JP6645271B2 - 接合体の製造方法、パワーモジュール用基板の製造方法およびヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、パワーモジュール用基板の回路層および金属層として、アルミニウムからなるアルミニウム部材層と、銅、ニッケル、又は銀からなる金属部材層との間に、チタン部材層とAl3TiにSiが固溶したAl−Ti−Si層とを形成した接合体を用いることが開示されている。
この場合、Al3Ti層の厚さが2μm以上とされているので、アルミニウム部材とチタン部材との間で局所的な接合不良が発生しにくくなり、アルミニウム部材とチタン部材との接合信頼性をより高くすることが可能となる。一方、Al3Ti層の厚さが50μm以下とされているので、比較的硬いAl3Ti層が薄くなり、Al3Ti層を起点としたクラックが生じにくくなり、接合信頼性をより高くすることが可能となる。
以下に、本発明の実施形態について、添付した図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係るパワーモジュール用基板の概略説明図である。図2は、図1における回路層のアルミニウム部材層とチタン部材層との接合部の拡大説明図である。図3は、第一実施形態に係るパワーモジュール用基板の製造方法の概略説明図である。
チタン部材32aの一方の面に銅部材33aを積層する。得られた積層体を、積層方向に加圧した状態で真空加熱炉内に配置し加熱して、チタン部材32aと銅部材33aとを固相拡散接合する。こうして、チタン部材層32と銅部材層33とを有する銅部材層/チタン部材層接合体101を作製する。なお、チタン部材32aとして、銅部材33aの一方の面に金属チタンを蒸着等によって形成することも可能である。
絶縁部材20aの一方の面にアルミニウム部材31aを積層し、絶縁部材20aの他方の面に金属部材40aを積層する。ここで、本実施形態においては、絶縁部材20aとアルミニウム部材31aとの間、及び絶縁部材20aと金属部材40aとの間にはそれぞれ、Al−Si系のろう材箔(不図示)を介して積層した。得られた積層体を、積層方向に加圧した状態で真空加熱炉内に配置し加熱して、絶縁部材20aの一方面にアルミニウム部材31aを、他方の面に金属部材40aを接合する。こうして、アルミニウム部材層31と絶縁層20と金属層40とを有するアルミニウム部材層/絶縁層/金属層接合体102を作製する。
銅部材層/チタン部材層接合体101のチタン部材層32の面と、アルミニウム部材層/絶縁層/金属層接合体102のアルミニウム部材層31の面とを重ね合せる。得られた積層体を積層方向に加圧した状態で、加熱炉に配置し、窒素含有気体の雰囲気下で加熱して、銅部材層/チタン部材層接合体101とアルミニウム部材層/絶縁層/金属層接合体102とを接合する。こうして、本実施形態であるパワーモジュール用基板11が製造される。
次に、本発明の第二実施形態であるヒートシンク付パワーモジュール用基板について説明する。
図4は、本発明の第二実施形態に係るヒートシンク付パワーモジュール用基板の概略説明図である。図5は、図4における金属層のアルミニウム部材層とチタン部材層との接合部の拡大説明図である。図6は、第二実施形態に係るヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法の概略説明図である。なお、第一実施形態と同一の構成のものについては、同一の符号を付して記載し、詳細な説明を省略する。
絶縁部材20aの一方の面に回路部材30aを積層し、絶縁部材20aの他方の面にアルミニウム部材41aを積層する。ここで、本実施形態においては、絶縁部材20aと回路部材30aとの間、及び絶縁部材20aとアルミニウム部材41aとの間にはそれぞれ、Al−Si系のろう材箔(不図示)を介して積層した。得られた積層体を、積層方向に加圧した状態で真空加熱炉内に配置し加熱して、絶縁部材20aの一方面に回路部材30aを、他方の面にアルミニウム部材41aを接合する。こうして、回路層30と絶縁層20とアルミニウム部材層31とを有するアルミニウム部材層/絶縁層/金属層接合体102を作製する。
箔状の金属チタンからなるチタン部材42aの一方の面にヒートシンク50を積層する。得られた積層体を、積層方向に加圧した状態で真空加熱炉内に配置し加熱して、チタン部材32aとヒートシンク50と固相拡散接合する。こうして、チタン部材層32とヒートシンク50とを有するチタン部材層/ヒートシンク接合体202を作製する。なお、チタン部材42aとして、ヒートシンク50の一方の面に金属チタンを蒸着等によって形成することも可能である。
回路層/絶縁層/アルミニウム部材層接合体201のアルミニウム部材層41の面と、チタン部材層/ヒートシンク接合体202のチタン部材層42の面とを重ね合せる。得られた積層体を積層方向に加圧した状態で、加熱炉に配置し、窒素含有気体の雰囲気下で加熱して、回路層/絶縁層/アルミニウム部材層接合体201とチタン部材層/ヒートシンク接合体202とを接合する。こうして、本実施形態であるヒートシンク付パワーモジュール用基板120が製造される。
