JP3092453B2 - 遊星歯車機構の診断方法 - Google Patents

遊星歯車機構の診断方法

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JP3092453B2
JP3092453B2 JP06175274A JP17527494A JP3092453B2 JP 3092453 B2 JP3092453 B2 JP 3092453B2 JP 06175274 A JP06175274 A JP 06175274A JP 17527494 A JP17527494 A JP 17527494A JP 3092453 B2 JP3092453 B2 JP 3092453B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、遊星歯車機構の損傷の
種類,部位及び程度を診断する遊星歯車機構の診断方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の診断方法に関するものとして
は、特開昭56−168518号公報及び特開昭56−
168519号公報に開示されている「太陽歯車の損傷
検知方法」がある。この検知方法は、稼働中のプラネタ
リ型遊星歯車機構の太陽歯車に発生した損傷を、かみ合
い音または振動を利用して検知する方法である。即ち、
遊星歯車の任意の公転角度に発生するかみ合い音または
振動を、遊星歯車の公転に同期した一定の間隔毎に検出
すると共に、検出した2種類の時系列信号からそれぞれ
所要個数の信号の相加平均を求め、相加平均から得た2
つの信号の成分比から、稼働中の遊星歯車機構の太陽歯
車に発生した損傷を検知する方法である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の診断方法は、遊
星歯車の或公転角度に発生するかみ合い振動を公転に同
期した一定の間隔毎に検出して太陽歯車に発生した損傷
を検出しているため、損傷検出の範囲が狭く損傷範囲が
限定され、従って多数の部品により構成されるような装
置の損傷検出には多大な労力がかかるため、実機への適
用には不向きであるという問題があった。即ち、一般に
遊星歯車機構は構成部品が多く複雑であり、その損傷部
位も多岐に亘っているため、従来例のような損傷検出範
囲が狭い診断方法を適用しても損傷の種類や部位を的確
に特定することはできない。また、従来の診断方法で
は、遊星歯車機構の振動に関する知識が必要であり、従
って熟練者以外には損傷の種類や部位を判定できないと
いう問題もあった。さらに、かみ合い振動を検出する振
動用信号検出器の他に公転に同期した信号を検出するた
めの回転検出器が必要であり、診断装置がコストアップ
になるという問題があった。
【0004】したがって本発明は、遊星歯車機構の損傷
の種類,部位及び程度を診断する場合に、損傷検出の範
囲を広く、かつ熟練者以外でも損傷の種類,部位及び程
度を判定可能とすると共に、診断装置を経済的に構成で
きる診断方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために本発明は、太陽歯車の歯数をZS、遊星歯車の
歯数をZP、内歯車の歯数をZR、及び太陽歯車の回転
周波数をfrsとしたとき遊星歯車の自転周波数frp
を、frp=frs・ZS・ZR/(ZS+ZR)ZP
により算出する演算ステップと、遊星歯車の公転周波数
froを、fro=frs・ZS/(ZS+ZR)によ
り算出する演算ステップと、太陽歯車の一点が1個の遊
星歯車と接触する基本周波数fisを、fis=frs
(ZS+2ZP)/2(ZS+ZP)により算出する演
算ステップと、遊星歯車の一点が太陽歯車または内歯車
と接触する基本周波数fbpを、fbp=frs・ZS
(ZS+2ZP)/ZP(ZS+ZP)により算出する
演算ステップと、内歯車の一点が一個の遊星歯車と接触
する基本周波数foを、fo=frs・ZS/(ZS+
ZR)により算出する演算ステップと、太陽歯車と遊星
歯車との噛み合い周波数fgm、または遊星歯車と内歯
車の噛み合い周波数fgmを、fgm=ZS・froに
より算出する演算ステップと、前記各演算ステップによ
り算出された各特定周波数及びこれら各特定周波数の高
次周波数をそれぞれ初期値として記憶する記憶ステップ
と、遊星歯車機構の近傍に設けられた振動検出部により
この遊星歯車機構の各部の回転動作に基づき発生する特
定周波数及び高次周波数を検出する検出ステップと、検
出ステップにより検出された特定周波数及び高次周波数
をそれぞれ前記初期値の相対値として算出するステップ
と、遊星歯車機構の損傷の種類及び部位と特定周波数と
