JP6644609B2 - 歯車対の噛み合い周波数特定装置および噛み合い周波数特定方法 - Google Patents

歯車対の噛み合い周波数特定装置および噛み合い周波数特定方法 Download PDF

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Description

この発明は、歯車対の噛み合い周波数特定装置および噛み合い周波数特定方法に関し、例えば、風力発電装置または大規模プラント等において、複数のセンサを用いる状態監視システムに適用される技術に関する。
従来から、風力発電装置および大規模プラント等では、各種センサで物理量を測定することで回転部品の状態を監視している。
特に、回転機械の状態監視システムでは、回転部品である軸受、歯車の設計諸元から、回転周波数および回転部品の異常に起因する振動の周波数を特定し、監視することで、部品別の異常を診断する。
例えば、異常を起こした部品が転がり軸受に特定できる場合、軸受の設計諸元から計算できる、異常に起因した周波数にのみ着目する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。歯車の場合にも、歯車の設計諸元から計算できる、噛み合いに起因した周波数に着目し、歯車の異常状態を推定する技術が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
特開2006−234785号公報 特開平2−240536号公報
しかし、一般に回転機械のメーカは設計諸元を開示していないため、上記のように特徴的な振動の周波数を特定できない。そのため、データの実効値および最大値などの各種特徴量を算出し、正常状態に比べて大きな変化が見られた場合に異常とみなすことが多い。この場合、異常部位の特定および異常状態を推定できないため、メンテナンス時期の調整および異常原因の調査が困難となる。
歯車の設計諸元が不明である状態監視対象において、データの実効値および最大値などの特徴量では歯車の異常を十分に診断できない。より詳細に診断するためには、正常値のデータから歯車に起因する周波数を特定する技術が望まれている。
この発明の目的は、歯車の設計諸元が不明な複数の歯車対を有する増速機および減速機のいずれか一方または両方において、歯車の異常診断に有用な噛み合い周波数を特定することができる歯車対の噛み合い周波数特定装置および噛み合い周波数特定方法を提供することである。
この発明の歯車対の噛み合い周波数特定装置は、複数の歯車対を有する増速機7および減速機のいずれか一方または両方における、前記複数の歯車対の噛み合い周波数をそれぞれ特定する噛み合い周波数特定装置40であって、
前記各歯車対から発生する噛み合い振動をそれぞれ検出するセンサSaと、
前記噛み合い周波数の予想周波数に対し、何倍までの高調波領域を調査するかが設定された高調波領域設定手段42と、
前記噛み合い周波数を調査する予想周波数の範囲が複数設定された調査周波数範囲設定手段43と、
この調査周波数範囲設定手段43で設定された予想周波数の範囲で且つ前記高調波領域設定手段で設定された高調波領域にて、前記センサSaで検出される噛み合い振動から最大ピーク振幅を算出すると共に、前記複数設定された予想周波数の範囲同士で前記最大ピーク振幅の差が定められた倍数以下である予想周波数を選定する最大ピーク振幅等算出手段44と、
この最大ピーク振幅等算出手段44で選定された予想周波数の中で、複数設定された予想周波数の範囲内で算出された最大ピーク振幅の定められた時間内の合計値がk(kは自然数)番目に大きいものの予想周波数をk番目に歯面速度が大きい歯車対の噛み合い周波数として特定する噛み合い周波数特定手段45と、を備えたことを特徴とする。
前記定められた倍数、前記定められた時間は、それぞれ設計等によって任意に定める倍数、時間であって、例えば、試験およびシミュレーションのいずれか一方または両方により適切な倍数、時間を求めて定められる(後述する歯車対の噛み合い周波数特定方法においても同じ)。
この構成によると、高調波領域設定手段42では、噛み合い周波数の予想周波数に対し、何倍までの高調波領域を調査するかが設定される。例えば、正常な歯車対の噛み合い振動は、前記予想周波数の何倍までの高調波を出現させる場合が多いかを基準として、高調波領域が設定される。調査周波数範囲設定手段43では、噛み合い周波数を調査する予想周波数の範囲が複数設定される。
最大ピーク振幅等算出手段44では、設定された予想周波数の範囲で且つ設定された高調波領域にて、センサSaで検出される噛み合い振動から最大ピーク振幅を算出する。これと共に、最大ピーク振幅等算出手段44は、複数設定された予想周波数の範囲同士で前記最大ピーク振幅の差が定められた倍数以下である予想周波数を選定する。隣接する最大ピーク振幅の差が定められた倍数以下となる予想周波数を選定することで、実機の自励振動と噛み合い周波数などの強制振動を判別できる。
