JP6629586B2 - 回転ダンパおよびそれを用いた扉制動装置 - Google Patents

回転ダンパおよびそれを用いた扉制動装置 Download PDF

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Description

本発明は、一対のトルク発生部材のトルク発生面間に存在する粘性流体により生じるトルクによってシャフトの回転に抵抗を付与する回転ダンパ、およびそれを用いた扉制動装置に関するものである。
従来この種の回転ダンパとしては、例えば、特許文献1に開示された回転ダンパがある。この回転ダンパに備えられる一対のトルク発生部材は、第1トルク発生面を備えた第1トルク発生部材、および、第1トルク発生面に対向し得る第2トルク発生面を備えた第2トルク発生部材からなる。一方のトルク発生部材は、他方のトルク発生部材に対して軸方向に移動可能な可動部材として構成される。可動部材に対向する他方のトルク発生部材にはアジャスタが嵌合して移動調整機構が構成されており、アジャスタの回転により他方のトルク発生部材が軸方向に移動する。この移動により、第1トルク発生面および第2トルク発生面間の対向面積が変化して、一対のトルク発生部材に生じるトルクの大きさが調整される。
また、この回転ダンパには、シャフトが回転駆動されるとき、その回転速度に応じて第1トルク発生面および第2トルク発生面間の対向面積を変化させるトルク自動調整機構が設けられている。このトルク自動調整機構は、シャフトに装着された管体をシャフトに連動して回転させることで、管体に係合する可動部材を、弾性部材の弾発力に抗して軸方向に他方のトルク発生部材側へ移動させる。この移動はシャフトの回転速度に応じて行われ、この移動により、トルク発生面間の対向面積が変化して、一対のトルク発生部材には回転速度に応じたトルクが生成される。
特開2013−50117号公報
しかしながら、特許文献1に開示された上記従来の回転ダンパでは、一対のトルク発生部材に生じるトルクの大きさを調整する移動調整機構と、一対のトルク発生部材に回転速度に応じたトルクを生成させるトルク自動調整機構とがシャフトの軸と同軸に直列に設けられている。このため、従来の回転ダンパは、そのシャフトの軸方向における幅寸法が大きくなり、取付部に大きな幅寸法を必要とする。したがって、従来の回転ダンパは、取り付けることの出来る対象に制約が生じ、広範囲に適用することが出来なかった。
一方、回転ダンパのこの幅寸法を小さくすると、第1トルク発生部材および第2トルク発生部材間の相対距離が短くなる。このため、移動調整機構によって他方のトルク発生部材を軸方向に可動部材側へ移動させると、可動部材の移動範囲が狭まる。したがって、上記従来の回転ダンパでは、回転ダンパの幅寸法を小さくすると、トルク自動調整機構によるトルクの自動調整範囲が狭まり、回転ダンパの動作範囲が制限されてしまう。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
内部に粘性流体が充填されたハウジングと、一部がハウジング内に収容されてハウジングに対して回転自在に支持されたシャフトと、互いに対向し得るトルク発生面を備えてハウジング内に同軸に収容される一対のトルク発生部材とを有し、トルク発生面間に存在する粘性流体の粘性抵抗により生じるトルクによってシャフトの回転に抵抗を付与する回転ダンパにおいて、
一方の第1トルク発生部材および他方の第1トルク発生部材から構成され、一方の第1トルク発生部材が回転自在にハウジングに保持され、他方の第1トルク発生部材がその軸方向に移動自在にかつ一方の第1トルク発生部材と連動して回転しないようにハウジングに保持される第1の一対のトルク発生部材、および、他方の第1トルク発生部材に形成された第1従動カム部に係合する第1原動カム部が形成され、第1原動カム部が回転することによって他方の第1トルク発生部材を第1従動カム部を介してその軸方向に移動させて、第1の一対のトルク発生部材におけるトルク発生面の対向面積を変化させるアジャスタからなり、アジャスタによって大きさが調整される第1のトルクを生成する調整トルク生成機構列と、
一方の第2トルク発生部材および他方の第2トルク発生部材から構成され、一方の第2トルク発生部材がその軸方向に移動自在にかつ回転自在にハウジングに保持され、他方の第2トルク発生部材が一方の第2トルク発生部材と連動して回転しないように固定される第2の一対のトルク発生部材、一方の第2トルク発生部材に形成された第2従動カム部に係合する第2原動カム部が形成され、第2原動カム部が回転することによって第2従動カム部を介して回転を一方の第2トルク発生部材に伝達するロータ、および、一方の第2トルク発生部材を他方の第2トルク発生部材から離れるロータ側へ付勢する弾性部材からなり、ロータの回転駆動力を一方の第2トルク発生部材へ伝えて一方の第2トルク発生部材を弾性部材の弾発力に抗して他方の第2トルク発生部材側へ移動させることで、第2の一対のトルク発生部材におけるトルク発生面の対向面積を変化させてロータの回転速度に応じた第2のトルクを生成する、調整トルク生成機構列と並列にハウジング内に配置される速度依存トルク生成機構列と、
一方の第1トルク発生部材およびロータ間において一方の回転駆動力を他方へ伝達する回転伝達部材と
を備え、
シャフトが、一方の第1トルク発生部材またはロータの一方と同軸に設けられて連動して回転する
ことを特徴とする。
本構成においては、シャフトが回転すると、一方の第1トルク発生部材またはロータの一方がシャフトに連動して回転する。一方の第1トルク発生部材がシャフトに連動して回転すると、調整トルク生成機構列に設けられた第1の一対のトルク発生部材において、アジャスタによって調整されるトルク発生面の対向面積に応じた大きさの第1のトルクが生成される。また、一方の第1トルク発生部材の回転は回転伝達部材によってロータに伝達され、ロータが回転する。ロータが回転すると、その回転駆動力が第2原動カム部および第2従動カム部を介して一方の第2トルク発生部材へ伝えられ、一方の第2トルク発生部材が弾性部材の弾発力に抗して他方の第2トルク発生部材側へ移動する。この移動により、第2の一対のトルク発生部材におけるトルク発生面の対向面積が変化し、速度依存トルク生成機構列に設けられた第2の一対のトルク発生部材において、ロータの回転速度に応じた第2のトルクが生成される。したがって、シャフトの回転には、第1のトルクと第2のトルクとが合わさった大きさのトルクによる抵抗が付与される。
