JP6644695B2 - 肺内炎症の減弱化 - Google Patents

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Description

本発明は特定の化合物の投与による肺内炎症の減弱化に関する。
敗血症は重篤な感染によって引き起こされる致命的であり得る全身性炎症である。敗血症を引き起こしたその感染が除去された後でも敗血症は継続し得る。重篤な敗血症は肺機能不全を含む臓器機能不全を引き起こし得る (Levy, Mitchell M.; Fink, Mitchell P.; Marshall, John C.; Abraham, Edward; Angus, Derek; Cook, Deborah; Cohen, Jonathan; Opal, Steven M.; Vincent, Jean-Louis; Ramsay, Graham (2003). "2001 SCCM/ESICM/ACCP/ATS/SIS International Sepsis Definitions Conference". Critical Care Medicine 31 (4): 1250-6.)。
敗血症は、血液、尿路、肺、皮膚、または他の組織における重篤な感染症に対する免疫系の応答によって引き起こされ、最も一般的には細菌に対する免疫系の応答であるが、真菌、ウイルス、および寄生生物に対する免疫系の応答によっても引き起こされる。敗血症は感染症から多臓器不全症候群までの範囲に含まれると考えられ得る (Annane D, Bellissant E, Cavaillon JM (2005). "Septic Shock". Lancet 365 (9453): 63-78. )。
敗血症の共通の症状には特定の感染症に関する症状が含まれるが、通常は高熱、熱く紅潮した皮膚、心拍数の増加、過換気、精神状態の変化、腫脹、および低血圧が伴う。
敗血症は通常は静脈内輸液および抗生物質で治療される。血圧の維持に補液が充分ではない場合に昇圧剤が使用され得る。肺および腎臓の機能を支援するために機械的換気および透析がそれぞれ必要とされる場合があり得る。コルチコステロイドの使用は議論を呼んでいる。もとは重篤な敗血症用に市販されていた活性型ドロトレコギンアルファ(組換え活性型タンパク質C)が役に立たないことがわかり、最近になって販売中止されている。
敗血症および肺炎症は肺液中の腫瘍壊死因子α(TNF−α)、免疫細胞および肺胞マクロファージなどの炎症マーカーと炎症モジュレーター(炎症性サイトカイン)の蓄積の程度によって判定され得る。
リポ多糖(LPS)は全身性菌血症におけるグラム陰性細菌の糖脂質として存在し、敗血症ショックおよび心循環不全の個所に対して炎症反応を引き起こし得る。LPSの全身性作用には肺動脈圧の上昇および急性白血球減少症と共に血行動態の悪化が含まれる。
今では驚くべきことに、全身性敗血症または炎症反応の状態である特定のペプチドが活性を有することがわかった。ある特定のペプチドの反復吸入によって炎症性サイトカイン(IL−6、TNF−α)および酵素(COX−2)の肺内発現の著しい低下が主として全身性の敗血症モデルにおいて引き起こされた。驚くべきことに、LPS注入によって全身性炎症反応が誘導されたにもかかわらず、そのようなペプチドの反復適用によって肺内炎症が減弱化することもわかった。
1つの態様では本発明は、式:
1−GQRETPEGAEAKPWY−X2
(配列番号9)のアミノ酸配列の閉環化合物であって、式中、
1が、天然アミノ酸または非天然アミノ酸を含んでなる、特にアミノ酸(配列)C、KSP、K、オルニチン、4−アミノ酪酸、β−アラニンから選択される天然アミノ酸または非天然アミノ酸を含んでなる、1員から4員、特に1員から3員を有するアミノ酸(配列)を含んでなり、且つ、
2が天然アミノ酸から選択される1種類のアミノ酸、特にC、D、GおよびEの群から選択される1種類のアミノ酸を含んでなり、且つ、
1がその最初の左の位置にN末端アミノ酸を含んでなり、且つ、X2がその最後の右の位置にC末端アミノ酸を含んでなる、
炎症の治療のための前記閉環化合物を提供する。
炎症に用いるための式Iの閉環化合物は本明細書において「本発明の(本発明に従う)化合物」とも呼ばれる。炎症における式Iの閉環化合物の使用は本明細書において「本発明の(本発明に従う)使用」とも呼ばれる。
本発明の化合物ではX1のアミノ酸のうちの1つ、好ましくはX1の末端アミノ酸の化学反応基とアミノ酸X2の化学反応基の反応によって、例えば、C末端アミノ酸とN末端アミノ酸の化学反応基の反応によって閉環が実施される。
本発明による「炎症」としては、本明細書において肺内炎症、敗血症、全身性炎症および臓器炎症が挙げられる。
