JP6630095B2 - 摩擦材組成物及び摩擦材 - Google Patents

摩擦材組成物及び摩擦材 Download PDF

Info

Publication number
JP6630095B2
JP6630095B2 JP2015184266A JP2015184266A JP6630095B2 JP 6630095 B2 JP6630095 B2 JP 6630095B2 JP 2015184266 A JP2015184266 A JP 2015184266A JP 2015184266 A JP2015184266 A JP 2015184266A JP 6630095 B2 JP6630095 B2 JP 6630095B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
friction material
titanate
material composition
friction
copper
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015184266A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017057312A (ja
Inventor
素行 宮道
素行 宮道
木下 淳
淳 木下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Akebono Brake Industry Co Ltd
Original Assignee
Akebono Brake Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Akebono Brake Industry Co Ltd filed Critical Akebono Brake Industry Co Ltd
Priority to JP2015184266A priority Critical patent/JP6630095B2/ja
Publication of JP2017057312A publication Critical patent/JP2017057312A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6630095B2 publication Critical patent/JP6630095B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Braking Arrangements (AREA)

Description

本発明は摩擦材組成物及び摩擦材に関し、更に詳しくは、産業機械、鉄道車両、貨物車両、乗用車等のブレーキパッド、ブレーキライニング、クラッチフェーシング等に用いられる銅フリーのノンアスベスト摩擦材に用いられる摩擦材組成物及び該摩擦材組成物を成形して得られる摩擦材に関する。
従来、ブレーキパッド等に用いられる摩擦材は、繊維基材、摩擦調整材及び結合材を用い、それらを配合し、予備成形、熱成形、仕上げなどの工程からなる製造プロセスによって製造されている。
摩擦材の骨格を形成する繊維基材は摩擦材の強度や耐熱性、耐摩耗性を補うものであり、例えば、アラミド繊維などの有機繊維、ガラス繊維などの無機繊維、銅繊維などの金属繊維等が使用されている。中でも銅繊維は延性に富み、また、高い熱伝導性を持つ材料であることから耐フェード性を高める作用を有している。この銅繊維は、粉状の形態の銅粉末として用いられる場合もある。
しかしながら、銅成分を含む摩擦材はブレーキ制動により銅成分が摩耗粉として空気中に放出されるため、自然環境への影響が指摘されている。そこで、アメリカ環境保護庁は、自動車用ブレーキパッドへの銅等の使用を制限する取り組みとして、自動車用ブレーキパッドの銅含有量を2021年までに5質量%未満、2025年までに0.5質量%未満に削減するように求めている。カリフォルニア州とワシントン州は、ブレーキパッドに使用する物質の州規制基準を可決しており、2021年以降は、銅を5質量%以上含有する摩擦材製品の販売及び新車への組み付けを禁止し、2025年以降は、その規制を0.5質量%以上まで高めている。
このような背景から、ブレーキパッド等に用いられる摩擦材中の銅の含有量を低減させた摩擦材が種々提案されている。例えば、特許文献1には、摩擦材組成物中の銅の含有量が銅元素として5質量%以下であり、銅及び銅合金以外の金属繊維の含有量が0.5質量%以下であり、チタン酸リチウムカリウム及び黒鉛を含有する摩擦材組成物及び該摩擦材組成物を成形してなる摩擦材が記載されている。また、特許文献2には、結合材を9.0〜12.0質量%、有機繊維を2.0〜8.0質量%、金属硫化物系潤滑材を0.5〜7.0質量%、炭素質系潤滑材を2.0〜6.0質量%、チタン酸塩を8.0〜35.0質量%、ウォラストナイトを1.0〜3.0質量%、モース硬度が4.5以上8.0未満の粒子状無機摩擦調整材を11.0〜27.0質量%、モース硬度が4.5未満の無機摩擦調整材を2.0〜11.0質量%、有機摩擦調整材を3.0〜8.0質量%、pH調整材を2.0〜6.0質量%含有し、モース硬度が8.0以上の物質と、銅以外の金属単体と、銅合金以外の合金を含有しない摩擦材組成物を成形してなる摩擦材が記載されている。
国際公開第2012/066968号 特開2014−159871号公報
上記したように銅等の重金属は摩擦材に対して強度や耐熱性、耐摩耗性を付与するものであるため、銅や銅合金の含有量を低減した或いは含有しない摩擦材組成物を用いて成形された摩擦材は、強度が低下してしまいクラックや欠けが生じやすくなったり、ブレーキの繰り返しによりブレーキパッドが高温になった時に摩擦係数が低下する(フェード現象)場合がある。
