JP2009258030A - ラマンスペクトル取得法 - Google Patents

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Abstract

【課題】蛍光のある系で、蛍光の妨害を極力少なくした上で高S/Nのラマンスペクトルを自動的に取得できる新しいラマンスペクトル取得法を提供する。
【解決手段】n番目の仮測定データと(n+1)番目の仮測定データの差分Dnを計算する工程と、差分Dnを予め設定しておいた閾値と比較して、差分Dnが閾値以下の値であるときは本測定を行なって測定を終え、差分Dnが閾値よりも大きな値であるときは、(i)n=1の場合、(n+2)番目の仮測定を行ない、(ii)n≧2の場合、今回の差分Dnと前回の差分Dn+1を比較して、Dn>Dn+1の場合はそれまでに測定した仮測定データを積算保存して測定を終え、Dn≦Dn+1の場合は(n+2)番目の仮測定を行なうように進行する工程とを備えた。
【選択図】図7

Description

本発明は、蛍光を発生する系において効率良くラマンスペクトルを取得するためのラマンスペクトル取得法に関する。
ラマン分光法は、物質に単色光(一般的にはレーザ光)を照射した際に発生する非弾性散乱光を分光スペクトルとして観測する分光手法である。この手法により得られるラマンスペクトルは、分子の振動・回転運動等に基づく固有エネルギーに依存した物質特有のパターンとなることから、ラマン分光法は物質同定等の化学的分析に広く利用されている。
しかし、分析対象によっては、光照射に伴う電子励起に起因した蛍光が発生して、ラマン散乱光の観測を妨害することがあり、それが本手法の最大の短所とされている。以下、ラマン分光法における蛍光の影響とその回避方法の例について、箇条書きで記す。
(1)ラマン分光測定では、分析試料にレーザ光を照射した際に発生する微弱な非弾性散乱光(いわゆるラマン散乱光)を分光スペクトルとして観測するが、分析対象によってはレーザ光の照射によって蛍光を発することがあり、その蛍光が微弱なラマン散乱光を覆い隠してしまい、ラマンスペクトルとしての解析を困難にする場合がある(図1)。
(2)通常のラマン分光測定では、励起レーザ波長よりも長い波長帯域に現れるストークスラマン散乱側の波形を解析に用いるが、蛍光の妨害が著しい場合は、励起レーザ波長よりも短波長帯域に観測されるアンチストークスラマン散乱側の波形を利用して蛍光を回避することがある(図2)。
(3)ラマン分光測定では、一般に励起光として可視域レーザを用いることが多いが、照射レーザの波長を変えることにより、蛍光の発生を回避・抑制できることが知られており(図3)、近赤外域のレーザ光を励起光源に用いた装置がある。
(4)分析対象によっては、レーザ光照射によって試料に分解等の化学変化を生じることがあり、蛍光量が増加したり、スペクトル形状が大きく変化したりする。そのような場合は、レーザの照射光量を少なくした上で、照射位置を変更するなどして、再測定を行なうことが多い。それに関連して、観測スペクトルのクオリティをコンピュータに判定させようというアイディアがある(特許文献1)。
(5)また、パルスレーザを用いた時間分解・非線形ラマン測定により、蛍光の影響を低減させようとするアイディアがある(特許文献2〜4)。
(6)また、蛍光の妨害が大きい分析対象物の厚みを調整することと、共焦点光学系の採用により、蛍光を弱くしようとするアイディアがある(特許文献5)。
(7)また、分析対象によっては、蛍光発光量がレーザの連続照射によって徐々に低下していく現象が認められるため、そのような場合は、レーザ照射をしばらく続けてからラマン測定を行なうことで、蛍光の影響を軽減させることができる(図4)。
特開2006−322772号公報 特開2007−514949号公報 特開平5−79917号公報 特開2004−61411号公報 特開2005−83813号公報
まず(2)に関しては、常温でのラマン分光測定におけるアンチストークスラマン散乱は、ストークスラマン散乱に較べると弱く、一般にラマン散乱光自体が微弱であることを考えると、感度面で極めて不利になる(ラマンシフトで−1000cm-1以下の帯域については、事実上、検出が困難である)という問題があった。