本発明は1つの好ましい態様では肺内炎症の治療のための、別の態様では敗血症の治療のための、追加の態様では全身性炎症の治療のための、そして別の態様では臓器炎症の治療のための本発明の使用を提供する。
本明細書において使用される治療は治療および予防を含む。
本発明の方法中のアミノ酸配列において有用である天然アミノ酸は公知であり、且つ、例えば、G、A、V、L、I、M、P、F、W、S、T、N、Q、C、U、Y、D、E、H、K、Rを含んでなる。
本発明の方法中のアミノ酸配列において有用である非天然アミノ酸は
− 天然アミノ酸の基本的構造を有するが、αアミノ酸以外のものであるアミノ酸、
− D型である天然アミノ酸、すなわち、天然のL型のアミノ酸以外の天然アミノ酸、すなわち、L配置ではなくD配置でアルキル基が存在する天然アミノ酸、
− 非天然アミノ酸であって、例えば所望により天然アミノ酸中にも存在する置換基、例えばOH、−CONH2、−NH−C(=NH2)NH2、SH、(C14)アルキル−S−、フェニル、ヘテロシクリル、例えば、5環員または6環員を含んでなり、且つ、N、O、Sから選択される少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくはN、例えば1個または2個のNを含んでなるヘテロシクリルであって、例えばプロリニル、インドリル、イミダゾリルをはじめとするフェニルなどの別の環と縮合していてもよいヘテロシクリルなどの置換基の側に2個から12個まで、例えば2個から6個までの炭素原子、少なくとも1個のアミノ基、例えば1個または2個のアミノ基、および少なくとも1個のカルボキシ基、例えば1個または2個のカルボキシ基を含んでなる前記非天然アミノ酸
を含んでなる。
1つの特定の態様では本発明の方法のアミノ酸配列の中の非天然アミノ酸にはオルチチン(ortithin)、4−アミノ酪酸、β−アラニン、7−アミノヘプタン酸、6−アミノヘキサン酸が含まれる。
別の態様では式Iのアミノ酸配列の閉環化合物には
− 配列番号1
シクロ(CGQRETPEGAEAKPWYC)の配列であって、両方の末端システイン残基がジスルフィド架橋を形成しているもの、
− 配列番号2
シクロ(KSPGQRETPEGAEAKPWYE)の配列であって、N末端リシン残基のε炭素原子に結合しているアミノ基とC末端グルタミン酸残基のγ炭素に結合している側鎖カルボキシル基との間でアミド結合を形成しているもの、
− 配列番号3
シクロ(KGQRETPEGAEAKPWYG)の配列であって、N末端リシン残基の側鎖のε炭素原子に結合しているアミノ基とC末端グリシン残基のカルボキシル基との間でアミド結合を形成しているもの、
− 配列番号4
シクロ(オルニチン−GQRETPEGAEAKPWYG)の配列であって、N末端オルニチン残基の側鎖のδ炭素に結合しているアミノ基とC末端グリシン残基のカルボキシル基との間でアミド結合を形成しているもの、
− 配列番号5
シクロ(4−アミノ酪酸−GQRETPEGAEAKPWYD)の配列であって、N末端4−アミノ酪酸残基のアミノ基とC末端アスパラギン酸残基のβ炭素に結合している側鎖カルボキシル基との間でアミド結合を形成しているもの、
− 配列番号6
シクロ(β−アラニン−GQRETPEGAEAKPWYE)の配列であって、N末端β−アラニン(3−アミノプロパン酸)残基のアミノ基とC末端グルタミン酸残基のγ炭素に結合している側鎖カルボキシル基との間でアミド結合を形成しているもの、
− 配列番号7
{[7−アミノヘプタン酸−GQRETPEGAEAKPWY](シクロ1〜16)}の配列であって、C末端アミノ酸チロシンからN末端アミノ酸グリシンまで前記アミノ酸がペプチド結合しており、一方で前記N末端グリシンのアミノ基の窒素と7−アミノヘプタン酸のカルボキシル基の炭素C1との間のアミド結合を介して、および他方で前記7−アミノヘプタン酸のアミノ基の窒素と前記C末端チロシンのカルボキシル基の炭素との間のアミド結合を介して前記C末端アミノ酸チロシンが前記N末端アミノ酸グリシンに結合しており、それによって前記化合物がN末端アミノ基もC末端カルボキシル基も有しないもの、および
− 配列番号8
{[6−アミノヘキサン酸−GQRETPEGAEAKPWYG](シクロ1〜17)}の配列であって、C末端アミノ酸グリシンからN末端アミノ酸グリシンまで前記アミノ酸がペプチド結合しており、一方で前記N末端グリシンのアミノ基の窒素と6−アミノヘキサン酸のカルボキシル基の炭素C1との間のアミド結合を介して、および他方で前記6−アミノヘキサン酸のアミノ基の窒素と前記C末端グリシンのカルボキシル基の炭素との間のアミド結合を介して前記C末端アミノ酸グリシンが前記N末端アミノ酸グリシンに結合しており、それによって前記化合物がN末端アミノ基もC末端カルボキシル基も有しないもの
