JP6646885B2 - 熱間鍛造用金型、鍛造製品の製造方法 - Google Patents

熱間鍛造用金型、鍛造製品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱間金型用Ni基合金及びそれを用いた熱間鍛造用金型、鍛造製品の製造方法に関するものである。
耐熱合金からなる製品の鍛造において、鍛造素材は変形抵抗を低くするため所定の温度に加熱される。耐熱合金は高温でも高い強度を有するため、その鍛造に用いる熱間鍛造用金型には高温での高い機械的強度が必要とされる。また、熱間鍛造において熱間鍛造用金型の温度が鍛造素材に比べて低い場合、抜熱により鍛造素材の加工性が低下するため、例えばAlloy718やTi合金等の難加工性材からなる製品の鍛造は、素材とともに熱間鍛造用金型を加熱して行われる。従って、熱間鍛造用金型は、鍛造素材が加熱される温度と同じかもしくはそれに近い高温で、高い機械的強度を有したものでなければならない。この要求を満たす熱間鍛造用金型として、大気中での金型温度1000℃以上の熱間鍛造に使用できるNi基超耐熱合金が提案されている(例えば、特許文献1〜5参照)。
なお、本発明で言う熱間鍛造とは、熱間鍛造用金型の温度を鍛造素材の温度まで近づけるホットダイ鍛造と鍛造素材と同じ温度にする恒温鍛造を含むものである。
特開昭62−50429号公報 特開昭60−221542号公報 特開2016−069702号公報 特開2016−069703号公報 米国特許第4740354号明細書
上述したNi基超耐熱合金は、高温圧縮強度が高いという点では有利であるものの、耐酸化性の点では大気中で加熱した後の冷却時に金型表面から酸化ニッケルの細かなスケールが飛散するため作業環境の劣化及び形状劣化のおそれがある。金型表面の酸化とそれに伴うスケールの飛散の問題は、大気中で使用できるという効果を最大限に生かす上で大きな問題となる。
本発明の目的は、高い高温圧縮強度と良好な耐酸化性を有し、作業環境の劣化及び形状劣化が抑制可能な熱間金型用Ni基合金およびそれを用いた熱間鍛造用金型と前記熱間鍛造用金型を用いた鍛造製品の製造方法を提供することである。
本発明者は、金型表面の酸化とそれに伴うスケール飛散による作業環境の劣化及び形状劣化問題を検討し、高い高温圧縮強度と良好な耐酸化性を有する組成を見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、質量%で、W:7.0〜15.0%、Mo:2.5〜11.0%、Al:5.0〜7.5%、Cr:0.5〜7.5%、残部はNi及び不可避的不純物でなる熱間金型用Ni基合金を用いた熱間鍛造用金型の全面の80%以上がアルミニウム酸化物層で被覆されている熱間鍛造用金型である。
本発明では、上記組成に加えて、更に、Zr:0.5%以下、Hf:0.5%以下、希土類元素:0.2%以下、Y:0.2%以下、Mg:0.03%以下の元素から選択される1種または2種以上を含有することができる。
また、本発明では、上記組成に加えて、更に、Taを7.0%以下含有することができる。
また、本発明では、上記組成に加えて、更に、Ti、Nbの元素から選択される1種または2種を合計として3.5%以下、TaとTiとNbの含有量の総和が1.0〜7.0%となる範囲内で含有することができる。
また、本発明では、上記組成に加えて、更に、Coを15.0%以下含有することができる
また、本発明は、鍛造素材を加熱する第一の工程と、前記第一の工程で加熱された鍛造素材を前記熱間鍛造用金型を用いて熱間鍛造する第二の工程とを有する、鍛造製品の製造方法である。
更に好ましくは、鍛造製品の製造方法において、前記熱間鍛造用金型を1000℃以上に加熱して第二の工程を行う。
また、本発明は、前記熱間鍛造用金型を1000℃以上に加熱する工程以前に、前記した組成を有する熱間金型用Ni基合金を大気中で1000℃以上の予備加熱を行なって、前記熱間金型用Ni基合金の全面に80%以上アルミニウム酸化物層を形成したものを前記熱間鍛造用金型とすることができる。
本発明により、高い高温圧縮強度と良好な耐酸化性を有する熱間金型用Ni基合金を得ることができる。これにより、熱間鍛造における作業環境の劣化及び形状劣化を抑制することができる。
金型の長時間の使用を模擬した試験条件における、本発明例及び比較例の耐酸化性を示した図である。 本発明例および比較例の大気中1100℃、8時間保持後の試験片の表面を示した図である。 本発明例および比較例の大気中1100℃、3時間若しくは8時間保持後の試験片の表面に形成された酸化物層の反射電子像と元素マップを示す断面写真である。 金型の繰り返しの使用による加熱と冷却を模擬した試験条件における、本発明例及び比較例の耐酸化性を示した図である。 本発明例および比較例の高温圧縮強度を示した図である。 酸化防止剤の塗布による金型表面の酸化防止効果を示した写真である。
