JP6646495B2 - ウェザーストリップ - Google Patents

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Description

本発明は、ウェザーストリップに関し、特に、中空状シール部を有する長尺なウェザーストリップに関する。
一般に車両には、車体の開口部(例えばバックドア開口部、トランク開口部、フロントドア開口部、リアドア開口部等)の周縁部と、当該開口部を開閉可能なドア体(例えばバックドア、トランクリッド、フロントドア、リアドア等)の周縁との間を風雨や埃からシールするためのウェザーストリップが設けられている。なお、車体開口部の周縁部は、概ね真っ直ぐに延びる辺部と、かかる辺部と辺部とをつなぐ湾曲したコーナー部との組合せによって縁取りされている。
ところで、降雨時にドア体(例えばバックドア)を開けたときに、その際の衝撃や振動を契機としてルーフ上やドア体上に付着していた雨水が、車体開口部の上辺部に取り付けられたウェザーストリップ上に流れ込むと共に、当該ウェザーストリップを乗り越えて車内にまで浸入することがある(これを「雨垂れ」と呼ぶこともある)。このような好ましくない雨水の浸入を防止すべく、例えば特許文献1(特開平10−128822号)は、雨垂れ防止用リップ18,20を備えた自動車用ウェザーストリップを開示する。特許文献1の図2(a),(b)によれば、取付基部12の側面から第1の雨垂れ防止用リップ18が突設されると共に、中空シール部14の表面から第2の雨垂れ防止用リップ20が突設されている。そして図9(a)に示されるように、これらのリップ18,20がいわば防水隔壁となってウェザーストリップ上に雨水の貯留領域が確保され、この貯留領域に雨水を一時的に溜めることで雨垂れが防止される。
特開平10−128822号公報
しかしながら、特許文献1の雨垂れ防止用リップ18,20は横断面幅が狭く、各リップの根元部分も細くなっている。このため、雨水の量が多くなると、その重みによって雨垂れ防止用リップが倒されてしまい、雨水の車内への浸入(雨垂れ)を十分に防げないおそれがあった。
本発明の目的は、車内への雨水等の浸入を極力防止することが可能なウェザーストリップを提供することにある。
請求項1の発明は、上辺部、側辺部および下辺部を含む周縁部によって縁取りされた車体開口部と、前記車体開口部を閉塞可能なドア体との間をシールするウェザーストリップであって、
当該ウェザーストリップは、前記車体開口部の周縁部に沿って設けられた被取付体に取り付けられる取付部と、その取付部に一体的に設けられて前記ドア体に当接可能な中空状シール部とを有しており、
当該ウェザーストリップは、長尺であると共に、その長手方向において、
前記車体開口部の周縁部のうちの上辺部に沿って取り付けられる上辺対応部と、
前記車体開口部の周縁部のうちの側辺部及び下辺部の少なくとも一つに沿って取り付けられる一般部と、を有しており、
前記中空状シール部のうち当該ウェザーストリップが車体に取り付けられた際に最も外周側に位置する部位と、前記取付部の幅方向の中心線との距離に関して、前記上辺対応部における前記距離(L2)が前記一般部における前記距離(L1)よりも大きく、
前記中空状シール部は、少なくとも内周側壁部及び外周側壁部を有しており、
前記上辺対応部における中空状シール部の内周側壁部の壁厚(t2)は、前記一般部における中空状シール部の内周側壁部の壁厚(t1)よりも厚い、ことを特徴とするウェザーストリップである。
請求項1の発明によれば、ウェザーストリップが車体に取り付けられた状態では、取付部および中空状シール部の片側(外周側)において、雨水等を一時的に受け止めるための溝又は貯留領域を確保することが可能となる。この点、ウェザーストリップの上辺対応部においては、中空状シール部の最も外周側に位置する部位と取付部の幅方向中心線との距離が相対的に大きく設定されているため、上辺対応部によって確保される雨水受け止め用の溝又は貯留領域は十分に大きな容量を有することになり、少なくともその容量は、一般部における雨水受け止め用の溝又は貯留領域に対応する部分又は領域よりも大きなものとなる。このように、車体開口部の上辺部に沿って取り付けられる上辺対応部は、雨水等を一時的に貯留する能力が高いため、ドア体の開閉操作時に多量の雨水が一度に流入したとしても、その雨水が中空状シール部を乗り越えて車内に浸入する事態を極力防止することができる。