そこで、本発明は、銅の含有量が0.5質量%以下の所謂銅フリーのノンアスベスト摩擦材において、高負荷・高温の制動時に十分な強度を有し、優れた耐フェード性を付与し得る、摩擦材組成物及び該摩擦材組成物を成形して得られる摩擦材を提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、チタン酸塩を顆粒化した顆粒体を摩擦材組成物に含有させることにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、下記(1)〜(5)により達成されるものである。
(1)繊維基材、摩擦調整材及び結合材を含有する摩擦材組成物であって、該摩擦材組成物中の銅の含有量が銅元素換算で0.5質量%以下であり、前記摩擦調整材として、チタン酸塩が顆粒状とされた顆粒状チタン酸塩を含有し、該顆粒状チタン酸塩の平均粒子径が100〜250μmであることを特徴とする摩擦材組成物。
(2)前記チタン酸塩の平均粒子径が2〜10μmであることを特徴とする前記(1)に記載の摩擦材組成物。
(3)前記チタン酸塩が、チタン酸カリウム、チタン酸リチウムカリウム及びチタン酸マグネシウムカリウムからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の摩擦材組成物。
(4)前記顆粒状チタン酸塩の含有量が、1〜30質量%であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の摩擦材組成物。
(5)前記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の摩擦材組成物を成形して得られる摩擦材。
本発明によれば、チタン酸塩が顆粒状とされた顆粒状チタン酸塩を摩擦材組成物中に含有するので、本発明の摩擦材組成物を成形して得られる摩擦材は銅フリーであっても十分な母材強度を有し、クラックや表面欠けの発生がない耐クラック性が向上した摩擦材を提供することができる。また、平均粒径2〜10μmからなるチタン酸塩を顆粒状にしたことにより、摩擦材の気孔率を確保することができ、摩擦材に優れた耐フェード性を付与することができる。
(a)はブレーキパッドの斜視図であり、(b)はブレーキパッドから試験品の切り出しを説明するためのブレーキパッドの平面図である。 (a)〜(c)は、試験品のX軸方向及びY軸方向における強度試験の試験方法を説明する図である。 (a)〜(c)は、試験品のZ軸方向における強度試験の試験方法を説明する図である。 実施例2、比較例1及び参考例2の摩擦材の外観確認試験時の写真図面である。
以下、本発明の摩擦材組成物及び摩擦材について詳細に説明する。
なお、本発明において「銅フリー」とは、摩擦材中に実質的に銅成分を含まないことであり、具体的には、その含有量が摩擦材組成物全量に対し0.5質量%以下であることを意味する。
本発明の摩擦材組成物は、繊維基材、摩擦調整材及び結合材を含有し、摩擦材組成物中の銅の含有量が銅元素換算で0.5質量%以下であり、摩擦調整材として、チタン酸塩を顆粒状にした、顆粒状チタン酸塩を含有し、該顆粒状チタン酸塩の平均粒子径が100〜250μmであることを特徴とする。
繊維基材は摩擦材としたときの補強用に用いられ、繊維基材としては、有機繊維、無機繊維、金属繊維等が使用される。有機繊維としては、例えば、芳香族ポリアミド(アラミド)繊維、耐炎性アクリル繊維、セルロース繊維等が挙げられ、無機繊維としては、例えば、生体溶解性繊維、ガラス繊維、カーボン繊維等が挙げられ、また、金属繊維としては、例えば、スチール繊維、アルミニウム繊維、亜鉛繊維、錫または錫合金繊維、ステンレス繊維、銅又は銅合金繊維等が挙げられる。これらの繊維基材の中でも、生体溶解性繊維は、人体への影響が少ない点から好適に用いることができる。このような生体溶解性繊維としては、SiO−CaO−MgO系繊維やSiO−CaO−MgO−Al系繊維、SiO−MgO−SrO系繊維などの生体溶解性セラミック繊維や生体溶解性ロックウールなどを挙げることができる。
繊維基材は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
繊維基材の含有量は、十分な機械強度を確保するため、摩擦材組成物全体量に対し1〜15質量%とすることが好ましく、2〜10質量%とすることがより好ましい。
なお、摩擦材組成物中に銅又は銅合金繊維を含有させる場合は、耐環境汚染の観点から、摩擦材組成物中の銅の含有量が銅元素換算で0.5質量%以下とする。本発明においては、摩擦材組成物中に銅を実質的に含有しないことが好ましい。
摩擦調整材は、耐摩耗性、耐熱性、耐フェード性等の所望の摩擦特性を摩擦材に付与するために用いられる。
本発明において、摩擦材組成物には、摩擦調整材としてチタン酸塩が顆粒状とされた顆粒状チタン酸塩を含有する。
チタン酸塩としては、例えば、チタン酸カリウム、チタン酸リチウムカリウム、チタン酸マグネシウムカリウム等が挙げられ、これらのうちの少なくとも1つのチタン酸塩を用いて顆粒状にしたものを用いることができる。本発明において、顆粒状チタン酸塩は、例えば、チタン酸塩をシランカップリング剤により処理して顆粒状にしたものを用いることができる。
顆粒状チタン酸塩を構成するチタン酸塩の平均粒子径は、2〜10μmであることが好ましい。チタン酸塩の平均粒子径が前記範囲であると、得られる顆粒状チタン酸塩の平均粒子径を調整しやすいため好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド等を挙げることができる。
