JP6630944B2 - ラマン散乱光の観測方法、ラマン散乱光の観測装置及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明はラマン散乱光の観測方法、ラマン散乱光の観測装置及びプログラムに関し、特にラマン散乱光を観測して得られる信号品質の向上に関する。
試料に光を当てて反射、屈折、吸収、散乱などの現象を観測し、当該試料の性質や特徴を分析することが広く行われている。散乱は反射、屈折、吸収に比べて微弱な信号しか与えないが、レーザ光を試料に集光することによって観測可能な信号強度を得ることができる。このうち、散乱光の振動数が入射光とのエネルギー差に相当する分だけシフトして観測されるものをラマン散乱という。上記の振動数又は相当する波数のシフト量を、ラマンシフトという。ラマンシフトが試料の主成分物質に固有の値を示すことから、ラマン散乱光を分光して解析するラマン分光法によって試料の計測や解析を行うことができる。
一方、試料が光を吸収した後、そのエネルギーを入射光よりも長波長側の光として放出することがある。これは蛍光と呼ばれる、散乱とは別の物理現象である。特定の蛍光物質からなる試料がそれに固有の蛍光を示す場合もあるが、試料中に混在したり試料の表面に付着したりした不純物に起因して蛍光が観測される場合もある。
試料からラマン散乱光だけでなく強い背景光として蛍光が観測され、ラマン散乱光の観測を妨げることがある。図9は、マウスの食道粘膜に対して一定時間以上にわたり連続的にレーザ光を照射して観測されたラマンスペクトルの一例である。図9の横軸はラマンシフト(単位は波数)、縦軸は信号強度(任意単位)である。上下の2通りのスペクトルのうち、上のスペクトルは試料へのレーザ照射の開始後20秒の時点で観測されたもので、強い蛍光背景がラマン散乱光に重畳していることがわかる。
図9の下のスペクトルは、試料へのレーザ照射の開始後400秒の時点で観測されたもので、上のスペクトルに比べて蛍光背景が弱まっていることがわかる。これは、時間の経過にともなう蛍光の消光と呼ばれる現象である(蛍光強度の時間依存性ともいえる。)。そのため従来は、レーザ照射を一定時間以上継続してから(蛍光の消光が進み背景光のレベルが低下してから)ラマンスペクトルを観測するという方法がとられることが多かった(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1に開示されたラマン分光装置は、移動する試料台に載せられて順次搬送されるプラスチックの試料に対して、まず蛍光除去用のレーザ光を照射し、その後に測定用のレーザ光を照射するものである。蛍光除去用のレーザと測定用のレーザは同一でもよく、別個でもよいことが記載されている。また、蛍光除去用のレーザ光を紫外光で代替してもよいことが記載されている。
特開2012−207935号公報
観測されたラマン散乱光の信号対雑音比(Signal to Noise Ratio,以下SNRという。)を制限する要因としては、蛍光のような背景光だけでなく観測系に起因するガウス雑音がある。したがって、蛍光強度の時間依存性に基づいてその影響を低減させるだけでなく、ガウス雑音の影響も低減させることが望ましい。従来の技術では、蛍光の消光のための時間が経過した後のある瞬間にラマンスペクトルを計測するから、ガウス雑音の影響は低減されない。従来の技術では生かされていない消光のための時間分のスペクトルデータを何らかの形で利用することができれば、そのスペクトルデータをむだにすることなく、観測されたラマン散乱光のSNRをさらに向上させられる可能性がある。
上述した課題を解決するため、本発明に係るラマン散乱光の観測方法は、試料に対して、連続する複数の時間インターバルにわたってレーザ光を照射し、前記複数の時間インターバルごとに、前記試料から散射されるラマン散乱光及び前記試料から放射される蛍光を集光すると共に、前記ラマン散乱光及び前記蛍光を含むスペクトルを記録し、前記複数の時間インターバルごとに記録されたスペクトルから、多変量解析を用いて、前記ラマン散乱光の強度及び前記蛍光の強度のそれぞれの時間依存性を抽出すると共に前記ラマン散乱光のスペクトルを前記蛍光のスペクトルから分離することを特徴とする。
