JP6643439B1 - レーザ加工方法、レーザ加工装置、及びレーザ加工品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1には、切断する部位が切断困難な厚さになる場合には、その部位に予め切り込み又は捨て孔を形成して、レーザ光の照射方向において切断可能な厚さになるよう処理する技術が記載されている。
例えば、フランジC12の切り込み622を形成する際には、フランジC12に対し、ノズルNからレーザ光LsAを外側側方から切り込み622に対応した経路で照射する。これにより、切り込み622の形状に対応した切り出し片622Hを切り出し、自重落下でフランジC12から分離させる。
そのため、切り込み622を形成する加工の現場では、作業者が切り出し片622Hの自重落下による分離の有無を確認し、切り出し片622HがフランジC12から分離していない場合には、それを分離する手作業が必要になっており、作業効率が低下している。
ウェブC13は、この温度昇降により、加熱される側の内面C13aが凹となる反り変形をしようとする。反り変形は、ウェブC13の、幅方向に延びる軸線CL1A回りの反り変形(矢印DR1)と、ウェブC13の長さ方向に延びる軸線CL1B回りの反り変形(矢印DR2)の合算として表現される。
そのため、部材温度の昇降に起因する反り変形は、ファイバレーザにおいて発生頻度が高く、発生した反り変形によって切り出し片が挟持されて落下しなくなる可能性も、ファイバレーザにおいて高くなっているのが実情である。
本発明の第2の態様によれば、レーザ光を射出する加工ヘッドと、レーザ光の射出及び前記加工ヘッドの所定の経路上の移動を制御する制御部とを備え、前記制御部は、第1の板状部位と前記第1の板状部位に交差する方向に接続する第2の板状部位とを有する被加工部材をレーザ光によって切断するよう制御する際に、前記第1の板状部位と前記第2の板状部位とに跨る切断線を設定し、前記第2の板状部位に対し、前記第2の板状部位の先端部に開口し前記切断線に沿う切り込み部を、前記切り込み部を形成することで切り出される切り出し片が先端部と根元部とに分割されるように、レーザ光の射出及び前記加工ヘッドの移動を制御して形成し、前記第1の板状部位を、レーザ光を一方向から照射して前記切断線に沿って切断するように、レーザ光の射出及び前記加工ヘッドの移動を制御するレーザ加工装置が提供される。
本発明の第3の態様によれば、第1の板状部位と前記第1の板状部位に交差する方向に接続された第2の板状部位とを有する被加工部材に対し、前記第1の板状部位と前記第2の板状部位とに跨る切断線を設定し、前記第2の板状部位に対し、前記第2の板状部位の先端部に開口し前記切断線に沿う切り込み部を、前記切り込み部を形成することで切り出される切り出し片が先端部と根元部とに分割されるようにレーザ光による切断加工で形成し、前記切り出し片の少なくとも前記根元部を除去した状態で、前記第1の板状部位を、レーザ光を一方向から照射して前記切断線に沿って切断して、レーザ加工品を製造するレーザ加工品の製造方法が提供される。
レーザ加工装置51は、このうちの、少なくともNC装置30及びレーザ加工機40を含んで構成されている。NC装置30は制御部の一例であり、レーザ加工機40は、レーザ光Lsを射出するノズルを有する加工ヘッド41(図7)及びレーザ発振器(不図示)を有する。レーザ加工装置51は、少なくとも形鋼又は鋼管を被加工部材とし、被加工部材の姿勢を転換させながらレーザ光Lsで切断などの加工を施すことができる。
CAD装置10の製品形状データ作成部11は、被加工部材から形成する製品Wp(図7)の製品形状データを作成する。CAM装置20は、被加工部材の展開図データ及びCAD装置10が作成した製品形状データに基づいて製品の展開図データを作成する。
