JP6647194B2 - リチウムイオン二次電池用正極及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
従来、リチウムイオン二次電池の正極合剤層としては、正極活物質と、カーボンブラック、カーボンナノチューブなどの導電剤とを含むものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この正極活物質に隣接し合う正極活物質又は導電剤の間で延びて導電パスを形成しており、前記第1カーボンナノチューブの長手方向の長さが5μm以下であり、前記第2カーボンナノチューブの長手方向の長さが7μm以上であることを特徴とする。
また、前記課題を解決する本発明のリチウムイオン二次電池は、前記リチウムイオン二次電池用正極を備えることを特徴とする。
本実施形態のリチウムイオン二次電池用正極は、正極合剤層に導電剤として含まれる長短2種のカーボンナノチューブのうち、長いカーボンナノチューブの質量比が、0.3以上、0.8以下であることを主な特徴とする。
まずリチウムイオン二次電池について説明した後にリチウムイオン二次電池用正極(以下では単に正極と称する)について説明する。
図1は、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池1の構成説明図である。
図1に示すように、リチウムイオン二次電池1は、正極2と、負極3と、セパレータ4と、図示しない電解液と、を備えて構成されている。
正極2は、正極集電体2aと正極合剤層2bとを備えている。正極2については後に詳しく説明する。
負極集電体3aの材料としては、例えば、銅、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金などが挙げられる。また、負極集電体3aとしては、銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタン、銀などで処理した材料を使用することもできる。
負極集電体3aの厚さは、特に限定はないが、1μm以上、25μm以下に設定することができる。
負極合剤層3bにおけるバインダの含有量は、0.25質量%以上、10質量%以下とすることができる。
負極合剤層3bの厚さは、10μm以上、450μm以下に設定することができる。
セパレータ4としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂からなる微多孔質シート、アラミド樹脂、セルロースなどの不織布が挙げられる。また、セパレータ4の表面には、例えば、セラミック層、アラミド樹脂層などを設けることができる。また、セパレータ4の内部には、例えば、セラミックなどを分散させることもできる。
セパレータ4の厚さは、3μm以上、40μm以下に設定することができる。このようなセパレータ4の厚さに設定することで入出力密度と安全性とを高いレベルで両立させることができる。
リチウム塩としては、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO4)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化ひ素リチウム(LiAsF6)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、リチウム ビス(フルオロスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB)などが挙がられる。これらのリチウム塩は、1種類単独又は2以上を組み合わせて使用することができる。
次に、本実施形態に係る正極2について詳細に説明する。
図1に示すように、正極2は、正極集電体2a上に正極合剤層2bが積層されて形成されている。
正極集電体2aの厚さは、5μm以上、30μm以下に設定することができる。
図2に示すように、正極合剤層2bは、正極活物質5と、カーボンブラック7と、第1カーボンナノチューブ6bと、第2カーボンナノチューブ6aと、図示しないバインダとを含んで構成されている。
なお、図2に示すリチウムイオン二次電池1の正極2は、部分断面を模式的に示すものであり、正極合剤層2bを構成する正極活物質5、カーボンブラック7、並びにカーボンナノチューブ6を構成する第1カーボンナノチューブ6b及び第2カーボンナノチューブ6aの形状、大きさ、数などは現実のものと異なっている。
