JP6645106B2 - 駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、スピーカーを駆動する駆動装置に関する。
小型スピーカーから低音を発生させる技術は、従来から種々提案されている。例えば図7は、ヘルムホルツ共鳴と負性駆動の技術を組み合わせたスピーカー駆動回路100の一例を示す図であり、小型スピーカーを用いた場合でも、低音を効率よく発音することができるように構成したものである。図7のスピーカー駆動回路100は、利得Aの増幅器101を有しており、増幅器101の出力端と接地間にはスピーカーユニット4と抵抗Rcが直列に接続されている。抵抗Rcは、スピーカーユニット4に流れる電流を検出するためのものである。スピーカーユニット4と抵抗Rcの接続点は、帰還増幅器102を介して加算器103に接続されている。帰還増幅器102は、スピーカーユニット4に流れる電流を検出し、その検出信号に対して予め設定された伝達利得β(固定値)を付与して加算器103へ出力する。入力信号Siは、加算器103によって帰還増幅器102の出力と加算された後、増幅器101に入力される。尚、このような駆動回路は、例えば特許文献1に開示されている。
図7に示す回路において、増幅器101側の出力インピーダンスZoは、
Zo=Rsp+Rc・(1−Aβ) …(式1)
として表される。ただし、Rspは、スピーカーユニット4の抵抗である。
上記式1において増幅器101の利得Aと帰還増幅器102の伝達利得βとの積Aβを1よりも大きな値に設定すると、出力インピーダンスZoは、負性抵抗となることが分かる。ここで、スピーカーユニット4におけるボイスコイルの電気抵抗をRLとすると、この電気抵抗RLは、スピーカーユニット4と、ヘルムホルツ共鳴を利用したキャビネットのモーショナルインピーダンスとの共通の制動抵抗となる。したがって、上記式1で表される出力インピーダンスZoがスピーカー1におけるボイスコイルの電気抵抗RLをキャンセルする値、つまり、−RLとなるように抵抗Rc、利得A及び伝達利得βの値を設定することにより、スピーカーユニット4とキャビネットは別々に定電圧駆動されることになり、低音を効率よく発音することができる。
特開平1−302997号公報
ところで、上述した従来の駆動回路は、スピーカーユニット4に流れる電流を検出した検出信号に伝達利得βを付与して正帰還させる構成であるため、全高調波歪み率とノイズの特性であるTHD+N特性が悪化する傾向にある。図8は、出力パワーに対するTHD+N特性の例を示す図である。図8において、破線で表した特性曲線L1は上述した従来の駆動回路のTHD+N特性を示しており、一点鎖線で表した特性曲線L2は正帰還ループを有しない駆動回路のTHD+N特性を示している。図8から明らかなように正帰還ループを有する駆動回路は、正帰還ループを有しない駆動回路よりもTHD+N特性が悪化する。このようなTHD+N特性の悪化は、出力パワーが比較的大きいときにはそれほど気になるものではない。しかし、出力パワーが比較的小さいときにはTHD+N特性の悪化が耳障りな低音ノイズとなって現れる。
出力パワーが比較的小さいときにTHD+N特性を悪化させてしまう要因は、正帰還ループによって帰還増幅器102のノイズを増幅させてしまうことにある。そのため、従来の正帰還ループを有する駆動回路は、特に出力パワーが小さいとき、言い換えると、入力信号Siが存在しない無入力のとき、或いは、入力信号Siのレベルが比較的小さいときに、帰還増幅器102のノイズが増幅されることによって、聴感上目立ちやすい耳障りな低音ノイズを発生させてしまうという問題があった。
そこで本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ノイズの増幅を抑制し、低音ノイズを低減できるようにした駆動装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、第1に、本発明は、共鳴開口を有するキャビネットに配設されて音響を放射するとともに、前記共鳴開口とキャビネットとにより構成されるヘルムホルツ型共鳴器を駆動して前記共鳴開口より共鳴音響を放射させる振動器を駆動する駆動装置であって、入力信号を増幅して前記振動器に供給する増幅手段と、前記振動器に流れる駆動電流に応じた検出信号を出力する電流検出手段と、前記検出信号に基づく信号を前記増幅手段の入力側に正帰還して等価的に負性インピーダンスを発生させて前記振動器の駆動状態を制御する駆動制御手段と、前記入力信号に基づいて、前記検出信号に基づく信号を前記増幅手段に正帰還させる際の伝達利得を調整する調整手段と、を備えることを特徴とする構成である。