噛み合い周波数特定手段45では、選定された予想周波数の中で、複数設定された予想周波数の範囲内で算出された最大ピーク振幅の定められた時間内の合計値がk(kは自然数)番目に大きいものの予想周波数をk番目に歯面速度が大きい歯車対の噛み合い周波数として特定する。この噛み合い周波数特定手段45は、正常な歯車対の噛み合い振動が、歯面速度が大きい程大きくなる現象を利用している。したがって、歯車の異常診断に有用な各歯車対の噛み合い周波数を特定することができる。
前記高調波領域決定手段42は、前記噛み合い周波数の予想周波数に対し、3倍までの高調波領域を調査するかが設定されたものであっても良い。正常な歯車対の噛み合い振動は、前記予想周波数の3倍までの高調波を出現させる場合が多いためである。
この発明の状態監視システムStmは、いずれかの歯車対の噛み合い周波数特定装置40を備え、特定された噛み合い周波数から高調波成分の増減および側波帯のいずれか一方または両方の出現を監視する監視手段を有するものである。この構成によれば、噛み合い周波数が既知となり、監視手段は、例えば、高調波成分の増減または側帯波の出現を監視することで、歯車の異常形態または歯面の摩耗量を算出するなどの精密な状態監視をすることができる。
この発明の歯車対の噛み合い周波数特定方法は、複数の歯車対を有する増速機7および減速機のいずれか一方または両方における、前記複数の歯車対の噛み合い周波数をそれぞれ特定する噛み合い周波数特定方法であって、
前記各歯車対から発生する噛み合い振動をそれぞれ検出するセンサSaを用い、
前記噛み合い周波数の予想周波数に対し、何倍までの高調波領域を調査するかを設定する高調波領域設定過程と、
前記噛み合い周波数を調査する予想周波数の範囲を複数設定する調査周波数範囲設定過程と、
この調査周波数範囲設定過程で設定された予想周波数の範囲で且つ前記高調波領域設定過程で設定された高調波領域にて、前記センサSaで検出される噛み合い振動から最大ピーク振幅を算出すると共に、前記複数設定された予想周波数の範囲同士で前記最大ピーク振幅の差が定められた倍数以下である予想周波数を選定する最大ピーク振幅等算出過程と、
この最大ピーク振幅等算出過程で選定された予想周波数の中で、複数設定された予想周波数の範囲内で算出された最大ピーク振幅の定められた時間内の合計値がk(kは自然数)番目に大きいものの予想周波数をk番目に歯面速度が大きい歯車対の噛み合い周波数として特定する噛み合い周波数特定過程と、を含むたことを特徴とする。
この構成によれば、高調波領域設定過程では、噛み合い周波数の予想周波数に対し、何倍までの高調波領域を調査するかが設定される。例えば、正常な歯車対の噛み合い振動は、前記予想周波数の何倍までの高調波を出現させる場合が多いかを基準として、高調波領域が設定される。調査周波数範囲設定過程では、噛み合い周波数を調査する予想周波数の範囲が複数設定される。
最大ピーク振幅等算出過程では、設定された予想周波数の範囲で且つ設定された高調波領域にて、センサSaで検出される噛み合い振動から最大ピーク振幅を算出する。これと共に、最大ピーク振幅等算出過程では、複数設定された予想周波数の範囲同士で前記最大ピーク振幅の差が定められた倍数以下である予想周波数を選定する。最大ピーク振幅の差が定められた倍数以下となる予想周波数を選定することで、実機の自励振動と噛み合い周波数などの強制振動を判別できる。
噛み合い周波数特定過程では、選定された予想周波数の中で、複数設定された予想周波数の範囲内で算出された最大ピーク振幅の定められた時間内の合計値がk(kは自然数)番目に大きいものの予想周波数をk番目に歯面速度が大きい歯車対の噛み合い周波数として特定する。この噛み合い周波数特定過程は、正常な歯車対の噛み合い振動が、歯面速度が大きい程大きくなる現象を利用している。したがって、歯車の異常診断に有用な各歯車対の噛み合い周波数を特定することができる。
この発明の歯車対の噛み合い周波数特定装置は、複数の歯車対を有する増速機および減速機のいずれか一方または両方における、前記複数の歯車対の噛み合い周波数をそれぞれ特定する噛み合い周波数特定装置であって、前記各歯車対から発生する噛み合い振動をそれぞれ検出する複数のセンサと、前記噛み合い周波数の予想周波数に対し、何倍までの高調波領域を調査するかが設定された高調波領域設定手段と、前記噛み合い周波数を調査する予想周波数の範囲が複数設定された調査周波数範囲設定手段と、この調査周波数範囲設定手段で設定された予想周波数の範囲で且つ前記高調波領域設定手段で設定された高調波領域にて、前記各センサで検出される噛み合い振動から最大ピーク振幅を算出すると共に、前記複数設定された予想周波数の範囲同士で前記最大ピーク振幅の差が定められた倍数以下である予想周波数を選定する最大ピーク振幅等算出手段と、この最大ピーク振幅等算出手段で選定された予想周波数の中で、複数設定された予想周波数の範囲内で算出された最大ピーク振幅の定められた時間内の合計値がk(kは自然数)番目に大きいものの予想周波数をk番目に歯面速度が大きい歯車対の噛み合い周波数として特定する噛み合い周波数特定手段とを備えている。このため、歯車の設計諸元が不明な複数の歯車対を有する増速機および減速機のいずれか一方または両方において、歯車の異常診断に有用な噛み合い周波数を特定することができる。