また、本発明に係るラマン散乱光の観測装置は、レーザ光を照射された試料が散射するラマン散乱光及び前記試料が放射する蛍光を集光すると共に、前記ラマン散乱光及び前記蛍光を含むスペクトルを記録することができる計測部と、前記記録されたスペクトルを前記計測部から受けることができ、かつ、前記試料が連続する複数の時間インターバルにわたり連続してレーザ光を照射されたときに前記複数の時間インターバルごとに記録されたスペクトルから、多変量解析を用いて、前記ラマン散乱光の強度及び前記蛍光の強度のそれぞれの時間依存性を抽出することができると共に前記ラマン散乱光のスペクトルを前記蛍光のスペクトルから分離することができる解析部を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、多変量解析を用いて消光のための時間分のスペクトルデータを処理することにより、そのスペクトルデータをむだにすることなく、観測されたラマン散乱光のSNRをさらに向上させることができる。
図1は本発明の実施例に係る観測装置100の構成を示す系統図である。 図2は本発明の実施例に係る全スペクトルデータを得るまでのタイムチャートである。 図3は本発明の実施例に係る全スペクトルデータを得るまでのフローチャートである。 図4は本発明の実施例を適用したラマンスペクトル観測の系統図である。 図5は上記のラマンスペクトル観測で得られた実測スペクトルの一例である。 図6は上記のラマンスペクトル観測における行列Wの初期値のスペクトルを示す。 図7は上記のラマンスペクトル観測の処理結果である行列Wのスペクトルを示す。 図8は上記のラマンスペクトル観測の処理結果である行列Hの時系列を示す。 図9は従来のラマンスペクトル観測で得られた実測スペクトルの一例である。
以下、図1ないし図8を参照して、本発明の実施例を説明する。図1は、本発明の実施例に係る観測装置100の構成を示す系統図である。図1の左側には、観測の対象である試料10を示している。試料10は、例えばマウスのような生体試料又はその他の試料である。
観測装置100は、図1において一点鎖線で囲まれた構成を備える。それらの構成は、計測部110、解析部120及び制御部130である。計測部110は、受光部111、分光部112及び記録部113を備える。本発明の実施例では、レーザ光源を含む発光部20も使用される。計測部110が発光部20を含む構成であってもよい。発光部20及び受光部111は、各種の商品化されたラマン分光分析装置の光学系に相当するように構成されることができる(ここでは詳しい説明を省略する。)。
上記の観測装置100の構成は、後述するようにハードウェア又はソフトウェアを含む多様な手段を用いて実現され得るものであって、必ずしも上記の各構成のとおりに明りょうに区画されたハードウェア又はソフトウェアのブロックが存在することを限定的に意味するものではない。図1において、矢印付きの実線は観測及び処理される信号の流れを示し、矢印付きの破線は制御信号の流れを示す。
発光部20は試料10に対して、後述するように制御部130から指示された時間にわたって連続してレーザ光を照射する。受光部111は、レーザ照射の結果として試料10から散射されるラマン散乱光及び試料10由来の蛍光その他の背景光を集光する。分光部112は、受光部111が集光した光を分析して、ラマンシフトを一方の軸(例えば横軸)及び光の強度を他方の軸(例えば縦軸)とする平面上にそのスペクトルをプロットすることができる。ラマンシフトを表す軸は、光の波数、波長又は振動数のいずれかを単位とすることができる。
制御部130は、上記のレーザ光の照射時間を連続する複数の時間インターバルに分けることができる。記録部113は、時系列に従って(すなわち、制御部130から指示された複数の時間インターバルの順で)、分光部112がプロットしたスペクトルを記録することができる。すべての時間インターバルについて記録されたスペクトルのデータ(以下、全スペクトルデータという。)は、例えば行の番号をラマンシフト軸上の位置(ピクセルという。)により、列の番号を上記の時系列上の順序により、それぞれ定めた行列の形で表すことができる。
解析部120は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)に組み込まれたソフトウェアによって実現され、上記の全スペクトルデータの行列を入力として後述する多変量解析を含む処理を行うことにより、蛍光成分の信号強度の時系列及びSNRが改善されたラマン散乱光のスペクトルを得ることができる。
観測装置100の具体的な構成は、上述したものに限らない。それぞれの部分をハードウェア又はファームウェア主体に構成してもよく、ハードウェア又はファームウェアとソフトウェアを適宜組み合わせてもよく、本発明に係るプログラムを商品化された分光分析装置にインストールしたものであってもよい。