この発明によれば、調整手段が検出信号に基づく信号を増幅手段に正帰還させる際の伝達利得を、入力信号に基づいて調整するため、入力信号のレベルが耳障りな低音ノイズを目立たせてしまうようなレベルであるときには、伝達利得を調整することによってノイズの増幅を抑制することができ、低音ノイズを低減することができるようになる。
第2に、本発明は、上記第1の構成を有する駆動装置において、前記調整手段は、前記伝達利得の出力段にローパスフィルタを備え、前記入力信号に基づいて前記伝達利得を決定し、前記ローパスフィルタを介して前記伝達利得を前記駆動制御手段へ出力することを特徴とする構成である。
この発明によれば、ローパスフィルタによって伝達利得が急激に変化することを抑制できるため、伝達利得の急激な変化による一時的な音質悪化を低減することができる。
第3に、本発明は、上記第1又は第2の構成を有する駆動装置において、前記調整手段は、前記入力信号の振幅が少なくとも0のときに前記伝達利得を0に調整し、前記入力信号の振幅が0又は0以上の第1の値よりも増加することに伴い、前記伝達利得を0から漸次上昇させることを特徴とする構成である。
この発明によれば、特に入力信号が存在しない無入力のとき、或いは、入力信号のレベルが比較的小さいときに、ノイズの増幅を抑制することができるため、聴感上目立ちやすい耳障りな低音ノイズを良好に低減することができる。
第4に、本発明は、上記第3の構成を有する駆動装置において、前記調整手段は、前記入力信号の振幅が前記第1の値よりも大きな第2の値以上であり、且つ、前記第2の値よりも大きな第3の値未満であるとき、前記伝達利得を所定の値に保持し、前記入力信号の振幅が前記第3の値を超えるとき、前記伝達利得を前記所定の値よりも低下させることを特徴とする構成である。
この発明によれば、クリップ現象が生じることを未然に防止することができるようになる。
本発明によれば、入力信号に基づいてノイズの増幅を抑制することができるため、低音ノイズを低減することが可能になる。
スピーカーを駆動する駆動装置の一構成例を示すブロック図である。 バスレフ形のスピーカーと駆動装置との電気等価回路を示す図である。 スピーカーユニット等価回路を示す図である。 振幅検知部の詳細な回路構成の一例を示すブロック図である。 伝達利得出力部の詳細な回路構成及び動作の一例を示すブロック図である。 本発明の駆動装置のTHD+N特性の一例を示す図である。 従来のスピーカー駆動回路の一例を示す図である。 従来のスピーカー駆動回路のTHD+N特性の一例を示す図である。
以下、本発明に関する好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
図1は、本発明におけるスピーカー1の駆動装置10の一構成例を示すブロック図である。駆動装置10は、アンプ11と、電流検出部12と、駆動制御部13と、調整部14とを備える構成である。アンプ11は、駆動装置10の入力信号Siを増幅してスピーカー1へ供給する増幅手段である。電流検出部12は、スピーカーユニット4に流れる駆動電流IRを検出し、その駆動電流IRに応じた検出信号V1を出力する回路である。駆動制御部13は、電流検出部12から出力される検出信号V1に基づく信号を、アンプ11の入力側に正帰還して等価的に負性インピーダンスを発生させることにより、スピーカー1の駆動状態を制御する回路である。この駆動制御部13は、AD変換器21と、ローパスフィルタ22と、ハイパスフィルタ23と、乗算器25と、加算器26と、DA変換器27とを備えている。また調整部14は、駆動装置10の入力信号Siに応じて、電流検出部12から出力される検出信号V1に基づく信号をアンプ11に正帰還させる際の伝達利得(正帰還率)を調整する回路である。この調整部14は、振幅検知部31と、伝達利得出力部32と、ローパスフィルタ33とを備えている。