また、ロータがシャフトに連動して回転すると、その回転駆動力が第2原動カム部および第2従動カム部を介して一方の第2トルク発生部材へ伝えられ、上記のように、速度依存トルク生成機構列に設けられた第2の一対のトルク発生部材において、ロータの回転速度に応じた第2のトルクが生成される。また、ロータの回転は回転伝達部材によって一方の第1トルク発生部材に伝達され、一方の第1トルク発生部材が回転する。一方の第1トルク発生部材が回転すると、調整トルク生成機構列に設けられた第1の一対のトルク発生部材において、アジャスタによって調整された大きさの第1のトルクが生成される。したがって、この場合にも、シャフトの回転には、第1のトルクと第2のトルクとが合わさった大きさのトルクによる抵抗が付与される。
上記の調整トルク生成機構列と速度依存トルク生成機構列とは、ハウジング内に並列に配置される。このため、本構成による回転ダンパは、従来の、移動調整機構とトルク自動調整機構とがシャフトの軸と同軸に直列に設けられる回転ダンパに比べて、そのシャフトの軸方向における幅寸法を小さくすることが出来る。したがって、回転ダンパの取付部に大きな幅寸法を必要としなくなり、回転ダンパは、幅スペースの狭い場所に設置することが出来、取り付ける対象に制約が生じなくなって、広範囲に適用することが可能になる。
また、調整トルク生成機構列と速度依存トルク生成機構列とが別々に独立して配置されるため、調整トルク生成機構列において生成される第1のトルクの大きさをアジャスタによって調整しても、速度依存トルク生成機構列ではその調整による影響を受けない。このため、従来の回転ダンパのように、移動調整機構によってトルク調整をすると、トルク自動調整機構によるトルクの自動調整範囲が狭まり、回転ダンパの動作範囲が制限されてしまう問題は解消される。また、調整トルク生成機構列におけるアジャスタによる第1のトルクのトルク調整は、速度依存トルク生成機構列における第2のトルクの自動調整を考慮することなく、簡潔に行える。
また、本発明は、一方の第1トルク発生部材および他方の第1トルク発生部材、並びに、一方の第2トルク発生部材および他方の第2トルク発生部材に、一対のトルク発生部材を構成するものどうしにおいて、軸方向の相対移動により対向するように互いの径方向の位置がずれて1列または同心状に複数列突出し、互いに対向する面がトルク発生面を構成する突出板がそれぞれ形成されていることを特徴とする。
本構成によれば、一方の第1トルク発生部材および他方の第1トルク発生部材間の相対距離、並びに、一方の第2トルク発生部材および他方の第2トルク発生部材間の相対距離が変化し、各突出板の互いに対向するトルク発生面の面積が変化することで、調整トルク生成機構列における第1の一対のトルク発生部材で生成される第1のトルクの大きさ、並びに、速度依存トルク生成機構列における第2の一対のトルク発生部材で生成される第2のトルクの大きさが調整される。
また、本発明は、他方の第2トルク発生部材が、一方の第2トルク発生部材に対向するハウジングの内壁が形付けられて形成されることを特徴とする。
本構成によれば、他方の第2トルク発生部材がハウジングに一体に形成されるため、回転ダンパの幅寸法をさらに小さくすることが出来ると共に、構成部品点数が減って回転ダンパを低価格化することが出来る。
また、本発明は、回転伝達部材がハウジング内に収容され、ハウジング内において回転駆動力が伝達されることを特徴とする。
本構成によれば、一方の第1トルク発生部材の回転軸とロータの回転軸との2軸間における動力の伝達は、ハウジング内において行われるため、回転軸のシール部材は、2軸間における動力の伝達をハウジング外で行う場合と異なり、シャフトをハウジング外へ露出させる箇所に設ける1つで済む。したがって、回転軸のシール部材によって生じて粘性流体を介して伝えられる回転抵抗を最低限に抑制することが出来る。よって、シャフトの回転に付与する抵抗が小さく設定される回転ダンパの低トルク設定時、回転軸のシール部材による回転抵抗によってシャフトにかかるトルクが落ち切らない現象の発生を防ぐことが可能になる。
また、本発明は、回転伝達部材が、一方の第1トルク発生部材に一体に形成された第1の伝達部と、ロータに一体に形成された第2の伝達部とから構成されることを特徴とする。
本構成によれば、回転伝達部材が一方の第1トルク発生部材およびロータに一体に形成され、構成部品点数が減るので、回転ダンパを小型化かつ低価格化することが出来る。
また、本発明は、第1の伝達部および第2の伝達部が互いに噛み合う歯車から構成され、歯数比が所定値に設定されることを特徴とする。
本構成によれば、一方の第1トルク発生部材またはロータの一方の回転速度は、歯車に設定される歯数比に応じて速くまたは遅くなる。このため、調整トルク生成機構列で生成される第1のトルクの大きさ、または、速度依存トルク生成機構列で生成される第2のトルクの大きさの調整範囲を広げることが可能になる。
また、本発明は、調整トルク生成機構列と速度依存トルク生成機構列とが扉の開閉方向に並んで配置されてハウジングが固定される、上記のいずれかの回転ダンパと、ハウジングから露出するシャフトに着脱自在かつ表裏反転自在に取り付けられる一方向クラッチとを備える扉制動装置を構成した。
本構成によれば、一方向へ扉を開く場合、およびその逆方向へ扉を開く場合の双方において、扉の移動に制動を加えることが可能な扉制動装置を同じ部材を用いて簡単に実現することが出来る。
本発明によれば、シャフトの軸方向における幅寸法を小さくすることが出来ると共に、トルク調整によりトルクの自動調整範囲が狭まって回転ダンパの動作範囲が制限されてしまうことのない、トルク調整を簡潔に行える回転ダンパ、およびそれを用いた扉制動装置を提供することが出来る。
