以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
まず、本実施の形態の試掘システムの一例について図1を参照して説明する。図1は本実施の形態の試掘システムの説明図である。
本実施の形態の試掘システム1は、地山Gの掘削施工に先立って、例えば、地下埋設物の種類、大きさ(径等)、埋設位置および埋設深度のような情報を目視確認するための試掘システムであり、試掘装置2と、高圧水供給装置3と、空気吸引装置4と、レーザレベル5とを有している。
試掘装置2は、例えば、油圧式の小型のバックホウ(掘削重機)6と、試掘用のアタッチメント(試掘部材)7とを有している。
バックホウ6は、例えば、クローラ式の走行装置6aと、操縦席6bと、多関節のアーム6cと、油圧ホース6dとを備えており、エンジンから得た動力を油圧ポンプで油圧力に変換し、その油圧力を用いて走行、車体の旋回(操縦席6bを含む)および多関節のアーム6cの操作等を行うようになっている。なお、走行装置6aは、クローラ式に代えてホイル式としても良い。
試掘用のアタッチメント7は、その先端部(地山G側の一端部)から高圧水を噴射して地山Gを非接触で掘削するとともに、掘削土砂(泥土)を空気吸引により試掘現場から離れた場所に搬送するための構成部を有しており、アタッチメント7を構成する筒体7aの後端部側外周に設けられた装着部7bを介してバックホウ6のアーム6cの先端に着脱自在の状態で装着されている。
このアタッチメント7には、バックホウ6の油圧ホース6dが機械的に接続されており、バックホウ6から油圧ホース6dを通じてアタッチメント7に供給された油圧により、アタッチメント7に備えられた油圧モータ(図1には図示せず)を駆動することが可能になっている。これにより、アタッチメント7の油圧モータに油圧を供給する装置を別個に設ける場合に比べて、試掘装置2を簡単化および小型化することができる。なお、この油圧モータについては後述する。
高圧水供給装置3は、地山Gを掘削するための高圧水を高圧ポンプ等により発生させてアタッチメント7に供給する機構部であり、可撓性を有する高圧ホース3aを通じてアタッチメント7に機械的に接続されている。なお、高圧水は、アタッチメント7の先端から連続的または間欠的に噴射させることが可能になっている。
空気吸引装置4は、高圧水等により掘削された土砂(泥土)を空気吸引により試掘現場から離れた場所に搬送する機構部であり、可撓性を有する排泥ホース4aを通じてアタッチメント7に機械的に接続されている。なお、空気吸引装置4は、例えば、バキュームダンパー等のような吸上車により構成されている。
レーザレベル5は、地面に対して水平ライン状のレーザ光(以下、水平ライン光という)Lをアタッチメント7の側面に照射することで、アタッチメント7の高さを計測するための測定装置である。アタッチメント7の側面には、その長手方向(軸方向)に沿って目盛り(図示せず)が記されているとともに、その目盛りの横にラインセンサ(図示せず)が設置されている。レーザレベル5から放射された水平ライン光Lは、アタッチメント7の側面の目盛りおよびラインセンサに照射されるようになっている。バックホウ6の外部の作業者は、水平ライン光Lと目盛りとの相対位置からアタッチメント7の高さ(移動長さ)を目視測定することが可能になっているとともに、ラインセンサに照射された水平ライン光Lによりアタッチメント7の高さ(移動長さ)を自動測定することが可能になっている。そして、ラインセンサにより検出されたアタッチメント7の高さ(移動長さ)の測定値は、有線または無線通信を通じてバックホウ6の操縦席6b内に送信され、液晶画面等を通じて操縦者が目視確認することが可能になっている。なお、バックホウ6の外部の作業者が、上記目盛りによりアタッチメント7の高さ(移動長さ)を測定し、それを直接または通信機等を通じてバックホウ6の操縦席6b内の操縦者に連絡しても良い。また、レーザレベル5に代えて、距離センサを不動点に設置し、これを用いてアタッチメント7の高さ(移動長さ)を測定しても良い。
次に、試掘用のアタッチメント7の構成例について図2〜図8を参照して説明する。
まず、図2は試掘用のアタッチメントの側面を見た斜視図、図3は図2の試掘用のアタッチメントの後端面の平面図、図4は図2の試掘用のアタッチメントの先端面の平面図、図5(a)は図2の試掘用のアタッチメントの先端面側を見た斜視図、図5(b)は図5(a)のI−I線の断面図である。