次に、本発明の第三実施形態であるヒートシンク付パワーモジュール用基板について説明する。
図7は、本発明の第三実施形態に係るヒートシンク付パワーモジュール用基板の概略説明図である。図8は、図7におけるヒートシンクのアルミニウム部材層とチタン部材層との接合部の拡大説明図である。図9は、第三実施形態に係るヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法の概略説明図である。なお、第一実施形態および第二実施形態と同一の構成のものについては、同一の符号を付して記載し、詳細な説明を省略する。
絶縁部材20aの一方の面に回路部材30aを積層し、絶縁部材20aの他方の面に金属部材40aを積層し、さらにその上にチタン部材51aを積層する。ここで、本実施形態においては、絶縁部材20aと回路部材30aとの間、及び絶縁部材20aと金属部材40aとの間にはそれぞれ、Al−Si系のろう材箔(不図示)を介して積層した。得られた積層体を、積層方向に加圧した状態で真空加熱炉内に配置し加熱して、絶縁部材20aの一方面に回路部材30aを、他方の面に金属部材40aを接合する。こうして、図9(b)に示すように、回路層30と絶縁層20と金属層40とチタン部材層51を有する回路層/絶縁層/金属層/チタン部材層接合体301を作製する。なお、チタン部材51aとして、金属部材40aの絶縁部材20aとは反対側の面に金属チタンを蒸着等によって形成することも可能である。
回路層/絶縁層/金属層/チタン部材層接合体301のチタン部材層51に、アルミニウム部材52aを積層する。得られた積層体を積層方向に加圧した状態で、加熱炉に配置し、窒素含有気体の雰囲気下で加熱して、回路層/絶縁層/金属層/チタン部材層接合体301とアルミニウム部材52aとを接合する。こうして、本実施形態であるヒートシンク付パワーモジュール用基板130が製造される。
例えば、第一実施態様においては、パワーモジュール用基板11の回路層30が、アルミニウム部材層31とチタン部材層32と銅部材層33とが接合されてなる接合体である場合について説明したが、銅部材層33に代えて、ニッケル又はニッケル合金からなるニッケル部材層、もしくは銀又は銀合金からなる銀部材層が接合されてもよい。
本発明例1〜21、比較例1〜3のパワーモジュール用基板を、次のようにして作製した。
まず、AlN製絶縁層(0.635mmt)の一方の面に表1記載のアルミニウム板(0.4mmt)を、他方の面に純度99.99%以上(4N−Al)のアルミニウム板(2.1mmt)をAl−Si系ろう材を用いて接合しDBA基板を得た。なお、アルミニウム板中のSi濃度はICP−MS(Agilent社製 7500cx型)によって測定した。
次いで、DBA基板の一方の面側のアルミニウム層の表面に、銅部材層/チタン部材層接合体のチタン部材層を積層した。この積層体を加熱炉に入れ、加熱炉に表1記載のガスを流して、加熱炉内を表1記載のガス雰囲気とした後、下記の表1に示す温度と時間で加熱し、銅部材層/チタン部材層接合体とDBA基板とを接合して、パワーモジュール基板を製造した。なお、表1の雰囲気が真空の場合には炉内の圧力を6×10−3Paとした。
また、パワーモジュール用基板に対して、冷熱サイクル試験を行い、冷熱サイクル試験後のアルミニウム部材層とチタン部材層との接合信頼性を評価した。
Al3Ti層の厚さの測定、冷熱サイクル試験及び接合信頼性の評価は、以下のようにして行った。
アルミニウム部材層とチタン部材層との接合部の断面をクロスセクションポリッシャ(日本電子株式会社製SM−09010)を用いて、イオン加速電圧:5kV、加工時間:14時間、遮蔽板からの突出量:100μmでイオンエッチングした後に、EPMA(日本電子株式会社製電子線マイクロプローブアナライザーJXA−8530F)を用い、倍率2000倍の視野(縦50μm、横60μm)において、接合界面に形成されたAl3Ti層の総面積を測定し、測定視野の幅の寸法で除して求め、5視野の平均をAl3Ti層の厚さとした。なお、Ti濃度が23at%〜27at%の範囲内である領域をAl3Ti層とみなした。
冷熱サイクル試験は、冷熱衝撃試験機エスペック社製TSB−51を使用し、パワーモジュール基板に対して、液相(フロリナート)で、−40℃×5分←→150℃×5分の3000サイクルを実施した。
冷熱サイクル試験後のパワーモジュール基板に対し、アルミニウム部材層とチタン部材層との接合部の接合率について超音波探傷装置を用いて評価し、以下の式から算出した。
ここで、初期接合面積とは、接合前における接合すべき面積、すなわち本実施例ではアルミニウム部材層の面積とした。超音波探傷像において剥離は接合部内の白色部で示されることから、この白色部の面積を剥離面積とした。なお、DBA基板及びチタン部材層にクラックが生じた場合、このクラックは超音波探傷像において白色部で示され、クラックも剥離面積として評価されることになる。
(接合率(%))={(初期接合面積)−(剥離面積)}/(初期接合面積)×100
