まず、本実施形態の装置のハードウエア構成の一例について説明する。本実施形態の装置が備える各部は、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、メモリにロードされるプログラム、そのプログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット(あらかじめ装置を出荷する段階から格納されているプログラムのほか、CD(Compact Disc)等の記憶媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムをも格納できる)、ネットワーク接続用インタフェイスを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
図1は、本実施形態の装置のハードウエア構成の一例を概念的に示す図である。図示するように、本実施形態の装置は、例えば、バス10Aで相互に接続されるCPU1A、RAM(Random Access Memory)2A、ROM(Read Only Memory)3A、表示制御部4A、ディスプレイ5A、操作受付部6A、操作部7A、通信部8A、補助記憶装置9A等を有する。なお、図示しないが、その他、外部機器と有線で接続される入出力インタフェイス、マイク、スピーカ等の他の要素を備えてもよい。
CPU1Aは各要素とともに装置のコンピュータ全体を制御する。ROM3Aは、コンピュータを動作させるためのプログラムや各種アプリケーションプログラム、それらのプログラムが動作する際に使用する各種設定データなどを記憶する領域を含む。RAM2Aは、プログラムが動作するための作業領域など一時的にデータを記憶する領域を含む。補助記憶装置9Aは、例えばHDD(Hard Disc Drive)やメモリカード等であり、大容量のデータを記憶可能である。
ディスプレイ5Aは、例えば、表示装置(LED(Light Emitting Diode)表示器、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等)である。ディスプレイ5Aは、タッチパッドと一体になったタッチパネルディスプレイであってもよい。表示制御部4Aは、VRAM(Video RAM)に記憶されたデータを読み出し、読み出したデータに対して所定の処理を施した後、ディスプレイ5Aに送って各種画面表示を行う。操作受付部6Aは、操作部7Aを介して各種操作を受付ける。操作部7Aは、操作キー、操作ボタン、スイッチ、ジョグダイヤル、タッチパネルディスプレイ、キーボードなどを含む。通信部8Aは、有線及び/または無線で、インターネット、LAN(Local Area Network)等のネットワークに接続し、他の電子機器と通信する。
以下、本実施の形態について説明する。なお、以下の実施形態の説明において利用する機能ブロック図は、ハードウエア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。これらの図においては、各装置は1つの機器により実現されるよう記載されているが、その実現手段はこれに限定されない。すなわち、物理的に分かれた構成であっても、論理的に分かれた構成であっても構わない。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
<第1の実施形態>
まず、本実施形態の表示システムの概要について説明する。本実施形態の表示システムは、薬液注入装置がシリンジのプランジャを押圧する圧力を測定する手段と、薬液注入装置がシリンジのプランジャを押圧する圧力をリアルタイムに表示する手段と、を有する。このような本実施形態の表示システムによれば、オペレータは、薬液注入装置がシリンジのプランジャを押圧している時に、リアルタイムに、当該押圧の圧力を確認することができる。
また、本実施形態の表示システムは、薬液注入装置が空のシリンジ(空気が充填されているシリンジ)のプランジャを押圧している時、その旨の表示を行う。このような表示を視認することで、オペレータは、空のシリンジ(空気が充填されているシリンジ)がセットされた状態で薬液注入装置に注入動作を行わせるという誤操作に気付くことができる。以下、本実施形態の表示システムの構成を詳細に説明する。
図2に、本実施形態の表示システム1の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、表示システム1は、測定装置10と、表示装置20とを有する。
最初に、図3を用いて、本実施形態の表示システム1の適用例を説明する。図3には、注入実行ユニット30と、注入制御ユニット40とを有する薬液注入装置が示されている。注入実行ユニット30及び注入制御ユニット40は、有線又は無線で互いに通信するよう構成されている。当該適用例では、注入制御ユニット40が、本実施形態の表示装置20を備える。そして、注入実行ユニット30が、本実施形態の測定装置10を備える。以下、注入実行ユニット30、注入制御ユニット40の順に、これらの構成を説明する。
注入制御ユニット40は、操作部と、表示部と、通信部とを有する。
表示部は、薬液注入作業に関する各種情報をディスプレイ41に表示する。オペレータは当該情報を視認しながら、所定の作業を行う。以下、表示される情報の一例を示す。薬液注入作業の進行に合わせて、これらの情報が順次表示される。なお、一部の情報は同時に表示される。
「被験者の情報」:氏名、年齢、性別、体重、身長、持病等
「薬液の情報」:製品名称、薬液ID、化学分類、含有成分、粘度、消費期限、容量、ヨード量、製造メーカ等
「シリンジの情報」:シリンジID、シリンジ容量、シリンダ耐圧、シリンダ内径、ピストンストローク、ロット番号、販売価格等
「撮像オーダデータ」:被験者ID、撮像部位、身体区分、撮像日等
「注入制御データ」:薬液注入量、注入速度等
「リアルタイムな作業内容」:注入実行ユニット30がシリンジのプランジャを押圧している圧力、圧力の時間変化、注入開始(押圧開始)からの経過時間、注入開始(押圧開始)からの累積注入総量、注入速度等