試料の温度を高温にすれば、アンチストークスラマン散乱の光量は増加するが、その強度は、1000℃まで加熱しても、ラマンシフトで−1000cm-1付近においてストークスラマン散乱強度の半分程度、−3000cm-1付近では実に5%以下にしかならないという試算があり、データの情報量が少なくなることで、解析に支障をきたしてしまう。また、高温に耐えられる分析対象は非常に限られ、500℃以上ともなれば、有機化合物はほとんどが分解・炭化等を起こして分析できないことになる。
また(3)に関しては、ラマン散乱光の強度は励起波長の4乗に反比例することが理論的に分かっており、長波長の近赤外レーザを使用すると感度低下が避けられないという問題があった。
例えば、励起光源レーザとして良く用いられるYAGレーザでは、基本波の1064nm(近赤外域)と2倍波の532nm(可視域)でラマン散乱光強度を比較すると、原理的に感度に16倍もの差が生じる。この感度差を補う目的でレーザ出力を上げる手段も考えられるが、レーザ照射による試料ダメージのリスクが大きくなるという欠点がある。
また(4)に関しては、レーザ照射による試料の化学的変化については、測定者が観測スペクトルを観察することによって感知するのが普通である。また、解析に耐え得るデータであるかどうかの判断を、熟練技術者に代わってコンピュータが判断するにしても、実際の測定データが必要である点は変わらないが、その後の対処(レーザ照射位置の変更等)を行なうのは測定者に他ならない。
特許文献1の事例では、蛍光妨害等に関わる実測スペクトルのクオリティをデータ処理によって定量的に評価し、解析に耐えるデータであるか否かをディスプレイ表示する(あるいは判定結果に基づいて測定条件の変更を促す)機能までしか謳っておらず、判定結果を装置へ直接フィードバックして次の測定のための対応動作を自動的に行なわせるようにはなっていない。
また(5)に関しては、蛍光の影響を根本から除去するという点で優れているが、装置が大掛かりになることもあって、汎用性に乏しいという問題がある。
また(6)に関しては、基本的に薄膜化が困難な試料には対応できない。また、非接触分析ではなくなるので、試料をそのままの状態で分析しなければならない場合にも問題がある。更に、極めて強い蛍光を抑制する目的で試料を極端に薄くした場合には、不要な蛍光のみならず、必要なラマン散乱光も弱めてしまう可能性がある。
また(7)に関しては、夾雑物の影響で蛍光を発するような分析対象において見られる現象とされ、レーザ照射により夾雑物のみが蒸発・脱離・分解することで蛍光量が低下していくのではないかとの推測や、蛍光寿命に関連しているとの指摘があるが、詳細なメカニズムはわかっていない。
最適なレーザ連続照射時間は分析対象や装置のコンディション等によって異なるため、測定者がその都度スペクトルを測定して変化を見ながら、適当なところでデータを保存するといった操作で対応している。そのため、判断には客観性がない。
また、分析対象によっては、連続照射でエネルギーが蓄積され、物質がダメージを受けて化学変化してしまうことがあり、途中から蛍光量が増加したり、有機物では炭化したりして、目的のスペクトルが得られなくなるといった問題が発生している。
本発明の目的は、上述した点に鑑み、特に(7)に記述した現象のうち、蛍光量の低下率がレーザ照射直後には大きく、それが経時的に緩やかになっていく点(図5参照)に着目して、レーザ照射直後から短時間での測定を繰り返しながらスペクトルの変化を数値化してモニターし、その変化量を判断基準として蛍光の影響を極力少なくした上で高S/Nのラマンスペクトルを自動的に取得するようにした新しいラマンスペクトル取得法を提供することにある。
この目的を達成するため、本発明にかかるラマンスペクトル取得法は、
仮測定と本測定の2段階の測定モードを備えたラマンスペクトル取得法において、
(1)n番目(n≧1)の仮測定を行なう第1の工程と、
(2)(n+1)番目の仮測定を行なう第2の工程と、
(3)n番目の仮測定データと(n+1)番目の仮測定データの差分Dnを計算する第3の工程と、
(4)差分Dnを予め設定しておいた閾値と比較して、差分Dnが閾値以下の値であるときは本測定を行なって測定を終え、差分Dnが閾値よりも大きな値であるときは、
(i)n=1の場合、(n+2)番目の仮測定を行なうため第2の工程に戻り、
(ii)n≧2の場合、今回の差分Dnと前回の差分Dn-1を比較して、Dn>Dn-1の場合は本測定を省略し、それまでに測定した仮測定データを積算保存して測定を終え、Dn≦Dn-1の場合は(n+2)番目の仮測定を行なうため、第2の工程に戻る
ように進行する第4の工程と
を備えたことを特徴としている。