請求項1の発明によれば、更に次のような効果が得られる。即ち、上辺対応部における中空状シール部の内周側壁部の壁厚が相対的に厚く形成されているため、当該上辺対応部の中空状シール部の上に雨水等が溜まった場合でも、その重さで内周側壁部が潰れる事態を回避して雨水等の漏洩を極力防止することができる。また、中空状シール部の内周側壁部を厚くすることで、ドア体を閉じたときの中空状シール部の反力が大きくなり、その結果、ドア体と中空状シール部(内周側壁部)との当接性又は密着性が良くなり、シール性が向上する。
請求項2の発明は、請求項1に記載のウェザーストリップにおいて、前記中空状シール部は、その頂部付近から外周側に向けて突出する突出リップを有している、ことを特徴とする。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて更に次のような効果が得られる。即ち、中空状シール部の頂部付近から外周側に向けて突出するように設けられた突出リップは、ウェザーストリップの上辺対応部によって確保される雨水受け止め用の溝又は貯留領域の容量の増大に貢献する。それに加えて、突出リップは、上辺対応部によって確保される雨水受け止め用の溝又は貯留領域に溜まった雨水を、当該突出リップに沿って車体開口部の側辺部に案内して上辺部から逃がす(つまり排出誘導する)働きをする。このような突出リップの作用により、雨水の車内への浸入防止効果が更に高められる。
請求項3の発明は、請求項2に記載のウェザーストリップにおいて、前記中空状シール部の横断面における中空状シール部の内周側壁部の外側輪郭に沿ったアウトラインの長さに関して、前記上辺対応部における内周側壁部のアウトライン長(MA1)は、前記一般部における内周側壁部のアウトライン長(MC1)よりも長い、ことを特徴とする。
請求項3の発明によれば、請求項2の発明の効果に加えて更に次のような効果が得られる。即ち、中空状シール部の横断面視において、上辺対応部における内周側壁部のアウトライン長(外郭線の長さ)を、一般部における内周側壁部のアウトライン長(外郭線の長さ)よりも長く設定することで、上辺対応部における中空状シール部を外周側に向けてより大きく傾けることが可能となる。その結果、上辺対応部によって確保される雨水受け止め用の溝又は貯留領域の容量を相対的に大きくできると共に、雨水等の車内への浸入防止効果を高めることができる。
以上詳述したように本発明のウェザーストリップによれば、車内への雨水等の浸入を極力防止することができる。
乗用車両のバックドア開口部の概要を示し、(A)は、実施形態に従うウェザーストリップの装着状態での斜視図、(B)はウェザーストリップの非装着状態での斜視図。 図1のII−II線位置でのウェザーストリップの断面図。 図1のIII−III線位置でのウェザーストリップの断面図。 ウェザーストリップの中空状シール部における寸法設定と傾斜姿勢について説明するための概略図。 (A)は、ウェザーストリップの上辺対応部による雨水の受け止め状況を例示した断面図、(B)は、車体開口部の周縁部を形作るフランジ(被取付体)の従来型設計を示した概略断面図。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1(A)及び(B)は、一般的な2ボックスタイプの乗用車両1において、バックドア2を跳ね上げた状態でのバックドア開口部3を示す。なお、1aは車両のルーフ、1bは車両後部のピラー部である。
図1(B)に示すように、バックドア開口部3の周縁部は、概ね4つの辺部(4a,4b,4c)と、概ね4つのコーナー部(5a,5c)との組合せによって縁取りされている。前記4つの辺部は、バックドア開口部3の上縁(ルーフ1aの後端縁)に沿ってほぼ水平に延びる上辺部4a、ピラー部1bに沿って上下方向に延びる左右一対の側辺部4b、及び、バックドア開口部3の下縁に沿ってほぼ水平に延びる下辺部4cからなっている。前記4つのコーナー部は、上辺部4aと二つの側辺部4bとの間に位置する左右一対の上側コーナー部5a、及び、下辺部4cと二つの側辺部4bとの間に位置する左右一対の下側コーナー部5cからなっている。