が含まれる。
本発明の好ましい化合物は配列番号5のアミノ酸配列の式Iの閉環化合物、すなわち、シクロ(4−アミノ酪酸−GQRETPEGAEAKPWYD)であって、N末端4−アミノ酪酸残基のアミノ基とC末端アスパラギン酸残基のβ炭素に結合している側鎖カルボキシル基との間でアミド結合を形成している閉環化合物である。
本発明の化合物としては、あらゆる形態の化合物、例えば遊離形態の化合物および塩形態の化合物が挙げられ、例えば生物学的環境では本発明の閉環化合物は通常は塩形態である。
別の態様では本発明は塩形態の式Iの化合物を提供する。
そのような塩としては、例えば調製目的/単離目的/精製目的の薬学的に許容不可能な塩が含まれてもよいが、薬学的に許容可能な塩が好ましく挙げられる。
生物学的環境では本発明の閉環化合物の塩は通常は塩酸塩である。
遊離形態の本発明の閉環化合物を対応する塩形態の化合物に変換してよく、その逆もよい。
本発明の化合物は異性体および異性体の混合物、例えば光学異性体の形態で存在し得る。本発明の化合物は例えば不斉炭素原子を含んでよく、それによってエナンチオマーまたはジアステレオ異性体およびそれらの混合物、例えばラセミ体の形態で存在し得る。本発明の化合物は、本発明の化合物中のそのような不斉炭素原子における置換基の各々に関して(R)配置、(S)配置、または(R,S)配置で存在してよく、好ましくは(R)配置または(S)配置で存在してよい。純粋な異性体を得るために異性体混合物は例えば従来の方法に従って、例えば従来の方法と同様にして適切に分離され得る。本発明にはあらゆる異性体形態およびあらゆる異性体混合物の本発明の化合物が含まれる。天然アミノ酸の場合では置換基の配置は天然アミノ酸における配置のとおりである。
本発明の化合物は、例えば従来の方法に従って、例えば従来の方法と同様にして、または例えば本明細書に明示されているように、例えばジイソプロピルカルボジイミドおよび/またはN−ヒドロキシベンゾトリアゾールなどの適切なカップリング剤、および適切な溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミドを使用する2−クロロトリチルクロリド樹脂上でのフルオレニルメトキシカルボニル/t−ブチル保護戦略に従ってもよい固相ペプチド合成によって適切に調製され得る。保護アミノ酸はC末端アミノ酸から開始して順次ペプチド鎖に連結され得る。フルオレニルメトキシカルボニル保護基からの脱保護はN−N−ジメチルホルムアミドなどの適切な溶媒中の塩基、例えば20%ピペリジンなどのピペリジンを用いて実施され得る。その樹脂からの完成した(部分的に)保護されていてもよいペプチドの切断は、適切な溶媒、例えばCH2Cl2などのハロゲン化炭化水素中の酢酸などの酸、例えば酢酸とCH2Cl2の1:1混合物を用いて適切に実施され得る。
システイン含有ペプチドの場合、樹脂からの切断後に所望により例えばトリフルオロ酢酸(TFA)などの強酸、例えば95%TFA/5%H2Oを用いて側鎖脱保護を実施してよい。ジスルフィド結合を得るための閉環は、末端システイン残基の酸化によって実施可能であり、例えば粗直鎖状ペプチドのpH8.5で90時間にわたる通気によって達成可能である。得られた粗ペプチド産物は、例えば5%〜40%のアセトニトリル濃度勾配などの溶離液濃度勾配を用いて簡便にクロマトグラフィーによって、例えばRP−C18シリカゲルカラムなどの適切なカラムでの逆相中圧液体クロマトグラフィー(RP−MPLC)によって精製され得る。トリフルオロアセテート対イオンは例えばカラム上で、例えばLewatit MP64カラム(アセテート型)上で例えばアセテートによって置換され得る。最後の水での洗浄の後に酢酸塩として精製されたペプチドを凍結乾燥してよく、淡色の、例えば白色の粉末の形態でその精製されたペプチドを得ることができる。
システイン非含有ペプチドの場合、例えば樹脂からの切断の後になお部分的に保護された直鎖状ペプチド上で閉環ステップを適切に実施してよい。システイン非含有ペプチドの選択的閉環の後にTFA中での側鎖脱保護を必要な場合に実施してよい。精製ステップは例えばクロマトグラフィーによって、例えば分取RP−MPLCによって実施され得る。そのようにして得られたペプチドからのアセテートによるトリフルオロアセテートイオンの置換が例えば上記のように実施され得る。アセテート型のそのペプチドの凍結乾燥も例えばシステイン含有ペプチドについて記載されたように実施され得る。
得られたペプチドの分子質量はエレクトロスプレーイオン化マススペクトロメトリーまたはMALDI−TOF−MSによって確認され得る。純度は例えば分析高速液体クロマトグラフィーによって決定され得る。
