JP6640125B2 - 運転の中断を伴う化学製品の製造方法 - Google Patents
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Description
化学製品または化学組成物を製造する方法であって、以下のステップ:
(I)少なくとも1種の基質を質量流量m1で反応装置に導入し、前記少なくとも1種の基質を前記反応装置で反応させて、少なくとも1種の化学製品または化学組成物を形成するステップ;
(II)ステップ(I)で得られる反応混合物をワークアップ装置でワークアップして、粗生成物と、該粗生成物から分離された成分を含んでなる少なくとも1つの副流とを得るステップ;および
任意のステップ(III)〜(V):
(III)ステップ(II)で得られる前記粗生成物を少なくとも1つの精製装置で精製して、精製された最終生成物と、この精製された最終生成物から分離された成分を含んでなる少なくとも1つの副流とを得るステップ、
(IV)ステップ(II)で得られる前記少なくとも1つの副流をワークアップユニットでワークアップするステップ;
(V)ステップ(III)で得られる前記少なくとも1つの副流をワークアップユニットでワークアップするステップ、
を含んでなり、
ステップ(I)〜(V)のうちの実行されるステップからの1つ以上のプラントセクションのシャットダウン時に、ステップ(I)における前記質量流量m1をゼロに低減し、シャットダウンされていないプラントセクションの少なくとも1つにおいて、プラントセクションの出力流をそれぞれのプラントセクションまたは上流のプラントセクションへの入力流として再度使用する、方法。本発明のこの方法は、好ましくは、ステップ(I)〜(III)、より好ましくはステップ(I)〜(IV)、最も好ましくはステップ(I)〜(V)を含んでなる。
(I)少なくとも1種の基質、好ましくは複数の(特に2種の)基質の変換を実施するための反応装置、
(II)反応装置(I)で得られる生成物混合物から粗生成物を、該粗生成物から分離された成分を含んでなる少なくとも1つの副流と共に得るためのワークアップ装置を含んでなり、および、
任意のプラントセクション(III)〜(V):
(III)前記ワークアップ装置(II)で得られる粗生成物を精製して、精製された最終生成物を得、この精製された最終生成物から分離された成分を含んでなる少なくとも1つの副流を除去するための精製装置、
(IV)前記ワークアップ装置(II)で得られる前記少なくとも1つの副流をワークアップするためのワークアップユニット、
(V)前記精製装置(III)で得られる前記少なくとも1つの副流をワークアップするためのワークアップユニット、
を好ましくは含んでなり、
該プラントは、プラントセクション(I)〜(V)のうちの存在する1つ以上のプラントセクションのシャットダウン時に、前記少なくとも1種の基質の前記反応装置(I)へのさらなる導入が起こらず、互いに独立して、または同時に、前記シャットダウンにより影響を受けない少なくとも1つのプラントセクションにおいて、出力流を再循環させ、それぞれのプラントセクションまたは上流のプラントセクションへの入力流として使用できるように構成されている。「プラントセクション(I)〜(V)のうちの存在する1つ以上のプラントセクションのシャットダウン時に、少なくとも1種の基質の反応装置(I)へのさらなる導入が起こらない」ようなプラントの構成は、プラントセクションのシャットダウンの前、または前記シャットダウンと同時に、基質の供給を中断すること、言い換えると、シャットダウンにより影響を受けない少なくとも1つのプラントセクションにおける循環モードの設定の前、または前記設定と同時に、基質の供給を中断することを意味するように理解されるべきである。装置に関して、これは、様々な方法で達成され得、例えば、1つ以上のプラントセクションのシャットダウン時に(1つ以上のプラントセクションを循環モードに調整する時に)基質の供給を自動的に中断するプロセス制御ユニットを組み込むことによって達成され得る。基質の供給の中断時にだけ循環モードへの調整を可能にするバリア回路を設置することも考えられる。好適なソフトウェアおよびハードウェア製品が市販されており、当業者に知られている。あらゆる必要となるプログラミングおよび適応作業は、当業者にとって慣習的なルーチン業務に含まれる。このプラントは、本発明の方法を実施できるように特別に構成されていることを理解されたい。上記のプラントセクションは、本発明の方法のステップに対応する。従って、本発明の方法の利点および効果は、本発明のプラントにも当てはまる。