を診断ルールに基づき関連づけて自動診断するととも
、診断ルールに基づき相対値が基準値を超えていると
判断される場合該当の特定周波数から対応する損傷の
種類,部位及び程度を特定するステップと、特定された
損傷の種類及び部位の名称を表示するステップとを有す
ようにした診断処理方法である。
【0006】
【作用】従って、遊星歯車機構の損傷の種類及び部位を
診断する場合、各損傷の種類及び部位を的確に診断で
き、また回転検出器が不要となることから、診断装置を
経済的に構成できる。また、損傷の種類及び部位が表示
されることから、熟練者以外でも損傷の種類,部位及び
程度を容易に判定することができる。
【0007】
【実施例】以下、本発明について図面を参照して説明す
る。図1は遊星減速機の断面を模式的に示す図であり、
2段の遊星減速機構により構成される例を示している。
同図において、1段目の遊星減速機構は、入力軸11、
入力軸11に固定される太陽歯車12、太陽歯車12と
噛み合って太陽歯車12の周囲を公転する複数の遊星歯
車13、装置に固定され遊星歯車13と噛み合う内歯車
14、遊星歯車13の公転を出力軸15に伝達するスパ
イダー16から構成される。
【0008】また、2段目の遊星歯車機構も同様に、入
力軸21、入力軸21に固定される太陽歯車22、太陽
歯車22と噛み合って太陽歯車22の周囲を公転する複
数の遊星歯車23、装置に固定され遊星歯車23と噛み
合う内歯車24、遊星歯車23の公転を出力軸25に伝
達するスパイダー26から構成される。そして1段目の
出力軸15の回転は、カップリング機構20により2段
目の入力軸21へ伝達される。なお、1段目及び2段目
の各遊星歯車機構部の各歯車は、図示省略したころがり
軸受またはすべり軸受により支持されている。
【0009】次に図2は、この遊星減速機の原理を模式
的に示す図である。図2を用いこの遊星減速機の減速動
作の原理を説明する。図2において、1段目の入力軸1
1が回転すると、これに固定接続される太陽歯車12も
これと同方向、即ち、図中時計方向に回転するものとす
る。すると、太陽歯車12及び内歯車14とそれぞれ噛
み合う各遊星歯車13A〜13Cは、各々反時計方向に
回転すると共に、内歯車14が装置に固定されているこ
とから図中点線の矢印で示す方向に回転する。即ち、遊
星歯車は自転しながら太陽歯車12の周りを公転する。
【0010】この遊星歯車13の公転回転数は、太陽歯
車12の回転数に対して減速され、この減速された公転
運動はスパイダー16を介して出力軸15へ伝達され
る。そして、カップリング機構部20を介して2段目の
遊星機構部の入力軸21へ伝達され、2段目の遊星機構
部により同様にさらに減速されて、減速された回転出力
が出力軸25から得られるものとなっている。
【0011】このような遊星減速機は、他の回転機械に
比べてその構成が非常に複雑なものである。従って異常
が発生した場合は、装置の運転を停止して装置の各部を
取り外し異常箇所を調査しなければならないことから、
運転中に異常箇所の診断が可能な診断システムの開発が
要望されている。そこで本発明は、遊星減速機の運転中
には遊星減速機の各部が設備諸元に対応して機構及び運
動学的に定まる固有の振動を発生することに着目して、
遊星減速機の近傍に後述する振動検出部を配設し、得ら
れた振動信号から特定周波数スペクトルと呼称される各
部の各固有振動数スペクトルを解析して遊星減速機の損
傷の種類,部位及び程度を診断できるようにする。
【0012】次に、上記遊星減速機1段目の各部位に発
生する各特定周波数は、以下の式(1)〜(8)で求め
ることができる即ち、上記遊星減速機の入力軸11の回
転数をn(rpm) とすると、入力軸11の回転周波数(特
定周波数)friは、式(1)のように表すことができ
る。 fri=n/60[Hz] (1) また、太陽歯車12の歯数をZS、遊星歯車13の歯数
をZP、内歯車14の歯数をZR、及び、太陽歯車12
の回転周波数(一段太陽歯車12;1段目の場合は入力
軸11の回転数と同様)をfrsとすると、遊星歯車1
3の自転周波数(特定周波数)frpは、式(2)で表
せる。 frp=frs・ZS・ZR/(ZS+ZR)ZP[Hz] (2)
【0013】また、遊星歯車13の公転周波数(特定周
波数)froは、式(3)で表わすことができる。 fro=frs・ZS/(ZS+ZR)[Hz] (3) また、太陽歯車12の一点が1個の遊星歯車13と接触
する基本周波数(特定周波数)fisは、式(4)で表
わすことができる。 fis=frs(ZS+2ZP)/2(ZS+ZP)[Hz] (4) また、遊星歯車13の一点が太陽歯車12または内歯車
14と接触する基本周波数(特定周波数)fbpは、式
