JP6634966B2 - 非水系電解質二次電池用正極電極とこれに用いられる正極材料、およびこれを利用した二次電池、ならびに非水系電解質二次電池用正極電極の製造方法 - Google Patents
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Description
第1発明の非水系電解質二次電池用正極電極は、リチウム金属複合酸化物からなる正極活物質の表面に、リチウムイオンが多方向に拡散可能な化合物の被覆層が形成された正極を有し、該被覆層は前記リチウムイオンが多方向に拡散可能な化合物の非晶質からなり、前記被覆層は、4価以上の価数の金属元素とリチウムとからなるリチウム含有酸化物により形成されており、前記リチウム含有酸化物は、タングステンとリチウムとからなるタングステン酸リチウムから形成されていることを特徴とする。
第2発明の非水系電解質二次電池用正極電極は、第1発明において、前記タングステン酸リチウムは、Li2WO4、Li4WO5、Li6W2O9、Li6WO6、7Li2WO4)・4H2Oからなる群から選択されるいずれか一の化合物を含むことを特徴とする。
第3発明の非水系電解質二次電池用正極電極は、第1発明または第2発明のいずれかにおいて、前記リチウム金属複合酸化物が、リチウムイオンの拡散方向がa軸方向に限定された層状構造を有することを特徴とする。
第4発明の非水系電解質二次電池用正極電極は、第1発明または第2発明のいずれかにおいて、前記正極活物質が粒子状であり、前記被覆層が、前記正極活物質の粒子の表面に形成されていることを特徴とする。
第5発明の非水系電解質二次電池用正極材料は、第4発明の非水系電解質二次電池用正極電極に用いられる正極材料であって、前記正極活物質の粒子の表面に前記被覆層が形成されていることを特徴とする。
第6発明の非水系電解質二次電池は、第1発明から第4発明のいずれかの非水系電解質二次電池用正極電極が用いられていることを特徴とする。
第7発明の非水系電解質二次電池用正極電極の製造方法は、リチウム金属複合酸化物からなる正極活物質の表面に、リチウムイオンが多方向に拡散可能な化合物の被覆層を、25〜200℃の範囲の雰囲気温度中で、物理的成膜法を用いて形成する工程を有することを特徴とする
加えて、被覆層は、非晶質からなることによって、正極抵抗の低減および高湿度環境下に置かれた際の出力特性の改善に対してより高い効果が得られる。
さらに、被覆層が、4価以上の価数の金属元素とリチウムとからなるリチウム含有酸化物により形成されていることにより電気化学的酸化が安定に行われる。
合わせて、リチウム含有酸化物は、タングステンとリチウムとからなるタングステン酸リチウムから形成されていることにより、拡散パス方向を多くでき、電解質に対して安定で、タングステンの溶出等による電池への悪影響を低減できる。
第2発明によれば、タングステン酸リチウムは、Li2WO4、Li4WO5、Li6W2O9、Li6WO6、7(Li2WO4)・4H2Oからなる群から選択されるいずれか一の化合物を含むことにより、被覆層に含まれる化合物の安定性を高くでき、電池に対する悪影響も排除することができる。
第3発明によれば、リチウム金属複合酸化物が、リチウムイオンの拡散方向がa軸方向に限定された層状構造を有することにより、リチウム金属複合酸化物を正極活物質として電池に用いた際に高い電池特性を有するものとすることができる。
第4発明によれば、正極活物質が粒子状であり、被覆層が、正極活物質の粒子の表面に形成されていることにより、正極活物質粒子と電解液との間に挿抜経路が確保され、正極活物質粒子を用いた電池の出力が高くなる。
第5発明によれば、第4発明の電極に用いられる正極材料であって、正極活物質粒子の表面に被覆層が形成されていることにより、リチウムイオンの挿抜経路が確保される。これにより正極と電解液との間の頻度因子の低下が抑制され、正極界面抵抗が小さくなり、電池の出力が高くなる。
第6発明によれば、正極界面抵抗の小さい正極電極を用いるので、高い出力の二次電池が得られる。
第7発明によれば、非水系電解質二次電池用正極電極の製造方法が、リチウム金属複合酸化物からなる正極活物質の表面に、リチウムイオンが多方向に拡散可能な化合物の被覆層を、25〜200℃の範囲の雰囲気温度中で、物理的成膜法を用いて形成する工程を有することにより、被覆層を非晶質にすることができ、電池の電解液/正極界面抵抗を大幅に低減することが可能な非水系電解質二次電池用正極電極が、確実に得られる。
ここで、正極は、正極活物質、もしくは正極活物質と被覆層とを含む電池の構成要素であり、正極電極は、正極と正極集電体とから構成された電池の電極を意味する。
前記被覆層は非晶質を含むものであればよいが、非晶質からなることによって、拡散パスがさらに増加するため、正極抵抗の低減に対してより高い効果が得られる。また、高湿度環境下に置かれた際にも拡散パスが維持されるため、高湿度環境による出力特性の劣化が抑制され、出力特性の改善に対しより高い効果が得られる。