(I)少なくとも1種の基質、好ましくは複数の(特に2種の)基質の変換を実施するための反応装置、
(II)反応装置(I)で得られる生成物混合物から粗生成物を、該粗生成物から分離された成分を含んでなる少なくとも1つの副流と共に得るためのワークアップ装置を含んでなり、および、
任意のプラントセクション(III)〜(V):
(III)前記ワークアップ装置(II)で得られる粗生成物を精製して、精製された最終生成物を得、この精製された最終生成物から分離された成分を含んでなる少なくとも1つの副流を除去するための精製装置、
(IV)前記ワークアップ装置(II)で得られる前記少なくとも1つの副流をワークアップするためのワークアップユニット、
(V)前記精製装置(III)で得られる前記少なくとも1つの副流をワークアップするためのワークアップユニット、
を好ましくは含んでなるものであり、
以下のステップ:
(i)前記反応装置(I)への少なくとも1種の基質、好ましくは全ての基質の供給を止めるステップ、
(ii)それぞれのプラントセクションの出力流を該プラントセクションまたは上流のプラントセクションへの入力流として使用するように、少なくとも1つのプラントセクションを運転するステップ;
(iii)少なくとも1つのプラントセクションをシャットダウンするステップ、
を含んでなる。
(iv)ステップ(iii)でシャットダウンした前記少なくとも1つのプラントセクションを開放する任意のステップ;
(v)ステップ(iii)でシャットダウンした前記プラントセクションで、保守、清掃、点検、および/または修理処置を実施するステップ;
(vi)ステップ(v)からの前記少なくとも1つのプラントセクションを必要に応じて閉鎖する、および必要に応じて不活性化するステップ;
(vii)ステップ(vi)からの前記少なくとも1つのプラントセクションをスタートアップするステップ;
(viii)前記反応装置(I)への前記少なくとも1種の基質の供給を開始するステップ、
を含んでなる。
i)製造停止のためのプラントの停止および再始動にかかる時間が大幅に短くなるので、プラントの稼働率が上がるため、生産性が向上する。
ii)プラントの容量を大きくするための資本コストがかからない。
iii)長いシャットダウン期間を緩和するために最終生成物タンクを大きくするための資本コストがかからない。
iv)過剰な廃品、廃水、およびさらに精製しなければならないオフガスの発生を防ぐ。プラントを完全に再始動しなければならない場合に、これらは発生し得る。
v)多くの場合において、再始動が必要なシャットダウンプラントセクションに必要とされる準備、例えば、添加剤および供給原料の加熱、または装置などの加熱が必要ないので、エネルギーを節約できる。
vi)多くの場合において、コンデンセートおよび窒素などの添加剤を節約できる。
vii)シャットダウン時にポンプまたは圧縮機がスイッチオフされる時に、それらのスリップリングシールが毎回再始動の影響を受けるので、修理を要するポンプまたは圧縮機の脆弱性が低減される。従って、修理が続くことが避けられ、このことは、また、プラントの生産性および保守コストに対して好ましい効果を有す。
50t/時のニトロベンゼンの製造負荷で、硫酸流、硝酸流、フレッシュベンゼン流、およびリターンベンゼン流をニトロ化反応装置に計量して入れた。硝酸を基準として5%〜10%過剰なベンゼンを使用した。断熱反応機構で硝酸とベンゼンを変換してニトロベンゼンを得ることが完了したら、この時点で約130℃の反応生成物を相分離装置に送り、相分離装置において、反応生成物を有機相(=ニトロベンゼンだけでなくベンゼンも含有する粗ニトロベンゼン)および水相(=硫酸だけでなくニトロベンゼンおよびベンゼンも少ない割合で含有する廃酸)に分離させた。主に硫酸を含んでなる水相を、蒸発装置で圧力を急激に下げることによる水のフラッシュ蒸発に付し、これによって濃縮した。濃縮した硫酸を再利用のために硫酸タンクに貯蔵した。粗ニトロベンゼンを相分離装置で取り出した後、粗ニトロベンゼン冷却オペレーションで約50℃に冷却し、洗浄オペレーションに送った。ニトロフェノールおよび塩を実質的に除去し、これによって得られた精製された粗ニトロベンゼン流を再度加熱し、蒸留カラムで水、ベンゼン、塔頂で除去されるその他の低沸点溶剤を除去し、乾燥した純ニトロベンゼンを得た。蒸留カラムからの濃縮された塔頂生成物を相分離装置に送り、相分離装置において、塔頂生成物を(ベンゼンを含んでなる)有機相および水相へ分離させた。有機相を直ちにバッファータンクに貯蔵し、上記で既に記載したように、反応のためにニトロ化反応装置の供給装置へと戻した。このようなプラントの電力消費は、約890kW/時である。