試掘用のアタッチメント7の筒体7aは、例えば、円筒形状の鋼材に形成されており、その高さ(軸方向の長さ)は、例えば、90cm〜1m程度であり、外径は、例えば、30cm程度である。
この筒体7aの後端面(上面)の中央には、図2および図3に示すように、高圧水を供給するための高圧水管(水流噴射手段)7cが設けられている。この高圧水管7cには、ジョイント部J1(図2参照)を介して、上記した高圧ホース3a(図2参照)が着脱自在の状態で機械的に接続されている。
また、筒体7aの後端部(上部)には、上記した油圧モータ(駆動体)7dが設置されている。この油圧モータ7dの油圧供給口7e(図3参照)には、上記した油圧ホース6dが着脱自在の状態で機械的に接続されている。
さらに、筒体7aの側面には、吸込管(搬送手段)7fが筒体7aの側面のほぼ中央から斜め上方に向かって突出した状態で設置されている。この吸込管7fの突出端部には、上記した空気吸引用の排泥ホース4aが着脱自在の状態で機械的に接続されている。
一方、図4および図5に示すように、筒体7aの先端面(下面)の中央には、上記した高圧水を噴射する高圧水噴射口(水流噴射手段)7gが直径に沿って複数並んだ状態で配置されている。ここでは、高圧水噴射口7gが、4箇所に配置されている場合が例示されているが、高圧水噴射口7gは、少なくとも2箇所以上に配置されていれば良く、4箇所に限定されるものではない。
また、筒体7aの先端面内の外周近傍には、上記した掘削土砂(泥土)を空気吸引する排泥吸込口(搬送手段)7hが配置されている。ここでは、排泥吸込口7hが、2箇所に分散された状態で配置されている場合が例示されている。排泥吸込口7hは、1箇所でも良いが、複数分散して配置することにより、掘削土砂の吸い込み場所を分散することができるので、掘削土砂の目詰まりを抑制または防止することができる。
また、筒体7aの先端面の中央には、例えば、2枚の攪拌板(攪拌部材)7i,7iが高圧水噴射口7gの列を挟んで互いに対向するように設置されている。ただし、攪拌板7iは、2枚に限定されるものではなく、例えば、1枚でも良い。
この2枚の攪拌板7i,7iは、筒体7aの先端面の直径に沿うように形成されており、その長手方向両端部が上記2箇所の排泥吸込口7hに重なるように筒体7aの内周の端から端まで延在した状態で形成されているとともに、筒体7aの先端面内に沿って回転可能な状態で設置されている。この攪拌板7i,7iの回転動作により、筒体7aの先端面から筒体7a内に入り込んだ掘削土砂(泥土)を攪拌するとともに、攪拌した掘削土砂を排泥吸込口7hまで搬送するようになっている。これにより、掘削土砂の攪拌および吸引の一連の動作をスムーズに行うことができるので、掘削土砂の目詰まりを抑制または防止することができる。
また、攪拌板7i,7iは、例えば、ウレタンゴム等のような可撓性を有する材料により形成されている。攪拌板7i,7iは、筒体7aの内部に位置しており、試掘作業において地下埋設物に接触しないので、可撓性を有する材料で構成する必要は無く、例えば、筒体7aと同様に鋼材により形成しても良い。ここでは、仮に、攪拌板7i,7iが地下埋設物に接触しても地下埋設物に損傷を与えないように攪拌板7i,7iを可撓性材料で構成することで安全性を高めている。
また、2枚の攪拌板7i,7iは、高圧水噴射口7gと排泥吸込口7hとを分離するように、複数の高圧水噴射口7gの列を挟み込むように配置されている。これにより、高圧水噴射口7gから噴射される高圧水が、空気吸引の影響を受けるのを抑制または防止することができる。
また、攪拌板7i,7iは、ボルトおよびナット等のような締結部材J2(図5参照)により着脱自在の状態で設置されている。これにより、劣化(損傷や変形等)した攪拌板7i,7iを交換することができる。