図1(A)は、バックドア開口部3の周縁部にウェザーストリップ6を装着した状態を示す。このウェザーストリップ6は、バックドア開口部3の周縁部に対応すべく環形状(または無端ひも形状)をなすと共に、前記辺部及びコーナー部からなるバックドア開口部3の周縁部の全周長に相当する長さを持った長尺なゴム製の部材として構成されている。以下に詳述するように、ウェザーストリップ6は、上辺対応部6A,側辺対応部6B及び下辺対応部6Cを少なくとも有している。また、当該ウェザーストリップ6は、長手方向に沿ったどの位置においても横断面の基本的構造を同じくするものの、位置によって横断面形状の一部の寸法設定が異なっている。特に本実施形態では、ウェザーストリップ6の上辺対応部6Aにおける寸法設定が、側辺対応部6B及び下辺対応部6Cにおける寸法設定と大きく異なっており、かかる上辺対応部6Aを特別視する意味で、側辺対応部6B及び下辺対応部6Cを「一般部」と位置付けている。ちなみに本実施形態のウェザーストリップ6は、押出成形法で製造される。
なお、本願の明細書、図面及び特許請求の範囲において、方向又は向きを特定するための用語として「内周側」及び「外周側」を使用する。ここで、ウェザーストリップ6の「内周側」とは、ウェザーストリップ6をバックドア開口部3に装着した状態において、バックドア開口部3の周縁部の内側(中心域)に対面する側を意味し、「外周側」とは、バックドア開口部3の周縁部の外側(周囲の外部環境)に対面する側を意味する。
図2は、図1(A)のII−II線位置での断面、即ち、バックドア開口部3の下辺部4cに対して取り付けられるウェザーストリップ6の下辺対応部6C(一般部)の横断面を示す。この図に示すように、下辺対応部6Cは、取付部10と、その取付部10に隣接し且つ一体化された中空トンネル状のシール部20Cとを有している。
図2に示すように、取付部10は、バックドア開口部3の周縁部に沿って設けられた被取付体としてのフランジF(仮想線で示す)に対し直接的に取り付けられる部位であり、横断面「U字」状に屈曲された金属製の芯材11(以下「芯金11」という)と、その芯金11を被覆するように付着されたゴム被覆部12とを有している。そして、ゴム被覆部12の内側部分には、その内側表面から突出するように4つの保持リップ13が設けられている。これらの保持リップ13は、前記フランジFをそれらの間に挟み込むことで当該ウェザーストリップ6をバックドア開口部3の周縁部に固定的に装着させる。また、ゴム被覆部12の外側部分には、その外側表面から突出するように3つの補助リップ(車内側リップ14a、車外側リップ14b、先端側リップ14c)が設けられている。これらのうちの車内側リップ14aは、カーペットや布材等の内装材の端部を覆うためのカバーリップである。また、車外側リップ14b及び先端側リップ14cは、当該ウェザーストリップ6をバックドア開口部3に装着した際に車体と取付部10との間に生じ得る隙間をシールするためのものである。
また、図2に示す下辺対応部6Cにあっては、取付部10に隣接して中空トンネル状のシール部20Cが設けられている。このシール部20Cは、内周側壁部21と外周側壁部22とを有しており、これらの壁部21,22に囲まれることでシール部20C内には、横断面略円形のトンネル状中空領域が確保されている。なお、内周側壁部21の壁厚は均一ではなく位置によって異なっているが、特定の計測位置における壁厚t1をもって内周側壁部21の壁厚を代表させることにする。
シール部20Cは更に、その頂部付近(即ち、内周側壁部21と外周側壁部22とが繋がる部位、図2ではシール部20Cの右端付近)において突出リップ23を有している。突出リップ23は、シール部20Cの頂部付近から外周側に向けて突出しており、その突出方向は、取付部10の幅方向の中心線CL(一点鎖線で示す)に対して略直交する方向となっている。そして、このシール部20Cにあって突出リップ23の先端位置Yは、当該下辺対応部6Cが車体に取り付けられた際に最も外周側に位置する部位となっている。シール部20Cにおける突出リップ23の先端位置Yと前記中心線CLとの間の距離は、L1に設定されている。