スピーカー1は、バスレフ形のスピーカーであり、キャビネット6の前面に穴を空けて振動板2及び変換器3からなるスピーカーユニット4を取り付け、その下方にバスレフポート7を有する共鳴開口として機能する管ポート8を設け、この管ポート8を備えたキャビネット6によりヘルムホルツ共鳴器を形成したものである。変換器3は、抵抗R1のボイスコイルを備え、電気エネルギーを機械エネルギーに変換して、振動板2を振動させる振動器として機能する。
駆動装置10は、入力信号Siに応じて、利得Aのアンプ11から出力される駆動信号Voをスピーカーユニット4に与える。電流検出部12は、スピーカーユニット4における変換器3のボイスコイルに流れる駆動電流IRを検出して、駆動電流IRの大きさを示す検出信号V1を出力する。例えば電流検出部12は、ボイスコイルと接地点との間に接続された抵抗Rcに駆動電流IRを流し、抵抗Rcの一端又は両端の電圧を、図示省略のアンプを介して検出することにより、検出信号V1を出力する。駆動制御部13は、その検出信号V1をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号に対して調整部14から出力される伝達利得βを付与し、アンプ11に対して正帰還させることでスピーカー1を駆動する。
上記のような回路において、駆動装置10の出力インピーダンスZoは、上述の式1と同様に、
Zo=Rsp+Rc・(1−Aβ) …(式2)
として表される。ただし、Rspは、スピーカーユニット4の抵抗である。この式2において、Aβ>1とすればZoは開放安定型の負性インピーダンスとなる。
図2に、バスレフ形のスピーカー1と図1に示す負性インピーダンスを有する駆動装置10との電気等価回路を示す。スピーカーユニット等価回路50は、変換器3のボイスコイルの抵抗R1と、スピーカーユニット4の等価モーショナルインピーダンスによる並列共振回路とからなっている。キャビネット等価回路51は、管ポート8を備えたキャビネット6により構成されるヘルムホルツ共鳴器の等価モーショナルインピーダンスによる並列共振回路となっている。
スピーカーユニット等価回路50のQ値は、共振時にインダクタL1に掛かる電圧VLと抵抗R1に掛かる電圧VRの比であり、
Q=VL/VR …(式3)
として表すことができる。
共振時の角周波数をωとすると、インダクタL1に流れる電流をIとして、インダクタL1に掛かる電圧VLは、次式4で表すことができる。
VL=I・ωL1 …(式4)
また抵抗R1にはインダクタL1と同電流Iが流れるため、抵抗R1に掛かる電圧VRは、次式5で表すことができる。
VR=I・R1 …(式5)
式4と式5とを式3に代入すると、Q値は以下のようになる。
Q=VL/VR=I・ωL1/(I・R1)=ωL1/R1 …(式6)
また共振時の角周波数ωは以下のように表される。
ω=1/(L1・C1)1/2 …(式7)
式7を式6に代入すると、スピーカーユニット等価回路50のQ値は以下のようになる。
Q=ωL1/R1=(L1/C1)1/2/R1 …(式8)
ここで、図3にスピーカーユニット等価回路50だけを取り出し、駆動電圧をE、振動系の等価質量をM、振動系のスティフネスをS、変換器3の磁束密度をB、変換器3のボイスコイルの有効長をλとし、ボイスコイルに電流iが流れたとすると、磁束密度Bの中に置かれた有効長λのボイスコイルには電流iに比例した力Fが働く。この力Fは次式で与えられる。
F=Bλi …(式9)
この力Fが振動系を動かす駆動力となる。この場合、駆動力と速度の比である機械インピーダンスZmは次式10で表すことができる。尚、jは虚数単位である。
Zm=j(ωM−S/ω) …(式10)
また共振時のボイスコイルのインピーダンスZeは次式11で与えられる。
Ze=R1 …(式11)
振動系が速度vで動く時の力はZmvであり、この力は式9で表されるボイスコイルの電流iによる力Fに等しい。
F=Bλi=Zmv …(式12)