通信部は、注入実行ユニット30、HIS(Hospital Information System)、RIS(Radiology Information System)、PACS(Picture Archive and Communication System)、透視撮像装置(CT(Computed Tomography)アンギオ装置、MRA(Magnetic Resonance Angiography)装置等)、及び、他の外部装置等と、有線及び/又は無線で通信する。当該通信により、通信部は上述のような所定の情報を取得してもよい。そして、表示部は、通信部が取得した情報に基づいて、上述のような情報の表示を行ってもよい。
操作部は、注入制御データを変更する入力や、注入実行ユニット30による注入動作を制御するための入力等を受付ける。注入実行ユニット30による注入動作を制御するための入力は、例えば、シリンジのプランジャを押圧する処理を開始させる入力や、当該処理を停止させる入力等が考えられる。通信部は、操作部が受付けたこのような入力内容を、注入実行ユニット30やその他の装置に送信する。操作部は、あらゆる入力装置を利用して、入力を受付けることができる。例えば、タッチパネルディスプレイ、マイク、操作ボタン等が考えられるが、これらに限定されない。
注入実行ユニット30は、シリンジがセットされる保持部31と、シリンジのプランジャを押圧する押圧部32と、押圧部32を駆動(スライド移動)させる駆動部と、押圧部32がプランジャを押圧する圧力を測定する測定部と、駆動部を制御する駆動制御部と、通信部と、操作部と、を有する。
保持部31は、所定形状のシリンジが嵌る形状及び大きさの窪みを有する。駆動部は、モータ等の発動機、及び、発動機が発生させた動力を押圧部32に伝える伝達機構を備える。駆動部からの力により、押圧部32は、保持部31の窪みの延伸方向に沿ってスライド移動する。当該スライド移動により、押圧部32は、保持部31に保持されたシリンジのプランジャを押圧する。駆動制御部は、駆動部の動作、例えば、動力を発生させる処理のON/OFFや、発生させる動力等を制御する。
保持部31に保持されるシリンジは、例えば、プレフィルドシリンジ又は空シリンジ等である。プレフィルドシリンジは、予め薬液が充填されたシリンジである。空シリンジは、薬液が充填されていないシリンジである。
シリンジには、シリンジに関する情報が付されていてもよい。例えば、シリンジに関する情報を示す一次元コード(例:バーコード等)や二次元コード(例:QRコード(登録商標)等)がシリンジに付されていてもよい。その他、シリンジに関する情報を記憶した記憶装置(例:RFIDタグ等)がシリンジに付されてもよい。
なお、上述しなかったが、注入実行ユニット30は、近距離無線通信を行う無線通信部を備えてもよい。無線通信部による無線通信の手段は特段制限されない。
例えば、シリンジの所定位置にRFIDチップが搭載されていてもよい。RFIDチップには、例えば、上述した薬液の情報やシリンジの情報等が記録されている。そして、無線通信部は、保持部31にシリンジが保持されると、当該シリンジのRFIDチップと無線通信し、上述のような情報を取得することができる。
また、上述しなかったが、注入実行ユニット30は、測定部により得られた測定データを補正する補正部を備えてもよい。
操作部は、注入実行ユニット30による注入動作を制御するための入力等を受付ける。例えば、シリンジのプランジャを押圧する処理を開始させる入力や、当該処理を停止させる入力や、押圧部32を所定の方向に移動させる入力等が考えられる。操作部は、あらゆる入力装置を利用して、入力を受付けることができる。例えば、操作ボタン(図示する三角、四角、丸のボタン)等が考えられるが、これに限定されない。
通信部は、注入制御ユニット40、HIS、RIS、PACS、透視撮像装置、及び、他の外部装置等と有線及び/又は無線で通信する。通信部は、測定部により得られた測定データを、注入制御ユニット40や、他の装置に送信することができる。また、通信部は、補正部により補正された補正後の測定データを、注入制御ユニット40や、他の装置に送信することができる。また、通信部は、無線通信部が取得した情報を、注入制御ユニット40や、他の装置に送信することができる。
また、通信部は、注入制御ユニット40や他の装置から注入制御データや、注入動作を制御するためのデータ等を受信することができる。駆動制御部は、通信部が受信したこのようなデータに基づいて、駆動部による駆動を制御することができる。
注入実行ユニット30は、透視撮像装置等とともに検査室に設置される。一方、注入制御ユニット40は、検査室と異なる部屋、例えば検査室と隣接する操作室に設置される。
ここで、本実施形態の表示システム1の他のバリエーションの一例を説明する。上記例では、注入実行ユニット30と注入制御ユニット40とが直接通信(データの送受信)を行う例を説明したが、図19に示すように、注入実行ユニット30及び注入制御ユニット40は、中継装置50を介して通信を行ってもよい。
図20の例では、中継装置50にディスプレイ51が備えられている。図21の例では、注入実行ユニット30にディスプレイ33が備えられている。図22の例は、中継装置50がない点で図21の例と異なる。ディスプレイ33及びディスプレイ51には、注入制御ユニット40のディスプレイ41に表示される情報と同様な情報が表示される。このようにすれば、オペレータは、検査室及び操作室の両方で同様な情報を確認できる。なお、ディスプレイ33、ディスプレイ41及びディスプレイ51の少なくとも一つはタッチパネルディスプレイとなっており、薬液注入作業に関する所定の情報を入力できるようになっていてもよい。このように構成すれば、オペレータは、検査室及び操作室のどちらにいても、同様な作業(例:情報の確認、入力)を行うことができる。結果、作業性の向上が期待される。図23に、注入実行ユニット30に設けられたディスプレイ33の斜視図の一例を示す。例えば、ディスプレイ33がタッチパネルディスプレイとなっており、当該入力装置を介して所定の入力が行えてもよい。例えば、ディスプレイ33に表示された所定のボタンをタッチすることで、試験注入に移行するなどしてもよい。なお、ディスプレイ33に表示されたボタンに対するタッチ操作に加えて又は代えて、物理ボタン(図示する物理ボタンのいずれか)に対する押下操作により、試験注入に移行するなどしてもよい。
