JP6633374B2 - 曲げ剛性および吸音性に優れた積層成型体及びその製造方法 - Google Patents

曲げ剛性および吸音性に優れた積層成型体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、特に、自動車の内装材として好適に用いることができる積層成型体である。内装材としては、自動車内の天井材、ダッシュボード、床材あるいはトランクルーム等が挙げられる。
自動車の内装材には車両重量の軽量化の観点から、プラスチック材料が使用されている。また、軽量化の他に、吸音性、断熱性等に関する要求性能も高くなり、このような要求性能を満たすために、主体繊維とバインダー繊維を熱接着させた固綿を用いることが提案されている。
例えば、特許文献1には、主体繊維と鞘部のバインダー成分が、テレフタル酸を酸成分とし、エチレングリコールと1,4−ブタンジオールをジオール成分とした共重合ポリエステルから成るバインダー繊維から構成され、繊維同士の交点がバインダー繊維のバインダー成分によって熱接着されてなる固綿が提案されている。また、特許文献2には、体積の10%〜80%が中空のポリアミド樹脂繊維またはポリエステル樹脂繊維から選ばれた中空繊維とバインダーとして熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂繊維から選ばれる1種以上を含むことを特徴とする自動車用軽量防音材が提案されている。
吸音材料としては、ウレタンフォームやグラスウール、ロックウール板、不織布など、通気性のある連続気泡や細かい繊維状の構造を持つ材料が知られている。これらの材料では、空気がこれらの中で振動・摩擦により、音のエネルギーが熱のエネルギーに変換されるために、吸音性能を発揮するものである。
一般に、固綿の吸音性は固綿の厚みと密度に影響される。固綿の密度が一定の場合は厚みが厚い方が、厚みが一定の場合は密度が大きい方が、吸音特性は高くなることが知られている。さらに軽量化するためには、厚みを薄くするか、密度を小さくする必要がある。しかしながら、密度を小さく、または、厚みを薄くすると固綿の曲げ剛性が小さく、かつ、吸音性も小さくなる。自動車内の天井材、ダッシュボード、床材あるいはトランクルーム等の内装基材に用いる場合、ある程度の曲げ剛性が求められる。固綿の場合、ガラス繊維などの曲げ剛性の大きい繊維を混合する場合があるが、ガラス繊維は比重2.5程度とポリエステルの1.38と比べて高く、固綿自体の重量が重くなるデメリットを有している。
このように、軽量性と曲げ剛性・吸音性を両立させることは、相反する性能を両立させることである。
特許第4307272号公報 特許第2893431号公報
上記したように、軽量性と曲げ剛性・吸音性を両立させることは、相反する性能を両立させることであるが、本発明は、ガラス繊維のような比重の大きい材料を用いずとも、軽量化と曲げ剛性・吸音性とを両立させた積層成型体を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を達成するものであって、以下の構成を要旨とする。
すなわち、本発明は、繊維強化樹脂板と、固綿とが積層一体化してなる成型体であり、
繊維強化樹脂板は、高融点重合体(a)と低融点重合体(b)とにより構成され、低融点重合体(b)がマトリックス樹脂となって、前記マトリックス樹脂中に、高融点重合体(a)からなる繊維が存在し、前記繊維が連続繊維であり、
固綿は、多数の繊維が堆積することにより構成され、前記繊維は高融点重合体(c)と低融点重合体(d)とからなり、
固綿を構成する低融点重合体(d)が、160〜200℃の結晶融点を有し、かつ融解熱が16J/g以上であり、
繊維強化樹脂板と固綿とは、積層面における低融点重合体(b)および低融点重合体(d)とが溶融固化することにより接着して一体化していることを特徴とする曲げ剛性と吸音性に優れた積層成型体を要旨とする。