ここで、「非晶質からなる」とは、本願明細書に記載の実施例で用いたような形式の斜入射X線回折測定によって結晶面からの回折ピークが検出されない程度の状態であることを意味する。すなわち、得られたX線回折図形に対して自動のピークサーチを行ってもピークが検出されない状態、例えば実施例に記載のX線回折データ分析ソフトウェアと同等のソフトウェアによる自動のピークサーチを行ってもピークが検出されない状態を意味する。
まず、本発明の電池の特徴である正極電極について説明する。正極電極は、正極集電体上に正極を積層したものである。正極電極は、PLD法により集電体となるPt/Cr/SiO2やPtなどの導電性基板の上にリチウム金属複合酸化物薄膜を堆積させて正極活物質を構成した正極電極以外にも、一般的なリチウム金属複合酸化物粒子を正極活物質粒子として用いた、本発明の正極材料で構成された正極も可能である。
正極合剤は、粉末状になっている本発明の正極材料と、導電材および結着剤とを混合し、溶剤を添加して混練して形成することができる。
以下、正極材料以外の正極合剤を構成する材料について説明する。
前記正極合剤の結着剤としては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のいずれを用いてもよいが、熱可塑性樹脂が好ましい。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらは、Na+イオンなどによる架橋体であってもよい。
正極合剤の導電材としては、電池内で化学的に安定な電子伝導性材料であればよく、とくに限定されない。例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛などの黒鉛類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類、炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維類、アルミニウム等の金属粉末類、酸化亜鉛、チタン酸カリウム等の導電性ウィスカー類、酸化チタン等の導電性金属酸化物、ポリフェニレン誘導体等の有機導電性材料、フッ化カーボン等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶剤は、結着剤を溶解して、正極活物質や導電材等を結着剤中に分散させるものである。この溶剤はとくに限定されないが、例えば、N−メチル−2−ピロリドンなどの有機溶剤を使用することができる。
正極集電体としては、電池内で化学的に安定な電子伝導体であればよく、とくに限定されない。例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、炭素、導電性樹脂等からなる箔又はシートを用いることができ、この中でアルミニウム箔、アルミニウム合金箔等がより好ましい。ここで、箔又はシートの表面には、カーボン又はチタンの層を付与したり、酸化物層を形成したりすることもできる。また、箔またはシートの表面に凹凸を付与することもでき、ネット、パンチングシート、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群成形体等を用いることもできる。
正極集電体の厚みも、とくに限定されないが、例えば、1〜500μmが好ましい。
つぎに、本発明の電池の構成要素のうち、正極電極以外の構成要素について説明する。なお、本発明の電池は、上記正極活物質を用いる点に特徴を有するものであり、その他の構成要素は、その用途および要求される性能に応じて適宜選択することができ、後述するものに限定されない。
負極電極は、負極集電体上に負極活物質を含む負極を積層したものである。負極活物質としては、リチウムを充放電することができるであればよく、とくに限定されない。例えば、負極活物質と結着剤を含み、任意成分として導電材や増粘剤を含む負極合剤を負極集電体に担持させたものを使用することができる。このような負極電極は、正極電極と同様の方法で作製することができる。
負極活物質としては、リチウムを電気化学的に充放電し得る材料であればよい。例えば、黒鉛類、難黒鉛化性炭素材料、リチウム合金等を用いることができる。このリチウム合金はとくに限定されないが、ケイ素、スズ、アルミニウム、亜鉛およびマグネシウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の元素を含む合金が好ましい。
また、負極活物質の平均粒径はとくに限定されず、例えば、1〜30μmが好ましい。
負極合剤の結着剤としては、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂のいずれを用いてもよいが、熱可塑性樹脂が好ましい。かかる熱可塑性樹脂はとくに限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらは、Na+イオンなどによる架橋体であってもよい。
負極合剤の導電材としては、電池内で化学的に安定な電子伝導性材料であればよく、とくに限定されない。例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人造黒鉛等の黒鉛類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類、炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維類、銅、ニッケル等の金属粉末類、ポリフェニレン誘導体等の有機導電性材料等を使用することができる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
