以下に本発明の実施形態に係る食器洗浄装置を、図1を参照しながら説明する。
1.食器洗浄装置1の全体構造について
図1に示すように、本実施形態に係る食器洗浄装置1は、食器Pをコンベア2(搬送部)で搬送しながら、洗浄水で洗浄する装置である。食器洗浄装置1は、入口緩衝室10Aと洗浄室10Bとを備えている。洗浄室10Bは、食器Pを荒洗浄する荒洗浄部3、荒洗浄した食器Pを洗剤洗浄する洗剤洗浄部4、洗剤洗浄した食器Pをすすぎ洗浄するすすぎ洗浄部5を備えている。ここで、荒洗浄部3と洗剤洗浄部4とが、本発明でいう主洗浄部に相当する。
コンベア2は、食器Pが搬入される食器洗浄装置1の入口11から、食器Pが搬出される出口13に向かって、食器Pを搬送する装置である。食器洗浄装置1には、入口11から導入された食器Pを洗浄しながら食器Pを出口13まで搬送する搬送通路12が形成されている。搬送通路12は、上述した荒洗浄部3からすすぎ洗浄部5まで連続して食器Pを通過させる通路であり、各洗浄部の通路が食器Pを洗浄する室を構成している。
食器洗浄装置1の入口(食器投入開口)11には、第1入口カーテン(投入カーテン)11aが取り付けられており、入口緩衝室10Aと洗浄室10Bとの間には、第2入口カーテン11bが取り付けられている。さらに食器洗浄装置1の出口13には、出口カーテン13aが取付けられている。これらのカーテン11a,11b,13aは、可撓性を有しており、装置本体から垂下するように取り付けられている。
第1入口カーテン11aおよび出口カーテン13aを設けることにより、装置内で発生した湯気が、入口11および出口13から漏出することを低減することができる。さらに、第2入口カーテン11bを設けることにより、洗浄室10Bから食器洗浄装置1の入口11に向かう湯気の漏出を抑えることができる。さらに、第1および第2入口カーテン11a,11bの間において、後述する入口緩衝室10Aで湯気を消滅させることができる。なお、食器洗浄装置1の出口13には、後述するように装置内で湯気を循環させるため、入口側とは異なり、出口側には出口カーテン13aのみが配置されている。
コンベア2は、食器洗浄装置1(具体的には搬送通路12)の入口11から出口13まで、食器Pを載置しながら移動するチェーンベルト21と、チェーンベルト21が巻き付いた従動ローラ22および駆動ローラ23と、を備えている。駆動ローラ23は、駆動ベルト24を介して駆動モータ25に連結されている。
このように構成することで、駆動モータ25を駆動すると、駆動ベルト24を介して駆動ローラ23が回転し、駆動ローラ23に巻き付いたチェーンベルト21が、従動ローラ22を回転させながら、搬送通路12内を移動する。これにより、荒洗浄部3からすすぎ洗浄部5までの搬送通路12内において、チェーンベルト21に載置された食器Pを搬送することができる。
さらに、食器洗浄装置1の入口11とコンベア2の従動ローラ22との間であって、上側のチェーンベルト21の下方には、湯気ガイド板10cが設置されている。より具体的には、湯気ガイド板10cは、入口11の下側に周り込んだ洗浄室10Bからの湯気を、上側のチェーンベルト21から外部に排出させずに、入口緩衝室10Aへ向け湯気を誘導するように配置されている。
2.入口緩衝室10A(モイスラー)について
入口緩衝室10Aは、洗浄室10Bよりも食器洗浄装置1の入口11側に設置され、洗浄室10Bから漏れ出た湯気が装置外部に漏出しないようにするものである。入口緩衝室10Aには、上方に湯気を排出する排出口10aが形成され、排出ダクト10bを介して後述する熱交換器72に連通している。熱交換器72には、排気ファン73aが取付けられている。