また、本発明は、高融点重合体(a)と低融点重合体(b)とによって構成される連続繊維からなる布帛を準備し、該布帛を、低融点重合体(b)の融点以上かつ高融点重合体(a)の融点未満の温度にて緊張下で熱処理した後、
高融点重合体(c)と低融点重合体(d)とによって構成され、多数の繊維が堆積してなる固綿と重ね合せ、
0.1MPa以上の加圧下で、低融点重合体(b)および低融点重合体(d)のいずれの融点よりも高い温度であり、かつ高融点重合体(a)および高融点重合体(c)のいずれの融点よりも低い温度にて、緊張下で熱処理することによって、積層面における低融点重合体(b)および低融点重合体(d)とを溶融させて接着一体化することを特徴とする曲げ剛性と吸音性に優れた積層成型体の製造方法を要旨とするものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の積層成型体は、繊維強化樹脂板と固綿とが積層一体化してなるものである。本発明において、繊維強化樹脂板は、高融点重合体(a)と低融点重合体(b)とにより構成され、低融点重合体(b)がマトリックス樹脂となって、前記マトリックス樹脂中に、高融点重合体(a)からなる連続繊維が存在する。マトリックス樹脂中に存在する繊維が、いわゆる特定の繊維長を有する短繊維ではなく、特定の繊維長を有しない連続してなる連続繊維である。このような連続繊維間の隙間を埋めるように低融点重合体からなるマトリックス樹脂が存在しており、また言い換えると、母体となるマトリックス樹脂中に連続繊維が均一に存在していることから、樹脂板は、連続繊維よって強化され、曲げ剛性に優れるものとなる。マトリックス樹脂中に存在する連続繊維は、方向性がなくランダムに存在するもの、一定の方向性を有して配列して存在するもののいずれでもよいが、連続繊維が、織物または編物の形態で存在していることが好ましい。マトリックス樹脂中に、織編物の形態で存在することにより布帛の形態で存在することとなり、布帛としての強度等の機能が付加される。また、織物の形態であれば、連続繊維が経糸および緯糸として略直交した2方向に配列するため、寸法安定性が良好となり、強度も向上する。また、編物の形態であれば、連続繊維はループを構成するため、積層成型体を所定の形状に立体成型する場合に、追随性が良好となり、立体成型性に優れる。
繊維強化樹脂板を構成する高融点重合体(a)および低融点重合体(b)に用いる重合体としては、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系重合体、ナイロン6やナイロン6,6などのポリアミド系重合体、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系重合体、およびこれらの共重合体が挙げられる。なかでも、高融点重合体(a)および低融点重合体(b)のいずれもがポリエステル系重合体により構成されることが好ましく、さらには、高融点重合体(a)としてポリエチレンテレフタレート、低融点重合体(b)として共重合ポリエステルとする組み合わせが、製糸性、製織性・製編性の観点から、また、固綿との積層一体化の際の加工性の観点から好ましい。
高融点重合体(a)と低融点重合体(b)の比率は、質量比率で、高融点重合体/低融点重合体=30/70〜90/10の範囲がよく、好ましくは40/60〜80/20の範囲とする。高融点重合体の比率を30質量%以上とすることにより、強化繊維の役割を果たすことができ、一方、高融点重合体の比率を90質量%以下とすることにより、母体であるマトリックス樹脂の割合が少なくなり過ぎず、強化繊維間にマトリックス樹脂を均一に存在させて、樹脂板としての形態を維持させることができる。
本発明における繊維強化樹脂板は、以下の方法により得る。すなわち、高融点重合体(a)と低融点重合体(b)とによって構成される連続繊維からなる布帛を準備し、熱処理を施すことにより、高融点重合体は当初の繊維形態を維持させたまま低融点重合体を溶融させる。そうすると、溶融した低融点重合体を母体とし、かつ母体中に高融点重合体よりなる連続繊維が均一に存在し、高融点重合体からなる連続繊維が強化材として機能する繊維強化樹脂板が得られるのである。