この発明の歯車対の噛み合い周波数特定方法は、複数の歯車対を有する増速機および減速機のいずれか一方または両方における、前記複数の歯車対の噛み合い周波数をそれぞれ特定する噛み合い周波数特定方法であって、前記各歯車対から発生する噛み合い振動をそれぞれ検出する複数のセンサを用い、前記噛み合い周波数の予想周波数に対し、何倍までの高調波領域を調査するかを設定する高調波領域設定過程と、前記噛み合い周波数を調査する予想周波数の範囲を複数設定する調査周波数範囲設定過程と、この調査周波数範囲設定過程で設定された予想周波数の範囲で且つ前記高調波領域設定過程で設定された高調波領域にて、前記各センサで検出される噛み合い振動から最大ピーク振幅を算出すると共に、前記複数設定された予想周波数の範囲同士で前記最大ピーク振幅の差が定められた倍数以下である予想周波数を選定する最大ピーク振幅等算出過程と、この最大ピーク振幅等算出過程で選定された予想周波数の中で、複数設定された予想周波数の範囲内で算出された最大ピーク振幅の定められた時間内の合計値がk(kは自然数)番目に大きいものの予想周波数をk番目に歯面速度が大きい歯車対の噛み合い周波数として特定する噛み合い周波数特定過程とを含む。このため、歯車の設計諸元が不明な複数の歯車対を有する増速機および減速機のいずれか一方または両方において、歯車の異常診断に有用な噛み合い周波数を特定することができる。
この発明の実施形態に係る状態監視システムの全体構成を概略示す図である。 同状態監視システムの監視対象である風力発電装置を概略示す図である。 同風力発電装置の増速機の断面図である。 同状態監視システムの制御系のブロック図である。 同状態監視システムの噛み合い周波数特定手段で特定された各歯車対の噛み合い周波数を示す図である。 同噛み合い周波数特定手段による噛み合い周波数特定方法を示すフローチャートである。 同増速機の遊星歯車装置の歯数を特定する過程を示すフローチャートである。 同増速機の二段平行軸歯車装置の歯数を特定する過程を示すフローチャートである。 試験における定格運転時の各センサにおける測定データの周波数領域を示す図である。
この発明の実施形態に係る状態監視システムを図1ないし図8と共に説明する。
図1に示すように、この状態監視システムStmは、風力発電装置(「風車」とも言う)1の増速機の状態を監視するシステムであって、モニタ装置2と、データサーバ3と、監視用端末4とを備える。モニタ装置2は、複数のセンサSa,Sb(図3)を有し、これらセンサSa,Sb(図3)の検出値から必要な測定データを算出しデータサーバ3へ送信する機能を有する。データサーバ3と監視用端末4とは、例えば、社内LAN(LAN:Local Area Network)等によって接続される。後述する監視用端末4は、データサーバ3が受信した測定データを出力させる。また監視用端末4は、同測定データの詳細な解析、モニタ装置2の設定変更、風力発電装置1の各機器の状態を表示させる。
風力発電装置1について説明する。
図2に示すように、風力発電装置1は、主軸5と、ブレード6と、増速機7と、発電機8と、主軸受9とを備える。この風力発電装置1は、複数のセンサSa,Sb(図3)と、モニタ装置2とを備える。増速機7、発電機8、主軸受9、複数のセンサSa,Sb(図3)およびモニタ装置2は、ナセル10に格納され、ナセル10はタワー11に支持されている。
主軸5は、増速機7の入力軸に接続され、主軸受9によって回転自在に支持される。ブレード6は、主軸12の先端に設けられ風力を受ける。主軸12は、風力を受けたブレード6により発生する回転トルクを増速機7の入力軸へ伝達する。主軸受9は、例えば、自動調心ころ軸受、円すいころ軸受、円筒ころ軸受、玉軸受等の転がり軸受により構成される。
図3に示すように、複数のセンサSa,Sbとして、加速度センサSaと、回転速度センサSbとが設けられている。加速度センサSaは、増速機7のケーシング13に固定される。この加速度センサSaは、各歯車対から発生する噛み合い振動をそれぞれ検出する。回転速度センサSbは、後述するキャリア14の回転速度(主軸回転速度)を測定する。
図2に示すように、主軸12と発電機8との間には、増速機7が介在されている。この増速機7は、主軸12の回転速度を増速して発電機8へ出力する。発電機8は、増速機7の出力軸(高速軸)に接続され、増速機7から受ける回転トルクによって発電する。発電機8として、例えば、誘導発電機が用いられる。