以上、図3、図19乃至図23を用いて本実施形態の表示システム1の適用例を示したが、本実施形態の表示システム1の適用例はこれに限定されない。
次に、図2に戻って、本実施形態の表示システム1の構成を詳細に説明する。
まず、測定装置10について説明する。図4に、本実施形態の測定装置10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、測定装置10は、測定部11を有する。
測定部11は、「薬液注入装置がシリンジのプランジャを押圧する圧力」を測定する。図3の例の場合、測定部11は、保持部31に保持されたシリンジのプランジャを押圧部32が押圧する圧力を測定する。
測定部11による測定手段としては、圧力センサを用いる方式や、駆動電流を測定する方式等が考えられるが、これらに限定されない。
圧力センサを用いる方式の場合、上記圧力を測定可能な位置(設計的事項)に、圧力センサを設置しておく。図3を用いて説明した例の場合、例えば押圧部32のシリンジと接する面に、圧力センサを設置してもよい。そして、測定部11は、このような圧力センサを用いて圧力を測定してもよい。
駆動電流を測定する方式の場合、測定部11は、シリンジのプランジャを押圧する力を発生させる発動機の消費電流を測定する。図3を用いて説明した例の場合、測定部11は、押圧部32をスライド移動させるための力を発生させる発動機(モータ等)の消費電流を測定する。予め、発動機の消費電流と、圧力との関係を調べておくことで、測定した発動機の消費電流から、上記圧力を特定することができる。当該例の場合、測定部11は、測定した消費電流から上記圧力を特定するための対応情報を予め保持しておく。
測定部11は、薬液注入装置によるプランジャの押圧が始まると、所定の時間間隔で(設計的事項)、上記圧力を測定することができる。このようにして測定された測定値を示す測定データ(圧力の時系列データ)は、表示装置20にリアルタイムに送信される。
次に、表示装置20について説明する。図5に、本実施形態の表示装置20の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、表示装置20は、取得部21と、表示部22とを有する。表示装置20が表示する情報は、図3、図19乃至図23を用いて説明した例のディスプレイ41に表示される。なお、ディスプレイ41に加えて、さらに、ディスプレイ33又はディスプレイ51に表示されてもよい。
取得部21は、測定装置10の測定部11が測定した測定値を示す測定データを取得する。取得部21は、測定部11が上記圧力を測定すると、リアルタイムに測定データを取得する。
表示部22は、取得部21が取得した測定データに基づいて、薬液注入装置がプランジャを押圧する圧力をリアルタイムに表示する。
なお、表示部22は、「薬液が充填されているシリンジ」のプランジャを薬液注入装置が押圧している時には、その圧力(目安)を表示する。一方、表示部22は、「空気が充填されているシリンジ(空のシリンジ)」のプランジャを薬液注入装置が押圧している時には、その旨の表示を行う。すなわち、表示部22は、薬液が充填されている場合と空気が充填されている場合とで、異なる表示を行う。
当然、空気が充填されているシリンジ(空のシリンジ)のプランジャを押圧する場合にも、一定の力が必要になる。このため、空気が充填されているシリンジ(空のシリンジ)を薬液注入装置が押圧している時にも、薬液が充填されている場合と同様に、測定部11により一定の圧力値が測定されることとなる。そして、取得部21は、薬液が充填されている場合と同様、所定の測定値を取得する。
このように、薬液が充填されている場合及び空気が充填されている場合いずれにおいても同様に、取得部21は所定の圧力値(測定値)を示す測定データを取得することとなる。本実施形態では、表示部22の特徴的な構成により、空気が充填されている場合と、薬液が充填されている場合とで異なる表示を実現する。以下、説明する。
まず、本実施形態においては、「測定装置10(測定部11)の測定分解能yが、表示部22(表示装置20)の表示分解能xよりも小さい。」という前提が存在する。例えば、表示部22の表示分解能xが0.1kg/cm2の場合、測定部11の測定分解能yは当該値より小、例えば0.01kg/cm2となる。また、例えば、表示部22の表示分解能xが100PSIの場合、測定部11の測定分解能yは当該値より小、例えば10PSIとなる。
このため、表示部22は、圧力の表示を行う前に、取得部21が取得した測定分解能yの測定データを、表示分解能xにあわせる変換を行う必要がある。本実施形態の表示部22は、当該変換を行うための変換ルールを予め保持しておき、当該変換ルールに基づいて測定データの値を表示分解能xにあわせる変換を行う。
図6に、当該変換ルールの一例を模式的に示す。図示する「M〜N」の表示において、下線を引かれた数字はその範囲に含まれ、下線を引かれていない数字はその範囲に含まれないことを意味する。当該前提は、以下同様である。図6の変換ルールによれば、測定値が0以上a未満の時、0に変換され、測定値がa以上b未満の時、Xに変換され、測定値がb以上c未満の時、2Xに変換されることが分かる。
図7及び図8に、当該変換ルールの具体例を模式的に示す。図7は、測定値の単位がkg/cm2である場合の変換ルールであり、図8は、測定値の単位がPSIである場合の変換ルールである。
図7の変換ルールによれば、測定値が0.00kg/cm2以上0.07kg/cm2未満の時、0.0kg/cm2に変換され、測定値が0.07kg/cm2以上0.17kg/cm2未満の時、0.1kg/cm2に変換されることが分かる。