以下、本発明の熱間金型用Ni基合金について詳細に説明する。化学組成の単位は質量%である。なお、前記の熱間金型用Ni基合金は本発明の熱間鍛造用金型の基材となるものである。
<W>
Wは、オーステナイトマトリックスに固溶するとともに、析出強化相であるNiAlを基本型とするガンマプライム相(γ’相)にも固溶して合金の高温強度を高める。一方、Wは、耐酸化性を低下させる作用や、TCP(Topologically Close Packed)相等の有害相を析出しやすくする作用を有する。高温強度を高め、且つ、耐酸化性の低下と有害相の析出をより抑制する観点から、本発明におけるNi基合金中のWの含有量は7.0〜15.0%とする。Wの効果をより確実に得るための好ましい下限は10.0%であり、好ましいWの上限は12.0%であり、更に好ましい上限は11.0%である。
<Mo>
Moは、オーステナイトマトリックスに固溶するとともに、析出強化相であるNiAlを基本型とするガンマプライム相にも固溶して合金の高温強度を高める。一方、Moは、耐酸化性を低下させる作用を有する。高温強度を高め、且つ、耐酸化性の低下をより抑制する観点から、本発明におけるNi基超耐熱合金中のMoの含有量は2.5〜11.0%とする。なお、Wと後述するTa、Ti、Nbの添加に伴うTCP相等の有害相の析出を抑制するため、W、Ta、Ti、Nb含有量との兼ね合いで好ましいMoの下限を設定するのが好ましく、Moの効果をより確実に得るための好ましい下限は4.0%であり、更に好ましい下限は4.5%である。また、好ましいMoの上限は10.5%であり、更に好ましくは9.0%であり、より好ましくは6.0%である。
<Al>
Alは、Niと結合してNiAlからなるガンマプライム相を析出し、合金の高温強度を高め、合金の表面にアルミナの被膜を生成し、合金に耐酸化性を付与する作用を有する。一方、Alの含有量が多過ぎると、共晶ガンマプライム相を過度に生成し、合金の高温強度を低める作用もある。耐酸化性及び高温強度を高める観点から、本発明におけるNi基超耐熱合金中のAlの含有量は5.0〜7.5%とする。Alの効果をより確実に得るための好ましい下限は5.2%であり、更に好ましくは5.4%である。また、好ましいAlの上限は6.7%であり、更に好ましくは6.5%であり、より好ましくは6.0%である。
<Cr>
Crは、合金表面もしくは内部におけるアルミナの連続層の形成を促進し、合金の耐酸化性を向上させる作用を有する。そのため、0.5%以上のCrの添加が必要になる。また、AlやW等とともにCrを添加した場合、後述する表4、図5等に示されているように、3.0〜7.5%のCrは1000℃において高い圧縮強度が達成される。さらに、3.0%以下のCr含有量では、1000℃に加えて、1000℃から1100℃までの温度においても高い圧縮強度が得られる。但し、7.5%を超える範囲のCrの添加は、1000℃以上における圧縮強度を低下させるため避けなければならない。Crの添加は必ずしも高温強度に不利なものではなく、AlやW等とともに0.5〜7.5%Crを添加した場合には、むしろ高温強度が高まり、高い高温強度を維持しながら、耐酸化性が向上できる点が本発明によって明らかとなったのである。Crの効果をより確実に得るための好ましい下限は1.0%であり、より好ましくは1.3%である。一方、Crの含有量が多すぎると、TCP(Topologically Close Packed)相等の有害相を析出しやすくする場合がある。特に、W、Mo、Ta、Ti、Nbなどの合金の高温強度を向上させる元素を多く含有している場合には、有害相が析出しやすい。耐酸化性を向上させ、且つ、高温強度を向上させる元素の含有量を高い水準に維持しつつ有害相の析出を抑制する観点から、本発明におけるCrの含有量の好ましい上限は3.0%である。更に好ましい上限は2.0%である。
<Ta>
本発明におけるNi基超耐熱合金は、Taを含有することができる。Taは、NiAlからなるガンマプライム相にAlサイトを置換する形で固溶して合金の高温強度を高めるとともに、合金表面に形成された酸化物皮膜の密着性と耐酸化性を高め、特に金型の加熱と冷却のサイクルの短い熱サイクル条件において、合金の耐酸化性をより向上させる作用を有する。一方、Taの含有量が多すぎると、TCP相等の有害相を析出しやすくする作用もある。耐酸化性及び高温強度を高め、且つ、有害相の析出を抑制する観点から、本発明においてTaを含有する場合のTaの上限は7.0%とする。Taを含有する場合、効果をより確実に得るための好ましい下限は0.5%であり、更に好ましい下限は2.5%であり、より好ましくは5.0%である。好ましいTaの上限は6.7%であり、更に好ましくは6.5%である。