ここで、ボイスコイルに電流iが流れると、ボイスコイル自身の電気インピーダンスによって電圧降下Ze・iが生じる。また振動系が電流iによって力をうけると、ボイスコイル内には逆起電力が発生する。つまり、駆動電圧Eは、電圧降下Ze・iと、逆起電力との和に等しくなる。逆起電力は、速度vに磁束密度Bとボイスコイルの有効長λを積算したものである。したがって、駆動電圧Eは、次式13で表すことができる。
E=Ze・i+Bλv …(式13)
式12により、速度vはBλi/Zmとなるので、これを式13に代入すると、次式14が得られる。
E=Ze・i+(Bλ)2 i/Zm …(式14)
したがって、図2に示すスピーカーユニット等価回路50のインピーダンスZは、次に示す式15で表すことができる。
Z=E/i=Ze+(Bλ)2 /Zm …(式15)
式10と式11とを式15に代入すると、以下のようになる。
Z=R1+(Bλ)2 /j(ωM−S/ω) …(式16)
式16を変形すると、式17が得られる。
Z=R1+j[1/((S/ω(Bλ)2 )−(ωM/(Bλ)2 ))]…(式17)
図2に示すスピーカーユニット等価回路50のインピーダンスを、インダクタL1とキャパシタC1で表現すると、次式18が得られる。
Z=R1+j[1/((1/ωL1)−ωC1)] …(式18)
式17と式18とを比較すると、インダクタL1とキャパシタC1は以下のように表すことができる。
L1=(Bλ)2 /S …(式19)
C1=M/(Bλ)2 …(式20)
この結果を、式8に代入すると、スピーカーユニット等価回路50のQ値は以下に示す式21で表すことができる。
Q=(Bλ)2 /(R1・(MS)1/2) …(式21)
式21は、R1を小さくすると、スピーカーユニット4のQ値を大きくできることを示している。つまり、図2の等価回路において、出力インピーダンスZoが−R1の駆動装置10により駆動すると、ボイスコイルの抵抗は見掛け上ゼロになり、駆動系の速度が入力電圧に比例する定速度動作とすることができる。また図2から明らかなように、抵抗R1は、スピーカーユニットとキャビネットのモーショナルインピーダンスの共通の制動抵抗となっている。したがって、駆動装置10の負性インピーダンスによって抵抗R1をキャンセルすると、スピーカーユニット及びキャビネットのそれぞれを別々に定電圧駆動することができるため、低音を効率よく発音させることができるようになる。
そこで本実施形態では、式2で与えられる駆動装置10の出力インピーダンスZoが−R1となるように駆動装置10を動作させる。ただし、実際には駆動装置10の負性インピーダンスによってボイスコイルの抵抗R1を完全にキャンセルすることは難しい。そのため、ボイスコイルの抵抗R1を完全に無効化するのではなく、ボイスコイルの抵抗R1を低減させることによって低音を効率よく発音させるようにしても良い。例えばボイスコイルの抵抗R1が8Ωである場合、6Ω程度の負性インピーダンスを生成すれば、低音を効率よく発音できることが確認されている。
そして本実施形態では、上記のような正帰還ループを有する駆動装置10において、スピーカー1の出力パワーが比較的小さいときに、電流検出部12のノイズが増幅されることによる低音ノイズを抑制するため、駆動電流IRを検出した検出信号V1に基づく信号をアンプ11に正帰還させるときの伝達利得βを調整するように構成される。以下、このような駆動装置10について詳しく説明する。尚、図1に示す駆動装置10は、例えばDSP(Digital Signal Processor)によって実現され、図1に示す各部はDSPに実装される機能を表した機能ブロックである。
まず駆動制御部13について説明する。AD変換器21は、例えばΔΣ方式のAD変換器であり、電流検出部12の出力である、駆動電流IRに対応した電圧(検出信号V1)を高速AD変換する。AD変換器21によってデジタル信号に変換された検出信号は、ローパスフィルタ22とハイパスフィルタ23とが直列に接続されたバンドパスフィルタ24に導かれ、正帰還させる所定周波数帯域の信号成分だけがバンドパスフィルタ24を通過する。ローパスフィルタ22及びハイパスフィルタ23は、例えば遅延の少ないIIRフィルタによって構成される。尚、図1では、ローパスフィルタ22とハイパスフィルタ23とを直列に接続したバンドパスフィルタ24を例示しているが、これに限られるものではなく、例えばローパスフィルタ22とハイパスフィルタ23とを並列に接続し、その出力側でローパスフィルタ22の出力とハイパスフィルタ23の出力とを加算することにより、バンドパスフィルタ24の代わりとしても良い。