図8の変換ルールによれば、測定値が0PSI以上60PSI未満の時、0PSIに変換され、測定値が60PSI以上160PSI未満の時、100PSIに変換されることが分かる。
なお、変換ルールは、変換値が0となる測定値の範囲(以下、0変換範囲)に、「空気が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧した場合に測定部11により測定される測定値p」が含まれるよう作成されている。換言すれば、変換ルールは、「空気が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧した場合に測定部11により測定される測定値p」は0に変換されるよう構成されている。
また、変換ルールは、0変換範囲に、「薬液が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧した場合に測定部11により測定される測定値q」が含まれないように作成されている。換言すれば、変換ルールは、「薬液が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧した場合に測定部11により測定される測定値q」は0に変換されないよう構成されている。
このように、変換ルールは、「空気が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧した場合に測定部11により測定される測定値p」、及び、「薬液が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧した場合に測定部11により測定される測定値q」を異なる値に変換するよう構成されている。
図6に示す変換ルールの場合、p<a≦qを満たすように、変換ルールが生成されている。すなわち、0変換範囲の上限がpより大、q以下を満たすようになっている。例えば、予め、表示装置20の製造メーカやオペレータ等が、事前の実験により、上記p及びqの値を特定する。そして、特定したpの値やqの値に基づいて、上述のような変換ルールを作成し、表示部22に記憶させる。
表示部22は、このような変換ルールに基づいて測定値を変換した後、変換値に基づいて圧力表示を行う。具体的には、変換値が0でない場合、表示部22は、現時点の圧力がその変換値である旨の表示を行う。一方、変換値が0である場合、表示部22は、空気が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧している旨の表示を行う。
このように、本実施形態では、特徴的な変換ルールにより、測定データを表示分解能xにあわせる変換の際に、「空気が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧している状態」と、「薬液が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧している状態」とに分類するよう構成されている。
ここで、図9及び図10に、変換後の圧力(変換値)に基づいて表示部22が圧力を表示する画面(以下、圧力表示画面)の一例を示す。
図9の例の場合、横軸に、押圧開始からの経過時間をとり、縦軸に、薬液注入装置がプランジャを押圧する圧力をとったグラフにおいて、押圧開始からの当該圧力の時間変化が実線(折れ線)で示されている。当該例の表示分解能xは、0.1kg/cm2である。当該圧力表示画面には、その他、押圧開始からの経過時間や、現時点の圧力や、圧力リミット等が表示されている。
当該例の場合、薬液が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧している時(変換値が0と異なる)には、変換値がグラフ上の所定の位置(縦軸は当該変換値、横軸は当該データの測定タイミングに対応した位置)にプロットされ、実線(折れ線)でその直前のプロットデータと繋がれる。当該実線はオペレータが視認できる態様(例:横軸と重ならない態様)で表示される。
一方、空気が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧している時(変換値が0)には、その旨の表示を行う。その旨の表示は、オペレータがそれを認識できるものであればよく、特段制限されない。例えば、グラフ上において、その時間に対応する位置(横軸が当該データの測定タイミングに対応した位置)にデータをプロットしない表示としてもよい。この場合、この間、図9に示すような圧力を示す実線(折れ線)が表示されない状態となる。その他、グラフ上において、その時間に対応する位置(横軸が当該データの測定タイミングに対応した位置)のデータを横軸上にプロットしてもよい。この場合、この間、図9に示すような圧力を示す実線(折れ線)は横軸と重なる。結果、上記いずれの例においても、オペレータは、グラフ上の上記実線を視認できなくなる。このため、薬液が充填されている場合と空気が充填されている場合とで、異なる表示が実現される。その他、圧力表示画面上に、警告情報(マーク、文章、点滅等)を出力してもよい。当該警告情報は、薬液が充填されている場合には表示されない。このため、薬液が充填されている場合と空気が充填されている場合とで、異なる表示が実現される。
図10の例の場合、圧力表示画面の最も下に、圧力が示されている。当該例では、100PSI、200PSI、・・・、1200PSI各々に対応したオブジェクト(以下、圧力オブジェクト)を表示されている。当該例の表示分解能xは、100PSIである。当該圧力表示画面には、その他、押圧開始からの経過時間や、現時点の注入速度や、現時点までに注入した薬液の量(A)や、注入する薬液の量(B)や、AとBとの比較が可能な図等が表示されている。
当該例の場合、薬液が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧している時(変換値が0と異なる)には、変換値に対応する圧力オブジェクトが強調表示される。すなわち、いずれか1つの圧力オブジェクトが強調表示される。図の例の場合、800PSIが強調表示されている。これにより、現在の圧力は大体800PSIであることが分かる。