図3に示すように、この風車用増速機7は、一つの歯車対を含むプラネタリ型シングルピニオン式の遊星歯車装置15と、二つの歯車対を含む二段平行軸歯車装置16とを備える。これら遊星歯車装置15と二段平行軸歯車装置16とは、共通のケーシング13内に設けられている。遊星歯車装置15は、入力軸17の回転を増速して低速軸18に伝達する。この低速軸18は入力軸17に同心に設けられている。二段平行軸歯車装置16は、低速軸18の回転をさらに増速して出力軸である高速軸19に伝達する。
遊星歯車装置15は、太陽歯車20と、遊星歯車21と、内歯車22とを有する。遊星歯車21は、太陽歯車20および内歯車22にそれぞれ噛み合っている。ケーシング13の内周面に内歯車22が設けられている。低速軸18は、低速軸受23,24によって回転自在に支持されている。低速軸18の外周面に、太陽歯車20が固定されている。
遊星歯車21はキャリア14に支持されている。キャリア14は、遊星歯車装置15の入力部であり、入力軸17に一体に且つ同心に設けられている。ケーシング13に、遊星キャリア軸受25,26を介してキャリア14が旋回自在に支持されている。遊星キャリア軸受25はケーシング13内のロータ側に設けられ、遊星キャリア軸受26はケーシング13内の発電機側に設けられている。キャリア14には、円周方向一定間隔おきに複数の遊星軸27が設けられている。各遊星軸27に、遊星軸受28を介して遊星歯車21が回転自在に支持されている。
二段平行軸歯車装置16は、第1の歯車対である低速軸大歯車29および中速軸小歯車30と、第2の歯車対である中速軸大歯車31および高速軸小歯車32とを有する。低速軸18の外周に低速軸大歯車29が固定されている。ケーシング13内において、低速軸18よりも半径方向外方に軸受33,34が支持され、これら軸受33,34を介して中速軸35が回転自在に支持されている。この中速軸35の外周に中速軸小歯車30が固定され、この中速軸小歯車30と低速軸大歯車29とが噛み合うように配置される。
ケーシング13内には、中速軸35よりも半径方向外方に高速軸19が設けられている。この高速軸19は、ケーシング13内に支持された軸受36,37を介して回転自在に支持されている。高速軸19、中速軸35および低速軸18は、入力軸17に平行に配置される。中速軸35の外周には中速軸大歯車31が固定されている。この中速軸大歯車31は、高速軸19の外周に固定された高速軸小歯車32に噛み合っている。なおケーシング13の下部は、潤滑油の油浴を形成する部分とされている。
図2および図3に示すように、ブレード6が風力を受け入力軸17が回転すると、キャリア14が旋回する。これにより遊星歯車21が公転する。各遊星歯車21は、内歯車22に噛み合いながら公転するため、自転する。公転しつつ自転する遊星歯車21は、太陽歯車20と噛み合っているため、太陽歯車20は入力軸17に対して増速されて回転する。この太陽歯車20の回転は、さらに二段平行軸歯車装置16で増速されて出力軸である高速軸19に伝達される。この高速軸19から発電が可能な高速回転が得られる。
図4は、この状態監視システムStmの制御系のブロック図である。
この状態監視システムStmは、増速機7(図2)の歯数を特定する歯数特定装置38を有する。この歯数特定装置38は、モニタ装置2と、データサーバ3と、監視用端末4における制御装置39とを有する。歯数特定装置38は噛み合い周波数特定装置40を含む。この噛み合い周波数特定装置40は、複数(この例では三つ)の歯車対の噛み合い周波数をそれぞれ特定する。なお以下の説明は、増速機7(図2)の歯数を特定する歯数特定方法、歯車対の噛み合い周波数を特定する噛み合い周波数特定方法についての説明も含む。
監視用端末4は、監視手段である制御装置39と、表示部41とを有する。制御装置39は、例えば、マイクロコンピュータ等のコンピュータおよびこれに実行されるプログラム、並びに電子回路等からなる。制御装置39は、高調波領域設定手段42、調査周波数範囲設定手段43、最大ピーク振幅等算出手段44、噛み合い周波数特定手段45、遊星歯車歯数特定手段46、および二段平行軸歯車歯数特定手段47を有する。
高調波領域設定手段42は、増速機7(図3)の各歯車対の噛み合い周波数の予想周波数に対し、何倍までの高調波領域を調査するかが設定される。この例では、噛み合い周波数の予想周波数に対し3倍までの高調波領域を調査するかが設定される。正常な歯車対の噛み合い振動は、前記予想周波数の3倍までの高調波を出現させる場合が多いためである。
調査周波数範囲設定手段43は、噛み合い周波数を調査する予想周波数の範囲が複数設定される。調査する予想周波数の範囲を以下に示す。
範囲(1)予想周波数±回転周波数の1/2
範囲(2)予想周波数×2±回転周波数の1/2