排気ファン73aを設けることにより、洗浄室10Bから漏れ出た湯気を、入口緩衝室10Aの排出口10aから排出ダクト10bを介して熱交換器72に吸い込むことができる。熱交換器72内では、後述する上水w4を通水することにより、吸引した湯気を冷却し、湯気の熱を上水と熱交換することにより湯気を消失させる。湯気が消失した空気は排気口73bから外部へ排出される。以下、荒洗浄部3からすすぎ洗浄部5までの装置構成を詳細に説明する。
3.荒洗浄部3について
荒洗浄部3は、食器洗浄装置1の入口11からコンベア2で搬送された使用済みの食器Pに付着した粗大な汚れなどを荒洗浄水w1で洗い流すべく、食器Pを荒洗浄するセクションである。荒洗浄部3は、コンベア2で搬送された食器Pに荒洗浄水w1を上下から吹き付ける荒洗浄ノズル31を備えている。荒洗浄ノズル31は、コンベア2を横断する方向(コンベア2のチェーンベルト21の幅方向)に、軸芯が配置されたノズルパイプ(図示せず)と、ノズルパイプの軸芯方向に沿って所定の間隔をあけて、ノズルパイプに取り付けられた複数のノズルチップ(図示せず)と、を備えている。
図1に示すように、コンベア2のチェーンベルト21を挟んで、食器Pの搬送方向に沿って、上下それぞれ4つの荒洗浄ノズル31が配置されている。しかしながら、食器Pを荒洗浄水w1で荒洗浄できるのであれば、荒洗浄ノズル31の個数および配置はこれに限定されるものではない。
ここで、4つの荒洗浄ノズル31のうち、入口11に最も近い上下の洗浄ノズルは、その吹付方向が荒洗浄部内(出口13側)に傾斜するように、配置されている。なお、図1では、説明の便宜上、入口11に最も近い上下の荒洗浄ノズルの噴射のみを図示しており、他の荒洗浄ノズル31の吹付方向は、上下方向である。
入口11に最も近い上下の荒洗浄ノズル31の吹付方向を傾斜させたことにより、入口11側から出口13側に傾斜して荒洗浄水w1が噴射されることになる。この結果、荒洗浄水w1の噴射に伴い若干の気流が生じ、入口11に向かう湯気を荒洗浄部3内に押し戻し、入口11からの湯気の漏出を抑えることができる。
荒洗浄部3は、荒洗浄ノズル31から放出した荒洗浄水w1を回収し、回収した荒洗浄水w1を収容する荒洗浄水収容槽32を、荒洗浄ノズル31の下方に備えている。荒洗浄水収容槽32に収容される荒洗浄水w1の水温は、60℃程度であり、必要に応じてヒーターをさらに設けてもよい。荒洗浄水収容槽32の上方には、後述するすすぎ洗浄水w3を供給する給水口36が配置されている。コンベア2と荒洗浄水収容槽32との間には、ストレーナ39が配置されている。ストレーナ39は、荒洗浄水w1で食器Pから洗い落された汚れを網目状部材(フィルタ)で捕獲するものである。
荒洗浄水収容槽32の内部には、収容された荒洗浄水w1の水量(収容量)を検知する水量検知センサー(図示せず)が配置されている。水量検知センサーで検知された荒洗浄水w1の水量に相当する信号は、信号線を介して制御部8に入力される。
荒洗浄部3は、荒洗浄水収容槽32に収容された荒洗浄水w1を荒洗浄ノズル31に圧送する圧送ポンプ33と、圧送ポンプ33で圧送された荒洗浄水w1を荒洗浄ノズル31に送水する送水管34と、をさらに備えている。
荒洗浄ノズル31で荒洗浄水w1が吹き付けられる領域の搬送方向中央の(コンベア2の)チェーンベルト21の位置が、食器Pの搬送方向の前後のチェーンベルト21の位置よりも低い位置となるように、中央のチェーンベルト21の搬送方向前後のチェーンベルト21が水平方向に対して傾斜している。これにより、搬送している食器Pが、その中央に向けて低くなるように傾き、荒洗浄ノズル31から吹き付けられて食器Pに付着している荒洗浄水w1を、荒洗浄ノズル31の下方の荒洗浄水収容槽32へと落下させ、これを効率良く回収することができる。
4.洗剤洗浄部4について
