス穴27を採用していたが、バランス調整手段はバランス穴27に限定されず、回転子22Aに取り付けられるバランスウェイトでもよい。
説明の便宜上、クランクシャフト40に取り付けられるバランスウェイト(クランクウェイト45またはシャフトウェイト46)と区別するために、回転子22Aに取り付けるバランスウェイトを「回転子ウェイト」とすれば、例えば、図13Aまたは図13Bに示すように、回転子22Aの上面に回転子ウェイト28を固定する構成を挙げることができる。また、図示しないが、回転子22Aの下面に回転子ウェイト28を固定してもよいし、上面および下面の両面に回転子ウェイト28を固定してもよい。
回転子ウェイト28を設ける位置は特に限定されないが、バランス穴27を設ける位置を基準とすれば、回転子ウェイト28を設ける位置は、回転子22Aの回転軸(回転中心)を挟んで反対側の位置となる。
バランス穴27は、回転子22Aの重量を部分的に減じることによりバランスを調整しているので、バランス調整手段としては「負バランス」であるということができる。これに対して、回転子ウェイト28は、回転子22Aに対して部分的に重量を付加することによりバランスを調整しているので、バランス調整手段としては「正バランス」であるということができる。それゆえ、回転子ウェイト28が設けられる位置は、バランス穴27の位置とは反対側となる。
例えば、前述した通り、図5または図6に示すようにバランスウェイトが偏心軸部42の上部に設けられるクランクウェイト45であるときには、バランス穴27は、図7に示すように、回転子22Aのうち角度範囲θ3の扇形柱状領域内に設けられる。これに対して、バランス穴27の代わりに回転子ウェイト28を用いるのであれば、回転子22Aの回転軸である軸心Z1を介して反対側となる位置の扇形柱状領域(角度範囲θ3と同じ領域)に回転子ウェイト28を設ければよい。
言い換えれば、バランス調整手段が負バランスであるバランス穴27であるときには、このバランス穴27の好ましい位置としては、回転子22Aにおいて、第一給油通路51の重心位置から見て、主軸部41の軸心を挟んで対向する側に位置する、当該回転子22Aの半円柱状領域、すなわち、調整側半円柱状領域22b(図4の角度範囲θ1=0°〜180°の半円柱状領域参照)内を挙げることができる。これに対して、バランス調整手段が正バランスである回転子ウェイト28であれば、回転子ウェイト28の好ましい位置としては、第一給油通路51の重心位置が存在する側に位置する、回転子22Aの半円柱状領域、すなわち、重心側半円柱状領域22b(図4において、180°〜360°の角度範囲となる半円柱状領域)内を挙げることができる。
また、図13Bに示すように、バランス調整手段として、バランス穴27と回転子ウェイト28とを併用してもよい。図13Bに示す例では、バランス穴27は、図3Bと同様に、下面に開口する止まり穴として鉄心に形成されており、回転子ウェイト28は、図13Aと同様に上面に固定されている。このように、バランス調整手段はバランス穴27および回転子ウェイト28の少なくともいずれかであればよいが、バランス穴27または回転子ウェイト28以外でバランス調整可能な構成であってもよい。
また、本開示においては、バランス調整手段(バランス穴27または回転子ウェイト28)は、好ましくは、調整側半円柱状領域22b(角度範囲θ1=0°〜180°の半円柱状領域)に設けられればよいが、異なる条件に基づいてバランス調整手段の位置を限定してもよい。例えば、バランス調整手段が異なる複数の箇所に設けられる場合には、回転子22A本体となる鉄心に、回転軸(軸心Z1)を挟んで線対称または点対称にならないように偏在して設けられてもよい。
また、本実施の形態では、バランス穴27は、回転子22Aの鉄心に設けられているが、回転子22Aの構成によっては鉄心以外の部分にバランス穴27が設けられてもよい。あるいは、本実施の形態では、バランス穴27は、回転子22Aの回転軸(主軸部41の軸心Z1)方向に沿って延伸する構成であるが、バランス穴27の構成はこれに限定されず他の構成であってよい。
バランス調整手段は、第一給油通路51あるいは給油溝53等のように、給油機構50の構成であって主軸部41に荷重のアンバランスを生じさせるものに対してバランス調整が可能な構成であれば、その具体的な形状等(バランス穴27であれば穴の方向、穴の直径、穴の深さ、貫通孔であるか否か等)については特に限定されない。また、主軸部41において荷重のアンバランスを生じさせる構成は、給油機構50を構成する給油通路または給油溝等に限定されず、主軸部41に設けられる様々な構成であってもよい。
