JP2017181282A - 歯車対の噛み合い周波数特定装置および噛み合い周波数特定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】噛み合い周波数特定装置40は、予想周波数の範囲で且つ設定された高調波領域にて、検出される噛み合い振動から最大ピーク振幅を算出すると共に、複数設定された予想周波数の範囲同士で最大ピーク振幅の差が定められた倍数以下である予想周波数を選定する最大ピーク振幅等算出手段44を備える。選定された予想周波数の中で、複数設定された予想周波数の範囲内で算出された最大ピーク振幅の定められた時間内の合計値がk(kは自然数)番目に大きいものの予想周波数をk番目に歯面速度が大きい歯車対の噛み合い周波数として特定する噛み合い周波数特定手段45を備えた。
【選択図】図4
Description
特に、回転機械の状態監視システムでは、回転部品である軸受、歯車の設計諸元から、回転周波数および回転部品の異常に起因する振動の周波数を特定し、監視することで、部品別の異常を診断する。
前記各歯車対から発生する噛み合い振動をそれぞれ検出するセンサSaと、
前記噛み合い周波数の予想周波数に対し、何倍までの高調波領域を調査するかが設定された高調波領域設定手段42と、
前記噛み合い周波数を調査する予想周波数の範囲が複数設定された調査周波数範囲設定手段43と、
この調査周波数範囲設定手段43で設定された予想周波数の範囲で且つ前記高調波領域設定手段で設定された高調波領域にて、前記センサSaで検出される噛み合い振動から最大ピーク振幅を算出すると共に、前記複数設定された予想周波数の範囲同士で前記最大ピーク振幅の差が定められた倍数以下である予想周波数を選定する最大ピーク振幅等算出手段44と、
この最大ピーク振幅等算出手段44で選定された予想周波数の中で、複数設定された予想周波数の範囲内で算出された最大ピーク振幅の定められた時間内の合計値がk(kは自然数)番目に大きいものの予想周波数をk番目に歯面速度が大きい歯車対の噛み合い周波数として特定する噛み合い周波数特定手段45と、を備えたことを特徴とする。
前記定められた倍数、前記定められた時間は、それぞれ設計等によって任意に定める倍数、時間であって、例えば、試験およびシミュレーションのいずれか一方または両方により適切な倍数、時間を求めて定められる(後述する歯車対の噛み合い周波数特定方法においても同じ)。
前記各歯車対から発生する噛み合い振動をそれぞれ検出するセンサSaを用い、
前記噛み合い周波数の予想周波数に対し、何倍までの高調波領域を調査するかを設定する高調波領域設定過程と、
前記噛み合い周波数を調査する予想周波数の範囲を複数設定する調査周波数範囲設定過程と、
この調査周波数範囲設定過程で設定された予想周波数の範囲で且つ前記高調波領域設定過程で設定された高調波領域にて、前記センサSaで検出される噛み合い振動から最大ピーク振幅を算出すると共に、前記複数設定された予想周波数の範囲同士で前記最大ピーク振幅の差が定められた倍数以下である予想周波数を選定する最大ピーク振幅等算出過程と、
この最大ピーク振幅等算出過程で選定された予想周波数の中で、複数設定された予想周波数の範囲内で算出された最大ピーク振幅の定められた時間内の合計値がk(kは自然数)番目に大きいものの予想周波数をk番目に歯面速度が大きい歯車対の噛み合い周波数として特定する噛み合い周波数特定過程と、を含むたことを特徴とする。
図1に示すように、この状態監視システムStmは、風力発電装置(「風車」とも言う)1の増速機の状態を監視するシステムであって、モニタ装置2と、データサーバ3と、監視用端末4とを備える。モニタ装置2は、複数のセンサSa,Sb(図3)を有し、これらセンサSa,Sb(図3)の検出値から必要な測定データを算出しデータサーバ3へ送信する機能を有する。データサーバ3と監視用端末4とは、例えば、社内LAN(LAN:Local Area Network)等によって接続される。後述する監視用端末4は、データサーバ3が受信した測定データを出力させる。また監視用端末4は、同測定データの詳細な解析、モニタ装置2の設定変更、風力発電装置1の各機器の状態を表示させる。
図2に示すように、風力発電装置1は、主軸5と、ブレード6と、増速機7と、発電機8と、主軸受9とを備える。この風力発電装置1は、複数のセンサSa,Sb(図3)と、モニタ装置2とを備える。増速機7、発電機8、主軸受9、複数のセンサSa,Sb(図3)およびモニタ装置2は、ナセル10に格納され、ナセル10はタワー11に支持されている。
