JP6645154B2 - インテークマニホールド - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの排ガスを排気系から吸気系へと還流させる排ガス通路が接続されたインテークマニホールドに関する。
従来、車両に搭載されるエンジンの排気ガスを排気系から吸気系へと再循環させることで、燃費や環境性能を改善するEGR(Exhaust Gas Recirculation)システムが知られている。すなわち、エンジンの排気系と吸気系との間をEGR通路(排ガス通路)で接続し、排ガスの一部をEGRガスとして気筒内へと導入するものである。近年では、EGR通路の出口をエンジンのインテークマニホールド(インマニ)に設定したものが開発されている(特許文献1参照)。インマニにEGR通路を接続することで、エンジンの負圧を利用してEGRガスを迅速に気筒内へと導入することができる。
特開2009-203920号公報
インマニにEGR通路が接続されたエンジンでは、インマニに導入されたEGRガスが気筒内へと導入されるまでの距離や時間が短くなる。そのため、EGRガス自体の流れに偏りが生じていた場合には、インマニの内部におけるEGRガスの流量分布にもその偏りが残留しやすいという課題がある。このような流量分布の偏りは、複数の気筒を備えたエンジンにおいて、各気筒に分配されるEGRガス量の不均一化を招く要因の一つとなる。また、単気筒のエンジンにおいても、流量分布の偏りによって新気とEGRガスとの混合性が低下し、筒内の燃焼安定性が低下しうる。
本件の目的の一つは、上記のような課題に鑑みて創案されたものであり、EGRガスの流量分布を改善することができるようにしたインテークマニホールドを提供することである。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用効果であって、従来の技術では得られない作用効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
(1)ここで開示するインテークマニホールドは、内部に吸気通路を有し、エンジンの排気系から吸気系へと還流する排ガス通路が前記吸気通路に接続されるインテークマニホールドである。このインテークマニホールドは、前記排ガスを前記吸気通路の上面から流入させる上面開口部と、前記排ガスを前記吸気通路の側面から流入させる側面開口部とを備える。また、前記排ガス通路内において前記上面開口部に接続される第一流路と、前記排ガス通路内において前記側面開口部に接続される第二流路とを備える。さらに、前記第二流路が、「前記第一流路よりも緩傾斜の上り勾配」又は「下り勾配」に形成される。例えば、前記排ガス通路内の前記排ガスのうち、低温の前記排ガスが前記第一流路よりも前記第二流路へと流れやすくなるように、前記第一流路及び前記第二流路の勾配が設定される。なお、前記第一流路は、上り勾配に形成されることが好ましい。
(2)前記第二流路に凹設され、前記エンジンに並設された複数の吸気ポートのうち、前記側面開口部に最も近い開口部に向かって前記排ガスの流れを案内する溝を備えることが好ましい。
)前記第一流路及び前記上面開口部が、前記吸気通路の上面で前記吸気通路の幅方向に延設されるとともに、前記吸気通路に設けられるインタークーラーのコアよりも奥まで延設されることが好ましい。
)前記上面開口部と前記側面開口部とが、前記インテークマニホールドの壁面に一体に形成されることが好ましい。
)前記エンジンに並設された複数の吸気ポートとの接合箇所に設けられ、前記吸気ポートに流入する前記排ガスの流量を制御する制御板を備えることが好ましい。
)前記制御板が、前記インテークマニホールドと前記エンジンとの間に挟装されるガスケットのうち、前記吸気ポートに対向する部分を屈曲させてなることが好ましい。
インテークマニホールド内の吸気通路における上面と側面とに排ガスを流入させる開口部を設けることで、排ガスの流量分布を改善することができる。
実施形態としてのインテークマニホールド(インマニ)が取り付けられるエンジンの構成図である。 インマニの斜視図である。 インマニの分解斜視図(図2のA−A切断分解斜視図)である。 インマニの縦断面図(図2のB−B矢視断面図)である。 インマニの内部を示す斜視断面図(図4のC−C切断斜視図)である。 インマニの内部を示す斜視断面図(図4のD−D切断斜視図)である。 インマニの断面図(図4のE−E矢視断面図)である。 インマニの断面図(図4のF−F矢視断面図)である。 インマニの縦断面図(図7のH−H矢視断面図)である。 EGR通路部の拡大断面図である。 インマニの断面図(図4のG−G矢視断面図)である。 ガスケットの斜視図である。