スリット付加決定部23は、図11に示される手順で、割付けデータ作成部22が、切り込み部の形成を決定した場合の、フランジ端に開口する切り込み部の形成有無を判定し、切り込み部2a及び3a(図7参照)の形成時にスリット2s及び3s(図4及び図6参照)を付加するか否かを決定する(ステップS1〜S4)。この手順の詳細は後述する。
展開図T1において、稜線L12と稜線L13との間の範囲は、ウェブ1に対応したウェブ領域T11とされている。また、稜線L12から外側の範囲はフランジ2に対応したフランジ領域T12とされ、稜線L13から外側の範囲はフランジ3に対応したフランジ領域T13としている。
また、レーザ光Lsの照射の開始及び停止、レーザ光Lsの照射位置の所定の経路上の移動である加工ヘッド41の移動、溝形鋼Wの姿勢転換、並びに、加工に伴うビーム特性及びフォーカスの最適化などは、NC装置30により制御される。
(図3に示されるピアスmP2〜第1経路m1の形成)
フランジ領域T12の切り込み部2aとなる範囲において、板厚線L2aから所定の距離D3だけ外側に離れた位置に、レーザ光LsによってピアスmP2が形成される。次に、レーザ光LsをピアスmP2内に空照射した状態から、矢印DRaで示すように、レーザ光Lsが、板厚線L2aと平行に切断線Lc1まで延びる第1経路m1で移動されて、フランジ領域T12が切断される。その後、レーザ光Lsの照射が停止される。
レーザ光LsをピアスmP2内に空照射した状態から、矢印DRbで示すように、レーザ光Lsが、板厚線L2aと平行かつ第1経路m1とは反対方向に、切断線Lc1から幅D2となる位置までの第2経路m2で移動されて、フランジ領域T12が切断される。その後、レーザ光Lsの照射が停止される。
図4に示されるように、ピアスmP2と、第1経路m1及び第2経路m2とでスリット経路mS2が構成され、スリット経路mS2による切断加工でスリット2sが形成される。
切断線Lc1から幅D2となる位置において、矢印DRcで示すように、レーザ光Lsが、フランジ2の幅方向外側から切断線Lc1と平行に移動されて、板厚線L2aまでの直線の経路m31が切断される。レーザ光Lsが板厚線L2aに達したら、矢印DRdで示すように、板厚線L2aに沿って切断線Lc1まで経路m32が切断される。レーザ光Lsが切断線Lc1に達したら、矢印DReで示すように、切断線Lc1に沿ってフランジ領域T12の外縁T12aを抜けるまでの経路m33が切断される。経路m31〜m33をまとめて第3経路m3と称する。
(図6に示されるピアスmP3及び第4経路m4〜第5経路m5の形成)
ピアスmP3及び第4経路m4〜第5経路m5は、フランジ3にスリット3sを形成する経路であり、フランジ領域T12におけるピアスmP2及び第1経路m1〜第3経路m3と同様にフランジ領域T13に設定される。
すなわち、ピアスmP3はピアスmP2に対応し、第4経路m4及び第5経路m5はそれぞれ第1経路m1及び第2経路m2に相当する。図6に示されるように、ピアスmP3と第4経路m4及び第5経路m5により、スリット経路mS3が構成され、スリット経路mS3の切断加工によって、フランジ3にスリット3sが形成される。
切断線Lc1から幅D2となる位置において、矢印DRfで示すように、レーザ光Lsが、フランジ3の幅方向外側から切断線Lc1と平行に移動されて、板厚線L3aまでの直線の経路m61が切断される。レーザ光Lsが板厚線L3aに達したら、矢印DRgで示すように、板厚線L3aに沿って切断線Lc1まで経路m62が切断される。レーザ光Lsが切断線Lc1に達したら、矢印DRhで示すように、切断線Lc1に沿ってフランジ領域T13の外縁T13aを抜けるまでの経路m63が切断される。経路m61〜m63をまとめて第6経路m6と称する。
<製品Wpの切り出し>
(図6に示される切断線Lc1に沿った経路mcの切断)
第6経路m6までの加工で切り込み部2a及び3aが形成されたら、レーザ光Lsが一方向から照射されて切断線Lc1に沿って移動され、切断線Lc1を切断面とする経路mcが切断される。経路mcは、フランジ領域T12の板厚線L2aとフランジ領域T13の板厚線L3aとの間、或いは板厚線L2aと板厚線L3aとの間を含むそれよりも少し長い経路で切断線Lc1に沿って設定される。