そのようなペプチドおよびそれらの調製は例えば国際公開第2011/085423号パンフレットに記載されている。
例えば式Iの化合物をはじめとする本発明の化合物は興味深い薬理学的活性を示し、したがって医薬として有用である。例えば、下に示すような研究結果から本発明の化合物を適用すると炎症マーカー遺伝子の肺内発現が減弱することが示された。これらの発見はインビボ肺損傷における臨床的に適切な抗炎症作用を初めて提供する。
本発明の化合物は医薬組成物の形態で炎症治療用医薬として使用され得る。
別の態様では本発明は
本発明の化合物を含んでなる炎症の治療に用いるための医薬組成物、
および
本発明の化合物の有効量をそのような治療が必要な哺乳類動物に投与することを含んでなる炎症の治療方法
を提供する。
本発明の化合物を用いる炎症治療について、適切な投与量が例えば使用される本発明の化合物の化学的性質および薬物動態データ、個々の宿主、例えばそのような治療が必要な対象の体重、年齢、および個体状態、投与モード、ならびに治療を受ける体調の性質および重症度に応じて変化することは当然である。しかしながら、一般に、大型哺乳類動物、例えばヒトでの満足のいく結果のために表示一日投与量は
− 約0.0001gから約1.5gまで、例えば0.001gから1.5gまで、
− 約0.001mg/kg体重から約20mg/kg体重まで、例えば0.01mg/kg体重から20mg/kg体重まで
の範囲を含み、例えば最大で一日に4回までの分割用量で投与される。
通常、子供は成人の用量の半分を受容することができる。
本発明の化合物は適切に投与され得る。
本発明の化合物はあらゆる従来の経路で投与されてよく、例えば、例えば経鼻投与、バッカル投与、直腸投与、経口投与をはじめとして腸内投与されてよく、例えば静脈内投与、動脈内投与、筋肉内投与、心内投与、皮下投与、骨内注入、経皮投与(無傷の皮膚を介した拡散)、経粘膜投与(粘膜を介した拡散)、吸入投与、例えばエアロゾル剤のときの経口吸入をはじめとして非経口投与されてよく、
例えば被覆錠剤または非被覆錠剤の形態で、カプセル剤の形態で、(注射)液剤の形態で、固形液剤の形態で、懸濁剤の形態で、分散剤の形態で、固形分散剤の形態で、例えばアンプルの形態で、バイアルの形態で、クリーム剤の形態で、ゲル剤の形態で、ペースト剤の形態で、吸入粉剤の形態で、泡剤の形態で、チンキの形態で、リップスティックの形態で、ドロップの形態で、スプレー剤の形態で、または坐剤の形態で投与されてよい。
本発明の化合物は薬学的に許容可能な塩の形態、または遊離形態で投与されてよく、所望により溶媒和化合物の形態で投与されてよい。塩の形態および/または溶媒和化合物の形態の本発明の化合物は遊離形態の本発明の化合物と同じ程度の活性を示す。
驚くべきことに、せいぜい本発明の閉環化合物の投与は吸入投与によって実施され得ることがわかった。
本発明の化合物は例えばエアロゾルの形態で吸入によって投与されることが好ましく、本発明の化合物の水溶液か水に再溶解される凍結乾燥物のどちらかが吸入の対象となる。驚くべきことに、本発明の化合物の水溶液、例えば配列番号1から配列番号9のアミノ酸配列の(うちの1つの)水溶液は通常使用される安定化剤および/または補助剤が添加されなくてもかなりの長期間でも安定であることがわかった。本発明の溶解化合物を含んでなる吸入用の気化した液滴のサイズも好都合な影響を有し得ることもわかった。例えば、好ましい実施形態では霧状にした液滴の(ほとんどの)液滴直径は特に上出来の結果を得るために5μm(上限)を超えない。その液滴直径の適切な下限はそれらの液滴の実現可能性にのみ依存する。
吸入投与用に、まず水溶液を得るために本発明の閉環化合物、例えば配列番号1から配列番号9のアミノ酸配列の(うちの1つの)閉環化合物を水に溶解するが、例えば不純物を除去するために得られたその溶液を濾過してもよい。例えば貯蔵型が望ましい場合のために得られた濾液を凍結乾燥してもよい。驚くべきことに、そうして得られた本発明の凍結乾燥化合物は長期間にわたって安定であることがわかった。それらの凍結乾燥物の安定性を60%の相対湿度で2〜8℃において最大で24か月、25℃において最大で6か月の後に決定した。そのために通常の実験室の分析方法、例えば目視検査および逆相HPLCを用いた。2〜8℃で24か月の貯蔵の後に生物活性もパッチクランプ実験によって決定した。それらの凍結乾燥物は記載された条件下で安定であることがわかり、外見が変化せず、式Iの閉環ペプチドの含量および純度はあったとしてもわずかなばらつきを示しただけであった。また、生物活性は実質的に変化しないままであった。