本発明の一実施の形態による回転ダンパを用いた扉制動装置を一側面側から見た分解斜視図である。 一実施の形態による回転ダンパを用いた扉制動装置を反対の側面側から見た分解斜視図である。 一実施の形態による回転ダンパを用いた扉制動装置の断面図である。 (a)は、図1に示した一側面側から見た第2アジャストロータおよびアジャスタの拡大斜視図、(b)は、図2に示した反対の側面側から見た第2アジャストロータおよびアジャスタの拡大斜視図である。 アジャスタが回転させられることで第2アジャストロータが第1アジャストロータに最も近づけられた状態における、一実施の形態による回転ダンパを用いた扉制動装置の断面図である。 (a)は、図1に示した一側面側から見た第1速度依存ロータおよび第2速度依存ロータの拡大斜視図、(b)は、図2に示した反対の側面側から見た第1速度依存ロータおよび第2速度依存ロータの拡大斜視図である。 第1速度依存ロータの回転により第2速度依存ロータが速度依存機構列収納ホルダに形成されたトルク発生部に最も近づいた状態における、一実施の形態による回転ダンパを用いた扉制動装置の断面図である。 (a)は、一実施の形態による回転ダンパを用いた扉制動装置が右開きの扉に取り付けられた状態の側面図、(b)は、左開きの扉に取り付けられた状態の側面図である。 (a)〜(d)は、一実施の形態による回転ダンパを用いた扉制動装置を逆開きの扉に取り付ける場合における取付手順を示す同扉制動装置の側面図である。
次に、本発明による回転ダンパ、およびそれを用いた扉制動装置を実施するための形態について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による回転ダンパ1を用いた扉制動装置11を一側面側から見た扉制動装置11の分解斜視図、図2は、反対の側面側から見た扉制動装置11の分解斜視図である。また、図3は扉制動装置11の断面図である。
回転ダンパ1は、ケース2がキャップ3で蓋をされて形成されるハウジング内に、調整トルク生成機構列4と速度依存トルク生成機構列5とが並列に配置されて構成される。ケース2およびキャップ3はそれぞれ合成樹脂材料から一体成形品として成形されるが、金属で形成してもよい。キャップ3のケース2に対する取り付けは、キャップ3およびケース2の各接合部3a,2aが当接され、四隅において4本のネジ7で締結することで行われる。ハウジングの内部にはシリコーンオイル等の粘性流体が充填される。キャップ3およびケース2間にはOリングからなるユニットシール部材6が挟持され、このユニットシール部材6により、ハウジング内部に充填される粘性流体の漏れが防止される。
調整トルク生成機構列4は、第1キャップブッシュ41,キャップ側シール部材42,シャフト43,第1アジャストロータ44,止め輪45,第2アジャストロータ46,アジャスタ47およびケース側シール部材48から構成され、ケース2の内側に窪んで形成される調整機構列収容ホルダ2bに各部材が同軸に収納される。
シャフト43は、合成樹脂材料あるいは金属材料からなり、太い大径部43aと細い小径部43bとからなる円筒状に形成され、大径部43aの小径部43b側端部の両側が平行に削られて平坦部43cが形成されている。このシャフト43は、大径部43aの一部がハウジング外部に露出し、残余の部分がハウジング内に収容される。キャップ3には、第1キャップブッシュ41およびキャップ側シール部材42が嵌まる大きさの内径をした円筒穴3bが形成されている。シャフト43の大径部43aは、円筒穴3bに嵌入された第1キャップブッシュ41およびキャップ側シール部材42に通されて、ハウジングの外部に露出する。第1キャップブッシュ41はシャフト43の大径部43aをハウジングに対して回転自在に支持し、キャップ側シール部材42は、ハウジング内部に充填される粘性流体が円筒穴3bから漏れるのを防止する。
ハウジングの外部に露出したシャフト43の大径部43aには一方向クラッチ8が同軸に固定され、一方向クラッチ8によって一方向の回転がシャフト43に伝達される。一方向クラッチ8は、その中心部の開口内径に大径部43aを挿入することで、シャフト43に着脱自在かつ表裏反転自在に取り付けられる。また、キャップ3の表側にはフレーム9が一方向クラッチ8の側部を覆って2本のネジ10で取り付けられ、一方向クラッチ8がシャフト43から抜けるのが防止される。回転ダンパ1、並びに、一方向クラッチ8およびフレーム9は扉制動装置11を構成する。
シャフト43は、ハウジング内部において平坦部43cが第1アジャストロータ44の中心部に形成された矩形状取付穴44aに嵌入され、第1アジャストロータ44から突出する小径部43bにEリングからなる止め輪45が嵌められる。第1アジャストロータ44の矩形状取付穴44aを囲む外周には平歯車44bが形成されている。止め輪45によりシャフト43が矩形状取付穴44aから抜けるのが防止される。また、平坦部43cが矩形状取付穴44aに嵌入されることにより、シャフト43に連動して第1アジャストロータ44が回転するようになり、シャフト43の回転が第1アジャストロータ44に伝達される。シャフト43の小径部43bは一端が閉塞したアジャスタ47の内径部47aに収容される寸法に設定されており、アジャスタ47の内径部47aと嵌合して内径部47aに回転自在に支持される。
第2アジャストロータ46は、その外周に、軸方向に平行に案内溝46aが形成されている。案内溝46aは、調整機構列収容ホルダ2bの内周に軸方向に平行に突出して形成された突条2cと嵌合する。案内溝46aが突条2cと軸方向にスライド自在に嵌合することで、第2アジャストロータ46は、その軸方向に移動自在に、かつ、第1アジャストロータ44と連動して回転しないように、ハウジングに保持される。一方、第1アジャストロータ44は、上記のようにシャフト43に連動して設けられることで、回転自在にハウジングに保持される。