図面を参照して、実施形態としてのインテークマニホールド(インマニ)について説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。なお、以下の説明における「上流」,「下流」とは、吸気流や排気流の流通方向を基準とした方向を意味する。
[1.エンジン]
本実施形態のインマニ1は、図1に示すデュアルループEGRシステムを具備したエンジン30に適用される。図1中には、エンジン30に設けられる四つのシリンダ(気筒)のうち、一つを例示する。このエンジン30は、軽油を燃料とするディーゼルエンジンである。シリンダの頂面を形成するシリンダヘッドの内部には、各シリンダに接続された吸気ポート31及び排気ポート32が設けられ、それぞれのポート開口に吸気弁,排気弁が設けられる。吸気ポート31における上流側の端部開口部は、シリンダヘッドの側面において外部に開放される。
吸気ポート31の端部開口部よりも上流側には、水冷式のインタークーラー10を内蔵したインマニ1(I/C内蔵インマニ)が取り付けられる。本実施形態のインマニ1は、シリンダヘッドの側面に対してガスケット14を介して取り付けられ、吸気ポート31の端部開口であるポート開口部7を覆うように取り付けられる。以下、シリンダヘッドの側面において、吸気ポート31の端部開口部が列設された方向のことを「ポート並設方向L」と呼ぶ。ポート並設方向Lは、四気筒エンジンの場合、四つのシリンダが並ぶ方向(シリンダ列方向)と同一であり、エンジン30のクランク軸中心に平行な方向である。
エンジン30には、排気圧を利用して作動するターボチャージャー33が設けられる。このターボチャージャー33は可変ノズル式の過給機であり、タービン及びコンプレッサの回転軸が軸受を介して連結された構造を持つ。タービンは排気系に介装され、コンプレッサは吸気系に介装される。また、タービンハウジングには、タービンに作用する排気圧力や排気流路面積を調節するための可動翼部材が設けられる。翼部材の角度を制御することで、排気流量の大小に関わらず、タービンの回転速度を増減させることが可能となる。
吸気系には、吸気流の上流側から順に、エアクリーナー34(フィルター),低圧スロットル弁35,ターボチャージャー33,高圧スロットル弁36が設けられ、高圧スロットル弁36の直下流にインマニ1が配置される。また、排気系には、排気流の上流側から順に、ターボチャージャー33,排気浄化装置37が設けられる。排気浄化装置37には、ディーゼル酸化触媒やNOx還元触媒,DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)などが内蔵される。
このエンジン30には、排ガスの一部を吸気側に再循環させるための二系統のEGR通路、すなわち、高圧EGR通路38,低圧EGR通路39が設けられる。高圧EGR通路38は、ターボチャージャー33よりもシリンダに近い位置で吸気系と排気系とを連通するEGR通路である。一方、低圧EGR通路39は、排気系におけるターボチャージャー33のタービンよりも下流側と、吸気系におけるターボチャージャー33のコンプレッサよりも上流側とを連通するEGR通路である。高圧EGR通路38には高圧EGR弁40が介装され、低圧EGR通路39には低圧EGR弁41,EGRクーラー42,EGRフィルター43が介装される。本実施形態の高圧EGR通路38は、エンジン30のエキマニとインマニ1とを接続するように設けられ、インマニ1の内部に形成された吸気通路のうちインタークーラー10よりも下流側の部位へとEGRガスを供給する。
インタークーラー10は、エンジン30に導入される過給空気(吸気)を冷却する水冷式の冷却装置であり、例えばエンジン冷却水を冷媒とした冷却回路44上に介装される。この冷却回路44はエンジン30を冷却するための回路とは別設されたものであり、インタークーラー10用のラジエーター45やポンプ46が介装されてなる。ポンプ46を作動させて冷媒を循環させることで、ラジエーター45で冷却された冷媒がインタークーラー10のコア20に供給され、コア20の内部を通過する吸気がその冷媒によって冷却される。
[2.I/C内蔵インマニ]
インマニ1の外観を図2に例示し、A−A断面で切断したインマニ1の分解斜視図を図3に示すとともに、B−B断面で切断したインマニ1の縦断面図を図4に示す。インマニ1の内部構造は、インタークーラー10が装着される中央部51と、その上流側の部位である上流部52と、その下流側の部位である下流部53と、EGRガスを吸気系に導入するための流路となるEGR通路部4との四部位に大別される。