チタン酸塩の表面をシランカップリング剤で処理する方法としては、公知の方法であれば制限なく使用できるが、例えば、浸漬法、乾式法などの各種処理方法を用いることができる。
本発明において、上記により得られる顆粒状チタン酸塩の平均粒子径は、100〜250μmとする。顆粒状チタン酸塩の平均粒子径が100μm以上であると、摩擦材とした際に摩擦材に所望の強度を確保することができるため好ましく、250μm以下であると、摩擦材製造上の分散性を確保できるため好ましい。顆粒状チタン酸塩の平均粒子径は、100〜200μmであることがより好ましい。なお、本発明のチタン酸塩および顆粒状チタン酸塩の平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社島津製作所、SALD−7100)を用いて粒度分布を求め、そのメジアン径(D50)に対応する。
なお、摩擦材組成物に含有させる顆粒状チタン酸塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の顆粒状チタン酸塩を組み合わせて用いてもよい。
顆粒状チタン酸塩の含有量は、摩擦特性の確保の観点から、摩擦材組成物全体量に対し1〜30質量%とすることが好ましく、15〜25質量%とすることがより好ましい。
本発明の摩擦材組成物は、摩擦調整材として上記顆粒状チタン酸塩を含有すると、成形性が向上し、また、気孔率を確保できることから、本発明の摩擦材組成物を成形して得られた摩擦材は十分な強度を有し、クラックや表面欠けを抑制することができるとともに、優れた耐フェード性を有する。
本発明の摩擦材組成物には、本発明の主旨に沿う限り、通常用いられるその他の摩擦調整材を使用することができる。
その他の摩擦調整材としては、例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、バーミキュライト、マイカ、チタン酸カリウム、チタン酸リチウムカリウム、チタン酸マグネシウムカリウム等の無機充填材、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、酸化クロム、四三酸化鉄(Fe)、等の研削材、アルミニウム、亜鉛、錫等の銅及び銅合金以外の金属粉末、各種ゴム粉末(ゴムダスト、タイヤ粉末等)、カシューダスト、メラミンダスト等の有機充填材、黒鉛(グラファイト)、二硫化モリブデン、硫化錫、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の固体潤滑材等が挙げられる。これらの摩擦調整材は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
摩擦調整材の含有量は、所望する摩擦特性に応じて、適宜調整すればよく、チタン酸塩の顆粒体を含んだ摩擦調整材全体の含有量が、摩擦材組成物全量に対し、60〜90質量%とすることが好ましく、65〜85質量%とすることがより好ましい。
結合材は摩擦材組成物に含まれる繊維基材及び摩擦調整材を一体化するために用いられる。結合材としては、例えば、ストレートフェノール樹脂、エラストマー等による各種変性フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。エラストマー変性フェノール樹脂としては、アクリルゴム変性フェノール樹脂やシリコーンゴム変性フェノール樹脂、NBRゴム変性フェノール樹脂などを挙げることができる。これらの結合材は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
結合材の含有量は、十分な機械的強度、耐摩耗性を確保するため、摩擦材組成物全量に対し、7〜12質量%とすることが好ましく、8〜11質量%とすることがより好ましい。
本発明の摩擦材組成物は、繊維基材、摩擦調整材及び結合材以外に、必要に応じてその他の材料を配合することができる。
なお、本発明の摩擦材組成物は、銅の含有量が0.5質量%以下のノンアスベスト摩擦材を形成するためのものであるが、ロースチールの銅フリー材(すなわち、スチール繊維を20〜40質量%程度含む、実質的に銅を含有しない(銅含有量0.5質量%以下の)材質)にも適用可能である。
本発明の摩擦材組成物は、これを成形することにより自動車などのブレーキパッドやブレーキライニング等の摩擦材として使用することができる。
本発明の摩擦材の製造は、公知の製造工程により行うことができ、例えば、摩擦材組成物の予備成形、熱成形、加熱、研摩等の工程を経て摩擦材を作製することができる。
ディスクブレーキ用ブレーキパッドの製造における一般的な工程を以下に示す。
(a)板金プレスにより鋼板(プレッシャプレート)を所定の形状に成形する工程
(b)上記プレッシャプレートに脱脂処理、化成処理およびプライマー処理を施し、接着剤を塗布する工程
(c)繊維基材と、摩擦調整材と、結合材等の粉末原料とを配合し、混合により十分に均質化した摩擦材組成物を、常温にて所定の圧力で成形して予備成形体を作製する工程
(d)上記予備成形体と接着剤が塗布されたプレッシャプレートとを、所定の温度および圧力を加えて両部材を一体に固着する熱成形工程(成形温度130〜180℃、成形圧力30〜80MPa、成形時間2〜10分間)
(e)アフターキュア(150〜300℃、1〜5時間)を行って、最終的に研摩や表面焼き、塗装等の仕上げ処理を施す工程
このような工程により、本発明の摩擦材を備えたディスクブレーキ用ブレーキパッドを製造することができる。