<Zr、Hf、希土類元素、Y及びMg>
本発明におけるNi基超耐熱合金は、Zr、Hf、希土類元素、Y及びMgから選択される1種または2種以上の元素を含有することができる。Zr、Hf、希土類元素、Yは、酸化物被膜の結晶粒界への偏析によりその粒界での金属イオンと酸素の拡散を抑制する。この粒界拡散の抑制は、酸化物被膜の成長速度を低下させ、また、酸化物被膜の剥離を促進する様な成長機構を変化させることで被膜と合金の密着性を向上させる。すなわち、これらの元素は、前述した成長速度の低下と被膜密着性の向上によって、特に金型の加熱と冷却のサイクルの短い熱サイクル条件において、合金の耐酸化性をより向上させる作用を有する。また、希土類元素、Y及びMgは、酸化物被膜と合金の界面への偏析とそれらの化学結合の阻害により被膜の密着性を低下させるS(硫黄)と硫化物を形成し、Sの偏析を防止することで密着性を向上させ、特に金型の加熱と冷却のサイクルの短い熱サイクル条件において、合金の耐酸化性をより向上させる作用を有する。なお、Sは不純物として含まれ得る元素である。
なお、前記希土類元素のなかでもLaを用いるのが好ましい。Laは耐酸化性の向上の効果が大きいためである。Laは前述した拡散の抑制に加えてSの偏析を防止する作用も有し、且つ、それらの作用が優れているため、希土類元素のなかではLaを選択するのが良い。また、YにおいてもLaと同じ作用効果を奏するためYの添加も好ましく、LaとYを含む2種以上を用いるのが特に好ましい。
耐酸化性に加えて、特に金型の加熱と冷却のサイクルの短い熱サイクル条件において発生する過度な熱応力にともなう金型の割れの抑制のため、靭性も必要な場合は、希土類元素、Yと比べて靭性を低める作用の低い、HfまたはZrを用いるのが好ましい。Zr、Hfの中では、Hfは靭性を低める作用がより低く、また、鋳造時の割れを防止する効果も期待できるため、Hfを用いるのが特に好ましい。希土類元素、Yを含有せず、Zr、Hfの1種または2種を含有する場合は、Zr、Hfは希土類元素、Yと比べてSの偏析を防止する作用が小さいため、Mgを同時に添加すると耐酸化性がより向上する。そのため、耐酸化性と靭性をバランスよく高めるには、HfとMgとを同時に用いることが特に好ましい。
前述したZr、Hf、希土類元素、Y及びMgの添加量が多すぎると、Ni等との金属間化合物を過度に生成して合金の靱性を低下させるため、これらの任意の添加元素を含有させる場合は以下に示す含有量とすることが好ましい。
耐酸化性を高め、且つ、靱性の低下を抑制する観点から、本発明におけるZr、Hfを含有する場合のZr、Hfのそれぞれの含有量の上限は0.5%である。Zr、Hfのそれぞれの含有量の好ましい上限は0.3%であり、さらに好ましくは0.2%である。Zr、Hfを含有させる場合の下限は0.001%とするとよい。Zr、Hfの含有の効果を十分に発揮する好ましい下限は0.01%であり、更に好ましくは0.05%であり、より好ましくは0.1%以上含有するのがよい。
希土類元素、Yは先述したようにZr、Hfよりも靱性を低める作用が高いため、本発明における希土類元素、Yを含有する場合のこれらの元素のそれぞれの含有量の上限は0.2%であり、好ましい上限は0.02%であり、更に好ましくは0.005%である。希土類元素、Yを含有させる場合の下限は0.001%とするとよい。希土類元素、Yの含有の効果を十分に発揮する好ましい下限は0.002%であり、更に好ましくは0.003%以上含有するのがよい。
また、Mgについては合金に不純物として含有されるSと硫化物を形成させるために必要な量のみ含有すればよいため、Mgを含有する場合の含有量の上限は0.03%とする。Mgを含有させる場合の下限は0.001%とするとよい。好ましいMgの上限は0.025%であり、より好ましくは0.02%である。一方、Mg添加による効果をより確実に発揮させるには0.005%を下限とするのがよい。
<Ti及びNb>
本発明における熱間金型用Ni基合金は、Ti、Nbから選択される1種または2種を合計として3.5%以下の範囲で含有することができる。Ti、Nbは、Taと同様にNiAlからなるガンマプライム相にAlサイトを置換する形で固溶して、合金の高温強度を高める。また、Taに比べて安価な元素であるため金型コストの点で有利である。一方、Ti、Nbの含有量が多すぎると、Taと同様に、TCP相等の有害相を析出しやすくする作用や、共晶ガンマプライム相を過度に生成し、合金の高温強度を低める作用もある。加えて、Ti、Nbは、Taに比べて高温強度を高める作用が弱く、また、Taと異なり耐酸化性を向上させる作用を有さない。