高融点重合体(a)と低融点重合体(b)によって構成される連続繊維からなる布帛としては、高融点重合体(a)からなる単相の連続繊維と低融点重合体(b)からなる単相の連続繊維とからなる布帛、高融点重合体(a)と低融点重合体(b)とを複合してなる複合型の連続繊維を用いた布帛、あるいは、単相の連続繊維と複合型の連続繊維とを併用したもの等が挙げられる。得られる樹脂板において、母体である低融点重合体と高融点重合体からなる強化繊維とを、より均一に存在させるためには、複合型の連続繊維を用いることが好ましい。複合型としては、低融点重合体(b)が繊維表面の少なくとも一部を構成していることを要し、芯部に高融点重合体(a)を配し鞘部に低融点重合体(b)を配してなる芯鞘複合型を好ましく用いる。布帛の形態としては、織物、編物、不織布、連続繊維を所望の方向に配列したもの等が挙げられるが、織物または編物を用いることが好ましい。その理由は、上述したように、樹脂板において強化繊維として存在する連続繊維が製編織された布帛であることにより、形態安定性を有し、より曲げ剛性や強度が向上するからである。
繊維製品を構成する連続繊維の単繊維繊度は、特に限定するものではないが、3.3デシテックス〜17デシテックスの範囲が好ましい。また、マルチフィラメント糸を用いる場合、フィラメント数は24本〜192本の範囲が好ましい。具体的には、280デシテックス/48フィラメント、500デシテックス/48フィラメント、1100デシテックス/96フィラメント、1670デシテックス/192フィラメントなどが挙げられる。
布帛中における高融点重合体(a)と低融点重合体(b)との比率は、上述した樹脂板における比率と同様であって、質量比率で、高融点重合体/低融点重合体=30/70〜90/10の範囲がよく、好ましくは40/60〜80/20の範囲とする。
上記した2種の重合体からなり連続繊維によって構成される布帛を、低融点重合体(b)の結晶融点以上、かつ高融点重合体(a)の結晶融点未満の温度にて、緊張下で熱処理することにより、高融点重合体は当初の繊維形態を維持させたまま低融点重合体を溶融させて、繊維強化樹脂板を得る。熱処理の際に、加圧することにより所定の形状に成型し、熱処理後は冷却する。熱処理の際に無緊張下ではなく、緊張下で行う理由は、熱処理によって被処理物が過度に収縮することを防ぎ、所望の形状に成型された樹脂板を得るためである。緊張下の状態とする方法としては、テンションをかける方法、固定する方法、プレスする方法等が挙げられる。
布帛を緊張下での熱処理により樹脂板を得る工程としては、後述する固綿と積層一体化のための工程と同時に行うこと、すなわち、樹脂板にする工程と積層一体化する工程とを一気に一工程で行ってもよい。また、一気に一工程で行うのではなく、布帛のみを緊張下で熱処理した後に、その熱処理した布帛と固綿とを積層し、再度、緊張下で熱処理を施すことにより、繊維強化樹脂板を得るとともに、繊維強化樹脂板と固綿とを積層一体化させてもよい。2工程を行うことにより、樹脂板と固綿との接着一体化が良好に行われるため好ましい。
このように2工程で行う場合は、先の緊張熱処理工程で低融点重合体(b)を完全に溶融させて、繊維強化樹脂板を得たうえで、次の緊張熱処理工程にて、繊維強化樹脂板と固綿とを一体化し、後の工程は接着一体化のためのみの工程としてもよい。また、2工程において、先の緊張熱処理工程では、低融点重合体(b)を完全に溶融させずに、一部溶融させた状態とし、後の緊張熱処理工程で、樹脂板を得るとともに、樹脂板と固綿とを一体化させる工程としてもよい。繊維強化樹脂板は、熱処理前は布帛は繊維製品であり、また、積層一体する固綿も繊維製品であることから、積層面ではアンカー効果が働き、熱処理によって、樹脂板を構成する低融点重合体(b)と固綿を構成する低融点重合体(d)とが溶融軟化し、良好に接着一体化する。
固綿と積層一体化する際には、緊張下で熱処理を施す際に、加圧することにより、良好に一体化させる。0.1MPa以上の圧力を加えるとよい。