(5)で表わすことができる。 fbp=frs・ZS(ZS+2ZP)/ZP(ZS+ZP)[Hz] (5)
【0014】また、内歯車14の一点が一個の遊星歯車
13と接触する基本周波数(特定周波数)foは、式
(6)で表わすことができる。 fo=frs・ZS/(ZS+ZR)[Hz] (6) さらに、太陽歯車12と遊星歯車13との噛み合い周波
数(特定周波数)、または遊星歯車13と内歯車14の
噛み合い周波数(特定周波数)fgmは、式(7)で表
わすことができる。 fgm=ZS・fis[Hz] (7) なお、2段目の入力軸21の回転周波数fri(2段
目)は、遊星歯車13の公転周波数froと等しく、従
って式(8)のように表せ、2段目以降の各段毎の各特
定周波数は式(2)〜(8)により同様の計算で求める
ことができる。 fri(2段目)=fro[Hz] (8)
【0015】本発明では、このような各演算式で演算さ
れる各特定周波数のスペクトルを、遊星減速機の保全状
態が良好時に対応するものとして振動検出部より検出し
て特定周波数の初期値とすると共に、この初期値と振動
検出部により次回以降に検出される特定周波数スペクト
ルの検出信号とを比較し、その大小の程度により遊星減
速機の各損傷の種類及び部位を特定できるようにする。
次に図3は、本発明の診断方法を適用した異常診断シス
テムの系統図である。同図において、51は設備諸元入
力部、52は分析条件設定部、53は分析条件記憶部、
54は振動検出部、55は増幅器、56は信号処理部、
57はA/D変換器である。また、58はデジタル周波
数分析部、59は時系列データ演算部、60は時系列特
徴マトリクス記憶部、61は時系列異常徴候マトリクス
形成部、62は異常徴候マトリクス記憶部、64は初期
値スペクトル記憶部、65は制御部、66は診断判定ル
ール設定部、67は診断判定ルール記憶部である。
【0016】ここで、設備諸元入力部51は、診断の対
象となる遊星減速機の各歯車の歯数等の回転要素や軸受
の仕様等で示される設備諸元を入力する。分析条件設定
部52は、振動,回転数等の検出信号の種類と検出位
置,信号処理の種類,分析周波数帯域,遊星減速機の各
種の異常に対応する周波数等の信号分析を自動的に実施
するための条件及び方法を規定するデータを設定し、分
析条件記憶部53でこれらのデータを記憶する。
【0017】また、振動検出部54は、上述したように
遊星減速機の各部から発生する振動を検出する。そし
て、増幅器55でこれを増幅したうえ、信号処理部56
でフィルタリング等の信号処理を行い、さらにA/D変
換器57でデジタルに変換してデジタル周波数分析部5
8に与える。デジタル周波数分析部58では周波数分析
を行い、得られた特定周波数及びその高次周波数からな
る周波数スペクトルを時系列データ演算部59に与え
る。一方、初期値スペクトル記憶部64には、遊星減速
機の保全状態が良好時の特定周波数及び高次周波数の周
波数スペクトルがベースラインデータの初期値として予
め記憶されており、このデータは、時系列データ演算部
59に与えられる。時系列データ演算部59では遊星減
速機の各種異常に対応する時系列的特徴量を演算し、こ
れを時系列特徴マトリクス記憶部60に記憶させる。
【0018】表1はこのような時系列マトリクスの構造
の一例を示すもので、上述した特定周波数及び高次周波
数に該当する時系列の各データを示し、表1中、S0(i)
は初期値スペクトル、R(i,1) ,R(i,2) は後述する時
系列的相対スペクトル比である。
【0019】
【表1】
【0020】ところで、時系列異常徴候形成部61は、
分析条件記憶部53に記憶される後述の基準値群を用い
て異常徴候が一定水準以上に進展したデータのみを抽出
し、その抽出データに異常の種類,部位と異常に対応す
る特定周波数スペクトルとの相互関連情報を付加して異
常徴候マトリクスを形成する。そして形成された異常徴
候マトリクスは異常徴候マトリクス記憶部62に記憶さ
れる。診断判定部63は、異常徴候マトリクスに対し、
診断判定ルール設定部66により設定され診断判定ルー
ル記憶部67に記憶されている診断判定ルールを適用
し、異常の種類,部位及び異常の程度や残存寿命等を診
断判定し表示出力する。なお、制御部65は上述した一
連の診断プロセスを自動的に実行制御する機能を有して
いる。
【0021】次に、以上のように構成された本診断シス
テムの基本的な診断方法について上表を用いて説明す
る。時系列データ演算部59は、図4(a)に示す初期
値スペクトルS0(i)と、デジタル周波数分析部58で得
られた図4(b)に示す時系列スペクトルS(i,j)とか
ら、時系列的相対スペクトル比R(i,j) =S(i,j) /S
0(i)となる異常に対応するスペクトル成分や、スペクト