プラントの短いシャットダウンは、ニトロ化領域で清掃オペレーションを実施するのに役立った。この目的のために、プラントを完全に停止した。すなわち、ニトロ化、洗浄、蒸留、酸性水ワークアップ、およびアルカリ性廃水ワークアップを停止した。エネルギー供給を清掃オペレーションの間スイッチオフした。清掃オペレーション後、プラントを再度スタートアップした。このために、プラント全体を前もって不活性化、充填、および加熱する必要があった。
第1に、ニトロ化装置をシャットダウンした:ベンゼンおよび硝酸の入力流用の定量ポンプをスイッチオフした。ベンゼンおよび硝酸原材料の5分後に、フラッシュ蒸発装置からの蒸気を止めた。ニトロ化装置、相分離装置、フラッシュ蒸発装置、および循環硫酸リザーバータンクからなるニトロ化回路から全有機物質が排出されるまで1時間、硫酸の循環を続けた。次に、循環ポンプをスイッチオフすることにより、100℃での硫酸の循環を中断した。ニトロ化装置、相分離装置、およびフラッシュ蒸発装置を硫酸がある状態で放置した。残りの循環硫酸は、硫酸リザーバータンクにあった。硫酸の全量は、74トンであった。循環ポンプと同時に、フラッシュ蒸発装置への真空ポンプをスイッチオフし、窒素で真空状態を解除した。そして、ニトロ化回路は停止となった。2時間の時間がかかり、真空状態の解除に1時間がかかった。
相分離装置から粗ニトロタンクへの粗ニトロベンゼンの送り込みにおいて、ベンゼン予熱装置の詰まりを取り除くことが必要であった。
製造プラント全体に存在する真空ポンプを事前に運転状態にした。相分離装置および洗浄したベンゼン予熱装置を100m3(STP)の窒素で不活性化した。
処置にかかった合計時間は15時間であった。このことは、十分な人員が利用可能であり、技術的困難が生じない場合に当てはまる。清掃自体にかかった時間は8時間であった。シャットダウンのために、2.5時間が必要であった。スタートアップには4.5時間かかった。
プラントの短いシャットダウンは、ニトロ化領域での清掃オペレーションに役立った。この目的のために、ニトロ化領域を完全に停止し、洗浄装置、蒸留装置、ならびに酸性およびアルカリ性廃水ワークアップ装置などのその他のプラントセクションを循環モードにした。清掃オペレーション中のエネルギー供給をニトロ化領域でのみスイッチオフした(真空装置はスタンバイ状態のままであった)。清掃オペレーション後、プラントを再度スタートアップした。このために、ニトロ化領域のみ完全に不活性化、充填、および加熱する必要があった。
第1に、ストリッパーの底部ポンプによって、廃水チャンネルへの酸性廃水の排出を酸性水リザーバータンクへと戻すように切り替えることにより、酸性水ワークアップ装置を循環モードにした。これには10kW/時を要する。酸性水ストリッパーへの蒸気を1.2t/時から0.7t/時の6バールの蒸気へと減速させた。酸性水ポンプによる酸性水リザーバータンクから酸性水ストリッパーへの酸性水の送り込みは10kW/時を要し、20m3から13m3に低減した。酸性水ワークアップ装置の循環モードへの切り替えは、オートメーションにより33秒以内に起こった。
清掃処置を実施例1に記載のように実施した。