一方、空気が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧している時(変換値が0)には、その旨の表示を行う。その旨の表示は、オペレータがそれを認識できるものであればよく、特段制限されない。例えば、すべての圧力オブジェクトを強調表示してもよいし、又は、すべての圧力オブジェクトを非強調表示してもよい。その他、圧力表示画面上に、警告情報(マーク、文章、点滅等)を出力してもよい。いずれの例においても、薬液が充填されている場合(いずれか1つの圧力オブジェクトが強調表示)と異なる表示が実現される。
以上説明した本実施形態の表示システム1によれば、空気が充填されているシリンジ(空のシリンジ)のプランジャを薬液注入装置が押圧した場合、その旨の表示を行うことができる。オペレータは、当該表示を視認することで、空のシリンジ(空気が充填されているシリンジ)がセットされた状態で薬液注入装置に注入動作を行わせるという誤操作に気付くことができる。
また、本実施形態の場合、空気が充填されているシリンジ(空のシリンジ)のプランジャを薬液注入装置が押圧した場合と、薬液が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧した場合とで、異なる画面表示を行うことができる。このため、オペレータが、「空気が充填されているシリンジ(空のシリンジ)のプランジャを薬液注入装置が押圧している旨の表示」の詳細を把握していない場合であっても、正常時(薬液が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧している状態)と異なる画面表示を視認することで、異変に気付くことができる。
また、薬液注入作業中、オペレータは、注入圧力の変化をモニタリングしている可能性が高い。本実施形態の場合、このような画面において、空気が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧している旨の表示を行うので、オペレータが当該情報を見落とす不都合を軽減できる。
また、本実施形態では、「測定装置10(測定部11)の測定分解能yが、表示部22(表示装置20)の表示分解能xよりも小さい。」という前提が存在する。このため、表示部22は、圧力の表示を行う前に、取得部21が取得した測定分解能yの測定データを、表示分解能xにあわせる変換を行う必要がある。そして、本実施形態では、このような変換処理時に、測定データを、「空気が充填されているシリンジ(空のシリンジ)のプランジャを薬液注入装置が押圧している時のデータ」と、「薬液が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧している時のデータ」とに分類することができる。このため、変換処理と分類処理を別々に行う場合に比べて、コンピュータの処理負担を軽減できる。
なお、当該実施形態では、「測定値が0以上a未満の時」、空気が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧している旨の表示を行う形態を説明したが、測定値が「0以上a以下の時」としても、同様の作用効果が実現されるのはいうまでもない。当該前提は、以下の全ての実施形態において同様である。
<第2の実施形態>
本実施形態の表示システム1は、測定装置が測定データの値を表示分解能xに合わせる変換を行う点で、第1の実施形態と異なる。
図11に、本実施形態の測定装置10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、測定装置10は、測定部11と、第1補正部12とを有する。測定部11の構成は、第1の実施形態と同様である。
第1補正部12は、測定部11が測定した測定分解能yの測定データに対して、値を表示分解能xにあわせる変換を行う。当該変換の詳細は、第1の実施形態で説明した表示部22による変換と同様であるので、ここでの説明は省略する。
本実施形態の測定装置10は、測定部11が測定した測定分解能yの測定データを表示装置20に送信するのでなく、第1補正部12が変換した後の測定データを表示装置20に送信する。
本実施形態の表示装置20の取得部21は、このような変換後の測定データを取得する。そして、表示部22は、第1の実施形態で説明した変換を行わず、取得部21が取得した変換後の測定データをそのまま用いて、第1の実施形態と同様の表示を行う。
以上説明した本実施形態によれば、第1の実施形態と同様な作用効果を実現することができる。
<第3の実施形態>
本実施形態の表示システム1は、表示装置20が0変換範囲を変更する手段を有する点で、第1の実施形態と異なる。例えば、シリンジの構成に応じて、空気が充填されているシリンジ(空のシリンジ)のプランジャを薬液注入装置が押圧した場合に測定部11により測定される測定値pが変わり得る。また、シリンジの構成やシリンジに充填されている薬液の種類に応じて、当該薬液が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧した場合に測定部11により測定される測定値qが変わり得る。このような変化に応じて、p<a≦qを満たすaの範囲も異なり得る。
本実施形態によれば、薬液注入装置にセットされるシリンジの構成や充填されている薬液の種類に応じて、0変換範囲を適切な値に変更することができる。例えば、図6に示す変換ルールのaの値を変更することができる。
図12に、本実施形態の表示装置20の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、表示装置20は、取得部21と、表示部22と、変更部23とを有する。取得部21及び表示部22の構成は、第1の実施形態で説明した通りである。