ルの特徴を表現する指標についての時系列的相対値等の
時系列的特徴量を演算し、時系列特徴マトリクスを形成
する。一方分析条件記憶部53には、この遊星減速機の
異常に対応する振動の特定周波数や異常の進展の程度を
判定する基準値L(i) が、各減速機毎、振動測定点毎、
振動の信号処理条件毎、及び、異常の種類毎に設定され
ている。
【0022】時系列異常徴候マトリクス形成部61は、
ここでR(i,j) >L(i) なる関係に基づいて異常の徴候
が進展したか否かを判定し、一定の水準以上に異常徴候
が進展したデータに対し、異常の種類、部位と異常に対
応する特定周波数スペクトルとの相互関連情報を付加し
て表2及び表3に示すような異常徴候マトリクスを形成
する。
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】ここで、上記の各表において、kはデータ
区分に付した一連の番号であり、データ区分は一定の水
準以上に異常が進展した特定周波数スペクトルを表す指
標、または一定水準以上に増加した異常の進展を示す指
標である。また、診断属性はデータ区分に対応する機械
要素や振動測定点との関係を示す指標であり、診断変数
Lは異常の診断判定を行う際に必要となる診断情報の種
類を示す指標である。また、適用診断ルールはデータ区
分に関係する全ての異常の種類を表し、時系列相対スペ
クトル比R(R)はデータ区分に関係する時系列相対ス
ペクトル比または異常の進展を示す指標の初期値に対す
る相対比である。
【0026】以上のように異常徴候マトリクスが形成さ
れると、診断判定部63は、異常の種類、部位を診断判
定する場合、診断変数LとしてR(R)を用い、診断判
定ルールで必要とされる全ての変数Vに下記のような値
を設定する。 ただし、V(N)=S(N=L) V(N)=M(N=L) V(N)=W(N≠L) ここで、上記各式においてはS>M>Wの関係を有する
ものとする。即ち、Sは当該診断データに関する異常進
展の程度が大のもの、Mは異常進展程度が中のもの、W
は異常進展程度が小のものを示す。
【0027】このように構成することにより、異常の種
類を診断する診断ルールは表2及び表3から、 IF(A01) :[(V(1) ≧M)AND(V(2) ≧M)AND (V(3) ≧M)AND(V(4) ≧M)AND (V(5) ≧M)AND(V(6) ≧M)] のとき、異常タイプA01 ELSE(A02) :[(V(1) ≧M)AND(V(2) ≧M)AND (V(24) ≧M)AND(V(25) ≧M)] のとき、異常タイプA02 ELSE(A03) :[(V(2) ≧M)AND(V(4) ≧M)AND (V(6) ≧M)] のとき、異常タイプA03
【0028】 ELSE(A04) :[(V(2) ≧M)AND(V(4) ≧M)] のとき、異常タイプA04 ELSE(A05) :[(V(4) ≧M)] のとき、異常タイプA05 ELSE(A06) :[(V(2) ≧M)] のとき、異常タイプA06 ELSE(B01) :[(V(20) ≧M)OR(V(21) ≧M)OR (V(23) ≧M)] のとき、異常タイプB01 と表すことができ、従って単純な構造のものとすること
が可能になるため、単純な処理により診断判定が可能に
なる。
【0029】以下に示す表4〜表7は、上述の異常診断
システムにより遊星歯車機構の損傷を診断した場合に、
診断可能な遊星歯車機構の代表損傷名称及び各損傷部位
・その損傷名称を示すものである。
【0030】
【表4】
【0031】
【表5】
【0032】即ち例えば、遊星歯車の片歯面の損傷の場
合は、この損傷部位を有する遊星歯車が、太陽歯車また
は内歯車の何れかに噛み合った時には式(9)に示す振
動周波数を発生する。従ってこの場合は、表6の区分1
3に示す部位を損傷部位として特定することができる。 f=fbp/2[Hz] (9)
【0033】また、遊星歯車の両面の歯が欠けて損傷と
なった場合は、この損傷部位を有する遊星歯車は、太陽
歯車と内歯車との双方の噛み合った時に、式(10)に
示す振動周波数を発生する。従ってこの場合は、表4の
区分5または表6の区分18に示す遊星歯車の局所異常
として特定することができる。 f=fbp[Hz] (10) 以下、同様な方法で表4〜表7に示す損傷の種類,部位
及び程度を判定することができる。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、遊
星歯車機構の近傍にこの遊星歯車機構の各部の回転動作
に基づき発生する各特定周波数を検出する振動検出部を
設けると共に、遊星歯車機構の損傷の種類及び部位と特
定周波数とを診断ルールに基づき関連づけて自動診断す