フラッシュ蒸発装置用真空ポンプを事前に運転状態にした。相分離装置および洗浄したベンゼン予熱装置を100m3(STP)の窒素で不活性化した。硫酸循環ポンプを始動し、硫酸をニトロ化装置、相分離装置、フラッシュ蒸発装置、および硫酸リザーバータンクを循環させて流すことにより、ニトロ化装置を始動させてプラントのスタートアップを開始した。フラッシュ蒸発装置において、真空装置は既に始動されており、次に、2.4t/時の6バールの蒸気を加え、循環硫酸を出発温度へ加熱した。93℃に冷却された循環硫酸を100℃に温めるまで、このオペレーションに1時間がかかった。次に、ベンゼンポンプおよび硝酸ポンプを始動することにより、25t/時のニトロベンゼンの製造量に相当するネームプレートの容量の50%で、ニトロ化装置を始動した。1分後、反応生成物は相分離装置に達し、酸性水ストリッパーを酸性廃水を排出するように設定し、蒸留装置の底部カラムをニトロベンゼン最終生成物を製品として排出するように設定した。同時に、アルカリ性廃水ワークアップ用ストリッパーをTDZへ排出するように切り替え、TDZを循環モードから廃水チャンネルへ排出するように切り替えた。製造プラントをネームプレートの負荷へと試運転することは、近代的製造プラントにおいて自動化されているが、さらに1時間かかった。
処置にかかった合計時間は11時間12分であった。このことは、十分な人員が利用可能であり、技術的困難が生じない場合に特に当てはまる。清掃自体にかかった時間は8時間であった。循環モードへと停止するのに2時間11分かかった。循環モードからスタートアップするのに1時間1分かかった。
完全な停止(比較例1)対本発明に係る循環モード(実施例2)に関する結論として、必要となる電力およびコンデンセートの量が多くなることは、窒素の消費が少なくなることよりも、特に、製造量が多くなることによって顕在化されるプラントの高い稼動率により埋め合わされるということが言える。蒸気の消費はほぼ同じである。清掃処置について節減された時間は、3時間48分であり、これは、ニトロベンゼンの製造量が190トン増えることに相当する。
洗浄オペレーションにおける修理処置のためのプラントの短いシャットダウン:この目的のために、プラントを完全に停止した。すなわち、ニトロ化、洗浄、および蒸留を停止した。エネルギー供給を修理処置の間スイッチオフした。修理後、プラントを再度スタートアップした。このために、プラント全体を不活性化、充填、および加熱する必要があった。
実施例1に記載のようにプラントをシャットダウンした。装置、ポンプ、およびパイプラインをパージし空にするのにかかる時間を除き、TDZを停止するのにかかる時間を無視すると、完全な停止には、また2時間かかった。
中性洗浄における漏れが起こるパイプラインのシーリング:この目的のために、下流の洗浄装置で影響を受けたパイプラインを10m3の窒素を吹き付けてきれいにした。次に、パイプラインを2m3のコンデンセートでパージし、空にした。続いて、パイプラインの破損したシールを交換した。修理処置は合計で1.5時間かかった。近代の自動化された製造プラントにおいて、修理のための準備、すなわちパイプラインのパージに要する人員の数は、重要な役割を担う。この場合、追加の製造労働者が1人必要である。破損したシールを交換するためのパイプラインの解体および組み立てのための労働者も必要である。
製造プラント全体に存在する真空ポンプを事前に運転状態にした。続いて、プラントを比較例1に記載のように再始動した。プラントを4.5時間後に再びスタートアップし、ネームプレートの負荷へと試運転することができた。
十分な人員が利用可能であり、技術的困難が生じなかったので、処置にかかった合計時間は、8.5時間であった。修理自体にかかった時間は1.5時間であった。シャットダウンのために、2.5時間が必要であった。スタートアップには4.5時間かかった。従って、合計450トンのニトロベンゼンの製造が損なわれた。蒸気消費量は、6バールの蒸気が3.4トン、16バールの蒸気が8トン、および110バールの蒸気が4.8トンであった。プラントの停止において、蒸気を消費しなかった。合計で610m3(STP)の窒素が必要であり、そのうち、停止には、550m3(STP)、プラントの再始動には、50m3(STP)、さらに、修理処置には、10m3(STP)が必要であった。
ニトロベンゼン洗浄装置における修理オペレーションのためのプラントの短いシャットダウン:この目的のために、洗浄装置および蒸留装置を完全に停止した。ニトロ化装置ならびに酸性およびアルカリ性廃水ワークアップ装置などのその他のプラントセクションを循環モードにした。修理オペレーション中のエネルギー供給を洗浄装置および蒸留装置でのみスイッチオフした(真空装置はスタンバイ状態のままであった)。修理後、プラントを再始動した。