以上のことから、有害相の析出と共晶ガンマプライム相の過度な生成に伴う高温強度の低下を抑制する観点より、TaとTiとNbの含有量の総和を制限しつつ、高温強度特性と耐酸化性がTaのみを含有した場合と同水準に維持される範囲内で、Taを金型コストの点で有利なTi乃至はNbに置換することが望ましい。本発明では、Ti及び/またはNbを含有する場合、TaとTiとNbの含有量の総和の上限を7.0%とするとともに、Ti、Nbの元素から選択される1種または2種の含有量の上限を3.5%とするのが好ましい。TaとTiとNbの含有量の総和の好ましい上限は6.5%であり、Ti、Nbの元素から選択される1種または2種の含有量の好ましい上限は2.7%である。また、高温強度を高める効果を確実に得る観点から、TaとTiとNbの含有量の総和の下限を1.0%とするとともに、金型コストを低下させる効果を確実に得る観点から、Ti、Nbの元素から選択される1種または2種の含有量の下限を0.5%とすると良い。TaとTiとNbの含有量の総和の好ましい下限は3.0%であり、さらに好ましい下限は4.0%である。Ti、Nbの元素から選択される1種または2種の含有量の好ましい下限は1.0%である。
なお、TiとNbの選択においては、経済的な観点からするとTiを用いることが好ましく、高温強度を特に重視する場合はNbを用いることが好ましい。金型コストと高温強度の両者を重視する場合は、TiとNbを同時に用いることが特に好ましい。
<Co>
本発明における熱間金型用Ni基合金は、Coを含有することができる。Coは、オーステナイトマトリックスに固溶し、合金の高温強度を高める。一方、Coの含有量が多すぎると、CoはNiに比べて高価な元素であるため金型コストを高め、また、TCP相等の有害相を析出しやすくする作用もある。高温強度を高め、金型コストの上昇と有害相の析出を抑制する観点から、15.0%以下の範囲でCoを含有することができる。なお、Coを含有する場合、効果を確実に得るための好ましい下限は0.5%であり、更に好ましくは2.5%である。また、好ましい上限は13.0%であり、更に好ましくは6.0%である。
<C及びB>
本発明における熱間金型用Ni基合金は、0.25%以下のC(炭素)と、0.05%以下のB(硼素)から選択される1種または2種の元素を含有することができる。C、Bは、合金の結晶粒界の強度を向上させ、高温強度や延性を高める。一方、C、Bの含有量が多すぎると、粗大な炭化物やホウ化物が形成され、合金の強度を低下させる作用もある。合金の結晶粒界の強度を高め、粗大な炭化物やホウ化物の形成を抑制する観点から、本発明におけるCを含有する場合のCの含有量は0.005〜0.25%、Bの含有量は0.005〜0.05%とすることが好ましい。Cの効果を確実に得るための好ましい下限は0.01%であり、好ましい上限は0.15%である。Bの効果を確実に得るための好ましい下限は0.01%であり、好ましい上限は0.03%であり、より好ましい上限は0.02%である。
経済性や高温強度を重視する場合はCのみを用いることが特に好ましく、延性を特に重視する場合はBのみを使用することが特に好ましい。高温強度と延性の両者を重視する場合は、CとBを同時に用いることが特に好ましい。
以上説明する添加元素以外はNi及び不可避的不純物である。本発明におけるNi基超耐熱合金においてNiはガンマ相を構成する主要元素であるとともに、Al、Ta、Mo、W等とともにガンマプライム相を構成する。なお、前記不可避的不純物元素のうち、特にSについては0.0030%以下とするのが好ましい。より好ましくは0.0010%以下の範囲に規制して、酸化物被膜と合金の界面への偏析とそれらの化学結合の阻害による被膜の密着性の低下を防止することが好ましい。
なお、後述する実施例で明らかにするように、本発明において好ましい組成はW、Mo、Al、Cr、Ta、Hf、Mgを含むものであって、中でも特に以下の範囲が好ましいと考えている。
質量%で、W:10.0〜12.0%、Mo:4.0〜6.0%、Al:5.0〜6.5%、Cr:1.0〜3.0%、Ta:2.5〜6.7%、Hf:0.01〜0.3%、Mg:0.001〜0.025%を含有し、残部はNi及び不可避的不純物でなる組成を有する熱間金型用Ni基合金である。
<酸化皮膜>