洗剤洗浄部4は、荒洗浄部3からコンベア2で搬送された、荒洗浄後の食器Pに付着した油分等の汚れを、洗剤を含有した洗剤洗浄水w2で洗い流すべく、食器Pを洗剤洗浄するセクションである。洗剤洗浄部4は、コンベア2で搬送された食器Pに洗剤洗浄水w2を上下から吹き付ける洗剤洗浄ノズル41を備えている。なお、洗剤洗浄ノズル41は、荒洗浄ノズル31と同様の構造となっている。洗剤洗浄ノズル41は、コンベア2のチェーンベルト21を挟んで、食器Pの搬送方向に沿って、上下それぞれ4つ配置されているが、食器Pを洗剤洗浄水w2で洗剤洗浄できるのであれば、洗剤洗浄ノズル41の個数および配置はこれに限定されるものではない。
洗剤洗浄部4は、洗剤洗浄ノズル41から放出した洗剤洗浄水w2を回収し、回収した洗剤洗浄水w2を収容する洗剤洗浄水収容槽42を、洗剤洗浄ノズル41の下方に備えている。洗剤洗浄水収容槽42の上方には、後述するすすぎ洗浄水w3を供給する給水口46が配置されている。コンベア2と洗剤洗浄水収容槽42との間には、ストレーナ49が配置されている。ストレーナ49は、洗剤洗浄水w2で食器Pから洗い落された汚れを網目状部材(フィルタ)で捕獲するものである。
洗剤洗浄水収容槽42の内部には、収容された洗剤洗浄水w2の水量(収容量)を検知する水量検知センサー(図示せず)と、洗剤洗浄水w2の洗剤濃度を測定する濃度センサー(図示せず)と、洗剤洗浄水w2の温度を測定する温度センサー(図示せず)とが配置されている。水量検知センサーで検知された洗剤洗浄水w2の水量に相当する信号は、信号線を介して制御部8に入力される。濃度センサーおよび温度センサーの信号も、制御部8に入力される。
さらに、洗剤洗浄水収容槽42の内部には、収容された洗剤洗浄水w2を加熱するヒーター48が配置されている。ヒーター48は、洗剤洗浄水w2が洗剤洗浄ノズル41から所定温度(たとえば60〜65℃)で食器Pに吹き付けられるように、収容された洗剤洗浄水w2を加熱する。具体的には、上述した温度センサーで検出された温度に基づいて、制御部8が、ヒーター48の加熱温度を制御する。
洗剤洗浄部4は、洗剤洗浄水収容槽42に収容された洗剤洗浄水w2を洗剤洗浄ノズル41に圧送する圧送ポンプ43と、圧送ポンプ43で圧送された洗剤洗浄水w2を洗剤洗浄ノズル41に送水する送水管44と、をさらに備えている。
洗剤洗浄部4の洗剤洗浄ノズル41と、荒洗浄部3の荒洗浄ノズル31との間には、水戻り傾斜板76が配置されている。水戻り傾斜板76は、搬送方向における板中央から一方側(荒洗浄部3側)は、荒洗浄水収容槽32のある下方に傾斜し、他方側(洗剤洗浄部4側)は、洗剤洗浄水収容槽42のある下方に傾斜している。これにより、荒洗浄ノズル31から食器Pに放出された後、食器Pに付着して食器Pから落下する荒洗浄水w1や、食器Pから飛び散った荒洗浄水w1が洗剤洗浄部4に移らないよう、荒洗浄水w1を荒洗浄水収容槽32で回収することができる。同様に、洗剤洗浄ノズル41から食器Pに放出された後、食器Pに付着して食器Pから落下する洗剤洗浄水w2や、食器Pから飛び散った洗剤洗浄水w2が荒洗浄部3に移らないように、洗剤洗浄水w2を洗剤洗浄水収容槽42に回収することができる。
洗剤洗浄ノズル41で洗剤洗浄水w2が吹き付けられる領域の搬送方向中央の(コンベア2の)チェーンベルト21の位置が、食器Pの搬送方向の前後のチェーンベルト21の位置よりも低い位置となるように、中央のチェーンベルト21の搬送方向前後のチェーンベルト21が水平方向に対して傾斜している。これにより、搬送している食器Pが、その中央に向けて低くなるように傾き、洗剤洗浄ノズル41から吹き付けられて食器Pに付着している洗剤洗浄水w2を、洗剤洗浄ノズル41の下方の洗剤洗浄水収容槽42へと落下させ、これを効率良く回収することができる。
5.すすぎ洗浄部5について