第1アジャストロータ44および第2アジャストロータ46は、互いに対向し得るトルク発生面を備えてハウジング内に同軸に収容される第1の一対のトルク発生部材を構成する。第1アジャストロータ44は、第1の一対のトルク発生部材の一方の第1トルク発生部材を構成し、第2アジャストロータ46に対向する側面に、同心状に複数列、軸方向および円周方向に環状に展延して突出する突出板44c(図2参照)が形成されている。中央の突出板44cは円周方向に一部が切り欠かれて形成されている。第2アジャストロータ46は、第1の一対のトルク発生部材の他方の第1トルク発生部材を構成し、第1アジャストロータ44に対向する側面に、同心状に複数列、軸方向および円周方向に環状に展延して突出する突出板46b(図1参照)が形成されている。各突出板44c,46bは、第1アジャストロータ44および第2アジャストロータ46の径方向に等間隔で形成され、軸方向の相対移動により対向するように互いの径方向の位置がずれて設けられており、互い違いに対向配置されて、互いに対向する面がトルク発生面を構成する。
本構成によれば、第1アジャストロータ44および第2アジャストロータ46間の相対距離が変化し、各突出板44c,46bの互いに対向するトルク発生面の面積が変化することで、調整トルク生成機構列4における第1の一対のトルク発生部材で生成される第1のトルクの大きさが調整される。
なお、本実施形態では、各突出板44c,46bは、同心状に複数列、軸方向および円周方向に環状に展延して突出して形成されているが、1列に展延して突出し、軸方向の相対移動により対向するように形成されるように構成してもよい。また、必ずしも環状に形成される必要は無く、半環状、その他、軸方向および円周方向に展延した形状であれば、どのような形状であってもよい。また、第1アジャストロータ44、第2アジャストロータ46およびアジャスタ47はそれぞれ合成樹脂材料から一体成形品として成形されるが、金属で形成してもよい。
第2アジャストロータ46の内径部の対向する2箇所には、図4に示すように、第1従動カム部46cが突出して形成されている。同図(a)は、図1に示した一側面側から見た第2アジャストロータ46およびアジャスタ47の拡大斜視図、同図(b)は、図2に示した反対の側面側から見た第2アジャストロータ46およびアジャスタ47の拡大斜視図である。第1従動カム部46cは、軸方向においてアジャスタ47から離れるに従って円周方向に傾く、幅を持った螺旋凸状をしており、第2アジャストロータ46の内径部から立ち上がる側面は第1従動カム面46c1を形成している。
また、アジャスタ47の外径部の対向する2箇所には、第1原動カム部47bが溝状に形成されている。第1原動カム部47bは、軸方向において第2アジャストロータ46に近づくに従って円周方向に傾く、幅を持った螺旋凹状をしており、アジャスタ47の外径部から立ち下がる側面は第1原動カム面47b1を形成している。第1原動カム部47bの凹形状は第1従動カム部46cの凸形状を収容する形状になっており、第1原動カム部47bと第1従動カム部46cとは互いに当接して嵌まり合う寸法に設定されている。また、第2アジャストロータ46の第1従動カム部46cが形成された内径部と、アジャスタ47の第1原動カム部47bが形成された外径部も、互いに当接して嵌まり合う寸法に設定されている。
アジャスタ47は、円盤状をした調整部47cの側面がハウジングの外部に露出させられて調整機構列収容ホルダ2bに収容される。この際、調整部47cとつば部47dとの間の溝47eに、Oリングからなるケース側シール部材48が嵌められ、調整機構列収容ホルダ2bに形成された、調整部47cが露出させられる開口部から粘性流体が漏れるのが防止される。ハウジングの外部に露出させられる調整部47cの側面には、手やドライバ等の道具が差し込まれる溝47fが形成されており、アジャスタ47はこの溝47fが利用されて一定範囲において回転させられる。
第2アジャストロータ46は、調整機構列収容ホルダ2bに収容されたアジャスタ47の第1原動カム部47bに第1従動カム部46cが係合されて、図3に示すようにハウジングに収容される。この状態では、第1原動カム部47bの第1原動カム面47b1と第1従動カム部46cの第1従動カム面46c1とが当接し、アジャスタ47が溝47fが利用されて回転させられると、第1原動カム面47b1が第1従動カム面46c1を軸方向に押す。これにより、第2アジャストロータ46の案内溝46aが調整機構列収容ホルダ2bの突条2cに案内され、第2アジャストロータ46が軸方向にスライド移動する。
アジャスタ47は、その第1原動カム部47bが回転することによって第2アジャストロータ46をその軸方向に上記のように移動させる。この移動により、第1アジャストロータ44および第2アジャストロータ46に形成された各突出板44c,46bが対向する面積が変化し、第1アジャストロータ44および第2アジャストロータ46によって構成される第1の一対のトルク発生部材におけるトルク発生面の対向面積が調整される。したがって、第1の一対のトルク発生部材を備える調整トルク生成機構列4においては、各突出板44c,46b間に存在する粘性流体の粘性抵抗(剪断抵抗)により、アジャスタ47によって大きさが調整される第1のトルクが生成される。
図3は、第2アジャストロータ46が調整機構列収容ホルダ2bの収納部底面側に最も寄せられ、第1アジャストロータ44から最も離れた状態を示す。この状態では各突出板44c,46bの対向面積が実質的にゼロもしくはゼロに近くなり、粘性流体の剪断抵抗が小さくなって、第1の一対のトルク発生部材に生成される第1トルクは最小となる。
図5の扉制動装置11の断面図は、アジャスタ47が回転させられることで第2アジャストロータ46が軸方向に移動させられて、第2アジャストロータ46が調整機構列収容ホルダ2bの収納部底面側から最も離れ、第1アジャストロータ44に最も近づいた状態を示す。なお、図5において図3と同一または相当する部分には同一符号付してその説明は省略する。この状態では各突出板44c,46bの対向面積が最も大きくなり、粘性流体の剪断抵抗が大きくなって、第1の一対のトルク発生部材に生成される第1トルクは最大となる。
速度依存トルク生成機構列5は、第2キャップブッシュ51,第1速度依存ロータ52,第2速度依存ロータ53,弾性部材54,ホルダ55,止め輪56,およびケースブッシュ57から構成され、ケース2の内側に窪んで形成される速度依存機構列収納ホルダ2dに各部材が同軸に、かつ、その軸が調整トルク生成機構列4の軸に平行に収納される。