変更部23は、第1の実施形態で説明した変換ルールの内容を変更するよう構成されている。具体的には、変更部23は、変換ルールにおける0変換範囲、例えば、図6に示すaの値(上限。下限は0で固定。)を変更するよう構成されている。変更部23は、aの値の変更に応じ、他の値(図6のb、c等)を変更してもよいし、aの値のみを変更してもよい。
なお、変換ルールの内容を変更する(aの値を変更する)とは、表示部22による変換処理に利用される変換ルールの内容を変更するという意味である。当該変更を実現できれば、その具体的な手段は特段制限されない。例えば、変更部23は、変換ルールの内容自体を書き換えてもよい(更新)。または、変更部23は、内容が互いに異なる複数の変更ルールを保持しており、その中の1つを表示部22による変換処理に利用される変換ルールとして設定するよう構成されていてもよい。そして、変更部23は、設定する変換ルールを変更することで、変換ルールの内容の変更を実現してもよい。
次に、変更部23が変換ルールの内容を変更する具体例について説明する。例えば、変更部23は、aの値を指定する入力をユーザから受付けてもよい。例えば、変更部23は、aの値を指定する入力として、数値の入力を受付けてもよい。そして、変更部23は、例えば図6に示す変換ルールのaの値を、受付けた数値に変更してもよい。その他、変更部23は、互いに内容が異なる複数の変換ルールの中から1つを指定する入力を受付けてもよい。例えば、変更部23は、複数の変換ルールを、その内容を確認可能な状態でユーザに向けて表示する手段と、複数の変換ルールの中から1つを指定する入力を受付ける手段とを有してもよい。そして、変更部23は、指定された変換ルールで表示部22が変換処理を行うよう設定してもよい。
この例の場合、ユーザ(例:薬液注入装置のオペレータ)は、これから使用するシリンジの構成やシリンジに充填されている薬液の種類に応じて適切なaの値を特定し、所定の入力を行うことができる。適切なaの値とは、p<a≦qを満たす値である。
その他の例として、変更部23は、薬液注入装置にセットされるシリンジ及び当該シリンジに充填される薬液の少なくとも一方に関する情報の入力を受付けてもよい。そして、当該情報に基づきaの値を決定し、変換ルールのaの値を決定した値に変更してもよい。又は、当該情報に基づき、複数の変換ルールの中から適切な1つを特定し、特定した変換ルールで表示部22が変換処理を行うよう設定してもよい。
シリンジに関する情報は、シリンジID等であり、例えば、第1の実施形態で説明した「シリンジの情報」が該当する。また、シリンジに充填される薬液の情報は、薬液ID等であり、例えば、第1の実施形態で説明した「薬液の情報」が該当する。
変更部23は、例えば、シリンジに付されたRFIDチップ、HIS、RIS、PACS、透視撮像装置、他の外部装置等から、これらの情報を取得することができる。
その他、変更部23は、シリンジに接続される各シリンジ専用のシリンジアダプタの種類を識別してもよい。そして、変更部23は、シリンジアダプタとシリンジとを対応付けたデータベース検索し、識別したシリンジアダプタに搭載されているシリンジの種類を識別してもよい。その後、変更部23は、シリンジごとにシリンジに関する情報を記録したデータベースを検索し、識別したシリンジに対応する情報を取得してもよい。
シリンジアダプタの種類を特定する手段としては、マグネットを利用したものが考えられる。例えば、シリンジアダプタの所定位置に露出面がN極又はS極となったマグネットを付しておき、薬液注入装置側に設けられたマグネットセンサで当該マグネットの情報(露出面の極)を取得する。マグネットを複数個用いることで、露出面の極の組み合わせを複数パターン形成できる。そして、各パターンとシリンジアダプタとを対応付けておくことで、マグネットセンサが読み取った情報からシリンジアダプタの種類を識別できる。
その他、シリンジアダプタに、各々に固有の物理的な特徴(凸部、溝、それらの大きさ、位置等)を設けておいてもよい。また、薬液注入装置側に物理的なボタンを複数個設けておいてもよい。上記物理的な特徴により、複数の上記ボタンのON/OFFの組み合わせが互いに異なるように構成される。この場合、複数のボタンのON/OFFの組み合わせパターンを識別することで、薬液注入装置に搭載されたシリンジアダプタの種類を識別できる。なお、ここでの例示はあくまで一例であり、その他の手段でシリンジアダプタの種類を特定してもよい。
そして、変更部23は、図13に示すような、シリンジIDと、aの値とを対応付けた対応情報(a値決定ルール)を保持しておいてもよい。そして、変更部23は、取得した「シリンジの情報」と、a値決定ルールとに基づいて、薬液注入装置にセットされるシリンジに対応した最適なaの値をセットしてもよい。なお、内容が互いに異なる複数の変換ルールから1つを指定する例の場合、変更部23は、シリンジIDと、変換ルールIDとを対応付けた対応情報(不図示)を保持しておき、同様の処理を行ってもよい。
その他、変更部23は、図14に示すような、シリンジと薬液のペア各々と、aの値とを対応付けた対応情報(a値決定ルール)を保持しておいてもよい。そして、変更部23は、取得した「シリンジの情報」及び「薬液の情報」と、a値決定ルールとに基づいて、薬液注入装置にセットされるシリンジ及び薬液に対応した最適なaの値をセットしてもよい。なお、内容が互いに異なる複数の変換ルールから1つを指定する例の場合、変更部23は、シリンジと薬液のペア各々と、変換ルールIDとを対応付けた対応情報(不図示)を保持しておき、同様の処理を行ってもよい。
例えば、図13及び図14に示すa値決定ルールは、薬液注入装置のオペレータや管理者等が、予め作成し、変更部23に保持させておくことができる。そして、薬液注入装置のオペレータや管理者は、その後の任意のタイミングで、図13及び図14に示すa値決定ルールにおけるa値を変更する入力を行うことができる。変更部23は、当該入力に従い、予め保持していた図13及び図14に示すa値決定ルールにおけるa値を変更する。
以上説明した本実施形態の表示システム1によれば、第1及び第2の実施形態と同様な作用効果を実現できる。