中央部51は、インタークーラー10のコア20が収容される箱状の部位である。中央部51の上面には、コア20が挿入される開口部22がほぼ矩形に穿孔され、その外周には平面状の縁部23が設けられる。本実施形態のコア20は、ポート並設方向Lの寸法が最も大きい直方体状に形成され、その上面55及び下面58は閉塞される。また、他の四面のうち、最も面積の大きい二面が吸気の流入面56及び流出面57に設定される。流入面56から流出面57へと向かう方向が、吸気の流通方向Fとなる。図3,図4中に吸気の流通方向Fを太矢印で示す。なお、流通方向Fに対して水平面内で垂直な方向が、コア20の内部における冷媒の流通方向となる。
上流部52は、高圧スロットル弁36を通過した吸気の流れを屈曲させながらインタークーラー10のコア20に導入する部位である。この上流部52には、例えば吸気通路やスロットルボディが取り付けられる。上流部52へと流入する吸気の流通方向Gは、吸気流がコア20の流入面56に向かって直進しないように、少なくとも上記の流通方向Fに対して非平行に設定される。本実施形態の上流部52は、図3に示すように、インタークーラー10の下方から上方に向かって吸気を流入させる構造となっている。
EGR通路部4は、インタークーラー10の下流側にEGRガス(エンジン30の排ガス)を供給する筒状の部位である。このEGR通路部4は、インマニ1の上面に沿って流通方向Fと交わる方向に向かって延設される。本実施形態のEGR通路部4の延設方向は、ポート並設方向Lに対して平行に設定される。これにより、EGR通路部4の内部を流通するEGRガスの流通方向Eは、図3に示すように吸気の流通方向Fに対してほぼ垂直となる。
下流部53は、コア20の流出面57から流出した吸気とEGRガスとを混合しながら各吸気ポート31に供給する部位である。図4に示すように、下流部53の底面63は、コア20の流出面57からやや下方に向かって下り勾配に形成される。吸気とEGRガスとの混合気は、下流部53でポート並設方向Lに広がりつつ各吸気ポート31へと流入し、エンジン30の吸気弁の開放状態に応じて各シリンダの内部へと導入される。なお、シリンダヘッドの側面に穿孔されているポート開口部7の数は、複数である。したがって、ポート開口部7の数や位置に合わせて、下流部53を樹枝状に分岐させた形状としてもよい。
また、下流部53には、インマニ1をエンジン30のシリンダヘッドに締結固定するための固定部66が設けられる。固定部66には、締結固定具を通すための穴67が形成される。また、この締結固定具の締結対象であるシリンダヘッドの側面には、螺合穴が形成される。螺合穴は、ポート開口部7の上方と下方とに別れて列設される。また、これに対応するように、インマニ1側の固定部66も、吸気の出口部分を挟んで上方と下方とに列設される。
図3に示すように、上下二列に配置された固定部66のうち下方の固定部66は、下流部53の外側(すなわち、インマニ1の外側)に配置される。これに対し、上方の固定部66は、吸気が流通する下流部53の内部に配置される。上方の固定部66の位置は、エンジン30の気筒間部に設定される。本実施形態における固定部66の位置は、1番気筒と2番気筒との間、及び、3番気筒と4番気筒との間に設定される。また、この固定部66に締結固定具を取り付けるための作業用開口部68が、上流部52に設けられる。作業用開口部68の位置は、図4に示すように、固定部66から固定面に対する垂線を延ばした位置に設定される。なお、インマニ1は、インタークーラー10が装着される前にシリンダヘッドに対して締結固定される。その後、作業用開口部68は、図2に示すように蓋部材69で密閉される。
[2−1.インタークーラー]
インタークーラー10の構造について詳述する。図3に示すように、インタークーラー10には、コア20の上面55に蝋付けされたフランジ11が設けられるとともに、フランジ11とは別体の天板12が設けられる。フランジ11は、コア20の上面55よりも大きな寸法の金属板であり、コア20が開口部22に挿入されたときに開口部22の縁部23における外表面に(面一に)接触して固定される大きさに形成される。このフランジ11は、コア20の上面55に沿って、その上面55から外側に向かって面状に延出するように取付けられる。また、フランジ11の外周部には、ボルトや長ネジなどの締結固定具59を挿通するための孔60が穿孔される。フランジ11は、コア20の内部を流通する冷媒によって冷却されうる。