なお、それぞれの表記において、M及びM´は、互いに異なるNi、Cu、Zn、Co、Fe、Mn、Cr、V、Ti、Mg、Al、Sn、Mo、Nb、Zr、Ta、Ru及びWからなる群より選択される少なくとも1種の元素を示し、Aは、PO4、SiO4、BO3などのアニオンを示している。
これらの正極活物質5の元素組成比は、厳密に化学量論比に従うものに限られず、結晶構造上許容される範囲の組成比であればよい。
正極活物質5の原料としては、含リチウム化合物、M(又はM´の元素)を含む化合物及びAを構成するヘテロ原子を含む化合物を、所定の正極活物質5の元素組成比を達成するような比率でそれぞれ使用される。
例えば、固相法においては、固体の原料化合物を、ボールミル、ジェットミルなどを使用して原料粉末を得る。
そして、得られた原料粉末を、例えば、500℃以上、1000℃以下の温度で焼成して正極活物質5とする。
また、Aを構成するヘテロ原子を含む化合物として、例えば、酸化物、オキソ酸、オキソ酸塩などを使用することができる。
正極合剤層2bにおけるカーボンブラック7の含有量は、0.75質量%以上、2.10質量%以下に設定することができる。
カーボンナノチューブ6の種類としては、1層のグラフェンにより形成されるシングルウォールカーボンナノチューブ(SWCNT)、2層以上のグラフェンにより形成されるマルチウォールカーボンナノチューブ(MWCNT)などが挙げられる。
また、第2カーボンナノチューブ6aの繊維長は、7μm以上が好ましく、より好ましくは7μm以上、11μm以下である。
また、正極合剤層2bにおけるカーボンブラック7の含有量は、0.75質量%以上、2.10質量%以下に設定することができる。
また、正極合剤層2bにおける第1カーボンナノチューブ6bの含有量は、0.15質量%以上、1.47質量%以下に設定することができる。
また、正極合剤層2bにおける第2カーボンナノチューブ6aの含有量は、0.22質量%以上、1.68質量%以下に設定することができる。
このような正極合剤層2bの厚さは、10μm以上、450μm以下に設定することができる。
この製造方法では、まず正極合剤層2b(図1参照)を形成するための正極合剤を調製する。
正極合剤の塗布方法としては、例えば、ダイコータ塗布法、コンマコータ塗布法、グラビアコータ塗布法、ドクターブレード塗布法、スプレー塗布法、スクリーン印刷法などが挙げられる。
正極合剤の乾燥方法としては、例えば、加熱乾燥法、真空乾燥法などが挙げられる。
また、必要に応じて正極集電体2a(図1参照)上に塗布した正極合剤を加熱加圧成形することもできる。
負極3についても、製造方法に特に制限はなく、負極集電体3a(図1参照)上に負極合剤層3b(図1参照)を形成する一般的な製造方法で作製することができる。
前記したように、従来のリチウムイオン二次電池(例えば、特許文献1参照)においては、正極合剤層に含まれる導電剤を増量することによって、正極合剤層の抵抗の低減化を図ることはできる。しかしながら、導電剤を増量すると、正極合剤層における正極活物質の含有率が減少することによって放電容量が低下する。
具体的には、第1カーボンナノチューブ2b(図2参照)の質量(MCNT1)と第2カーボンナノチューブ2aの質量(MCNT2)との和に対する第2カーボンナノチューブ2aの質量(MCNT2)の比[(MCNT2)/(MCNT1+MCNT2)]が、0.3以上、0.8以下に設定されている。
これにより本実施形態のリチウムイオン二次電池1は、正極合剤層2b(図1参照)の抵抗の低減化を図ることによって高容量かつ高出力化を達成することができる。
前記実施形態のリチウムイオン二次電池1(図1参照)は、燃料電池自動車、電気自動車、ハイブリッド型電気自動車などの動力用電源に使用されるものを想定しているが、本発明は、船舶、航空機などの他の移動体に搭載される電源、各種携帯型機器、情報機器、家庭用電気機器、電動工具などに使用される小型電源に使用することもできる。
実施例1から実施例4、及び比較例1から比較例3では、互いに正極合剤層における第1カーボンナノチューブと第2カーボンナノチューブの配合比のみが異なるリチウムイオン二次電池を作製し、その直流抵抗(DCR:Direct Current Resistance)を測定した。
具体的には、正極合剤層における正極活物質としてのLiNi0.33Co0.33Mn0.33O2粉末(平均粒径4μm)は95質量%、導電剤としてのカーボンブラックは1.5質量%、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)は2質量%、導電剤としてのカーボンナノチューブ(第1カーボンナノチューブと第2カーボンナノチューブの合計)は1.5質量%であった。