次に、本発明における固綿について説明する。固綿は、多数の繊維が堆積することにより構成され、固綿を構成する繊維は、高融点重合体(c)と低融点重合体(d)とからなる。固綿を構成する繊維は、特定の繊維長を有する短繊維によって構成されることが好ましく、構成繊維となる短繊維群を用いて、カーディングによりウェブを得、そのウェブを所望の目付となるように積層し、交絡または熱処理等により構成繊維間を結合させて固綿を得る。短繊維の単繊維繊度や繊維長は特に限定されるものではないが、繊度が1.7〜6.6デシテックス、繊維長が44mm〜76mmのものが、固綿の加工性等を考慮すると好ましい。固綿は、クッション性を有するものであり、1mm以上の厚みを有し、厚みの上限は特に限定しないが、20mm未満程度とする。
固綿を構成する繊維は、高融点重合体(c)からなる単相繊維、低融点重合体(d)からなる単相繊維、高融点重合体(c)と低融点重合体(d)とを複合してなる複合型繊維が挙げられ、これらの繊維を適宜組み合わせることにより、高融点重合体(c)と低融点重合体(d)とにより固綿が構成される。具体的には、高融点重合体(c)からなる単相繊維と低融点重合体(d)からなる単相繊維とからなる固綿、高融点重合体(c)からなる単相繊維と複合型繊維からなる固綿、複合型繊維のみからなる固綿等が挙げられる。複合型繊維としては、高融点重合体(c)と低融点重合体(d)とがサイドバイサイド型に貼り合わされてなるサイドバイサイド型複合繊維、芯部に高融点重合体(c)を配し鞘部に低融点重合体(d)を配してなる芯鞘複合型繊維が挙げられる。複合型繊維の高融点重合体と低融点重合体の比率は特に限定しないが、質量比率で20/80〜90/10、より好ましくは40/60〜60/40の範囲が好ましい。また、固綿における高融点重合体(c)/低融点重合体(d)の質量比は、上述の繊維強化樹脂板との接着性や、得られる積層成型体のクッション性、吸音性等を考慮して、90/10〜50/50がよい。
固綿を構成する高融点重合体(c)と低融点重合体(d)としては、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系重合体、ナイロン6やナイロン6,6などのポリアミド系重合体、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系重合体、およびこれらの共重合体が挙げられる。特に、高融点重合体としてポリエチレンテレフタレート、低融点重合体として共重合ポリエステルの組み合わせが好ましい。
ポリエチレンテレフタレート/共重合ポリエステルの組合せにおいて、共重合ポリエステルは、結晶融点を示す結晶性重合体であることが好ましい。共重合ポリエステルの結晶融点は、芯部のポリエチレンテレフタレートの結晶融点を考慮すると160〜200℃の範囲が好ましい。また、共重合ポリエステルの融解熱は16J/g以上が好ましい。融解熱が16J/g以上であると、固綿を構成する繊維同士を熱接着するための熱処理において、加熱により溶融軟化して構成繊維同士を熱接着した後、冷却により降温する際に共重合ポリエステルが速やかに結晶化し、また、十分に配向、結晶化する。このため、固綿と繊維強化樹脂板とを積層一体化するための熱処理の際、加熱により再度昇温させることにより、共重合ポリエステルの結晶融点で、再度溶融接着が可能な固綿となり、繊維強化樹脂板との積層面において良好に接着し一体化する。このような結晶特性を有する共重合ポリエステルとしては、テレフタル酸を酸成分とし、エチレングリコールと1、4−ブタンジオールをジオール成分とした共重合体において、エチレングリコールと1,4−ブタンジオールのモル比を調整することで得ることができる。なお、繊維強化樹脂板を構成する低融点重合体(b)と固綿を構成する低融点重合体(d)との融点の関係は、積層の際の接着性や固綿の繊維形態の維持性、形態安定性を考慮すると、同等もしくは、低融点重合体(b)が低融点重合体(d)よりも低い融点であることが好ましい。また、繊維強化樹脂板を構成する高融点重合体(a)と固綿を構成する高融点重合体(c)は、いずれも低融点重合体(b)および低融点重合体(d)の融点よりも高く、熱処理の際に熱の影響を受けないものあればよい。