取付部10のゴム被覆部12および4つの保持リップ13を形成するゴム材料は、例えば、EPDM(エチレンプロピレンジエン共重合体)にカーボンブラック及び加硫剤を配合してなるものであり、製造過程で加硫剤による加硫(即ちポリマー架橋反応)を施したものである。他方、取付部10における3つの補助リップ14a〜c及びシール部20Cを形成するゴム材料は、例えば、EPDMにカーボンブラック、加硫剤及び発泡剤を配合してなるものであり、製造過程で加硫剤による加硫(即ちポリマー架橋反応)および発泡剤による発泡(スポンジ化)を施したものである。ここで使用可能な発泡剤としては、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)(OBSH)(例えば、永和化成工業株式会社製商品名:ネオセルボン)、アゾジカルボンアミド(ADCA)、熱膨張性マイクロカプセル(例えば、積水化学工業株式会社製商品名:アドバンセル)、物理発泡剤(例えば、水、炭酸ガス)等を例示することができる。尚、発泡剤で発泡させたスポンジ状EPDM系ゴム材料は、上記ゴム被覆部12等に使用される加硫済みEPDM系ゴム材料よりも軟質でより高い柔軟性を有するものである。
なお、本実施形態のウェザーストリップ6のうち、バックドア開口部3の左右の側辺部4bに対して取り付けられる側辺対応部6Bは、断面形状及び寸法ともに前記下辺対応部6Cと基本的に同じである。つまり本実施形態では、ウェザーストリップ6の一般部を構成する側辺対応部6B及び下辺対応部6Cは、ほぼ同じ形状及び寸法を有している。
図3は、図1(A)のIII−III線位置での断面、即ち、バックドア開口部3の上辺部4aに対して取り付けられるウェザーストリップ6の上辺対応部6Aの横断面を示す。この上辺対応部6Aも、一般部(6B,6C)と同様に、取付部10と、中空トンネル状のシール部20Aとを有している。そして、上辺対応部6Aの取付部10は、形状及び寸法ともに一般部(6B,6C)の取付部10とほぼ同じである。
図3に示すように、取付部10に隣接して設けられた中空トンネル状のシール部20Aは、内周側壁部21と外周側壁部22とを有しており、これらの壁部21,22に囲まれることでシール部20A内には、トンネル状中空領域が確保されている。なお、上辺対応部6Aが車体に取り付けられたとき、内周側壁部21が下側に位置し、外周側壁部22が上側に位置することになる。シール部20Aの内周側壁部21の壁厚も均一ではなく位置によって異なっているが、シール部20Cの内周側壁部21における前記壁厚t1の計測位置に対応する特定の計測位置でのシール部20Aの内周側壁部21の壁厚はt2である。そして、上辺対応部6Aにおけるシール部20Aの内周側壁部21の壁厚t2は、一般部としての下辺対応部6Cにおけるシール部20Cの内周側壁部21の壁厚t1よりも大きく設定されている(t1<t2)。
また、前記一般部(6B,6C)のシール部と同様、上辺対応部6Aのシール部20Aは、その頂部付近(即ち、内周側壁部21と外周側壁部22とが繋がる部位、図3ではシール部20Aの左端付近)において突出リップ23を有している。突出リップ23は、シール部20Cの頂部付近から外周側に向けて突出しており、その突出方向は、取付部10の幅方向の中心線CL(一点鎖線で示す)に対して略直交する方向となっている。そして、このシール部20Aにあって突出リップ23の先端位置Yは、当該上辺対応部6Aが車体に取り付けられた際に最も外周側に位置する部位となっている。シール部20Aにおける突出リップ23の先端位置Yと前記中心線CLとの間の距離はL2である。そして、上辺対応部6Aのシール部20Aにおける前記距離L2は、一般部としての下辺対応部6Cのシール部20Cにおける前記距離L1よりも大きく設定されている(L1<L2)。
図4は、ウェザーストリップ6の上辺対応部6A及び下辺対応部6Cにおける中空状シール部20A,20Cの寸法設定と傾斜姿勢について説明するための概略図であり、特に、横断面視におけるシール部20A,20Cの各壁部21,22の外側輪郭に沿ったアウトライン(外郭線)の長さを模式的に示したものである。図4に示すように、上辺対応部6Aの内周側壁部21の根元位置PA1から先端位置Y(本実施形態では、突出リップ23の先端位置Yにほぼ一致する)までのアウトライン長MA1は、上辺対応部6Aの外周側壁部22の根元位置PA2から先端位置Y(本実施形態では、突出リップ23の先端位置Yにほぼ一致する)までのアウトライン長MA2よりも長く設定されている。同様に、下辺対応部6Cの内周側壁部21の根元位置PC1から先端位置Y(本実施形態では、突出リップ23の先端位置Yにほぼ一致する)までのアウトライン長MC1は、下辺対応部6Cの外周側壁部22の根元位置PC2から先端位置Y(本実施形態では、突出リップ23の先端位置Yにほぼ一致する)までのアウトライン長MC2よりも長く設定されている。