一方、0.05at%を超えたSiを含むアルミニウム部材とチタン部材とを真空雰囲気下で固相拡散接合した比較例2のパワーモジュール用基板においては、アルミニウム部材層とチタン部材層とは剥離しなかったが、冷熱サイクル試験後の接合信頼性が低くなった。これは、Si量が多く塑性変形しにくいアルミニウム部材層であるため、冷熱サイクルが負荷された際に、セラミックス部材とアルミニウム部材との接合界面でクラックが生じ、セラミックス部材とアルミニウム部材が剥離したと考えられる。
また、0.05at%を超えたSiを含むアルミニウム部材とチタン部材とを窒素雰囲気下で固相拡散接合した比較例3では、Al3Tiがほとんど成長しないため、アルミニウム部材とチタン部材とを接合することができなかった。
これに対して、0.05at%以下のSiを含有するアルミニウム部材とチタン部材とを窒素含有ガスの雰囲気下で固相拡散接合した本発明例1〜21のパワーモジュール用基板は、冷熱サイクル試験後の接合信頼性が高かった。
20 絶縁層
20a 絶縁部材
30 回路層
30a 回路部材
31、41、52 アルミニウム部材層
31a、41a、52a アルミニウム部材
32、42、51 チタン部材層
32a、42a、51a チタン部材
33 銅部材層
33a 銅部材
34、43、53 Al3Ti層
40 金属層
40a 金属部材
50 ヒートシンク
101 銅部材層/チタン部材層接合体
102 アルミニウム部材層/絶縁層/金属層接合体
120、130 ヒートシンク付パワーモジュール用基板
201 回路層/絶縁層/アルミニウム部材層接合体
202 チタン部材層/ヒートシンク接合体
301 回路層/絶縁層/金属層/チタン部材層接合体
Claims (4)
- アルミニウム又はアルミニウム合金からなり、Si濃度が0.05at%以下であるアルミニウム部材と、金属チタンからなるチタン部材とが接合されてなる接合体の製造方法であって、
前記アルミニウム部材と前記チタン部材とを窒素含有ガスの雰囲気下で固相拡散接合することにより前記アルミニウム部材と前記チタン部材との接合部に、厚さが2μm以上50μm以下の範囲にあるAl 3 Ti層を形成することを特徴とする接合体の製造方法。 - 絶縁層と、この絶縁層の一方の面に形成された回路層と、前記絶縁層の他方の面に形成された金属層と、を備えたパワーモジュール用基板の製造方法であって、
前記回路層は、前記絶縁層の一方の面に接合されているアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、Si濃度が0.05at%以下であるアルミニウム部材層と、前記アルミニウム部材層の前記絶縁層と接合されている面と反対側の面に接合されている金属チタンからなるチタン部材層とを有する接合体を含み、
前記接合体を、前記アルミニウム部材層と前記チタン部材層とを窒素含有ガスの雰囲気下で固相拡散接合することにより前記アルミニウム部材層と前記チタン部材層との接合部に、厚さが2μm以上50μm以下の範囲にあるAl 3 Ti層を形成することによって形成することを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。 - 絶縁層と、この絶縁層の一方の面に形成された回路層と、前記絶縁層の他方の面に形成された金属層と、を備えたパワーモジュール用基板の製造方法であって、
前記金属層は、前記絶縁層の他方の面に接合されているアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、Si濃度が0.05at%以下であるアルミニウム部材層と、前記アルミニウム部材層の前記絶縁層と接合されている面と反対側の面に接合されている金属チタンからなるチタン部材層とを有する接合体を含み、
前記接合体を、前記アルミニウム部材層と前記チタン部材層とを窒素含有ガスの雰囲気下で固相拡散接合することにより前記アルミニウム部材層と前記チタン部材層との接合部に、厚さが2μm以上50μm以下の範囲にあるAl 3 Ti層を形成することによって形成することを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。 - 絶縁層と、この絶縁層の一方の面に形成された回路層と、前記絶縁層の他方の面に形成された金属層と、この金属層に接合されたヒートシンクと、を備えたヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法であって、
前記ヒートシンクは、前記金属層に接合されている金属チタンからなるチタン部材層と、前記チタン部材層の前記金属層と接合されている面と反対側の面に接合されているアルミニウム又はアルミニウム合金からなり、Si濃度が0.05at%以下であるアルミニウム部材層とを有する接合体を含み、
前記接合体を、前記チタン部材層と前記アルミニウム部材層とを窒素含有ガスの雰囲気下で固相拡散接合することにより前記アルミニウム部材層と前記チタン部材層との接合部に、厚さが2μm以上50μm以下の範囲にあるAl 3 Ti層を形成することによって形成することを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール用基板の製造方法。
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