本実施の形態では、第一給油通路51が主軸部41の軸心Z1に対して傾斜しているため、この第一給油通路51の傾斜が、主軸部41に生じる荷重のアンバランスの主因となる場合について説明している。しかしながら、本開示はこれに限定されず、給油通路重心W1の位置が主軸部41の軸心Z1から外れている場合であれば、第一給油通路51が傾斜していなくてもよい。
前記の通り、荷重のアンバランスの原因となり得るのは、第一給油通路51だけでなく、給油溝53、第一連通孔52、給油孔部54等も挙げられる。そして、給油通路重心W1の位置は、第一給油通路51の重心だけでなく給油溝53、第一連通孔52、給油孔部54による重心のずれも考慮して設定することができる。それゆえ、主軸部41全体として見たときに、給油通路重心W1が軸心Z1からずれている状態であれば、回転子22Aにバランス穴27または回転子ウェイト28等のバランス調整手段を設けることにより、主軸部41の荷重のアンバランスを良好に緩和(軽減あるいは相殺)することができる。
(実施の形態2)
前記実施の形態1に係る密閉型冷媒圧縮機10Aは、電動要素20Aがインナーロータ型モータであったが、本開示はこれに限定されず、電動要素がアウターロータ型モータであってもよい。具体的には、図14に示すように、本実施の形態2に係る密閉型冷媒圧縮機10Bは、前記実施の形態1に係る密閉型冷媒圧縮機10Aと同様に、密閉容器11内に収容される電動要素20Bおよび圧縮要素30(圧縮機本体12)を備えており、密閉容器11の内部には、冷媒ガスおよび潤滑油13が封入されているが、電動要素20Bはアウターロータ型モータである。
電動要素20Bは、前記実施の形態1に係る電動要素20Aと同様に、少なくとも固定子21Bおよび回転子22Bで構成されている。固定子21Bは、図15Aの上面図または図15Bの縦断面図に示すように、その中心にシャフト挿入孔26を有しており、このシャフト挿入孔26に対して圧縮要素30の軸受部35が圧入等により固定されている。
回転子22Bは、図14および図15A,図15Bに示すように、この固定子21Bの外周を取り囲むように同軸に配置されている。回転子22Bの回転軸方向(軸心Z1方向)の長さは回転子22Bの直径よりも小さくなっている。つまり、本実施の形態2における回転子22Bも、前記実施の形態1における回転子22Aと同様に直径が大きく短い構成となっている。
回転子22Bは、固定子21Bの外周を回転する円筒状のヨーク29の内周に永久磁石23が均等に配置されている。ヨーク29は、例えば、フランジ部43よりも径の大きい円板状に形成された構成であってもよいし、フランジ部43よりも径の大きいフレームの外周に円筒状のヨーク29が固定されている構成であってもよい。図15Bおよび図15Cの下面図に示すように、回転子22Bのヨーク29(またはフレーム)の中心には、シャフト挿入孔26が設けられており、このシャフト挿入孔26は、クランクシャフト40の主軸部41の下端に溶接等で固定されている。
なお、本実施の形態に係る密閉型冷媒圧縮機10Bは、電動要素20Bがアウターロータ型モータであること以外は、前記実施の形態1に係る密閉型冷媒圧縮機10A(図1参照)と同様であるため、その具体的な説明は省略する。図14では図示の便宜上、吸入管15は図示していないが、本実施の形態に係る密閉型冷媒圧縮機10Bも、図1に示す密閉型冷媒圧縮機10Aと同様に吸入管15を備えている。また、図1では図示の便宜上、回転子22Aが備える永久磁石23は図示していないが、図14では、回転子22Bが備える永久磁石23を図示している。
また、密閉型冷媒圧縮機10Bの動作も基本的には密閉型冷媒圧縮機10Aと同様である。すなわち、電動要素20Bに通電されると、固定子21Bに電流が流れて磁界が発生し、クランクシャフト40の主軸部41に固定された回転子22Bが回転する。これにより、クランクシャフト40が回転し、偏心軸部42に回転自在に取り付けられたコンロッド44を介して、ピストン33がシリンダ32内を往復運動するので、圧縮要素30により冷媒が圧縮されることになる。