図2ないし図8を参照して、観測装置100を用いて実施するラマン散乱光の観測方法を説明する。図2は、行列の形で記録された全スペクトルデータを得るまでのタイムチャートである。図2の時間軸(t軸)は時間インターバルTで区切られており、計測部110はその区切りごとに制御部130の指示に基づいてスペクトルデータを取得して記録する。すなわち、t=0のタイミングでレーザ照射を開始した後、t=T、2T、…、NT(Nは2桁以上の整数であることが好ましい。)の各タイミングでスペクトルデータを記録し、t>NTとなった時点でレーザ照射を停止する。
複数の時間インターバルごとにそれぞれのタイミングで記録されたスペクトルデータをラマンシフト軸上のM個の位置においてプロットすれば、t≧NTの時点で全スペクトルデータがM行N列の実測値行列Aとして得られる(後述する「数1」式参照。)。図3は、本発明の実施例に係るラマン散乱光の観測方法において、レーザ照射を開始してから全スペクトルデータを得るまでの処理を説明するフローチャートである。動作の開始(START)後、制御部130は計時値tをリセットする(t=0)と共に時間インターバルの順序nを初期化して(n=1)計時を開始する(ステップS300)。制御部130はさらに、発光部20に対して試料10へのレーザ光の照射を指示する(ステップS310)。
制御部130は、nの値が上限値N以下であるとき(ステップS320の“YES”)、計時値tが上記の時間軸の区切りnTに達したら(ステップS330の“NO”)図2の時間軸上で第n番目のタイミングで得られたスペクトルを記録部113に記録させる(ステップS340)。次に制御部130は、nの値に1を加算して(ステップS350)ステップS320に戻る。nの値が上限値Nを超えたとき(ステップS320の“NO”)、制御部130は発光部20に対してレーザ光照射の停止を指示して(ステップS360)、ここまでの処理を終了する。
次に、解析部120が行う全スペクトルデータの処理を説明する。この処理では、全スペクトルデータを表すM行N列の実測値行列Aがラマンスペクトル成分の時系列(時間順の信号強度プロファイル、以下同じ。)と蛍光成分の時系列から構成される点に着目して、行列Aが上記のそれぞれの成分のスペクトルデータを表す列ベクトルからなるM行2列の行列Wと、それぞれの成分の強度の時系列データを表す行ベクトルからなる2行N列の行列Hに因子分解することを考える(「数1」及び「数2」の各式を参照。「数1」における「実測スペクトル(kT)」は、図2の時間軸上のタイミング「kT」(1≦k≦N)において実測され記録されたスペクトルを表す。)。
Figure 0006630944
Figure 0006630944
上記の「数1」式から行列Wを求めることができれば、蛍光スペクトルから分離されると共に、時系列に沿って積分されることによりガウス雑音の影響が軽減されたラマンスペクトルが得られる。したがって、ラマンスペクトルのSNRを従来技術に比して向上させられることが期待される。
「数1」式を解析的に解くことはできないが、行列Wになんらかの初期値を与えて最小二乗法により行列Hを近似し、そのHの近似値から最小二乗法によりさらにWを近似する演算を所与の収束条件を満たすまで繰り返すことにより、行列W及びHの近似解を得られることが知られている(交互最小二乗法)。交互最小二乗法において最初に与える行列Wの初期値は、乱数スペクトル、行列Aに対する特異値分解の結果、又は実測スペクトルの線形結合から選ぶことができる。
上述した交互最小二乗法では、実測値を要素とする行列A及び近似値を要素とする行列W・Hの残差の二乗ノルム||A−W・H||を行列W又はHのいずれか一方について最小化することにより、行列W又はHのもう一方の次の段階の近似値を求める。この最小化演算をよりシンプル、かつ、高精度なものにするため、複数の条件(ラマンスペクトルの性質を反映した条件と、数学的によく知られた条件)を課すこととする。
ラマンスペクトルの性質を反映した条件は、「数2」式における行列Hの第1行ベクトル(ラマンスペクトル強度の時系列)の全要素の値を一定とすることである。図9に示すように、ラマンスペクトルには蛍光のような消光現象が見られず、レーザ光が同一強度で照射されている間は強度がほとんど変化しないことが知られている。したがって演算をシンプルなものにするため、上記の条件を課すものとする。