この導電材の添加量は、とくに限定されないが、負極合剤に含まれる負極活物質粒子に対して、1〜30重量%が好ましく、1〜10重量%がより好ましい。
負極集電体としては、電池内で化学的に安定な電子伝導体であればよく、とくに限定されない。例えば、ステンレス鋼、ニッケル、銅、チタン、炭素、導電性樹脂等からなる箔またはシートを用いることができ、銅および銅合金が好ましい。箔またはシートの表面には、カーボン、チタン、ニッケル等の層を付与したり、酸化物層を形成したりすることもできる。また、箔またはシートの表面に凹凸を付与することもでき、ネット、パンチングシート、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群成形体等を使用することもできる。
負極集電体の厚みも、とくに限定されないが、例えば、1〜500μmが好ましい。
非水系電解質としては、リチウム塩を溶解した非水系溶媒が好ましい。かかる非水系溶媒はとくに限定されないが、エチレンカーボネ−ト(EC)、プロピレンカーボネ−ト(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)などの環状カーボネート類、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)などの鎖状カーボネート類、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のラクトン類、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME)等の鎖状エーテル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン等の環状エーテル類、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロパンサルトン、アニソール、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン等を挙げることができる。これらは単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、非水系溶媒中のリチウム塩濃度はとくに限定されないが、0.2〜2mol/Lが好ましく、0.5〜1.5mol/Lがより好ましい。
非水系電解質には、電池の充放電特性を改良する目的で、リチウム塩以外にも種々の添加剤を添加してもよい。添加剤はとくに限定されないが、例えば、トリエチルフォスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n−グライム、ピリジン、ヘキサリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、クラウンエーテル類、第四級アンモニウム塩、エチレングリコールジアルキルエーテル等を挙げることができる。
また、正極電極と負極電極との間には、微細な孔を有するセパレータを介在させる。このセパレータはとくに限定されないが、大きなイオン透過度と所定の機械的強度を持ち、かつ絶縁性である微多孔性薄膜が好ましい。とくに、微多孔性薄膜は、一定温度以上で孔を閉塞し、抵抗を上昇させる機能を持つものが好ましい。
図1には、本実施例の正極電極11の断面の概略図を示す。
正極活物質13としてリチウムコバルト複合酸化物(LiCoO2)薄膜を用い、その表面に非晶質の多方向拡散層14としてLi2WO4薄膜を形成した正極薄膜を用いた。
まず、LiCoO2の組成となるようにLi2CO3とCo3O4を混合し、980℃の酸素雰囲気中で焼成してLiCoO2粉末を合成した。得られたLiCoO2粉末を1000℃でペレット状に焼結し、このペレットをターゲットとして、PLD法により、500℃の酸素雰囲気中において、正極集電体となるPt/Cr/SiO2の基板12上に8mm×8mmの面積で300nmの厚みのLiCoO2薄膜を形成した。
上記コイン型電池21を作製してから24時間程度放置して開回路電圧OCV(Open Circuit Voltage)が安定した後、正極界面抵抗を測定した。コイン型電池21を25℃で充電電位4.0Vまで充電して、周波数応答アナライザおよびポテンショガルバノスタット(ソーラトロン製、1255B)を用い、電気化学的評価手法として一般的な交流インピーダンス法にて電池反応の周波数依存性について測定を行うことにより、溶液抵抗、負極抵抗と負極容量、および正極界面抵抗と正極容量に基づくナイキスト線図が得られた。図3に、本発明の実施形態に係る正極電極のインピーダンススペクトルの測定結果を示す。
D = R2T2/(2A2n04F4C2σ2) (1)