本実施の形態に係る密閉型冷媒圧縮機10Bにおいても、前記実施の形態1に係る密閉型冷媒圧縮機10Aと同様に、電動要素20Bが備える回転子22Bに対して、バランス調整手段であるバランス穴27が設けられている。本実施の形態に係る回転子22Bは、本体である鉄心がヨーク29として構成されており、このヨーク29の内周面に永久磁石23が設けられている。したがって、電動要素20BはSPM型モータである。ただし、回転子22Bは、永久磁石23の表面(内周面)を覆う磁石保護部材を備えていない(磁石保護部材を必要としない)。
バランス穴27は、図14および図15Bに示すように、回転子22Bの軸心Z1方向に沿って延伸している。本実施の形態2では、図15Aおよび図15Cに示すように、回転子22Bの上面または下面から見たとき、バランス穴27は、回転子22Bの外周近傍の一部に偏在している。また、バランス穴27は、その少なくとも一部が回転子22Bの軸心Z1から見て永久磁石23の外側となる位置に設けられている。しかしながら、バランス穴27の具体的な位置は特に限定されない。
バランス穴27の具体的な構成は、前記実施の形態1で説明した通りである。つまり、バランス穴27は、回転子22Bにおいて、第一給油通路51の重心位置(給油通路重心W1)から見て、主軸部41の軸心Z1を挟んで対向する側に位置する、当該回転子22Bの半円柱状領域(図4に示す調整側半円柱状領域22b参照)内に設けられていればよい。
また、諸条件にもよるが、バランス穴27は、この半円柱状領域の中でも基準線から見て5〜175°の範囲内となる扇形柱状領域(図4に示す角度範囲θ2の領域)内に設けられていればよく、さらには、基準線から見て5〜40°の範囲内となる扇形柱状領域(図7に示す角度範囲θ3の領域)内、および、140〜175°の範囲内となる扇形柱状領域(図11に示す角度範囲θ4の領域)内の少なくとも一方に設けられていればよい。
このように、アウターロータ型の電動要素20Bを備える密閉型冷媒圧縮機10Bであっても、バランス調整手段としてバランス穴27を設けることによって、主軸部41の構造に起因する荷重のアンバランスを、主軸部41またはクランクシャフト40において調整するのではなく、主軸部41に固定される回転子22Bにおいて調整することができる。これにより、圧縮機本体12全体として見たときに、主軸部41の荷重のアンバランスを良好に緩和(軽減あるいは相殺)することができる。その結果、密閉型冷媒圧縮機10Bのさらなる低振動化を実現することが可能となる。
(実施の形態3)
本実施の形態3では、前記実施の形態1で説明した密閉型冷媒圧縮機10Aまたは前記実施の形態2で説明した密閉型冷媒圧縮機10Bを備える冷凍装置の一例について、図16を参照して具体的に説明する。
本開示に係る密閉型冷媒圧縮機10Aまたは10Bは、冷凍サイクルまたはこれと実質同等な構成を有する各種機器(冷凍装置)に広く好適に用いることができる。具体的には、例えば、冷蔵庫(家庭用冷蔵庫、業務用冷蔵庫)、製氷機、ショーケース、除湿器、ヒートポンプ式給湯機、ヒートポンプ式洗濯乾燥機、自動販売機、エアーコンディショナー、空気圧縮機等を挙げることができるが、特に限定されない。本実施の形態では、本開示に係る密閉型冷媒圧縮機10Aまたは10Bの適用例として、図16に示す物品貯蔵装置を挙げて、冷凍装置60の基本的な構成を説明する。
図16に示す冷凍装置60は、冷凍装置本体61および冷媒回路を備えている。冷凍装置本体61は、一面が開口した断熱性の箱体と、この箱体の開口を開閉する扉体とから構成されている。冷凍装置本体61の内部は、物品を貯蔵する貯蔵空間62と、冷媒回路等を収容する機械室63と、貯蔵空間62および機械室63を区画する区画壁64等を備えている。
冷媒回路は、前記実施の形態1で説明した密閉型冷媒圧縮機10Aまたは前記実施の形態2で説明した密閉型冷媒圧縮機10B、放熱器65、減圧装置66、および吸熱器67等を、配管68により環状に接続した構成となっている。つまり、冷媒回路は、本開示に係る密閉型冷媒圧縮機10Aまたは10Bを用いた冷凍サイクルの一例である。
冷媒回路のうち、密閉型冷媒圧縮機10Aまたは10B、放熱器65、および減圧装置66は、機械室63に配置され、吸熱器67は、図16には図示しない送風機を備える貯蔵空間62内に配置されている。吸熱器67の冷却熱は、破線の矢印で示すように、送風機によって貯蔵空間62内を循環するように撹拌される。