すすぎ洗浄部5は、洗剤洗浄部4からコンベア2で搬送された、洗剤洗浄後の食器Pに付着した洗剤等をすすぎ洗浄水w3で洗い流し、その後、仕上げ洗浄水(上水)w4で洗い流すべく、食器Pをすすぎ・仕上げ洗浄するセクションである。すすぎ洗浄部5は、コンベア2で搬送された食器Pにすすぎ洗浄水w3を上下から吹き付けるすすぎ洗浄ノズル51Aを備えている。さらに、すすぎ洗浄部5は、すすぎ洗浄ノズル51Aよりも食器洗浄装置1の出口13側において、コンベア2で搬送された食器Pに上水である仕上げ洗浄水w4を吹き付ける仕上げ洗浄ノズル51Bを備えている。
なお、すすぎ洗浄ノズル51Aおよび仕上げ洗浄ノズル51Bは、荒洗浄ノズル31と同様の構造となっている。すすぎ洗浄ノズル51Aおよび仕上げ洗浄ノズル51Bは、それぞれコンベア2のチェーンベルト21を挟んで、上下にそれぞれ1つ配置されている。しかしながら、食器Pをすすぎ洗浄水w3および仕上げ洗浄水w4で洗浄できるのであれば、すすぎ洗浄ノズル51Aおよび仕上げ洗浄ノズル51Bの個数および配置はこれに限定されるものではない。
すすぎ洗浄部5は、すすぎ洗浄ノズル51Aから放出したすすぎ洗浄水w3および仕上げ洗浄ノズル51Bから放出した上水(仕上げ洗浄水)w4を回収し、回収したすすぎ洗浄水w3を収容するすすぎ洗浄水収容槽52を備えている。すすぎ洗浄水収容槽52は、すすぎ洗浄ノズル51Aおよび仕上げ洗浄ノズル51Bの下方に配置されている。すすぎ洗浄水収容槽52の上方には、後述する上水w4を供給する給水口56が配置されている。
すすぎ洗浄水収容槽52には、収容されたすすぎ洗浄水w3の水量(収容量)を検知する水量検知センサー(図示せず)と、収容されたすすぎ洗浄水w3の温度を測定する温度センサー(図示せず)とが配置されている。水量検知センサーで検出されたすすぎ洗浄水w3の水量に相当する信号および温度センサーの信号は、信号線を介して制御部8に入力される。
さらに、すすぎ洗浄水収容槽52の内部には、収容されたすすぎ洗浄水w3を加熱するヒーター58が配置されている。ヒーター58の加熱温度は、すすぎ洗浄水w3がすすぎ洗浄ノズル51Aから所定温度(たとえば65〜70℃)で食器Pに吹き付けられるように、制御部8で制御される。
すすぎ洗浄部5は、すすぎ洗浄水収容槽52に収容されたすすぎ洗浄水w3をすすぎ洗浄ノズル51Aに圧送する圧送ポンプ53と、圧送ポンプ53で圧送されたすすぎ洗浄水w3をすすぎ洗浄ノズル51Aに送水する送水管54と、を備えている。
さらに、送水管54は、すすぎ洗浄ノズル51Aに圧送されるすすぎ洗浄水w3を分流し、分流したすすぎ洗浄水w3が、荒洗浄水収容槽32、および洗剤洗浄水収容槽42のそれぞれに供給されるように、送水管54A,54Bに接続されている。
具体的には、送水管54A,54Bのそれぞれは、荒洗浄水収容槽32および洗剤洗浄水収容槽42のそれぞれの上方に配置された給水口36,46に接続されている。各送水管54A,54Bには、荒洗浄水収容槽32および洗剤洗浄水収容槽42のそれぞれのすすぎ洗浄水w3の供給量を調整する調整弁55A,55Bが取り付けられている。
調整弁55Aは、水量検知センサーで検知した荒洗浄水収容槽32の水量およびすすぎ洗浄水収容槽52の水量に基づいて、調整弁55Aの開度の調整が可能なように、制御部8に接続されている。一方、調整弁55Bは、水量検知センサーで検知した洗剤洗浄水収容槽42の水量およびすすぎ洗浄水収容槽52の水量、必要に応じて、洗剤洗浄水w2の洗剤濃度に基づいて、調整弁55Bの開度の調整が可能なように、制御部8に接続されている。
ここで、仕上げ洗浄ノズル51Bに供給される上水w4は、供給口70から食器洗浄装置1に供給される。供給された上水w4は、熱交換器72を通過して加熱される。熱交換器72は、食器洗浄装置1内の荒洗浄部3の上方に取り付けられており、上述したヒーター48、58により加熱された洗浄水の湯気または蒸気の熱を取り込み、取り込んだ熱で上水w4を加熱する。