本発明によれば、本発明の摩擦材組成物を成形して得られる摩擦材は、銅の含有量の少ない環境に配慮したものであって、しかも銅を含有した摩擦材と同程度の強度を有し、優れた耐クラック性、耐フェード性を有することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
(実施例1〜3、比較例1〜3、参考例1〜2)
<ブレーキパッドの作製>
表1に示す配合材料を、混合攪拌機に一括して投入し、常温で2〜10分間混合を行い摩擦材組成物を得た。その後、得られた摩擦材組成物を以下の予備成形(1)、熱成形(2)、加熱および焼成(3)の工程を経て、図1(a)に示すような摩擦材2を備えたブレーキパッド1を作製した。
(1)予備成形
摩擦材組成物を予備成形プレスの金型に投入し、常温にて15MPaで1秒間、成形を行い予備成形品を作製した。
(2)熱成形
この予備成形品を熱成形型に投入し、予め接着剤を塗布した金属板3(プレッシャープレート:P/P)を重ねて、150℃、40MPaで5分間加熱圧縮成形を行った。
(3)加熱、焼成
この加熱圧縮成形体に、250℃、3時間の熱処理を実施した後、研摩した。次いで、この加熱圧縮成形体の表面に表面焼き処理を施し、仕上げに塗装を行い、摩擦材2を備えたブレーキパッド1を得た。
<摩擦材の評価試験>
上記作製した実施例1〜3、比較例1〜3及び参考例1〜2のブレーキパッドについて、気孔率の測定、一般性能試験(摩擦係数)、外観確認試験、及び摩擦材強度試験を行った。得られた結果を表1に示す。
(1)摩擦材の気孔率の測定
水銀ポロシメータ(株式会社島津製作所製、オートポアIV9500シリーズ)により、各評価試験を実施する前の摩擦材の気孔率を測定した。
(2)一般性能試験:フェード試験(摩擦係数)
フルサイズダイナモメータ試験機を用いて、摩擦試験(JASO C 406:2000準拠)を行い、各摩擦材の耐フェード性(第1フェード試験における最小摩擦係数μmin)を評価した。
(3)外観確認試験
上記「(2)一般性能試験」の終了後、摩擦材の摩擦面の状態を目視にて確認し、クラック、欠けの有無を確認した。
クラック及び欠けの少なくとも一方があるものを「クラック、欠けあり(有)」、クラック及び欠けのいずれも見られないものを「クラック、欠けなし(無)」と評価した。
また、実施例2、比較例1及び参考例2について、摩擦材の摩擦面の状態を図4に示す。
(4)摩擦材強度試験
上記<ブレーキパッドの作製>で作製したブレーキパッド(新品)と、ブレーキパッドを熱処理して摩擦材を劣化させた熱劣化品を用いて、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向(図1(a)参照)における摩擦材の強度の確認を行った。
熱劣化品は、550℃の熱板に、摩擦材面が熱板と接するようにしてブレーキパッドを載置し、約1kgの重りを載せて、約180秒間加熱する処理を2サイクル行うことにより作製した。
図1(b)に破線で示すように、新品及び熱劣化品のブレーキパッド1からそれぞれ6個の試験品11(X軸方向30mm、Y軸方向20mm、Z軸方向15.5mm)を切り出し、試験に供した。
(4−1)X軸方向及びY軸方向の強度試験
ブレーキパッド1から切り出した試験品11(図2(a)参照)を、図2(c)に示すようなせん断冶具5のサイズに合わせて厚み(Z軸方向の厚み)が13.3mmとなるように金属板3の表面を削り、加工済み試験品11aを得た(図2(b)参照)。
得られた加工済み試験品11aを、図2(c)に示したように、せん断冶具5に設置した。なお、ブレーキパッド1のX軸方向における摩擦材強度を測定する場合は、加工済み試験品11aのX軸方向がせん断力を加える方向と平行になるように、また、ブレーキパッド1のY軸方向における摩擦材強度を測定する場合は、加工済み試験品11aのY軸方向がせん断力を加える方向と平行になるように、加工済み試験品11aを設置した。また、せん断力が摩擦材2の金属板3と接する側にかかるように、加工済み試験品11aの金属板3側を押圧位置とした。
このようにせん断冶具5に設置した加工済み試験品11aに対して垂直に、オートグラフ(株式会社島津製作所製「AG−25TB」)により、せん断速度3mm/minでせん断力Pを加え、摩擦材に亀裂が入り、かけた力が一定になった数値をせん断強度として測定した。
(4−2)Z軸方向の強度試験
ブレーキパッド1から切り出した試験品11(図3(a)参照)を、摩擦材2のX軸方向両端部を5mmずつ削るとともに、摩擦材2のZ軸方向の厚みを8mmとなるように削った。摩擦材2の表面に鉄板4(縦20mm×横30mm×厚み5mm)をエポキシ系接着剤により貼り付け、加工済み試験品11bを得た(図3(b)参照)。
加工済み試験品11bを、図3(c)に示すように、引っ張り冶具7に設置した。オートグラフ(株式会社島津製作所製「AG−25TB」)により、加工済み試験品11bの金属板3と鉄板4の両方から、引っ張り速度1mm/minで引っ張り、摩擦材に亀裂が入り、かけた力が一定になった数値を引っ張り強度として測定した。
表1の結果から、チタン酸塩をシランカップリング剤により顆粒化した特定の平均粒子径を有する顆粒状チタン酸塩を含有した実施例1〜3は、銅繊維を5質量%含有した参考例1〜2と同程度に摩擦材の強度が高まり、クラック、欠けを抑制することができた。一方、比較例1〜3は、実施例1〜3に比べて新品、熱劣化品のいずれにおいても摩擦材強度が低下しており、試験終了品には図4に示したように欠けが見られた。
1 ブレーキパッド
2 摩擦材
3 金属板(プレッシャープレート)
4 鉄板
5 せん断冶具
7 引っ張り冶具
11 試験品
11a,11b 加工済み試験品