次に、本発明の積層成型体の好ましい製造方法について説明する。
まず、高融点重合体(a)と低融点重合体(b)とによって構成される連続繊維からなる布帛を準備し、布帛を、低融点重合体(b)の融点以上かつ高融点重合体(a)の融点未満の温度にて、緊張下で熱処理する。緊張下で熱処理することにより、被熱処理物が加熱により大きく熱収縮することを防止する。また、この加熱処理により、高融点重合体(a)は繊維形態を維持し、一方、低融点重合体(b)は溶融することによりマトリックス樹脂とし、繊維強化樹脂板とする。布帛は、織編物であることが好ましく、布帛を緊張熱処理により得られる繊維強化樹脂板表面は、平坦なものではなく、織編物の組織に起因する凹凸を有することが好ましい。後述する固綿との接着処理の際に、アンカー効果を発揮するためである。
次いで、上記した高融点重合体(c)と低融点重合体(d)により構成される固綿を準備する。
次に、熱処理した布帛(この時点で、すでに繊維強化樹脂板の形態であってもよい。)と、固綿とを重ね合わせ、0.1MPa以上の加圧下で、低融点重合体(b)および低融点重合体(d)のいずれの融点よりも高い温度であり、かつ高融点重合体(a)および高融点重合体(c)のいずれよりも低い温度にて、緊張下で熱処理し、繊維強化樹脂板と固綿との積層面において、低融点重合体(b)と低融点重合体(d)とを溶融させて接着一体化させて、本発明の積層成型体を得る。接着面においては、アンカー効果も伴って界面破壊を起こすことなく、良好に接着一体化する。
本発明の積層成型体は、繊維強化樹脂板と固綿とが積層一体化してなるものであり、繊維強化樹脂板が、連続繊維からなる布帛を原材料として熱処理により得られたものであることから、軽量でありながら、優れた曲げ剛性を有する。したがって、このような繊維強化樹脂板と固綿とが良好に積層一体化しているため、積層成型体として、優れた曲げ剛性を有するものとなり、またクッション性や吸音性にも優れる。本発明において、積層成型体の厚みは、成型性、吸音性、軽量性を考慮して、2〜20mm、密度は0.05〜0.6g/cmであることが好ましい。
本発明の積層成型体は、上記の構成を有するため、自動車の内装材として好適に用いることができ、より具体的には、自動車内の天井材、ダッシュボード、床材あるいはトランクルーム等に適用可能である。また、適用する際には、所望の形状に成型するとよい。
本発明によれば、優れた曲げ剛性を有する繊維強化樹脂板と、優れた吸音性能を有する固綿とが、それぞれの層に存在する低融点重合体を介して熱接着させることで、積層一体化したものであり、従来、両立することの難しかった軽量性と曲げ剛性・吸音性との両方に優れる成型体を提供することができる。
吸音性を評価するために用いた評価装置の概略斜視図である。
次に本発明について、実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例に記述した諸物性の評価方法は、次のとおりである。
(1)結晶融点
示差走査熱量測定装置を使用して昇温速度20℃/分で測定した。
(2)融解熱
示差走査熱量測定装置を使用して昇温速度20℃/分で測定した。
(3)目付
長さ:200mm、幅:200mmの大きさに切断した試験片の質量を秤量後、秤量値から1m×1m当たりの質量に換算し、目付とした。
(4)曲げ強度
試料(長さ:80mm、幅:10mm、厚み:4mm)をISO178に従って3点曲げ試験を実施し、最大曲げ強さ(MPa)と曲げ弾性率(MPa)を算出した。なお、圧子は固綿面側、支持台は繊維強化樹脂板側に接するように積層成型体をセットした。
(5)吸音性
200mm×200mmの積層成型体6枚を準備し、図1に示すごとき側面:Aの中心部に直径:50mmの観測窓:B及び上面:Cの中心部に直径:50mmの落下窓:Dが開けられた200mm×200mm×200mmの立方体を作成した。なお、積層成型体の固綿面側が立方体の内側面となるように作成した。