熱交換器72から放出される上水w4は、仕上げ洗浄ノズル51Bおよび給水口56に向かうように分流される。仕上げ洗浄ノズル51Bの上流には流量調整弁74が取り付けられており、給水口56の上流には開閉弁75が取り付けられている。流量調整弁74の開度および開閉弁75の開閉は、信号線を介して入力される制御信号により、制御される。
すすぎ洗浄部5のすすぎ洗浄ノズル51Aと、洗剤洗浄部4の洗剤洗浄ノズル41との間には、洗剤洗浄部4側に下方に向かって傾斜した2つの水戻り傾斜板77が配置されている。これにより、洗剤洗浄ノズル41から食器Pに放出された後、食器Pに付着して食器Pから落下する洗剤洗浄水w2や、食器Pから飛び散った洗剤洗浄水w2がすすぎ洗浄部5に移らないように、洗剤洗浄水w2を洗剤洗浄水収容槽42に回収することができる。この結果、洗剤洗浄部4からすすぎ洗浄部5への洗剤洗浄水w2の洗剤の持ち出しを制限し、すすぎ洗浄水w3に洗剤が混入することを低減することができる。
6.空気Aを循環させる構造について
すすぎ洗浄部5は、(コンベア2の)チェーンベルト21の上方に、すすぎ洗浄部5の搬送通路12を形成する天井面よりコンベア2側(すなわち下方)に突出した噴射ノズル61を備えており、噴射ノズル61の噴射口が、コンベアで搬送された食器Pに空気を吹き付ける吹付口62となっている。
すすぎ洗浄部5は、吹付口62よりも食器洗浄装置1の出口13側において、すすぎ洗浄部5内の空気Aを吸い込む吸込口63と、吹付口62および吸込口63に連通するブロワ65とを、さらに備えている。吹付口62と吸込口63とは、循環ダクト64を介して、ブロワ65に連通している。ブロワ65は、吸込口63から空気Aを吸引し、吸引した空気Aを吹付口62へ圧送するように、循環ダクト64に接続されている。吸込口63は、すすぎ洗浄部5の搬送通路12を形成する天井面のうち出口13の近傍に設けられ、出口13から漏出しようとする湯気を空気Aとともに吸い込むようになっている。
吹付口62および吸込口63は、コンベア2を横断する方向に沿って矩形状に開口した形状であるが、搬送された食器Pに空気を吹き付けることができ、装置内の空気を吸い込むことができるのであれば、その設置面や形状は特に限定されるものではない。
さらに、本実施形態では、噴射ノズル61の吹付口(噴射口)62は、すすぎ洗浄ノズル51Aと仕上げ洗浄ノズル51Bとの間に設けられている。これにより、すすぎ洗浄ノズル51Aで吹き付けれ、食器Pに付着したすすぎ洗浄水w3の液滴を、吹付口62からの空気で吹き飛ばした後、仕上げ洗浄ノズル51Bからの仕上げ洗浄水(上水)w4で、食器Pを洗浄することができる。余分な付着水をあらかじめ吹き飛ばしてすすぎ洗浄効果を高めるため、少量の仕上げ洗浄水w4で食器Pを洗浄することができる。このため仕上げ洗浄に用いる上水w4の消費量を低減することができる。
吹付口62の吹付方向は、吹付口62から入口11側(搬送方向の上流側)に、ブロワ65からの空気が吹き付けられるように、入口11側に傾斜している。これにより、食器Pに付着したすすぎ洗浄水w3の液滴を上流側へ吹き飛ばし、より効果的に食器Pの水切りができる。さらに、吹付口62からの空気により、入口11側(搬送方向の上流側)へ向け吹き下げられるので、入口11側から出口13側に流動する湯気を、入口11側へ押し戻す作用が働き、出口13からの湯気の漏出をより効果的に抑えることができる。
すすぎ洗浄部5は、コンベア2とすすぎ洗浄水収容槽52との間に、ストレーナ80を備えている。ストレーナ80は、すすぎ洗浄水w3等で食器Pから洗い落された汚れを捕獲する機能に加え、吹付口62から放出された空気Aを反射する反射部材としての機能も有する。