範囲(3)予想周波数×3±回転周波数の1/2
範囲(1)〜(3)を一組の調査周波数範囲とする。側帯波の影響を防ぐため、歯車の遅い方の回転周波数を用いることが好ましい。
最大ピーク振幅等算出手段44は、前述の設定された予想周波数の範囲で且つ前述の設定された高調波領域にて、定められた加速度センサSa(図3)で検出される噛み合い振動から最大ピーク振幅を算出する。
最大ピーク振幅等算出手段44は、範囲(1)〜(3)内それぞれで前記最大ピーク振幅を算出すると共に、複数設定された予想周波数の範囲同士で最大ピーク振幅の差が定められた倍数以下である予想周波数を選定する。
詳細には、最大ピーク振幅等算出手段44は、範囲(1)と範囲(2)、範囲(2)と範囲(3)の最大ピーク振幅の差が10倍以下である予想周波数を選定する。このように予想周波数とその少なくとも3倍までの高調波の最大ピーク振幅を比較し、それら隣接する最大ピーク振幅の差が10倍以下となる予想周波数を選定することで、実機の自励振動と噛み合い周波数などの強制振動を判別し得る。
噛み合い周波数特定手段45では、選定された予想周波数の中で、複数設定された予想周波数の範囲内で算出された最大ピーク振幅の定められた時間内の合計値がk(kは自然数)番目に大きいものの予想周波数をk番目に歯面速度が大きい歯車対の噛み合い周波数として特定する。
詳細には、噛み合い周波数特定手段45は、最大ピーク振幅等算出手段44で選定された予想周波数の中で、複数設定された予想周波数の範囲内で算出された最大ピーク振幅の定められた時間(この例では10秒間)内の合計値が一番目に大きいものの予想周波数を、二段平行軸歯車装置16(図3)における平行軸歯車中・高速軸噛み合い周波数として特定する。
また噛み合い周波数特定手段45は、前記合計値が二番目に大きいものの予想周波数を、二段平行軸歯車装置16(図3)における平行軸歯車低・中速軸噛み合い周波数として特定する。噛み合い周波数特定手段45は、前記合計値が三番目に大きいものの予想周波数を、遊星歯車装置15(図3)における遊星歯車噛み合い周波数として特定する。
正常な歯車であれば噛み合い振動波形は正弦波に近く、その周波数でのピーク振幅は噛み合い周波数に対応する。しかし、実機の場合では歯車の取り付け誤差および歯車自身の偏心により正弦波が歪み、矩形波状となり、高次噛み合い周波数のピーク振幅が現れる。噛み合い周波数特定手段45は、このような現象を利用したものであり、高調波が現れる周波数を探索し、FET分析結果から噛み合い周波数を特定することができる。また噛み合い周波数特定手段45は、正常な歯車対の噛み合い振動が、歯車速度が大きい程大きくなる現象を利用している。噛み合い周波数特定装置45は、制御装置39における、高調波領域設定手段42、調査周波数範囲設定手段43、最大ピーク振幅等算出手段44および噛み合い周波数特定手段45を含む。
遊星歯車歯数特定手段46は、特定された遊星歯車噛み合い周波数から、定められた遊星歯車機構における歯数条件式を用いて、速度比が最大となる遊星歯車装置15(図3)の歯数を特定する。遊星歯車噛み合い周波数を用いた歯数算出式と、遊星歯車機構の歯数条件式を以下に示す。
図3および図4に示すように、遊星歯車装置15のキャリア回転速度をnp、遊星歯車噛み合い周波数をGMFp、内歯車22の歯数をZr、遊星歯車21の歯数をZp、太陽歯車20の歯数をZsとする。遊星歯車数はNとし、本実施形態において既知である。また、歯車の歯元における歯形曲線の一部分が工具の刃先直線部で切り取られる切り下げ現象を防止するため、全ての歯数は「17」より大きいこととする。
・遊星歯車噛み合い周波数を用いた内歯車22の歯数算出式
Zr=GMFp/np …式(1)
・同軸条件:内歯車22、遊星歯車21、太陽歯車20の軸心が全て同軸上にあるための条件
Zr=Zs+2Zp …式(2)
・隣接条件:遊星歯車同士がぶつかって干渉しないための条件
Zp+2<(Zr−Zp)sin(180°/N) …式(3)
・組立条件:遊星歯車21を等配位置に配置するための条件
整数=(Zr+Zs)/N …式(4)
・干渉防止:遊星歯車21の歯元と内歯車22の歯先が干渉しないための条件
Zp>19 …式(5)
遊星歯車歯数特定手段46では、噛み合い周波数特定手段45で特定した遊星歯車噛み合い周波数GMFpと、回転速度センサSbから得られたキャリア回転速度(主軸回転速度)npとを用いて、式(1)より内歯車22の歯数Zrを算出する。遊星歯車歯数特定手段46は、算出した内歯車22の歯数Zrを用いて、式(3)および式(5)より遊星歯車21の歯数Zpを取り得る範囲を限定する。
遊星歯車歯数特定手段46では、歯数Zpの限定した範囲において式(2)を用いて、遊星歯車21と太陽歯車20の歯数の組合せ(Zp、Zs)を算出する。さらに遊星歯車歯数特定手段46では、算出した歯数の組合せ(Zp、Zs)において、式(4)を満たし、増速比Zr/Zs+1が最大となるものを特定する。したがって、遊星歯車装置15の内歯車22、遊星歯車21、太陽歯車20の歯数(Zr、Zp、Zs)をそれぞれ特定し得る。