そして、上辺対応部6Aの外周側壁部22のアウトライン長MA2と、下辺対応部6Cの外周側壁部22のアウトライン長MC2との間には大差がない一方で、上辺対応部6Aの内周側壁部21のアウトライン長MA1は、下辺対応部6Cの内周側壁部21のアウトライン長MC1よりも明らかに長く設定されている。その結果、上辺対応部6Aのシール部20Aにおける、内周側壁部21の根元位置PA1と先端位置Yとを結ぶ傾斜線LAの、取付部10の幅方向中心線CLに対する傾斜角θ2は、下辺対応部6Cのシール部20Cにおける、内周側壁部21の根元位置PC1と先端位置Yとを結ぶ傾斜線LCの、取付部10の幅方向中心線CLに対する傾斜角θ1よりも大きくなっている(θ1<θ2)。
傾斜角θ2はシール部20Aの外周側への傾斜の程度を表す指標であり、傾斜角θ1はシール部20Cの外周側への傾斜の程度を表す指標である。従って本実施形態のウェザーストリップ6においては、その横断面視において、上辺対応部6Aにおける内周側壁部21のアウトライン長MA1を、下辺対応部6Cにおける内周側壁部21のアウトライン長MC1よりも長く設定することで、下辺対応部6Cのシール部20Cに比べて、上辺対応部6Aのシール部20Aを外周側に向けてより大きく傾けたものとなっている。
[実施形態の効果]
本実施形態によれば、ウェザーストリップ6が乗用車両1に取り付けられたとき、図5(A)に示すように、上辺対応部6Aの取付部10及びシール部20Aの上側(外周側)には、ルーフ1a等から流れ込む雨水等を一時的に受け止めるための溝又は貯留領域Rを確保することができる。そして、上辺対応部6Aにおいては、シール部20Aの最も外周側に位置する部位(本実施形態では、突出リップ23の先端位置Y)と取付部10の幅方向中心線CLとの距離L2が相対的に大きく設定されているため、上辺対応部6Aによって確保される雨水受け止め用の溝又は貯留領域Rは十分に大きな容量を持つことができる。少なくともその容量は、一般部(6B,6C)における雨水受け止め用の溝又は貯留領域に対応する部分又は領域よりも大きなものとなる。このように、バックドア開口部3の上辺部4aに沿って取り付けられる上辺対応部6Aは、雨水等を一時的に貯留する能力が高いため、バックドア2の開閉操作時に多量の雨水が一度に流入したとしても、その雨水がシール部20Aを乗り越えて車内に浸入する事態を極力防止することができる。
上辺対応部6Aのシール部20Aに設けられた突出リップ23は、当該上辺対応部6Aによって確保される雨水受け止め用の溝又は貯留領域Rの容量を大きくすることに貢献する。それだけでなく、突出リップ23は、上辺対応部6Aによって確保される雨水受け止め用の溝又は貯留領域Rに溜まった雨水を、当該突出リップ23に沿って、バックドア開口部3の左右の側辺部4bに位置する左右の側辺対応部6Bに導いて、上辺対応部6Aから逃がす働きをする。かくして、雨水の車内への浸入防止効果を更に高めている。
本実施形態では、ウェザーストリップ6の横断面視において、上辺対応部6Aのシール部20Aにおける内周側壁部21のアウトライン長MA1を、一般部としての下辺対応部6Cのシール部20Cにおける内周側壁部21のアウトライン長MC1よりも長く設定することで(MC1<MA1)、下辺対応部6Cに比べて、上辺対応部6Aにおけるシール部20Aを外周側に向けてより大きく傾けている(θ1<θ2)。これにより、上辺対応部6Aによって確保される雨水受け止め用の溝又は貯留領域Rの容量を相対的に大きくして、雨水等の車内への浸入防止効果を高めている。
この利点に関連して、従来採用されていた対策について付言する。雨水等の車内への浸入を防止する従来の対策では、バックドア開口部3の上辺部4aに設けられたフランジFの車両本体に対する角度を、上辺部4a以外の辺部4b,4cやコーナー部5a,5cに設けられたフランジFの車両本体に対する角度よりも小さくし且つ鋭角にしていた。具体的には図5(B)に示すように、上辺部4a以外の辺部4b,4cや下側コーナー部5cに設けられたフランジF1(仮想線)の車両本体に対する角度が例えば略直角(約90°)であるとすれば、上辺部4aに設けられたフランジF2(実線)を更に鋭角に折り曲げて、当該フランジF2の車両本体に対する角度を約30°〜40°に設定していた。このようなフランジF2の角度設定により、当該フランジF2に装着されるウェザーストリップの姿勢をより起立傾向とすることで、雨水受け止め用の溝又は貯留領域の容量増加を図っていた。また、上側コーナー部5aでは、側辺部4bから上辺部4aにかけて、フランジの車両本体に対する角度を略直角から鋭角になるように徐々に変化させていた。