る診断処理部を設け、振動検出部により検出された特定
周波数及び高次周波数の検出信号を抽出し、検出された
特定周波数の初期値、及び高次周波数の初期値の各相対
値を算出すると共に、診断ルールにより相対値が基準値
を超えていると判定される場合に診断処理部において該
当の特定周波数から対応する損傷の種類,部位及び程度
を特定するようにしたので、遊星歯車機構が運転中にも
その損傷の種類,部位及び程度を的確に診断でき、また
診断の際には回転検出器が不要となることから診断装置
を経済的に構成できるという効果がある。また、損傷部
位の種類,部位及び程度の名称を表示するようにしたの
で、熟練者以外でも損傷の種類,部位及び程度を容易に
判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】遊星減速機の断面を模式的に示す図である。
【図2】遊星減速機の動作を模式的に示す図である。
【図3】本発明に係る遊星歯車の診断方法を適用した診
断システムの構成を示すブロック図である。
【図4】スペクトル成分値と周波数との関係を示す図で
ある。
【符号の説明】
11,21…入力軸、12,22…太陽歯車、13,2
3…遊星歯車、14,24…内歯車、15,25…出力
軸、16,26…スパイダー、20…カップリング機
構、51…設備諸元入力部、52…分析条件設定部、5
4…振動検出部、56…信号処理部、58…デジタル周
波数分析部、59…時系列データ演算部、61…時系列
異常徴候特徴マトリクス形成部、63…診断判定部、6
4…初期値スペクトル記憶部、66…診断判定ルール設
定部。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−94018(JP,A) 特開 昭63−169536(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01M 13/02 G01H 17/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力軸の回転に連動して回転する太陽歯
    車、固定配設される内歯車、及び前記太陽歯車及び内歯
    車に噛み合って自転すると共に前記太陽歯車の周りを公
    転しこの公転による回転を出力軸を介して次段の入力軸
    へ伝達する遊星歯車を含む遊星歯車機構の損傷の種類,
    部位及び程度を診断する診断方法において、太陽歯車の歯数をZS、遊星歯車の歯数をZP、内歯車
    の歯数をZR、及び太陽歯車の回転周波数をfrsとし
    たとき遊星歯車の自転周波数frpを、frp=frs
    ・ZS・ZR/(ZS+ZR)ZPにより算出する演算
    ステップと、 遊星歯車の公転周波数froを、fro=
    frs・ZS/(ZS+ZR)により算出する演算ステ
    ップと、 太陽歯車の一点が1個の遊星歯車と接触する基本周波数
    fisを、fis=frs(ZS+2ZP)/2(ZS
    +ZP)により算出する演算ステップと、 遊星歯車の一点が太陽歯車または内歯車と接触する基本
    周波数fbpを、fbp=frs・ZS(ZS+2Z
    P)/ZP(ZS+ZP)により算出する演算ステップ
    と、 内歯車の一点が一個の遊星歯車と接触する基本周波数f
    oを、fo=frs・ZS/(ZS+ZR)により算出
    する演算ステップと、 太陽歯車と遊星歯車との噛み合い周波数fgm、または
    遊星歯車と内歯車の噛み合い周波数fgmを、fgm=
    ZS・froにより算出する演算ステップと、 前記各演算ステップにより算出された各特定周波数及び
    これら各特定周波数の高次周波数をそれぞれ初期値とし
    て記憶する記憶ステップと、 前記遊星歯車機構の近傍に設けられた振動検出部により
    この遊星歯車機構の各部の回転動作に基づき発生する特
    定周波数及び高次周波数を検出する検出ステップと、 検出ステップにより検出された特定周波数及び高次周波
    数をそれぞれ前記初期値の相対値として算出するステッ
    プと、 前記遊星歯車機構の損傷の種類及び部位と特定周波数と
    を診断ルールに基づき関連づけて自動診断するととも
    、前記診断ルールに基づき前記相対値が基準値を超え
    ていると判断される場合該当の特定周波数から対応す
    る損傷の種類,部位及び程度を特定するステップと、 特定された前記損傷の種類,部位及び程度の名称を表示
    するステップと を有する ことを特徴とする遊星歯車機構
    の診断方法。
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