これにより、溝形鋼Wは、図6において切断線Lc1の右側の部分である製品Wpと、左側の非製品である端材Whとに分離される。すなわち、製品切断の経路mcによる製品Wp側の切断面が製品Wpの外形端面となる。
そのため、切り込み先端片3ah2が図7に示されるようにフランジ3に挟持されたままであっても、溝形鋼Wのウェブ1を連続的に良好に切断することができる。もちろん、図7に示される切り出し片2ahのように、切り込み根元片2ah1及び切り込み先端片2ah2の両方が自重で落下すれば、溝形鋼Wを良好に切断することができる。
フランジ2における切り込み部2aの範囲外の、板厚線L2aから所定の距離D5だけ離れた位置に、レーザ光LsによってピアスmAP2が形成される。次に、レーザ光LsをピアスmAP2内に空照射した状態から、矢印DRiで示すように、レーザ光Lsが、板厚線L2aと平行に切断線Lc1まで延びる第1経路mA1で移動されて、フランジ領域T12が切断される。その後、レーザ光Lsの照射が停止される。
切断線Lc1から幅D2となる位置において、矢印DRjで示すように、レーザ光Lsが、フランジ領域T12の外側から切断線Lc1と平行に移動されて、板厚線L2aまでの経路mA21が切断される。レーザ光Lsが板厚線L2aに達したら、矢印DRkで示すように、板厚線L2aに沿って切断線Lc1までの経路mA22が切断される。レーザ光Lsが切断線Lc1に達したら、矢印DRmで示すように、切断線Lc1に沿ってフランジ領域T12の外縁T12aを抜けるまでの経路mA23が切断される。経路mA21〜mA23をまとめて第2経路mA2と称する。
一方、ステップS1での判定が是(YES)で、切り込み部2aを形成するとした場合、スリット付加決定部23は、切り込み部2aにおいてスリット2sを形成する位置を設定する(ステップS2)。具体的には、スリット2sを形成する位置を、フランジ2の先端部2bから15mmの位置と、先端部2bからフランジ2の高さHfの1/3の位置とのうちの小さい方とする。また、板厚線L2aから設定したスリット2sの位置までの距離D3が所定値未満となる場合には、製品切断の経路mcでの切断時にウェブ1を通過したレーザ光Lsの抜けに影響する可能性があるので、スリットの付与有無は、他の要素も考慮した上で人為的に判断される。距離D3の所定値は、例えば30mmである。
幅D2が小さく切り出し片2ah及び3ahが過度に細長くなると、質量が小さくなる上に、引っ掛りが生じて自重落下しにくくなる。所定値D2aは、例えば2mmである。
CAM装置20の割付けデータ作成部22は、ビームLsdの中心CL1の第4経路m4の終点位置を、切断線Lc1に接近するビームLsdが切断線Lc1に掛かり始める位置P11よりも手前とする。すなわち、終点位置を、切断線Lc1からビームLsdの半径r1以上離れた位置とする。
例えば、終点位置を、切断線Lc1との距離が直径Rとなる位置にする。この場合、ビームLsdの中心CL1が、切断線Lc1よりも直径Rだけ手前の位置P12に達したらレーザ光Lsの移動を停止させる。この制御は、第4経路m4に相当する第1経路m1(図3)及びmA1(図8)においても同様に行うことができる。
以上説明した切り出し片2ah及び3ahに対するスリット2s及び3sの付加は、被加工部材がどのような形状であっても、次の場合に適用できる。すなわち、被加工部材をレーザ光Lsで切断する加工において、被切断部位の切断厚さが、被加工部材の形状に起因して切断不能な程度に大きくなるときに、予め切断厚さを小さくする前加工として被切断部位に切り込み部を形成できる場合に適用できる。
制御部としてのNC装置30は、レーザ加工装置51において一体構造として備えられていなくてもよい。NC装置30をレーザ加工機40に対して別体とし、レーザ加工機40と無線又は有線で通信可能なように設けてもよい。