また、本実施形態の表示システム1によれば、0変換範囲、すなわち、「空気が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧している旨の表示」を行うこととなる測定値の範囲を変更することができる。具体的には、0変換範囲の上限値aを変更することができる。
薬液が充填されている場合には圧力を表示し、空気が充填されている場合には「空気が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧している旨の表示」を行う表示処理を実現するためには、p<a≦qを満たす必要がある。
しかし、シリンジの構成に応じて、空気が充填されているシリンジ(空のシリンジ)のプランジャを薬液注入装置が押圧した場合に測定部11により測定される測定値pが変わり得る。また、シリンジの構成やシリンジに充填されている薬液の種類に応じて、当該薬液が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧した場合に測定部11により測定される測定値qが変わり得る。このため、p<a≦qを満たすaの範囲が異なり得る。
本実施形態では、薬液注入装置にセットされるシリンジの構成や、充填される薬液に応じて、0変換範囲の上限を適切な値に変更することができる。このため、シリンジの構成や薬液の種類に関わらず、p<a≦qを満たすことができる。すなわち、シリンジの構成や薬液の種類に関わらず、薬液が充填されている場合には圧力を表示し、空気が充填されている場合には「空気が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧している旨の表示」を行う表示処理を実現することができる。
<第4の実施形態>
本実施形態の表示システム1は、測定装置10が0変換範囲を変更する手段を有する点で、第2の実施形態と異なる。
図15に、本実施形態の測定装置10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、測定装置10は、測定部11と、第1補正部12と、変更部13とを有する。測定部11及び第1補正部12の構成は、第1及び第2の実施形態で説明した通りである。変更部13の構成は、第3の実施形態で説明した変更部23の構成と同様である。
以上説明した本実施形態によれば、第1乃至第3の実施形態と同様な作用効果を実現できる。
<第5の実施形態>
本実施形態は、測定装置10又は表示装置20が、測定装置10により測定された測定値から所定値rを差し引く補正手段を有する点で、第1乃至第4の実施形態と異なる。その他の構成は、第1乃至第4の実施形態と同様である。
図16に、本実施形態の測定装置10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、測定装置10は、測定部11と、第2補正部14とを有する。
図17に、本実施形態の表示装置20の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、表示装置20は、取得部21と、表示部22と、第2補正部14とを有する。
なお、測定装置10及び表示装置20の少なくとも一方が第2補正部14を有していればよく、必ずしも両方が第2補正部14を備えなくてもよい。
第2補正部14は、測定部11が測定した測定値を示す測定データに対して、測定値から所定値rを差し引く補正を行う。そして、表示部22は、所定値を差し引いた後の測定値(補正後測定値)を、上述と同様の方法で変換し、変換値を用いて所定の表示を行う。または、第1補正部12は、所定値を差し引いた後の測定値(補正後測定値)を、上述と同様の方法で変換する。そして、取得部21は、第1補正部12により変換された後の補正後測定値を取得する。
第1乃至第4の実施形態では、変換ルールにおける0変換範囲を特徴的な範囲とすることで、空気が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧している時に測定される測定値が、0に変換されるようにした。
これに対して、本実施形態では、測定部11が測定した測定値から所定値を差し引くことで、差し引いた後の補正値が0変換範囲に含まれるようにする。
また、第3及び第4実施形態では、0変換範囲を変更できるように構成することで、シリンジの構成や、薬液の種類に関わらず、薬液が充填されている場合には圧力を表示し、空気が充填されている場合には「空気が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧している旨の表示」を行う表示処理を実現した。
これに対して、本実施形態では、測定部11が測定した測定値から差し引く所定値を変更できるように構成することで、上記表示処理を実現する。
例えば、第2補正部14は、空気が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧した場合に測定部11により測定される測定値pに基づき決定された所定値rを、測定値又は変換値から差し引いてもよい。所定値rは、(p−r)が0変換範囲に含まれる、すなわち、0<(p−r)<aを満たすように決定される。
その他、第2補正部14は、薬液が充填されているシリンジのプランジャを薬液注入装置が押圧した場合に測定部11により測定される測定値qに基づき決定された所定値rを、測定値又は変換値から差し引いてもよい。所定値rは、(q−r)が0変換範囲に含まれない、すなわち、a≦(q−r)を満たすように決定される。
上記p及びqの両方に基づけば、0<(p−r)<a≦(q−r)を満たすようにrの値は決定される。
なお、第2補正部14は、rの値を指定する入力をユーザから受付けてもよい。この場合、ユーザ(例:薬液注入装置のオペレータ)は、これから使用するシリンジの構成や薬液の種類等に応じて適切なrの値を決定し、入力することができる。なお、適切なrの値とは、上述の通り、0<(p−r)<a≦(q−r)を満たす値である。