本発明の化合物は単独で、または1種類以上、少なくとも1種類の他の第2薬品物質と配合されて本明細書に記載されるあらゆる方法または用途のために使用され得る。
組合せには本発明の化合物と少なくとも1種類の第2薬品物質が同じ製剤の中に存在している固定された組合せ、別々の製剤中の本発明の化合物と少なくとも1種類の第2薬品物質が例えば共投与の指示書と共に同じ包装中に提供されるキット、および本発明の化合物と少なくとも1種類の第2薬品物質が別々に包装されているが、同時投与または連続投与用の指示書が提供されている独立した組合せが含まれる。
本発明に従う組合せを用いる治療によって単独の治療と比べた改善がもたらされ得る。
本発明に従う医薬組成物が従来の方法に従って、例えば従来の方法と同様に、例えば混合工程、造粒工程、被覆工程、溶解工程、または凍結乾燥工程によって製造され得る。単位剤形は、例えば、約0.1mgから約1500mgまで、例えば1mgから約1000mgまでを含み得る。
本発明の組合せを含んでなる医薬組成物、および本明細書に記載される第2の薬品を含んでなる医薬組成物は、例えば従来の方法に従って、例えば従来の方法と同様にして、または本発明の医薬組成物について本明細書に記載されるように適切に提供され得る。
「第2薬品物質」という用語は化学療法薬、特に式Iの化合物などの本発明の化合物以外のあらゆる化学療法薬を意味する。
肺内炎症などの炎症に対する本発明の化合物の効果の特徴分析のため、リポ多糖(LPS)誘導性敗血症のブタモデルを調査した。その活性化合物としては配列番号5のアミノ酸配列の式Iの化合物。
方法
動物実験委員会の認可(ドイツ、コブレンツにあるラインラント=プファルツ州衛生検査局の認可番号23 177−07/G12−1−058)に従って18匹の若齢ブタ(体重25〜27kg)をランダム化評価者盲検化設定で調査した。
麻酔および器具使用
ケタミン(8mg・kg-1)とミダゾラム(0.2mg・kg-1)の筋肉内注射による鎮静状態と血管アクセスの作製の後にプロポフォールとフェンタニルの静脈内投与(8〜12mg・kg-1・h-1/0.1〜0.2mg・h-1)によって麻酔状態を誘導し、維持した。経口気管内挿管を容易にするために単回用量のアトラクリウム(0.5mg・kg-1)を投与した。炭酸正常状態を維持するために換気(人工呼吸器:AVEA(商標)、CareFusion社、米国)を8mL・kg-1の(Vt)の一回換気量、5cmH2Oの呼気終末陽圧(PEEP)、0.3〜0.4のFiO2、および可変的呼吸数の圧力制御モードで開始した。平衡塩類溶液(Sterofundin iso、B. Braun社、ドイツ)を10mL・kg-1・h-1の速度で連続注入した。セルディンガー法で超音波誘導して、且つ、無菌条件下で血管カテーテルを配置した。動脈ライン、圧波形分析式心拍出量測定法用カテーテル(PiCCO、Pulsion Medical Systems社、ドイツ)および中心静脈ラインを大腿静脈アクセスから挿入した。右内頸静脈を介して肺動脈カテーテル用の7.5フレンチのイントロデューサーを配置した。換気パラメーターおよび拡張型血行動態パラメーターを継続的に記録した(Datex S/5、GEヘルスケア社、ドイツ)。体温を直腸プローブによって測定し、正常体温を体表面暖房によって維持した。
実験プロトコル
器具の使用に従って健康な状態で基線パラメーターを評価した。図1はその実験プロトコルをまとめている。全身性炎症を1時間にわたる100μg・kg-1・h-1、続いて全実験期間にわたる10μg・kg-1・h-1の連続LPS注入(大腸菌血清型O111:B4、Sigma−Aldrich社、スイス)によって誘導した。最初の高用量注入を非保護換気設定(25mL・kg-1のVt、0のPEEP、1.0のFiO2)と組み合わせてVILIコンポーネントを付け加えた。その後、換気モードを肺にとってより保護的な設定、すなわち、8mL・kg-1のVt、5cmH2OのPEEP、0.4〜0.5のFiO2、および可変的呼吸数に切り替えて7.2を超えるpHを維持した。それらの動物を敗血症誘導後に6時間にわたってモニターした。その誘導期の間に非参加者がそれらの動物を無作為に二群に分け、盲検的気管内吸入のために以前に記載されたように(Hartmann EK et al, Acta anaesthesiologica Scandinavica 2013, 57(3):334-341)ペプチド溶液を調製した。
本研究では、
1mg・kg-1の配列番号5のアミノ酸配列の式Iの化合物が0時間および3時間に投与される第1群の動物、
ベヒクル溶液が0時間および3時間に投与される対照群(CTRL)としての第2群の動物
の二群を試験した。