第1速度依存ロータ52の外周には、第1アジャストロータ44の外周に形成された平歯車44bと互いに噛み合う平歯車52aが形成されている。各平歯車44b,52aの歯数比は所定値に設定される。第1アジャストロータ44の外周に形成された平歯車44bは第1アジャストロータ44に一体に形成された第1の伝達部、第1速度依存ロータ52の外周に形成された平歯車52aは第1速度依存ロータ52に一体に形成された第2の伝達部を構成し、これら第1の伝達部および第2の伝達部は、第1アジャストロータ44および第1速度依存ロータ52間において、一方の回転駆動力を他方へ伝達する回転伝達部材を構成する。本実施形態では、この回転伝達部材はハウジング内に収容されており、第1アジャストロータ44および第1速度依存ロータ52間における回転駆動力の伝達はハウジング内において行われる。
第1速度依存ロータ52の中心部に突出した軸52bの一端は、軸受や摺動部材等からなる第2キャップブッシュ51が嵌められ、第2キャップブッシュ51がキャップ3の円筒状窪み3cに嵌入されることで、キャップ3に回転自在に取り付けられて軸支される。また、第1速度依存ロータ52の軸52bの他端は、第2速度依存ロータ53の内径部に挿入されて、第2速度依存ロータ53の、第1速度依存ロータ52に対向する側面と反対の側面に突出する。この突出する軸52bの他端に形成された円筒状窪み52d(図2参照)には、軸受や摺動部材等からなるケースブッシュ57が嵌合され、ケースブッシュ57はさらにケース2の速度依存機構列収納ホルダ2dに形成された突起2eに回転自在に嵌められる。第1速度依存ロータ52は、第2キャップブッシュ51およびケースブッシュ57によってハウジングに回転自在に軸支され、この軸支により、第1アジャストロータ44から伝達される回転駆動力を受けて回転する。
なお、ケースブッシュ57を用いることなく、円筒状窪み52dを突起2eに相対回転可能に摺接させ、第1速度依存ロータ52をハウジングに回転自在に軸支させるように構成してもよい。
軸52bの他端には、図6に示すように第2原動カム部52cが形成されている。同図(a)は、図1に示した一側面側から見た第1速度依存ロータ52および第2速度依存ロータ53の拡大斜視図、同図(b)は、図2に示した反対の側面側から見た第1速度依存ロータ52および第2速度依存ロータ53の拡大斜視図である。また、第2速度依存ロータ53の内径部の対向する2箇所には、第2原動カム部52cに係合する第2従動カム部53aが形成されている。第2従動カム部53aは、第2速度依存ロータ53の第1速度依存ロータ52に対向する側面側を頂点とし、反対の側面側を底辺とする二等辺三角形状に、第2速度依存ロータ53の内径部に突出して形成されている。第2速度依存ロータ53の内径部から立ち上がる第2従動カム部53aの側面は、第2従動カム面53a1を形成している。
第2原動カム部52cは、隣合う2個で1個の第2従動カム部53aを囲む4個が、軸52bの他端側外周に突出して形成されている。この隣合う2個の第2原動カム部52cは、第2従動カム部53aの両側の第2従動カム面53a1に対向する第2原動カム面52c1を、軸52bの外周から立ち上がる側面にそれぞれ備えている。一対の傾いた第2原動カム面52c1間の軸52bの外周には、第2従動カム部53aの外形に対応した二等辺三角形状の空間が形成されている。
軸52bの他端側外周と第2速度依存ロータ53の内径部とは、ハウジングに収納されたときに互いに嵌まり合う寸法に設定されており、第2速度依存ロータ53は、内径部に軸52bの他端が挿入されることで、その軸方向に移動自在にかつ回転自在にハウジングに保持される。軸52bの他端が第2速度依存ロータ53の内径部に挿入されて嵌まると、第2原動カム部52cと第2従動カム部53aとが係合する。第1速度依存ロータ52の回転は、この係合により、第2原動カム面52c1が第2従動カム面53a1を押すことで、第2速度依存ロータ53に伝達される。この際、第1速度依存ロータ52の回転トルクにより、第2原動カム面52c1が第2従動カム面53a1を押す圧力は、第2原動カム面52c1および第2従動カム面53a1の各傾きにより、第1速度依存ロータ52の回転方向とその軸方向との二方向の力に変換される。第2速度依存ロータ53は、その回転方向の力により回転し、その軸方向の力により軸方向に移動する。
第2速度依存ロータ53は、第1速度依存ロータ52に対向する側面と反対の側面に、突出板53bに囲まれて形成される収容部53cが形成されている。この収容部53cには、圧縮コイルスプリングからなる弾性部材54の一端部側が収容される。また、第1速度依存ロータ52の軸52bの径が細くなった他端先端部には、図3に示すように、ホルダ55が同心止め輪56によって抜け止めされて取り付けられる。弾性部材54は、収容部53cの底面に一端部が支えられ、この収容部53cの底面に対向するホルダ55の側面に他端部が支えられる。この弾性部材54により、ホルダ55は同心止め輪56側に、第2速度依存ロータ53は第1速度依存ロータ52側に押し付けられる。したがって、第1速度依存ロータ52、第2速度依存ロータ53、ホルダ55、および弾性部材54は、第1速度依存ロータ52と一体になって回転する。
また、ケース2の速度依存機構列収納ホルダ2dには、トルク発生部2gを構成する突出板2fが形成されている。このトルク発生部2gは、第2速度依存ロータ53に対向するケース2の内壁が形付けられて形成されており、第2速度依存ロータ53と連動して回転しないように固定されている。突出板2fは、同心状に複数列、軸方向および円周方向に環状に展延して突出し、円周方向に一部が切り欠かれて形成されている。また、第2速度依存ロータ53のトルク発生部2gに対向する側面に形成された突出板53bも、同心状に複数列、軸方向および円周方向に環状に展延して突出する。