1a 内面
2,3 フランジ
2a,3a 切り込み部
2ah,3ah 切り出し片
2ah1,3ah1 切り込み根元片
2ah2,3ah2 切り込み先端片
2b 先端部
2s,3s スリット
3a1 開口部
10 CAD装置
11 製品形状データ作成部
20 CAM装置
21 加工範囲・加工順決定部
22 割付けデータ作成部
23 スリット付加決定部
30 NC装置
40 レーザ加工機
41 加工ヘッド
51 レーザ加工装置
CL1 中心
D1 距離
D2 幅
D2a 所定値
D3,D4 距離
Lc1 切断線
Ls レーザ光
Lsd ビーム
L12,L13 稜線
L2a,L3a 板厚線
L12a,L13a 内側板厚線
mc 経路
mP2,mP3,mAP2 ピアス
mS2,mS3,mSA2 スリット経路
m1〜m6 第1〜6経路
mA1 第1経路
m31,m32,m33,m61,m62,m63 経路
mA2 第2経路
mA21,mA22,mA23 経路
Pk ピアス痕
P11,P12 位置
P2 点
P3 交点
ST レーザ加工システム
t1 板厚
T1 展開図
T11 ウェブ領域
T12,T13 フランジ領域
T12a,T13a 外縁
W 溝形鋼(被加工部材)
Wa 端面
Wh 端材
Wp 製品
Claims (4)
- 第1の板状部位と前記第1の板状部位に交差する方向に接続された第2の板状部位とを有する被加工部材に対し、前記第1の板状部位と前記第2の板状部位とに跨る切断線を設定し、
前記第2の板状部位に対し、前記第2の板状部位の先端部に開口し前記切断線に沿う切り込み部を、前記切り込み部を形成することで切り出される切り出し片が先端部と根元部とに分割されるように、レーザ光による切断加工で形成し、
前記第1の板状部位を、レーザ光を一方向から照射して前記切断線に沿って切断する
レーザ加工方法。 - レーザ光を前記切断線に接近させる方向に移動させて、前記切り出し片を前記先端部と前記根元部とに分割し、
前記切断線に接近させる方向に移動させたレーザ光を、前記切断線から、前記切断線に沿って前記切り込み部を切断するときに照射するレーザ光のビームの半径以上の距離だけ離れた位置で停止させる
請求項1記載のレーザ加工方法。 - レーザ光を射出する加工ヘッドと、
レーザ光の射出及び前記加工ヘッドの所定の経路上の移動を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、第1の板状部位と前記第1の板状部位に交差する方向に接続する第2の板状部位とを有する被加工部材をレーザ光によって切断するよう制御する際に、
前記第1の板状部位と前記第2の板状部位とに跨る切断線を設定し、
前記第2の板状部位に対し、前記第2の板状部位の先端部に開口し前記切断線に沿う切り込み部を、前記切り込み部を形成することで切り出される切り出し片が先端部と根元部とに分割されるように、レーザ光の射出及び前記加工ヘッドの移動を制御して形成し、
前記第1の板状部位を、レーザ光を一方向から照射して前記切断線に沿って切断するように、レーザ光の射出及び前記加工ヘッドの移動を制御する
レーザ加工装置。 - 第1の板状部位と前記第1の板状部位に交差する方向に接続された第2の板状部位とを有する被加工部材に対し、前記第1の板状部位と前記第2の板状部位とに跨る切断線を設定し、
前記第2の板状部位に対し、前記第2の板状部位の先端部に開口し前記切断線に沿う切り込み部を、前記切り込み部を形成することで切り出される切り出し片が先端部と根元部とに分割されるようにレーザ光による切断加工で形成し、
前記切り出し片の少なくとも前記根元部を除去した状態で、前記第1の板状部位を、レーザ光を一方向から照射して前記切断線に沿って切断して、レーザ加工品を製造する
レーザ加工品の製造方法。
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