第1に、ストリッパーの底部ポンプによって、廃水チャンネルへの酸性廃水の排出を酸性水リザーバータンクへと戻すように切り替えることにより、酸性水ワークアップ装置を循環モードにした。これには10kW/時を要する。酸性水ストリッパーへの蒸気を1.2t/時から0.7t/時の6バールの蒸気へと減速させた。酸性水ポンプによる酸性水リザーバータンクから酸性水ストリッパーへの酸性水の送り込みは10kW/時を要し、20m3から13m3に低減した。酸性水ワークアップ装置の循環モードへの切り替えは、オートメーションにより29秒以内に起こった。
修理処置を比較例2に記載のように実施した。かかった時間は、また1.5時間であった。循環モード中の蒸気消費量は、6バールの蒸気が1.6トン、110バールの蒸気が0.4トンであった。循環モード中、真空ポンプおよび硫酸循環ポンプの運転に、400kWの電力が必要であった。
第1に、粗ニトロベンゼンポンプを始動して粗ニトロベンゼンタンクから酸性洗浄装置への粗ニトロベンゼンの供給を運転状態にすることにより、洗浄装置を始動した。その後、酸性、アルカリ性、および中性洗浄水の経路をそれぞれのポンプをスイッチオンすることにより始動した。次に、酸性、アルカリ性、および中性洗浄装置を経る粗ニトロベンゼンの経路を、それぞれの洗浄装置の上流の粗ニトロベンゼン用デリバリーポンプをスイッチオンすることにより始動した。粗ニトロベンゼンおよび洗浄水で満たした洗浄装置は45℃であったが、製造プラントを始動した後、徐々に温めて48℃に戻した。
処置にかかった合計時間は3時間41分であった。修理自体にかかった時間は1.5時間であった。循環モードへと停止するのに11分かかった。循環モードからスタートアップするのに1時間1分かかった。
完全な停止(比較例2)対本発明に係る循環モード(実施例2)に関する結論として、循環モードで消費される蒸気、電力、窒素、およびコンデンセートの量の方が少なかったということが言え、それに加えて、製造量が多くなることによって顕在化されるプラントの稼動率が明らかに高いということが言える。修理処置について節減された時間は、5時間48分であり、これは、ニトロベンゼンの製造量が290トン増えることに相当する。
連続的反応過程(ステップa))において、24.3t/時の投入量のアニリン(90質量%のアニリンを含有)、および9.9t/時の32%ホルムアルデヒド水溶液(ホルマリン)(アニリン対ホルムアルデヒドのモル比は2.1:1)を、攪拌反応タンクで90℃、絶対圧1.4バールで混合し、アミナールに変換した。反応タンクに冷却回路ポンプを有する冷却装置を付けた。反応タンクを出る反応混合物を相分離装置(アミナール分離装置)に導いた(ステップb))。水相を除去するための相分離後、有機相を混合ノズルで30%の塩酸と混合し(10%のプロトン付加レベル、すなわち、1モルのアミノ基当り0.1molのHClを加える)、第1の転移反応装置へと流した。転移反応を反応装置カスケードで45℃〜165℃で実施した(ステップc))。反応が完了時したら、得られた反応混合物を32%水酸化ナトリウム溶液と1.1:1の水酸化ナトリウム対HClのモル比で混合し、攪拌中和槽で反応させた(ステップd))。温度は115℃であり、絶対圧は1.4バールであった。次に、中和した反応混合物を、中和分離装置で、廃水収集槽に導かれる下相の水相、および有機相に分離した(ステップe))。上相の有機相を洗浄オペレーションに導き、攪拌洗浄槽で、コンデンセートおよび/または廃水カラムの側流(アニリン/水混合物)からの水で洗浄した(ステップf))。洗浄水を洗浄水分離装置で除去した(ステップg))後、このようにして得られた粗MDAから蒸留により水およびアニリンを除去し、17t/時のMDAを底部生成物として得た(ステップh))。
まず、アニリンでパージすることにより非常に迅速にプラントを空にすることができるように、アニリン、粗MDA、および廃水などの全て再処理しなければならない廃品を最小量で生じさせるためにも、実施例1からの製造プラント全体を製造負荷が10t/時のMDAとなるようにした。
真空を解除するために20m3(STP)の窒素、および蒸留装置の循環モードのために500kWの電力を消費した。また、転移反応装置の反応装置カスケードにおいて必要となる蒸気が多くなり、6バールの蒸気が5トン、16バールの蒸気が5トン必要であった。また、アミナール反応で使用する前に処理しなければならない10トンのパージアニリンが生じた。