第1カーボンナノチューブは、繊維径が1.4nm、繊維長が5μmである。第2カーボンナノチューブは、繊維径が10nm以上、15nm以下、繊維長が7μm以上、11μm以下である。
また、表1中、第1カーボンナノチューブの質量(MCNT1)と第2カーボンナノチューブの質量(MCNT2)との和に対する第2カーボンナノチューブの質量(MCNT2)の比[(MCNT2)/(MCNT1+MCNT2)]は、CNT[long]比と表している。
図3(a)に示すように、第1カーボンナノチューブ、第2カーボンナノチューブ、及びカーボンブラックのそれぞれは正極活物質の表面に付着している。そして、複数の第1カーボンナノチューブが共同して正極活物質5の表面を覆うように付着している。
また、図3(b)に示すように、屈曲した第2カーボンナノチューブは、正極活物質の表面の複数箇所で接触している。
負極活物質としてのグラファイトと、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)とカルボキシメチルセルロース(CMC)との所定量を蒸留水と混合して負極合剤スラリを調製した。この負極合剤スラリを、コンマコータにより負極集電体としての銅箔に塗布し、100℃で加熱し、乾燥させるとことにより負極を得た。得られた負極をロールプレス機に通して荷重を加えて負極シートを作製した。この負極シートを所定面積の長方形となるように切り出してラミネート型二次電池用負極とした。
直流抵抗は、ラミネート型リチウムイオン二次電池(電池温度60℃、SOC(State of Charge)50%)の正極負極間に一定の直流電流を10秒間印加し、このときの電流Iと、通電開始時の電圧降下ΔE0secと、10秒経過時の電圧降下ΔE10secとを測定した。そして、直流抵抗(DCR10sec)mΩ=(ΔE0sec−ΔE10sec)/Iを算出した。その結果を表1及び図4に示す。
以上のことから、第2カーボンナノチューブの質量比が0.3〜0.8に設定された正極を有するリチウムイオン二次電池は、正極合剤層の抵抗の低減化を図ることによって高出力化を達成することができることが検証された。
2 正極
2a 正極集電体
2a 第2カーボンナノチューブ
2b 正極合剤層
2b 第1カーボンナノチューブ
3 負極
3a 負極集電体
3b 負極合剤層
4 セパレータ
5 正極活物質
6 カーボンナノチューブ
6a 第2カーボンナノチューブ
6b 第1カーボンナノチューブ
7 カーボンブラック
Claims (3)
- 正極集電体と、前記正極集電体上に積層される正極合剤層と、を備え、
前記正極合剤層は、正極活物質と、導電剤と、バインダと、を含み、
前記導電剤は、カーボンブラックと、第1カーボンナノチューブと、前記第1カーボンナノチューブよりも長い第2カーボンナノチューブと、を含み、
前記正極合剤層における前記第1カーボンナノチューブの質量(MCNT1)と前記第2カーボンナノチューブの質量(MCNT2)との和に対する前記第2カーボンナノチューブの質量(MCNT2)の比[(MCNT2)/(MCNT1+MCNT2)]が、0.3以上、0.8以下であり、
前記第2カーボンナノチューブは、前記正極活物質側に凹となるように屈曲又は湾曲することで前記正極活物質と複数箇所で接しているとともに、
この正極活物質に隣接し合う正極活物質又は導電剤の間で延びて導電パスを形成しており、
前記第1カーボンナノチューブの長手方向の長さが5μm以下であり、前記第2カーボンナノチューブの長手方向の長さが7μm以上であることを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極。 - 請求項1に記載のリチウムイオン二次電池用正極において、
前記正極合剤層は、前記正極活物質を94.5質量%以上、95.5質量%以下、前記導電剤を2.5質量%以上、3質量%以下、前記バインダを2質量%以上、2.5質量%以下で含むことを特徴とするリチウムイオン二次電池用正極。 - 請求項1又は請求項2に記載のリチウムイオン二次電池用正極を備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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