また、前記第4の工程において、Dn>Dn-1の場合、本測定を省略してそれまでに測定した仮測定データを積算保存して測定を終える際に、仮測定データの積算に先立って、仮測定データの中から積算に用いるデータと積算に用いないデータを選び分ける工程を設けたことを特徴としている。
また、前記差分Dnの計算に、ユークリッド幾何学的距離アルゴリズム、絶対値アルゴリズム、最小自乗アルゴリズム、1次微分絶対値アルゴリズム、1次微分最小自乗値アルゴリズム、相関アルゴリズム、1次微分相関アルゴリズム等も利用できることを特徴としている。
また、前記差分Dnの計算に際し、n番目の仮測定データの代わりに最初(n=1)の仮測定で得られたデータを常に基準スペクトルとして用いるようにしたことを特徴としている。
本発明のラマンスペクトル取得法によれば、
仮測定と本測定の2段階の測定モードを備えたラマンスペクトル取得法において、
(1)n番目(n≧1)の仮測定を行なう第1の工程と、
(2)(n+1)番目の仮測定を行なう第2の工程と、
(3)n番目の仮測定データと(n+1)番目の仮測定データの差分Dnを計算する第3の工程と、
(4)差分Dnを予め設定しておいた閾値と比較して、差分Dnが閾値以下の値であるときは本測定を行なって測定を終え、差分Dnが閾値よりも大きな値であるときは、
(i)n=1の場合、(n+2)番目の仮測定を行なうため第2の工程に戻り、
(ii)n≧2の場合、今回の差分Dnと前回の差分Dn-1を比較して、Dn>Dn-1の場合は本測定を省略し、それまでに測定した仮測定データを積算保存して測定を終え、Dn≦Dn-1の場合は(n+2)番目の仮測定を行なうため、第2の工程に戻る
ように進行する第4の工程と
を備えたので、
蛍光のある系で、蛍光の妨害を極力少なくした上で高S/Nのラマンスペクトルを自動的に取得できる新しいラマンスペクトル取得法を提供することが可能になった。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図6は、本発明にかかる新しいラマンスペクトル測定装置の一実施例である。図中1はラマン分光計本体、2はラマン分光器本体1を制御し、ラマン分光器本体1で得られたラマンスペクトルのデータ処理を行なうPCである。
PC2に搭載されているソフトウェアは、(1)ラマン分光器1を制御するプログラムと、(2)スペクトルデータを取得して保存・積算を実行するプログラムと、(3)得られたスペクトルの相対的変化量を算出する処理プログラムと、(4)その算出値の大小からラマン分光器1の次の動作やスペクトル保存・積算プログラムの次の処理工程を決定する判断プログラムとで構成され、測定系・データ取得系へフィードバックがかかることを特長とする。
本ラマンスペクトル測定装置の動作について、図7にフローチャートを示す。
まず、第1の工程は条件設定である。ここで仮測定および本測定のデータ取得条件(検出器露出時間、積算回数、待機時間など)を設定する。仮測定の条件は、短時間で分析できる露出時間・積算回数に設定し、本測定の条件は、S/N向上を目的として仮測定の条件よりも長い露出時間・多い積算回数に設定することが基本となる。
待機時間は、仮測定終了から次の仮測定開始までのインターバル時間に相当するものであり、仮測定時に予想されるスペクトルの経時変化(蛍光成分の経時的減衰)の状況に応じて、任意に変更できることとする。また、連続した仮測定データ間での差分がどれだけ少なくなったら本測定を開始させるかを判断させるための差分閾値(絶対的数値もしくはパーセンテージなどの比率値)もここで設定する。
第2の工程では、第1の工程で設定された条件に基づいて、ラマンスペクトルの仮測定を行なう。まずn=1のときの仮測定と測定されたデータの保存が行なわれる。引き続いて、n=2のときの仮測定と測定されたデータの保存が行なわれる。
次に、まずn=1のときのデータとn=2のときのデータの差分D1が計算される。差分計算としては、仮測定データ間の差スペクトルの全体または一部分の積分(面積)値、特定のラマンシフト位置での縦軸強度差、指定されたラマンピークのベースラインからの高さもしくは面積の差、特定ラマンシフト帯域におけるベースラインの傾きの差、スペクトルを1次微分した波形における指定ピークのPeak to Peakスパンの差などが考えられるが、目的に応じて波形の変化を定量的に算出できればどのようなものでも構わない。
第3の工程では、得られた差分D1が予め設定された閾値以下であるか否かが判断され、もしYesであれば、本測定に移り、本測定後、データ保存とPC画面への表示がなされる。もしNoであれば、n=3として再び仮測定が行なわれる。