第2速度依存ロータ53およびトルク発生部2gは、互いに対向し得るトルク発生面を備えてハウジング内に同軸に収容される第2の一対のトルク発生部材を構成する。第2速度依存ロータ53は、第2の一対のトルク発生部材の一方の第2トルク発生部材を構成し、トルク発生部2gは、第2の一対のトルク発生部材の他方の第2トルク発生部材を構成する。各突出板53b,2fは、第2速度依存ロータ53およびトルク発生部2gの径方向に等間隔で形成され、軸方向の相対移動により対向するように互いの径方向の位置がずれて設けられており、互い違いに対向配置されて、互いに対向する面がトルク発生面を構成する。本構成によれば、第2速度依存ロータ53およびトルク発生部2g間の相対距離が変化し、各突出板53b,2fの互いに対向するトルク発生面の面積が変化することで、第2の一対のトルク発生部材で生成される第2のトルクの大きさが調整される。
なお、各突出板53b,2fも、第1の一対のトルク発生部材を構成する各突出板44c,46bと同様に、同心状に複数列、軸方向および円周方向に環状に展延して突出して形成されているが、1列に展延して突出し、軸方向の相対移動により対向するように形成されるように構成してもよい。また、必ずしも環状に形成される必要は無く、半環状、その他、軸方向および円周方向に展延した形状であれば、どのような形状であってもよい。また、第1速度依存ロータ52、第2速度依存ロータ53およびホルダ55はそれぞれ合成樹脂材料から一体成形品として成形されるが、金属で形成してもよい。
弾性部材54は、第2速度依存ロータ53をトルク発生部2gから離れる第1速度依存ロータ52側へ付勢する。第1速度依存ロータ52の回転駆動力は第2原動カム部52cと第2従動カム部53aとの係合によって前述のように第2速度依存ロータ53へ伝えられ、第2速度依存ロータ53を弾性部材54の弾発力に抗してトルク発生部2g側へ移動させる。この移動により、第2速度依存ロータ53およびトルク発生部2gに形成された各突出板53b,2fが対向する面積が変化し、第2の一対のトルク発生部材におけるトルク発生面の対向面積が変化する。したがって、速度依存トルク生成機構列5においては、各突出板53b,2f間に存在する粘性流体の剪断抵抗により、第1速度依存ロータ52の回転速度に応じた第2のトルクが生成される。
第2速度依存ロータ53は、図3に示す第1速度依存ロータ52の静止状態では、弾性部材54が最も伸張して、突出板2fによって形成されるトルク発生部2gから最も離れた位置にあり、第2速度依存ロータ53の側端面は第1速度依存ロータ52の側端面と当接する。この状態では各突出板53b,2fの対向面積が実質的にゼロもしくはゼロに近くなり、粘性流体の剪断抵抗が小さくなって、第2の一対のトルク発生部材に生成される第2トルクは最小となる。
第1速度依存ロータ52の回転により、第2速度依存ロータ53は、この静止状態から、弾性部材54の弾発力に抗して移動する。第1速度依存ロータ52の回転速度が遅く、第2原動カム部52cが第2従動カム部53aを軸方向に押す圧力が弾性部材54の弾発力よりも小さい場合、第2速度依存ロータ53は静止位置から動かない。しかし、第1速度依存ロータ52の回転速度が増し、第2原動カム部52cが第2従動カム部53aを軸方向に押す圧力が弾性部材54の弾発力に打ち勝つと、第2速度依存ロータ53は弾性部材54の弾発力に抗して移動する。
そして、最終的に、第2速度依存ロータ53は、図7に示す、突出板2fによって形成されるトルク発生部2gに最も近づいた状態に遷移する。なお、図7において図3と同一または相当する部分には同一符号付してその説明は省略する。この状態では各突出板53b,2fの全長が対向するので、トルク発生面の対向面積が最大になり、粘性流体の剪断抵抗が大きくなって、第2の一対のトルク発生部材に生成される第2のトルクは最大となる。
このような本実施の形態による回転ダンパ1の構成においては、シャフト43が回転すると、第1アジャストロータ44がシャフト43に連動して回転する。第1アジャストロータ44がシャフト43に連動して回転すると、調整トルク生成機構列4に設けられた第1の一対のトルク発生部材において、アジャスタ47によって調整されるトルク発生面の対向面積に応じた大きさの第1のトルクが生成される。また、第1アジャストロータ44の回転は各平歯車44b,52aの噛み合いによって第1速度依存ロータ52に伝達され、第1速度依存ロータ52が回転する。第1速度依存ロータ52が回転すると、その回転駆動力が第2原動カム部52cおよび第2従動カム部53aを介して第2速度依存ロータ53へ伝えられ、第2速度依存ロータ53が弾性部材54の弾発力に抗してトルク発生部2g側へ移動する。この移動により、第2の一対のトルク発生部材におけるトルク発生面の対向面積が変化し、速度依存トルク生成機構列5に設けられた第2の一対のトルク発生部材において、第1速度依存ロータ52の回転速度に応じた第2のトルクが生成される。したがって、シャフト43の回転には、第1のトルクと第2のトルクとが合わさった大きさのトルクによる抵抗が付与される。
上記の調整トルク生成機構列4と速度依存トルク生成機構列5とは、ハウジング内に並列に配置される。このため、本実施の形態による回転ダンパ1は、従来の、移動調整機構とトルク自動調整機構とがシャフトの軸と同軸に直列に設けられる回転ダンパに比べて、そのシャフト43の軸方向における幅寸法を小さくすることが出来る。したがって、回転ダンパ1の取付部に大きな幅寸法を必要としなくなり、回転ダンパ1は、幅スペースの狭い場所に設置することが出来、取り付ける対象に制約が生じなくなって、広範囲に適用することが可能になる。
また、調整トルク生成機構列4と速度依存トルク生成機構列5とが別々に独立して配置されるため、調整トルク生成機構列4において生成される第1のトルクの大きさをアジャスタ47によって調整しても、速度依存トルク生成機構列5ではその調整による影響を受けない。このため、従来の回転ダンパのように、移動調整機構によってトルク調整をすると、トルク自動調整機構によるトルクの自動調整範囲が狭まり、回転ダンパの動作範囲が制限されてしまう問題は解消される。また、調整トルク生成機構列4におけるアジャスタ47による第1のトルクのトルク調整は、速度依存トルク生成機構列5における第2のトルクの自動調整を考慮することなく、簡潔に行える。