観測者は、右耳を観測窓Bに近づける。次に、上面:Cから高さ:100mmの位置から直径10mmの金属球:Eを落下させる。このとき、観測者に聞こえた音(落下音)を次の4段階で評価した。
4:著しく気になる。
3:気になる。
2:あまり気にならない。
1:全く気にならない。
実施例1
芯部にポリエチレンテレフタレート(結晶融点:255℃)、鞘部にテレフタル酸、ε‐カプロラクトン、エチレングリコールと1、4−ブタンジオールとを構成成分とする共重合ポリエステル(結晶融点:160℃)からなる芯鞘複合型連続繊維からなるマルチフィラメント糸(1670デシテックス/192フィラメント、繊維の芯鞘質量比率:芯/鞘=73/27)を用いて、経糸本数:24本/インチ、緯糸本数:25本/インチの平組織の織物を製織した。
該織物を熱プレス機にて、上板・下板の温度:200℃、プレス圧:0.4MPaの条件で、0.5分間熱プレスを行った。熱処理後は、被熱処理物を水平な金属板上に置き、上から温度20℃の精製水が5リットル入ったステンレス製角型バットを載せて加重をかけ、3分間静置し、繊維強化樹脂板を得た。繊維強化樹脂板の厚みは約1mmであった。
次に、固綿を準備した。芯部にポリエチレンテレフタレート(結晶融点:255℃)、鞘部にテレフタル酸、エチレングリコールと1、4−ブタンジオールの共重合ポリエステル(結晶融点:180℃)からなる芯鞘複合短繊維(繊度4.4デシテックス、繊維長51mm、融解熱19.1J/g、芯鞘質量比率:芯/鞘=50/50)を用いて、カード機にてウェブを作成した。このウェブを4枚クロスレイヤーした後、厚み8mmになるように規制しながら、熱風温度200℃、1分間の条件でサーマルスルー処理を行い、繊維同士の交点にて構成繊維同士が熱接着された固綿を得た(目付800g/m)。
次いで、繊維強化樹脂板と固綿とを重ね、厚み:4mmになるように規制しながら、上板・下板の温度を200℃、プレス圧0.4MPaの条件で1分間熱プレスを行い、繊維強化樹脂板と固綿との積層面において互いに熱接着させた。熱処理後は、積層成型体を水平な金属板上に置き、上から温度20℃の精製水が5リットル入ったステンレス製角型バットを載せて荷重をかけ、3分間静置し、実施例1の積層成型体を得た。
実施例2
実施例1において、平組織の織物を製織する際、連続繊維として、芯部にポリエチレンテレフタレート(結晶融点:255℃)、鞘部にテレフタル酸、ε‐カプロラクトン、エチレングリコールと1、4−ブタンジオールの共重合ポリエステル重合体(結晶融点:160℃)からなる芯鞘型複合連続繊維からなるマルチフィラメント糸(280デシテックス/48フィラメント、繊維の芯鞘質量比率:芯/鞘=73/27)を用いたこと、経糸本数48本/インチ、緯糸本数48本/インチの平組織の織物としたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の積層成型体を得た。
比較例1
実施例1において、織物を熱処理した繊維強化樹脂板を用いず、固綿のみ用いたこと以外は、実施例1と同様にして固綿からなる成型体を得た。詳細には下記のとおりである。
ポリエチレンテレフタレート(結晶融点:255℃)、鞘部にテレフタル酸、エチレングリコールと1、4−ブタンジオールの共重合ポリエステル重合体(結晶融点:180℃)からなる芯鞘複合短繊維(繊度4.4デシテックス、繊維長51mm、融解熱19.1J/g、芯鞘質量比率:芯/鞘=50/50)を用いてカード機にてウェブを作成した。このウェブを4枚クロスレイヤーした後、厚み:8mmになるように規制しながら、熱風温度200℃、1分間の条件でサーマルスルー処理を行い、繊維同士の交点にて熱接着した固綿を得た(目付800g/m)。
得られた固綿を厚み4mmになるように規制しながら、上板・下板の温度200℃、プレス圧0.4MPaで1分間熱プレスを行い、熱処理後は、水平な金属板に置き、上から温度20℃の精製水が5リットル入ったステンレス角型バットをのせ、3分間静置し、比較例1の固綿からなる成型体を得た。