その他、変更部23は、薬液注入装置にセットされるシリンジ及び当該シリンジに充填される薬液の少なくとも一方に関する情報の入力を受付けてもよい。そして、当該情報に基づきrの値を決定してもよい。
シリンジに関する情報は、シリンジID等であり、例えば、第1の実施形態で説明した「シリンジの情報」が該当する。また、シリンジに充填される薬液の情報は、薬液ID等であり、例えば、第1の実施形態で説明した「薬液の情報」が該当する。第2補正部14は、例えば、シリンジに付されたRFIDチップ、HIS、RIS、PACS、透視撮像装置、他の外部装置等から、これらの情報を取得することができる。その他、第2補正部14は、シリンジに接続される各シリンジ専用のシリンジアダプタを利用して上記情報を取得してもよい。当該手段の説明は上述したので、ここでは省略する。
そして、変更部23は、図18に示すような、シリンジと薬液のペア各々と、所定値rとを対応付けた情報(r値決定ルール)を保持していてもよい。そして、シリンジ及び薬液に関する情報と、r値決定ルールとに基づいて、適切なrの値を決定してもよい。
以上説明した本実施形態によれば、第1乃至第4の実施形態と同様な作用効果を実現できる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. 薬液注入装置がシリンジのプランジャを押圧する圧力を測定する測定装置と、
前記測定装置による測定結果に基づき、前記薬液注入装置が前記プランジャを押圧する圧力を表示する表示装置と、を有し、
前記表示装置は、空気が充填されている前記シリンジの前記プランジャを前記薬液注入装置が押圧している場合、その旨の表示を行う表示システム。
2. 1に記載の表示システムにおいて、
前記測定装置が圧力を測定する測定分解能yは、前記表示装置が圧力を表示する表示分解能xよりも小さく、
前記表示装置は、
前記測定装置が測定した測定値を示す測定データを取得する取得部と、
前記測定値が0以上a未満又は0以上a以下の時、空気が充填されている前記シリンジの前記プランジャを前記薬液注入装置が押圧している旨の表示を行う表示部と、
を有し、
空気が充填されている前記シリンジの前記プランジャを前記薬液注入装置が押圧した場合に前記測定部により測定される測定値pは、0より大a未満又は0より大a以下である表示システム。
3. 1に記載の表示システムにおいて、
前記測定装置が圧力を測定する測定分解能yは、前記表示装置が圧力を表示する表示分解能xよりも小さく、
前記測定装置は、
測定分解能yで圧力を測定する測定部と、
前記測定部が測定した測定値を示す測定データに対して、値を表示分解能xにあわせる補正を行う第1補正部と、
を有し、
前記表示装置は、
前記第1補正部により補正された補正後の前記測定データを取得する取得部と、
前記補正後の前記測定データが0以上a未満又は0以上a以下の時、空気が充填されている前記シリンジの前記プランジャを前記薬液注入装置が押圧している旨の表示を行う表示部と、
を有し、
前記第1補正部は、前記測定値が0以上a未満又は0以上a以下の時、補正後の値が0となるように補正し、
空気が充填されている前記シリンジの前記プランジャを前記薬液注入装置が押圧した場合に前記測定部により測定される測定値pは、0より大a未満又は0より大a以下である表示システム。
4. 2又は3に記載の表示システムにおいて、
前記測定装置又は前記表示装置は、aの値を変更する変更部をさらに有する表示システム。
5. 4に記載の表示システムにおいて、
前記変更部は、aの値を指定する入力を受付け、受付けた内容に従いaの値を変更する表示システム。
6. 4に記載の表示システムにおいて、
前記変更部は、前記シリンジ及び前記シリンジに充填される薬液の少なくとも一方に関する情報の入力を受付け、前記情報に基づき決定した値にaの値を変更する表示システム。
7. 1に記載の表示システムにおいて、
前記測定装置又は前記表示装置は、
前記測定装置が測定した測定値を示す測定データに対して、前記測定値から所定値を差し引く補正を行う第2補正部を有し、
前記表示装置は、
前記第2補正部により補正された補正後の前記測定データが0以上a未満の時又は0以上a以下の時、空気が充填されている前記シリンジの前記プランジャを前記薬液注入装置が押圧している旨の表示を行う表示部を有する表示システム。
8. 7に記載の表示システムにおいて、
前記第2補正部は、空気が充填されている前記シリンジの前記プランジャを前記薬液注入装置が押圧した場合に前記測定装置により測定される測定値pに基づき決定された前記所定値を、前記測定値から差し引く表示システム。
9. 7に記載の表示システムにおいて、
前記第2補正部は、前記所定値を指定する入力を受付け、受付けた前記所定値を前記測定値から差し引く表示システム。
10. 7に記載の表示システムにおいて、
前記第2補正部は、前記シリンジ及び前記シリンジに充填される薬液の少なくとも一方に関する情報の入力を受付け、前記情報に基づき決定した前記所定値を、前記測定値から差し引く表示システム。
11. 1から10のいずれかに記載の表示システムにおいて、
前記シリンジは、前記シリンジに関する情報を付されたプレフィルドシリンジ又は空シリンジである表示システム。
12. 1から11のいずれかに記載の表示システムが有する測定装置。
13. 1から11のいずれかに記載の表示システムが有する表示装置。
14. コンピュータが、
薬液注入装置がシリンジのプランジャを押圧する圧力を測定する測定装置による測定結果に基づき、前記薬液注入装置が前記プランジャを押圧する圧力を表示する表示工程を実行し、
前記表示工程では、空気が充填されている前記シリンジの前記プランジャを前記薬液注入装置が押圧している場合、その旨の表示を行う表示方法。
15. コンピュータを、
薬液注入装置がシリンジのプランジャを押圧する圧力を測定する測定装置による測定結果に基づき、前記薬液注入装置が前記プランジャを押圧する圧力を表示する表示手段として機能させ、
前記表示手段に、空気が充填されている前記シリンジの前記プランジャを前記薬液注入装置が押圧している場合、その旨の表示を行わせるプログラム。