二段平行軸歯車歯数特定手段47は、噛み合い周波数特定手段45で特定された平行軸歯車中・高速軸噛み合い周波数、平行軸歯車低・中速軸噛み合い周波数、および遊星歯車歯数特定手段46で特定された歯数から算出できる遊星歯車装置15の増速比を用いて、二つの歯車対の速度比の差が1.5以下となる二段平行軸歯車装置16の歯数を特定する。
二段平行軸歯車歯数特定手段47で用いる平行軸歯車中・高速軸噛み合い周波数、平行軸歯車低・中速軸噛み合い周波数の算出式と、増速比を用いた中速軸小歯車・大歯車の歯数比の算出式を以下に示す。
平行軸歯車中・高速軸噛み合い周波数をGMFmh、平行軸歯車低・中速軸噛み合い周波数をGMFlm、低速軸大歯車29の歯数をZlg、中速軸小歯車30の歯数をZmp、中速軸大歯車31の歯数をZmg、高速軸小歯車32の歯数をZhp、とする。また、既知である全体増速比をIとし、遊星歯車歯数特定手段46での遊星歯車増速比Zr/Zs+1をIpとする。
・平行軸歯車中・高速軸噛み合い周波数を用いた高速軸小歯車32の歯数算出式
Zhp=GMFmh/(np×I) …式(6)
・平行軸歯車低・中速軸噛み合い周波数を用いた低速軸大歯車29の歯数算出式
Zlg=GMFlm/(np×Ip) …式(7)
・中速軸小歯車・大歯車の歯数比の算出式
Zmg/Zmp=(I/Ip)×(Zhp/Zlg) …式(8)
二段平行軸歯車歯数特定手段47では、噛み合い周波数特定手段45で特定されたGMFmh、GMFlmを用いて、式(1)および式(2)よりZhp、Zlgを算出する。この算出したZhp、Zlgを用いて式(3)より歯数比Zmg/Zmpを算出する。さらに各平行軸の歯車対の速度比Zlg/Zmp、Zmg/Zhpの差が1.5以下となる組合せ(Zmg、Zmp)を特定し、Zlg、Zmg、Zmp、Zhpを特定し得る。二段平行軸歯車歯数特定手段47では、二つの歯車対の歯面摩耗の偏りを防ぐため、歯車対の速度比の差を1.5以下としている。
図5は、噛み合い周波数特定手段で特定された各歯車対の噛み合い周波数を示す図である。図4および図5に示すように、制御装置39は、これら各歯車対の噛み合い周波数を表示部41に表示させる制御を行う。噛み合い周波数特定手段45は、例えば、遊星歯車噛み合い周波数GMFpを36.47Hz、平行軸歯車低・中速軸噛み合い周波数GMFlmを203.1Hz、平行軸歯車中・高速軸噛み合い周波数GMFmhを968.2Hzと特定し得る。
具体的な噛み合い周波数特定アルゴリズムの例を以下に示す。
図6は、噛み合い周波数特定手段による噛み合い周波数特定方法を示すフローチャートである。以下の説明において図4も適宜参照しつつ説明する。この実施形態に係る噛み合い周波数特定方法は、高調波領域設定過程(ステップa1)と、調査周波数範囲設定過程(ステップa2)と、最大ピーク振幅等算出過程(ステップa3)と、噛み合い周波数特定過程(ステップa4)とを有する。各過程は、ステップ順に、高調波領域設定手段42、調査周波数範囲設定手段43、最大ピーク振幅等算出手段44、噛み合い周波数特定手段45が制御主体である。
ステップa1:本処理開始後、予想周波数の何倍の高調波まで調査するかが設定される。今回は3倍に設定される。
ステップa2:調査周波数範囲が設定される。調査周波数範囲を以下に示す。
範囲(1)予想周波数±回転周波数の1/2
範囲(2)予想周波数×2±回転周波数の1/2
範囲(3)予想周波数×3±回転周波数の1/2
範囲(1)〜(3)を一組の調査周波数範囲とする。側帯波の影響を防ぐため、歯車の遅い方の回転周波数を用いることが好ましい。
ステップa3:調査周波数範囲(1)〜(3)内のそれぞれで最大ピーク振幅を算出する。このとき範囲(1)と範囲(2)、範囲(2)と範囲(3)の最大ピーク振幅の差が10倍以下である予想周波数を選定する。
ステップa4:ステップa3で選定した予想周波数の中で調査周波数範囲(1)〜(3)内の最大ピーク振幅の合計値が、最大のときの予想周波数をGMFmhとし、二番目に大きいときの予想周波数をGMFlmとし、三番目に大きいときの予想周波数をGMFpとして特定する。その後本処理を終了する。
GMFp、np、Nから遊星歯車装置の歯数(Zr、Zp、Zs)を特定するアルゴリズムの例を以下に示す。図7は、この遊星歯車装置の歯数を特定する過程(遊星歯車歯数特定過程)を示すフローチャートである。この過程の制御主体は遊星歯車歯数特定手段46である。
ステップb1:本処理開始後、回転速度センサSb(図3)から測定したnp(ステップb0)と、特定したGMFpを前記式(1)に代入し、Zr=110.515となり、これを四捨五入してZrを「111」と特定する。