次にn=2のときのデータとn=3のときのデータの差分D2が計算される。そして、得られた差分D2が予め設定された閾値以下であるか否かが判断され、もしYesであれば、本測定に移り、本測定後、データ保存とPC画面への表示がなされる。もしNoであれば、D2>D1であるか否かが判断され、もしYesであれば、保存済み仮測定データを積算して保存し、保存とともにPC画面への表示がなされる。
もしNoであれば、n=4として再び仮測定が行なわれる。次にn=3のときのデータとn=4のときのデータの差分D3が計算される。そして、得られた差分D3が予め設定された閾値以下であるか否かが判断され、もしYesであれば、本測定に移り、本測定後、データ保存とPC画面への表示がなされる。
もしNoであれば、D3>D2であるか否かが判断され、もしYesであれば、保存済み仮測定データを積算して保存し、保存とともにPC画面への表示がなされる。もしNoであれば、n=5として再び仮測定が行なわれる。こうして、nの値を1ずつカウントアップさせながら測定を続け、Dn≦閾値またはDn>Dn-1の条件が満たされるまで仮測定を続ける。
尚、ある回で得られた差分Dnが、そのまえの回の差分Dn-1よりも大きくなった場合は、レーザ照射により測定対象物が化学的変化を起こした可能性が高い。そのため、それ以降の測定で得られるスペクトルは、目的とするデータではなくなるため、本測定を行なっても意味がなく、救済措置として仮測定で保存されていたスペクトルを積算保存することでデータを補償するものである。
尚、仮測定中に突発的な外乱(例えば宇宙線による一時的なスパイクノイズの発生など)が発生した場合にも、差分の増大は起こり得るので、必要に応じて変化の許容値を設定できるように、第1の工程でその許容閾値を設けられるような機能を持たせておいても良い。
また、本実施例ではDn>Dn-1の条件が満たされると、仮測定で保存されていたスペクトルをすべて積算保存する構成としたが、仮測定で一時保存された一連のスペクトルデータのうち、レーザ照射の開始からあまり時間が経過していない時点で取得されたスペクトルは、蛍光の影響が大きいため、データ補償用スペクトルの積算対象としてはふさわしくない場合がある。そのため、一連の仮測定スペクトルをモニター表示させ、積算に使うデータを選択できるような機能を持たせておいても良い。
構成は実施例1の図6と同じである。本実施例では、差分計算方法に実施例1との違いがある。すなわち、最終的に得られるデータの解析のしやすさを念頭に置けば、得られたスペクトルから物質特定を行なう際に使用されるライブラリ・サーチで用いられている波形パターン認識アルゴリズムを差分計算に用いることも有効な手段である。
本実施例で使用可能なアルゴリズムには、例えば次のようなものがある。但し、これらに限定するわけではなく、2つの波形の一致度あるいは相違を数値化する計算手法であればどのようなものを用いてもよい。
(1)ユークリッド幾何学的距離アルゴリズム
このアルゴリズムは、次の式で表わされる。
Figure 2009258030
式中、Lib(Library data)はライブラリーにエントリーされているデータ、Unkn(Unknown spectrum)は未知スペクトルである。このアルゴリズムでは、最も良い一致度の場合、距離HQI(Hit Quality Index)がゼロ(Lib=Unkn)となり、最も悪い一致度の場合は、距離HQIが√2となる。
(2)絶対値アルゴリズム
このアルゴリズムは、次の式で表わされる。
Figure 2009258030
式中、Libはライブラリーにエントリーされているサーチされるべきデータ、Unknは未知スペクトル、nはライブラリーにエントリーされているデータと未知スペクトルのデータポイント番号である。このアルゴリズムでは、最も良い一致度の場合、絶対値HQIがゼロ(Lib=Unkn)となり、最も悪い一致度の場合は、絶対値HQIが1となる。
(3)最小自乗アルゴリズム
このアルゴリズムは、次の式で表わされる。
Figure 2009258030
式中、Libはライブラリーにエントリーされているサーチされるべきデータ、Unknは未知スペクトル、nはライブラリーにエントリーされているデータと未知スペクトルのデータポイント番号である。このアルゴリズムでは、最も良い一致度の場合、最小自乗値HQIがゼロ(Lib=Unkn)となり、最も悪い一致度の場合は、最小自乗値HQIが1となる。