数学的によく知られた条件の第1は、非負値行列因子分解の条件である(例えば、亀岡「非負値行列因子分解」、計測と制御 第51巻、第9号、pp.835−844、2012年9月)。行列Aの全要素は非負であるからこの条件が適用され、その結果として演算をよりシンプルにする効果を得られることが知られている。
数学的によく知られた条件の第2及び第3は、それぞれ、L1ノルム正則化(lasso推定)及びL2ノルム正則化(ridge推定)と呼ばれる拘束条件である(例えば、川野他「回帰モデリングとL型正則化法の最近の展開」、日本統計学会誌 第39巻、第2号、pp.211−242、2010年3月)。これらの拘束条件に従い、上述した残差の二乗ノルムに正則化項を加算して最小化する。例えば行列Hを所与として行列Wを近似する場合、「数3」式の値をラマンシフト軸上の各ピクセルi(1≦i≦M)において最小化するように行列Wを求める。
Figure 0006630944
「数3」式の第1項は行列A及びW・Hの残差の二乗ノルムであり、第2項は行ベクトルWのL1ノルム(p=1の場合)又はL2ノルム(p=2の場合)である。変数λは、近似の精度と収束の早さの兼ね合いで決まるパラメータである。このような拘束条件を課すことにより、演算をよりシンプルにしたり結果を安定させたりする効果を得られることが知られている。
本発明の実施例を適用したラマンスペクトル観測の結果の一例を、図4ないし図8を参照して説明する。図4は、当該ラマンスペクトル観測の系統図である。図4を図1に示した観測装置100の構成と対応させて、以下に説明する。レーザ光源、NDフィルター(強度調節用のフィルター)及び光路に沿って配置された2個のミラーが、図1に示した発光部20に含まれる。エッジフィルター(レーザ光源からの出射光の通過を阻止するフィルター)及び試料10の直近に配置されたミラーが受光部111を構成すると共に、発光部20にも含まれる。レーザ照射を受けた試料から受光部111が集光したラマン散乱光や蛍光は、分光部112に対応するCCD検出器によって分光され、そのスペクトルデータが記録部113及び解析部120に対応する解析ソフトウェア付きPCに送られる(同PCは、図1に示した制御部130の機能を果たしてもよい。)。
図5に、実測スペクトルの一例を示す。この例では、試料にレーザ光を連続して照射しながら、一定のインターバルで20回にわたりスペクトルを観測して記録した。図5の横軸はラマンシフト(単位は波数)、縦軸は強度(任意単位)である。図5には、上から順に、1回目、2回目、4回目、10回目及び20回目の観測で記録されたスペクトルを示している。回数を重ねるにつれ蛍光由来の背景光の強度が低下する一方、ラマンスペクトルの強度(個々のラマンバンドにおけるピークの振幅)はほぼ一定であることがわかる。
図6に、この例で使用した行列Wの初期値のスペクトルを示す。横軸は図5と同じであり、縦軸は上の図及び下の図に分けて強度(任意単位)を表す。上の図は、第1列のラマンスペクトルの初期値として用いた第2回目の実測スペクトルを示す。下の図は、第2列の蛍光スペクトルの初期値として用いた第1回目及び第2回目の実測スペクトルどうしの差を示す。
図7に、二乗誤差||A−W・H||の収束をもって反復計算の終了を判断した後の処理結果である行列Wのスペクトルを示す。横軸は図5と同じであり、縦軸は上の図及び下の図に分けて強度(任意単位)を表す。上の図は、処理の結果として得られた第1列のラマンスペクトルを示す。下の図は、処理の結果として得られた第2列の蛍光のスペクトルを示す。例えば1650cm−1のラマンバンド(タンパク質由来)においてラマンスペクトル強度の蛍光(背景光)強度に対する比をとると、図7では1.23という値が得られた。同じ計算を1回目の実測スペクトルについて行って得た値は0.3であり、全20回の平均では0.68であるから、本実施例によるラマンスペクトルのSNR向上が明らかに実証された。
図8に、上記の反復計算の終了を判断した後の行列Hの時系列データを示す。横軸は何回目の観測であるかを示し、縦軸は相対強度を示す。傾きゼロの直線が第1行のラマンスペクトルの時系列を示し、右下がりの曲線が第2行の蛍光スペクトルの時系列を示す(蛍光の消光現象を表している。)。
本発明の実施例によれば、ラマン散乱光に蛍光が重畳して観測される場合に、蛍光のレベルが低下するまでの間に反復して観測したスペクトルデータを活用することによりラマンスペクトルのSNRを改善することができる。以上に述べた実施例は、本発明の要旨の範囲内で適宜変形することができる。例えば、図2では説明の便宜上スペクトルデータ取得のタイミングの周期を一定値(時間インターバルT)としたが、必ずしも一定値でなくてもよい。「数3」式に示したパラメータpの値を1又は2として説明したが、それら以外の数であってもよい。