また、筒体7aの先端部には、図2、図4および図5に示すように、可撓性部材7jが装着されている。この可撓性部材7jは、例えば、ウレタンゴム等の薄板により形成されており、その先端部が筒体7aの先端部から突出した状態で装着されている。また、可撓性部材7jには、その突出端部から筒体7aに向かって延びる溝7kが筒体7aの周方向に沿って予め決められた間隔毎に形成されている。これにより、可撓性部材7jをさらに曲げ易くすることができる。このような可撓性部材7jを設けたことにより、後述するように、試掘作業において、地下埋設物に損傷を与えることなく、試掘作業を効率良く行うことが可能になっている。なお、溝7kにおいて筒体7a側の端部は、溝7kの切り込みがそれ以上延びないように丸みが形成されている。
また、可撓性部材7jは、筒体7aの先端面側に閉空間を形成するように、筒体7aの先端部の外周に沿って装着されている。これにより、試掘作業において、筒体7aの先端面側の密閉性を向上させることができるので、掘削土砂の吸引性能を向上させることができる。
また、可撓性部材7jは、ボルトおよびナット等のような締結部材J3(図5参照)により着脱自在の状態で装着されている。これにより、可撓性部材7jを交換することができる。ここで、可撓性部材7jは、筒体7aの外周に沿って一体ではなく、複数個に分かれている。これにより、劣化した可撓性部材7jのみを交換することができるので、一部が劣化しただけでも全部を交換しなければならない場合に比べてコストを低減することができる。
次に、図6は試掘用のアタッチメントの一部破断断面図、図7は図6の試掘用のアタッチメントを矢印A1に示す方向から見た一部破断断面図、図8(a)は図6の試掘用のアタッチメントの先端部を拡大して示した一部破断断面図、図8(b)は図6の試掘用のアタッチメントの先端部の変形例を拡大して示した一部破断断面図である。
試掘用のアタッチメント7の筒体7aの内部には、筒体7aの軸方向(長手方向)に延びる回転軸部(駆動力伝体部材)7mが筒体7aの先端面内に沿って回転可能な状態で設置されている。この回転軸部7mにおいて筒体7aの先端面には、上記した攪拌板7i,7iが装着されている。攪拌板7i,7iの先端部(長辺部)は、筒体7aの先端部と一致した位置または筒体7aの先端部よりも後方(筒内)で終端している。
また、回転軸部7mにおいて筒体7aの後端部側には、2つのギア(駆動力伝達部材)7n1,7n2を介して油圧モータ7dが機械的に接続されている。これにより、油圧モータ7dの回転駆動力をギア7n1,7n2を介して回転軸部7mに伝えることができ、上記したように攪拌板7i,7iを筒体7aの先端面内に沿って回転することが可能になっている。
また、回転軸部7mの軸中心には、その軸方向に沿って延びる高圧水管7cが設置されている。この高圧水管7cにおいて筒体7aの後端側の端部は、ジョイント部J1を介して上記した高圧ホース3aと接続されている。なお、ジョイント部J1は、回転軸部7mの回転が高圧ホース3aに伝わらない状態で、高圧水管7cと高圧ホース3aとを接続している。
また、高圧水管7cにおいて筒体7aの先端部側の端部は、例えば、5個の分岐管7c1〜7c5に枝別れしている。このうち、筒体7aの先端面に向かって延びる4個の分岐管7c1〜7c4は、上記した高圧水噴射口7gに連通している。これにより、高圧水供給装置3から供給された高圧水を、高圧ホース3a、高圧水管7c、分岐管7c1〜7c4および高圧水噴射口7gを通じて筒体7aの先端面から地山に向かって噴射し、地山を非接触で掘削することが可能になっている。ここでは、図8(a)に示すように、分岐管7c1〜7c4が、筒体7aの先端面に対して直交するように形成されているが、図8(b)に示すように、分岐管7c1〜7c4を筒体7aの先端面に対して斜めになるように形成しても良い。これにより、高圧水を広い範囲に分散して噴射することができる。
また、残りの分岐管7c5は、回転軸部7mの直径方向に延びて筒体7a内の排泥吸込口7hに連通している。筒体7aの先端面の2つの排泥吸込口7hは、筒体7a内の吸込管7fを通じて筒体7aの外部において排泥ホース4aと連通している。すなわち、筒体7aの先端面の2つの排泥吸込口7hを通じて吸い込まれた掘削土砂は、吸込管7fおよび排泥ホース4aを通じて空気吸引装置4に搬送されるようになっている。
ここで、上記したように、高圧水管7cの分岐管7c5を排泥吸込口7hに連通したことにより、高圧水の一部を排泥吸込口7hに噴射することができるので、排泥吸込口7hに吸引された掘削土砂の流れをスムーズにすることができ、吸込管7f内に掘削土砂が詰まるのを抑制または防止することができる。