(4)1次微分絶対値アルゴリズム/1次微分最小自乗値アルゴリズム
このアルゴリズムは、次の式で表わされることからも分かる通り、基本的には1次微分されたデータに対して、絶対値アルゴリズムまたは最小自乗アルゴリズムを適用するものである。次式は1次微分絶対値アルゴリズムの例である。
Figure 2009258030
式中、Libはライブラリーにエントリーされているサーチされるべきデータ、Unknは未知スペクトル、nはライブラリーにエントリーされているデータと未知スペクトルのデータポイント番号である。
(5)相関アルゴリズム
このアルゴリズムは、次の式で表わされ、ユークリッド幾何学的距離アルゴリズムに極めて類似したアルゴリズムである。
Figure 2009258030
式中、Libはライブラリーにエントリーされているサーチされるべきデータ、Unknは未知スペクトル、nはライブラリーにエントリーされているデータと未知スペクトルのデータポイント番号である。
(6)1次微分相関アルゴリズム
このアルゴリズムは相関アルゴリズムとほぼ同じであり、対象となるデータが次の式で表わされるような1次微分データである点のみが異なっている。
Figure 2009258030
尚、実施例1の差分計算方法も含め、どのような計算を行なわせるかについては、図7のフロー図中の条件設定を行なう工程において、複数の選択肢の中から任意のものを選べるような機能を持たせても良い。その場合、判断基準となる閾値は、計算手法ごとに任意に設定できるものとする。
構成は実施例1の図6と同じである。本実施例では、差分計算方法に実施例1との違いがある。すなわち、最初の仮測定で得られたスペクトルデータを常に基準スペクトルとして、差分Dnを算出する。
蛍光を発する系でのラマンスペクトル測定に広く利用できる。
従来のラマンスペクトルに及ぼす蛍光の影響の一例を示す図である。 ストークスラマン散乱とアンチストークスラマン散乱の一例を示す図である。 蛍光強度やラマン信号強度が励起レーザ波長に依存することを示す図である。 レーザ連続照射によって蛍光強度が減少する例を示す図である。 レーザ照射時間と蛍光強度の減少する関係を差分に基づいて示す図である。 本発明に用いられるラマン分光測定装置の模式図である。 本発明にかかるラマンスペクトル取得法の一実施例を示すフロー図である。
符号の説明
1:ラマン分光器、2:PC

Claims (4)

  1. 仮測定と本測定の2段階の測定モードを備えたラマンスペクトル取得法において、
    (1)n番目(n≧1)の仮測定を行なう第1の工程と、
    (2)(n+1)番目の仮測定を行なう第2の工程と、
    (3)n番目の仮測定データと(n+1)番目の仮測定データの差分Dnを計算する第3の工程と、
    (4)差分Dnを予め設定しておいた閾値と比較して、差分Dnが閾値以下の値であるときは本測定を行なって測定を終え、差分Dnが閾値よりも大きな値であるときは、
    (i)n=1の場合、(n+2)番目の仮測定を行なうため第2の工程に戻り、
    (ii)n≧2の場合、今回の差分Dnと前回の差分Dn-1を比較して、Dn>Dn-1の場合は本測定を省略し、それまでに測定した仮測定データを積算保存して測定を終え、Dn≦Dn-1の場合は(n+2)番目の仮測定を行なうため、第2の工程に戻る
    ように進行する第4の工程と
    を備えたことを特徴とするラマンスペクトル取得法。
  2. 前記第4の工程において、Dn>Dn-1の場合、本測定を省略してそれまでに測定した仮測定データを積算保存して測定を終える際に、仮測定データの積算に先立って、仮測定データの中から積算に用いるデータと積算に用いないデータを選び分ける工程を設けたことを特徴とする請求項1記載のラマンスペクトル取得法。
  3. 前記差分Dnの計算に、ユークリッド幾何学的距離アルゴリズム、絶対値アルゴリズム、最小自乗アルゴリズム、1次微分絶対値アルゴリズム、1次微分最小自乗値アルゴリズム、相関アルゴリズム、1次微分相関アルゴリズム等も利用できることを特徴とする請求項1記載のラマンスペクトル取得法。
  4. 前記差分Dnの計算に際し、n番目の仮測定データの代わりに最初(n=1)の仮測定で得られたデータを常に基準スペクトルとして用いるようにしたことを特徴とする請求項1記載のラマンスペクトル取得法。
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