洗浄槽の欠陥のある攪拌器ユニットを交換する必要があった。
全プラントセクションを最初に循環モードにした。プラントの再始動を、プラント全体の全回路を並行して始めることにより開始した。まず、プラントセクションをアニリンおよび/またはHClまたはNaOHなどの添加剤で満たした。
まず、アニリンリザーバーをアニリンリザーバータンクからのフレッシュアニリンで満たした。次に、アニリンがサイフォンを通ってアミナール分離装置に入るまで、空のアミナール反応装置をアニリンで満たした。アミナール分離装置がアニリンで半分満たされたら、アミナール反応装置へのアニリン流を止め、アミナール分離装置からのポンプによりアミナールの循環モードを実行する。次に、アミナール分離装置からアミナール反応装置へと4t/時のアニリンを1つの回路内でポンプによりくみ出した。かかった時間:3時間。
第1の転移反応装置をアニリンリザーバータンクからのフレッシュアニリンで60%のレベルまで満たした。次に、アニリン流を止め、第1の転移反応装置から、排出ポンプにより24t/時のフレッシュアニリンを1つの回路内にくみ出した。反応装置カスケードの残りの転移反応装置を、アニリン、塩酸、および微量の粗MDAからなる酸性排出槽からの混合物で満たし、転移循環モードを、最後の転移反応装置から第2の転移反応装置の転移反応装置のポンプにより、運転中に設定した。次に、10t/時の酸性排出槽からの混合物を1つの回路内にポンプでくみ出し、蒸気で100℃に加熱した。酸性排出槽からの残った15トンの混合物を、製造過程で後に加えなければならないが、このことは、最終生成物の二環式の含有量が変動することを意味する。かかった時間:8時間。
水酸化ナトリウム溶液リザーバータンクからの2トンの32%水酸化ナトリウム溶液、およびコンデンセートリザーバー槽からの8トンのコンデンセートを、攪拌中和槽に流した。次に、攪拌中和槽を充填し、2トンの希水酸化ナトリウム溶液をサイフォンを通して中和分離装置に流した。中和分離装置のポンプによって、希水酸化ナトリウム溶液を中和分離装置から攪拌中和槽へとくみ出すことにより、循環モードを運転中に設定した。次に、4t/時の希水酸化ナトリウム溶液を、中和分離装置から攪拌中和槽へと1つの回路内にくみ出した。かかった時間:4時間。
洗浄オペレーション装置の攪拌槽および連結された分離装置は、プラントをスタートアップするまで、空のままであった。
蒸留リザーバーをアニリンリザーバータンクからのフレッシュアニリンで60%の充填レベルまで満たした。蒸留リザーバーの次に、熱交換器、凝縮システムを有する先行蒸留カラム、底部吹出孔を有するMDAカラム、および蒸気発生器からなる完全な蒸留装置をフレッシュアニリンで満たし、フレッシュアニリンを止め、10t/時のフレッシュアニリンを先行蒸留カラムおよびMDAカラムを通して1つの回路内に流した。続いて、蒸留装置の真空装置を運転中にし、蒸留装置全体を蒸気で100℃に加熱した。かかった時間:5時間。
廃水を廃水タンクから廃水収集槽へポンプでくみ出した。次に、廃水を廃水収集槽から廃水加熱器およびアニリン分離槽に送った。次に、アニリンリザーバータンクからのフレッシュアニリンを廃水加熱器に加え、次いで、廃水加熱器を90℃に加熱し、廃水加熱器からのフレッシュアニリンと廃水の混合物をアニリン分離槽および廃水収集槽を通して1つの回路内に流した。廃水蒸留装置は、プラントをスタートアップするまで、運転停止のままであった。かかった時間:5時間。
それぞれの運転セグメントが循環状態となっているプラントを再度試運転するための準備で記載されているようにプラントを運転した。このことは、プラントは加熱され、攪拌器は運転中であり、窒素によるブランケッティング圧力および減圧が必要とされる領域で利用可能であったことを意味する。供給原料および添加剤は、使える状態であった。
真空システムを有する蒸留装置は、循環モードであった。先行蒸留カラムおよびMDAカラムの真空システムを運転中にし、120ミリバールの絶対圧に設定した。次に、先行蒸留カラムへの16バールの蒸気(消費量:40トン)、およびMDAカラムへの110バールの蒸気(消費量:10トン)を開放し、カラムを加熱した。先行蒸留カラムの温度は、190℃であり、MDAカラムの温度は、225℃であった。循環モードの期間、蒸留に必要なアニリンを、アニリンリザーバーから蒸留装置のポンプリザーバーに送り込んだ。蒸気発生器は運転中であった。そして、蒸留装置の運転セグメントは、粗MDAを受け入れることができる状態となった。かかった時間:3時間。