本発明では、大気中で1000〜1100℃に加熱した場合に、表面の80%以上がアルミニウムの酸化物層で覆われることが重要である。本発明の熱間金型用Ni基合金は大気中でのホットダイ鍛造や恒温鍛造に用いることができる。前記の1000℃という温度はホットダイ鍛造を想定した温度である。また、1100℃は恒温鍛造を想定した温度である。なお、ここで言う表面とは、金型で最も重要な成型面を指す。好ましくは成型面及び金型側面がアルミニウムの酸化物層で覆われることであり、より好ましくは金型の全面が覆われていることである。
この温度範囲で熱間金型用Ni基合金の表面の80%以上にアルミニウム酸化物層を形成するには、例えば、ショットブラスト等の噴射加工を施すことで酸化物層(酸化皮膜)の形成を促進させることができる。但し、熱間金型用Ni基合金に過度な成分偏析があると酸化皮膜が不均一になりやすくなる。そのため、成分偏析を軽減する、例えば、不活性雰囲気中、もしくは大気中において鋳造素材の全面に酸化防止剤を塗布した上で実施する1100〜1300℃での10〜100時間程度の均質化熱処理などを適用して、予めアルミニウム酸化物の不均一な形成を防止することが好ましい。アルミニウム酸化物層の被覆が表面の80%未満であるとスケール飛散量が多くなるという問題が生じる。そのため、本発明では熱間金型用Ni基合金表面に形成するアルミニウム酸化物の面積率を80%以上とする。好ましくは90%以上であり、最も好ましくは100%である。なお、本発明のアルミニウム酸化物層の被覆率(面積率)を確認するには、少なくとも25mmの範囲を光学顕微鏡で観察すると良い。
また、機械加工後に脱脂洗浄を実施した金型に、例えば、大気中において1000℃以上の温度で予備加熱を行なって表面の80%以上をアルミニウムの酸化物層で覆うことで、金型の組付け作業等の際に表面に付着する油脂等の汚れによるアルミニウムの酸化物層の形成の阻害や、金型と部材の焼き付きを抑制することができる。また、成型面に形成されたアルミニウムの酸化物層は潤滑剤として使用するガラス潤滑剤の濡れ性を向上させる効果を有する。なお、前記の予備加熱温度の上限は1150℃とすればよい。予備加熱時間は熱間鍛造用金型の大きさにもよるが、10分〜3時間程度で十分である。
<熱間鍛造用金型>
本発明では、上記の合金組成を有し、本発明で規定する範囲内のアルミニウム酸化物層で被覆された熱間金型用Ni基合金を用いた熱間鍛造用金型を構成することができる。本発明の熱間鍛造用金型は合金粉末の焼結もしくは鋳造により得ることができる。合金粉末の焼結よりも製造費の安価な鋳造の方が好ましく、更に、凝固時の応力による素材の割れの発生を抑制するため、その鋳型には砂型又はセラミックス型を用いることが好ましい。
また、本発明の熱間鍛造用金型の成形面または側面の少なくとも一方の面を、酸化防止剤の被覆層を有する面とすることができる。これにより、高温での大気中の酸素と金型の母材の接触による金型表面の酸化とそれに伴うスケール飛散を防止し、作業環境の劣化及び形状劣化をより確実に防止できる。前述した酸化防止剤は、窒化物、酸化物、炭化物の何れか1種類以上でなる無機材料であることが好ましい。これは、窒化物や酸化物や炭化物の塗布層により緻密な酸素遮断膜を形成し、金型母材の酸化を防ぐためである。なお、塗布層は窒化物、酸化物、炭化物の何れかの単層でも良いし、窒化物、酸化物、炭化物の何れか2種以上の組み合わせの積層構造であっても良い。更に、被覆層は窒化物、酸化物、炭化物の何れか2種以上からなる混合物であっても良い。なお、本発明において、被覆層を形成するには、塗布、噴霧等の常法が適用できるが、経済的な観点から塗布層の形成が好ましい。塗布により酸素遮断膜を形成させることで容易に膜厚を厚くできるため、大気中の酸素と金型の母材の接触をより確実に防止できるが、塗布層の厚さを過度に厚くしても効果が飽和するため、前記塗布層の厚さは100〜200μmであることが好ましい。また、塗布前の酸化防止剤は塗布が容易なスラリーであることが好ましく、更に、塗布方法は簡便な刷毛による塗布が好ましい。
以上、説明する本発明の熱間金型用Ni基合金を用いた熱間鍛造用金型は、高い高温圧縮強度と良好な耐酸化性を有し、高温での大気中の酸素と金型の母材の接触による金型表面の酸化とそれに伴うスケール飛散を防止し、作業環境の劣化及び形状劣化をより確実に防止できる。
<鍛造製品の製造方法>
本発明の熱間金型用Ni基合金を用いた熱間鍛造用金型を用いて鍛造製品を製造する場合の代表的な工程について説明する。
先ず、第一の工程として鍛造素材を所定の鍛造温度に加熱する。鍛造温度は材質に応じて異なるため、適宜温度を調整する。本発明の熱間金型用Ni基合金を用いた熱間鍛造用金型は、高温での大気中の雰囲気においても恒温鍛造やホットダイ鍛造が可能な特性を有するため、難加工性材料と知られるNi基超耐熱合金やTi合金等の熱間鍛造に好適である。代表的な鍛造温度としては1000〜1150℃の範囲である。