バンドパスフィルタ24の出力は、乗算器25に導かれる。乗算器25は、バンドパスフィルタ24から出力される信号に対して調整部14から出力される伝達利得βを乗算し、その乗算値(β・V1)を加算器26へ出力する。加算器26は、駆動装置10の入力信号Siに対して乗算器25から出力される信号(β・V1)を加算してDA変換器27へ出力する。DA変換器27は、例えばΔΣ方式のDA変換器であり、加算器26から出力される信号(Si+β・V1)を高速DA変換してアンプ11へ出力する。そしてアンプ11において、DA変換器27から出力される信号に利得Aが付与された駆動信号Voが生成され、スピーカー1が駆動される。
次に調整部14について説明する。振幅検知部31は、駆動装置10の入力信号Siの振幅を検知するものである。図4は、振幅検知部31の詳細な回路構成の一例を示すブロック図である。振幅検知部31は、ローパスフィルタ41とハイパスフィルタ42とを備えて構成されるバンドパスフィルタ43と、絶対値回路44と、最大値検出回路45と、平均化回路46とを有している。バンドパスフィルタ43は、入力信号Siから、上述のバンドパスフィルタ24と同様に所定周波数帯域の信号成分だけを抽出して出力する。ローパスフィルタ41及びハイパスフィルタ42は、例えば遅延の少ないIIRフィルタによって構成される。尚、図4では、ローパスフィルタ41とハイパスフィルタ42とを直列に接続したバンドパスフィルタ43を例示しているが、これに限られるものではなく、例えばローパスフィルタ41とハイパスフィルタ42とを並列に接続し、その出力側でローパスフィルタ41の出力とハイパスフィルタ42の出力とを加算することによってバンドパスフィルタ43の代わりとしても良い。絶対値回路44は、バンドパスフィルタ43から出力される信号の絶対値を出力する回路である。最大値検出回路45は、絶対値回路44から出力される信号の最大値を検知し、その最大値を所定の時定数で保持しつつ出力する回路である。平均化回路46は、最大値検出回路45から出力される信号を可聴域よりも低い周波数で平均化することにより、入力信号Siの振幅に応じた振幅信号Sgを出力する回路である。このような振幅検知部31は、駆動装置10に入力信号Siが入力すると、その入力信号Siの振幅に応じた振幅信号Sgを出力する。これに対し、駆動装置10に入力する入力信号Siがないとき(無入力のとき)、振幅検知部31の出力である振幅信号Sgはゼロとなる。
伝達利得出力部32は、振幅検知部31から出力される振幅信号Sgに応じて正帰還ループの伝達利得βを決定するものである。図5は、伝達利得出力部32の詳細な回路構成及び動作の一例を示すブロック図である。伝達利得出力部32は、図5(a)に示すように伝達利得決定部44と、伝達利得テーブル45とを有している。伝達利得決定部44は、振幅検知部31から出力される振幅信号Sgに基づいて伝達利得テーブル45を参照し、振幅信号Sgに応じた伝達利得βを決定して出力する。
図5(b)は伝達利得テーブル45に定められた振幅信号Sgと伝達利得βとの関係の一例を示す図である。伝達利得決定部44は、図5(b)に示すような伝達利得テーブル45に基づき、振幅信号Sgに応じた伝達利得βを決定する。例えば、入力信号Siの振幅を検知した振幅信号Sgが0のとき、伝達利得βは0として決定される。したがって、駆動装置10に対する入力信号Siがない無入力状態のときには、伝達利得βは0となる。また図5(b)の例では、振幅信号Sgが0以上であり、且つ、予め定められた第1の値X0よりも小さいとき、伝達利得βは0として決定される。したがって、入力信号Siの振幅が第1の値X0よりも小さいときには、伝達利得βは0となる。そして振幅信号Sgが第1の値X0よりも大きくなると、その増加に伴い、伝達利得決定部44は、伝達利得βを0から漸次上昇させ、振幅信号Sgが予め定められた第2の値X1になると、伝達利得βを予め定められた最大値Y1に決定する。この最大値Y1は、ボイスコイルの抵抗R1を無効化或いは低減させることができるように予め定められた値である。ここで、振幅信号Sgが第1の値X0から第2の値X1まで増加するときの伝達利得βの増加率K1は、THD+N特性をどのようなものにするかよって適宜設定可能であり、必ずしも振幅信号Sgに比例して伝達利得βが増加するものに限られない。