具体的には、図2(a)に示すように、ストレーナ80は、平板状の本体部81と、本体部81の周縁から立設した枠部82とを備えている。ストレーナ80は、すすぎ洗浄水収容槽52の上部に配置されている。本体部81には、その厚さ方向に貫通した複数の貫通孔83が形成されている。これにより、すすぎ洗浄ノズル51Aより噴射されたすすぎ洗浄水w3が、すすぎ洗浄水収容槽52に戻る際、すすぎ洗浄水w3を貫通孔83に通過させつつ、すすぎ洗浄水w3に含まれるゴミ等の汚れを捕獲することができる。
ここで、本体部81は、金属板などの板体に、パンチングなどにより貫通孔83を穿設することにより、製造することができる。したがって、本体部81の表面には、1つの連続した平面状の表面を有しており、この表面に貫通孔83の開口が形成される。これにより、コンベア2の下方に備えられたストレーナ80の表面で、吹付口62から吹出された(吹き降ろされた)空気Aを反射させることができ、反射させた空気Aを吸込口63に向かわせることができる。図2(a)に示すように、ストレーナ80は水平状に設置されているが、反射した空気Aが吸込口63側にスムーズに流れるように、傾斜して設置するようにしてもよく、その設置状態は限定されない。
この他にも、例えば、図2(b)に示すように、ストレーナ80の本体部81’を網目状の部材とし、ストレーナ80の上部に、吹付口62から放出された空気Aを反射する反射板(反射部材)84を別途設けてもよい。図2(b)では、反射板84は、出口13側に向かって、吹付口62から放出された空気Aを反射させ、吸込口63に案内するように、出口側に向かって下方に傾斜させている。しかしながら、反射板84で反射した空気Aを吸込口63で吸い込むことができるのであれば、反射板84を水平方向に配置してもよく、特にその配置状態は限定されない。
すすぎ洗浄部5は、すすぎ洗浄部5内における入口11側の空気Aを吸込口63に誘導する誘導板(誘導部材)68を備えている。誘導板68は、吸込口63に離間した状態で、吸込口63を覆うように出口13の内壁から入口11側に向かって延在しており、出口13から入口11に向かって傾斜している。そして吸込口63より入口11側の空気を吸込口63へ誘導するようになっている。
誘導板68を設けることにより、外部の空気を出口13から吸込口63に吸込むことを抑え、すすぎ洗浄部5内の食器洗浄装置1の入口11側の空気Aを吸込口に誘導することができる。特に、誘導板68で吸込口63を覆うことにより、誘導板68が負圧となり、周囲の湯気を均等に効率良く吸い込むとともに、出口カーテン13aの吸い込みを防止することができる。このため、吸込口63を出口13の近傍に設けたとしても、出口13側からの空気および出口カーテン13aの吸い込みを抑えることができるので、出口13から吸込口63まで、多大な距離を確保する必要がなく、装置のコンパクト化を図ることができる。
なお、誘導板68の入口11方向に向かう長さは、短すぎると出口13より外気を多く吸い込み過ぎてしまい、長すぎるとすすぎ洗浄部5内の湯気が出口13より外部へ漏出してしまうため、吸い込みの量や湯気の量により、適宜調整される。そして誘導板68は出口13の内壁から延在するようになっているが、吸込口63より入口11側の空気Aを吸込口63へ誘導されれば、この形状に限らない。
さらに、荒洗浄水収容槽32と洗剤洗浄水収容槽42との間、および、洗剤洗浄水収容槽42とすすぎ洗浄水収容槽52との間には、これら収容槽間を仕切る収容槽仕切り板79が立設されている。収容槽仕切り板79を設けることにより、オーバーフローにより、各収容槽間の洗浄水の移動を防止することができる。さらに、吹付口62から噴射された空気は、装置内の湯気とともにストレーナ80に反射するが、この際に、その反射した空気の一部が入口11側にも流れる。しかしながら、洗剤洗浄水収容槽42とすすぎ洗浄水収容槽52との間の収容槽仕切り板79により、入口11側への湯気の流動を抑制し、入口11に湯気が漏出することを抑えることができる。