そして、前記第一の工程で加熱された鍛造素材を前記熱間鍛造用金型を用いて熱間鍛造(第二の工程)する。なお、熱間鍛造する前に熱間鍛造用金型を1000℃以上に加熱して第二の工程を行うことが好ましい。前記のホットダイ鍛造や恒温鍛造の場合、第二工程の熱間鍛造は、型鍛造であることが好ましい。また、本発明の熱間金型用Ni基合金は前述したように、特にCr含有量を調整した成分とすることにより1000℃以上の高温で大気中の熱間鍛造が可能である。
以下の実施例で本発明をさらに詳しく説明する。真空溶解にて、セラミックス型を使用し表1に示す熱間金型用Ni基合金のインゴットを製造した。単位は質量%である。なお、下記インゴットに含有されているP、N、Oはそれぞれ0.003%以下であり、Si、Mn、Feはそれぞれ0.03%以下である。表1中のNo.1〜20は「本発明例」、No.21及び22は「比較例」の組成を有する熱間金型用Ni基合金である。
Figure 0006646885
上記の各インゴットから10mm角の立方体を切出し、表面を1000番相当に研磨して耐酸化性試験片を作製し、耐酸化性の評価を行った。耐酸化性試験では、熱間鍛造用の金型として大気中で用いるときに、長時間使用することを模擬した試験と、繰り返し使用することを模擬した試験の2種類の試験を実施した。
長時間の使用を模擬した耐酸化試験として、本発明例No.1乃至20および比較例No.21、22の試験片を用いて、試験片をSiOとAlからなるセラミックス製のるつぼの中に入れた状態で1100℃に加熱された炉に投入し、1100℃にて所定時間保持した後に炉から試験片の入ったるつぼを取り出し、スケールのるつぼ外への剥離を防ぐため取り出し後すぐにるつぼに同材質の蓋を被せた状態で空冷させる加熱試験を行った。加熱試験は、長時間の使用に対する耐酸化性を評価するため、各試験片に対し保持時間3時間と8時間乃至は20時間の試験をそれぞれ行った。なお、予備加熱を想定した場合は、1回目の加熱(3時間)が予備加熱に相当し、2回目(8時間及び20時間)は、熱間鍛造を繰り返し行なったときに累積した高温での保持時間を想定したものとなる。
各試験片に対し、加熱試験前に試験片の表面積と試験片を入れたるつぼの質量の測定を行い、また、加熱試験後に室温まで冷却した後試験片の入ったるつぼの質量を測定した。各試験後に測定した質量から試験前に測定した質量を差し引き、その値を試験前に測定した表面積にて割ることで、各試験後における試験片の単位表面積あたりの質量変化を算出した。質量変化の値が大きいほど単位面積当たりのスケール生成量が大きいということである。質量変化は以下のように計算した。
質量変化=(試験後質量−試験前質量)/試験前表面積
表2に各保持時間の加熱試験での算出した試験片の単位表面積あたりの質量変化を示す。質量変化の単位はmg/cmである。また、図1に本発明例No.1乃至3、7、13、17及び20と、比較例No.21、22の大気中1100℃での保持時間と質量変化の関係を示す。
表2及び図1より、Crを添加した本発明のNo.1乃至20は、Crを添加していない比較例21、22に対してスケールの生成量が抑制され8時間後の重量変化が半分以下となっており、Crの添加による長時間の使用に対する良好な耐酸化性を有することが分かる。
また、図2に、大気中1100℃で8時間保持した本発明例No.2及び3と比較例No.21の光学顕微鏡写真を示す。また、表面に形成された酸化物のエネルギー分散型エックス線分析装置による定量分析結果と、100倍の倍率で撮影した光学顕微鏡写真より、黒色のアルミニウムの酸化物層と緑色のニッケル等からなる酸化物を区別することで解析したアルミニウム酸化物の面積率を併せて図2に示す。なお、測定した面積は100mmである。
図2より、本発明のNo.2及び3では、Crの添加によりアルミニウムの酸化物の形成が促進され、表面の80%以上がアルミニウムの酸化物層で覆われていることが分る。No.2及び3以外の本発明例の大気中1100℃での加熱試験後の表面も同様にアルミニウムの酸化物で覆われている。また、比較例No.22はNo.21と同様に表面がアルミニウムの酸化物で覆われていない。表2及び図1において示された本発明例No.1乃至20の良好な耐酸化性は、このアルミニウムの酸化物によるものである。