また、本実施の形態による回転ダンパ1によれば、突出板2fによって形成されるトルク発生部2gがケース2に一体に形成されるため、回転ダンパ1の幅寸法をさらに小さくすることが出来ると共に、構成部品点数が減って回転ダンパ1を低価格化することが出来る。また、本実施の形態による回転ダンパ1によれば、回転伝達部材が第1アジャストロータ44および第1速度依存ロータ52に一体に形成され、構成部品点数が減るので、回転ダンパ1を小型化かつ低価格化することが出来る。また、本実施の形態による回転ダンパ1によれば、第1速度依存ロータ52の回転速度は、各平歯車44b,52aに設定される歯数比に応じて速くまたは遅くなる。このため、速度依存トルク生成機構列5で生成される第2のトルクの大きさの調整範囲を広げることが可能になる。
また、本実施の形態による回転ダンパ1によれば、第1アジャストロータ44の回転軸と第1速度依存ロータ52の回転軸との2軸間における動力の伝達は、ハウジング内において各平歯車44b,52aによって行われる。このため、2軸間における動力の伝達をハウジング外で行う場合と異なり、回転軸のシール部材は、第1アジャストロータ44と同軸のシャフト43をハウジング外へ露出させる箇所に設けるキャップ側シール部材42の1つで済む。したがって、回転軸のシール部材によって生じてハウジング内に充填される粘性流体を介して伝えられる回転抵抗を最低限に抑制することが出来る。よって、シャフト43の回転に付与する抵抗が小さく設定される回転ダンパ1の低トルク設定時、回転軸のシール部材による回転抵抗によってシャフト43にかかるトルクが落ち切らない現象の発生を防ぐことが可能になる。もしも第1アジャストロータ44および第1速度依存ロータ52の各回転軸をハウジングの外に突出させ、ハウジング外で回転駆動力を伝達させようとすると、各回転軸をハウジング外へ突出させる2箇所に回転軸シール部材が必要になり、回転抵抗が大きくなってシャフト43にかかるトルクが落ち切らなくなる。
上述の回転ダンパ1を用いて構成される本実施の形態による扉制動装置11は、例えば、図8の側面図に示すように、シャフト43の軸と速度依存トルク生成機構列5の軸5aとが並び、調整トルク生成機構列4と速度依存トルク生成機構列5とが扉21の開閉方向に並んで配置されて、回転ダンパ1のハウジングが扉21の上端の角に固定される。なお、同図ではフレーム9の図示は省略しており、図1と同一部分には同一符号を付してその説明は省略する。扉21の上方に設けられるレール22の下面にはラックギヤ23が取り付けられ、一方向クラッチ8の外周に形成されたギヤはこのラックギヤ23にラック&ピニオン方式で噛合させられる。
同図(a)では、扉制動装置11は扉21の上端の左角に固定され、矢示A方向へ右開きされる際(扉開時)、一方向クラッチ8が空転して軽く開き、逆方向移動時(扉閉時)には一方向クラッチ8がロックしてシャフト43を回転させ、扉21の開閉を制動する。同図(b)に示す、扉21が逆方向の矢示B方向へ左開きされる場合には、扉制動装置11は、調整トルク生成機構列4と速度依存トルク生成機構列5との配置が次のように扉21の開閉方向において逆にされて、扉21の上端の右角に固定される。
逆方向への扉21の制動時、図9(a)に示す、調整トルク生成機構列4と速度依存トルク生成機構列5との当初の配置において、まず、一方向クラッチ8を同図(b)に示すように取り外す。次に、速度依存トルク生成機構列5の軸5aを中心に同図に矢印で示すようにハウジングを180°反転させ、同図(c)に示すように、調整トルク生成機構列4と速度依存トルク生成機構列5との配置を扉21の開閉方向において逆にする。最後に、一方向クラッチ8の表裏を反転させて、一方向クラッチ8を同図(d)に示すようにシャフト43に取り付ける。
このような本実施の形態による扉制動装置11によれば、一方向へ扉21を開く場合、およびその逆方向へ扉21を開く場合の双方において、扉21の移動に制動を加えることが可能な扉制動装置11を同じ部材を用いて簡単に実現することが出来る。
なお、上記の実施形態では、シャフト43を第1アジャストロータ44と同軸に設け、シャフト43が第1アジャストロータ44と連動して回転する場合について、説明した。しかし、シャフト43を第1速度依存ロータ52と同軸に設け、シャフト43が第1速度依存ロータ52と連動して回転するように構成してもよい。
この場合、第1速度依存ロータ52がシャフト43に連動して回転すると、その回転駆動力が第2原動カム部52cおよび第2従動カム部53aを介して第2速度依存ロータ53へ伝えられ、上記のように、速度依存トルク生成機構列5に設けられた第2の一対のトルク発生部材において、第1速度依存ロータ52の回転速度に応じた第2のトルクが生成される。また、第1速度依存ロータ52の回転は各平歯車52a,44bによって第1アジャストロータ44に伝達され、第1アジャストロータ44が回転する。第1アジャストロータ44が回転すると、調整トルク生成機構列4に設けられた第1の一対のトルク発生部材において、アジャスタ47によって調整された大きさの第1のトルクが生成される。したがって、この場合にも、シャフト43の回転には、第1のトルクと第2のトルクとが合わさった大きさのトルクによる抵抗が付与される。
また、この際、第1アジャストロータ44の回転速度は、各平歯車44b,52aに設定される歯数比に応じて速くまたは遅くなる。このため、調整トルク生成機構列4で生成される第1のトルクの大きさの調整範囲を広げることが可能になる。
また、上記の実施形態では、第1アジャストロータ44および第1速度依存ロータ52間において、一方の回転駆動力を他方へ伝達する回転伝達部材を平歯車44b,52aによって構成した場合について、説明した。しかし、回転伝達部材は平歯車44b,52aでなくても、はすば歯車等の歯車仕様で構成してもよい。また、歯車に限定されることはなく、例えば、摩擦車、タイミングベルト、Vベルト等によって構成するようにしてもよい。
このような各構成においても、上記の実施形態と同様な作用効果が奏される。