7.食器洗浄装置1を用いた食器Pの洗浄方法について
7−1.食器洗浄装置1の運転準備
まず、食器洗浄装置1の運転する準備段階として、まず、供給口70から上水w4を食器洗浄装置1に供給する。供給された上水w4は、供給口70から熱交換器72を介して上水管71の順に流れ、制御部8の制御信号により開弁した開閉弁75を通過し、すすぎ洗浄水収容槽52に供給される。この時、流量調整弁74は、制御部8の制御信号により閉弁していてもよい。
すすぎ洗浄水収容槽52の上水w4は、圧送ポンプ53で圧送され、制御部8の制御信号により開弁した各調整弁55A,55Bを介して、送水管54A,54Bから給水口36,46に送られる。これにより、荒洗浄水収容槽32および洗剤洗浄水収容槽42のそれぞれに、洗浄水が供給される。洗剤洗浄水収容槽42では、所望の洗剤濃度となるように、洗剤供給装置(図示せず)から洗剤が供給される。これにより、洗剤洗浄水収容槽42に洗剤洗浄水w2が収容されることになる。また、それぞれのヒーター48、58によって、洗剤洗浄水収容槽42に収容された洗剤洗浄水w2、および、すすぎ洗浄水収容槽52に収容されたすすぎ洗浄水w3は、設定された温度に加熱される。この状態で、駆動モータ25、圧送ポンプ33,43,53を駆動する。
7−2.食器洗浄装置1による食器Pの洗浄
以下に食器Pの洗浄方法を説明する。コンベア2のチェーンベルト21に載置された食器Pは、食器洗浄装置1の入口11から搬送通路12内に搬送される。食器洗浄装置1の入口11を通過した食器Pは、荒洗浄部3に搬送される。
荒洗浄部3では、荒洗浄水収容槽32から圧送ポンプ33で圧送され、荒洗浄ノズル31に送られた荒洗浄水w1(たとえば60℃程度に加熱された洗浄水)が、荒洗浄ノズル31から放出され、食器Pに吹き付けられる。これにより、食器Pに付着した付着物が洗い流される。この際、洗浄室10Bにおいて入口11側に向かう湯気は、入口緩衝室10Aの排出口10aから、排出ダクト10bを介して、熱交換器72に送られる。熱交換器72では、湯気に含まれる熱で、すすぎ洗浄部5に送られる上水w4を加熱するとともに、上水w4で湯気を冷却しこれを消失させる。
次に、荒洗浄部3により荒洗浄された食器Pは、洗剤洗浄部4に搬送される。洗剤洗浄部4では、洗剤洗浄水収容槽42内で温度調整された(たとえば60〜65℃に温度調整された)洗剤洗浄水w2が、圧送ポンプ43で、洗剤洗浄ノズル41に圧送される。送られた洗剤洗浄水w2は、洗剤洗浄ノズル41から放出され、食器Pに吹き付けられ、食器Pに付着した油分等が洗い流される。ここで、洗剤洗浄水収容槽42の洗剤洗浄水の水量が不足した場合には、調整弁55Bを開弁し、すすぎ洗浄部5から洗浄水が供給される。これに合わせて、洗剤洗浄水に含まれる洗剤の濃度も調整される。
次に、洗剤洗浄部4により洗剤洗浄された食器Pは、すすぎ洗浄部5に搬送される。すすぎ洗浄部5では、すすぎ洗浄水収容槽52内で温度調整された(たとえば65〜70℃に温度調整された)すすぎ洗浄水w3が、圧送ポンプ53ですすぎ洗浄ノズル51Aに圧送される。送られたすすぎ洗浄水w3は、すすぎ洗浄ノズル51Aから放出され、食器Pに吹き付けられ、食器Pに付着した洗剤等が洗い流される。
次に、すすぎ洗浄部5によりすすぎ洗浄された食器Pは、吹付口62の下方に搬送され、吹付口62から吹出した空気Aが、食器Pに吹き付けられ、食器Pに付着したすすぎ洗浄水w3の液切りが行われる。この時、吹付口62から吹出した空気Aは、食器Pに衝突して、洗浄水及び残留洗剤などを含んだ液滴を吹き飛ばす。その後、ストレーナ(反射部材)80に衝突した湯気を含む空気Aは、ストレーナ80により反射され、空気を吸い込み負圧となる吸込口63側に向け進行方向を変える。