また、図3に、本発明例No.1及び7と比較例No.21の、大気中1100℃での加熱試験後の試料を樹脂埋込した後、そのまま鏡面研磨した後断面方向から表面付近を観察したFE−EPMA反射電子像とAl、Mo、W、Oの元素マップを示す。元素マップ画像における濃淡は測定対象元素の濃度に対応しており、白い程濃度が高い。なお、本発明例No.1と比較例No.21は保持時間8時間後の試料、本発明例No.7は3時間後の試料である。比較例No.21ではAl、Mo、Wからなる複合酸化物が表面に形成されており、アルミニウム酸化物の連続層が形成されていないが、本発明例No.1及び7では、表面にアルミニウム酸化物の連続層が形成されていることが分かる。以上のことから、本発明例の表面のアルミニウム酸化物は層をなしており、また、この層はCrの添加により形成されたことが分かる。
Figure 0006646885
繰り返しの使用を模擬した耐酸化試験として、本発明例No.1乃至8及び10と比較例No.21の試験片を用いて、試験片をSiOとAlからなるセラミックス製の容器の上に置いた状態で1100℃に加熱された炉に投入し、1100℃にて3時間保持した後に炉から取り出して空冷させる加熱試験を行った。加熱試験は、繰り返しの使用に対する耐酸化性を評価するため、冷却した後再投入することで5回繰り返し行った。
各試験片に対し、1回目の加熱試験前に試験片の表面積と質量の測定を行い、また、1乃至5回目の加熱試験後に室温まで冷却した後表面のスケールをブロワーにて除去した試験片の質量を測定した。各試験後に測定した質量から1回目の試験前に測定した質量を引き、その値を1回目の試験前に測定した表面積にて割ることで、各試験後における試験片の単位表面積あたりの質量変化を算出した。質量変化の値の絶対値が大きいほど単位面積当たりのスケール飛散量が大きいということである。各繰り返し回数後における質量変化は以下のように計算した。
質量変化=(試験後質量−1回目試験前質量)/1回目試験前表面積
表3に各加熱試験後に算出した試験片の単位表面積あたりの質量変化を示す。質量変化の単位はmg/cmである。また、図4に加熱試験の回数と質量変化の関係を示す。
表3及び図4に示すように、本発明例No.1乃至8及び10は、比較例21の合金よりもスケールの生成(飛散)が抑制され質量変化の値の絶対値が小さくなっており、繰り返しの使用に対しても良好な耐酸化性を有することが分かる。また、Crに加えてTaを添加した本発明例No.4及び8や、Crに加えてLaとZrを添加した本発明例No.2及び3は、Crのみを添加したNo.1と比較してスケールの飛散が抑制されている。
また、CrとTaに加えてHfを添加した本発明例No.5や、Mgを添加した本発明例No.6は、CrとTaのみを添加した本発明例No.4と比較してスケールの飛散がより抑制されている。更に、HfとMgを同時に添加した本発明例No.7は、本発明例No.5及び6と比較してスケールの飛散がより抑制されていることが分かる。これは、HfとMgがそれぞれ異なるメカニズムでスケールの密着性を向上させたためであり、質量変化が極めて少ない良好な結果が得られることがわかる。また、CrとTaに加えてLaを添加した本発明例No.10は、CrとTaのみを添加した本発明例No.8と比較してスケールの飛散がより抑制されており、先述した本発明例7と同等の耐酸化性であることが分かる。これは、LaがHfとMgそれぞれのスケールの密着性を向上させるメカニズムを兼ね備えているためである。
Figure 0006646885
次に、表1の本発明例No.1乃至20と比較例No.21及び22の各インゴットから直径8mm、高さ12mmの試験片採取用素材を切出し、表面を1000番相当に研磨して圧縮試験片を作製した。この圧縮試験片を用い、900℃、1000℃、1100℃の各温度にて、歪速度10−3/sec、圧縮率10%の条件で圧縮試験を行った。圧縮試験により得られた応力―歪曲線より0.2%圧縮強度を導出し、高温圧縮強度の評価を行った。この圧縮試験は、熱間鍛造用の金型として、高温下においても十分な圧縮強度を有しているかを試験するものであり、試験温度が900℃及び1000℃のものは主として“ホットダイ鍛造”への適用を確認するためのものであり、試験温度が1100℃のものは主として“恒温鍛造”への適用を確認するためのものである。恒温鍛造を想定した試験温度1100℃において、300MPa以上あれば十分な強度を有すると言える。好ましくは350MPa以上であり、更に好ましくは380MPa以上である。また、ホットダイ鍛造を想定した試験温度900℃及び1000℃において、500MPa以上あれば十分な強度を有すると言える。好ましくは550MPa以上であり、更に好ましくは600MPa以上である。
表4に本発明例No.1乃至20と比較例No.21及び22の試験片の各試験温度における0.2%圧縮強度を示す。また、図5に本発明例No.1乃至3と比較例No.21の各試験温度と0.2%圧縮強度の関係を図示する。