Claims (4)

  1. 繊維基材、摩擦調整材及び結合材を含有する摩擦材組成物であって、該摩擦材組成物中の銅の含有量が銅元素換算で0.5質量%以下であり、前記摩擦調整材として、チタン酸塩がシランカップリング剤により処理されて顆粒状とされた顆粒状チタン酸塩を含有し、前記チタン酸塩の平均粒子径が2〜10μmであり、前記顆粒状チタン酸塩の平均粒子径が100〜250μmであることを特徴とする摩擦材組成物。
  2. 前記チタン酸塩が、チタン酸カリウム、チタン酸リチウムカリウム及びチタン酸マグネシウムカリウムからなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の摩擦材組成物。
  3. 前記顆粒状チタン酸塩の含有量が、1〜30質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の摩擦材組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の摩擦材組成物を成形して得られる摩擦材。
JP2015184266A 2015-09-17 2015-09-17 摩擦材組成物及び摩擦材 Active JP6630095B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015184266A JP6630095B2 (ja) 2015-09-17 2015-09-17 摩擦材組成物及び摩擦材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015184266A JP6630095B2 (ja) 2015-09-17 2015-09-17 摩擦材組成物及び摩擦材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017057312A JP2017057312A (ja) 2017-03-23
JP6630095B2 true JP6630095B2 (ja) 2020-01-15