比較例2
実施例1において、繊維強化樹脂板に替えて、厚み2mmのポリエチレンテレフタレート製の平板を用いた。それ以外は、実施例1と同様にして、平板と固綿とを積層して、比較例2の樹脂平板が積層されてなる成型体を得た。
得られた実施例1、2および比較例1,2の諸物性値の測定結果を表1に示す。


表1から明らかなように、本発明の積層成型体は、固綿のみによって構成される比較例1と同様の吸音性を有しながら、樹脂平板が積層してなる比較例2と同等以上の曲げ強さおよび曲げ弾性を有していることが分かる。したがって、本発明の積層成型体は、密度が小さく、軽量化を図ったものでありながら、曲げ剛性や曲げ強度に優れ、吸音性も優れるものであり、相反する2つの性能を満足するものであった。

Claims (8)

  1. 繊維強化樹脂板と、固綿とが積層一体化してなる成型体であり、
    繊維強化樹脂板は、高融点重合体(a)と低融点重合体(b)とにより構成され、低融点重合体(b)がマトリックス樹脂となって、前記マトリックス樹脂中に、高融点重合体(a)からなる繊維が存在し、前記繊維が連続繊維であり、
    固綿は、多数の繊維が堆積することにより構成され、前記繊維は高融点重合体(c)と低融点重合体(d)とからなり、
    固綿を構成する低融点重合体(d)が、160〜200℃の結晶融点を有し、かつ融解熱が16J/g以上であり、
    繊維強化樹脂板と固綿とは、積層面における低融点重合体(b)および低融点重合体(d)とが溶融固化することにより接着して一体化していることを特徴とする曲げ剛性と吸音性に優れた積層成型体。
  2. 繊維強化樹脂板において、マトリックス樹脂中に存在する連続繊維は、織物または編物の形態で存在していることを特徴とする請求項1記載の曲げ剛性と吸音性に優れた積層成型体。
  3. 高融点重合体(a)、低融点重合体(b)、高融点重合体(c)、低融点重合体(d)のいずれもがポリエステル系重合体であることを特徴とする請求項1または2記載の曲げ剛性と吸音性に優れた積層成型体。
  4. 積層成型体の厚みが2〜20mm、密度が0.05〜0.6g/cm3であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の曲げ剛性と吸音性に優れた積層成型体。
  5. 高融点重合体(a)と低融点重合体(b)とによって構成される連続繊維からなる布帛を準備し、該布帛を、低融点重合体(b)の融点以上かつ高融点重合体(a)の融点未満の温度にて緊張下で熱処理した後、
    高融点重合体(c)と低融点重合体(d)とによって構成され、多数の繊維が堆積してなる固綿と重ね合せ、
    0.1MPa以上の加圧下で、低融点重合体(b)および低融点重合体(d)のいずれの融点よりも高い温度であり、かつ高融点重合体(a)および高融点重合体(c)のいずれの融点よりも低い温度にて、緊張下で熱処理することによって、積層面における低融点重合体(b)および低融点重合体(d)とを溶融させて接着一体化することを特徴とする曲げ剛性と吸音性に優れた積層成型体の製造方法。
  6. 布帛を構成する連続繊維が、高融点重合体(a)が芯部を構成し、低融点重合体(b)が鞘部を構成してなる芯鞘型複合繊維であることを特徴とする請求項記載の曲げ剛性と吸音性に優れた積層成型体の製造方法。
  7. 固綿を構成する繊維が、高融点重合体(c)が芯部を構成し、低融点重合体(d)が鞘部を構成してなる芯鞘型複合繊維であることを特徴とする請求項またはに記載の曲げ剛性と吸音性に優れた積層成型体の製造方法。
  8. 布帛が、織編物であることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の曲げ剛性と吸音性に優れた積層成型体の製造方法。
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