吸込口63に向けて方向が変わった空気Aは、誘導板68により吸込口63に誘導され、循環ダクト64を通過して、ブロワ65に吸い込まれる。吸い込まれた空気Aは、ブロワ65により噴射ノズル61の吹付口62に圧送され、吹付口62から再び放出される。
ブロワ65は、循環ダクト64を介してすすぎ洗浄部5内の空気を吸い込み、吸込んだ空気を、そのまますすぎ洗浄部5内へ吹き出すので、すすぎ洗浄部5内に対する吸い込み量と吹き出し量が同じ量となる。これにより、外気を導入していないため、すすぎ洗浄部5内の空気が外気と比べ負圧や正圧が生じることがなく、外気の吸い込みや装置外部への湯気の漏出が生じにくい。このような結果、出口13側で、食器Pを取り出す作業者が湯気による不快感なく作業することができる。
また、ブロワ65は、最終工程の仕上げ洗浄の前で、食器Pに付着した洗浄水を吹き飛ばしている。さらに出口13付近の空気Aを吸い込むようにしたため、出口13側の装置内で空気Aの循環流を形成することとなる。そのため、出口13へ向かう湯気を含む空気Aが、循環流に引き込まれ、吸込口63から吸い込まれるため、出口13に向かう湯気を含む空気Aの流れを循環流により遮断することができる。
また、ブロワ65により、すすぎ洗浄部5内(室内)の湯気を含む空気Aが吸引され、吸引された空気Aがすすぎ洗浄部5に噴射するように循環しているので、ブロワ65から噴射される空気の温度は、室内の温度と同じである。よって、ブロワ65の吹き付けにより、吹き付けられた食器Pやコンベア2、室内の温度、すすぎ洗浄水収容槽52の温度を低下させることがないため、ヒーター48、58による余分な加熱を抑えることができる。このようにして、食器洗浄装置1内の熱効率を高めることができる。
さらに、洗浄室10B内で発生した湯気は、入口11および出口13から漏出することが抑えられているため、洗浄室10B内に滞留されることになる。このような結果、洗浄室10B内から湯気による熱の漏出を抑え、洗浄室10B内に熱が滞留することで、洗浄室10B内の室温や洗浄水の水温の低下がより一層防止され、熱損失を最小限に抑えられる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
たとえば、本実施形態では、本発明の主洗浄部として、荒洗浄部および洗剤洗浄部を設けたが、洗浄ノズル、収容槽、および圧送部を備える洗浄部であれば、洗浄部をさらに設けてもよく、荒洗浄部または洗剤洗浄部のいずれかを省略してもよい。
本実施形態では、仕上げ洗浄ノズルに上水を用いることから、上水の消費量の低減の観点から、すすぎ洗浄ノズルと仕上げ洗浄ノズルとの間には、吹付口を設けた。しかしながら、吹付口は、食器の水切りが要求される箇所に配置されていればよく、実施形態に係る配置状態に限定されるものではない。
本実施形態では、好ましい態様として吸込口を出口近傍に設けたが、吹付口よりも出口側に吸込口を配置すれば、装置内で空気を循環させることができるので、必ずしも、吸込口が出口近傍になくてもよい。
本実施形態では、好ましい態様として反射板および誘導板を設けることにより、装置内で空気を好適に循環させたが、いずれか一方のみを設けてもよく、双方を設けなくてもよい。また、本実施形態では、板状の反射部材としてストレーナまたは反射板を設けたが、吹付口からの空気を反射することができるのであれば、板状のものに限定されず、ブロック状、ボード状などの反射部材であってもよい。同様に、本実施形態では、板状の誘導部材として誘導板を設けたが、吸込口へ空気を誘導することができるのであれば、板状のものに限定されず、管状、ボード状などの誘導部材であってもよい。
本実施形態では、装置内のヒーターにより、洗剤洗浄水およびすすぎ洗浄水を加熱して、吹き付けたが、外部のヒーターを用いて、これらの洗浄水を加熱してもよい。