蒸留装置が粗MDAを受け入れることができる状態になる30分前に、アニリンをアミナール反応装置に対して開放し、10分後にホルマリン流を開始することにより、アミナールの製造を始めた。同時に、アミナール分離装置から転移反応装置の第1の反応装置への90℃の有機相の経路を開放し、第1の転移反応装置の温度を減圧により50℃に下げた。ここで、転移反応装置の酸性触媒作用を塩酸で開始することが可能となった。アミナール分離装置で得られたアミナール水を廃水ワークアップ装置に送った。そして、アミナール反応の運転セグメントは始動され、アミナール溶液を転移反応装置へ流した。かかった時間:15分。
塩酸流を運転中にし、第1の転移反応装置の温度が達成されたら、他の転移反応装置および反応装置カスケードの遅延タワーを60℃へ加熱し、最後の反応装置が165℃になるまで加熱した(消費量:60トンの16バールの蒸気)。そして、転移反応装置の運転セグメントは始動され、MDA、アニリン、および塩酸からなる縮合溶液(粗MDA)を次に中和した。かかった時間:10分。
水酸化ナトリウム溶液および洗浄水を攪拌中和槽に流すことにより、水酸化ナトリウム溶液定量ユニットを運転中にした。10分後、転移反応装置からの酸性縮合溶液の経路を開放した。そして、中和装置の運転セグメントは始動され、粗MDAを洗浄することが可能となった。かかった時間:10分。
116℃の中和した粗MDAはMDA洗浄器に到達し、粗MDAをコンデンセートで洗浄した。コンデンセートおよび/またはプロセス廃水カラムからの側流からなる洗浄水の添加を開始した。そして、洗浄装置の運転セグメントは始動された。粗MDAは、相分離装置に残り、粗MDAを蒸留装置に流した。かかった時間:5分。
中和装置および洗浄装置が運転するようになったら直ぐに、廃水抽出装置および廃水蒸留装置を運転中にすることにより、廃水ワークアップ装置を始動した。この目的のために、廃水収集槽に達した、上記のプロセスステップ(中和、洗浄、および蒸留)から得られた廃水を、ポンプにより、プロセス廃水加熱器を通過させてアニリン分離槽へと流した。抽出された廃水は、そこから廃水蒸留装置へと流れた。廃水蒸留装置を20トンの6バールの蒸気で107℃に加熱し、廃水は、製造プラントに残った。かかった時間:2時間。
完全な製造シャットダウン(停止、処置、およびスタートアップ)にかかる時間は、73時間に亘った。
まず、製造プラント全体を、その後プラント全体を循環モードにするために、比較例3のように最適な製造負荷である10t/時のMDAにした。
真空の解除に20m3(STP)の窒素、プラントを循環モードにするのに3825kWの電力、蒸留装置でパージアニリンが10トン生じ、パージアニリンは、アミナール反応で使用する前に処理しなければならなかった。
欠陥のあるサイトグラスおよび漏れが起こるシールを洗浄槽で交換しなければならなかった。処置中の循環モードには、15300kWの電力が必要であった。回路の温度を保つために、極少量の蒸気が消費された(12トンの16バールの蒸気)。
全てのプラントセクションが既に循環モードで運転されていたので、プラントを再始動するための準備はなかった。従って、アニリンおよび/または塩酸もしくは水酸化ナトリウム溶液などの添加剤でプラントセクションを充填することもなかった。
プラントの再始動の準備において、上記のようにそれぞれの運転セグメントを循環状態にしてプラントを運転した。供給原料および添加剤は準備できており、プラントセクションは加熱されており、撹拌器は運転中であり、窒素のブランケッティング圧力は必要な領域で利用可能であり、真空も同様に利用可能であった。
循環モードを有する本発明の実施例3において、比較例3のプラントの完全なシャットダウンの場合よりも、7トンの16バールの蒸気および9685kWの電力がさらに消費された。一方で、オペレーション全体(停止、処置、およびスタートアップ)にかかる時間が短くなったため、500トンのMDAがさらに製造可能であったので、プラントの生産性が大幅に向上したことが分かる。