この状態監視システムStmは、増速機7(図2)の歯数を特定する歯数特定装置38を有する。この歯数特定装置38は、モニタ装置2と、データサーバ3と、監視用端末4における制御装置39とを有する。歯数特定装置38は噛み合い周波数特定装置40を含む。この噛み合い周波数特定装置40は、複数(この例では三つ)の歯車対の噛み合い周波数をそれぞれ特定する。なお以下の説明は、増速機7(図2)の歯数を特定する歯数特定方法、歯車対の噛み合い周波数を特定する噛み合い周波数特定方法についての説明も含む。
範囲(1)予想周波数±回転周波数の1/2
範囲(2)予想周波数×2±回転周波数の1/2
範囲(3)予想周波数×3±回転周波数の1/2
範囲(1)〜(3)を一組の調査周波数範囲とする。側帯波の影響を防ぐため、歯車の遅い方の回転周波数を用いることが好ましい。
最大ピーク振幅等算出手段44は、範囲(1)〜(3)内それぞれで前記最大ピーク振幅を算出すると共に、複数設定された予想周波数の範囲同士で最大ピーク振幅の差が定められた倍数以下である予想周波数を選定する。
Zr=GMFp/np …式(1)
・同軸条件:内歯車22、遊星歯車21、太陽歯車20の軸心が全て同軸上にあるための条件
Zr=Zs+2Zp …式(2)
・隣接条件:遊星歯車同士がぶつかって干渉しないための条件
Zp+2<(Zr−Zp)sin(180°/N) …式(3)
・組立条件:遊星歯車21を等配位置に配置するための条件
整数=(Zr+Zs)/N …式(4)
・干渉防止:遊星歯車21の歯元と内歯車22の歯先が干渉しないための条件
Zp>19 …式(5)
平行軸歯車中・高速軸噛み合い周波数をGMFmh、平行軸歯車低・中速軸噛み合い周波数をGMFlm、低速軸大歯車29の歯数をZlg、中速軸小歯車30の歯数をZmp、中速軸大歯車31の歯数をZmg、高速軸小歯車32の歯数をZhp、とする。また、既知である全体増速比をIとし、遊星歯車歯数特定手段46での遊星歯車増速比Zr/Zs+1をIpとする。
Zhp=GMFmh/(np×I) …式(6)
・平行軸歯車低・中速軸噛み合い周波数を用いた低速軸大歯車29の歯数算出式
Zlg=GMFlm/(np×Ip) …式(7)
・中速軸小歯車・大歯車の歯数比の算出式
Zmg/Zmp=(I/Ip)×(Zhp/Zlg) …式(8)
図6は、噛み合い周波数特定手段による噛み合い周波数特定方法を示すフローチャートである。以下の説明において図4も適宜参照しつつ説明する。この実施形態に係る噛み合い周波数特定方法は、高調波領域設定過程(ステップa1)と、調査周波数範囲設定過程(ステップa2)と、最大ピーク振幅等算出過程(ステップa3)と、噛み合い周波数特定過程(ステップa4)とを有する。各過程は、ステップ順に、高調波領域設定手段42、調査周波数範囲設定手段43、最大ピーク振幅等算出手段44、噛み合い周波数特定手段45が制御主体である。
ステップa2:調査周波数範囲が設定される。調査周波数範囲を以下に示す。
範囲(1)予想周波数±回転周波数の1/2
範囲(2)予想周波数×2±回転周波数の1/2
範囲(3)予想周波数×3±回転周波数の1/2
範囲(1)〜(3)を一組の調査周波数範囲とする。側帯波の影響を防ぐため、歯車の遅い方の回転周波数を用いることが好ましい。
ステップa4:ステップa3で選定した予想周波数の中で調査周波数範囲(1)〜(3)内の最大ピーク振幅の合計値が、最大のときの予想周波数をGMFmhとし、二番目に大きいときの予想周波数をGMFlmとし、三番目に大きいときの予想周波数をGMFpとして特定する。その後本処理を終了する。
ステップb1:本処理開始後、回転速度センサSb(図3)から測定したnp(ステップb0)と、特定したGMFpを前記式(1)に代入し、Zr=110.515となり、これを四捨五入してZrを「111」と特定する。
ステップb3:19<Zp<50において、式(2)を満たす遊星歯車と太陽歯車の歯数の組合せ(Zp、Zs)を算出する。算出した(Zp、Zs)を以下に示す。どちらかの歯数が17以下になる組合せは除外した。
(20、71)(21、69)(22、67)(23、65)(24、63)(25、61)(26、59)
(27、57)(28、55)(29、53)(30、51)(31、49)(32、47)(33、45)
(34、43)(35、41)(36、39)(37、37)(38、35)(39、33)(40、31)
(41、29)(42、27)(43、25)(44、23)(45、21)(46、19)
(Zp、Zs)=
(21、69)(24、63)(27、57)(30、51)(33、45)(36、39)(39、33)
(42、27)(45、21)
ステップb5:ステップb4の組合せで速度比Zr/Zs+1が最大となるものは(Zp、Zs)=(45、21)である。よって、歯数(Zr、Zp、Zs)=(111、45、21)と特定できた。制御装置39は、これら歯数(Zr、Zp、Zs)を表示部41に表示させる制御を行う。