これに対し本実施形態のウェザーストリップ6では、下辺対応部6Cに比べて、上辺対応部6Aにおけるシール部20Aを外周側に向けてより大きく傾斜させることで(θ1<θ2)、最初から上辺対応部6Aによって確保される雨水受け止め用の溝又は貯留領域Rの容量を相対的に大きくしている。このため、従来の対策のように上辺部4aに設けられたフランジF2を他部位に設けられたフランジF1よりも小さな角度の鋭角に折り曲げるといった工夫(即ち、車体開口部のフランジへの追加加工)は必要なく、従って本実施形態のウェザーストリップ6は、従来の対策を前提とした従来のウェザーストリップよりも利便性に優れたものとなっている。
更に本実施形態では、ウェザーストリップの上辺対応部6Aにおけるシール部20Aの内周側壁部21(壁厚:t2)を相対的に厚肉化している。このため、当該上辺対応部6Aのシール部20Aの上に雨水等が溜まった場合でも、その重さで内周側壁部21が潰れたり倒れたりする事態を極力回避して雨水等の漏洩を極力防止することができる。
また、中空トンネル状のシール部20Aの内周側壁部21を厚くすることで、バックドア2を閉じたときのシール部20Aの反力が大きくなり、その結果、バックドア2とシール部20Aとの当接性又は密着性が良くなり、シール性が向上する。
[変更例]
上記実施形態では、中空トンネル状のシール部20A等が突出リップ23を具備すると共に、その突出リップ23の先端位置Yが「中空状シール部のうち当該ウェザーストリップが車体に取り付けられた際に最も外周側に位置する部位」に相当する設計例を説明したが、ここで言う「中空状シール部のうち最も外周側に位置する部位」が、突出リップ23の先端位置Y以外の部位であるような設計も可能であることは理解されるべきである。また、中空トンネル状のシール部20A,20Cが突出リップ23を具備しないような設計も可能である。
2 バックドア(ドア体)
3 バックドア開口部(車体開口部)
4a 上辺部(車体開口部の周縁部)
4b 側辺部(車体開口部の周縁部)
4c 下辺部(車体開口部の周縁部)
6 ウェザーストリップ
6A 上辺対応部
6B 側辺対応部(一般部)
6C 下辺対応部(一般部)
10 取付部
20A シール部(上辺対応部のシール部)
20C シール部(一般部のシール部)
21 内周側壁部
22 外周側壁部
23 突出リップ
CL 取付部の幅方向の中心線
F フランジ(被取付体)

Claims (3)

  1. 上辺部、側辺部および下辺部を含む周縁部によって縁取りされた車体開口部と、前記車体開口部を閉塞可能なドア体との間をシールするウェザーストリップであって、
    当該ウェザーストリップは、前記車体開口部の周縁部に沿って設けられた被取付体に取り付けられる取付部と、その取付部に一体的に設けられて前記ドア体に当接可能な中空状シール部とを有しており、
    当該ウェザーストリップは、長尺であると共に、その長手方向において、
    前記車体開口部の周縁部のうちの上辺部に沿って取り付けられる上辺対応部と、
    前記車体開口部の周縁部のうちの側辺部及び下辺部の少なくとも一つに沿って取り付けられる一般部と、を有しており、
    前記中空状シール部のうち当該ウェザーストリップが車体に取り付けられた際に最も外周側に位置する部位と、前記取付部の幅方向の中心線との距離に関して、前記上辺対応部における前記距離(L2)が前記一般部における前記距離(L1)よりも大きく、
    前記中空状シール部は、少なくとも内周側壁部及び外周側壁部を有しており、
    前記上辺対応部における中空状シール部の内周側壁部の壁厚(t2)は、前記一般部における中空状シール部の内周側壁部の壁厚(t1)よりも厚い、ことを特徴とするウェザーストリップ。
  2. 前記中空状シール部は、その頂部付近から外周側に向けて突出する突出リップを有している、ことを特徴とする請求項1に記載のウェザーストリップ。
  3. 前記中空状シール部の横断面における中空状シール部の内周側壁部の外側輪郭に沿ったアウトラインの長さに関して、前記上辺対応部における内周側壁部のアウトライン長(MA1)は、前記一般部における内周側壁部のアウトライン長(MC1)よりも長い、ことを特徴とする請求項2に記載のウェザーストリップ。
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