血行動態安定性(60mmHg超の平均動脈圧)を維持するために追加の輸液ボーラスを投与した(一時間毎に一度の150mlの平衡塩類溶液またはヒドロキシエチルデンプン)。残っている不安定性を連続中心静脈ノルアドレナリン注入により処置した。実験の最後に前記動物をプロポフォール(200mg)と塩化カリウム(40mval)の静脈内注射による全身深麻酔状態で殺処理した。
血液学的パラメーター
Rapidlab 248装置(バイエル・ヘルスケア社、ドイツ)を使用して血液ガス値を得た。基線期、敗血症誘導期、および3時間後と6時間後に血液学的パラメーターを標本抽出した。血漿中乳酸レベル、白血球数および血小板数はヨハネス・グーテンベルグ大学医療センター臨床検査医学研究所によって分析された。IL−6およびTNF−αの血漿中レベルは製造業者の指示に従って酵素結合免疫吸着アッセイ(Porcine IL−6 Quantikine ELISA、Porcine TNF−a Quantikine ELISA、R&Dシステムズ社、ドイツ)を定量することによって決定された。
病理組織学評価および肺水分量評価
開胸後に肺をひとまとめに取り外した。巨視的肺損傷スコアを以前(Lim CM et al, Lung 2003, 181(1):23-34)に詳しく記載された通りに評価した。肺表面の4つの腹側部分および背側部分(それぞれ右上部/下部、左上部/下部)を出血およびうっ血について調査した(50%超で2ポイント、50%未満で1ポイント、無変化または最小限の変化で0ポイント)。右肺を10%緩衝ホルマリン中で固定した。代表的な組織試料をパラフィン包埋し、ヘマトキシリンおよびエオシン染色用に切断した。上級病理学者の監督下で盲検的検査員が病理組織学評価を行った。様々な肺領域(非換気肺末梢および気管支領域、下側肺末梢および気管支領域)において形態学的変化を7つの基準(肺胞水腫、間質水腫、出血、炎症性浸潤、上皮損傷、微小無気肺および過膨張)について評価した。各パラメーターの重症度は0ポイント(不発生)から5ポイント(完備体)までの範囲であった。我々は各肺領域について4つの非重複性顕微鏡視野の平均値を使用した。全ての肺領域における局所的スコアの合計は加算されて最大で140ポイントの損傷スコア(4つの肺領域のパラメーター当たり最大5ポイント×7パラメーター)になる。さらに各パラメーターの局所的分布を下側肺領域と非換気肺領域の間で評価した。同様の採点法がこれまでに記載された(Spieth PM et al, Intensive Care Med 2007, 33(2):308-314; Wang HM et al, Eur Surg Res 2010, 45(3-4):121-133)。取り外した直後に左肺に重みをかけ、その後に60℃で72時間にわたって乾燥して乾燥重量および湿乾比(W/D)を決定した。
遺伝子発現分析
肺内炎症を判定するために炎症誘発性サイトカインであるインターロイキン−1β(IL−1β)、インターロイキン−6(IL−6)、TNF−α、および炎症誘発性酵素であるプロスタグランジンG/Hシンターゼ2(COX−2)および誘導型一酸化窒素シンターゼ(iNOS)のmRNAレベルを定量した。アンフィレギュリンおよびテネイシンCの発現レベルを機械的ストレスとリモデリングの代用として調査した。左肺の4つの代表的な試料(上葉/下葉、それぞれ下側肺/非換気肺)を収集し、液体窒素中で瞬間凍結し、−80℃で貯蔵した。RNA抽出およびリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(Lightcycler 480 PCRシステム、ロッシュ・アプライドサイエンス社、ドイツ)による定量法を以前に詳しく記載されたように実施した[17〜19]。mRNA発現データを対照遺伝子としてのペプチジルプロリルイソメラーゼA(PPIA)に対して正規化した。
統計分析
データは中央値と各四分位範囲(IQR)ボックスプロットとして表されている。グループ間比較をマン・ホイットニーのU検定で検定した。多重検定が行われる場合にはボンフェローニの補正によってP値を調整した。それぞれ測定されたパラメーターのグループ内タイムコースをフリードマンの順位に基づく分散分析(ANOVA)およびポストホック・スチューデント=ニューマン=コイルス検定によって分析した。0.05より低いP値を有意とした。表1に示されている生理学的データ(人工呼吸器データおよび血行動態データ)は探索的に分析されるだけであった。統計ソフトウェアSigmaPlot 11.0(Systat社、米国)を使用した。