また、吸込管7fを、筒体7a内において排泥吸込口7hの後方に配置したことにより、掘削土砂の経路を比較的なだらかにすることができるので、吸込管7f内に吸引された掘削土砂の流れをスムーズにすることができ、吸込管7f内に掘削土砂が詰まるのを抑制または防止することができる。
また、筒体7aの先端部の外周には、上記した可撓性部材7jが装着されている。可撓性部材7jの先端部は、上記したように筒体7aの先端部よりも突出されており、その突出長X1は、例えば、4cm程度である。本実施の形態においては、試掘作業において、後述するように、地山を順次掘り下げるときの1回の深さを、可撓性部材7jの突出長X1よりも小さくする。これにより、試掘作業において、地下埋設物に損傷を与えることなく、試掘作業を効率良く行うことが可能になっている。ただし、可撓性部材7jの突出長X1は、上記した値に限定されるものではなく、例えば、試掘作業を行う地山の状態、地下埋設物の種類あるいは試掘作業の効率等を考慮して種々変更することが可能である。
次に、本実施の形態の試掘用のアタッチメント7を用いた試掘作業時の試掘面の撮影ユニットの一例について図5および図6を参照して説明する。
本実施の形態の試掘用のアタッチメント7においては、筒体7a内において攪拌板7i,7iの後方(裏側)に、撮影ユニットCUが排泥吸込口7hから目視可能な状態で設置されている。この撮影ユニットCUは、カメラ7pと、ライト7qと、それらの間に隣接した状態で配置された清掃用ノズル7rとを備えている。
カメラ7pは、試掘作業時の地山の試掘状況を撮影する撮影手段であり、カメラ本体(撮影本体)7p1と、カメラケース(撮影ケース)7p2と、ガラス板(撮影用の透明体)7p3とを備えている。
カメラ本体7p1は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)撮像素子を備えるデジタルカメラによって構成されており、その撮像面を試掘面に向けた状態でカメラケース7p2内に収容されている。カメラ本体7p1は、動画および静止画の両方を撮影することが可能である。カメラ本体7p1による試掘面の撮影は、排泥吸込口7hを通じて実施される。
このカメラ本体7p1は配線ケーブルを通じてバックホウ6内の機器に電気的に接続されており、バックホウ6の操縦者は操縦席6bにおいてカメラ本体7p1の電源投入と、液晶画面等による試掘状況画像の観察とが可能になっている。これにより、バックホウ6の操縦者は試掘作業をしながら試掘作業時の地山の試掘状況をリアルタイムで観察することができる。また、カメラ本体7p1をバックホウ6の外部の機器に電気的に接続し、バックホウ6の外部の作業者が試掘作業時の地山の試掘状況をリアルタイムで観察できるようにしても良い。
なお、試掘作業時にカメラ7pで撮影した試掘状況の画像は、攪拌板7i,7iを回転させた状態でも観察することができる。もちろん、試掘状況の画像は、攪拌板7i,7iを停止した状態でも観察することができるが、その場合は、攪拌板7i,7iがカメラ7pの撮影面(排泥吸込口7h)の前面で停止させないようにする。
このようなカメラ本体7p1を収容するカメラケース7p2は、例えば、鋼管製の筒体により構成されている。カメラケース7p2の試掘面側には、ガラス板7p3がカメラケース7p2の防水性を確保した状態で装着されている。ガラス板7p3は、例えば、サファイアガラス等のような透明な硬質ガラスによって構成されている。これにより、ガラス板7p3に傷が付くのを抑制または防止することができるので、傷に起因する撮影画質の劣化を抑制または防止することができる。
また、試掘作業時にカメラケース7p2内に結露が生じ撮影画質が劣化してしまう場合があるので、その場合には、カメラケース7p2とガラス板7p3とで囲まれる空間に清水等のような透明な液体を充填しても良い。これにより、結露の問題を回避することができるので、結露に起因する画質劣化を防止することができる。ただし、この場合は、カメラ本体7p1が清水中でも劣化しないようにカメラ本体7p1を防水構造とする。
ライト7qは、試掘作業時のカメラ7pによる撮影領域を照らす照明手段であり、ライト本体(照明本体)7q1と、ライトケース(照明ケース)7q2と、ガラス板(照明用の透明体)7q3とを備えている。