そして図5(b)の例では、振幅信号Sgが第3の値X2よりも大きくなると、伝達利得βが低下しはじめ、振幅信号Sgが第4の値X3を超えるとその後は伝達利得βが最大値Y1よりも小さい一定の値Y3を維持するようになる。このように振幅信号Sgが第3の値X2を超えた場合に、伝達利得βを最大値Y1よりも小さくすることにより、クリップ現象が生じることを未然に防止することができるようになる。また振幅信号Sgが第3の値X2から第4の値X3まで減少するときの伝達利得βの減少率K2についても、THD+N特性をどのようなものにするかよって適宜設定可能であり、必ずしも振幅信号Sgに比例して伝達利得βを減少させるものに限られない。
図5(b)では、振幅信号Sgが第1の値X0よりも小さいときには伝達利得βを0に決定する場合を例示しているが、振幅信号Sgが少なくとも0のときに伝達利得βが0になるものであれば良い。そのため、伝達利得テーブル45は、振幅信号Sgが0のときに伝達利得βを0にし、振幅信号Sgが0よりも大きくなると、その増加に伴って伝達利得βを0から漸次上昇させるものであっても構わない。
伝達利得出力部32の出力側には、ローパスフィルタ33が設けられる。ローパスフィルタ33は、駆動制御部13に出力される伝達利得βが単位時間当たりで急激に変化することを防止するためのものである。すなわち、入力信号Siの振幅が単位時間当たりで急激に変化した場合に、伝達利得出力部32がそれに追従して伝達利得βを急激に変化させてしまうと、スピーカー1から出力される音質が一時的に悪化してしまうことがある。ローパスフィルタ33は、それを防止するために単位時間当たりの伝達利得βの急激な変化を抑制し、伝達利得βを緩やかに変化させるのである。
調整部14は、上記のようにして入力信号Siの振幅に応じた伝達利得βを乗算器25へ出力する。そして乗算器25は、検出信号V1に基づく信号に対して調整部14から出力される伝達利得βを乗算することにより、正帰還量が算出される。そして伝達利得βが0のときには正帰還量が0となるため、駆動装置10の動作は、正帰還ループを有しない駆動装置と同様の動作となる。また伝達利得βが0よりも大きくなり、伝達利得βが上述した増加率K1で増加する過程のとき、駆動装置10は、正帰還ループを機能させ、ノイズの増幅を抑制しつつ、低音の発音効率がなるべく良くなるようにスピーカー1を駆動する状態となる。そして入力信号Siの振幅が大きくなり、低音ノイズの目立たない出力パワーが得られるようになると、駆動装置10は、伝達利得βを最大値Y1に設定して正帰還ループを機能させることにより、低音の発音効率が最も良くなる状態でスピーカー1を駆動する。
図6は、駆動装置10のTHD+N特性の例を示す図である。図6において、破線の特性曲線L1は従来の正帰還ループを有する駆動回路のTHD+N特性を、一点鎖線の特性曲線L2は正帰還ループを有しない駆動回路のTHD+N特性を、太実線の特性曲線L3は本実施形態における駆動装置10のTHD+N特性を、それぞれ示している。また図6に示す領域P1は駆動装置10が伝達利得βを0に設定して動作する領域であり、領域P2は駆動装置10が入力信号Siに応じて伝達利得βを0から最大値Y1の範囲内で変化させる領域であり、領域P3は駆動装置10が伝達利得βを最大値Y1に設定して動作する領域である。