表1に人工呼吸器データおよび血行動態データが示されている。データは関連のグループ間差異の無い中央値(IQR)として提示されている。Vtは一回換気量、Pendinspは呼気終末圧力、PEEPは呼気終末陽圧、RRは呼吸数、FiO2は吸入酸素比、I:Eは吸気時間呼気時間比、Rawは気道抵抗、EVLWは肺血管外水分量、PaCO2は動脈血二酸化炭素分圧、MAPは平均動脈圧、COは心拍出量、CVPは中心静脈圧、MPAPは平均肺動脈圧、NAはノルアドレナリン投与量である。
結果
生理学的データ
表1は血行動態パラメーターおよび呼吸パラメーターのタイムチャートをまとめている。敗血症および換気時に動脈血酸素分圧とFiO2の比(PaO2/FiO2)は減少しなかった。その後、PaO2/FiO2および動肺コンプライアンス(Cdyn)が両群において3時間以内に顕著に減少し、回復せずに持続した(図2aおよび2b)。それらの二群は有意な差を示さなかった。血行動態は基線期および敗血症/VILI誘導期で安定であったが、6時間にわたって両群において同じ投与量で連続ノルアドレナリン注入が必要であった。
全身性炎症反応および肺炎症反応
LPS注入により持続的および存続的全身性白血球減少症が引き起こされた。これには血小板数の減少および乳酸レベルの上昇が付随した。IL−6およびTNF−αの血漿中レベルは両群において有意に上昇し、3時間以内にピークに達した(図3a、3b、3c、3d)。肺内mRNA定量によって配列番号5のアミノ酸配列の式Iの化合物を吸入した後のCOX−2(p=0.003)、TNF−α(p=0.041)およびIL−6(p=0.043)の有意に低い全体的発現と、より小さいIL−1β発現およびiNOS発現の差異が明らかになった(図4a、4b、4c、4d、ならびに図5a、5b、5cおよび5d)。さらに、テネイシンC発現の低下(p=0.015)が検出された。妥当な局所領域的変化は検出されなかった。
病理学パラメーター
死後の巨視的評価および組織学的評価により両群における持続的肺損傷の存在が明らかになった。第1群の動物はより少ない顕著な損傷ならびにより高い湿乾比の傾向を示している(図6a、6b、6c)。前記病理組織学的採点法の最も適切な特徴は炎症性浸潤ならびに過膨張領域の発生およびわずかな役割を果たす水腫形成を伴う無気肺の発生であった。対照第2動物群は表2に示されるようにより高い程度の出血を特徴とした。腹側から背側への分布に関しては妥当な差異は検出されなかった。
図3にまとめられている病理組織学肺損傷の分布。肺領域(それぞれ末梢および気管支領域を含む)のデータは中央値(IQR)として表されている。*は第1群に対するP<0.05を表している。
考察
LPS誘導性肺損傷のブタモデルにおいて配列番号5のペプチドの吸入の影響を調査する本研究の重要な結果は、配列番号5のペプチドによって損傷から6時間後に肺内炎症反応が著しく減少したことである。
モデル特性
LPSは全身性菌血症におけるグラム陰性細菌の糖脂質として存在し、敗血症ショックおよび心循環不全の個所に対して炎症反応を引き起こし得る。ブタにおけるLPSの全身性作用には肺動脈圧の上昇および急性白血球減少症と共に血行動態の悪化が含まれ(Matute-Bello G et al, Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 2008, 295(3):L379-399)、このことは本研究の発見と一致する。LPS注入に起因する肺内変化には白血球および肺胞マクロファージならびに上皮損傷の蓄積が含まれる (Wang HM et al, Eur Surg Res 2008, 40(4):305-316)。他のモデル(すなわち、気管支肺胞洗浄)と対照的に、無気肺およびガス交換障害はLPS誘導性敗血症によって生じない。ブタではコンピューター断層撮影でのLPS誘導性肺形態変化と組織病理学的肺損傷が数時間にわたって生じる (Otto CM et al, J Appl Physiol 2008, 104(5):1485-1494)。敗血症ショックおよび難治性血行動態不全によって実験モデルにおける最大LPS注入投与量が制限される。本モデルはPaO2/FiO2および呼吸力学の著しい悪化ならびに死後分析における肺損傷の兆候を示す。
炎症反応に対する影響