LiCoO2薄膜の上にLi2WO4薄膜を100℃の酸素雰囲気中において、300nmの厚みに形成したこと以外は実施例1と同じである。このようにして作製された正極電極11を実施例1と同様に評価した。XRDによりLi2WO4の状態を確認したところ、LiとWとを含む化合物の回折ピークが検出されず、非晶質状態であることが確認された。評価結果を表1に示す。
LiOH・H2OとWO3とをモル比Li:W=2:1で混合し、Li2WO4薄膜作製ターゲットの原料となるLi−W−O粉末を得て、ターゲットとしたこと以外は実施例1と同じである。このようにして作製された正極電極11を実施例1と同様に評価した。XRDによりLi2WO4の状態を確認したところ、LiとWとを含む化合物の回折ピークが検出されず、非晶質状態であることが確認された。評価結果を表1に示す。
LiCoO2薄膜の上にLi2WO4薄膜を形成しなかったこと以外は実施例1と同じである。このようにして作製された正極電極11を実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
LiCoO2薄膜の上にLi2WO4薄膜を500℃の酸素雰囲気中において、300nmの厚みに形成したこと以外は実施例1と同じである。このようにして製作された正極電極11を実施例1と同様に評価した。XRDによりLi2WO4の状態を確認したところ、Tetragonal型のLi2WO4であることが確認された。この結晶構造のモデル図を図5に、評価結果を表1に示す。
LiOH・H2OとWO3とをモル比Li:W=2:1で混合し、Li2WO4薄膜作製ターゲットの原料となるLi−W−O粉末を得て、ターゲットとしたこと、LiCoO2薄膜の上にLi2WO4薄膜を500℃の酸素雰囲気中において、300nmの厚みに形成したこと以外は実施例1と同じである。このようにして製作された正極電極11を実施例1と同様に評価した。XRDによりLi2WO4の状態を確認したところ、Rhombohedral型のLi2WO4であることが確認された。この結晶構造のモデル図を図6に、評価結果を表1に示す。
表1において、出力特性に最も効果が見られた実施例1と同じ条件で作製した非晶質のLi2WO4被覆LiCoO2正極薄膜11を85℃−65RH%の恒温恒湿槽中の環境下に24時間晒した。その後、実施例1と同じ方法でコイン型電池21を作製し、10cycle毎に充電放電の電流値を切り替えて、25℃で4.2Vまで充電し3.0Vまで放電する充放電サイクル試験を行った。その際、充放電におけるCレートを0.3C、0.6C、3.0C、10C、30Cと順番に切り替えた。評価結果を図7に示す。図7は、高湿度環境に置いた後のレート特性を表したグラフであり、横軸はサイクル数を、縦軸は容量維持率を表している。
比較例1と同じ条件で作製した未被覆のLiCoO2正極薄膜11を実施例1aと同じ環境下に晒した後、実施例1aと同様にコイン型電池21を作製し評価した。評価結果を図7に示す。
12 基板
13 正極活物質
14 多方向拡散層
21 コイン型電池
22 ケース
22a 正極缶
22b 負極缶
22c ガスケット
23 電極
23a 正極電極
23b 負極電極
23c セパレータ
Claims (7)
- リチウム金属複合酸化物からなる正極活物質の表面に、
リチウムイオンが多方向に拡散可能な化合物の被覆層が形成された正極を有し、
該被覆層は前記リチウムイオンが多方向に拡散可能な化合物の非晶質からなり、
前記被覆層は、4価以上の価数の金属元素とリチウムとからなるリチウム含有酸化物により形成されており、
該リチウム含有酸化物は、タングステンとリチウムとからなるタングステン酸リチウムから形成されている、
ことを特徴とする非水系電解質二次電池用正極電極。 - 前記タングステン酸リチウムは、Li2WO4、Li4WO5、Li6W2O9、Li6WO6、7(Li2WO4)・4H2Oからなる群から選択されるいずれか一の化合物を含む、
ことを特徴とする請求項1記載の非水系電解質二次電池用正極電極。 - 前記リチウム金属複合酸化物が、リチウムイオンの拡散方向がa軸方向に限定された層状構造を有する、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の非水系電解質二次電池用正極電極。 - 前記正極活物質が粒子状であり、前記被覆層が、前記正極活物質の粒子の表面に形成されている、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の非水系電解質二次電池用正極電極。 - 請求項4に記載の非水系電解質二次電池用正極電極に用いられる正極材料であって、
前記正極活物質の粒子の表面に前記被覆層が形成されている、
ことを特徴とする非水系電解質二次電池用正極材料。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の非水系電解質二次電池用正極電極が用いられている、
ことを特徴とする非水系電解質二次電池。 - リチウム金属複合酸化物からなる正極活物質の表面に、
リチウムイオンが多方向に拡散可能な化合物の被覆層を、
25〜200℃の範囲の雰囲気温度中で、物理的成膜法を用いて形成する工程を有する、
ことを特徴とする非水系電解質二次電池用正極電極の製造方法。
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