ステップb2:特定したZr=111を用いて、式(3)および式(5)より19<Zp<50となり、歯数Zpの範囲が限定できる。
ステップb3:19<Zp<50において、式(2)を満たす遊星歯車と太陽歯車の歯数の組合せ(Zp、Zs)を算出する。算出した(Zp、Zs)を以下に示す。どちらかの歯数が17以下になる組合せは除外した。
(Zp、Zs)=
(20、71)(21、69)(22、67)(23、65)(24、63)(25、61)(26、59)
(27、57)(28、55)(29、53)(30、51)(31、49)(32、47)(33、45)
(34、43)(35、41)(36、39)(37、37)(38、35)(39、33)(40、31)
(41、29)(42、27)(43、25)(44、23)(45、21)(46、19)
ステップb4:ステップb3の(Zp、Zs)において前記式(4)を満たすものを特定する。特定した(Zp、Zs)を以下に示す。
(Zp、Zs)=
(21、69)(24、63)(27、57)(30、51)(33、45)(36、39)(39、33)
(42、27)(45、21)
ステップb5:ステップb4の組合せで速度比Zr/Zs+1が最大となるものは(Zp、Zs)=(45、21)である。よって、歯数(Zr、Zp、Zs)=(111、45、21)と特定できた。制御装置39は、これら歯数(Zr、Zp、Zs)を表示部41に表示させる制御を行う。
GMFlm、GMFmhから二段平行軸歯車装置の歯数(Zlg、Zmp、Zmg、Zhp)を特定するアルゴリズムの例を以下に示す。図8は、この二段平行軸歯車装置の歯数を特定する過程(二段平行軸歯車歯数特定過程)を示すフローチャートである。この過程の制御主体は二段平行軸歯車歯数特定手段47である。
本処理開始後、測定された主軸回転速度np(ステップc0)、IおよびIpから、高速軸回転速度np×I、低速軸回転速度np×Ipを算出する(ステップc1)。
算出した高速軸回転速度np×I、低速軸回転速度np×Ipと、特定したGMFmh、GMFlmを前記式(6)、式(7)に代入し、Zhp=31.866、Zlg=97.913となる。これらを四捨五入して(Zhp、Zlg)=(32、98)と特定できる(ステップc2)。
ステップc2で得られた値を前記式(8)に代入し、歯数比Zmg/Zmpを算出する。Zmpの範囲は切り下げ防止条件とZlgより、17<Zmp<98となる(ステップc3)。この範囲内の整数Zmpから上記歯数比Zmg/Zmpを用いてZmgを算出する(ステップc4)。このとき、増速比および回転周波数の測定精度によりZmgは整数にならない場合が多い。
ステップc4で得られた(Zmg、Zmp)の中で、速度比Zlg/Zmp、Zmg/Zhpの差が1.5以下となり、Zmgが最も整数に近いものを特定すると、(Zmg、Zmp)=(109.981、23)となる。よって、四捨五入すると(Zmg、Zmp)=(110、23)と特定できた(ステップc5)。
これらアルゴリズムで特定した噛み合い周波数および歯数が、増速機内部の歯車の設計諸元が既知である増速機の各値と一致するかを確認する試験を行った。
この試験において、特定する各歯車対の噛み合い周波数に対応するセンサは、以下の通りである。
・遊星歯車噛み合い周波数:増速機入力軸受用加速度センサSc(図2)および増速機遊星軸受用加速度センサSd(図2)
・平行軸歯車低・中速軸噛み合い周波数:増速機低速軸受用加速度センサSe(図2)および増速機中速軸受用加速度センサSf(図2)
・平行軸歯車中・高速軸噛み合い周波数:増速機中速軸受用加速度センサSf(図2)および増速機高速軸受用加速度センサSg(図2)
同試験において、これら複数の加速度センサSc〜Sgで10秒間の振動を測定した。前提条件のN、np、I、特定するGMFp、GMFlm、GMFmh、Zr、Zp、Zs、Zlg、Zmp、Zmg、Zhpを以下に記載する。npとGMFp、GMFlm、GMFmhの単位はHzである。
Figure 0006644609
よって、本実施形態のアルゴリズムで特定した噛み合い周波数および歯数が、上記で示した値と一致することを確認した。この試験において、定格運転時の各センサにおける測定データの周波数領域を図9に示す。同図9において無数のピークが確認できるものの、どのピークが噛み合い周波数であるか不明である。
この状態監視システムStmによれば、噛み合い周波数特定手段45では、選定された予想周波数の中で、複数設定された予想周波数の範囲内で算出された最大ピーク振幅の定められた時間内の合計値がk(kは自然数)番目に大きいものの予想周波数をk番目に歯面速度が大きい歯車対の噛み合い周波数として特定する。噛み合い周波数特定手段45は、正常な歯車対の噛み合い振動が、歯面速度が大きい程大きくなる現象を利用している。したがって、歯車の異常診断に有用な各歯車対の噛み合い周波数を特定することができる。制御装置39は、特定された噛み合い周波数から高調波成分の増減および側波帯のいずれか一方または両方の出現を監視することで、歯車の異常形態または歯面の摩耗量を算出するなどの精密な状態監視をすることができる。