ライト本体7q1は、例えば、LED(Light Emitting Diode)によって構成されており、その発光面を試掘面に向けた状態でライトケース7q2内に収容されている。ライト本体7q1からの光は、排泥吸込口7hを通じて試掘面に照射される。
このライト本体7q1は配線ケーブルを通じてバックホウ6内の機器に電気的に接続されている。ライト本体7q1の電源は、カメラ本体7p1の電源投入により同時に投入されるようになっている。これにより、バックホウ6の操縦者は、試掘作業時にカメラ7pによる試掘状況の撮影を開始すると、ライト7qにより試掘面を明るく照らすことができるので、試掘面の画像をより鮮明に観察することができる。
このようなライト本体7q1を収容するライトケース7q2は、例えば、鋼管製の筒体により構成されている。このライトケース7q2の試掘面側には、ガラス板7q3がライトケース7q2の防水性を確保した状態で装着されている。ガラス板7q3の材料は、カメラ7pのガラス板7p3と同じなので説明を省略する。
また、試掘作業時にライトケース7q2内も結露が生じる場合があるので、その場合には、ライトケース7q2とガラス板7q3とで囲まれる空間に清水等のような透明な液体を充填しても良い。これにより、ライト7q側での結露の問題を回避することができるので、結露に起因する照度の低下を防止することができ、撮影画質の劣化を防止することができる。ただし、この場合は、ライト本体7q1が清水中でも劣化しないようにライト本体7q1を防水構造とする。
清掃用ノズル7rは、図5(b)に示すように、その先端近傍の側面に穿孔された複数の噴射口から後方のカメラ7pおよびライト7qのガラス板7p3,7q3に向かって水流Wを噴射することによりガラス板7p3,7q3の汚れを落とす清掃手段である。このような清掃用ノズル7rを設けたことにより、カメラ7pおよびライト7qのガラス板7p3,7q3の汚れを落とすことができるので、ガラス板7p3,7q3の汚れに起因する撮影画質の劣化を防止することができる。
また、清掃用ノズル7rは、カメラ7pとライト7qとの間に隣接した状態で設置されており、1つの清掃用ノズル7rでカメラ7pとライト7qとの両方のガラス板7p3,7q3を清掃することが可能になっている。これにより、カメラ7pとライト7qとでそれぞれ専用の清掃用ノズルを別々に設ける場合に比べて撮影ユニットCUを小形化することができる。
この清掃用ノズル7rに清掃水を供給する給水ポンプ等のような給水装置は配線ケーブルを通じてバックホウ6内の機器に電気的に接続されており、給水装置のオンオフを操縦席6bで制御することが可能になっている。これにより、バックホウ6の操縦者は操縦席6bにおいて、試掘作業時にカメラ7pによる試掘状況の撮影時には撮影の邪魔にならないように清掃用ノズル7rの給水装置をオフする一方、カメラ7pおよびライト7qのガラス板7p3,7q3に汚れが生じたら清掃用ノズル7rの給水装置をオンしてガラス板7p3,7q3の汚れを除去することが可能になっている。
この清掃用ノズル7rは、固定でも良いが、清掃用ノズル7rの軸方向(鉛直方向)または軸を中心として回転する方向に動作させることが可能な構造にしても良い。これにより、カメラ7pおよびライト7qのガラス板7p3,7q3に対する水流Wの当て方(水流Wが当たる位置や角度等)を種々変えることができるので、カメラ7pおよびライト7qのガラス板7p3,7q3の汚れをより良好に落とすことができる。
次に、本実施の形態の試掘方法の一例について図9〜図15を参照して説明する。なお、ここでは、図面を見易くするため、バックホウ6の車体を省略するとともに、アタッチメント7を簡略化して示す。また、符号BPは、例えば、通信線用の配管、電力線用の配管、水道管またはガス管のような地下埋設管(地下埋設物)を示している。
まず、図9(a)は試掘作業中の試掘装置を正面側から見たときの試掘用のアタッチメントおよび地下埋設管の状態を示す説明図、図9(b)は図9(a)の試掘装置を側面側から見たときの試掘用のアタッチメントおよび地下埋設管の状態を示す説明図である。
ここでは、図9に示すように、掘削領域の第1の地点(始点)に試掘用のアタッチメント7を配置する。このとき、バックホウ6(図1参照)の多関節のアーム6cを操作することにより、アタッチメント7の先端部の可撓性部材7jが地山Gを向くようにする。また、レーザレベル5から放射した水平ライン光L(図1参照)をアタッチメント7の側面に照射することにより、アタッチメント7の高さを測定する。