本処理開始後、測定された主軸回転速度np(ステップc0)、IおよびIpから、高速軸回転速度np×I、低速軸回転速度np×Ipを算出する(ステップc1)。
ステップc2で得られた値を前記式(8)に代入し、歯数比Zmg/Zmpを算出する。Zmpの範囲は切り下げ防止条件とZlgより、17<Zmp<98となる(ステップc3)。この範囲内の整数Zmpから上記歯数比Zmg/Zmpを用いてZmgを算出する(ステップc4)。このとき、増速比および回転周波数の測定精度によりZmgは整数にならない場合が多い。
これらアルゴリズムで特定した噛み合い周波数および歯数が、増速機内部の歯車の設計諸元が既知である増速機の各値と一致するかを確認する試験を行った。
・遊星歯車噛み合い周波数:増速機入力軸受用加速度センサSc(図2)および増速機遊星軸受用加速度センサSd(図2)
・平行軸歯車低・中速軸噛み合い周波数:増速機低速軸受用加速度センサSe(図2)および増速機中速軸受用加速度センサSf(図2)
・平行軸歯車中・高速軸噛み合い周波数:増速機中速軸受用加速度センサSf(図2)および増速機高速軸受用加速度センサSg(図2)
各センサとして、加速度センサが適用されているが、加速度センサだけに限定されるものではない。各センサとして、例えば、速度センサ、変位センサ、超音波センサ、音響センサなどを適用しても良い。
39…制御装置(監視手段)
40…噛み合い周波数特定装置
42…高周波領域設定手段
43…調査周波数範囲設定手段
44…最大ピーク振幅等算出手段
45…噛み合い周波数特定手段
Sa…加速度センサ
Stm…状態監視システム
Claims (4)
- 複数の歯車対を有する増速機および減速機のいずれか一方または両方における、前記複数の歯車対の噛み合い周波数をそれぞれ特定する噛み合い周波数特定装置であって、
前記各歯車対から発生する噛み合い振動をそれぞれ検出するセンサと、
前記噛み合い周波数の予想周波数に対し、何倍までの高調波領域を調査するかが設定された高調波領域設定手段と、
前記噛み合い周波数を調査する予想周波数の範囲が複数設定された調査周波数範囲設定手段と、
この調査周波数範囲設定手段で設定された予想周波数の範囲で且つ前記高調波領域設定手段で設定された高調波領域にて、前記センサで検出される噛み合い振動から最大ピーク振幅を算出すると共に、前記複数設定された予想周波数の範囲同士で前記最大ピーク振幅の差が定められた倍数以下である予想周波数を選定する最大ピーク振幅等算出手段と、
この最大ピーク振幅等算出手段で選定された予想周波数の中で、複数設定された予想周波数の範囲内で算出された最大ピーク振幅の定められた時間内の合計値がk(kは自然数)番目に大きいものの予想周波数をk番目に歯面速度が大きい歯車対の噛み合い周波数として特定する噛み合い周波数特定手段と、を備えたことを特徴とする歯車対の噛み合い周波数特定装置。 - 請求項1に記載の歯車対の噛み合い周波数特定装置において、前記高調波領域決定手段は、前記噛み合い周波数の予想周波数に対し、3倍までの高調波領域を調査するかが設定された歯車対の噛み合い周波数特定装置。
- 請求項1または請求項2に記載の歯車対の噛み合い周波数特定装置を備え、特定された噛み合い周波数から高調波成分の増減および側波帯のいずれか一方または両方の出現を監視する監視手段を有する状態監視システム。
- 複数の歯車対を有する増速機および減速機のいずれか一方または両方における、前記複数の歯車対の噛み合い周波数をそれぞれ特定する噛み合い周波数特定方法であって、
前記各歯車対から発生する噛み合い振動をそれぞれ検出するセンサを用い、
前記噛み合い周波数の予想周波数に対し、何倍までの高調波領域を調査するかを設定する高調波領域設定過程と、
前記噛み合い周波数を調査する予想周波数の範囲を複数設定する調査周波数範囲設定過程と、
この調査周波数範囲設定過程で設定された予想周波数の範囲で且つ前記高調波領域設定過程で設定された高調波領域にて、前記センサで検出される噛み合い振動から最大ピーク振幅を算出すると共に、前記複数設定された予想周波数の範囲同士で前記最大ピーク振幅の差が定められた倍数以下である予想周波数を選定する最大ピーク振幅等算出過程と、
この最大ピーク振幅等算出過程で選定された予想周波数の中で、複数設定された予想周波数の範囲内で算出された最大ピーク振幅の定められた時間内の合計値がk(kは自然数)番目に大きいものの予想周波数をk番目に歯面速度が大きい歯車対の噛み合い周波数として特定する噛み合い周波数特定過程と、を含むことを特徴とする歯車対の噛み合い周波数特定方法。
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