天板12は、フランジ11とほぼ同一の大きさを持ち、かつ、フランジ11よりも板厚の大きな平面形状の金属板である。天板12の外周部にも、締結固定具59を挿通するための孔60が穿孔される。また、これらの孔60に対応するように、開口部22の縁部23にも締結固定具59が固定されるネジ穴61が設けられる。締結固定具59をフランジ11,天板12の孔60に挿通させた状態でネジ穴61に螺合させることで、開口部22がフランジ11,天板12によって閉塞され、フランジ11が縁部23の外表面に対して固定されるとともに、インタークーラー10がインマニ1に固定される。本実施形態では、フランジ11と開口部22の縁部23との間に金属製のガスケット74を挟装した状態で、インタークーラー10が取り付けられる。ガスケット74は、フランジ11よりも板厚の大きな天板12でフランジ11を介して押さえつけて取り付けられるため、ガスケット74のシール面圧を向上させることが可能となる。なお、天板12の板厚は、インタークーラー10の固定強度や締結圧に応じて設定することができる。
本実施形態の天板12は、開口部22を正面から見た(開口部22へコア20を挿入する方向で見た)ときに、EGR通路部4と重合する大きさに形成される。つまり、天板12の一辺は、EGR通路部4を部分的に被覆する大きさを有するものとされる。逆にいえば、EGR通路部4は、天板12の直下方を通過するように配置される。また、フランジ11も同様であり、インタークーラー10の上面視でEGR通路部4と重合する大きさに形成される。本実施形態の開口部22の縁部23は、EGR通路部4を構成する壁体の一部として機能する。これにより、EGR通路部4の内部を通過するEGRガスは、フランジ11,天板12を介してインタークーラー10のコア20によって冷却されうる。
[2−2.EGR通路部]
EGR通路部4の構造について詳述する。図3に示すように、EGR通路部4は開口部22に隣接して設けられ、縁部23の内表面に沿って配置される。すなわち、EGR通路部4はインタークーラー10のコア20に隣接配置される。EGR通路部4の延設方向は、吸気の流通方向Fに対して垂直な方向である。これにより、EGR通路部4の内部におけるEGRガスの流通方向Eは、吸気の流通方向Fに対して垂直な方向となり、コア20の流出面57に対してほぼ平行となる。したがって、コア20の流出面57から流出する吸気流に対し、上面視で幅方向に満遍なくEGRガスが導入することが可能となり、吸気とEGRガスとの混合性が向上する。
EGR通路部4からインタークーラー10の下流側の吸気通路への入口となる開口部は、二種類設けられる。すなわち、インマニ1の内部の吸気通路に対するEGRガスの導入口としては、図3〜図5に示すように、EGRガスを吸気通路の上面から流入させるスリット2(上面開口部)と、EGRガスを吸気通路の側面から流入させる側面開口部3とが設けられる。スリット2は、EGRガスの流通方向Eに延在する細長形状の開口部であり、下流部53における吸気通路の上面からEGRガスを鉛直方向に流入させるように機能する。一方、側面開口部3は、EGRガスの流通方向Eに対して垂直な方向(縦方向)に延在する細長形状の開口部であり、下流部53における吸気通路の側面からEGRガスを水平方向に流入させるように機能する。本実施形態では、これらのスリット2及び側面開口部3が、連続した長穴としてインマニ1の内壁面に一体形成される。
図6に示すように、EGR通路部4の内部には、第一流路5と第二流路6とが設けられる。第一流路5は、スリット2に向かうEGRガスの流れを形成する流路である。これに対し、第二流路6は側面開口部3に向かうEGRガスの流れを形成する流路である。本実施形態では、これらの第一流路5,第二流路6が空間的に完全には分離されておらず、EGR通路部4の下面の勾配を相違させることで二つの流路を形成している。第一流路5の勾配は任意に設定可能であるが、好ましくは図6に示すように、上り勾配に形成される。一方、第二流路6は、第一流路5よりも緩傾斜の上り勾配又は下り勾配に形成される。これにより、EGR通路部4を流通するEGRガスに温度ムラが存在する場合には、比較的高温のEGRガスが第一流路5側へと流れやすくなり、比較的低温のEGRガスが第二流路6側へと流れやすくなる。