この状態監視システムStmによれば、測定データから遊星歯車装置15を構成する内歯車22、遊星歯車21、太陽歯車20の各歯数を特定することができる。また二段平行軸歯車装置16を構成する低速軸大歯車29、中速軸小歯車30、中速軸大歯車31、高速軸小歯車32の歯数を特定することができる。よって、歯車の異常診断に有用な周波数を算出でき、常態監視システムStmの診断精度を向上することができる。
状態監視システムStmは、例えば、大規模プラント等に用いられる増速機および減速機のいずれか一方または両方の状態を監視するものであっても良い。
各センサとして、加速度センサが適用されているが、加速度センサだけに限定されるものではない。各センサとして、例えば、速度センサ、変位センサ、超音波センサ、音響センサなどを適用しても良い。
以上、実施形態に基づいてこの発明を実施するための形態を説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。この発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
7…増速機
39…制御装置(監視手段)
40…噛み合い周波数特定装置
42…高周波領域設定手段
43…調査周波数範囲設定手段
44…最大ピーク振幅等算出手段
45…噛み合い周波数特定手段
Sa…加速度センサ
Stm…状態監視システム

Claims (4)

  1. 複数の歯車対を有する増速機および減速機のいずれか一方または両方における、前記複数の歯車対の噛み合い周波数をそれぞれ特定する噛み合い周波数特定装置であって、
    前記各歯車対から発生する噛み合い振動をそれぞれ検出するセンサと、
    前記噛み合い周波数の予想周波数に対し、何倍までの高調波領域を調査するかが設定された高調波領域設定手段と、
    前記噛み合い周波数を調査する予想周波数の範囲が複数設定された調査周波数範囲設定手段と、
    この調査周波数範囲設定手段で設定された予想周波数の範囲で且つ前記高調波領域設定手段で設定された高調波領域にて、前記センサで検出される噛み合い振動から最大ピーク振幅を算出すると共に、前記複数設定された予想周波数の範囲同士で前記最大ピーク振幅の差が定められた倍数以下である予想周波数を選定する最大ピーク振幅等算出手段と、
    この最大ピーク振幅等算出手段で選定された予想周波数の中で、複数設定された予想周波数の範囲内で算出された最大ピーク振幅の定められた時間内の合計値がk(kは自然数)番目に大きいものの予想周波数をk番目に歯面速度が大きい歯車対の噛み合い周波数として特定する噛み合い周波数特定手段と、を備えたことを特徴とする歯車対の噛み合い周波数特定装置。
  2. 請求項1に記載の歯車対の噛み合い周波数特定装置において、前記高調波領域決定手段は、前記噛み合い周波数の予想周波数に対し、3倍までの高調波領域を調査するかが設定された歯車対の噛み合い周波数特定装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の歯車対の噛み合い周波数特定装置を備え、特定された噛み合い周波数から高調波成分の増減および側波帯のいずれか一方または両方の出現を監視する監視手段を有する状態監視システム。
  4. 複数の歯車対を有する増速機および減速機のいずれか一方または両方における、前記複数の歯車対の噛み合い周波数をそれぞれ特定する噛み合い周波数特定方法であって、
    前記各歯車対から発生する噛み合い振動をそれぞれ検出するセンサを用い、
    前記噛み合い周波数の予想周波数に対し、何倍までの高調波領域を調査するかを設定する高調波領域設定過程と、
    前記噛み合い周波数を調査する予想周波数の範囲を複数設定する調査周波数範囲設定過程と、
    この調査周波数範囲設定過程で設定された予想周波数の範囲で且つ前記高調波領域設定過程で設定された高調波領域にて、前記センサで検出される噛み合い振動から最大ピーク振幅を算出すると共に、前記複数設定された予想周波数の範囲同士で前記最大ピーク振幅の差が定められた倍数以下である予想周波数を選定する最大ピーク振幅等算出過程と、
    この最大ピーク振幅等算出過程で選定された予想周波数の中で、複数設定された予想周波数の範囲内で算出された最大ピーク振幅の定められた時間内の合計値がk(kは自然数)番目に大きいものの予想周波数をk番目に歯面速度が大きい歯車対の噛み合い周波数として特定する噛み合い周波数特定過程と、を含むことを特徴とする歯車対の噛み合い周波数特定方法。
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