LPS注入に反応してTNF−αおよびIL−1βが体循環中に放出される。初期肺損傷では肺胞マクロファージが、例えば好中球蓄積を増すことにより炎症反応を引き起こす主要な炎症性サイトカイン源である(Mittal N, Sanyal SN: Cycloxygenase inhibition enhances the effects of surfactant therapy in endotoxin-induced rat model of ARDS. Inflammation 2011, 34(2):92-98. Matthay MA, Zemans RL: The acute respiratory distress syndrome: pathogenesis and treatment. Annu Rev Pathol 2011, 6:147-163)。本検査系では敗血症誘導後3時間以内にピークを有する高循環血漿中レベルのTNF−αおよびIL−6が検出された。病態生理学的妥当性は、初期および高循環レベルのIL−6が死亡率の上昇に付随していることを示すデータによって裏付けられる。興味深いことに反復的な配列番号5のペプチド吸入によってTNF−α、IL−6、およびCOX−2のような重要な炎症マーカーの肺における発現が著しく減弱化された。TNF−αおよびIL−6の血漿中レベルはあまり影響を受けなかった。本研究では炎症マーカー遺伝子を肺組織内で直接的に検出した。発現レベルは肺内での局在に依存しなかった。これはLPS注入の全身的特性に起因し得る。
細胞外マトリックス糖タンパク質であるテネイシンCは特に初期炎症期に関与し、炎症性サイトカイン、肺リモデリング、および線維増殖によって誘導される。 (Chiquet-Ehrismann R, Chiquet M: Tenascins: regulation and putative functions during pathological stress. The Journal of pathology 2003, 200(4):488-499. Snyder JC, Zemke AC, Stripp BR: Reparative capacity of airway epithelium impacts deposition and remodeling of extracellular matrix. American journal of respiratory cell and molecular biology 2009, 40(6):633-642.)。テネイシンCは第1群では有意に低く、配列番号5のペプチドの吸入によって炎症と関係する活性が鎮静化されることを示唆した。
結論
全身性炎症反応関連肺損傷のブタモデルにおいて配列番号5のペプチドの反復吸入によって炎症マーカー遺伝子の肺内発現が著しく減弱化された。
本発明の化合物の吸入は炎症反応を減弱化するための新しい選択肢である。配列番号5のペプチドの吸入によってブタにおける初期敗血症誘導性肺損傷における重要な炎症メディエーターの肺内発現が減少する。
肺炎症および本発明の化合物の投与の効果を測定するための実験プロトコルを模式的にまとめている図である。 敗血症および換気後の動脈血酸素分圧およびFiO2の比(PaO2/FiO2)(図2a)、ならびに配列番号5の化合物(曲線1)および対照(CTRL、曲線2)の投与後3時間以内の動肺コンプライアンス(Cdyn)の減少であって、両方とも3時間後も回復することなく持続した減少(図2b)を示す図である。 同上 LPS注入後3時間以内のIL−6(図3a)およびTNF−α(図3b)の血漿中レベルの上昇、乳酸レベルの上昇(図3c)、および血小板数の減少(図3d)を示す図である。 同上 同上 同上 対照投与(CTRL、全ての図の各曲線2)の側に配列番号5の化合物(全ての図の各曲線1)の吸入後のIL−1β(図4a)、IL−6(図4b)、TNF−α(図4c)、COX−2(図5a)、アンフィレギュリン(図5b)、INOS(図5c)およびテネイシン(図5d)の発現の肺内mRNA定量を示す図である。 同上 同上 同上 同上 同上 同上 配列番号5の化合物で処理された動物(第1群)と対照処理動物(第2群)の肺損傷に関する死後の巨視的評価および組織学的評価の結果(図6aでは全体的肺損傷、図6bでは出血/うっ血スコア、および図6cでは肺湿乾比)を示す図である。 同上 同上

Claims (4)

  1. 吸入によって、肺内炎症、敗血症、全身性炎症または臓器炎症を伴う炎症マーカーの肺発現を減弱化することに用いるための医薬組成物であって、
    配列番号5:
    シクロ(4−アミノ酪酸GQRETPEGAEAKPWYD)のアミノ酸配列の閉環化合物であって、アミド結合が、N末端の4−アミノ酪酸残基のアミノ基と、C末端のアスパラギン酸残基のβ−炭素に結合した側鎖カルボキシル基との間で形成されている化合物、またはその塩
    を含む、医薬組成物
  2. 炎症マーカーが、TNF−α、IL−6、およびCOX−2からなる群から選択される、請求項1に記載の医薬組成物
  3. 合物が塩形態である、請求項1または2に記載の医薬組成物
  4. 塩が、塩酸塩である、請求項3に記載の医薬組成物。
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