EGR通路部4の水平断面形状を図7,図8に例示する。EGR通路部4には、延設部15と偏向部16とが設けられる。延設部15は、吸気の流通方向Fに対して垂直な方向へと直線状に延設された部位であり、第一流路5となる部位である。延設部15の水平断面形状は、EGR通路部4の奥へ進むに連れて流路が狭まる形状に形成される。上記のスリット2は、延設部15の内部において、吸気の流通方向Fの上流寄り(すなわち、コア20により近い位置)に配置される。スリット2及び延設部15は、吸気通路の上面で吸気通路の幅方向に延設され、コア20よりも奥まで延設される。
偏向部16は、EGR通路部4へ流入するEGRガスの入口部分に配置された部位であり、EGRガスの流れを延設部15の延設方向(すなわち、EGRガスの流通方向E)に交差する方向へと偏向させる機能を持つ。偏向部16の流路形状は、図7,図8に示すように、上面視でスリット2を避けるようにクランク状に屈曲した形状(換言すれば、S字型にカーブした形状)とされる。本実施形態では、スリット2が流通方向Fの上流寄りに配置されるのに対し、EGRガスが流通方向Fの下流寄り(すなわち、コア20からより遠い位置)へと導入されるように、偏向部16の流路形状が設定される。これにより、EGRガスの流れが、延設部15の内部においてスリット2とは反対側に偏りやすくなり、EGRガスが延設部15の奥まで行き届きやすくなる。
前述の第一流路5及び第二流路6は、偏向部16で分岐するように形成される。図6に示すように、第一流路5は偏向部16における流通方向Fの下流寄りに配置され、第二流路6は流通方向Fの上流寄りに配置される。また、第二流路6の内部表面には、図9に示すように、側面開口部3に最も近いポート開口部7に向かってEGRガスの流れを案内する溝8が凹設される。本実施形態では、第二流路6の下面に溝8が形成され、第二流路6におけるEGRガスの流通方向が四番気筒に向かう方向に設定される。なお、溝8を第二流路6の側面(例えば、吸気ポート側の側面)に設けてもよいし、側面及び下面の両方に設けてもよい。
延設部15の断面形状は、図10に示すように、開口部22の縁部23を上底とした台形形状に形成される。すなわち、EGR通路部4の断面形状は、縁部23,第一壁面17,第二壁面18,第三壁面19で囲まれた台形形状に準えることができる。
第一壁面17は、下方に向かって開口部22から離れるほど、コア20からも離れるように傾斜した形状に形成された部位である。第一壁面17には、コア20の内部のうち開口部22に近い部分を通過した吸気が衝突しうる。また、第一壁面17に衝突した吸気は、第一壁面17の表面に沿って斜め下方に向かって流通する。
第二壁面18は、台形形状の下底に相当する部位であり、吸気の流通方向Fに沿った形状に形成される。また、第二壁面18には、上述のスリット2が形成される。
第三壁面19は、台形形状の斜辺に相当する部位であり、第一壁面17よりも吸気の流通方向Fの下流側において、第一壁面17に対向して配置される。
延設部15の内部には、スリット2に沿ってEGRガスの流れに乱れを生成する第一膨出部26が膨出して設けられる。この第一膨出部26は、インタークーラー10を中央部51に装着するための締結固定具59が固定されるネジ穴61の周囲を、拡径方向に補強してなる筒状のボスの一部分である。またこのボスのうち、EGR通路部4の外側にはみ出た部分を第二膨出部27と呼ぶ。第二膨出部27は、吸気の流れに乱れを生成するように機能する。第一膨出部26,第二膨出部27の配設位置は、図8に示すように、締結固定具59の取付位置に対応する。なお、締結固定具59は、開口部22を囲むように配置されており、コア20の下流側だけでなく、コア20の上流側にも配設されている。図3に示すように、コア20の上流側に配設されるボスのことも、第二膨出部27と呼ぶ。
図10に示すように、スリット2よりも吸気の流通方向Fの上流側には、第二壁面18から下方に向かって突設された剥離部28が設けられる。剥離部28は、吸気流を第二壁面18から剥離させる機能を持つ部位であり、例えば第一壁面17の表面に沿って流れてきた吸気流を、そのまま斜め下方へと直進させるように作用する。剥離部28の断面形状は、少なくとも第二壁面18から吸気通路の内側に向かって突出した形状とされる。また、好ましくは、第一壁面17をそのまま延長した斜面を持つ形状とされる。これにより、剥離部28よりも下流側に位置するスリット2の近傍における圧力がやや減少し、EGR通路部4内のEGRガスがスリット2から下方へと吸い込まれやすくなる。また、スリット2の近傍で吸気流の渦が生じやすくなり、EGRガスと吸気との混合性が向上する。