次いで、図10(a)は図9に続く試掘作業中の試掘装置を正面側から見たときの試掘用のアタッチメントおよび地下埋設管の状態を示す説明図、図10(b)は図10(a)の試掘装置を側面側から見たときの試掘用のアタッチメントおよび地下埋設管の状態を示す説明図、図11は図10(a)の要部を拡大して示した説明図である。
ここでは、図10に示すように、アーム6cの操作により試掘用のアタッチメント7を下降しつつ、アタッチメント7の先端面から高圧水を噴射して地山Gを非接触で掘削するとともに、掘削土砂を攪拌板7i,7i(図4等参照)の回転により攪拌し、排泥吸込口7hを通じて空気吸引装置4(図1参照)側に搬送して地山Gに溝T1を掘る。このとき、図11に示すように、アタッチメント7の降下長(すなわち、溝T1の深さ)X2を、可撓性部材7jの突出長X1よりも小さい値にする。このため、筒体7aの先端部は、地山Gに掘られた溝T1内には入らず,溝T1の上部(ここでは地面)よりも上方に位置している。その後、このときのアタッチメント7の高さを上記と同様にレーザレベル5(図1参照)により測定する。
続いて、図12(a)は図10に続く試掘作業中の試掘装置を正面側から見たときの試掘用のアタッチメントおよび地下埋設管の状態を示す説明図である。
ここでは、上記した高圧水等による地山Gの掘削を行うとともに、掘削土砂を攪拌板7i,7i(図4等参照)の回転により攪拌し、排泥吸込口7hを通じて空気吸引装置4(図1参照)側に搬送しながら、試掘用のアタッチメント7をアーム6cの操作により横方向に予め決められた距離だけ移動して第2の地点(終点)で止める。このとき、図10で示したアタッチメント7の高さを維持した状態で移動することで、第1の地点から第2の地点に渡って溝T1を形成する。試掘作業に際しては、図5等で説明したように、試掘用のアタッチメント7の先端の可撓性部材7jで囲まれた試掘面内をライト7qによって照らした状態でカメラ7pにより撮影する。カメラ7pで撮影された画像は、バックホウ6の操縦席6bまたはバックホウ6の外部の作業席の液晶画面等を通じてリアルタイムに映し出される。これにより、バックホウ6の操縦者やバックホウ6の外部の作業者は、試掘状況(土の状態、地下埋設物の有無あるいは攪拌板7iの動作状況等)をリアルタイムで観察しながら試掘作業を進めることができる。
溝T1の形成後、溝T1内に地下埋設管BPが露出しているか否かを確認する。その確認は、上記したカメラ7pによる撮影画像で行っても良いが、これに代えて、外部の作業者が、溝T1内に地下埋設管BPが露出しているか否かを直接目視で確認し、それを直接または通信機等を通じてバックホウ6(図1参照)の操縦席6b内の操作者に伝えても良い。また、カメラ7pとは別に試掘用のアタッチメント7の外部において溝T1の上方にあたる位置に外部カメラ(図示せず)を設置しておいて、その外部カメラで撮影した溝T1内の画像(動画、静止画またはその両方)をバックホウ6の操縦席6bの液晶画面等に表示させるようにしても良い。なお、この時点で地下埋設管BPが確認された場合はアタッチメント7の動作を終了する。
次いで、図12(b)は図12(a)に続く試掘作業中の試掘装置を正面側から見たときの試掘用のアタッチメントおよび地下埋設管の状態を示す説明図、図13は図12(b)の要部を拡大して示した説明図である。
図12(a)の段階で地下埋設管BPが確認されなかった場合は、図12(b)に示すように、上記図10で説明したのと同様に、試掘用のアタッチメント7を下降しつつ、アタッチメント7の先端部側の地山Gを掘削して溝T2を掘る。このとき、図13に示すように、アタッチメント7の降下長(すなわち、溝T1の底面から溝T2の底面までの深さ)X3を、可撓性部材7jの突出長X1よりも小さい値にする。このため、筒体7aの先端部は、溝T2内には入らず,最初の溝T1の底面よりも上方に位置している。その後、このときのアタッチメント7の高さを上記と同様にレーザレベル5(図1参照)により測定する。