Claims (11)
- 化学製品製造用プラントを、製造方法の1時間〜5日間の期間のシャットダウン中に運転する方法であって、
前記プラントが、以下の(I)〜(III)のプラントセクション:
(I)少なくとも1種の化学出発物質から前記化学製品を含む生成物混合物への変換を実施するための反応装置、
(II)反応装置(I)で得られる生成物混合物から粗生成物を、該粗生成物から分離された成分を含んでなる少なくとも1つの副流と共に得るためのワークアップ装置、および
(III)前記ワークアップ装置(II)で得られる粗生成物を精製して、精製された最終生成物としての前記化学製品を得、この精製された最終生成物から分離された成分を含んでなる少なくとも1つの副流を除去するための精製装置
を含んでなるものであり、
以下のステップ:
(i)前記反応装置(I)への少なくとも1種の化学出発物質の供給を止めるステップ、
(ii)それぞれのプラントセクションの出力流を該プラントセクションまたは上流のプラントセクションへの入力流として使用するように、少なくとも1つのプラントセクションを運転するステップ;
(iii)少なくとも1つのプラントセクションをシャットダウンするステップ;
(iv)ステップ(iii)でシャットダウンした前記少なくとも1つのプラントセクションを開放する任意のステップ;
(v)ステップ(iii)でシャットダウンした前記プラントセクションで、保守、清掃、点検、および/または修理処置を実施するステップ;
(vi)ステップ(v)からの前記少なくとも1つのプラントセクションを閉鎖し、必要に応じて不活性化するステップ;
(vii)ステップ(vi)からの前記少なくとも1つのプラントセクションをスタートアップするステップ;
(viii)前記反応装置(I)への前記少なくとも1種の基質の供給を開始するステップ
を含んでなる、方法。 - 前記プラントが、以下の(IV)および(V)のプラントセクション:
(IV)前記ワークアップ装置(II)で得られる前記少なくとも1つの副流をワークアップするためのワークアップユニット、
(V)前記精製装置(III)で得られる前記少なくとも1つの副流をワークアップするためのワークアップユニット
をさらに含んでなる、請求項1に記載の方法。 - 前記反応装置(I)が、少なくとも2種の化学出発物質の変換を実施するための反応装置である、請求項1または2に記載の方法。
- 前記ステップ(i)が、全ての化学出発物質の供給を止めるステップを含んでなる、請求項3に記載の方法。
- 前記ステップ(ii)が、それぞれのプラントセクションの出力流を該プラントセクションまたは上流のプラントセクションへの入力流として使用するように、(iii)におけるシャットダウンはなく全てのプラントセクションを運転するステップを含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記化学製品が、ポリカーボネートもしくはその前駆物質の1つ、イソシアネートもしくはその前駆物質の1つ、オレフィン、芳香族化合物、またはポリオレフィンである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記化学製品が、医薬品有効成分である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ワークアップ装置(II)が相分離装置である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
- 前記精製装置(III)が蒸留装置である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ワークアップユニット(IV)が、ステップ(II)からの少なくとも1つの副流の蒸留またはストリッピング用装置を含んでなる、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
- 前記ワークアップユニット(V)が、ステップ(III)からの少なくとも1つの副流の蒸留またはストリッピング用装置を含んでなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
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