図3に示すように、剥離部28は、スリット2の縁に沿ってEGRガスの流通方向Eに延設される。すなわち、剥離部28の延設方向は、吸気の流通方向Fに交差する方向(本実施形態では垂直方向)である。剥離部28は、上面視で吸気が流通する領域のほぼ全幅に渡って形成される。ただし、作業用開口部68からこれに対応する固定部66に至る範囲には、締結固定具を取り付けるための工具が挿入されうるため、工具と剥離部28との干渉を防止するための凹み部29が剥離部28に設けられる。すなわち、図3に示すように、下流部53の内部に配置される固定部66から固定面に対する垂線を延ばし、垂線と剥離部28とが干渉しないように、第二壁面18からの突設寸法を部分的に小さくすることで凹み部29を形成する。これにより、吸気流に乱れが生じやすくなり、EGRガスと吸気との混合性が向上する。
[2−3.ガスケット]
エンジン30のシリンダヘッドとインマニ1との接合箇所には、吸気ポート31に流入するEGRガス量を制御するための制御板9が設けられる。本実施形態では、図11に示すように、制御板9がガスケット14から立設される。制御板9は、例えば図12に示すように、ポート開口部7に対向する部分をコ字状に切断し、インマニ1の内部に向かって屈曲させることで形成することができる。あるいは、ガスケット14とは別体の板材をガスケット14の表面に溶接固定してもよい。
制御板9の高さ寸法は、図11に示すように、側面開口部3とポート開口部7との配置関係に応じて設定される。例えば、三番気筒と四番気筒との間に設けられる制御板9は、インマニ1の上面視において、側面開口部3の位置Xと三番気筒のポート開口部7の最遠点Y1とを結ぶ仮想線に交差しない高さに設定される。また、二番気筒と三番気筒との間に設けられる制御板9は、側面開口部3の位置Xと二番気筒のポート開口部7の最遠点Y2とを結ぶ仮想線に交差しない高さに設定される。同様に、一番気筒と二番気筒との間に設けられる制御板9は、側面開口部3の位置Xと一番気筒のポート開口部7の最遠点Y3とを結ぶ仮想線に交差しない高さに設定される。これにより、側面開口部3から流入したEGRガスがより手前側のポート開口部7へと流入しやすくなる。また、それぞれの制御板9が仮想線に交差しない適度な高さに設定されることから、EGRガスが手前側のポート開口部7のみに流入してしまうようなこともない。
[3.作用]
上記のインマニ1に設けられるEGR通路部4には、図7に示すように、EGRガスを直線的に流通させる延設部15と、EGRガスを屈曲させながら流通させる偏向部16とが設けられる。また、偏向部16では、EGRガスの流れが第一流路5へ向かう方向と第二流路6へ向かう方向とに分岐する。第一流路5が上り勾配であるのに対し、第二流路6は下り勾配に形成されている。そのため、比較的温度の低いEGRガスが第二流路6に進みやすくなり、第一流路5側を流れるEGRガスは、第二流路6側を流れるEGRガスよりも高温となる。一方、第一流路5は第二流路6よりも経路長が長いため、第一流路5側を流れるEGRガスは徐々に冷却される。その結果、スリット2から流入するEGRガスの温度が側面開口部3から流入するEGRガスの温度とほぼ同程度の温度となる。
また、第一流路5を流通するEGRガスは、偏向部16の屈曲形状により、スリット2のない一側寄りに偏って流れるようになる。また、第三壁面19が偏向部16から延設部15の奥に延びるにしたがって、対向する第一壁面17に対して接近するように設けられ、EGR通路部4(延設部15)の奥へ進むに連れて流路が狭まる形状に形成されている。これにより、第一流路5のEGRガスが延設部15の奥まで行き届きやすくなり、側面開口部3から比較的遠いポート開口部7(例えば、一番気筒から三番気筒)に向かって案内される。一方、第二流路6を流通するEGRガスは、第二流路6の下面に凹設された溝8に沿って、側面開口部3に最も近いポート開口部7(四番気筒)に向かって案内される。したがって、全てのポート開口部7に対して、ほぼ均等にEGRガスの流れが案内されることになり、EGRガスの流量分布が改善されるとともに、吸気との混合性が改善される。なお、スリット2から流入した垂直方向の流れと側面開口部3から流入した水平方向の流れとが衝突することで乱流が生じ、吸気とEGRガスとの混合性が向上する。
また、図11に示すように、ポート開口部7の直上流部には、EGRガス量を制御するための制御板9が設けられる。制御板9の高さ寸法は、側面開口部3の位置Xに応じて、各ポート開口部7に直進するEGRガスの流れを阻害しない程度の高さに設定される。これにより、側面開口部3から流入したEGRガスが手前側のポート開口部7に流入しやすくなり、EGRガスの流量分布が改善される。
[4.効果]