10 試料
20 発光部
100 観測装置
110 計測部
111 受光部
112 分光部
113 記録部
120 解析部
130 制御部

Claims (7)

  1. 試料に対して、連続する複数の時間インターバルにわたってレーザ光を照射し、
    前記複数の時間インターバルごとに、前記試料から散射されるラマン散乱光及び前記試料から放射される蛍光を集光すると共に、前記ラマン散乱光及び前記蛍光を含むスペクトルを記録し、
    前記複数の時間インターバルごとに記録されたスペクトルから、多変量解析を用いて、前記ラマン散乱光の強度及び前記蛍光の強度のそれぞれの時間依存性を抽出すると共に前記ラマン散乱光のスペクトルを前記蛍光のスペクトルから分離する
    ことを特徴とするラマン散乱光の観測方法。
  2. 前記多変量解析は、
    前記記録されたスペクトルを、前記ラマン散乱光のスペクトル及び前記蛍光のスペクトルからなる第1の行列と、前記複数の時間インターバルごとの順序に対応する前記ラマン散乱光の信号強度プロファイル及び前記複数の時間インターバルごとの順序に対応する前記蛍光の信号強度プロファイルからなる第2の行列に分解して表したとき、
    前記記録されたスペクトルが非負値行列で表され、かつ、前記第2の行列の前記ラマン散乱光の信号強度プロファイルが前記複数の時間インターバルごとの順序によらず一定であるという条件に加えて、誤差に正則化項を加算する拘束条件を課した最小二乗法を用いて、前記第1の行列及び前記第2の行列を交互に求める演算を所定の収束条件が満たされるまで反復する
    ことを特徴とする請求項1に記載のラマン散乱光の観測方法。
  3. 前記正則化項としてL1ノルム又はL2ノルムを加算する拘束条件を課したことを特徴とする請求項2に記載のラマン散乱光の観測方法。
  4. レーザ光を照射された試料が散射するラマン散乱光及び前記試料が放射する蛍光を集光すると共に、前記ラマン散乱光及び前記蛍光を含むスペクトルを記録することができる計測部と、
    前記記録されたスペクトルを前記計測部から受けることができ、かつ、前記試料が連続する複数の時間インターバルにわたり連続してレーザ光を照射されたときに前記複数の時間インターバルごとに記録されたスペクトルから、多変量解析を用いて、前記ラマン散乱光の強度及び前記蛍光の強度のそれぞれの時間依存性を抽出することができると共に前記ラマン散乱光のスペクトルを前記蛍光のスペクトルから分離することができる解析部を
    備えたことを特徴とするラマン散乱光の観測装置。
  5. 前記解析部は、
    前記記録されたスペクトルを、前記ラマン散乱光のスペクトル及び前記蛍光のスペクトルからなる第1の行列と、前記複数の時間インターバルごとの順序に対応する前記ラマン散乱光の信号強度プロファイル及び前記複数の時間インターバルごとの順序に対応する前記蛍光の信号強度プロファイルからなる第2の行列に分解して表したとき、
    前記記録されたスペクトルが非負値行列で表され、かつ、前記第2の行列の前記ラマン散乱光の信号強度プロファイルが前記複数の時間インターバルごとの順序によらず一定であるという条件に加えて、誤差に正則化項を加算する拘束条件を課した最小二乗法を用いて、前記第1の行列及び前記第2の行列を交互に求める演算を所定の収束条件が満たされるまで反復することができる
    ことを特徴とする請求項4に記載のラマン散乱光の観測装置。
  6. 前記解析部は、前記正則化項としてL1ノルム又はL2ノルムを加算する拘束条件を課すことができることを特徴とする請求項5に記載のラマン散乱光の観測装置。
  7. レーザ光を照射された試料が散射するラマン散乱光及び前記試料が放射する蛍光が集光されて記録されたスペクトルを解析する処理をコンピュータに行わせるプログラムにおいて、
    前記試料が連続する複数の時間インターバルにわたり連続してレーザ光を照射されたときに前記複数の時間インターバルごとに記録されたスペクトルから、多変量解析を用いて、前記ラマン散乱光の強度及び前記蛍光の強度のそれぞれの時間依存性を抽出し、
    前記ラマン散乱光のスペクトルを前記蛍光のスペクトルから分離する
    処理を実行することを特徴とするプログラム。
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