このように、本実施の形態に係る冷凍装置60は、前記実施の形態1に係る密閉型冷媒圧縮機10Aまたは前記実施の形態2で説明した密閉型冷媒圧縮機10Bを搭載している。前述したように、本開示に係る密閉型冷媒圧縮機10Aまたは10Bにおいては、回転子22Aまたは22Bには、少なくとも主軸部41の構造に起因する荷重のアンバランスを調整するバランス調整手段、例えばバランス穴27が設けられている。
それゆえ、密閉型冷媒圧縮機10Aまたは10Bにおいては、圧縮機本体12全体として見たときに、主軸部41の荷重のアンバランスを良好に緩和または相殺することができる。その結果、密閉型冷媒圧縮機10Aまたは10Bのさらなる低振動化を実現することが可能となる。このような密閉型冷媒圧縮機10Aまたは10Bにより冷媒回路を運転することで、冷凍装置60のさらなる低振動化が可能となる。
なお、本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、冷凍サイクルを構成する密閉型冷媒圧縮機の分野に広く好適に用いることができる。さらに、例えば、電気冷凍冷蔵庫、エアーコンディショナー等の家庭用冷凍装置、あるいは、除湿機、業務用ショーケース、自動販売機等の業務用冷凍装置等のように、密閉型冷媒圧縮機を用いた冷凍装置の分野に広く好適に用いることができる。
10A,10B 密閉型冷媒圧縮機
11 密閉容器
12 圧縮機本体
13 潤滑油
20A,20B 電動要素
21A,21B 固定子
22A,22B 回転子
23 永久磁石
27 バランス穴(バランス調整手段)
28 回転子ウェイト(バランス調整手段、バランスウェイト)
30 圧縮要素
31 シリンダブロック
32 シリンダ
33 ピストン
34 圧縮室
35 軸受部
40 クランクシャフト
41 主軸部
42 偏心軸部
43 フランジ部
44 コンロッド
45 クランクウェイト(バランスウェイト)
46 シャフトウェイト(バランスウェイト)
50 給油機構
51 第一給油通路
52 第一連通孔
53 給油溝
54 給油孔部
55 第二給油通路
56 第二連通孔
60 冷凍装置

Claims (8)

  1. 主軸部と、前記主軸部の一端に位置する偏心軸部と、前記主軸部の他端の面に連通する給油通路と、
    を備えたクランクシャフトと、
    前記クランクシャフトの延伸方向に交差する方向に沿って配置されるシリンダと、
    前記偏心軸部に連結され、前記シリンダ内で往復運動するピストンと、
    前記主軸部の構造に起因する荷重のアンバランスを調整するバランス穴と、
    前記バランス穴が、前記給油通路の重心位置から見て、前記主軸部の軸心を挟んで対向する側の半円柱状領域内に設けられた回転子と、
    を有し、
    前記回転子の回転軸から前記偏心軸部の重心位置を通って延伸する半径方向の線を0°の基準線とし、前記給油通路の重心位置とは反対側となる方向の角度を正の角度としたときに、
    前記バランス穴は、前記回転子の半円柱状領域のうち、前記基準線から見て5〜175°の範囲内となる扇形柱状領域内に設けられている
    密閉型冷媒圧縮機。
  2. 前記回転子には、さらにバランスウェイトが設けられている
    請求項1に記載の密閉型冷媒圧縮機。
  3. 前記バランス穴は、前記回転子の半円柱状領域のうち、前記基準線から見て5〜40°の範囲内となる扇形柱状領域内、および、140〜175°の範囲内となる扇形柱状領域内の少なくとも一方に設けられている
    請求項1または2に記載の密閉型冷媒圧縮機。
  4. 前記バランス穴は、前記回転子の鉄心に設けられている
    請求項1からのいずれか1項に記載の密閉型冷媒圧縮機。
  5. 前記バランス穴は、前記回転子の回転軸方向に沿って延伸する構成である
    請求項1からのいずれか1項に記載の密閉型冷媒圧縮機。
  6. 前記バランス穴は、底面を有する止まり穴または貫通孔である
    請求項1からのいずれか1項に記載の密閉型冷媒圧縮機。
  7. 前記バランス穴は、前記主軸部の構造に起因する荷重のアンバランスに加えて、前記ピストンの往復運動により生じる荷重のアンバランスを調整する
    請求項1からのいずれか1項に記載の密閉型冷媒圧縮機。
  8. 請求項1からのいずれか1項に記載の密閉型冷媒圧縮機を備えている
    冷凍装置。
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