(1)インタークーラー10のコア20を通過した吸気流は、コア20内の通路に沿った方向に整流されているため、EGRガスと混合しにくくなりやすい。これに対し、上記のインマニ1には、EGR通路部4から流入するEGRガス用の開口部として、スリット2と側面開口部3とが設けられる。これにより、吸気流とEGRガスとを二方向から衝突させることができ、吸気とEGRガスとの混合を促進することができる。したがって、EGRガスの流量分布を改善することができ、エンジン30の燃焼安定性や排気性能を改善することができる。
(2)EGR通路部4の内部には、スリット2に接続される第一流路5と側面開口部3に接続される第二流路6とが設けられる。このように、スリット2にEGRガスを流通させる流路と側面開口部3にEGRガスを流通させる流路とを設けることで、それぞれの開口部からEGRガスをインマニ1の内部に流入させることができる。したがって、EGRガスの流量分布を改善することができ、エンジン30の燃焼安定性や排気性能を改善することができる。また、第一流路5と第二流路6との分岐点を偏向部16に設けることで、EGRガスの流れを第一流路5側の流れと第二流路6側の流れとに容易に分離することができる。
(3)図6に示すように、第二流路6は第一流路5よりも緩傾斜の上り勾配又は下り勾配に形成される。これにより、EGRガスの流れをその温度に応じて第一流路5と第二流路6とに分岐させることができる。また、第一流路5を流通するEGRガスの平均温度は、第二流路6を流通するEGRガスの平均温度よりも高い温度となる。しかし、第一流路5は第二流路6よりもその経路が長いため、第一流路5を流れるEGRガスの温度は低下する。また、第一流路5のEGRガスは、延設部15の上面に隣接して配置される天板12を介してインタークーラー10に冷却される。これにより、スリット2から流出するEGRガスの温度は、側面開口部3から流出するEGRガスの温度とほぼ同程度まで冷却される。したがって、EGRガスの流量分布だけでなく温度分布も改善することができ、エンジン30の燃焼安定性や排気性能を改善することができる。
(4)図6に示すように、第二流路6の下面には溝8が凹設され、第二流路6を流れるEGRガスが側面開口部3に最も近いポート開口部7(四番気筒)に向かって案内される。つまり、第一流路5のEGRガスが側面開口部3から比較的遠いポート開口部7に向かって案内される点を踏まえて、第二流路6は第一流路5から供給されるEGRガスの流量分布の偏りを相殺するように、その形状が設定される。これにより、EGRガスの流量分布をより確実に改善することができ、エンジン30の燃焼安定性や排気性能を改善することができる。
(5)図7に示すように、スリット2及び延設部15は、インタークーラー10のコア20よりも奥まで延設される。これにより、側面開口部3から最も遠いポート開口部7(一番気筒)へのEGRガスの流量を確保することができる。つまり、第一流路5のEGRガスを側面開口部3から最も遠いポート開口部7までより確実に案内することができる。したがって、EGRガスの流量を均等化することができる。また、吸気の流れの少ないところへEGRガスを導入することができ、吸気とEGRガスとの混合をさらに促進することができる。
(6)図6に示すように、上記のスリット2及び側面開口部3は連続した長穴としてインマニ1の内壁面に一体形成される。これにより、インマニ1の内部に導入されるEGRガス量を確保しやすくすることができる。また、スリット2と側面開口部3とを分離して配置した場合と比較して、EGRガスの流路抵抗を低減させることができる。
(7)図11に示すように、エンジン30の吸気ポート31とインマニ1との接合箇所に制御板9を設けることで、それぞれの吸気ポート31に流入するEGRガス量を制御することができ、EGRガスの流量分布を均等にすることができる。
(8)また、図12に示すように、エンジン30とインマニ1との間に挟装されるガスケット14を利用して制御板9を形成することで、簡素な構成で余計なコストを増やすことなく、EGRガスの流量分布を均等にすることができる。
(9)なお、インタークーラー10のコア20を通過した吸気流は、コア20内の通路に沿った方向に整流されているため、EGRガスと混合しにくくなりやすい。これに対し、インタークーラー10とスリット2との間に剥離部28を設けることで、第二壁面18から剥離した吸気流とEGRガスとを衝突させることができる。これにより、吸気とEGRガスとの混合を促進することができ、エンジン30の燃焼安定性や排気性能を改善することができる。