続いて、図14(a)は図12(b)に続く試掘作業中の試掘装置を正面側から見たときの試掘用のアタッチメントおよび地下埋設管の状態を示す説明図、図14(b)は図14(a)の試掘装置を側面側から見たときの試掘用のアタッチメントおよび地下埋設管の状態を示す説明図である。
ここでは、上記した高圧水等による地山Gの掘削を行うとともに、掘削土砂を攪拌板7i,7i(図4等参照)の回転により攪拌し、排泥吸込口7hを通じて空気吸引装置4(図1参照)側に搬送しながら、試掘用のアタッチメント7をアーム6cの操作により第2の地点から元の第1の地点まで移動する。このとき、図12(b)で示したアタッチメント7の高さを維持した状態で移動することで、第1の地点から第2の地点に渡って溝T2を形成する。また、上記と同様に、カメラ7pおよびライト7qを動作させて試掘状況をリアルタイムで観察しながら試掘作業を進める。その後、上記と同様にカメラ7pの撮影画像、作業者の目視確認または外部カメラの撮影画像等により、溝T2内に地下埋設管BPが露出しているか否かを確認し、この時点で地下埋設管BPが確認された場合はアタッチメント7の動作を終了する。
次いで、図15(a)は図14に続く試掘作業中の試掘装置を正面側から見たときの試掘用のアタッチメントおよび地下埋設管の状態を示す説明図、図15(b)は図15(a)の要部を拡大して示した説明図である。
上記のように、試掘用のアタッチメント7の先端面から高圧水を噴射して地山を掘削するとともに、掘削された土砂を空気吸引することで搬送しながら、地山の第1の地点と第2の地点との間を往復移動させるとともに、アタッチメント7の1回の移動毎にアタッチメント7の高さを順次下げることで地山を掘り下げていく。そして、図15(a)に示すように、ある程度掘り進めたところで溝Tnの底に地下埋設管BPの表面がカメラ7pの撮影画像、作業者の目視確認または外部カメラの撮影画像等により確認されたらアタッチメント7の動作を終了する。そして、作業者は、地下埋設管BPの種類、直径、埋設位置および埋設深度等を調査または測定する。
ここで、本実施の形態においては、図15(b)に示すように、試掘用のアタッチメント7が第1の地点と第2の地点との間を移動するときに、アタッチメント7の可撓性部材7jが地下埋設管BPに接触する場合があるが、可撓性部材7jは、それ自体が柔らかい材料で構成されている上、地下埋設管BPに当たると撓むようになっているので、地下埋設管BPに損傷を与えることが無い。
また、試掘用のアタッチメント7を作業端(第1の地点および第2の地点)で降下させる時の降下長X2,X3を、可撓性部材7jの突出長X1よりも小さい値にしていることにより、アタッチメント7が第1の地点と第2の地点との間を移動するときに鋼製の筒体7aの先端部が地下埋設管BPの上方に位置するようになっている。このため、アタッチメント7の横方向移動時にアタッチメント7の鋼製の筒体7aが地下埋設管BPに接触するのを防止することができるので、筒体7aの接触に起因する地下埋設管BPの損傷を防止することができる。
さらに、バックホウ6による試掘用のアタッチメント7の操作により試掘作業を行うことができるので、手作業で試掘作業を行う場合に比べて、作業時間を短縮することができるとともに、労力を低減することができ、試掘作業の効率を向上させることができる。
したがって、本実施の形態においては、試掘作業において、地下埋設管BPに損傷を与えることなく、作業効率を向上させることができる。なお、アタッチメント7の降下長X2,X3は同じであるが、可撓性部材7jの突出長X1よりも小さい範囲であれば変えても良い。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
例えば、図16は試掘用のアタッチメントの変形例の先端部を拡大して示した一部破断断面図である。この試掘用のアタッチメント7においては、吸込管7fの先端部が筒体7aの先端部の側面に接続されており、吸込管7fと排泥吸込口7hとの連通部が、排泥吸込口7hに対して交差する位置に配置されている。これ以外は上記したのと同じなので説明を省略する。
また、前記実施の形態においては、可撓性部材7jの構成材料をウレタンゴムとした場合について説明したが、可撓性部材7jの構成材料は、これに限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば、ワイヤブラシを用いても良い。