本発明による回転ダンパ1および扉制動装置11は、吊り戸、引き戸、パーティション、ロールスクリーン、手動シャッター、OA機器などに広範囲に利用することが出来る。
1…回転ダンパ、2…ケース、2a,3a…接合部、2b…調整機構列収納ホルダ、2c…突条、2d…速度依存機構列収納ホルダ、2e…突起、2f,44c,46b,53b…突出板、2g…トルク発生部(他方の第2トルク発生部材)、3…キャップ、3b…円筒穴、3c,47a…円筒状窪み、4…調整トルク生成機構列、5…速度依存トルク生成機構列、5a…速度依存トルク生成機構列の軸、6…ユニットシール部材、7,10…ネジ、8…一方向クラッチ、9…フレーム、11…扉制動装置、21…扉、22…レール、23…ラックギヤ、41…第1キャップブッシュ、42…キャップ側シール部材、43…シャフト、44…第1アジャストロータ(一方の第1トルク発生部材)、44b,52a…平歯車、45,56…止め輪、46…第2アジャストロータ(他方の第1トルク発生部材)、46c…第1従動カム部、47…アジャスタ、47b…第1原動カム部、48…ケース側シール部材、51…第2キャップブッシュ、52…第1速度依存ロータ、52b…軸、52c…第2原動カム部、53…第2速度依存ロータ(一方の第2トルク発生部材)、53a…第2従動カム部、54…弾性部材、55…ホルダ、57…ケースブッシュ

Claims (7)

  1. 内部に粘性流体が充填されたハウジングと、一部が前記ハウジング内に収容されて前記ハウジングに対して回転自在に支持されたシャフトと、互いに対向し得るトルク発生面を備えて前記ハウジング内に同軸に収容される一対のトルク発生部材とを有し、前記トルク発生面間に存在する粘性流体の粘性抵抗により生じるトルクによって前記シャフトの回転に抵抗を付与する回転ダンパにおいて、
    一方の第1トルク発生部材および他方の第1トルク発生部材から構成され、前記一方の第1トルク発生部材が回転自在に前記ハウジングに保持され、前記他方の第1トルク発生部材がその軸方向に移動自在にかつ前記一方の第1トルク発生部材と連動して回転しないように前記ハウジングに保持される第1の前記一対のトルク発生部材、および、前記他方の第1トルク発生部材に形成された第1従動カム部に係合する第1原動カム部が形成され、前記第1原動カム部が回転することによって前記他方の第1トルク発生部材を前記第1従動カム部を介してその軸方向に移動させて、第1の前記一対のトルク発生部材における前記トルク発生面の対向面積を変化させるアジャスタからなり、前記アジャスタによって大きさが調整される第1のトルクを生成する調整トルク生成機構列と、
    一方の第2トルク発生部材および他方の第2トルク発生部材から構成され、前記一方の第2トルク発生部材がその軸方向に移動自在にかつ回転自在に前記ハウジングに保持され、前記他方の第2トルク発生部材が前記一方の第2トルク発生部材と連動して回転しないように固定される第2の前記一対のトルク発生部材、前記一方の第2トルク発生部材に形成された第2従動カム部に係合する第2原動カム部が形成され、前記第2原動カム部が回転することによって前記第2従動カム部を介して回転を前記一方の第2トルク発生部材へ伝達するロータ、および、前記一方の第2トルク発生部材を前記他方の第2トルク発生部材から離れる前記ロータ側へ付勢する弾性部材からなり、前記ロータの回転駆動力を前記一方の第2トルク発生部材へ伝えて前記一方の第2トルク発生部材を前記弾性部材の弾発力に抗して前記他方の第2トルク発生部材側へ移動させることで、第2の前記一対のトルク発生部材における前記トルク発生面の対向面積を変化させて前記ロータの回転速度に応じた第2のトルクを生成する、前記調整トルク生成機構列と並列に前記ハウジング内に配置される速度依存トルク生成機構列と、
    前記一方の第1トルク発生部材および前記ロータ間において一方の回転駆動力を他方へ伝達する回転伝達部材と
    を備え、
    前記シャフトは、前記一方の第1トルク発生部材または前記ロータの一方と同軸に設けられて連動して回転する
    ことを特徴とする回転ダンパ。
  2. 前記一方の第1トルク発生部材および前記他方の第1トルク発生部材、並びに、前記一方の第2トルク発生部材および前記他方の第2トルク発生部材は、前記一対のトルク発生部材を構成するものどうしにおいて、軸方向の相対移動により対向するように互いの径方向の位置がずれて1列または同心状に複数列突出し、互いに対向する面が前記トルク発生面を構成する突出板がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1に記載の回転ダンパ。
  3. 前記他方の第2トルク発生部材は、前記一方の第2トルク発生部材に対向する前記ハウジングの内壁が形付けられて形成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の回転ダンパ。
  4. 前記回転伝達部材は前記ハウジング内に収容され、前記ハウジング内において前記回転駆動力が伝達されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転ダンパ。
  5. 前記回転伝達部材は、前記一方の第1トルク発生部材に一体に形成された第1の伝達部と、前記ロータに一体に形成された第2の伝達部とから構成されることを特徴とする請求項4に記載の回転ダンパ。
  6. 前記第1の伝達部および前記第2の伝達部は互いに噛み合う歯車から構成され、歯数比が所定値に設定されることを特徴とする請求項5に記載の回転ダンパ。
  7. 前記調整トルク生成機構列と前記速度依存トルク生成機構列とが扉の開閉方向に並んで配置されて前記ハウジングが固定される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の回転ダンパと、前記ハウジングから露出する前記シャフトに着脱自在かつ表裏反転自在に取り付けられる一方向クラッチとを備えて構成される扉制動装置。
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