(10)また、剥離部28をスリット2の縁に沿って設けることで、スリット2の出口部分の圧力を低下させることができる。これにより、EGRガスが延設部15から吸気流側へと吸い込まれやすくなり、EGRガスの還流量を増加させることができる。したがって、エンジン30の燃費を改善することができる。また、スリット2と剥離部28との間の距離が長い場合と比較してその距離が短い方が、壁面から剥離した直後の吸気流とEGRガスとを衝突させることができる。したがって、吸気とEGRガスとの混合性を改善することができる。
(11)また、延設部15の内部において、流通方向Fの上流寄りにスリット2を配置することで、吸気とEGRガスとが混合される位置からシリンダまでの距離(すなわち、吸気系において吸気とEGRガスとが混合される部位の長さ)を大きくすることができ、吸気とEGRガスとの混合を促進することができる。
[5.変形例]
上述の実施形態では、ディーゼル式のエンジン30に取り付けられたインマニ1を例示したが、エンジン30の種類はこれに限定されない。また、エンジン30を基準としたインマニ1の取り付け角度は、任意に設定可能である。上述の実施形態では、インタークーラー10のコア20の下面58が水平面に対して傾斜して設けられているが、インマニ1自体を水平面に対して傾斜させてもよいし、エンジン30を水平面に対して傾斜させてもよい。
上述の実施形態では、インタークーラー10が内蔵されたインマニ1を例示したが、インタークーラー10は本発明に必須の要素ではなく、省略することができる。少なくとも、インマニ1にEGRガスを導入する排気還流システムにおいて、インマニ1の内部の吸気通路に対しその上面からEGRガスを流入させる開口部と、側面からEGRガスを流入させる開口部とを併設することで、上述の実施形態と同様の効果を奏するものとなる。
また、上述の実施形態では、第一流路5と第二流路6とが分離されていないが、EGR通路部4の内部にこれらを区画する隔壁を設けてもよい。これにより、第一流路5を流れるEGRガスと第二流路6を流れるEGRガスとを独立させることができ、EGRガスの流量分布や温度分布をより高精度に制御することが可能となる。
1 インマニ(インテークマニホールド)
2 スリット(上面開口部)
3 側面開口部
4 EGR通路部(排ガス通路)
5 第一流路
6 第二流路
7 ポート開口部
8 溝
9 制御板
10 インタークーラー
14 ガスケット

Claims (6)

  1. 内部に吸気通路を有し、エンジンの排気系から吸気系へと還流する排ガス通路が前記吸気通路に接続されるインテークマニホールドにおいて、
    前記排ガスを前記吸気通路の上面から流入させる上面開口部と、
    前記排ガスを前記吸気通路の側面から流入させる側面開口部と、
    前記排ガス通路内において前記上面開口部に接続される第一流路と、
    前記排ガス通路内において前記側面開口部に接続される第二流路とを備え、
    前記第二流路が、前記第一流路よりも緩傾斜の上り勾配、又は、下り勾配に形成される
    ことを特徴とする、インテークマニホールド。
  2. 前記第二流路に凹設され、前記エンジンに並設された複数の吸気ポートのうち、前記側
    面開口部に最も近い開口部に向かって前記排ガスの流れを案内する溝を備える
    ことを特徴とする、請求項記載のインテークマニホールド。
  3. 前記第一流路及び前記上面開口部が、前記吸気通路の上面で前記吸気通路の幅方向に延設されるとともに、前記吸気通路に設けられるインタークーラーのコアよりも奥まで延設される
    ことを特徴とする、請求項1または2記載のインテークマニホールド。
  4. 前記上面開口部と前記側面開口部とが、前記インテークマニホールドの壁面に一体に形成される
    ことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のインテークマニホールド。
  5. 前記エンジンに並設された複数の吸気ポートとの接合箇所に設けられ、前記吸気ポートに流入する前記排ガスの流量を制御する制御板を備える
    ことを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のインテークマニホールド。
  6. 前記制御板が、前記インテークマニホールドと前記エンジンとの間に挟装されるガスケ
    ットのうち、前記吸気ポートに対向する部分を屈曲させてなる
    ことを特徴とする、請求項記載のインテークマニホールド。
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