Family

ID=58389753

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015184266A Active JP6630095B2 (ja) 2015-09-17 2015-09-17 摩擦材組成物及び摩擦材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6630095B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2018203429A (ja) * 2017-06-01 2018-12-27 Ihi運搬機械株式会社 軌道走行式機械のレールクランプ装置
JP7078359B2 (ja) * 2017-06-27 2022-05-31 曙ブレーキ工業株式会社 焼結摩擦材及び焼結摩擦材の製造方法
WO2020021646A1 (ja) * 2018-07-24 2020-01-30 日立化成株式会社 摩擦部材、下張り材用摩擦材組成物、下張り材、ディスクブレーキパッド及び車
JPWO2020021647A1 (ja) * 2018-07-24 2021-08-02 昭和電工マテリアルズ株式会社 摩擦部材、下張り材用摩擦材組成物、下張り材、ディスクブレーキパッド及び車
WO2020021644A1 (ja) * 2018-07-24 2020-01-30 日立化成株式会社 摩擦部材、下張り材用摩擦材組成物、下張り材及び車
JP7401233B2 (ja) * 2018-10-31 2023-12-19 曙ブレーキ工業株式会社 焼結摩擦材及び焼結摩擦材の製造方法
US12066071B2 (en) 2018-10-31 2024-08-20 Akebono Brake Industry Co., Ltd. Sintered friction material and method for producing sintered friction material
CN110259859A (zh) * 2019-06-03 2019-09-20 山西中聚晶科半导体有限公司 一种利用蓝宝石制备的刹车片及其制备方法
EP4166621A4 (en) 2020-06-16 2024-07-03 Nisshinbo Brake Inc RUBBER TORQUE
CN115698218A (zh) 2020-06-16 2023-02-03 日清纺制动器株式会社 摩擦副
US20230235803A1 (en) 2020-06-16 2023-07-27 Nisshinbo Brake, Inc. Friction pair

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001172612A (ja) * 1999-12-20 2001-06-26 Akebono Brake Ind Co Ltd 摩擦材
JP2008214124A (ja) * 2007-03-02 2008-09-18 Otsuka Chemical Co Ltd チタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩、その製造方法及びチタン酸アルカリ金属塩固着チタン酸塩を含有する樹脂組成物
JP2011236332A (ja) * 2010-05-11 2011-11-24 Akebono Brake Ind Co Ltd 摩擦材
JP6079235B2 (ja) * 2010-11-19 2017-02-15 日立化成株式会社 ノンアスベスト摩擦材組成物、これを用いた摩擦材及び摩擦部材
JP6235217B2 (ja) * 2013-02-28 2017-11-22 曙ブレーキ工業株式会社 摩擦材
CN107108256B (zh) * 2014-10-24 2018-11-30 大塚化学株式会社 多孔钛酸盐化合物颗粒及其制造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017057312A (ja) 2017-03-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6630095B2 (ja) 摩擦材組成物及び摩擦材
KR102420373B1 (ko) 마찰재
KR102255672B1 (ko) 마찰재
US10927912B2 (en) Frictional material composition, frictional material, and friction member
JP6235217B2 (ja) 摩擦材
KR20170087492A (ko) 마찰재 조성물, 상기 마찰재 조성물을 이용한 마찰재 및 마찰 부재
KR20120107860A (ko) 마찰재
JP6652410B2 (ja) 摩擦材
JP2014159871A (ja) 摩擦材
WO2014112440A1 (ja) 摩擦材
JP7128323B2 (ja) 摩擦材
JP2019031616A (ja) 摩擦材
JP2018162385A (ja) 摩擦材組成物、摩擦材組成物を用いた摩擦材および摩擦部材
JP6867783B2 (ja) 摩擦材組成物及び摩擦材
JP2016121243A (ja) 摩擦材組成物、摩擦材組成物を用いた摩擦材および摩擦部材
JP4029026B2 (ja) 非石綿系摩擦材
WO2016103972A1 (ja) 摩擦材組成物、該摩擦材組成物を用いた摩擦材および摩擦部材
JP2016098362A (ja) 摩擦材組成物、該摩擦材組成物を用いた摩擦材および摩擦部材
JP2009209288A (ja) 摩擦材
JP6439914B2 (ja) 摩擦材
JP6482294B2 (ja) 摩擦材
JP2021017522A (ja) 摩擦材
WO2023085287A1 (ja) 摩擦材
WO2023085286A1 (ja) 摩擦材
JP2007254564A (ja) 摩擦材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180622

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190412

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190514

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190702

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191008

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191125

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191203

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191206

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6630095

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250