図6から明らかなように、本実施形態の駆動装置10は、従来の正帰還ループを有する駆動回路と比較すると、出力パワーが比較的小さい領域P1,P2でのTHD+N特性が改善されている。特に出力パワーの小さい領域P1では、正帰還ループを有しない駆動回路と同等のTHD+N特性であることが分かる。したがって、本実施形態の駆動装置10は、入力信号Siの信号レベルが比較的小さいときに耳障りな低音ノイズの発生を抑制することができるのである。また入力信号Siの信号レベルが大きくなって伝達利得βが最大値Y1になるときには、駆動装置10のTHD+N特性が従来の正帰還ループを有する駆動回路のTHD+N特性と同程度まで悪化するものの、そのときには電流検出部12のノイズによる低音ノイズは目立たない状態となっているため、聴覚上低音ノイズが問題となることはない。それ故、本実施形態の駆動装置10によれば、出力パワーが比較的小さいときにはノイズの増幅を抑制して低音ノイズを低減できると共に、出力パワーが比較的大きいときには低音を効率良く発音させることができるのである。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述したものに限定されるものではなく、種々の変形が適用可能である。例えば上記実施形態では、駆動装置10がDSPによって実現され、上述した制御をデジタル回路で行う場合を説明した。しかし、本発明は、そのような例に限定されるものではなく、上述した駆動装置10をアナログ回路で実現するようにしても良い。ただし、駆動装置10をアナログ回路で実現すると、素子のばらつき等によって発振するおそれがある。そのため、発振を防止するためには、上述のように駆動装置10をデジタル回路で実現することが好ましい。
また上記実施形態では、電流検出部12が駆動電流IRを検出するために、抵抗Rcに駆動電流IRを流し、その抵抗Rcの一端又は両端の電圧を測定する構成例について説明したが、本発明はそのような構成例に限定されるものではない。例えば、電流検出部12は、GMRやホール素子等の磁気センサを用いて駆動電流IRが流れることによる誘導磁場を測定して駆動電流IRを検出するようにしても良いし、またアンプ11の出力トランジスタのオン抵抗を用いて駆動電流IRを検出するようにしても良い。
1…スピーカー、3…変換器(振動器)、6…キャビネット、8…管ポート(共鳴開口)、10…駆動装置、11…アンプ(増幅手段)、12…電流検出部(電流検出手段)、13…駆動制御部(駆動制御手段)、14…調整部(調整手段)、31…振幅検知部、32…伝達利得出力部、33…ローパスフィルタ。

Claims (3)

  1. 共鳴開口を有するキャビネットに配設されて音響を放射するとともに、前記共鳴開口とキャビネットとにより構成されるヘルムホルツ型共鳴器を駆動して前記共鳴開口より共鳴音響を放射させる振動器を駆動する駆動装置であって、
    入力信号を増幅して前記振動器に供給する増幅手段と、
    前記振動器に流れる駆動電流に応じた検出信号を出力する電流検出手段と、
    前記検出信号に基づく信号を前記増幅手段の入力側に正帰還して等価的に負性インピーダンスを発生させて前記振動器の駆動状態を制御する駆動制御手段と、
    前記入力信号に基づいて、前記検出信号に基づく信号を前記増幅手段に正帰還させる際の伝達利得を調整する調整手段と、
    を備え
    前記調整手段は、前記入力信号の振幅が少なくとも0のときに前記伝達利得を0に調整し、前記入力信号の振幅が0又は0以上の第1の値よりも増加することに伴い、前記伝達利得を0から漸次上昇させ、前記入力信号の振幅が前記第1の値よりも大きな第3の値を超えるとき、前記伝達利得を低下させることを特徴とする駆動装置。
  2. 前記調整手段は、前記伝達利得の出力段にローパスフィルタを備え、前記入力信号に基づいて前記伝達利得を決定し、前記ローパスフィルタを介して前記伝達利得を前記駆動制御手段へ出力することを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
  3. 前記調整手段は、前記入力信号の振幅が前記第1の値と前記第3の値との間の第2の値以上であり、且つ、前記第3の値未満であるとき、前記伝達利得を所定の値に保持することを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動装置。
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