表4より、No.1乃至3の1000℃での歪速度10−3/secでの圧縮強度は500MPa以上であることがわかる。No.1及び2においては600MPa以上の圧縮強度が得られている。好ましいCr量のNo.1及び2、4乃至20については、1100℃での歪速度10−3/secでの圧縮強度が300MPa以上であることが分かる。なかには350MPa以上の圧縮強度が得られたものや、400MPa以上の圧縮強度が得られたものがあることが分かる。また、図5より、Cr添加量が上限の7.5%以下であるNo.1乃至3の1000℃における圧縮強度はCrを含有しない比較例No.21と比べて同等以上であることと、Cr添加量が3.0%以下である実施例No.1及び2の1000〜1100℃における圧縮強度は比較例No.21と比べて同等以上であることが明らかである。以上から、何れの本発明合金においても高い高温圧縮強度を有することがわかる。
Figure 0006646885
次に、表5に示すように本発明の熱間金型用Ni基合金の組成を満足し、且つ、表6に示す酸化物からなる酸化防止剤を表面におおよそ150μmの厚さで塗布した熱間鍛造用金型を用いて、酸化防止剤による熱間鍛造用金型の酸化及びスケール飛散の防止効果の評価を行った。
図6に、酸化防止剤を塗布した熱間鍛造用金型を大気中で1000℃以上の加熱を行った後の熱間鍛造用金型表面の外観写真を示す。図6から分かるように、熱間鍛造用金型表面に塗布した酸化防止剤の剥離がないことがわかる。また、スケールの飛散も確認されなかった。このことから、酸化防止剤により金型の酸化及びスケールの飛散が防止されることがわかる。
Figure 0006646885
Figure 0006646885
以上の結果から、本発明の熱間金型用Ni基合金は、大気中での熱間鍛造に用いても十分な耐酸化性と高温での高い圧縮強度とを兼備していることがわかる。これにより、本発明の熱間金型用Ni基合金を用いた熱間鍛造用金型は、耐熱合金からなる製品の鍛造(例えば、ホットダイ鍛造や恒温鍛造)において有益なものであることがわかる。特に、スケールの生成を著しく低減できたため、作業環境の劣化及び形状劣化を抑制することができる。
また、本発明の熱間金型用Ni基合金を用いて熱間鍛造用金型を作製し、その成形面、または側面の少なくとも一方に酸化防止剤の塗布層を形成すると、より一層、作業環境の劣化を防止するとともに、形状劣化も防止することができる。そのため、本発明の熱間金型用Ni基合金製の熱間鍛造用金型は、大気中でのホットダイ鍛造や恒温鍛造に好適であることがわかる。

Claims (9)

  1. 質量%で、W:7.0〜15.0%、Mo:2.5〜11.0%、Al:5.0〜7.5%、Cr:0.5〜7.5%、残部はNi及び不可避的不純物でなる熱間金型用Ni基合金を用いた熱間鍛造用金型の全面の80%以上がアルミニウム酸化物層で被覆されていることを特徴とする熱間鍛造用金型。
  2. 前記熱間金型用Ni基合金は、質量%で、Zr:0.5%以下、Hf:0.5%以下、希土類元素:0.2%以下、Y:0.2%以下、Mg:0.03%以下の元素から選択される1種または2種以上を更に含有する請求項1に記載の熱間鍛造用金型。
  3. 前記熱間金型用Ni基合金は、質量%で、7.0%以下のTaを更に含有する請求項1または2に記載の熱間鍛造用金型。
  4. 前記熱間金型用Ni基合金は、質量%で、Ti、Nbの元素から選択される1種または2種を合計として3.5%以下を更に含有し、TaとTiとNbの含有量の総和が1.0〜7.0%である請求項2または3に記載の熱間鍛造用金型。
  5. 前記熱間金型用Ni基合金は、質量%で、15.0%以下のCoを更に含有する請求項1乃至4の何れかに記載の熱間鍛造用金型。
  6. 前記熱間金型用Ni基合金は、質量%で、C:0.25%以下、B:0.05%以下の元素から選択される1種または2種を更に含有する請求項1乃至5の何れかに記載の熱間鍛造用金型。
  7. 鍛造素材を加熱する第一の工程と、
    前記第一の工程で加熱された鍛造素材を請求項1乃至の何れかに記載の熱間鍛造用金型を用いて熱間鍛造する第二の工程とを有する、鍛造製品の製造方法。
  8. 前記熱間鍛造用金型を1000℃以上に加熱して第二の工程を行う、請求項に記載の鍛造製品の製造方法。
  9. 前記熱間鍛造用金型を1000℃以上に加熱する工程以前に、請求項1乃至6の何れかに記載の組成を有する前記熱間金型用Ni基合金を大気中で1000℃以上の予備加熱を行なって、前記熱間金型用Ni基合金の全面に80%以上アルミニウム酸化物層を形成したものを前記熱間鍛造用金型とする請求項に記載の鍛造製品の製造方法。
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